(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066197
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報提供方法及び、情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240508BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240508BHJP
【FI】
G06Q50/02
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175610
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】522428586
【氏名又は名称】米豆麦造り株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】入海 健
(72)【発明者】
【氏名】市川 吉徳
(72)【発明者】
【氏名】古座野 智弘
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L049CC04
5L050CC01
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】
商品に関する情報を好適に登録し、提供すること。
【解決手段】
生産物を含む商品に関する情報を提供するための情報提供システムであって、生産情報登録部と、分析情報登録部と、提供部と、を有し、前記生産情報登録部は、商品を生産した生産者によって操作される生産者端末において商品情報登録画面を介して入力される商品情報を受け付け、記憶し、前記分析情報登録部は、分析情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、前記分析情報は、分析施設においてされる商品の分析に関する情報であり、商品の育成環境に関する分析結果を含み、前記提供部は、閲覧者によって操作される閲覧者端末より送信される、情報提供要求を受け付け、前記閲覧者端末に前記商品情報と前記分析情報とを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産物を含む商品に関する情報を提供するための情報提供システムであって、
生産情報登録部と、分析情報登録部と、提供部と、を有し、
前記生産情報登録部は、商品を生産した生産者によって操作される生産者端末において商品情報登録画面を介して入力される商品情報を受け付け、記憶し、
前記分析情報登録部は、分析情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、
前記分析情報は、商品の分析に関する情報であり、商品の育成環境に関する分析結果を含み、
前記提供部は、閲覧者によって操作される閲覧者端末より送信される、情報提供要求を受け付け、前記閲覧者端末に前記商品情報と前記分析情報とを提供する、
情報提供システム。
【請求項2】
前記情報提供システムは更に、製品情報登録部を有し、
工場端末は、生産者により生産された商品を加工して製品を生産する加工工場において操作される端末であり、
前記製品情報登録部は、前記工場端末より送信される、製品情報を受け付け、原材料となる商品の前記商品情報と紐づけて記憶し、
前記提供部は、前記商品情報と、更に前記商品情報と紐づいた前記製品情報と、を前記閲覧者端末に提供する、
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記分析情報に含まれる商品の育成環境に関する分析結果は、土壌の分析結果を含み、
前記分析情報は更に、商品の成分に関する分析結果を含む、
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記情報提供システムは、更に依頼部を有し、
前記依頼部は、前記生産者端末より送信される、分析施設で行われる商品の分析依頼に関する分析依頼情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、
前記分析情報登録部は、前記分析依頼情報に基づいて行われた商品の前記分析結果を含む前記分析情報を、前記分析施設において操作される分析施設端末より受け付け、記憶する、
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記生産情報登録部は、前記生産者端末より送信される商品の育成過程に関する育成記録を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、
前記提供部は、前記商品情報と、前記商品情報と紐づいた前記育成記録と、を前記閲覧者端末に提供する、
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記情報提供システムは、更に記憶部と、ハッシュ生成部と、を有し、
前記生産情報登録部は、生産者端末より送信される更新要求を受け付けることで、記憶部に記憶される前記商品情報及び/又は前記育成記録の更新が可能であり、
前記ハッシュ生成部は、商品の分析結果を含む前記分析情報よりハッシュ情報を生成し、ブロックチェーンに格納する、
請求項5に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記情報提供システムは更にトークン生成部を有し、
前記トークン生成部は、前記分析情報が受け付けられると、前記分析情報に対応するトークンを生成し、前記ハッシュ情報と紐づけてブロックチェーンに格納する、
請求項6に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記閲覧者端末は、商品又は商品を加工して製造された製品にラベルとして付与された情報提供要求情報を読み取り、前記情報提供要求を送信し、
前記提供部は、前記商品情報と、ブロックチェーンに格納された前記ハッシュ情報に紐づいた前記分析情報と、を提供する、
請求項6に記載の情報提供システム。
【請求項9】
情報提供方法であって、
生産情報登録工程と、分析情報登録工程と、提供工程と、をコンピュータが実行し、
前記生産情報登録工程は、商品を生産した生産者によって操作される生産者端末において商品情報登録画面を介して入力される商品情報を受け付け、記憶し、
前記分析情報登録工程は、分析情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、
前記分析情報は、分析施設においてされる商品の分析に関する情報であり、商品の育成環境に関する分析結果を含み、
前記提供工程は、閲覧者によって操作される閲覧者端末より送信される、情報提供要求を受け付け、前記閲覧者端末に前記商品情報と前記分析情報とを提供する、
情報提供方法。
【請求項10】
情報提供プログラムであって、
生産情報登録部と、分析情報登録部と、提供部と、としてコンピュータを機能させ、
前記生産情報登録部は、商品を生産した生産者によって操作される生産者端末において商品情報登録画面を介して入力される商品情報を受け付け、記憶し、
前記分析情報登録部は、分析情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、
前記分析情報は、分析施設においてされる商品の分析に関する情報であり、商品の育成環境に関する分析結果を含み、
前記提供部は、閲覧者によって操作される閲覧者端末より送信される、情報提供要求を受け付け、前記閲覧者端末に前記商品情報と前記分析情報とを提供する、
情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報提供方法及び、情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物を含む食品に関して、生産地や成分など詳細な情報を消費者に提供する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、農作物の流通に関して情報の改ざんによる信頼性の低下を防ぐためのシステムが開示されている。特許文献1に記載の技術では、畑プロセスや作物プロセス、仕分けプロセスなど、農作物の流通に関する各プロセスにおける固有データについて、各プロセスごとにハッシュ値を算出し、最後のプロセスにおけるハッシュ値から二次元コードを生成する。そして、消費者が農作物を手に取った場合、付与された二次元コードを読み取ることで、この農作物の製造及び流通工程を把握できることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、食品に添付されたラベルなどに表示された情報が信頼できるものであるかどうか、容易に確認できるようにするシステムについて開示されている。食品を購入した購買者は、ラベルにバーコードとして表示された証明コードに対応する成分分析結果を取得することが可能であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/044441号
【特許文献2】国際公開第2007/049344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1と特許文献2とでは、成分や流通過程など、食品に関する情報を消費者に提供することに関する記載はあるが、成分分析センターを含む分析施設における食品の分析結果の登録と、生産者による食品に関する情報の登録方法に関する記載はなかった。したがって、対象となる食品は、分析や流通の過程で物理的に移動するが、それらの食品に関する情報を好適に登録することができなかった。
【0007】
本発明は、上述の問題を鑑みてなされたものであり、生産者と分析施設により登録された商品に関する情報の提供を好適に行う情報提供システム、情報提供方法、情報提供プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、生産物を含む商品に関する情報を提供するための情報提供システムであって、生産情報登録部と、分析情報登録部と、提供部と、を有し、前記生産情報登録部は、商品を生産した生産者によって操作される生産者端末において商品情報登録画面を介して入力される商品情報を受け付け、記憶し、前記分析情報登録部は、分析情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、前記分析情報は、商品の分析に関する情報であり、商品の育成環境に関する分析結果を含み、前記提供部は、閲覧者によって操作される閲覧者端末より送信される、情報提供要求を受け付け、前記閲覧者端末に前記商品情報と前記分析情報とを提供する。
このような構成とすることで、生産者は生産者端末において表示される商品情報登録画面を介して商品に関する情報を容易に入力し、登録することができる。また、生産者により入力された商品情報と、分析施設端末を介して分析施設で行われた商品の育成環境に関する分析情報と、を含む商品に関する情報を、閲覧者端末を介して消費者を含む閲覧者に好適に提供することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、更に、製品情報登録部を有し、工場端末は、生産者により生産された商品を加工して製品を生産する加工工場において操作される端末であり、前記製品情報登録部は、前記工場端末より送信される、製品情報を受け付け、原材料となる商品の前記商品情報と紐づけて記憶し、前記提供部は、前記商品情報と、更に前記商品情報と紐づいた前記製品情報と、を前記閲覧者端末に提供する。
このような構成とすることで、商品が加工され、製品となって消費者に提供される場合でも、加工工場における工場端末を介して容易に製品情報が商品情報に紐づけて登録され、閲覧者に製品に関する製品情報と、製品の原材料である商品の商品情報及び分析情報と、が好適に提供される。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記分析情報に含まれる商品の育成環境に関する分析結果は、土壌の分析結果を含み、前記分析情報は更に、商品の成分に関する分析結果を含む。
このような構成とすることで、分析施設において分析された商品の成分の分析結果と土壌の分析結果を含む育成環境に関する分析結果とを含む分析情報を閲覧者に好適に提供することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、更に依頼部を有し、前記依頼部は、前記生産者端末より送信される、分析施設で行われる商品の分析依頼に関する分析依頼情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、前記分析情報登録部は、前記分析依頼情報に基づいて行われた商品の前記分析結果を含む前記分析情報を、前記分析施設において操作される分析施設端末より受け付け、記憶する。
このような構成とすることで、生産者が分析施設に送った分析依頼についての分析依頼情報を確認できる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記生産情報登録部は、前記生産者端末より送信される商品の育成過程に関する育成記録を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、前記提供部は、前記商品情報と、前記商品情報と紐づいた前記育成記録と、を前記閲覧者端末に提供する。
このような構成とすることで、生産者は、生産者端末を介して商品の育成記録を容易に登録し、閲覧者に育成記録を好適に提供することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、更に記憶部と、ハッシュ生成部と、を有し、前記生産情報登録部は、生産者端末より送信される更新要求を受け付けることで、記憶部に記憶される前記商品情報及び/又は前記育成記録の更新が可能であり、前記ハッシュ生成部は、商品の分析結果を含む前記分析情報よりハッシュ情報を生成し、ブロックチェーンに格納する。
このような構成とすることで、商品情報と育成記録に関してはデータベースに書き込まれるため、後日書き換えや加筆など、必要に応じて更新することができる。一方、商品の分析結果を含む分析情報より生成したハッシュ情報は、ブロックチェーンに格納されるため、一度書き込むと書き換えができず、改ざんによる情報の信頼性の低下を防ぐことができる。したがって、更新された新しい情報と、変更されない信頼性を有する情報と、を閲覧者に好適に提供することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、更にトークン生成部を有し、前記トークン生成部は、前記分析情報が受け付けられると、前記分析情報に対応するトークンを生成し、前記ハッシュ情報と紐づけてブロックチェーンに格納する。
このような構成とすることで、独自のトークンを生成できる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記閲覧者端末は、商品又は製品にラベルとして付与された情報提供要求情報を読み取り、前記情報提供要求を送信し、前記提供部は、前記商品情報と、ブロックチェーンに格納された前記ハッシュ情報に紐づいた前記分析情報と、を提供する。
このような構成とすることで、閲覧者は、商品又は製品を購入した際に、商品又は製品に付与されたラベルを閲覧者端末を介して読み取ることで商品及び/又は製品に関する情報を容易に取得することができる。
【0016】
本発明は、情報提供方法であって、生産情報登録工程と、分析情報登録工程と、提供工程と、をコンピュータが実行し、前記生産情報登録工程は、商品を生産した生産者によって操作される生産者端末において商品情報登録画面を介して入力される商品情報を受け付け、記憶し、前記分析情報登録工程は、分析情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、前記分析情報は、商品の分析に関する情報であり、商品の育成環境に関する分析結果を含み、前記提供工程は、閲覧者によって操作される閲覧者端末より送信される、情報提供要求を受け付け、前記閲覧者端末に前記商品情報と前記分析情報とを提供する。
【0017】
本発明は、情報提供プログラムであって、生産情報登録部と、分析情報登録部と、提供部と、としてコンピュータを機能させ、前記生産情報登録部は、商品を生産した生産者によって操作される生産者端末において商品情報登録画面を介して入力される商品情報を受け付け、記憶し、前記分析情報登録部は、分析情報を受け付け、前記商品情報と紐づけて記憶し、前記分析情報は、商品の分析に関する情報であり、商品の育成環境に関する分析結果を含み、前記提供部は、閲覧者によって操作される閲覧者端末より送信される、情報提供要求を受け付け、前記閲覧者端末に前記商品情報と前記分析情報とを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、農産物などの商品に関して情報を提供する情報提供システム、情報提供方法、情報提供プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態における情報提供システムのブロック図を示す。
【
図2】本実施形態における各装置のハードウェア構成図を示す。
【
図3】本実施形態における機能構成のブロック図を示す。
【
図4】本実施形態におけるデータ構成の一例を示す。
【
図5】本実施形態におけるデータ構成の一例を示す。
【
図9】本実施形態における処理についてのフローチャートを示す。
【
図10】本実施形態における処理についてのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面を用いて、本発明の実施形態に関する情報提供システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0021】
本実施形態では、情報提供システムの構成および動作等について説明するが、同様の構成の情報提供方法、情報提供プログラム、当該プログラムを記録し、コンピュータにより可読な記録媒体等も、同様の作用効果を奏することができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0022】
本実施形態において、商品とは生産者により生産された生産物であり、農作物や畜産物、養殖魚等であってよい。また、製品とは、商品が加工工場において加工されることで製造された加工品であり、加工食品や飲料、化粧品、衣類等であってよい。また、商品が加工されて製品が製造される場合、製品の原材料となる商品は複数であってもよい。本明細書では、商品が農作物であって、製品が当該農作物の加工食品である例について説明する。
【0023】
生産者は、商品の生産を行う者を示す。本実施形態において生産者は、農業従事者であるが、商品の生産を行う者であれば、畜産農家や養殖業者等であってもよい。分析施設は生産者によって生産された商品の育成環境や成分に関する分析を行うことが可能な分析設備を備える施設を示し、本実施形態では大学等の研究機関である。分析施設は、成分分析が可能な設備を備える施設であれば成分分析センター、農協、認証機関等であってもよい。また、分析施設が備える分析設備は、アミノ酸分析計及び糖度計を含む商品の成分に関して分析が可能な分析機器を含む。加工工場は、商品を発注し、納品された商品を加工して製品を製造する工場を示す。閲覧者は、閲覧者端末を介して商品情報を含む情報の提供を要求し、提供された情報を閲覧する消費者を含む。また、閲覧者は他の生産者を含んでもよく、情報が要求される商品とは異なる商品の生産を行う他の生産者が閲覧者として情報提供を要求し、提供された情報を閲覧してもよい。
【0024】
図1は、本実施形態における情報提供システム1の構成図である。
図1に示すように、情報提供システム1は、情報提供装置2と、生産者により操作される生産者端末3と、分析施設において操作される分析施設端末4と、加工工場において操作される工場端末5と、閲覧者により操作される閲覧者端末6と、ブロックチェーンネットワークシステム7と、を備える。
図1において、生産者端末3と分析施設端末4と工場端末5と閲覧者端末6は、1つのみ示されるが、それぞれ複数の端末が存在してもよい。ブロックチェーンネットワークシステム7は、ネットワーク上にブロックチェーンを格納する複数のノードを有するシステムである。また、分析施設において操作される分析施設端末4は、ネットワークNWと接続された機器であれば分析装置として使用される機器であってもよく、分析装置として分析した商品の分析結果を情報提供装置2に送信してもよい。
【0025】
図2(a)は、情報提供装置2のハードウェア構成図を示す。情報提供装置2は、ネットワークNWを介して外部の装置と通信するための通信部201と、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置による処理部202と、HDD(Hard Disc Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などによる記憶部203と、を備えている。通信部201は、ネットワークNWとの通信制御を行い、各種装置とデータ通信させるために必要な処理を行う。記憶部203は、情報提供プログラムおよび、処理部202がプログラムに基づき処理を実行する際に利用する、商品情報や分析情報を含むデータ等を記憶する。情報提供プログラムが処理部202により実行されることで、コンピュータを後述する機能構成を実現する情報提供装置2として機能させることができる。情報提供装置2は、サーバ装置等のコンピュータ装置として構成することができる。
【0026】
図2(b)は、端末10(生産者端末3、分析施設端末4、工場端末5、閲覧者端末6)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末10は、ハードウェア構成として通信部101と、処理部102と、記憶部103と、入力部104と、出力部105と、を備える。通信部101は、ネットワークNWとの通信を制御する。処理部102は、CPU等の演算装置を含み、端末10の処理を制御する。記憶部103はHDD、RAM、ROM等を備え、情報提供装置2及び/又はブロックチェーンネットワークシステム7と連携するためのアプリケーション等を記憶する。入力部104は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を処理部102に入力する。出力部105は、ディスプレイ等であって、処理部102の処理の結果等を出力する。端末10は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータ端末を用いて構成される。
【0027】
本発明で使用するブロックチェーンは、分散型台帳の形態の一つであり、パブリックチェーン、プライベートチェーン等であってもよい。
【0028】
ブロックチェーンは、ブロックと呼ばれるデータの連鎖によって構成される。各ブロックはその前のブロックのハッシュ値に関する情報を含むため、いずれかのブロックのデータの改ざんが行われた場合、ブロックの連鎖の整合性に齟齬が生じる。そのため、改ざんやブロックの削除等を行うことができない。
【0029】
本実施形態において、情報提供システム1は、記憶部203及びブロックチェーンネットワークシステム7のブロックチェーンにデータを格納する。記憶部203は、商品登録の際に登録される商品情報と、商品の分析に関する分析情報と、製品の登録の際に登録される製品情報と、商品の育成過程に関する育成記録と、を記憶するデータベースDBを備える。ブロックチェーンネットワークシステム7のブロックチェーンは、分析情報から生成されたハッシュ情報及び分析情報に対応するトークンを格納する。記憶部203は、更新要求があった場合、商品情報と育成記録を含む記憶部203に記憶されるデータを更新要求に従って書き換えられる。一方、ブロックチェーンに格納されたハッシュ情報とトークンとは、ブロックチェーンのブロックの連鎖に含まれており、変更が加えられるとブロックのデータの連鎖に齟齬が生じるため、書き換えられない。したがって、分析情報が改ざんされると、ブロックチェーンに格納されたハッシュ情報と、改ざん後の分析情報から再度生成したハッシュ情報と、が不一致となるため、改ざんされたことが判断できる。
【0030】
図3は、本実施形態における情報提供システム1の情報提供装置2の機能構成のブロック図である。情報提供装置2は、生産者端末3からの情報を登録する生産情報登録部211と、分析依頼情報を受け付ける依頼部212と、分析情報を登録する分析情報登録部213と、分析情報からハッシュ情報を生成するハッシュ生成部214と、分析情報に対応するトークンを生成するトークン生成部215と、情報を提供する提供部216と、製品情報を登録する製品情報登録部217と、データベースDBと、を有する。
【0031】
なお、本システムの利用の際に生産者は、生産者に関する生産者情報をデータベースDBに登録する。登録される生産者情報は、生産者名や生産者の連絡先を含む。
【0032】
生産情報登録部211は、生産者端末3における商品情報登録画面を介して商品情報の登録を受け付け、記憶部203に記憶する。また、生産情報登録部211は、生産者端末3における育成記録登録画面を介して育成記録の登録を受け付け、記憶部203に記憶する。
【0033】
本実施形態におけるデータ構成を
図4及び
図5に示す。
図4、5に図示されるデータ構成は本実施形態におけるデータ構成の一例であり、本構成に限定されない。
【0034】
図4(a)に示す商品情報は、商品を識別するための商品IDと、商品名と、育成開始時期と、育成終了時期と、育成畑と、を含む。商品情報は、その商品を生産した生産者によって登録された生産者情報と紐づけて登録される。商品IDは、商品情報が登録される際に割り当てられる商品を識別可能な情報である。商品情報は、生産地に関する情報や商品に関して生産者が閲覧者に提供したい情報を含んでもよい。商品情報は、生産者端末3において表示される商品情報登録画面を介して登録される。
【0035】
図4(b)に示す育成記録は、商品の育成過程に関する情報であり、育成記録に登録される育成作業が行われた日付と時間、商品の育成に関する育成作業を行った作業者、商品が生産された畑の場所や育成作業の内容に関する情報と商品IDと紐づいた育成記録IDが含まれる。育成記録は、更に商品の育成状態に関する情報や育成途中の商品の画像等が含まれてもよい。育成記録は、生産者端末3において表示される育成記録登録画面を介して入力され、商品情報と紐づいて登録される。育成記録登録画面は、生産者端末3において表示される、商品の育成に関する情報を登録する。また、育成記録は、育成作業の内容に対応する詳細作業情報を含んでもよい。育成作業の内容は、播種、耕うん、防除、施肥などを含む。詳細作業情報は、例えば、育成作業の内容が防除であれば、散布した農薬の種類(化学農薬、有機農薬など)などを含む。育成記録は、生産者端末3において育成記録登録画面を介して入力され、情報提供装置2に送信される。育成記録は、生産者が商品の生産に関する作業を行うたびに入力され、商品情報に対応付けて記憶部203に記憶される。また、育成記録は、本実施形態において、生産者により修正箇所が発見された際や後日内容を追記する際に更新され、記憶されるが、商品の育成完了時や出荷時に確定させた確定版の育成記録又は確定版の育成記録から生成したハッシュ値がブロックチェーンに格納されてもよい。
【0036】
依頼部212は、生産者が分析施設に送る商品の分析依頼に関する分析依頼情報を受け付け、記憶する。分析依頼情報に含まれる分析依頼IDは、商品情報に含まれる商品IDに紐づいて登録される。分析依頼情報は、分析依頼に関する情報であり、分析依頼が行われた日付と、分析依頼の内容と、分析を依頼された分析施設に関する情報と、依頼された分析が完了したか未完了かを示す分析状況に関する情報と、を含む。分析依頼情報は、商品情報と紐づけられて記憶部203に記憶される。分析依頼情報に含まれる分析状況は、分析情報の登録が行われると自動的に分析状況は分析完了となるが、分析施設端末4において分析依頼情報に含まれる分析状況が入力されてもよい。
【0037】
分析情報登録部213は、分析施設端末4から送信される商品の分析に関する分析情報を受け付け、分析依頼情報に含まれる分析依頼を特定可能な分析依頼IDと紐づけて登録する。分析情報登録部213は、生産者が分析装置を操作して成分分析を行った場合、生産者端末3より送信された分析情報を受け付けてもよい。分析情報登録部213は、分析情報を記憶部203ではなく、ブロックチェーンに格納してもよい。育成畑ごとのIDが登録され、土壌に関する分析結果は、畑ごとの育成畑IDに紐づいて登録されてもよい。
【0038】
本実施形態において、分析情報登録部213は、
図5(a)に示す商品の成分の分析結果と、
図5(b)に示す商品の育成環境に関する分析結果と、を含む分析情報を記憶部203に登録する。成分の分析結果は、分析項目別の成分量と、分析項目別の分析方法と、を含む。育成環境に関する分析結果は、分析項目別の値と、分析項目別の方法と、を含む。
【0039】
図5(a)に示す商品の成分の分析結果の分析項目は、商品に含まれる水分とアミノ酸であるが、たんぱく質やエネルギー量、糖度、酸度、熱量、脂質、炭水化物、コレステロール、無機質、ビタミン、脂肪酸の含有量など、商品に含まれるその他の分析項目を含んでもよい。また、
図5(a)に示す実施例において、商品の成分の分析結果は、常圧加熱乾燥法とアミノ酸自動分析法と高速液体クロマトグラフ法とにより得られるが、成分分析の方法を限定するものではなく、例えば、水分量の分析に関して、カールフィッシャー法や、減圧加熱乾燥法など、実施例とは異なる方法で行われてもよい。
【0040】
分析情報に含まれる分析結果には、
図5(b)に示す土壌の分析結果を含む商品の育成環境に関する分析結果と
図5(a)に示される商品の成分に関する分析結果とが含まれる。商品の育成環境に関する分析結果は、商品が農作物の場合、商品の生産の際に畑に散布した農薬と水とに関する分析結果を含んでもよく、また、水耕栽培で商品の生産が行われた際は商品の栽培に使用した水と培地とに関する分析結果を含んでいてもよい。本実施形態において、商品の育成環境に関する分析結果は商品の育成が行われた環境に関する分析結果であって、商品が畜産物の場合は飼料の分析結果を含んでもよく、また、商品が養殖魚の場合は水質や餌の分析結果を含んでもよい。
図5(b)に示す実施例において土壌の分析は、土壌に含まれる水素イオン濃度指数や電気伝導率、給態リン酸、塩基飽和度について行われるが、相対成長率、純同化率、葉面積比、硝酸イオンの濃度等を含む商品の分析結果から間接的に行われてもよい。
【0041】
これらの分析結果を含む分析情報は記憶部203に含まれる分析データベースに記憶される。分析データベースのレコードは、成分の分析結果及び、育成環境に関する分析結果のそれぞれの分析IDと、分析結果を含む。
【0042】
ハッシュ生成部214は、分析情報からハッシュ情報を生成し、ブロックチェーンに格納する。ハッシュ情報は、ハッシュ関数を用いて分析情報に関するデータが暗号化されたハッシュ値であり、本実施形態において、分析結果の分析項目ごとの値のデータから生成した分析結果ハッシュ情報と分析IDと分析結果の分析項目ごとのデータを含む分析データベースのレコードから生成したDBハッシュ情報を含む。なお、ハッシュ生成部214は、分析結果ハッシュ情報を用いてDBハッシュ情報を生成してもよい。
【0043】
トークン生成部215は、分析情報に対応するトークンを生成し、ブロックチェーンに格納する。分析情報に対応して生成されたトークンは、ハッシュ情報と同様に分析情報における改ざんの確認に用いられてもよい。
【0044】
情報提供装置2は、ブロックチェーンネットワークシステム7(ノード)に対して、商品ID、DBハッシュ情報、分析結果ハッシュ情報及び分析IDを送信することで、記録要求を行う。記録要求を受け取ったブロックチェーンネットワークシステム7(ノード)は、受け取った情報を紐付けてブロックに格納する。
【0045】
本実施形態において、ブロックチェーンは、
図5(c)に示す、ハッシュ生成部214で生成されたハッシュ情報であるDBハッシュ情報及び分析結果ハッシュ情報と、トークン生成部215で生成されたトークンと、商品の商品IDと、ハッシュ情報に対応する分析情報に含まれる分析IDと、を格納する。
【0046】
ブロックチェーンネットワークシステム7は、ハッシュ情報とトークンをブロックチェーンに格納する際、前のブロックのハッシュ値を取得し、ハッシュ情報とトークンとともにブロックに格納することでブロックを確定させる。本実施形態において、ブロックチェーンネットワークシステム7は、一度の分析ごとに生成されたハッシュ情報とトークンとを格納したブロックを確定するが、複数回の分析に係るハッシュ情報とトークンとを1つのブロックに格納し、確定してもよい。前ブロックのハッシュ値は、前ブロックに格納されたブロックヘッダから算出されたハッシュ値である。
【0047】
提供部216は、閲覧者端末6から送信される情報提供要求を受け付けて、商品情報と、育成記録と、分析情報と、製品情報と、を含む商品に関する情報を提供する。分析に時間がかかり、情報提供要求を受け付けた際に分析情報がまだ登録されていない場合であれば、昨年の同じ時期に生産された商品に関する分析情報や同じ土壌で生産された商品に関する分析情報など、異なる時期に生産された同じ商品に関する情報が閲覧者に提供されてもよい。WEBサイト上における商品購入時など、情報提供要求が送信される際において、収穫に関する育成記録など未登録の育成記録がある場合であっても、既に登録されている育成記録が閲覧者に提供される。また、閲覧者の手元への商品の到着後など、情報提供要求が送信された際に、収穫に関する育成記録など、以前の情報提供要求時には登録されていなかった育成記録が登録されていれば、新たに登録された育成記録を含む商品に関する情報が閲覧者端末6に提供される。提供部216は、商品情報と、育成記録と、分析情報と、製品情報と、に基づいて閲覧者端末6で表示するための閲覧用のデータを生成する。提供部216は、生成した閲覧用のデータを閲覧者端末6に送信する。閲覧用のデータは、本実施形態では提供に前もって生成されるが、情報提供要求があった際に生成されてもよい。
【0048】
製品情報登録部217は、工場端末5から送信される製品に関する製品情報を受け付け、原材料である商品の商品情報に含まれる商品IDと紐づけて登録する。製品情報は、記憶部203に記憶される。製品情報と紐づく商品情報は複数であってもよい。
図5(d)に示される製品情報は、製品に関する情報であり、製品を特定するための情報である製品IDと製品名とを含む。製品情報として製品の加工工場に関する情報や製品の成分、原材料である商品名又は商品ID等が含まれてもよい。
【0049】
図6は、本実施形態における商品情報登録画面の画面表示例を示す。
図6の商品登録画面W1は、生産者が生産した商品に関する商品情報を登録するための画面であり、生産者端末3において表示される画面である。商品登録画面W1は、商品情報登録部W11と登録ボタンW12を有する。商品情報登録部W11は、商品名と育成開始時期と育成終了時期と育成畑を入力できる。登録ボタンW12が押下されると、商品情報登録部W11に入力された商品情報は、情報提供装置2に送信され、生産情報登録部211は、受信した商品情報を登録する。
【0050】
図7(a)は、育成記録を入力するための育成記録登録画面の画面表示の一例である。育成記録入力画面W2は、育成過程において生産者が行った育成作業に関する情報を含む育成記録を入力するための画面であり、生産者端末3において表示される。育成記録入力画面W2は、記録日時入力部W21と、作業内容入力部W22と、作業詳細入力部W23と、を有する。育成記録入力画面W2は、更に、育成作業又は商品に関する画像をアップロードするための画像アップロード部W24を有する。
図7(a)に示す育成詳細選択部W25は、作業内容入力部W22で選択された育成作業の内容に対応する詳細作業情報を受け付ける。作業内容入力部W22において育成作業の内容として防除・施肥が選択されたため、育成詳細選択部W25は、商品を生産する防除の作業の際に使用された農薬が化学農薬又は有機農薬であるか、施肥の作業の際に使用された肥料が化学肥料又は有機肥料であるかを選択する農薬・肥料選択部を表示するが、他の育成作業の内容が選択された際は、他の育成作業の内容に対応する詳細作業情報を入力するための選択部を表示する。更新ボタンW26が押下されると、入力された育成記録は、生産者端末3から情報提供装置2に送信され、生産情報登録部211は、受信した育成記録を商品情報に紐づけて登録する。
【0051】
記録日時入力部W21は、育成記録に示す育成作業が行われた日付を入力できる。作業内容入力部W22は、生産者が行った商品を育成するための育成作業の概要について入力できる。作業詳細入力部W23は、作業者や作業時間や作業で利用した道具、作業が行われた畑の情報等、育成作業に関する詳細な情報を入力できる。画像アップロード部W24は、育成作業又は育成途中の商品に関する画像データがアップロードされ、育成記録として記憶されてもよい。
【0052】
図7(b)は、育成記録と分析情報と分析依頼情報とを表示する商品詳細画面W3を示す。商品詳細画面W3は、育成記録入力画面W2において入力された育成記録と分析施設端末4を介して入力された分析情報とに関して、閲覧者端末6に提供する情報を選択できる画面である。商品詳細画面W3は、育成記録を表示する育成記録表示部W31と、分析依頼情報を表示する分析記録表示部W32と、育成記録と分析情報とを閲覧者端末6に提供するかを選択する表示・非表示選択部W33と、分析依頼情報に含まれる分析の現在の状況を表示する分析状況表示部W34と、を有する。
【0053】
育成記録表示部W31は、育成記録に含まれる育成作業が行われた日付と生産者によって行われた育成作業の内容とを表示する。分析記録表示部W32は、分析依頼が行われた日付と分析される商品を特定するための情報とを含む分析依頼情報を表示する。表示・非表示選択部W33は、育成記録表示部W31に表示された育成記録と、分析記録表示部W32において表示される分析依頼情報において依頼された分析の分析情報と、に関して、閲覧者端末6に提供するかを選択することができる。分析状況表示部W34は、生産者が行った分析依頼に関して、分析が完了又は未完了かなどの分析状況を表示する。
【0054】
図8は、商品情報と分析情報とを含む商品に関する情報を提供するための情報提供画面W4の画面表示例を示す。本実施形態において、情報提供画面W4は、商品に付与されたラベルを読み取って情報提供要求を送信することで、閲覧者端末6において表示されるが、商品の購入が可能なWEBサイトから情報提供要求を送信することで表示されてもよい。情報提供画面W4は、商品情報提示部W41と、育成記録提示部W42と、育成記録詳細表示ボタンW43と、分析記録提示部W44と、分析情報表示ボタンW45と、を有する。商品情報提示部W41は、商品名と育成開始と育成終了と育成畑とを含む商品情報を表示する。育成記録提示部W42は、育成記録に含まれる育成作業の内容と育成作業が行われた日付を表示する。育成記録詳細表示ボタンW43は、押下されると育成記録に含まれる備考を含む育成作業の詳細な情報を表示する育成記録詳細表示ページに移動する。分析記録提示部W44は、分析依頼情報に含まれる分析依頼が行われた日付と分析依頼の内容を表示する。分析情報表示ボタンW45は、押下されると、成分の分析結果と、商品の育成環境に関する分析結果と、を含む分析情報を表示する分析情報表示ページに移動する。
【0055】
図9~10を用いて本実施形態における情報提供システム1の処理の流れの一例を示す。
【0056】
図9は、商品情報と育成記録と分析情報と製品情報を含む商品に関する情報の提供について、情報提供装置2の処理の全体の流れのフローチャートを示す。生産者端末3は、商品情報登録画面を介して入力された商品情報を情報提供装置2に送信する(S301)。生産情報登録部211は、商品情報を受け付けて記憶部203に記憶する(S201)。商品情報の登録の際に割り当てられる、商品を識別可能な商品IDは、生産者端末3において入力された情報とともに商品情報として登録される。生産者端末3は、育成記録登録画面を介して入力された育成記録を情報提供装置2に送信する(S302)。生産情報登録部211は、育成記録を受け付けて記憶部203に記憶する(S202)。本実施形態において育成記録は、生産者により商品の生産に関する作業が行われるたびに生産者端末3を介して入力され、送信される。
【0057】
生産者は、生産された商品及び/又は生産が行われた畑の土壌を含む商品の育成環境に関するサンプルと分析依頼とを分析施設に送る。このとき、送られる商品又はサンプルは、分析依頼情報を特定可能なIDなどの識別子などが添付されている。生産者端末3は、この分析依頼に関する入力された分析依頼情報を情報提供装置2に送信する(S303)。依頼部212は、分析依頼情報を受け付け、分析が依頼された商品の商品情報と紐づけて記憶する(S203)。分析依頼情報は、分析依頼を出した日時と分析依頼の内容に関する情報と分析状況に関する情報とを含む商品の分析依頼に関する情報である。分析依頼情報は、分析施設端末4から送信されてもよい。また、依頼部212は、分析依頼情報を受け付けた際に、分析施設端末4に通知を送信してもよい。分析施設では分析依頼を受けると、この分析依頼に基づき、生産者より送られた商品及び/又は商品の育成環境に関するサンプルの分析が行われる。分析施設端末4は、商品の分析結果を含む分析情報を情報提供装置2に送信する(S401)。分析情報登録部213は、分析施設で行われた分析に関する分析情報を受け付け、分析依頼情報と紐づけて記憶する(S204)。分析施設端末4における分析情報の登録は、分析情報を登録するための分析情報登録画面を介して行われてもよい。
【0058】
分析情報登録画面を介して分析情報が登録されると、ハッシュ生成部214は、分析情報からハッシュ情報を生成し、ブロックチェーンに格納する(S205)。本実施形態において、ハッシュ情報は商品の分析結果から生成した分析結果ハッシュ情報と分析情報のデータベースのレコードから生成したDBハッシュ情報を含む。分析情報に関するデータとしてハッシュ情報がブロックチェーンに格納されるが、分析情報がブロックチェーンに格納されてもよい。トークン生成部215は、分析情報に対応するトークンを生成し、ブロックチェーンに格納する(S206)。閲覧者端末6は、商品に付与されたラベルを読み取ることで当該商品に関する情報提供要求を情報提供装置2に送信する(S601)。提供部216は、情報提供要求を受け付け(S207)、要求された商品情報と育成記録と分析情報とを送信する(S208)。閲覧者端末6は、情報提供装置2から送信された情報を受け付け、表示する(S602)。本実施形態において、情報提供要求は商品に付与されたラベルを閲覧者端末6を介して読み取ることで送信されるが、閲覧者がインターネット上で商品を購入する際に、購入される商品の商品情報等の情報提供要求を送信し、商品情報を含む商品に関する情報を閲覧可能としてもよい。また、ラベルとして商品又は製品に付与される情報提供要求情報は、本実施形態ではQRコード(登録商標)の形で付与され、商品ID及び情報提供要求を送信するための情報を含む。
【0059】
図10に製品情報登録に関する処理のフローチャートを示す。工場端末5は、製品の原材料である商品の商品名、商品の量及び、発注先(生産者)を情報提供装置2に送信することで、発注情報を記憶部DBに記憶する。生産者端末3は、発注情報を参照し、発注情報に含まれる商品の商品IDに基づき納品用のラベルを発行する。なお、工場端末5は、生産者側で発注する商品を特定できればよく、生産者端末3に対して電子メールなどで発注情報を送信する構成であってもよい。納品用のラベルは、商品に貼付され、加工工場に納品される。工場端末5は、製品の原材料である商品とともに送られた納品用のラベルを読み取ることで商品IDを含む商品情報を取得し、製品情報登録要求を送信する(S501)。納品用のラベルは、製品情報登録要求を送信するための情報と、納品された商品の商品IDを含む商品情報と、を含む情報を工場端末5を介して読み取り可能なラベルである。情報提供装置2は、工場端末5からの製品情報登録要求を受け付けて(S211)、製品情報登録画面を表示処理する(S212)。工場端末5は、表示された製品情報登録画面を表示し(S502)、製品情報登録画面を介して入力された製品情報を情報提供装置2に送信する(S503)。製品情報登録部217は、工場端末5から送信される製品情報を受け付けて、製品の原材料となった商品の商品情報と紐づけて記憶する(S213)。製品が複数の商品を原材料とする場合など製品が複数の商品と関係するときは、製品情報と紐づく商品情報は複数であってもよい。工場端末5における製品情報の登録は、製品の原材料である商品の商品情報及び育成記録の登録の後に行われる。
【0060】
本実施形態において、記憶部203に記憶された商品情報と育成記録とは書き換えが可能であり、情報提供装置2は生産者端末3から更新要求を受け付けると情報を書き換えて記憶する。また、記憶部203は、工場端末5から更新要求を受け付け、製品情報を書き換え可能としてもよい。
【0061】
また本実施形態において、閲覧者による情報提供要求は、閲覧者端末6を介して商品又は製品に付されるラベルを読み取ることで送信される。提供部216は、情報提供要求を受け付け、閲覧者端末6に商品情報を含む要求された情報を提供する。閲覧者端末6に提供されるデータは閲覧用のデータであり、商品情報と育成記録と分析情報と製品情報とから生成される。この閲覧用のデータは、情報提供に前もって生成されても、情報提供要求を受けた時に生成されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 情報提供システム
2 情報提供装置
3 生産者端末
4 分析施設端末
5 工場端末
6 閲覧者端末
7 ブロックチェーンネットワークシステム
203 記憶部
211 生産情報登録部
212 依頼部
213 分析情報登録部
214 ハッシュ生成部
215 トークン生成部
216 提供部
217 製品情報登録部
DB データベース