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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066221
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ガス供給システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240508BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240508BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G1/04 551A
H01L21/68 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175653
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西川 直
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022EE05
3F022JJ08
3F022MM15
3F022NN48
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA01
5F131BA13
5F131BA17
5F131BB12
5F131DA22
5F131DA34
5F131DC06
5F131DC26
5F131DD02
5F131DD13
5F131DD23
5F131DD43
5F131DD59
5F131DD67
5F131DD72
5F131DD75
5F131DD95
5F131GA13
5F131GA92
5F131JA04
5F131JA15
5F131JA16
5F131KA22
5F131KA56
5F131KB16
(57)【要約】
【課題】搬送車によって搬送されている途中の容器に不活性ガスを供給することが可能なガス供給システムを実現する。
【解決手段】ガス供給システムは、搬送車1に不活性ガスを供給するガス供給車2を備えている。搬送車1は、ガス供給車2からの不活性ガスの供給を受ける被供給部14と、被供給部14に供給された活性ガスを容器8に供給する第1供給装置S1と、を備えている。ガス供給車2は、走行経路Rを走行可能に構成され、不活性ガスが充填されたガスタンク7を着脱可能に保持する保持部23と、被供給部14に対する接続及び分離が可能に構成された供給部24と、保持部23に保持されたガスタンク7から供給部24に不活性ガスを供給する第2供給装置S2と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定の走行経路に沿って走行して容器を搬送する搬送車を備え、前記容器の内部に不活性ガスを供給するためのガス供給システムであって、
前記搬送車に前記不活性ガスを供給するガス供給車を備え、
前記搬送車は、前記ガス供給車からの前記不活性ガスの供給を受ける被供給部と、前記被供給部に供給された前記不活性ガスを前記容器に供給する第1供給装置と、を備え、
前記ガス供給車は、前記走行経路を走行可能に構成され、
前記ガス供給車は、前記不活性ガスが充填されたガスタンクを着脱可能に保持する保持部と、前記被供給部に対する接続及び分離が可能に構成された供給部と、前記保持部に保持された前記ガスタンクから前記供給部に前記不活性ガスを供給する第2供給装置と、を備える、ガス供給システム。
【請求項2】
前記保持部が前記ガスタンクを保持していない非保持状態から前記ガスタンクを保持した保持状態に変化することに伴って、前記第2供給装置が前記保持部に保持された前記ガスタンクに接続される、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
前記走行経路に沿う方向を走行方向とし、前記走行方向の一方側を走行方向第1側とし、前記走行方向の他方側を走行方向第2側として、
前記供給部は前記ガス供給車の車体から前記走行方向第1側に突出するように配置され、
前記被供給部は前記搬送車の車体から前記走行方向第2側に突出するように配置され、
前記供給部と前記被供給部との少なくとも一方に電磁石が設けられ、
前記電磁石に対する通電の有無によって前記供給部と前記被供給部との接続及び分離が制御される、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項4】
前記ガス供給車は、対象となる前記搬送車である対象搬送車との距離を一定に保つように前記対象搬送車に追従して走行する追従走行を実行するように構成され、
前記第2供給装置は、可撓性を有するガス管を備え、
前記ガス管は、前記ガス供給車の車体から前記走行方向第1側に向かって延出するように配置されていると共に、端部に前記供給部が取り付けられている、請求項3に記載のガス供給システム。
【請求項5】
前記ガス管は、回転体に巻回されており、前記ガス供給車と前記搬送車との車間距離に応じて繰り出され又は巻き取られるように構成されている、請求項4に記載のガス供給システム。
【請求項6】
前記ガスタンクを保管するガスタンク保管庫を備え、
前記ガス供給車は、前記ガス供給車の車体と前記ガスタンク保管庫との間で前記ガスタンクの移載を行う移載装置を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のガス供給システム。
【請求項7】
前記ガス供給車は、前記ガスタンク内の前記不活性ガスの残量を計測する残量計測器を備え、
前記ガス供給車は、前記残量計測器による計測結果に基づいて、前記ガスタンク保管庫に移動し、前記ガスタンク保管庫において、使用済みの前記ガスタンクと前記不活性ガスが充填された前記ガスタンクとを交換する、請求項6に記載のガス供給システム。
【請求項8】
前記ガスタンク保管庫は、前記ガスタンクに前記不活性ガスを充填するガス充填装置を備え、
前記ガス充填装置は、前記ガス供給車から受け取った使用済みの前記ガスタンクに前記不活性ガスを充填する、請求項6に記載のガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定の走行経路に沿って走行して容器を搬送する搬送車を備え、前記容器の内部に不活性ガスを供給するためのガス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造工場などでは、半導体ウェハやガラス基板が、専用の容器に収容された状態で搬送車によって搬送される。容器内には、半導体ウェハ等の酸化抑制や半導体ウェハ等に対する塵埃の付着防止等のために、不活性ガスがパージガスとして注入されている。このような技術が、例えば特開2016-021429号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-021429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の分野では、特許文献1にも開示されているように、容器の保管、及び、保管されている容器への不活性ガスの供給を行うパージストッカが用いられることが多い。しかしながら、容器内へ不活性ガスを供給するためには、搬送車が、対象の容器をパージストッカまで搬送しなければならない。また、不活性ガスの供給は、容器がパージストッカ内に保管されている間にしかすることができない。
【0005】
上記実情に鑑みて、搬送車によって搬送されている途中の容器に不活性ガスを供給することが可能なガス供給システムの実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
規定の走行経路に沿って走行して容器を搬送する搬送車を備え、前記容器の内部に不活性ガスを供給するためのガス供給システムであって、
前記搬送車に前記不活性ガスを供給するガス供給車を備え、
前記搬送車は、前記ガス供給車からの前記不活性ガスの供給を受ける被供給部と、前記被供給部に供給された前記不活性ガスを前記容器に供給する第1供給装置と、を備え、
前記ガス供給車は、前記走行経路を走行可能に構成され、
前記ガス供給車は、前記不活性ガスが充填されたガスタンクを着脱可能に保持する保持部と、前記被供給部に対する接続及び分離が可能に構成された供給部と、前記保持部に保持された前記ガスタンクから前記供給部に前記不活性ガスを供給する第2供給装置と、を備える。
【0007】
本構成によれば、供給部を被供給部に接続することで、ガス供給車が保持するガスタンクから搬送車が搬送している容器に不活性ガスを供給することができる。この際、ガス供給車は、搬送車と同じ走行経路を走行可能であるため、搬送車が走行中であるか走行停止中であるかに関わらず容器に不活性ガスを供給することができる。また本構成によれば、ガス供給車はガスタンクを着脱可能に保持するため、ガスタンクを容易に交換可能である。従って、ガス供給車が搬送車と同じ走行経路を走行可能な構成としつつ、当該ガス供給車により供給できる不活性ガスの量も多く確保し易い。以上のように、本構成によれば、搬送車によって搬送されている途中の容器に不活性ガスを供給することが可能なガス供給システムを実現できる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ガス供給システムを用いた搬送設備の平面図
図2】搬送車とガス供給車とを示す側面図
図3】制御ブロック図
図4】供給部と被供給部との接続及び分離を示す説明図
図5】ガスタンク保管庫でのガスタンクの交換を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
ガス供給システムは、規定の走行経路に沿って走行して容器を搬送する搬送車を備え、容器の内部に不活性ガスを供給するためのシステムである。以下、ガス供給システムが搬送設備に用いられる場合を例示して、ガス供給システムの実施形態について説明する。
【0011】
図1及び図2に示すように、搬送設備100は、規定の走行経路Rと、走行経路Rを走行して容器8を搬送する搬送車1と、走行経路Rに沿って設けられた複数の移載対象箇所9と、を備えている。
【0012】
走行経路Rは、床面から上方に離間した位置に設定されている。本例では、走行経路Rは、天井付近に設けられたレールRaを用いて構成されている。搬送車1は、いわゆる天井搬送車として構成されており、レールRaに沿って走行する。移載対象箇所9は、走行経路Rよりも下方に配置されている。搬送車1は、容器8を昇降させることにより、移載対象箇所9との間で容器8を移載するように構成されている。
【0013】
本実施形態では、搬送設備100は、搬送車1を複数備えている。複数の搬送車1のそれぞれは、設備を統括管理する上位制御装置Ct(図3参照)から搬送指令を受けて、当該搬送指令に応じたタスクを実行するように構成されている。例えば搬送指令には、容器8の搬送元と搬送先との情報が含まれる。搬送指令を受けた搬送車1は、搬送元から搬送先まで容器8を搬送する。搬送元や搬送先には、移載対象箇所9が含まれる。
【0014】
搬送設備100で取り扱われる容器8としては、様々なものがある。本例では、搬送設備100は、半導体製造工場に用いられる。そのため、容器8は、半導体ウェハやガラス基板などの被収容物を収容するように構成されている。搬送車1は、これらの被収容物を収容した容器8を、走行経路Rに沿って各工程間に亘って搬送する。
【0015】
本実施形態では、移載対象箇所9は、容器8に対する処理を行う処理装置90と、処理装置90に隣接して配置された載置台91と、を備えている。本明細書において「容器8に対する処理」とは、容器8に収容された被収容物(半導体ウェハやガラス基板)に対する処理を意味する。搬送車1は、処理装置90による処理を終えた容器8を載置台91から受け取り、又は、処理装置90による処理が済んでいない容器8を載置台91に引き渡す。なお、処理装置90は、例えば、薄膜形成、フォトリソグラフィー、エッチングなどの種々の処理を行う。
【0016】
図2に示すように、搬送車1は、車体16を備えている。車体16は、支持部10と、走行部11と、を備えている。搬送車1は、更に、昇降部12と、容器保持部13と、を備えている。昇降部12及び容器保持部13は、車体16(ここでは、支持部10)に支持されている。
【0017】
支持部10は、容器8を支持するように構成されている。本実施形態では、支持部10は、容器保持部13により容器8を保持することで、当該容器8を支持する。また、本実施形態では、支持部10は、容器8を収容するように構成されている。すなわち支持部10は、容器8を収容するための収容部としての機能を有している。搬送車1は、容器8を搬送する場合には、支持部10に容器8を収容した状態で走行経路Rに沿って走行する。本実施形態では、支持部10は、レールRaの下側に配置されている。
【0018】
走行部11は、走行経路Rに沿って走行するように構成されている。走行部11は、レールRaに沿って走行する。本実施形態では、走行部11は、レールRaの上側に配置されており、レールRaの下側に配置された支持部10と連結されている。詳細な図示は省略するが、走行部11は、複数の車輪と、複数の車輪のうち少なくとも一部を駆動する駆動源(例えば電動モータなど)と、を備えている。
【0019】
昇降部12は、車体16(ここでは支持部10。以下同じ。)と、車体16よりも下方に配置された移載対象箇所9(図1参照)と、の間で容器保持部13を昇降させるように構成されている。これにより、搬送車1は、移載対象箇所9の載置台91との間で容器8を移載可能となっている。詳細な説明は省略するが、昇降部12は、容器保持部13に連結された昇降ベルトと、昇降ベルトを巻き取り及び繰り出し可能に構成された昇降駆動部と、を備えている。
【0020】
容器保持部13は、容器8を保持するように構成されている。容器保持部13は、昇降部12によって、車体16と移載対象箇所9との間で昇降するように構成されている。
【0021】
本実施形態では、容器8は、容器本体80と、容器本体80の上面から上方に突出する被保持部81と、を備えている。容器保持部13は、容器8における被保持部81を保持するように構成されている。本例では、容器8の被保持部81は、フランジ状に形成されている。容器保持部13は、フランジ状の被保持部81を水平方向の両側から挟み込むようにして容器8を保持する。
【0022】
本実施形態では、容器保持部13は、保持本体部13aと、保持本体部13aから下方に突出する一対の保持爪13bと、を備えている。本例では、一対の保持爪13bは、互いに接近又は離間するように動作する。一対の保持爪13bは、互いに接近するように動作することで容器8を保持し、互いに離間するように動作することで上記保持を解除する。なお、保持本体部13aは、昇降部12の昇降ベルトに連結されている。昇降ベルトが巻き取られることによって保持本体部13aは上昇する。昇降ベルトが繰り出されることによって保持本体部13aは下降する。
【0023】
本実施形態では、搬送車1は、車体16からの容器8の落下を規制する落下規制部15を備えている。落下規制部15は、容器保持部13に保持された状態で支持部10に収容された容器8の落下を規制する。
【0024】
落下規制部15は、支持部10に連結されており、支持部10に対して出退自在に構成されている。落下規制部15は、支持部10から突出した状態において、支持部10に収容された容器8に対して下方から対向する位置に配置される。これにより、仮に、支持部10内において容器8が容器保持部13から外れた場合であっても、突出状態の落下規制部15によって容器8の落下を規制することができる。また、落下規制部15は、引退した状態において、昇降部12による容器保持部13及び容器8の昇降軌跡から外れる。これにより、落下規制部15が、昇降部12による容器保持部13及び容器8の昇降の妨げとならないようにできる。
【0025】
ここで、このような半導体製造工場では、容器内に収容された被収容物(半導体ウェハやガラス基板など)の酸化抑制や、被収容物に対する塵埃の付着防止等のために、窒素ガスなどの不活性ガスを容器内に供給することが一般的である。従来では、容器内への不活性ガスの供給は、専用のパージストッカにおいて容器が保管されている間に行われることが多かった。本開示に係るガス供給システムは、そのようなパージストッカを用いることなく、容器内への不活性ガスの供給を可能としている。以下、詳細に説明する。
【0026】
以下では、走行経路Rに沿う方向を「走行方向X」とする。また、走行方向Xの一方側を「走行方向第1側X1」とし、走行方向Xの他方側を「走行方向第2側X2」とする。本実施形態では、走行方向第1側X1は、走行方向Xにおける前側である。走行方向第2側X2は、走行方向Xにおける後側である。
【0027】
図2に示すように、ガス供給システムは、搬送車1に不活性ガスを供給するガス供給車2を備えている。ガス供給車2は、走行経路Rを走行可能に構成されている。ガス供給システムは、ガス供給車2を用いることによって、走行経路Rに存在する搬送車1が保持している容器8に不活性ガスを供給する。本例では、ガス供給車2は、天井付近に設けられたレールRaに沿って走行するいわゆる天井走行車として構成されている。
【0028】
搬送車1は、ガス供給車2からの不活性ガスの供給を受ける被供給部14と、被供給部14に供給された不活性ガスを容器8に供給する第1供給装置S1と、を備えている。
【0029】
本実施形態では、被供給部14は搬送車1の車体16から走行方向第2側X2に突出するように配置されている。ここでは、被供給部14は、支持部10から走行方向第2側X2に突出するように配置されている。上述のように本例では、走行方向第2側X2は、走行方向Xの後側である。従って、被供給部14は、搬送車1の車体16の後部から後側に突出するように配置されている。被供給部14は、ガス供給車2の供給部24と接続可能に構成されている。なお、被供給部14は、車体16における支持部10とは異なる部分(例えば、走行部11)から走行方向第2側X2に突出するように配置されていてもよい。
【0030】
本実施形態では、第1供給装置S1は、ガス供給車2から供給された不活性ガスが通流する供給管Tsと、容器保持部13に保持された容器8に接続される第1ノズルS1aと、を備えている。詳細な図示は省略するが、本例では、第1供給装置S1は、供給管Tsにおける不活性ガスの流路を開閉自在な電磁弁を備えている。電磁弁の開閉動作は、搬送車1に搭載された搬送車制御装置C1によって制御される。
【0031】
供給管Tsは、被供給部14と第1ノズルS1aとを繋いでいる。換言すれば、供給管Tsにおける一端部が被供給部14に連結されており、供給管Tsにおける他端部が第1ノズルS1aに連結されている。本実施形態では、供給管Tsは、車体16(ここでは、支持部10)の内部を通るように配置されている。本例では、供給管Tsは、支持部10の内部と通ると共に、落下規制部15に沿うように配置されている。そして、供給管Tsの先端に設けられた第1ノズルS1aは、落下規制部15から上方に突出するように配置されている。
【0032】
本実施形態では、搬送車1は、ガス供給車2から不活性ガスの供給を受ける場合には、落下規制部15を突出状態として、当該落下規制部15に容器8を載置する。そして、落下規制部15から上方に突出する第1ノズルS1aが、容器本体80の底部に設けられた差込口80hに挿入される。これにより、搬送車1は、ガス供給車2から不活性ガスの供給を受けることが可能な状態となる。
【0033】
ガス供給車2は、不活性ガスが充填されたガスタンク7を着脱可能に保持する保持部23と、搬送車1の被供給部14に対する接続及び分離が可能に構成された供給部24と、保持部23に保持されたガスタンク7から供給部24に不活性ガスを供給する第2供給装置S2と、を備えている。また、ガス供給車2は、車体26を備えている。車体26は、支持部20と、走行部21と、を備えている。搬送車1は、更に、昇降部22を備えている。昇降部22及び保持部23は、車体26(ここでは、支持部20。以下同じ。)に支持されている。
【0034】
支持部20は、ガスタンク7を支持するように構成されている。本実施形態では、支持部20は、保持部23によりガスタンク7を保持することで、当該ガスタンク7を支持する。本実施形態では、支持部20は、ガスタンク7を収容するように構成されている。すなわち支持部20は、ガスタンク7を収容するための収容部としての機能を有している。ガス供給車2は、ガスタンク7を搬送する場合には、支持部20にガスタンク7を収容した状態で走行経路Rに沿って走行する。本実施形態では、支持部20は、レールRaの下側に配置されている。
【0035】
走行部21は、走行経路Rに沿って走行するように構成されている。走行部21は、レールRaに沿って走行する。本実施形態では、走行部21は、レールRaの上側に配置されており、レールRaの下側に配置された支持部20と連結されている。詳細な図示は省略するが、走行部21は、複数の車輪と、複数の車輪のうち少なくとも一部を駆動する駆動源(例えば電動モータなど)と、を備えている。
【0036】
昇降部22は、保持部23を昇降させるように構成されている。詳細な説明は省略するが、昇降部22は、保持部23に連結された昇降ベルトと、昇降ベルトを巻き取り及び繰り出し可能に構成された昇降駆動部と、を備えている。
【0037】
保持部23は、ガスタンク7を保持するように構成されている。保持部23は、昇降部22によって昇降するように構成されている。
【0038】
本実施形態では、ガスタンク7は、不活性ガス(例えば、圧縮された状態の不活性ガス)が貯留されるタンク本体70と、タンク本体70の上面から上方に突出する被保持部71と、を備えている。保持部23は、ガスタンク7における被保持部71を保持するように構成されている。本例では、ガスタンク7の被保持部71は、フランジ状に形成されている。保持部23は、フランジ状の被保持部71を水平方向の両側から挟み込むようにしてガスタンク7を保持する。
【0039】
本実施形態では、保持部23は、保持本体部23aと、保持本体部23aから下方に突出する一対の保持爪23bと、を備えている。本例では、一対の保持爪23bは、互いに接近又は離間するように動作する。一対の保持爪23bは、互いに接近するように動作することでガスタンク7を保持し、互いに離間するように動作することで前記保持を解除する。なお、保持本体部23aは、昇降部22の昇降ベルトに連結されている。昇降ベルトが巻き取られることによって保持本体部23aは上昇する。昇降ベルトが繰り出されることによって保持本体部23aは下降する。
【0040】
本実施形態では、第2供給装置S2は、ガスタンク7からの不活性ガスが通流するガス管Tgと、保持部23に保持されたガスタンク7に接続される第2ノズルS2aと、を備えている。詳細な図示は省略するが、本例では、第2供給装置S2は、ガス管Tgにおける不活性ガスの流路を遮断自在な電磁弁を備えている。電磁弁の開閉動作は、ガス供給車2に搭載された供給車制御装置C2によって制御される。
【0041】
ガス管Tgは、供給部24と第2ノズルS2aとを繋いでいる。換言すれば、ガス管Tgにおける一端部が供給部24に連結されており、ガス管Tgにおける他端部が第2ノズルS2aに連結されている。
【0042】
本実施形態では、ガス管Tgは、車体26(ここでは、支持部20)の内部を通るように配置されている。また、車体26の内部には、ガス管Tgを通流する不活性ガスの流量を制御する流量制御部25が設けられている。流量制御部25は、いわゆるマスフローコントローラを用いて構成されている。
【0043】
本実施形態では、ガス管Tgは、支持部20に加えて、保持本体部23aの内部を通るように配置されている。ガス管Tgは、保持本体部23aの内部において、第2ノズルS2aに連結されている。
【0044】
本実施形態では、保持部23がガスタンク7を保持していない非保持状態からガスタンク7を保持した保持状態に変化することに伴って、第2供給装置S2が保持部23に保持されたガスタンク7に接続される。
【0045】
本実施形態では、第2ノズルS2aは、保持本体部23aから下方に突出するように設けられている。第2ノズルS2aは、保持部23がガスタンク7を保持していない非保持状態からガスタンク7を保持した保持状態に変化することに伴って、タンク本体70の上部に設けられた差込口70hに挿入される。これにより、第2供給装置S2が、保持部23に保持されたガスタンク7に接続される。
【0046】
本実施形態では、ガス供給車2は、車体26よりも下方に配置されたガスタンク7を受け取るように構成されている(図5も参照)。ガス供給車2がガスタンク7を受け取る場合には、昇降部22によって保持部23を車体26から下降させる。保持部23は、下降することによって受け取り対象のガスタンク7に上方から接近する。保持部23がガスタンク7を保持可能な位置まで下降すると、保持本体部23aから下方に突出する第2ノズルS2aが、タンク本体70の差込口70hに挿入される。そして、ガス供給車2は、一対の保持爪23bによってガスタンク7の被保持部71を保持すると共に、昇降部22によって保持部23を車体26まで上昇させる。これにより、ガス供給車2が図2に示されるような状態となる。
【0047】
本実施形態では、第2供給装置S2は、第2ノズルS2aを下方へ向けて付勢する付勢体S2bを備えている。付勢体S2bは、バネなどの弾性体を用いて構成されている。付勢体S2bが第2ノズルS2aを下方へ向けて付勢していることにより、タンク本体70の差込口70hへの第2ノズルS2aの挿入を適切に行うことができる。本例では、付勢体S2bは、保持本体部23aの内部に設けられている。
【0048】
本実施形態では、供給部24は、ガス供給車2の車体26から走行方向第1側X1に突出するように配置されている。ここでは、供給部24は、支持部20から走行方向第1側X1に突出するように配置されている。上述のように本例では、走行方向第1側X1は、走行方向Xの前側である。従って、供給部24は、ガス供給車2の車体26の前部から前側に突出するように配置されている。供給部24は、搬送車1の被供給部14と接続可能に構成されている。なお、供給部24は、車体26における支持部20とは異なる部分(例えば、走行部21)から走行方向第1側X1に突出するように配置されていてもよい。
【0049】
本実施形態では、供給部24と被供給部14との少なくとも一方に電磁石24aが設けられている。電磁石24aに対する通電の有無によって供給部24と被供給部14との接続及び分離が制御される。本例では、供給部24のみに、電磁石24aが設けられている。被供給部14は、電磁石24aが吸着することが可能に構成されている。被供給部14は、例えば、永久磁石や鉄材などを用いて構成されている。なお、上記とは逆に、被供給部14に電磁石が設けられていてもよい。
【0050】
本実施形態では、ガス管Tgは、可撓性を有する。すなわち本実施形態では、第2供給装置S2は、可撓性を有するガス管Tgを備えている。ガス管Tgは、回転体Mに巻回されており、ガス供給車2と搬送車1との車間距離に応じて繰り出され又は巻き取られるように構成されている。本例では、回転体Mは、電動モータ等の駆動源を用いて構成されており、駆動源が発生する駆動力を用いてガス管Tgを繰り出し又は巻き取る。回転体Mは、車体26の内部に設けられている。なお、ばね等の付勢力によりガス管Tgを巻き取る機構を回転体Mに設け、ガス供給車2と搬送車1との車間距離が長くなる場合には上記付勢力に抗してガス管Tgが回転体Mから繰り出され、ガス供給車2と搬送車1との車間距離が短くなる場合には上記付勢力によりガス管Tgが回転体Mに巻き取られる構成とすることもできる。
【0051】
本実施形態では、ガス管Tgは、ガス供給車2の車体26から走行方向第1側X1に向かって延出するように配置されていると共に、端部に供給部24が取り付けられている。詳細には、ガス管Tgは、ガス供給車2の車体26から走行方向第1側X1に向かって延出することが可能に構成されている。ガス供給車2は、可撓性を有するガス管Tgを回転体Mによって繰り出すことにより、ガス管Tgを車体26から走行方向第1側X1に向かって延出させる。このような構成により、被供給部14と供給部24とが接続された状態で、搬送車1とガス供給車2とが所定の車間距離を保って走行することが可能となっている。
【0052】
ガス供給車2は、ガスタンク7内の不活性ガスの残量を計測する残量計測器Iを備えている。本実施形態では、残量計測器Iは、ガスタンク7によって供給される不活性ガスの圧力に基づいて、ガスタンク7内の不活性ガスの残量を計測する。本例では、流量制御部25が、不活性ガスの圧力を計測する。すなわち流量制御部25は、残量計測器Iとしても機能する。
【0053】
次に、ガス供給システムの制御構成について説明する。
【0054】
図3に示すように、ガス供給システムは、搬送車1を制御する搬送車制御装置C1と、ガス供給車2を制御する供給車制御装置C2と、を備えている。本実施形態では、ガス供給システムは、上位制御装置Ctを更に備えている。上位制御装置Ctは、搬送設備100を統括管理する制御装置である。上位制御装置Ct、搬送車制御装置C1、及び供給車制御装置C2は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0055】
搬送車制御装置C1は、搬送車1に搭載されている。搬送車制御装置C1は、走行部11、昇降部12、容器保持部13、及び第1供給装置S1を制御するように構成されている。搬送車制御装置C1は、例えば、各部の駆動部を制御する。搬送車制御装置C1は、第1供給装置S1を制御する場合には、例えば、供給管Tsに設けられた電磁弁の開閉を制御する。
【0056】
供給車制御装置C2は、ガス供給車2に搭載されている。供給車制御装置C2は、走行部21、昇降部22、保持部23、供給部24、第2供給装置S2、及び流量制御部25(残量計測器I)を制御するように構成されている。供給車制御装置C2は、例えば、各部の駆動部を制御する。供給車制御装置C2は、第2供給装置S2を制御する場合には、例えば、ガス管Tgに設けられた電磁弁の開閉や、回転体Mの動作を制御する。また、供給車制御装置C2は、供給部24を制御する場合には、供給部24に設けられた電磁石の通電状態を制御する。これにより、被供給部14に対する供給部24の接続及び分離が制御される。
【0057】
上位制御装置Ctは、搬送車1に対して上述の搬送指令を行うように構成されている。搬送指令を受けた搬送車1は、指定された搬送元から搬送先へ容器8を搬送する。
【0058】
本実施形態では、上位制御装置Ctは、ガス供給車2に対して、不活性ガスを供給する対象となる対象搬送車1を指定して、ガス供給指令を行うように構成されている。ガス供給指令を受けたガス供給車2は、対象搬送車1に隣接する位置まで走行し、対象搬送車1が保持している容器8に対して不活性ガスの供給を行う。
【0059】
本実施形態では、上位制御装置Ctは、搬送設備100内の各搬送車1について、不活性ガスで満たされた容器8の搬送を開始してからの経過時間を計測している。容器8は完全に密閉されているわけではないので、時間の経過とともに容器8の内部から不活性ガスが漏洩して、容器8の内部における不活性ガスの残量が減る。上位制御装置Ctは、搬送車1が不活性ガスで満たされた容器8の搬送を開始してからの経過時間が、予め設定された設定時間となった場合には、当該容器8を保持している搬送車1を対象搬送車1として指定し、この対象搬送車1に対して不活性ガスを供給するよう、ガス供給車2にガス供給指令を行う。これにより、不活性ガスの残量が少ない容器8を保持している搬送車1にガス供給車2を向かわせて、当該容器8に不活性ガスを供給することができる。上記設定時間は、容器8の性能、不活性ガスの種類、その他の要因などに基づいて、適宜設定される。
【0060】
図4は、ガス供給車2が、搬送車1に対して不活性ガスを供給してから、不活性ガスの供給を終了するまでの様子を示している。
【0061】
図4(a)に示すように、ガス供給車2は、ガス供給指令によって指定された対象搬送車1へ向かう。ガス供給車2は、対象搬送車1に対して走行方向第2側X2に隣接する位置まで走行し、対象搬送車1の被供給部14とガス供給車2の供給部24とを接続させる。本実施形態では、被供給部14に対する供給部24の接続は、電磁石24aを通電状態とすることにより行う。電磁石24aの通電状態では、被供給部14と供給部24との接続が維持される。
【0062】
本実施形態では、対象搬送車1は、ガス供給車2から不活性ガスの供給を受ける場合には、その走行速度V1をゼロとする。すなわち、対象搬送車1が走行経路Rにおいて停止した状態で、ガス供給車2は、対象搬送車1に対して走行方向第2側X2から接近して、被供給部14に対して供給部24を接続する。被供給部14と供給部24とが接続された後は、ガス供給車2は、対象搬送車1(詳細には対象搬送車1が保持する容器8)への不活性ガスの供給を開始する。
【0063】
図4(b)に示すように、ガス供給車2が対象搬送車1に不活性ガスを供給している状態では、対象搬送車1の走行速度V1及びガス供給車2の走行速度V2は、ゼロよりも大きな値とされてよい。すなわち、対象搬送車1とガス供給車2とは、共に走行経路Rを走行してよい。
【0064】
本実施形態では、ガス供給車2は、対象搬送車1との距離を一定に保つように対象搬送車1に追従して走行する追従走行を実行するように構成されている。この場合、供給部24が連結されているガス管Tgは、ガス供給車2から走行方向第1側X1に延出される。ガス管Tgの延出量は、ガス供給車2と対象搬送車1との車間距離に応じて回転体Mによって調節される。
【0065】
上記の追従走行は、ガス供給車2と対象搬送車1とが通信して、互いに同じ走行速度(V1、V2)で走行することにより実現することができる。この通信は、上位制御装置Ctを介して行われてもよい。また、上記の追従走行は、例えば、ガス供給車2が、対象搬送車1との車間距離を検出する検出部を備え、検出部による検出結果が一定となるように、すなわち車間距離が一定となるように走行速度V2を制御するようにしてもよい。
【0066】
図4(c)に示すように、ガス供給車2は、対象搬送車1への不活性ガスの供給が終了した場合には、供給部24と被供給部14とを分離させる。本実施形態では、ガス供給車2は、電磁石24aを非通電状態とすることにより、被供給部14に対する供給部24の吸着を解除する。対象搬送車1は、走行速度V1を維持し、或いは高くして、容器8の搬送を継続する。ガス供給車2は、自らの走行速度V2を、少なくとも対象搬送車1の走行速度V1よりも低くする。これにより、対象搬送車1とガス供給車2との車間距離が次第に大きくなっていく。このとき、ガス供給車2から延出していたガス管Tgは、図4(c)に示すように、ガス供給車2から垂れ下がることになる。
【0067】
図4(d)に示すように、ガス供給車2は、供給部24を被供給部14から分離させた後は、回転体Mによってガス管Tgを巻き取る。これにより、ガス供給車2から垂れ下がっていたガス管Tgがガス供給車2の内部に収容される。ガス管Tgの先端に取り付けられている供給部24は、元の位置、すなわち車体26の前部に戻る。
【0068】
ここで、上述のように、ガス供給車2の保持部23は、ガスタンク7を着脱可能に保持するように構成されている。本実施形態では、ガス供給車2は、搬送車1への不活性ガスの供給により、自らが保持しているガスタンク7の残量が少なくなった場合、或いは、ガスタンク7が空になった場合には、当該ガスタンク7と、不活性ガスが充填された新たなガスタンク7と、を交換する。
【0069】
図5に示すように、本実施形態では、ガス供給システムは、ガスタンク7を保管するガスタンク保管庫3を備えている。ガスタンク保管庫3は、走行経路Rにおける特定箇所に設けられている(図1も参照)。
【0070】
ガス供給車2は、残量計測器Iによる計測結果に基づいて、ガスタンク保管庫3に移動し、ガスタンク保管庫3において、使用済みのガスタンク7と不活性ガスが充填されたガスタンク7とを交換する。ガス供給車2は、残量計測器Iによる計測結果が、予め規定された規定値以下となった場合、或いはゼロとなった場合に、ガスタンク保管庫3へ向かい、ガスタンク保管庫3においてガスタンク7を交換する。
【0071】
本実施形態では、ガス供給車2は、車体26とガスタンク保管庫3との間でガスタンク7の移載を行う移載装置を備えている。本例では、移載装置には、昇降部22と保持部23とが含まれ、ガス供給車2は、ガスタンク7を上下方向に沿って移載する。すなわち、ガス供給車2は、保持部23によるガスタンク7の保持と、昇降部22による保持部23の昇降とによって、ガスタンク保管庫3との間でガスタンク7を移載するように構成されている。
【0072】
本実施形態では、ガスタンク保管庫3は、複数の支持台30を備えている。複数の支持台30のそれぞれは、ガスタンク7を支持するように構成されている。各支持台30には、ガス供給車2から受け取った使用済みのガスタンク7、又は、不活性ガスが充填されたガスタンク7が支持される。
【0073】
例えば、複数の支持台30は、循環経路30Rに沿ってガスタンク保管庫3の内部を循環するように構成されている。ガス供給車2は、使用済みのガスタンク7を交換する場合には、何も支持されていない支持台30に使用済みのガスタンク7を引き渡す。使用済みのガスタンク7を受け取った支持台30と、不活性ガスが充填されたガスタンク7を支持した支持台30とが、循環経路30Rに沿って移動して、その位置が入れ替わる。そして、ガス供給車2は、位置が入れ替わった後の支持台30から、不活性ガスが充填された新たなガスタンク7を受け取る。図示の例では、複数の支持台30が移動する循環経路30Rは、水平軸心まわり沿って形成されている。但し、このような構成に限らず、循環経路30Rは、上下軸心まわりに沿って形成されていてもよい。また、複数の支持台30は、ガスタンク保管庫3において所定位置に固定されていてもよい。この場合には、コンベヤやロボットアーム等の搬送手段によって各支持台30にガスタンク7を載置するようにしてもよい。
【0074】
本実施形態では、ガスタンク保管庫3は、ガスタンク7に不活性ガスを充填するガス充填装置31を備えている。ガス充填装置31は、ガス供給車2から受け取った使用済みのガスタンク7に不活性ガスを充填するように構成されている。
【0075】
本実施形態では、ガス充填装置31は、複数の支持台30が移動する循環経路30Rに隣接して配置されている。ガス充填装置31は、循環経路30Rを循環してきた使用済みガスタンク7に不活性ガスを充填する。ガス充填装置31によって不活性ガスが充填されたガスタンク7は、再び循環経路30Rに沿って移動する。
【0076】
このように本実施形態では、ガス供給車2自らが、使用済みガスタンク7をガスタンク保管庫3に引き渡すと共に、不活性ガスが充填されたガスタンク7をガスタンク保管庫3から受け取ることができる。従って、搬送車1が保持している容器8への不活性ガスの供給サイクルを自動的に実現し易い。また、ガスタンク保管庫3は、使用済みガスタンク7に不活性ガスを充填するガス充填装置31を備えているため、ガスタンク保管庫3において、不活性ガスが充填されたガスタンク7を確保し易い。
【0077】
以上説明したガス供給システムによれば、搬送車1によって搬送されている途中の容器8に不活性ガスを供給することが可能となる。
【0078】
〔その他の実施形態〕
次に、ガス供給システムのその他の実施形態について説明する。
【0079】
(1)上記の実施形態では、保持部23がガスタンク7を保持していない非保持状態からガスタンク7を保持した保持状態に変化することに伴って、第2供給装置S2が保持部23に保持されたガスタンク7に接続される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車1が保持している容器8に不活性ガスを供給するタイミングで、第2供給装置S2が保持部23に保持されたガスタンク7に接続されてもよい。すなわちこの場合、保持部23によるガスタンク7の保持は、第2供給装置S2がガスタンク7に接続される前に完了している。
【0080】
(2)上記の実施形態では、供給部24と被供給部14との少なくとも一方に電磁石24aが設けられ、電磁石24aに対する通電の有無によって供給部24と被供給部14との接続及び分離が制御される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、供給部24と被供給部14とは、互いに対応する凸部や凹部を備え、互いに係合及び係合解除可能に構成されていてもよい。
【0081】
(3)上記の実施形態では、ガス管Tgが、ガス供給車2の車体26から走行方向第1側X1に向かって延出するように配置されていると共に、端部に供給部24が取り付けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、ガス管Tgは、ガス供給車2の車体26の内部に留まり、供給部24は、車体26における走行方向第1側X1の端部に固定されていてもよい。この場合には、ガス供給車2と搬送車1とは、車間距離を確保することが難しい。従って、ガス供給車2と搬送車1とは、連結機構によって互いに連結され、車間距離が略ゼロの状態で走行するようにするとよい。これにより、供給部24と被供給部14との接続状態を維持しながら、搬送車1とガス供給車2とが適切に走行経路Rを走行することができる。なお、上記の場合、供給部24と被供給部14は、ガス供給車2と搬送車1とを連結する連結機構に設けられていてもよい。また、搬送車1とガス供給車2とが連結機構によって連結される構成では、ガス供給車2は、自走することなく、搬送車1によって牽引されるようにしてもよい。
【0082】
(4)上記の実施形態では、対象搬送車1が走行経路Rにおいて停止した状態で、ガス供給車2は、対象搬送車1に対して走行方向第2側X2から接近して、被供給部14に対して供給部24を接続する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、ガス供給車2は、走行中の対象搬送車1に対して走行方向第2側X2から接近して、被供給部14に対して供給部24を接続するようにしてもよい。この場合、対象搬送車1は徐行していると好適である。
【0083】
(5)上記の実施形態では、走行方向第1側X1が走行方向Xにおける前側であり、走行方向第2側X2が走行方向Xにおける後側である例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、前後の関係は逆であってもよい。すなわち、走行方向第1側X1が走行方向Xにおける後側であり、走行方向第2側X2が走行方向Xにおける前側であってもよい。従って、ガス供給車2が搬送車1に不活性ガスを供給する場合において、ガス供給車2は搬送車1に対して前側に隣接して配置されていてもよい。
【0084】
(6)上記の実施形態では、ガス供給車2が備える移載装置には、昇降部22と保持部23とが含まれ、ガス供給車2は、ガスタンク7を上下方向に沿って移載する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移載装置には、ガスタンク7を水平方向に沿って移動させる水平移動機構(例えばフォーク部やコンベヤ部)が含まれ、ガス供給車2は、ガスタンク7を水平方向に沿って移載するように構成されていてもよい。
【0085】
(7)上記の実施形態では、ガス供給車2が、車体26とガスタンク保管庫3との間でガスタンク7の移載を行う移載装置を備えており、自らがガスタンク7の交換を行う例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、ガス供給車2は、上記のような移載装置を備えていなくてもよい。この場合、ガスタンク7の交換は、人手によって行われるとよい。
【0086】
(8)上記の実施形態では、残量計測器Iが、ガスタンク7によって供給される不活性ガスの圧力に基づいて、ガスタンク7内の不活性ガスの残量を計測する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、残量計測器Iは、ガスタンク7の重量に基づいて、ガスタンク7内の不活性ガスの残量を計測するように構成されていてもよい。
【0087】
(9)上記の実施形態では、搬送車1が容器8を搬送するものであり、ガス供給車2が不活性ガスを供給するものである例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車1が、ガス供給車2としての機能を有していてもよい。或いは、ガス供給車2が、搬送車1としての機能を有していてもよい。換言すれば、それ(台車)が容器8を保持する場合には搬送車1として機能し、それがガスタンク7を保持する場合にはガス供給車2として機能するようにしてもよい。
【0088】
(10)上記の実施形態では、ガス供給システムがガスタンク保管庫3を備えている例について説明した。しかし、ガスタンク保管庫3は必須の構成ではなく、ガス供給システムは、このようなガスタンク保管庫3を備えていなくてもよい。
【0089】
(11)上記の実施形態では、ガス供給車2が、天井付近に設けられたレールRaに沿って走行するいわゆる天井走行車として構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、ガス供給車2は、搬送車1が走行する走行経路Rを走行可能に構成されていればよい。例えば、搬送車1が床面に沿って設定された走行経路Rを走行するように構成されている場合には、ガス供給車2も同様に、床面に沿って設定された走行経路Rを走行するように構成される。すなわち、搬送車1が床面搬送車として構成され、ガス供給車2が床面走行車として構成されていてもよい。
【0090】
(12)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0091】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明したガス供給システムについて説明する。
【0092】
規定の走行経路に沿って走行して容器を搬送する搬送車を備え、前記容器の内部に不活性ガスを供給するためのガス供給システムであって、
前記搬送車に前記不活性ガスを供給するガス供給車を備え、
前記搬送車は、前記ガス供給車からの前記不活性ガスの供給を受ける被供給部と、前記被供給部に供給された前記不活性ガスを前記容器に供給する第1供給装置と、を備え、
前記ガス供給車は、前記走行経路を走行可能に構成され、
前記ガス供給車は、前記不活性ガスが充填されたガスタンクを着脱可能に保持する保持部と、前記被供給部に対する接続及び分離が可能に構成された供給部と、前記保持部に保持された前記ガスタンクから前記供給部に前記不活性ガスを供給する第2供給装置と、を備える。
【0093】
本構成によれば、供給部を被供給部に接続することで、ガス供給車が保持するガスタンクから搬送車が搬送している容器に不活性ガスを供給することができる。この際、ガス供給車は、搬送車と同じ走行経路を走行可能であるため、搬送車が走行中であるか走行停止中であるかに関わらず容器に不活性ガスを供給することができる。また本構成によれば、ガス供給車はガスタンクを着脱可能に保持するため、ガスタンクを容易に交換可能である。従って、ガス供給車が搬送車と同じ走行経路を走行可能な構成としつつ、当該ガス供給車により供給できる不活性ガスの量も多く確保し易い。以上のように、本構成によれば、搬送車によって搬送されている途中の容器に不活性ガスを供給することが可能なガス供給システムを実現できる。
【0094】
前記保持部が前記ガスタンクを保持していない非保持状態から前記ガスタンクを保持した保持状態に変化することに伴って、前記第2供給装置が前記保持部に保持された前記ガスタンクに接続される、と好適である。
【0095】
本構成によれば、保持部によるガスタンクの保持に伴って第2供給装置をガスタンクに接続することができる。従って、ガスタンクの接続を確実に行うことができる。
【0096】
前記走行経路に沿う方向を走行方向とし、前記走行方向の一方側を走行方向第1側とし、前記走行方向の他方側を走行方向第2側として、
前記供給部は前記ガス供給車の車体から前記走行方向第1側に突出するように配置され、
前記被供給部は前記搬送車の車体から前記走行方向第2側に突出するように配置され、
前記供給部と前記被供給部との少なくとも一方に電磁石が設けられ、
前記電磁石に対する通電の有無によって前記供給部と前記被供給部との接続及び分離が制御される、と好適である。
【0097】
本構成によれば、搬送車とガス供給車とが走行方向に並んで走行している状態で、供給部と被供給部とを容易に接続することができる。また本構成によれば、電磁石により供給部と被供給部との接続及び分離が制御されるため、当該接続及び分離を容易に行うことができる。
【0098】
前記ガス供給車は、対象となる前記搬送車である対象搬送車との距離を一定に保つように前記対象搬送車に追従して走行する追従走行を実行するように構成され、
前記第2供給装置は、可撓性を有するガス管を備え、
前記ガス管は、前記ガス供給車の車体から前記走行方向第1側に向かって延出するように配置されていると共に、端部に前記供給部が取り付けられている、と好適である。
【0099】
本構成によれば、対象搬送車の走行中であっても、ガス供給車を対象搬送車から一定距離の位置に配置して、対象搬送車が保持している容器に不活性ガスを供給し続けることができる。また、この際、ガス供給車と対象搬送車とをつなぐガス管が可撓性を有するため、走行中にガス供給車と対象搬送車との距離がある程度変動した場合であっても、適切にガスの供給を継続することができる。
【0100】
前記ガス管は、回転体に巻回されており、前記ガス供給車と前記搬送車との車間距離に応じて繰り出され又は巻き取られるように構成されている、と好適である。
【0101】
本構成によれば、不活性ガスの供給中にガス供給車と搬送車との車間距離が変動した場合であっても、ガス管が繰り出され又は巻き取られることにより、当該車間距離の変動に対応しつつ不活性ガスの供給を継続することができる。また、不活性ガスの供給が行われておらず、ガス供給車における供給部と搬送車における被供給部とが分離している状態では、ガス管を十分に巻き取ることにより、ガス管がガス供給車から垂れ下がることのないようにできる。
【0102】
前記ガスタンクを保管するガスタンク保管庫を備え、
前記ガス供給車は、前記ガス供給車の車体と前記ガスタンク保管庫との間で前記ガスタンクの移載を行う移載装置を備える、と好適である。
【0103】
本構成によれば、ガス供給車が保持するガスタンクの交換を、人手によらず、自動的に行うことが可能となる。
【0104】
前記ガス供給車は、前記ガスタンク内の前記不活性ガスの残量を計測する残量計測器を備え、
前記ガス供給車は、前記残量計測器による計測結果に基づいて、前記ガスタンク保管庫に移動し、前記ガスタンク保管庫において、使用済みの前記ガスタンクと前記不活性ガスが充填された前記ガスタンクとを交換する、と好適である。
【0105】
本構成によれば、ガス供給車自らが、使用済みガスタンクをガスタンク保管庫に引き渡すと共に、不活性ガスが充填されたガスタンクをガスタンク保管庫から受け取ることができる。従って、搬送車が保持している容器への不活性ガスの供給サイクルを自動的に実現し易い。
【0106】
前記ガスタンク保管庫は、前記ガスタンクに前記不活性ガスを充填するガス充填装置を備え、
前記ガス充填装置は、前記ガス供給車から受け取った使用済みの前記ガスタンクに前記不活性ガスを充填する、と好適である。
【0107】
本構成によれば、ガスタンク保管庫において、不活性ガスが充填されたガスタンクを確保し易い。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示に係る技術は、規定の走行経路に沿って走行して容器を搬送する搬送車を備え、前記容器の内部に不活性ガスを供給するためのガス供給システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 :搬送車
16 :車体
14 :被供給部
2 :ガス供給車
26 :車体
23 :保持部
24 :供給部
24a :電磁石
3 :ガスタンク保管庫
31 :ガス充填装置
7 :ガスタンク
8 :容器
S1 :第1供給装置
S2 :第2供給装置
Tg :ガス管
I :残量計測器
M :回転体
R :走行経路
X :走行方向
X1 :走行方向第1側
X2 :走行方向第2側
図1
図2
図3
図4
図5