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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066216
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】変圧器
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/02 20060101AFI20240508BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20240508BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01F29/02 R
H01F29/02 N
H01F29/02 W
H01F30/10 C
H01F30/10 H
H01F27/32 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175645
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩平
【テーマコード(参考)】
5E044
【Fターム(参考)】
5E044CA08
5E044CB10
(57)【要約】
【課題】2種類の受電電圧の切換えを可能としたものであって、切換える受電電圧の比率に関しての自由度を高め、しかも比較的簡単な構成で済ませる。
【解決手段】実施形態の変圧器は、鉄心に巻装された一次巻線と二次巻線とを備え、前記一次巻線の受電電圧の切換えを可能としたものであって、前記一次巻線は、第1のコイルと、第2のコイルと、タップコイルからなる第3のコイルとを含んで構成され、前記第1のコイル、第2のコイル、第3のコイルの巻数比は、1:1:nとされていると共に、前記第1のコイル及び第2のコイルは、軸方向に並べて配置され、前記第3のコイルは、前記第1及び第2のコイルの外周側に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心に巻装された一次巻線と二次巻線とを備え、前記一次巻線の受電電圧の切換えを可能とした変圧器であって、
前記一次巻線は、第1のコイルと、第2のコイルと、タップコイルからなる第3のコイルとを含んで構成され、
前記第1のコイル、第2のコイル、第3のコイルの巻数比は、1:1:nとされていると共に、
前記第1のコイル及び第2のコイルは、軸方向に並べて配置され、前記第3のコイルは、前記第1及び第2のコイルの外周側に配置されている変圧器。
【請求項2】
前記一次巻線においては、前記第1のコイル、第2のコイル、第3のコイルを直列に接続した第1の電圧に対応した第1接続状態と、
前記第1のコイルと第2のコイルを並列接続しそれに前記第3のコイルを直列接続した第2の電圧に対応した第2接続状態との切換がなされる請求項1記載の変圧器。
【請求項3】
前記第1のコイル、第2のコイル、第3のコイルの巻数比は、1:1:1とされ、前記第1の電圧と第2の電圧との比が、3:2とされている請求項2記載の変圧器。
【請求項4】
前記第3のコイルの外層部には、タップ切換用のタップ端子が設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の変圧器。
【請求項5】
前記一次巻線においては、前記第1のコイル及び第2のコイルの外周部と、前記第3のコイルの内周部との間に、絶縁流体が流れるダクトが設けられている請求項1記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一次巻線の受電電圧の切換えを可能とした変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば高電圧受変電設備に設けられる変圧器には、所定の二次電圧を得られるものであって、一次巻線の受電電圧を、2:1に切換える、例えば6kVと3kVとの間で切換えることを可能としたものが供されている。この種の変圧器は、鉄心に、低圧側の二次巻線を巻装し、その二次巻線の外周側に高圧側の一次巻線を巻装して構成されている。このとき、一次巻線は、同等の巻数とされた第1のコイルと、第2のコイルとを、軸方向に並べて配置し、それらの直列接続と並列接続との切換えにより、受電電圧を選択することができるようになっていた。
【0003】
これに対し、近年、受電電圧を3:2に切換える、例えば3kVと2kVとの間での切換えを可能とする変圧器が要望されてきており、それに対応する構成が考えられている(例えば、特許文献1参照)。この変圧器では、高圧側巻線において、巻線本体1、巻線本体2、タップ巻線の3個の巻線が軸方向に並んで配置されている。そして、巻線本体1、巻線本体2、タップ巻線を直列接続した場合と、巻線本体1、巻線本体2を並列接続し、それにタップ巻線を直列接続した場合との間で、受電電圧を3:2の切換えが可能となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-77213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、3つの巻線を軸方向に並べて配置するものでは、軸方向の寸法を長くする必要があり、径方向に対して軸方向の寸法が伸びたバランスの悪い巻線構成となってしまう。また、軸方向にしか巻線を増やせないことから、各巻線の巻数を増やすことが難しく、3:2の比率以外の任意の受電電圧比を得ることは難しかった。
【0006】
そこで、2種類の受電電圧の切換えを可能としたものであって、切換える受電電圧の比率に関しての自由度を高めることができ、しかも比較的簡単な構成で済ませることができる変圧器を提供する
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の変圧器は、鉄心に巻装された一次巻線と二次巻線とを備え、前記一次巻線の受電電圧の切換えを可能としたものであって、前記一次巻線は、第1のコイルと、第2のコイルと、タップコイルからなる第3のコイルとを含んで構成され、前記第1のコイル、第2のコイル、第3のコイルの巻数比は、1:1:nとされていると共に、前記第1のコイル及び第2のコイルは、軸方向に並べて配置され、前記第3のコイルは、前記第1及び第2のコイルの外周側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態を示すもので、変圧器の一相分の巻線の構成を概略的に示す図
図2】一相分の一次巻線の構成を模式的に示す図
図3】第1接続状態における接続状態を示す図
図4】第2接続状態における接続状態を示す図
図5】三相のコイルの接続構造を模式的に示す図
図6】一次電圧切替台及びタップ切換器の接続状態の一覧を示す図
図7】第2の実施形態を示すもので、一相分の一次巻線の構成を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)第1の実施形態
以下、例えば高圧受変電設備に設けられる三相の油入変圧器に適用した第1の実施形態について、図1から図6を参照しながら説明する。尚、本実施形態では、例えば公称電圧3.3kV/2.2kVの間での切換えを可能とした場合を具体例としている。まず、本実施形態に係る変圧器の全体構成について簡単に述べる。
【0010】
詳しく図示はしないが、前記変圧器は、矩形箱状をなすタンクの内部に、変圧器本体を収容して構成されている。前記変圧器本体は、例えば上下の継鉄部間に3本の脚部4(一部のみ図示)を有する鉄心に、U相、V相、W相の3相の巻線5を前記各脚部4に巻装して構成されている。前記巻線5の詳細については後述する。また、これも後述するように、この変圧器には、受電電圧を選択するための一次電圧切換装置、一次側の受電電圧変動を調整するためのタップ切換器等も設けられている。尚、図示はしないが、前記タンク2内には、絶縁及び冷却用の絶縁流体としての絶縁油が収容されるようになっている。
【0011】
ここで、前記巻線5について、図1図4等も参照して述べる。尚、3個の巻線5は、同等の構成を備えるので、図1図4等では、例えばU相の巻線5を代表させて図示している。また、図1図4等では、上下方向を巻線5の軸方向として図示している。図1等に示すように、前記巻線5は、内周側に位置する低圧側の二次巻線8と、外周側に位置する高圧側の一次巻線9とを有し、全体として筒状に構成されている。このとき、二次巻線8と一次巻線9との間には、一次巻線~二次巻線間の主絶縁間隙部ダクト10が軸方向に設けられている。
【0012】
本実施形態では、前記一次巻線9は、以下のように構成されている。即ち、図1に示すように、一次巻線9は、第1のコイル11と、第2のコイル12と、タップコイルからなる第3のコイル13とを含んで構成される。このとき、第1のコイル11、第2のコイル12、第3のコイル13の巻数比は、1:1:nとされるのであるが、本実施形態では、同等の巻数、即ち、1:1:1とされている。
【0013】
そして、前記第1のコイル11及び第2のコイル12は、巻線5の軸方向に並べて配置し、前記第3のコイル13は、それら第1及び第2のコイル11及び12の外周側に配置されている。このとき、第1のコイル11と、第2のコイル12との間には、絶縁物14が配置されている。また、第1のコイル11及び第2のコイル12と、第3のコイル13との間には、絶縁油が流通するダクト15が軸方向に延びて設けられている。
【0014】
より詳細には、図2等に示すように、前記第1のコイル11は、最内層上部の巻始め端子から、4層に巻回され、上部の巻終り端子につながっている。図5では、巻始め端子の端子番号が1、巻終り端子の端子番号が2とされている。同様に、前記第2のコイル12は、最内層下部の巻始め端子から、4層に巻回され、下部の巻終り端子につながっている。図5では、巻始め端子の端子番号が3、巻終り端子の端子番号が4とされている。図5に示すように、第2のコイル12の端子番号4の巻終り端子は、第3のコイル13の巻始め端子に接続される。
【0015】
図2等に示すように、前記第3のコイル13は、最内層上部の巻始め端子から、3層に巻回され、、第3層の外側に、絶縁物16を介して、最外巻回層13aを有している。最外巻回層13aの上部が第3のコイル13の巻終り端子とされている。
【0016】
この第3のコイル13においては、前記第3層の途中部から、端子番号5のタップ端子及び端子番号6のタップ端子が順に引出されており、第3層の巻終り端部が端子番号7のタップ端子とされている。最外巻回層13aの巻始めが端子番号8のタップ端子とされ、最外巻回層13aの途中部からは、端子番号9のタップ端子及び端子番号10のタップ端子が順に引出されている。以上により、第3のコイル13の外層部には、タップ電圧切換用のタップ端子が設けられ、これらタップ端子が、前記タップ切換器の各端子に接続されるようになっている。
【0017】
このとき、図5に示すように、V相及びW相の一次巻線9についても、U相の一次巻線9と同等の構成を備え、U相において端子番号1~10とされた端子が、V相の一次巻線9においては、端子番号が夫々11~20とされ、W相においては、端子番号が夫々21~30とされている。U、V、W相の3相の巻線5においては、一次巻線9同士が例えばΔ結線されている。また、U、V、W相の3相の巻線5においては、二次巻線8同士が例えばY結線されている。
【0018】
これにて、図5に示すように、U相の一次巻線9の第3のコイル13の巻終り端子が、V相の一次巻線9の端子番号11の巻始め端子に接続され、V相の一次巻線9の第3のコイル13の巻終り端子が、W相の一次巻線9の端子番号21の巻始め端子に接続され、W相の一次巻線9の第3のコイル13の巻終り端子が、U相の一次巻線9の端子番号1の巻始め端子に接続されている。尚、前記端子番号1~4、11~14、21~24の端子は、前記一次電圧切換装置の各端子にも接続されている。
【0019】
さて、本実施形態では、前記一次電圧切換装置により、前記一次巻線9における、第1の電圧に対応した第1接続状態(図3参照)と、第2の電圧に対応した第2接続状態(図4参照)との切換がなされる。第1接続状態では、図3に示すように、前記第1のコイル11、第2のコイル12、第3のコイル13が直列に接続される。第2接続状態では、図4に示すように、前記第1のコイル11と第2のコイル12が並列接続され、それに前記第3のコイル13が直列接続される。前記第1の電圧と第2の電圧との比は、3:2とされ、具体的には、受電電圧が3.3kVと2.2kVとの間での切換えがなされる。
【0020】
このとき、図示はしないが、前記一次電圧切換装置は、端子台に、端子と、各端子に設けられたナット、切換片などを備え、各端子は、前記端子番号1~4、11~14、21~24の端子に接続されている。そして、前記切換片の接続位置を切換えることにより、上記第1接続状態と第2接続状態との切換えを行うように構成されている。この場合、図6に接続状態の一覧を示すように、受電電圧が3.3kVの場合には、端子番号2?3間、12?13間、22?23間での端子間の接続がなされる。受電電圧が2.2kVの場合には、端子番号1?3間、2?4間、11?13間、12?14間、21?23間、22?24間での端子間の接続がなされる。
【0021】
また、前記タップ切換器により、一次側の受電電圧の変動があっても、電圧調整この場合5段階のタップ電圧の切換えが可能に構成されている。詳しく図示はしないが、このタップ切換器は、U、V、Wの各相に対応して6個ずつの端子が設けられている端子板、各端子の接続状態を切換えるための切換片、前記切換片を変位させるための前記タンク2の外壁部に設けられた操作部等の周知構成を備えている。
【0022】
前記端子板の各端子には、U相の一次巻線9の第3のコイル13の端子番号5~10のタップ端子、V相の一次巻線9の第3のコイル13の端子番号15~20のタップ端子、W相の一次巻線9の第3のコイル13の端子番号25~30のタップ端子が夫々接続されている。そして、前記操作部の操作により、切換片の位置つまり各端子の接続状態を5段階に切換え可能に構成されている。図示はしないが、操作部には、例えば回転操作可能なハンドルが設けられ、1~5の指示番号のいずれかハンドルを移動させることで、タップ切換えが行われるように構成されている。
【0023】
具体的には、図6に示すように、受電電圧が3.3kVの場合には、指示番号1にハンドルが操作されると、端子番号7?8間、17?18間、27?28間において各端子18aが接続されて、タップ電圧がF3375Vとなる。指示番号2にハンドルが操作されると、端子番号6?8間、16?18間、26?28間において各端子18が接続されて、タップ電圧がR3300Vとなる。
【0024】
以下、指示番号3、4、5においても、図示のように端子間の接続が切換えられ、タップ電圧が、夫々F3225V、F3150V、3075Vに切換えられる。受電電圧が2.2kVの場合にも、同様に、指示番号1、2、3、4、5にハンドルが操作されると、タップ電圧が、夫々F2275V、R2200V、F2125V、F2050V、1975Vに切換えられる。
【0025】
次に、上記構成の変圧器1の作用について、図3及び図4も参照しながら述べる。上記構成の変圧器1においては、一次巻線9は、第1のコイル11と、第2のコイル12と、タップコイルからなる第3のコイル13とを含んで構成されている。前記第1のコイル11及び第2のコイル12は、軸方向に並べて配置され、前記第3のコイル13は、前記第1及び第2のコイル11及び12の外周側に配置されている。そして、前記第1のコイル11、第2のコイル12、第3のコイル13の巻数比は、1:1:n、本実施形態では、nの値は約1とされている。
【0026】
これにより、巻数が同等(巻数比が1:1)とされた第1のコイル11及び第2のコイル12が、軸方向に並べて配置され、それらの外周側に巻数がn倍の第3のコイル13が配置されるので、3つのコイルを軸方向に並べて配置する場合と異なり、一次巻線9全体としての機械的な強度を確保することができる。第3のコイル13の巻数を比較的大きくすることも可能となる。このとき、巻数比が1:1:nとされた第1~第3の3つのコイル11~13の接続の態様の切替えにより、一次巻線9の受電電圧の切換えが、2:1の切換え以外にも可能となる。
【0027】
このとき、一次巻線9の全体の巻数が変更されることにより、二次巻線8の出力電圧を所定値例えば200Vとしながら、受電電圧の変更に対応することが可能となる。上記構成の一次巻線9の第1接続状態では、全体の巻数が(1+1+n)となり、第2接続状態では、一次巻線9の全体の巻数が(1+n)となる。nの値により、切換える受電電圧の比率の変更が可能となる。本実施形態では、nを1にしたので、受電電圧の3:2の切換えが可能となった。
【0028】
即ち、本実施形態の変圧器1においては、受電電圧即ち一次巻線9に供給される電圧が、例えば3.3kVと2.2kVとの間で切換え可能とされる。この場合、上記したように、一次電圧切換装置の操作により、受電電圧が3.3kVの場合には、第1のコイル11、第2のコイル12、第3のコイル13を直列に接続した第1接続状態とされ、受電電圧が2.2KVの場合には、第1のコイル11と第2のコイル12を並列接続しそれに第3のコイル13を直列接続した第2接続状態とされる。
【0029】
このように、第1~第3の3つのコイル11~13を備える一次巻線9の新規な構成を採用し、一次電圧切換装置によりそれらコイル11~13の接続の態様を切換えることにより、一次巻線9の受電電圧の切換えが可能となる。このとき、第1のコイル11、第2のコイル12、第3のコイル13の巻数比を、1:1:1としたことにより、受電電圧の3:2の比、この場合3.3kVと2.2kVとの間での切換えが可能となった。受電電圧の3:2の切換えの態様としては、例えば6kVと4kVとの間での切換え等も可能である。
【0030】
以上のように、本実施形態の変圧器1によれば、一次巻線9を、第1のコイル11と、第2のコイル12と、タップコイルからなる第3のコイル13とを含んで構成し、前記第1のコイル11、第2のコイル12、第3のコイル13の巻数比を、1:1:nとすると共に、第1のコイル11及び第2のコイル12を、軸方向に並べて配置し、前記第3のコイル13を、第1及び第2のコイル11及び12の外周側に配置した。
【0031】
また本実施形態では、第1のコイル11、第2のコイル12、第3のコイル13を直列に接続した第1の電圧に対応した第1接続状態と、第1のコイル11と第2のコイル12を並列接続しそれに第3のコイル13を直列接続した第2の電圧に対応した第2接続状態との切換がなされるように構成した。これにより、上記nの値を1にすると、受電電圧の3:2の切換えが可能となり、nの値を2にすると、受電電圧の4:3の切換えが可能となる。更には、nの値を0.5にすると、2.5:1.5=5:3にすることができる等、切換える受電電圧の比率に関しての自由度を高めることができる。
【0032】
更に本実施形態では、一次巻線9においては、第1のコイル11及び第2のコイル12の外周部と、第3のコイル13の内周部との間に、絶縁油が流れるダクト15を設ける構成とした。これにより、一次巻線9の各コイル11~13間での、特に巻始め部分における絶縁性を高くする必要があるが、第1のコイル11及び第2のコイル12の外周部と、第3のコイル13の内周部との間に設けられたダクト15によって、より良好な絶縁性を確保することができる。
【0033】
(2)第2の実施形態、その他の実施形態
図7は、第2の実施形態に係る変圧器の巻線における、一相分即ちU相の一次巻線30の構成を模式的に示している。この第2の実施形態が、上記第1の実施形態と異なる点は、一次巻線30の受電電圧を、4:3に切換える、例えば公称電圧4.4kV/3.3kVの切換えを可能とした構成にある。
【0034】
一次巻線30は、第1のコイル31と、第2のコイル32と、タップコイルからなる第3のコイル33とを含んで構成される。前記第1のコイル31及び第2のコイル32は、巻線の軸方向つまり鉄心4の脚部の延びる方向に対し、並べて配置され、前記第3のコイル33は、それら第1及び第2のコイル31及び32の外周側に配置されている。このとき、第1のコイル31、第2のコイル32、第3のコイル33の巻数比は、1:1:2とされている。
【0035】
尚、上記2つの実施形態では、受電電圧を、3:2及び4:3に切換える場合を例示したが、例えば、nを3にすると5:4にすることができ、また、nを0.5にすると、2.5:1.5=5:3にすることができる等、受電電圧の切換えの比率を自在に設定することが可能となる。さらに、上記した各実施形態における、各コイルの巻数、電圧やタップ電圧などの具体的数値についても、一例を挙げたに過ぎず、さまざまな変更が可能である。その他、上記各実施形態では、油入変圧器に適用したが、ガス絶縁変圧器やモールド変圧器等に適用することも可能である。単相の変圧器にも適用することができる。
【0036】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
図面中、4は鉄心、5は巻線、8は二次巻線、9、30は一次巻線、11、31は第1のコイル、12、32は第2のコイル、13、33は第3のコイル、14は絶縁物、15はダクトを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7