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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066232
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/06 20060101AFI20240508BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240508BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240508BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240508BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01F30/06
H01F17/00 B
H01F17/04 F
H01F17/04 Z
H01F27/28 104
H01F30/10 D
H01F30/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175681
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶幸
(72)【発明者】
【氏名】蛭子本 大悟郎
(72)【発明者】
【氏名】川本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 淳也
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E070AA11
5E070AB01
5E070BA08
5E070CB12
5E070CB17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の基板にコアを配置したときの安定性を向上することができるコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品10は、複数の基板20と、コア材30と、支持部材40と、を備える。複数の基板20の各々は、コイルパターンを有する。複数の基板20は、厚み方向に沿って隙間を空けて重ねられている。コア材30は、複数の基板20の各々に配置されている。支持部材40は、複数の基板20の外周部と係合して、厚み方向に沿った隙間を維持するように複数の基板20を支持している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々にコイルパターンを有し、厚み方向に沿って隙間を空けて重ねられた複数の基板と、
前記複数の基板に配置されたコア材と、
前記複数の基板の外周部と係合して、前記隙間を維持するように前記複数の基板を支持する支持部材と、を備えるコイル部品。
【請求項2】
前記支持部材は、前記厚み方向と交差する交差方向の両側から前記複数の基板を挟む第1支持部及び第2支持部を備える請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記支持部材は、前記厚み方向を向いており前記複数の基板の各々を支持する支持面を有する請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記支持部材は、前記支持部材の外側面から切り欠かれた切欠きを有し、
前記複数の基板の各々は、前記複数の基板の各々の側面から突出して前記切欠きと係合した凸部を有する請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記支持部材は、板状である請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記コア材は、互いに接触する第1コアと第2コアとを備え、
前記第1コアの少なくとも一部は、前記複数の基板より前記厚み方向の一方側に位置し、
前記第2コアの少なくとも一部は、前記複数の基板より前記厚み方向の他方側に位置している請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記支持部材は金属で構成されている請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記支持部材は、導電性の配線パターンを有する請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記複数の基板の少なくとも1つと前記支持部材とは、接着剤を介して接合されている請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記コア材と前記支持部材とは、接着剤を介して接合されている請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板と基板に配置されたコアとを備えるコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と基板に配置されたコアとを備えるコイル部品の一例としてのトランスが、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたトランスは、プリント基板に導電箔を巻回して形成した巻線と、ER型コアとI型コアとを組み合わせたEIRコアとから構成されている。ER型コアは、平板部と、平板部の中央部に突設された中央脚部と、平板部の両端に突設された外側脚部とから構成される。中央脚部はプリント基板の中央脚部挿通穴に挿通され、外側脚部はプリント基板の外側脚部挿通穴にそれぞれ挿通される。I型コアは、プリント基板を間に挟んでER型コアと対向する位置に配置される。これにより、プリント基板は、ER型コアとI型コアとによって挟まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5788012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイル部品には、隙間を空けて重ねられた複数の基板にコアが配置されるものがある。例えば、特許文献1に開示されたコイル部品(トランス)が複数のプリント基板を備える場合、ER型コアの脚部が各プリント基板に形成された挿通穴に挿通される。このとき、複数の基板の間の相対位置にずれが生じることによって、また、複数の基板の少なくとも1つとコアとの間の相対位置にずれが生じることによって、コイル部品がぐらつくおそれがある。複数の基板にコアが設置されるコイル部品では、1つの基板にコアが設置されるコイル部品に比べて、相対位置のずれが生じる箇所が多いため、コイル部品を安定させることが困難である。
【0006】
従って、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、複数の基板にコアを配置したときの安定性を向上することができるコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るコイル部品は、
各々にコイルパターンを有し、厚み方向に沿って隙間を開けて重ねられた複数の基板と、
前記複数の基板に配置されたコア材と、
前記複数の基板の外周部と係合して、前記隙間を維持するように前記複数の基板を支持する支持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の基板にコアを配置したときの安定性を向上することができるコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る一実施形態のコイル部品を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すコイル部品の分解斜視図である。
図3図1に示すコイル部品の正面図である。
図4図3に示すコイル部品において支持部材を他の部分から分解した正面図である。
図5】変形例の支持部材を模式的に示す側面図である。
図6図3の正面図において支持部材を変形例の支持部材に置き換えた正面図である。
図7】本開示に係る一実施形態の変形例のコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示に係る一実施形態のコイル部品を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すコイル部品の分解斜視図である。図3は、図1に示すコイル部品の正面図である。図4は、図3に示すコイル部品において支持部材を他の部分から分解した正面図である。以下の説明において、方向が示される場合に、各図中に示されたX,Y,Z方向が用いられる。X方向、Y方向、Z方向は、各図中の矢印の方向を示し、X方向と逆方向、Y方向と逆方向、Z方向と逆方向は、各図中の矢印とは逆の方向を示す。
【0011】
図1に示すように、コイル部品10は、複数の基板20にコア材30が配置されたものである。本実施形態において、コイル部品10はトランスである。なお、コイル部品10は、複数の基板20にコア材30が配置されたものであればよく、トランスに限らない。例えば、コイル部品10は、チョークコイルであってもよい。
【0012】
図1図4に示すように、コイル部品10は、複数の基板20と、複数の基板20に配置されたコア材30と、複数の基板20を支持する支持部材40とを備える。
【0013】
本実施形態において、コイル部品10は3つの基板20(基板21、基板22、及び基板23)を備える。しかし、コイル部品10が備える基板20の数は3つに限らない。コイル部品10は、2つの基板20を備えていてもよいし、4つ以上の基板20を備えていてもよい。以下の説明において、基板21、基板22、及び基板23を総称して基板20とも示す。
【0014】
各基板21、22、23は、絶縁体で構成された基部と、基部の表面及び内部の少なくとも一方に形成された導電性の配線パターンとを備える。基部は、例えば、セラミック、ガラスエポキシ、紙フェノール等を材料として構成されている。配線パターンは、導電性を有しており、例えば銅等の金属で構成されている。
【0015】
図1及び図3に示すように、基板20は、Z方向に沿って、基板22、23、21の順序で、隙間20Aを空けて重ねられている。Z方向は基板20の厚み方向の一例である。基板22、23の間の隙間20Aと、基板23、21の間の隙間20Aとは、等しくてもよいし異なっていてもよい。
【0016】
図2に示すように、各基板21、22、23は、4つの凸部24を有している。4つの凸部24のうちの2つは、各基板21、22、23のX方向の端部を構成する側面(後述する外側面20Bの一部)からX方向へ突出しており、互いにY方向に隙間24Aを空けて設けられている。4つの凸部24のうちの他の2つは、各基板21、22、23のX方向と逆方向の端部からX方向と逆方向へ突出しており、互いにY方向に隙間24Aを空けて設けられている。
【0017】
各基板21、22、23は、コア材30が貫通される貫通孔20C、20Dを有している。貫通孔20Dは、各基板21、22、23の中央部に設けられている。貫通孔20Cは、貫通孔20DのX方向の両側に設けられている。言い換えると、貫通孔20Cの一方は、貫通孔20DよりX方向側に位置しており、貫通孔20Cの他方は、貫通孔20DよりX方向と逆方向側に位置している。更に言い換えると、2つの貫通孔20Cは、X方向において貫通孔20Dを挟んでいる。本実施形態において、貫通孔20Cは、2つの凸部24の間の隙間24Aと繋がっている。
【0018】
各基板21、22、23は、コイルを構成するコイルパターン25を有している。コイルパターン25は、前述した配線パターンの少なくとも一部に相当している。図示されていないが、各基板21、22、23は、コイルパターン25以外の配線パターンを有していてもよい。
【0019】
コイルパターン25は、各基板21、22、23の表面に設けられており、ビア26によって各基板21、22、23の内部に設けられた配線パターン(不図示)に接続されている。ビア62は、導電性を有する。ビア62は、各基板21、22、23にZ方向に沿って設けられた孔を構成する内側面に、銅等の金属が積層されたものである。当該孔は、各基板21、22、23を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。コイルパターン25は、各基板21、22、23の貫通孔20Dの周りにスパイラル状に形成されている。
【0020】
本実施形態において、基板21に設けられたコイルパターン25と基板22に設けられたコイルパターン25とは、トランスの入力側コイル(一次コイル)として機能する。基板21、22には、一次コイル及びその周辺回路が設けられている。つまり、基板21、22は、トランスの一次基板である。
【0021】
本実施形態において、基板23に設けられたコイルパターン25は、トランスの出力側コイル(二次コイル)として機能する。基板23には、二次コイル及びその周辺回路が設けられている。つまり、基板23は、トランスの一次基板である。基板23は、基板21、22よりも大きい。
【0022】
各基板21、22、23の大きさや形状等の構成は、図1図4に示された構成に限らない。基板21、22、23の大きさについて、例えば、図1図4において基板23は基板21、22より大きいが、基板23は基板21、22より小さくてもよい。基板21、22、23の形状について、例えば、図1及び図2において基板21、22、23はそれぞれ凸部211、221、231を備えているが、基板21、22、23はそれぞれ凸部211、221、231を備えていなくてもよい。例えば、コイルパターン25は、基板21、22、23の内部に設けられていてもよい。また、例えば、貫通孔20Cと隙間24Aとは互いに繋がっていなくてもよい。この場合、コイルパターン25は、貫通孔20Cの周りに形成されていてもよい。
【0023】
図3及び図4に示すように、コア材30は、3つの基板21、22、23に配置されている。本実施形態において、3つの基板21、22、23には、コア材30のみが実装されているが、コア材30以外の電子部品(例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタ等)が実装されていてもよい。
【0024】
コア材30は、磁性材料で構成されている。コア材30は、例えば、フェライトを材料として構成されている。なお、コア材30の材料はフェライトに限らない。例えば、コア材30はケイ素鋼板を材料として構成されていてもよい。
【0025】
図2に示すように、コア材30は、第1コア31と第2コア32とを備える。本実施形態において、第1コア31はE型コアである。第2コア32はI型コアである。つまり、本実施形態において、コア材30は、第1コア31と第2コア32とが組み合わされたEI型コアである。なお、第1コア31と第2コア32とは、嵌合、接着剤、固定具等による公知の手段によって組み合わされている。
【0026】
第1コア31は、本体311と、本体311のX方向の両端部から突出した2つの外脚312と、2つの外脚312の間において本体311から突出した中脚313とを備える。
【0027】
図3及び図4に示すように、第1コア31の一部である本体311は、3つの基板21、22、23よりZ方向の一方側に位置している。各外脚312は、各基板21、22、23の貫通孔20Cを貫通する。中脚313は、各基板21、22、23の貫通孔20Dを貫通する。2つの外脚312と中脚313との突出先端部は、第2コア32と接触している。第2コア32は、3つの基板21、22、23よりZ方向の他方側に位置している。これにより、第1コア31の本体311と第2コア32との間に、3つの基板21、22、23が挟まれている。
【0028】
本実施形態では、第1コア31がE型コアであり、第2コア32がI型コアであるが、逆でもよい。つまり、第1コア31がI型コアであり、第2コア32がE型コアであってもよい。この場合、第1コア31の全部が基板20よりZ方向の一方側に位置している一方で、第2コア32の一部が基板20よりZ方向の他方側する。
【0029】
以上より、第1コア31の少なくとも一部は、複数の基板20よりZ方向の一方側に位置し、第2コア32の少なくとも一部は、複数の基板20よりZ方向の他方側に位置する。
【0030】
コア材30の構成は、図1図4に示された構成に限らない。例えば、第1コア31がE型コアで、第2コア32もE型コアであってもよい。つまり、コア材30は、EI型コアに限らず、EE型コアであってもよい。コア材30の型は、前述された以外にも種々の型(例えばEIR型コアやUI型コア等)であってもよい。
【0031】
図1図4に示すように、支持部材40は、3つの基板21、22、23の各々の外周部と係合して、基板22、23の間の隙間20Aと基板23、21の間の隙間20Aとを維持するように、3つの基板21、22、23を支持している。
【0032】
外周部は、基板21、22、23のうち、基板21、22、23の外側面20Bと、外側面20Bの近傍の部分とである。外側面20Bは、基板21、22、23の外周を構成する面である。例えば、貫通孔20Cを構成する面は、外側面20Bに含まれる。外側面20Bの近傍の部分は、例えば、前述した凸部24や、凸部211、221、231である。つまり、凸部24や、凸部211、221、231は、外周部に含まれる。また、例えば、外側面20Bの近傍の部分は、Z方向から見た平面視において、基板20のうち、基板20の中央よりも基板20の外側面20Bに近い部分であってもよい。また、例えば、外側面20Bの近傍の部分は、Z方向から見た平面視において、基板20のうち、基板20の外側面20Bからの距離が、基板20の外側面20Bから基板20の中央までの距離の1/8以下である部分であってもよい。
【0033】
支持部材40の材料は任意である。本実施形態では、支持部材40は樹脂を材料として構成されている。
【0034】
図1図4に示すように、支持部材40は、第1支持部41と第2支持部42とを備える。第1支持部41及び第2支持部42は、それぞれ板状である。
【0035】
第1支持部41は、X方向の一方側から基板20に接触している。第2支持部42は、X方向の他方側から基板20に接触している。つまり、第1支持部41と第2支持部42とは、X方向の両側から3つの基板21、22、23を挟んでいる。X方向は、Z方向と交差する方向である。本実施形態では、X方向は、Z方向と直交する方向である。X方向は、交差方向の一例である。
【0036】
図2及び図4に示すように、第1支持部41及び第2支持部42の各々は、2つの切欠き40Bよりなる一対の切欠き40Bを3組備えている。つまり、第1支持部41及び第2支持部42の各々は、6つの切欠き40Bを有する。
【0037】
一対の切欠き40Bは、互いにZ方向の同位置に形成されている。一対の切欠き40Bの一方は、Y方向と逆方向を向く外側面40AからY方向に切り欠かれている。一対の切欠き40Bの他方は、Y方向を向く外側面40AからY方向と逆方向に切り欠かれている。一対の切欠き40Bの各組は、Z方向に沿って並んで形成されている。Z方向に隣り合う2組の一対の切欠き40Bの間の間隔は、前述した2つの基板20の間の隙間20Aと同じである。
【0038】
3組の一対の切欠き40Bの各々には、3つの基板21、22、23の各々の凸部24が嵌め込まれている。つまり、凸部24は、切欠き40Bと係合している。このとき、凸部24は、切欠き40Bを構成する面のうちの一つであり、Z方向を向く支持面40Baによって支持されている。支持面40Baは、各切欠き40Bを形成している。つまり、3組の一対の切欠き40Bのうちの1つの支持面40Baは、基板21を支持している。また、3組の一対の切欠き40Bのうちの他の1つの支持面40Baは、基板22を支持している。また、3組の一対の切欠き40Bのうちの残り1つの支持面40Baは、基板23を支持している。
【0039】
図2に示すように、支持部材40は、配線パターン61とビア62、63とを有する。本実施形態において、配線パターン61及びビア62、63は、支持部材40の第2支持部42に設けられている。
【0040】
配線パターン61は、基板20が有するコイルパターン25等の配線パターンと同様に導電性を有しており、例えば銅等の金属で構成されている。ビア62、63は、導電性を有する。ビア62、63は、支持部材40に設けられた孔を構成する内側面に、銅等の金属が積層されたものである。ビア62、63は、配線パターンの一例である。
【0041】
本実施形態において、配線パターン61は、第2支持部42の表面42Cに形成されている。ビア62は、表面42Cに形成された孔に設けられており、配線パターン61と電気的に接続されている。配線パターン61は、ビア62によって支持部材40の内部に設けられた配線パターン(不図示)に接続されている。
【0042】
配線パターン61及びビア62の少なくとも一方は、基板21に設けられた配線パターンと基板23に設けられた配線パターンとに、電気的に接続されている。これにより、基板21と基板23とは、配線パターン61及びビア62の少なくとも一方を介して電気的に接続されている。
【0043】
本実施形態において、ビア63は、第2支持部42をZ方向に貫通する貫通孔に設けられている。ビア63の一端部は、基板23を支持する切欠き40Bの支持面40Baに開口されており、基板23に設けられた配線パターンと電気的に接続されている。ビア63の他端部は、基板22を支持する切欠き40Bの支持面40BaとZ方向に対向する面に開口されており、基板22に設けられた配線パターンと電気的に接続されている。これにより、基板23と基板22とは、ビア63を介して電気的に接続されている。
【0044】
本実施形態では、配線パターン61は、支持部材40の表面に形成されているが、支持部材40の内部に設けられていてもよい。この場合、例えば、支持部材40の内部の配線パターンは、ビアを介して支持部材40の外部に露出しており、当該ビアを介して基板20と電気的に接続される。
【0045】
本実施形態では、基板21、23は、配線パターンを介して電気的に接続されており、基板23、22は、ビアを介して電気的に接続されているが、このような構成に限らない。例えば、前記とは逆に、基板21、23は、ビアを介して電気的に接続されていてもよいし、基板23、22は、配線パターンを介して電気的に接続されていてもよい。
【0046】
本実施形態では、配線パターン61及びビア62、63は、第2支持部42に設けられているが、このような構成に限らない。例えば、配線パターン61及びビア62、63は、第1支持部41に設けられていてもよい。また、例えば、配線パターン61及びビア62が第1支持部41に設けられ、ビア63が第2支持部42に設けられていてもよい。
【0047】
図3に示すように、3つの基板20は、支持部材40と接着剤50を介して接合されている。詳述すると、3つの基板21、22、23のX方向と逆方向を向く側面は、第1支持部41と接着剤50を介して接合されている。3つの基板21、22、23のX方向を向く側面は、第2支持部42と接着剤50を介して接合されている。
【0048】
なお、3つの基板21、22、23のうちの一部の基板のみが、支持部材40と接着剤50を介して接合されていてもよい。また、3つの基板21、22、23は、支持部材40と接着剤50を介して接合されていなくてもよい。
【0049】
コア材30は、支持部材40と接着剤50を介して接合されている。詳述すると、第1コア31の本体311と、第1コア31の2つの外脚312のうちのX方向と逆方向側にある外脚312と、第2コア32との各々のX方向と逆方向を向く側面は、第1支持部41と接着剤50を介して接合されている。第1コア31の本体311と、第1コア31の2つの外脚312のうちのX方向側にある外脚312と、第2コア32との各々のX方向を向く側面は、第2支持部42と接着剤50を介して接合されている。
【0050】
なお、コア材30は、支持部材40と接着剤50を介して接合されていなくてもよい。
【0051】
本実施形態によれば、支持部材40が複数の基板20の外周部(本実施形態では凸部24)と係合して、複数の基板20の隙間20Aを維持するように複数の基板20を支持している。支持部材40が複数の基板20の外周部と係合しているため、複数の基板20における使用可能なスペース(例えばコア材30を配置するためのスペースや、配線パターンを形成するスペース)を大きくすることができる。また、複数の基板20の間の相対位置のずれを低減することができる。複数の基板20の間の相対位置のずれが低減することにより、複数の基板20とコア材30との間の相対位置のずれも低減される。その結果、コイル部品10のぐらつきを抑制して、コイル部品10を安定させることができる。
【0052】
本実施形態によれば、複数の基板20の各々は、X方向の両側において支持部材40(第1支持部41および第2支持部42)によって支持されている。これにより、複数の基板20の安定性を向上することができる。
【0053】
本実施形態によれば、支持面を有する様々な構造、例えば、支持部材40に設けられた溝や貫通孔等(本実施形態では支持部材40に設けられた切欠き40B)によって、複数の基板20を支持することができる。
【0054】
本実施形態によれば、切欠き40Bと凸部24という単純な構成によって、支持部材40は複数の基板20を支持することができる。
【0055】
本実施形態によれば、支持部材40が板状であるため、支持部材40の厚みが薄い。これにより、支持部材40の厚みが薄い分、コイル部品10を小型化及び軽量化することができる。
【0056】
本実施形態によれば、コア材30が第1コア31と第2コア32とを備えている。これにより、第1コア31を基板20に配置してから、第2コア32を第1コア31と組み合わせることによって、第1コア31と第2コア32との間に複数の基板20を挟み込むことが容易である。
【0057】
本実施形態によれば、支持部材40が有する配線パターン(配線パターン61及びビア63)を介して、複数の基板20を電気的に接続することができる。そのため、複数の基板20を電気的に接続するための構成を別途設けること、例えば複数の基板20の間を繋ぐ通信線を支持部材40とは別に設けることが不要である。
【0058】
本実施形態によれば、複数の基板20が接着剤50によって支持部材40に固定される。これにより、支持部材40と複数の基板20とが接着剤50を介して接合されていない構成に比べて、複数の基板20の位置ずれを低減することができる。
【0059】
本実施形態によれば、コア材30が接着剤50によって支持部材40に固定される。これにより、支持部材40とコア材30とが接着剤50を介して接合されていない構成に比べて、支持部材40に対するコア材30の位置ずれを低減することができる。
【0060】
支持部材40の構成は、図1図4に示された構成に限らない。
【0061】
例えば、第1支持部41及び第2支持部42の形状は、板状に限らず、直方体形状等の板状でない形状であってもよい。
【0062】
図1図4に示す支持部材40は、基板20と係合する切欠き40Bを備えている。しかし、基板20と係合するために支持部材40が有する構成は、切欠き40Bに限らない。
【0063】
例えば、支持部材40は、第1支持部41及び第2支持部42の少なくとも一方の代わりに、図5に示すような支持部43を備えていてもよい。図5は、変形例の支持部材を模式的に示す側面図である。支持部43は、3組設けられた一対の切欠き40Bの代わりに、3組設けられた一対の貫通孔40Cを有する。各貫通孔40Cは、支持部43をX方向に貫通している。各貫通孔40Cは、各切欠き40Bに対応する位置に設けられている。
【0064】
各貫通孔40Cには、3つの基板21、22、23の各々の凸部24が嵌め込まれている。つまり、凸部24は、貫通孔40Cと係合している。このとき、凸部24は、貫通孔40Cを構成する面のうちの一つであり、Z方向を向く支持面40Caによって支持されている。支持面40Caは、各貫通孔40Cを形成している。つまり、3組の一対の貫通孔40Cのうちの1組の支持面40Caは、基板21を支持している。また、3組の一対の貫通孔40Cのうちの他の1組の支持面40Caは、基板22を支持している。また、3組の一対の貫通孔40Cのうちの残り1組の支持面40Caは、基板23を支持している。
【0065】
また、例えば、図6に示すように、コイル部品10Aは、第1支持部41及び第2支持部42の代わりに、支持部44、45を備えていてもよい。図6は、図3の正面図において支持部材を変形例の支持部材に置き換えた正面図である。支持部44、45の各々は、3組設けられた一対の切欠き40Bの代わりに、3組設けられた一対の凹部40Dを有する。各凹部40Dは、支持部44、45の外面のうちの基板20を向く面に設けられており、当該面からX方向に沿って凹んでいる。各凹部40Dは、各切欠き40Bに対応する。
【0066】
各凹部40Dには、3つの基板21、22、23の各々の凸部24が嵌め込まれている。つまり、凸部24は、凹部40Dと係合している。このとき、凸部24は、凹部40Dを構成する面のうちの一つであり、Z方向を向く支持面40Daによって支持されている。支持面40Daは、各凹部40Dを形成している。つまり、3組の一対の凹部40Dのうちの1組の支持面40Daは、基板21を支持している。また、3組の一対の貫通孔40Cのうちの他の1組の支持面40Daは、基板22を支持している。また、3組の一対の貫通孔40Cのうちの残り1組の支持面40Daは、基板23を支持している。
【0067】
凹部40Dは、切欠き40Bに対応していなくてもよい。例えば、支持部44、45の各々は、一対の凹部40Dの代わりに、Y方向に長い1つの凹部を有していてもよい。つまり、支持部44、45の各々は、3組の一対の凹部40Dの代わりに、Z方向に並んだ3つの凹部を有していてもよい。当該凹部の各々のY方向の長さは、各基板21、22、23のY方向の長さ以上である。これにより、各基板21、22、23のX方向の端部の全域が当該凹部へ嵌め込まれる。この場合、各基板21、22、23が凸部24を備えていなくても、支持部44、45は、当該凹部によって各基板21、22、23を支持することが可能である。
【0068】
図6に示すコイル部品10Aは、第1支持部41及び第2支持部42の代わりに、支持部44、45を備えている。しかし、例えば、コイル部品は、第1支持部41の代わりに、支持部44を備えている一方で、第2支持部42を備えていてもよい。つまり、コイル部品は、支持部44と第2支持部42とを備えていてもよい。また、例えば、コイル部品は、第2支持部42の代わりに、支持部45を備えている一方で、第1支持部41を備えていてもよい。つまり、コイル部品は、支持部45と第1支持部41とを備えていてもよい。
【0069】
図1図4に示す支持部材40は第1支持部41及び第2支持部42を備えており、第1支持部41及び第2支持部42はX方向の両側から3つの基板20を挟んでいる。しかし、支持部材40の構成は、このような構成に限らない。
【0070】
例えば、支持部材40は、第1支持部41及び第2支持部42のうちの一方のみを備えていてもよい。この場合、支持部材40は、X方向の一方側のみにおいて基板20を支持するが、X方向の他方側は支持部材40ではない公知の構造(例えば、基板20を支持するための柱状部材)が基板20を支持する。
【0071】
また、例えば、図7に示すように、コイル部品10Bは、第1支持部41と第2支持部42と第3支持部46とが一体に形成された支持部材40を有していてもよい。図7は、本開示に係る一実施形態の変形例のコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【0072】
第1支持部41は、X方向の一方側から基板20に接触している。第2支持部42は、X方向の他方側から基板20に接触している。
【0073】
第3支持部46は、Y方向に沿って基板20に接触している。第3支持部46のX方向の両端部の各々は、第1支持部41及び第2支持部42と繋がっている。
【0074】
第3支持部46は、6つの貫通孔46Aを有する。各貫通孔46Aは、第3支持部46をY方向に貫通している。6つの貫通孔46Aのうちの2つには、基板21の凸部211が嵌め込まれている。6つの貫通孔46Aのうちの他の2つには、基板23の凸部231が嵌め込まれている。6つの貫通孔46Aのうちの残りの2つには、基板22の凸部221が嵌め込まれている。
【0075】
支持部材40の材料は、樹脂に限らない。例えば、支持部材40は、鉄等の金属を材料として構成されていてもよい。
【0076】
支持部材40が金属を材料として構成されている場合、複数の基板20で発生する熱や、コア材30で発生する熱を、金属で構成された支持部材40を介して放熱することができる。
【0077】
前記した説明は、以下のようにも表現することができる。
【0078】
(1)本開示の一態様のコイル部品10は、各々にコイルパターン25を有し、厚み方向(Z方向)に沿って隙間20Aを空けて重ねられた複数の基板20(基板21、22、23)と、前記複数の基板20に配置されたコア材30と、前記複数の基板20の外周部と係合して、前記隙間20Aを維持するように前記複数の基板20を支持する支持部材40と、を備える。
【0079】
(2)(1)のコイル部品10において、前記支持部材は、前記厚み方向(Z方向)と交差する交差方向(X方向)の両側から前記複数の基板20を挟む第1支持部41及び第2支持部42を備えていてもよい。
【0080】
(3)(1)または(2)のコイル部品10において、前記支持部材40は、前記厚み方向(Z方向)を向いており前記複数の基板20の各々を支持する支持面40Baを有していてもよい。
【0081】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのコイル部品10において、前記支持部材40は、前記支持部材40の外側面40Aから切り欠かれた切欠き40Bを有していてもよく、前記複数の基板20の各々は、前記複数の基板20の各々の側面から突出して前記切欠き40Bと係合した凸部24を有していてもよい。
【0082】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのコイル部品10において、前記支持部材40は、板状であってもよい。
【0083】
(6)(1)から(5)のいずれか1つのコイル部品10において、前記コア材30は、互いに接触する第1コア31と第2コア32とを備えていてもよく、前記第1コア31の少なくとも一部は、前記複数の基板20より前記厚み方向(Z方向)の一方側に位置していてもよく、前記第2コア32の少なくとも一部は、前記複数の基板20より前記厚み方向(Z方向)の他方側に位置していてもよい。
【0084】
(7)(1)から(6)のいずれか1つのコイル部品10において、前記支持部材40は金属で構成されていてもよい。
【0085】
(8)(1)から(7)のいずれか1つのコイル部品10において、前記支持部材40は、導電性の配線パターン(配線パターン61及びビア62、63)を有していてもよい。
【0086】
(9)(1)から(8)のいずれか1つのコイル部品10において、前記複数の基板20の少なくとも1つと前記支持部材40とは、接着剤50を介して接合されていてもよい。
【0087】
(10)(1)から(9)のいずれか1つのコイル部品10において、前記コア材30と前記支持部材40とは、接着剤50を介して接合されていてもよい。
【0088】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0089】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0090】
10 コイル部品
20 基板
20A 隙間
24 凸部
25 コイルパターン
30 コア材
31 第1コア
32 第2コア
40 支持部材
40A 外側面
40B 切欠き
40Ba 支持面
41 第1支持部
42 第2支持部
50 接着剤
61 配線パターン
63 ビア(配線パターン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7