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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066268
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】システム、装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20240508BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G08B25/10 B
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175745
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】391041660
【氏名又は名称】株式会社藤井基礎設計事務所
(71)【出願人】
【識別番号】522428863
【氏名又は名称】株式会社シンク・フジイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 芳生
(72)【発明者】
【氏名】堀 潤也
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA21
5C087AA23
5C087AA25
5C087AA37
5C087AA44
5C087AA51
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD14
5C087DD49
5C087EE14
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5K201AA07
5K201BA02
5K201BC27
5K201EB07
5K201ED05
5K201ED08
5K201EF06
5K201EF07
5K201EF09
(57)【要約】
【課題】
第1ユーザによる報知に、第2ユーザが応答したことを、第1ユーザに通知することが可能なシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】
報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、報知装置にて要求信号を受信したことに応じて、報知装置が報知機能を実行する報知手段と、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止手段と、前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが操作する第1ユーザ端末へ応答信号を送信する応答信号送信手段と、第1ユーザ端末にて応答信号を受信したことに応じて、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する第1通知手段とを備える、システム。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、
報知装置にて要求信号を受信したことに応じて、報知装置が報知機能を実行する報知手段と、
報知装置への第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止手段と、
前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが操作する第1ユーザ端末へ応答信号を送信する応答信号送信手段と、
第1ユーザ端末にて応答信号を受信したことに応じて、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する第1通知手段
とを備える、システム。
【請求項2】
報知装置から第1ユーザ端末へ、所定の信号を送信する信号送信手段を備え、
要求信号送信手段が、第1ユーザ端末にて前記所定の信号を受信したことに応じて、報知装置への要求信号の送信が可能となる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
要求信号送信手段が、第1ユーザが操作する単方向通信が可能な送信装置から、報知装置へ報知機能を実行することを要求する、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1通知手段とは別の、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する第2通知手段を備える、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
第1ユーザ端末が、第1ユーザが選択肢を選択することにより、選択肢に対応する入力を受け付ける選択肢受付手段を備え、
要求信号送信手段が、
選択肢受付手段にて受け付けた選択肢に対応する要求信号を、報知装置へ送信し、
報知手段が、選択肢に対応する要求信号に応じて異なる態様にて報知機能を実行する、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項6】
報知機能停止手段が、第2ユーザの所定の入力操作に応じて、報知機能の実行を停止するものであり、
入力操作が、物理的な入力操作、音声による入力操作、および/または、画像による入力操作を含む、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
報知機能が、音声の出力、発光、および/または、振動の発生である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
報知機能を実行することを要求する要求信号を受信する要求信号受信手段と、
要求信号を受信したことに応じて、報知機能を実行する報知手段と、
第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止手段と、
前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが操作する第1ユーザ端末へ応答信号を送信する応答信号送信手段
とを備える、装置。
【請求項9】
報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信ステップと、
報知装置にて要求信号を受信したことに応じて、報知装置が報知機能を実行する報知ステップと、
報知装置への第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止ステップと、
前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止ステップによる報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが操作する第1ユーザ端末へ応答信号を送信する応答信号送信ステップと、
第1ユーザ端末にて応答信号を受信したことに応じて、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する第1通知ステップと
を有する、方法。
【請求項10】
第1ユーザの操作に応じて、報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、
報知装置への第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能の実行の停止に応じて送信された応答信号を受信する応答信号受信手段と
を備える、装置。
【請求項11】
報知装置から所定の信号を受信する信号受信手段
を備え、
要求信号送信手段が、前記所定の信号を受信したことに応じて、報知装置への要求信号の送信が可能となる、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
コンピュータ装置を、
第1ユーザの操作に応じて、報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、
報知装置への第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能の実行の停止に応じて送信された応答信号を受信する応答信号受信手段
として機能させる、プログラム。
【請求項13】
コンピュータ装置において実行される方法であって、
第1ユーザの操作に応じて、報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信ステップと、
報知装置への第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能の実行の停止に応じて送信された応答信号を受信する応答信号受信ステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼出し者が、被呼出し者が呼び出されたことに気が付いたことを確認できるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
重機を使用する作業現場において、重機の外で作業をしている作業員が、重機の中で重機の運転をしているオペレータ(以下、重機オペレータともいう)とコミュニケーションをとるためには、まず、重機オペレータに、作業員がコミュニケーションをとろうとしていることに気付いてもらう必要がある。例えば、作業員は、重機の外から手を振って重機オペレータに合図を送ることで、重機オペレータに気付いてもらう試みをしていた。
【0003】
しかしながら、重機オペレータが作業に集中していて合図や連絡に気付かない場合も多かった。また、作業員が合図を送った後に重機オペレータが作業を停止したとしても、重機オペレータが作業員の合図に気付いたために作業を停止したのか、重機オペレータが偶然作業を停止したのかを判断することは容易ではなかった。
【0004】
結果として、重機オペレータが作業員に気付いていない状態で作業員が重機に接近し、重機に接触してしまう事故が後を絶たなかった。
【0005】
近年、このような、作業員と重機の接触事故に関する問題を解決するために、電波を利用するタグなどを用いて、重機に作業員が接近すると警報が鳴り、重機オペレータに作業員の接近を自動的に知らせるシステムが検討されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1記載のシステムは、重機オペレータに対して接近する作業員等がいることを警報により気付かせる手段を有するものであるが、作業員自身が、作業員の連絡に重機オペレータが気付いたかどうか知ることができるシステムではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-070722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、第1ユーザが第2ユーザに報知し、第2ユーザがそれに応答したことを第1ユーザに通知するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記目的は、
[1]報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、報知装置にて要求信号を受信したことに応じて、報知装置が報知機能を実行する報知手段と、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止手段と、前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが操作する第1ユーザ端末へ応答信号を送信する応答信号送信手段と、第1ユーザ端末にて応答信号を受信したことに応じて、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する第1通知手段とを備える、システム;
[2]報知装置から第1ユーザ端末へ、所定の信号を送信する信号送信手段を備え、要求信号送信手段が、第1ユーザ端末にて前記所定の信号を受信したことに応じて、報知装置への要求信号の送信が可能となる、請求項1に記載のシステム;
[3]要求信号送信手段が、第1ユーザが操作する単方向通信が可能な送信装置から、報知装置へ報知機能を実行することを要求する、請求項1または2に記載のシステム;
[4]前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1通知手段とは別の、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する第2通知手段を備える、請求項1~3のいずれかに記載のシステム;
[5]第1ユーザ端末が、第1ユーザが選択肢を選択することにより、選択肢に対応する入力を受け付ける選択肢受付手段を備え、要求信号送信手段が、選択肢受付手段にて受け付けた選択肢に対応する要求信号を、報知装置へ送信し、報知手段が、選択肢に対応する要求信号に応じて異なる態様にて報知機能を実行する、請求項1~4のいずれかに記載のシステム;
[6]報知機能停止手段が、第2ユーザの所定の入力操作に応じて、報知機能の実行を停止するものであり、入力操作が、物理的な入力操作、音声による入力操作、および/または、画像による入力操作を含む、請求項1~5のいずれかに記載のシステム;
[7]報知機能が、音声の出力、発光、および/または、振動の発生である、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
[8]報知機能を実行することを要求する要求信号を受信する要求信号受信手段と、要求信号を受信したことに応じて、報知機能を実行する報知手段と、第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止手段と、前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが操作する第1ユーザ端末へ応答信号を送信する応答信号送信手段とを備える、装置;
[9]報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信ステップと、報知装置にて要求信号を受信したことに応じて、報知装置が報知機能を実行する報知ステップと、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止ステップと、前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止ステップによる報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが操作する第1ユーザ端末へ応答信号を送信する応答信号送信ステップと、第1ユーザ端末にて応答信号を受信したことに応じて、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する第1通知ステップとを有する、方法;
[10]第1ユーザの操作に応じて、報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能の実行の停止に応じて送信された応答信号を受信する応答信号受信手段とを備える、装置;
[11]報知装置から所定の信号を受信する信号受信手段を備え、要求信号送信手段が、前記所定の信号を受信したことに応じて、報知装置への要求信号の送信が可能となる、請求項10に記載の装置;
[12]コンピュータ装置を、第1ユーザの操作に応じて、報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能の実行の停止に応じて送信された応答信号を受信する応答信号受信手段として機能させる、プログラム;
[13]コンピュータ装置において実行される方法であって、第1ユーザの操作に応じて、報知装置へ報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信ステップと、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能の実行の停止に応じて送信された応答信号を受信する応答信号受信ステップとを有する、方法;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1ユーザが第2ユーザに報知し、第2ユーザがそれに応答したことを第1ユーザに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るシステムの構成を示す概念図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる報知装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる第1ユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係るシステムにおける報知処理のフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態に係る第1ユーザ端末の表示画面における表示の一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る報知部の一例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係るシステムにおける報知機能停止処理のフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態に係るシステムにおける応答処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同であり、また、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で、フローチャートを構成する各処理の一部を省略することや、フローチャートを構成する各処理に新たな処理を追加することも可能である。
【0012】
以下、本実施の形態に係るシステムを、重機を使用する作業現場において、重機外(車両外)で作業をしている第1ユーザである作業者が、自身から離れた位置に存在する重機内(車両内)で重機の運転をしている重機オペレータである第2ユーザに用件を伝えたい状況において適用する場合を例に説明をする。重機としては、例えば、建設機械や土木工事機械があげられる。なお、本実施の形態に係るシステムは、重機にだけ用いられるのではなく、他の車両において用いることも可能である。
【0013】
(システム)
図1は、本発明の実施の形態に係るシステムの構成を示す図である。システム1は、報知装置2と、第1ユーザ端末3とを備える。報知装置2および第1ユーザ端末3は、通信ネットワーク4を介して、互いに通信可能に接続され得る。
【0014】
本発明の実施の形態にかかるシステム1では、報知装置2および第1ユーザ端末3のいずれかが情報処理装置として機能し得る。報知装置2および第1ユーザ端末3のいずれかが情報処理装置として機能する際に、必要に応じて、報知装置2と第1ユーザ端末3との間で、情報の送受信を実行する。なお、第1ユーザ端末3の数は、1以上の複数であってもよく、特に限定されない。また、報知装置2は、複数のコンピュータ装置に分散して機能するものであってもよい。
【0015】
通信ネットワーク4は、報知装置2と第1ユーザ端末3との間で双方向通信が可能なネットワーク環境を供するものであればよく、例えば、報知装置2または第1ユーザ端末3をアクセスポイントとしたBluetooth(登録商標)やWi-Fiによる無線LANや、特定小電力無線による通信ネットワークや、報知装置2または第1ユーザ端末3をアクセスポイントとしたインターネットを介した通信ネットワークが挙げられる。これらの通信ネットワーク4のいずれを採用するかは、作業現場周辺のインターネット環境や、作業現場における報知装置2と第1ユーザ端末3との想定される離間距離などの条件により、適宜決定すればよい。
【0016】
通信ネットワーク4として、報知装置2または第1ユーザ端末3をアクセスポイントとしたBluetooth(登録商標)やWi-Fiによる無線LANや、特定小電力無線による通信ネットワークを利用する場合は、インターネットのサービスエリア外の場所や、サービスが利用できないトンネル内などの場所においても、本実施の形態のシステムを利用することができるので好ましい。
【0017】
(報知装置)
報知装置2は、重機内または重機近傍に配置される。図2は、本発明の実施の形態にかかる報知装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に図示するように、本発明の実施の形態に係る報知装置2は、報知部5、制御部6、入力部7、および、通信部8を備える。また、報知装置2は、RAM、ストレージ部を備える。各部は、それぞれバスにより接続されている。
【0018】
報知部5は、報知機能を実行する。報知機能は、人の知覚により認識できる出力を発現できるものであれば、特に限定されない。報知機能としては、例えば、音声出力、発光、および/または、振動の発生などが挙げられる。報知機能として、振動の発生が用いられる場合、報知部5として、骨伝導スピーカを用いることができる。第2ユーザは、骨伝導スピーカなどの振動の発生が可能な装置を所持又は装着することで、報知機能の実行により、第1ユーザから何らかの働きかけがあったことを知ることができる。報知部5による報知機能の実行は、制御部6により制御される。
【0019】
制御部6は、CPUやROMから構成される。制御部6は、ストレージ部に格納されたプログラムを実行し、報知装置2の制御を行う。RAMは、報知装置2のワークエリアである。ストレージ部は、プログラムやデータを保存するための記憶領域(記録媒体)である。制御部6は、RAMから読み出したプログラムおよびデータ、ならびに、入力部7にて入力されたデータをもとに、所定の処理を行う。
【0020】
通信部8は無線または有線により通信ネットワーク4に接続が可能であり、通信ネットワーク4を介して、少なくとも第1ユーザ端末3とデータを送受信することが可能である。通信部8を介して受信したデータは、報知装置2のRAMにロードされ、制御部6により演算処理が行われる。
【0021】
報知装置2は、入力部7として、報知機能の実行を停止するための停止ボタンや、後述する音声認識のためのマイクや画像認識のためのカメラなどを備える。
【0022】
電源部9は、報知装置2の稼働に要する電力を供給可能であればよく、例えば、公知のポータブル電源や、重機のシガーソケットから電源を供給可能なアダプターなどを用いることができる。
【0023】
図2では、報知部5、制御部6、入力部7および通信部8が、報知装置2として一体で形成されているが、報知部5、制御部6、入力部7および通信部8の少なくとも1つが別体として形成されていてもよい。すなわち、本実施の形態において、「報知装置」には、報知部5、制御部6、入力部7および通信部8が一体として形成されているものだけでなく、報知部5、制御部6、入力部7および通信部8の少なくとも1つが別体として形成されたものも含まれる概念である。
【0024】
例えば、報知部5を制御部6、入力部7および通信部8と別体として形成することができ、また、通信部8を報知部5、制御部6および入力部7と別体として形成することができる。さらには、報知部5を、制御部6および入力部7と別体として形成し、且つ、通信部8を、報知部5と、制御部6および入力部7のそれぞれと、別体として形成することができる。
【0025】
例えば、報知部5として骨伝導スピーカを用いる場合、報知部5を、制御部6、入力部7および通信部8を含む報知装置本体と別体として形成することができる。
【0026】
通信部8を、第1ユーザ端末と通信をするための基地局として用いる場合、通信部8を、報知部5、制御部6および入力部7と別体として形成することができる。第1ユーザ端末と制御部6との通信は、通信部8を介して実行される。
【0027】
また報知装置2は、第2ユーザが操作するコンピュータ装置(以下、第2ユーザ端末ともいう)であってもよい。その場合、第2ユーザ端末は、後述する第1ユーザ端末3と同様の構成のものを採用することができる。また、第2ユーザが、入力部7を操作することで、報知装置2を搭載した重機等の車両を稼働し、操作できるようにすることも可能である。
【0028】
(ユーザ端末)
第1ユーザ端末3は、重機の外にいる第1ユーザが操作する端末である。第1ユーザ端末3は、表示部と入力部を有するコンピュータ装置であれば特に限定されないが、例えば、従来型の携帯電話、タブレット型端末、スマートフォン、デスクトップ型・ノート型のパーソナルコンピュータなどの双方向の通信が可能な装置が挙げられる。タブレット型端末や、スマートフォンなどの携帯が可能な端末が好ましく用いられる。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態にかかる第1ユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。第1ユーザ端末3は、制御部11、RAM12、ストレージ部13、入力部14、表示部15および通信インタフェース16を備え、それぞれバスにより接続されている。
【0030】
制御部11は、CPUやROMから構成される。制御部11は、ストレージ部13に格納されたプログラムを実行し、第1ユーザ端末3の制御を行う。RAM12は、制御部11のワークエリアである。ストレージ部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。つまり、ストレージ部13は、プログラムを記憶した記録媒体として機能する。制御部11は、RAM12から読み出したプログラムおよびデータ、ならびに、入力部14にて入力されたデータをもとに、演算処理を行う。
【0031】
表示部15は表示画面15aを有している。制御部11は、演算処理の結果に応じて、表示画面15aに画像を表示するためのビデオ信号を出力する。ここで、表示部15の表示画面15aはタッチセンサを備えるタッチパネルであってもよい。この場合、タッチパネルが入力部14として機能する。タッチパネルは接触式でも非接触式であってもよい。
【0032】
通信インタフェース16は無線または有線により通信ネットワーク4に接続が可能であり、通信ネットワーク4を介して、他のコンピュータ装置や通信装置と、データを送受信することが可能である。通信インタフェース16を介して受信したデータは、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0033】
報知装置2は、重機内又は重機内にいる第2ユーザの近傍に配置する。例えば、報知機能が発光である場合は、報知装置2は、重機内にいる第2ユーザから報知装置2又は報知装置2の発光が視認できる位置に配置することが好ましい。また、例えば、報知機能が音声出力である場合は、報知装置2は、重機内にいる第2ユーザが報知装置2から出力された音声を認知できる位置に配置することが好ましい。
【0034】
報知装置2は、報知装置2の周囲に所定の信号を送信することができる。所定の信号とは、例えば、第1ユーザ端末から報知装置2に対して、報知装置2が報知機能を実行することを要求する要求信号を送信することを可能とするための信号である。所定の信号には、該信号を送信した報知装置2を識別するための識別情報、又は、後述する第1ユーザ端末の表示画面に表示される選択肢に関する情報などが含まれていてもよい。
【0035】
報知装置2から所定の信号を受信した第1ユーザ端末3は、該報知装置2へ要求信号を送信することが可能となる。例えば、第1ユーザ端末3が報知装置2から所定の信号を受信した場合に、第1ユーザ端末3において、報知装置2に対して要求信号を送信するための画面を表示可能に制御することができる。また、例えば、第1ユーザ端末3が報知装置2から所定の信号を受信した場合に、第1ユーザ端末3において、報知装置2に対して要求信号を送信するためのボタンを選択可能に制御することができる。
【0036】
また、ここでは、報知装置2から所定の信号を受信した第1ユーザ端末3について、該報知装置2へ要求信号を送信することが可能となるように制御することとしたが、これに代わり、報知装置2から所定の信号を受信しなくても、第1ユーザ端末3から報知装置2へ要求信号を送信することを可能としてもよい。この場合、第1ユーザ端末3にて報知装置2からの所定の信号を受信することで、第1ユーザ端末3の表示画面に、報知装置2からの所定の信号を受信した旨の情報、報知装置2が近くに存在する旨の情報、又は、報知装置2に対して要求信号を送信できる旨の情報を表示することができる。
【0037】
以下、図4を参照して、報知装置2から所定の信号が送信され、報知装置2が報知機能を実行するまでの報知処理について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係るシステムにおける報知処理のフローチャートである。まず、報知装置2は、所定の信号を周囲に送信する(ステップS1)。重機とは離れた場所にいる第1ユーザは、スマートフォンなどの端末を所持している。第1ユーザ端末3が、報知装置2からの信号を受信可能な通信圏内に存在する場合、第1ユーザ端末3は、報知装置2から送信された所定の信号を受信する(ステップS2)。第1ユーザ端末3が所定の信号を受信すると、第1ユーザ端末3の制御部11は、第1ユーザ端末3の表示画面15aに、要求信号を送信するための1または複数の選択肢の選択を受け付け可能に表示させる(ステップS3)。
【0038】
図5は、本発明の実施の形態に係る第1ユーザ端末の表示画面における表示の一例を示す図である。ステップS3においては、図示するように、第1ユーザ端末3の表示画面15aに、1または複数の選択肢が表示される。図5においては、第1ユーザ端末3の表示画面15aに、選択肢21~23として、「危険」、「注意」、および「連絡」の3つの選択肢が表示されている。これらの選択肢21~23は、例えば、選択肢21の表示領域内全体を赤色とし、該表示域内に黒文字で「危険」と表示し、選択肢22の表示領域内全体を黄色とし、該領域内に黒文字で「注意」と表示し、選択肢23の表示領域内全体を青色とし、該領域内に黒文字で「連絡」とそれぞれ表示される態様が挙げられる。上記の例においては、選択肢が3つの場合を説明したが、表示される選択肢の数は1以上であれば、特に限定されず、4つでも5つでもそれ以上であってもよい。第1ユーザ端末3において、第1ユーザの操作により、表示された選択肢のうち、いずれか1の選択肢が選択される(ステップS4)。
【0039】
重機の外で作業をしている第1ユーザは、重機オペレータに伝えたい用件に応じて選択肢を選択することができる。例えば、重機オペレータが他の重機や作業者に近接しているなどの緊急事態にある場合は「危険」を選択することができる。重機オペレータが他の重機や作業者に近接する可能性がある場合は「注意」を選択することができる。また、重機の外で作業をしている第1ユーザは、重機オペレータに連絡を取りたい場合に「連絡」を選択することができる。
【0040】
ステップS4で入力を受け付けると、第1ユーザ端末3は、報知装置2へ、報知部5が報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する(ステップS5)。要求信号は、第1ユーザが選択した選択肢に応じて、異なる信号としてもよく、同一の信号としてもよい。
【0041】
報知装置2が要求信号を受信する(ステップS6)と、報知装置2の報知部5において報知機能が実行され(ステップS7)、報知処理は終了する。
【0042】
図6は、本発明の実施の形態に係る報知部の一例を示す図である。図6においては、報知部5と入力部7とを含む、独立した装置の形状をした報知部5を例としてあげる。図6に示す報知部5は、LEDランプにより光を発することが可能なランプ部31と、音を発することが可能なスピーカ部32と、入力部7を備える。ランプ部31は、点灯時に赤色に光る赤色ランプ部31aと、黄色に光る黄色ランプ部31bと、青色に光る青色ランプ部31cとから構成される。入力部7は、例えば、報知機能を停止するための停止ボタンである。また、図示しないが、報知部5を振動させる機能を備えてもよい。
【0043】
報知機能は、報知機能が実行されていることを人が認識できるものであれば、特に限定されない。ステップS7では、例えば、報知装置2の制御部6が、報知部5のランプ部31を発光する、スピーカ部32から音を発する、報知部5を振動させるように制御する。これらの発光、音声出力、振動は、単独で実行されてもよく、同時に実行されてもよく、交互に繰り返し実行されてもよい。
【0044】
ステップS4において第1ユーザが選択した選択肢に応じた要求信号が、ステップS5において送信された場合、ステップS7では、制御部6が受信した要求信号に応じた報知機能が実行されるように制御することができる。
【0045】
具体的には、要求信号が第1ユーザによる「危険」の選択肢21に対応する入力を受け付けたことに応じて送信されたものである場合、制御部6は、報知機能として赤色ランプ部31aを点灯させ、スピーカ部32から出力される音量を10段階の最大レベルとし、かつ、報知部5を振動させてもよい。また、要求信号が第1ユーザによる「注意」の選択肢22に対応する選択を受け付けたことに応じて送信されたものである場合、制御部6は、報知機能として黄色ランプ部31bを点灯させ、スピーカ部32から出力される音量を10段階のレベル6とし、かつ、報知部5を振動させてもよい。さらに、要求信号が第1ユーザによる「連絡」の選択肢23に対応する入力を受け付けたことに応じて送信されたものである場合、制御部6は、報知機能として青色ランプ部31cを点灯させ、かつ、スピーカ部32から出力される音量を10段階のレベル3としてもよい。
【0046】
上記説明では、受信した要求信号によって、実行させる報知機能の態様を変更し、相異ならせた場合について説明したが、受信した要求信号によらず、実行させる報知機能の態様を同一のものとしてもよい。例えば、すべての要求信号に対して、赤色ランプ部31aを点灯させる態様としてもよい。
【0047】
重機オペレータである第2ユーザは、報知部5が報知機能を実行していることを認識すると、報知機能の実行を停止するための所定の操作を実行する。
【0048】
図7は、本発明の実施の形態に係るシステムにおける報知機能停止処理のフローチャートである。報知装置2において報知機能を実行している間に、報知機能の実行を停止するための所定の操作がなされたか否かが検知される(ステップS11)。報知装置2において、所定の操作がなされたことが検知されると(ステップS11にて、YES)、報知部5による報知機能の実行が停止され(ステップS12)、報知機能停止処理は終了する。
【0049】
一方、ステップS11にて所定の操作がなされたことが検知されない場合(ステップS11にて、NO)、ステップS12は実行されず、報知部5による報知機能の実行が継続される。
【0050】
ステップS11およびS12において、報知機能の実行を停止するための所定の操作とは、報知装置2に対する所定の入力操作をいう。入力操作は、物理的な入力操作、音声による入力操作、および/または、画像による入力操作を含む。物理的な入力操作は、例えば、報知装置2の入力部7がボタンを備え、該ボタンを押すことや、入力部7がタッチパネルを備え、タッチパネルへのタッチ操作をすることが挙げられる。
【0051】
音声による入力操作の場合、報知装置2が音声を認識する機能を備え、所定の音声を認識した場合に第2ユーザの所定の操作がされたものとして、制御部6が報知機能の実行を停止する。具体的には、例えば、報知装置2が入力部7として音声入力部を備え、音声入力部が受け付けた第2ユーザによる音声データを、公知の音声認識技術によりテキスト情報に変換する。制御部6は、ストレージ部に、報知機能の実行を停止するための操作のテキスト情報、例えば「停止してください」などを記憶しておく。変換されたテキスト情報が、記憶された操作テキスト情報に対応するものである場合は、第2ユーザの所定の操作がされたものと判定する。
【0052】
画像による入力操作の場合、報知装置2に備えられた撮像機能により、第2ユーザを撮像し、報知装置2に備えられた画像認識機能により、第2ユーザにより所定のポーズがとられていること、または、第2ユーザにより所定の動作がなされたことが認識された場合、制御部6が報知機能の実行を停止する。報知装置2のストレージ部には、報知機能の実行を停止するための所定の操作の画像情報が記憶されており、撮像された画像が、記憶された画像情報に対応するものである場合は、第2ユーザによって所定の操作がされたものと判定する。撮像した画像について画像認識を行い、第2ユーザによって所定の操作がされたか否かを判定する処理は、公知の方法を利用することができる。
【0053】
所定のポーズおよび/または所定の動作は、例えば、第2ユーザが「右手をまっすぐ上に挙げる」などのポーズおよび/または動作としてもよい。また、撮像される画像は、静止画であっても動画であってもよい。さらに、画像認識機能は、画像の全体を認識して判定するものであってもよく、または、被写体である第2ユーザが記録された範囲を認識して判定するものであってもよい。
【0054】
報知機能の実行を停止するための所定の操作が実行された場合、あるいは、報知機能の実行が停止された場合には、第2ユーザは、第1ユーザから報知を受けたことを認識したと考えられる。そのため、報知機能の実行を停止するための所定の操作が実行された場合、あるいは、報知機能の実行が停止された場合には、図8に示すような、応答処理が実行される。
【0055】
図8は、本発明の実施の形態に係るシステムにおける応答処理のフローチャートである。報知装置2は、報知機能の実行を停止するための所定の操作が実行された場合、又は、報知機能の実行を停止したことを検出した場合(ステップS21にて、YES)、第1ユーザ端末3へ応答信号を送信する(ステップS22)。応答信号は、要求信号に対する応答であり、第2ユーザが、第1ユーザに対して、第1ユーザからの報知機能の実行を要求する要求信号が送信されたことを認識したことを知らせるための信号である。ステップS21の処理は、報知機能の実行を停止するための所定の操作が実行されるまで、又は、報知機能の実行を停止したことを検出するまで、繰り返し実行される。
【0056】
第1ユーザ端末3は、送信された応答信号を受信する(ステップS23)。ステップS23において、第1ユーザ端末3が応答信号を受信すると、第1ユーザ端末3において、第1ユーザが認識可能な通知機能が実行され(ステップS24)、応答処理は終了する。
【0057】
ステップS24における通知機能を実行させるとは、第2ユーザが第1ユーザから報知を受けたことを認識したことを第1ユーザが認識できるような通知がなされることを表わす。例えば、第1ユーザ端末3の表示画面15aに、「了解」、「OK」、「確認」、「重機側了解」などの文字情報を表示させる態様や、表示画面15aの表示領域を緑色など所定の色に点灯させるなど表示画面15aを点灯させる態様や、文字情報と表示領域の点灯を組み合わせた態様により、通知機能を実行することができる。
【0058】
上記本実施の形態において、要求信号は第1ユーザ端末3から送信するものとしたが、第1ユーザ端末3とは別に、又は、第1ユーザ端末3に代えて、第1ユーザが操作する送信装置により要求信号の送信を可能とすることができる。送信装置としては、リモコンやICタグなど、送信装置側から報知装置2への単方向の通信が可能な装置が挙げられる。このような送信装置を備えることで、第1ユーザ端末3の電池が切れるなど、第1ユーザ端末3から要求信号が送信できない場合であっても、別の手段により要求信号を送信することができ、第2ユーザに危険等を知らせることができる。リモコンは、ボタンを押す時以外はスリープしているので、電池も切れにくく、また、小型であるため、ストラップで首にでも掛けておき、必要な時にすぐに取り出してボタンを押すことができるため、緊急で合図を送りたい時に便利である。第1ユーザ端末3としてスマートフォンを用いている場合、リモコンであれば、スマートフォンよりも時間をかけずに要求信号を送信することができる。
【0059】
送信装置がリモコンである場合、第1ユーザ端末3からの要求信号の送信の場合と同様に、1または複数の選択肢に対応する入力を受け付け、受け付けた選択肢に応じて、個別の要求信号を送信することを可能にすることが好ましい。例えば、リモコンが1または複数の選択肢に対応する入力部を備え、第1ユーザの選択した選択肢に対応する要求信号を送信する態様が挙げられる。入力部は、ボタンやスイッチがあげられる。また、リモコンが、タッチセンサを備えるタッチパネルからなる表示画面を備え、タッチパネルが入力部として機能するものであってもよい。
【0060】
送信装置から要求信号を受信した報知装置2は、上記ステップS7における第1ユーザ端末3からの要求信号を受信した場合と同様に、受信した要求信号に応じて、報知部5が報知機能を実行するように制御する。
【0061】
第1ユーザ端末3に代えて、リモコン等の単方向の通信が可能な装置にて、報知装置2へ要求信号を送信した場合であっても、ステップS22では、報知装置2から第1ユーザ端末3へ応答信号を送信し、第1ユーザ端末3にてステップS23、S24が実行されてもよい。また、第1ユーザ端末3に代えて、リモコン等の単方向の通信が可能な装置にて、報知装置2へ要求信号を送信した場合に、重機に取り付けたライトを光らせる等、第2ユーザが応答したことを示す別の伝達手段を採用してもよい。
【0062】
ステップS7において、制御部6が、受信した要求信号に応じて、報知部5が報知機能を実行する態様としては、上記ランプ部を備える報知装置2におけるランプの点灯に限られない。例えば、報知装置2が表示画面を備え、要求信号に応じて、表示画面全体に赤色など色を表示したり、表示画面に文字や記号などの情報を表示させるものであってもよい。さらにまた、報知装置2として、重機オペレータである第2ユーザが操作する第2ユーザ端末を用いる場合、第2ユーザ端末の表示画面に、要求信号に応じて、表示画面全体に赤色などの色を表示したり、表示画面に文字や記号などの情報を表示させてもよい。
【0063】
また、本実施の形態のシステムの応答処理において、ステップS24にて第1ユーザ端末3にて応答信号に応じた表示をすることに加えて、音、光、および/または、振動を実行する通知機能を実行する他の通知手段を備えてもよい。他の通知手段による通知機能の実行は、例えば、重機のルーフ上や第1ユーザの近傍にスピーカ、ランプ等を備え、呼び出し側である第1ユーザが認識可能な音量で音を出力したり、ランプを点灯することが挙げられる。
【0064】
以上のように、本実施の形態のシステムにおいては、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、報知機能を停止し、かつ、第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザ端末へ応答信号を送信するので、呼出し者である第1ユーザと被呼出し者である第2ユーザとが、互いに連絡および応答があったことを確認することができる。
【0065】
また、本実施の形態のシステムは、報知装置から第1ユーザ端末へ、所定の信号を送信し、第1ユーザ端末にて前記所定の信号を受信したことに応じて、報知装置への要求信号の送信が可能となる構成を有する場合、報知装置がトリガーとなって呼び出しが実行されるので、トンネル内や、携帯電話の電波が届かない場所であっても、第2ユーザを確実に呼び出すことができる。
【0066】
また、本実施の形態のシステムは、第1ユーザが操作する単方向通信が可能な送信装置から、報知装置へ、報知装置が報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する構成を有する場合、電池が切れるなどにより、第1ユーザ端末から要求信号が送信できない場合であっても、別の手段により要求信号を送信することができる。
【0067】
さらにまた、本実施の形態のシステムは、第1ユーザ端末や送信装置にて受け付けた選択肢に対応する要求信号に応じて、相異なる態様にて報知機能を実行する構成を有する場合、第2ユーザは、実行された報知機能により、危険度など、重機外の作業者が知らせたい用件の概要を知ることができる。
【0068】
本実施の形態のシステムは、その用途は特に限定されない。第1ユーザが第2ユーザに報知し、第2ユーザがそれに応答したことを第1ユーザに通知するための用途に好ましく用いることができる。例えば、第1ユーザと第2ユーザとの間に視認を妨げる遮蔽物が存在し、第1ユーザが第2ユーザからは視認できない位置にいる場合や、第1ユーザが第2ユーザから離れた位置(例えば、5m又は10mなど所定の距離以上離れた位置)にいて、第1ユーザが第2ユーザからは視認しづらい位置にいる場合、第1ユーザと第2ユーザとの間に遮蔽物が存在して、又は、第1ユーザが第2ユーザから離れた位置にいて、第1ユーザの声や第1ユーザが発生させる音が届かない又は音が届きづらい場合など、第1ユーザと第2ユーザとの間で意思疎通がとれない又は適切な意思疎通がとりづらい場合に、好ましく用いることができる。また、第1ユーザと第2ユーザとの間に遮蔽物もなく相互に十分な視認が可能な場合や、第1ユーザの声や第1ユーザが発生させる音が第2ユーザに十分に届くような場合であっても、第2ユーザが所定の作業に集中していても第1ユーザと意思疎通をとる必要があるような場合にも、好ましく用いることができる。
【0069】
本実施の形態のシステムは、重機を使用する作業現場のほか、作業車両、土木機械、建機、建設機械などの作業現場において適用することができる。また、作業現場に限られず、呼出し者が、被呼出し者が呼び出されたことに気が付いたことを確認したい場面において適用することができる。また、本実施の形態のシステムは、トンネル内や、携帯電話の電波が届かない場所であっても、適用することができる。さらに、本実施の形態のシステムは、家庭やオフィスなどにおいて、離れた位置や視認できない位置にいる人同士が意思疎通をとるような場合にも、適用することができる。
【0070】
本発明には、上記に説明したシステムにおいて、重機の外で作業をしている作業員である第1ユーザが、第1ユーザ端末を使用しない態様も含まれる。すなわち、第1ユーザ端末のかわりにリモコンなどの送信装置を用いて要求信号を送信し、第2ユーザが呼び出されたことに気が付いたことを、重機または重機近傍に備えられる通知手段において実行する態様も含まれる。より具体的には、第1ユーザが操作する送信装置から、報知装置へ、報知装置が報知機能を実行することを要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、報知装置にて要求信号を受信したことに応じて、報知装置が、報知装置の周囲への報知機能を実行する報知手段と、報知装置への第2ユーザの操作に応じて、報知機能の実行を停止する報知機能停止手段と、前記第2ユーザの操作に応じて、または、報知機能停止手段による報知機能の実行の停止に応じて、第1ユーザが認識可能な通知機能を実行する通知手段を備える態様をいう。
【0071】
第1ユーザ端末を使用せずに、リモコンなどの単方向通信の送信装置を用いて要求信号を送信する態様においても、上記第1ユーザ端末を使用する実施の形態と同様に、送信装置が、第1ユーザが選択肢を選択することにより、選択肢に対応する入力を受け付ける選択肢受付手段を備え、要求信号送信手段が、選択肢受付手段にて受け付けた選択肢に対応する要求信号を、報知装置へ送信し、報知手段が、選択肢に対応する要求信号に応じて、相異なる態様にて報知機能を実行してもよい。
【0072】
第1ユーザ端末を使用する態様と、第1ユーザ端末を使用せずにリモコンなどの送信装置を使用する態様とは、要求信号を送信する状況や目的に応じて適宜採用することができる。例えば、送信装置がリモコンであって、入力部としてボタンやスイッチなどを備える態様では、第1ユーザ端末がスリープ状態にある場合よりも、第1ユーザが端末又は装置を操作し始めてから要求信号を送信するまでにかかる時間が短い傾向にある。よって、例えば、崖の下などで作業が行われるような工事現場において、工事を監視する監視員などの第1ユーザにリモコンを持たせて、重機を操作する第2ユーザに崖崩れなど危険度や緊急度の高い用件を伝えたい場合には、第1ユーザ端末を使用せずリモコンなどの送信装置を使用する態様とし、重機の傍らを通りたい場合など危険度や緊急度がより低い用件を第2ユーザに伝えたい場合には、第1ユーザ端末を使用する態様としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 システム、2 報知装置、3 第1ユーザ端末、4 通信ネットワーク、5 報知部、6 制御部、7 入力部、8 通信部、9 電源部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8