(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066294
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240508BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F25D23/00 301Z
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175779
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由紀
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA18
3L045MA01
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3L345JJ23
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】貯蔵室から取り出した食品を食べ頃のタイミングで食することが容易になる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を備え、前記貯蔵室の冷却制御を実施する冷蔵庫において、前記貯蔵室に貯蔵された食品の貯蔵状態又は特徴に応じて、前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの目安時間を提示することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を備え、前記貯蔵室の冷却制御を実施する冷蔵庫において、
前記貯蔵室に貯蔵された食品の貯蔵状態に応じて、前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの目安時間を提示することを特徴とする、冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵状態である前記貯蔵室での貯蔵時間に関する情報を取得し、前記の貯蔵時間に関する情報に基づく前記目安時間を提示する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵状態に加えて、前記食品の冷却しやすさに関する情報を取得し、前記の食品の冷却しやすさに関する情報に基づく前記目安時間を提示する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記食品が前記貯蔵室に入れられた後の前記貯蔵室の冷却制御に基づき前記目安時間を調整する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記食品が前記貯蔵室に入れられた後の前記貯蔵室の冷却制御に応じた場合分けをして前記目安時間を提示する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの環境の情報に基づき前記目安時間を調整する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの環境の情報に応じた場合分けをして前記目安時間を提示する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記目安時間に適した冷却制御を提示する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記目安時間に適した冷却制御を実施する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの環境の情報を取得し、前記の環境の情報に応じて調整した冷却制御を提示する、請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの環境の情報を取得し、前記の環境の情報に応じて調整した冷却制御を実施する、請求項9に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの環境についてのアドバイスを提示する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍室や冷蔵室等の貯蔵室に保存されていた食品を弁当箱に詰める等して利用することが行われている。そのような利用にあたり、貯蔵室から取り出した食品に対し、レンジで解凍する等の処理を行うことは、利用者にとって面倒である。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載のように、貯蔵室から取り出した食品を、レンジで解凍する等の処理を行わずにそのまま弁当箱等に詰め、ある程度の時間の経過後に食することも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、貯蔵室から取り出した食品をそのまま弁当箱等に詰める場合、実際にその食品を食する時に食品が温まり過ぎて傷んでいたり、逆に食品が十分に解凍されていなかったりするおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、貯蔵室から取り出した食品を食べ頃のタイミングで食することが容易になる冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を備え、前記貯蔵室の冷却制御を実施する冷蔵庫において、前記貯蔵室に貯蔵された食品の貯蔵状態に応じて、前記食品を前記貯蔵室から取り出してから前記食品を食するまでの目安時間を提示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】実施形態1の変更例6における表示部の表示。
【
図8】実施形態1の変更例8における表示部の表示。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0010】
1.実施形態1
図1及び
図2に実施形態の冷蔵庫10を示す。冷蔵庫10は外郭を形成する断熱性の筐体11を有している。筐体11の所定位置に、スマートフォン等の外部端末と通信可能な通信部44(
図3参照)が設けられている。
【0011】
筐体11の内側は断熱仕切壁21によって上下に仕切られている。断熱仕切壁21より上は冷蔵空間である。冷蔵空間は冷蔵保存に適した温度である冷蔵温度に維持される。また、断熱仕切壁21より下は冷凍空間である。冷凍空間は冷凍保存に適した温度である冷凍温度に維持される。
【0012】
冷蔵空間及び冷凍空間には食品(食材とも表現される)を貯蔵する貯蔵室がそれぞれ複数設けられている。各貯蔵室は前方に開口部を有し、利用者はその開口部から食品を出し入れできる。
【0013】
冷蔵空間には上から順に貯蔵室としての冷蔵室20及び野菜室22が設けられている。冷蔵室20内には複数の載置棚24が設けられている。冷蔵室20内の載置棚24の周囲は、冷蔵温度の範囲内の例えば2~5℃に維持される。冷蔵室20内の下部にはチルド室26が設けられている。チルド室26は冷蔵室20の内部でも特に低温に維持される場所で、例えば0~3℃に維持される。
【0014】
冷蔵室20の前方開口部は、フレンチ式(観音式)の左右一対の冷蔵室扉50、51で開閉される。左側の冷蔵室扉50には操作パネル12が設けられている。操作パネル12には操作部13及び表示部14が設けられている。操作部13は利用者が冷蔵庫10の操作をするための部分である。表示部14は利用者に対し必要な情報を表示する部分である。
【0015】
操作部13には各種のボタンが表示される。ボタンとしては、貯蔵室の温度を設定するための温度設定ボタン、貯蔵室に入れた食品に関する情報(例えば、食品の種類、食品の量、食品の梱包状態等)を入力する食品情報入力ボタン、時間に関する情報(例えば、貯蔵室に食品を入れた時刻、貯蔵室に食品が貯蔵されている時間、貯蔵室に食品を貯蔵しておく予定時間、貯蔵室から食品を取り出す予定時刻等)を入力する時間情報入力ボタン、環境に関する情報(例えば屋外の気温や湿度)を入力する環境情報入力ボタン、貯蔵室から食品を取り出した後の環境に関する情報(例えば、取り出した後の食品の保存方法や持ち運び方法)を入力する取り出し後情報入力ボタン、冷蔵庫の制御に関する指示(例えば製氷や急速冷凍に関する指示)をするための制御ボタン、等の様々なものが挙げられる。
【0016】
冷蔵庫10の利用者は、ボタンを操作することにより、後述する目安時間(食品を貯蔵室から取り出してから食品を食するまでの目安時間)を提示するための情報を入力したり、冷蔵庫10に制御に関する指示をしたりする。
【0017】
表示部14は例えば液晶表示装置からなる。表示部14には、上記の目安時間、利用者に対するアドバイス、冷蔵庫10の運転状況等が表示される。また、表示部14と隣接して、音声やブザー音を発するスピーカ15も設けられている。
【0018】
野菜室22は冷蔵温度の範囲内の例えば4~7℃に維持される。野菜室22には引き出し式の収納容器が収納されている。野菜室22の前方開口部は、引き出し式の野菜室扉52で開閉される。
【0019】
冷凍空間の上部左側には製氷室(図示省略)が設けられている。また、冷凍空間の上部右側(製氷室の右側)には小冷凍室27が設けられている。製氷室及び小冷凍室27の下には冷凍室28が設けられている。小冷凍室27及び冷凍室28にはそれぞれ引き出し式の収納容器が収納されている。製氷室、小冷凍室27及び冷凍室28の内部は、通常運転時は、冷凍温度の範囲内の例えば-20~-18℃に維持される。
【0020】
小冷凍室27は、上記の目安時間を提示する対象となる食品が貯蔵される対象貯蔵室である。小冷凍室27は冷凍室28より容積が小さいため、温度調節が比較的容易であるうえ、入れた食品を急速に冷却することが可能である。
【0021】
製氷室の前方開口部は引き出し式の製氷室扉53で開閉される。また、小冷凍室27の前方開口部は引き出し式の小冷凍室扉54で開閉される。また、冷凍室28の前方開口部は引き出し式の冷凍室扉55で開閉される。
【0022】
冷蔵空間の背後には、冷気を発生させる第1冷却器30と、発生した冷気を循環させる送風装置としての第1ファン32が設けられている。第1冷却器30で発生した冷気は、第1冷却器30から上方へ向かって延びるダクト31を通って冷蔵空間へ吹き出て冷蔵空間を循環する。冷蔵空間を循環した冷気は第1冷却器30の場所へ戻る。
【0023】
また、冷凍空間の背後には、冷気を発生させる第2冷却器33と、発生した冷気を循環させる送風装置としての第2ファン34とが設けられている。第2冷却器33で発生した冷気は、冷凍空間へ吹き出て冷凍空間を循環した後、第2冷却器33の場所へ戻る。
【0024】
第2冷却器33の近傍には除霜装置35が設けられている。除霜装置35は、通電されると熱くなり、第2冷却器33に付着していた霜を融解させて除去する(つまり除霜を行う)。除霜装置35による除霜は、所定の条件が満たされたとき、例えば第2冷却器33での冷気の発生が所定時間継続して行われたときに行われる。
【0025】
冷蔵庫10の下部後方には機械室36が設けられている。機械室36には圧縮機37や凝縮器(不図示)等が収納されている。圧縮機37、凝縮器、第1冷却器30、第2冷却器33等は周知の冷凍サイクル装置を構成している。圧縮機37で圧縮された冷媒が第1冷却器30及び第2冷却器33に交互に流れることにより、第1冷却器30及び第2冷却器33で交互に冷気が発生する。
【0026】
冷蔵室20、野菜室22、チルド室26、製氷室、小冷凍室27及び冷凍室28には、それぞれ、貯蔵室の温度を測定する温度センサ42(
図3参照)が設けられている。また、冷蔵室扉50、51、野菜室扉52、製氷室扉53、小冷凍室扉54及び冷凍室扉55には、それぞれ、扉の開閉を検知する扉センサ43(
図3参照)が設けられている。
【0027】
図3に示すように、冷蔵庫10には制御部40及び記憶部41が設けられている。制御部40には、温度センサ42、扉センサ43、操作部13、表示部14、スピーカ15、通信部44、圧縮機37、第1ファン32、第2ファン34等が接続されている。制御部40は、操作部13からの入力や温度センサ42及び扉センサ43の測定結果等に基づき、圧縮機37等の機器を制御したり表示部14における表示を行ったりする。
【0028】
記憶部41には、食品を貯蔵室から取り出してから食品を食するまでの目安時間を決定するときに使用する資料や、制御部40により実行された制御の情報(制御情報)が記憶される。
【0029】
ここで、目安時間を決定するときに、貯蔵室(本実施形態においては小冷凍室27)から取り出す時の食品の推定温度、利用者が食品を貯蔵室から取り出してから食するまでに食品が置かれる環境の情報、貯蔵室から取り出された後に食品の温度が保たれる程度を示す情報、等が使用される。
【0030】
貯蔵室から取り出す時の食品の温度を推定するときに使用される情報として、例えば、食品の貯蔵時間等の情報が挙げられる。また、貯蔵室から取り出す時の食品の推定温度の精度を高めることのできる情報として、例えば、貯蔵室の温度(例えば、貯蔵室の設定温度、実測された貯蔵室の温度、利用者が入力した貯蔵室の温度等)、制御情報(例えば、後述するように、除霜に関する情報や、貯蔵室への冷風供給量に関する情報等)、食品の冷却されやすさに関する情報(例えば、食品の量、種類、加工状態、収納状態等の情報)、貯蔵室に入れる前の食品の温度、等が挙げられる。
【0031】
また、利用者が食品を貯蔵室から取り出してから食するまでに食品が置かれる環境の情報として、外気の温度(例えば、利用者が入力した外気の温度、センサが測定した外気の温度等)、外気の湿度(例えば、利用者が入力した外気の湿度、センサが測定した外気の湿度等)、食品の保管方法の情報(例えば、弁当箱に入れる、保冷バックに入れる、弁当箱に入れさらに保冷バックに入れる、置き場が屋内である、置き場が屋外である(屋外で持ち歩くことを含む)等の情報)等が挙げられる。
【0032】
また、貯蔵室から取り出された後に食品の温度が保たれる程度を示す情報として、食品の温度上昇に関わる情報(例えば、食品の種類、重さ、形、保管方法等の情報)や、食するときの食品の状態に関する情報(例えば、常温で食する、半解凍等の冷たい状態で食する、凍結された状態で食する等の情報)が挙げられる。
【0033】
そして、記憶部41には、これらの情報に基づき目安時間を決めるときに使用する資料が記憶されている。そのような資料として、例えば、上記の情報のいずれか1つ以上と目安時間との関係を示す表や、上記の情報のいずれか1つ以上を独立変数とし目安時間を従属変数とする関数等が、記憶部41に記憶されている。
【0034】
また、記憶部41に記憶される制御情報として、少なくとも食品が貯蔵室に入れられた後の除霜に関する情報(例えば除霜の有無及び除霜回数の情報)、少なくとも食品が貯蔵室に入れられた後の小冷凍室27への冷風供給量に関する情報(例えば、圧縮機37、第1ファン32及び第2ファン34の稼働の情報(例えば起動、停止及び稼働中の回転数の時系列の情報))、少なくとも食品が貯蔵室に入れられた後の扉センサ43の検知結果(例えば、小冷凍室扉54等の扉の開閉の有無や開閉の回数)等の、制御(実際に実行された制御)に関わる様々な情報が挙げられる。
【0035】
以上の構成の冷蔵庫10において、食品の貯蔵状態に応じて、表示部14は、食品を小冷凍室27から取り出してから食するまでの目安時間を提示する。詳細には、小冷凍室27にあらかじめ食品が貯蔵されているものとする。この食品は、小冷凍室27に長時間貯蔵されたことにより、食品の芯を含む全体が小冷凍室27の設定温度になっている、と仮定する。
【0036】
利用者は、操作部13を操作し、食品を小冷凍室27から取り出す予定時刻(取り出し予定時刻)を入力する。ここで、記憶部41には、小冷凍室27からの取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料があらかじめ記憶されている。制御部40は、その資料と、小冷凍室27の設定温度(上記の通り、この設定温度が、取り出し時点での食品の温度であると仮定される)とに基づき、目安時間を決定する。さらに、制御部40は、決定した目安時間を、操作部13から入力された取り出し予定時刻に加えることにより、食するのに最適な時刻(最適食事時刻)を決定する。そして、表示部14が、その最適食事時刻を表示する。
【0037】
図4は、制御部40が、小冷凍室27の設定温度と、記憶部41の資料に基づき、目安時間を4時間と判断する場合のフローチャートである。
【0038】
図4に示すように、利用者が取り出し予定時刻として6時と入力した場合は、制御部40が記憶部41の資料等に基づき目安時間を4時間と判断したうえで、取り出し予定時刻である6時に4時間を足すことにより最適食事時刻を10時と決定し、表示部14が最適食事時刻として10時と表示する。ここで、表示部14が表示するのは最適食事時刻であるが、間接的に、食品を小冷凍室27から取り出してから食品を食するまでの目安時間を提示していると言える。
【0039】
同様に、利用者が取り出し予定時刻として8時と入力した場合は、制御部40が取り出し予定時刻である8時に4時間を足すことにより最適食事時刻を12時と決定し、表示部14が最適食事時刻として12時と表示する。また、利用者が取り出し予定時刻として10時と入力した場合は、制御部40が取り出し予定時刻である10時に4時間を足すことにより最適食事時刻を14時と決定し、表示部14が最適食事時刻として14時と表示する。
【0040】
利用者は、表示部14に表示された最適食事時刻を確認する。そして、利用者は、取り出し予定時刻に小冷凍室27から食品を取り出し、解凍等の処理を行わずにそのまま弁当箱に詰める。利用者は、弁当箱を持ち運び、表示されていた最適食事時刻になると弁当箱を開けて食品を食する。この時、食品は既に自然解凍されており、温度や柔らかさ等が食するのに最適な状態になっている。このように、本実施形態によれば、小冷凍室27から取り出した食品を食べ頃のタイミングで食することが容易になる。
【0041】
実施形態1に対して様々な変更を行うことができる。以下で説明する変更例のいずれか1つを上記実施形態に適用しても良いし、いずれか2つ以上を組み合わせて上記実施形態に適用しても良い。
【0042】
<実施形態1の変更例1>
目安時間を提示する対象となる食品が貯蔵される対象貯蔵室は、小冷凍室27に限定されない。冷凍空間における小冷凍室27以外の貯蔵室(例えば冷凍室28)が対象貯蔵室としてあらかじめ定められていても良いし、冷蔵空間におけるいずれかの貯蔵室(例えばチルド室26)が対象貯蔵室としてあらかじめ定められていても良い。
【0043】
<実施形態1の変更例2>
目安時間を提示する対象となる食品が貯蔵される対象貯蔵室は、いずれかの貯蔵室にあらかじめ決まっているのではなく、利用者が選択できるようになっていても良い。具体的には、利用者が操作パネル12で所定の操作を行うと、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室が表示部14に表示される。利用者は、表示された貯蔵室の中から、対象貯蔵室として利用したい貯蔵室を選択する。そして、利用者は、選択した貯蔵室について、上記実施形態における小冷凍室27の利用方法を実施する。
【0044】
<実施形態1の変更例3>
貯蔵室の配置や数は上記実施形態のものに限定されない。例えば、貯蔵室が1つしかなく、その貯蔵室が冷蔵室、冷凍室又はそれら両方として機能し、その貯蔵室が、目安時間を提示する対象となる食品が貯蔵される対象貯蔵室であっても良い。
【0045】
<実施形態1の変更例4>
最適食事時刻や目安時間等は、スピーカ15からの音声で提示されても良い。また、最適食事時刻や目安時間等は、通信部44を介して外部端末において提示されても良い。また、最適食事時刻や目安時間等は、表示部14、スピーカ15及び外部端末のうちいずれか2つ以上により提示されても良い。
【0046】
また、操作部13と表示部14は明確に区別されていなくても良い。表示部14の中に操作のためのボタンが表示される等して表示部14が操作部13を兼ねる構成であっても良い。
【0047】
<実施形態1の変更例5>
制御部40は、食品が小冷凍室27に入れられた後の小冷凍室27の冷却制御(好ましくは、食品が小冷凍室27に入れられた時から目安時間の確認時までの小冷凍室27の冷却制御)に基づき、目安時間を調整しても良い。
【0048】
ここで、小冷凍室27の冷却制御とは、小冷凍室27の冷却に関わる制御全般のことであり、制御部40による制御や、各種センサ(検知器とも言う)により測定又は検出される事項等が含まれる。制御部40による制御としては、例えば、冷凍室27の設定温度、除霜の有無、実施された除霜の回数、小冷凍室27への冷風供給量(より具体的には、第2冷却器33への冷媒の流通時間、第2ファン34の回転時間、第2ファン34の回転数等のうち少なくとも1つ)等が挙げられる。また、各種センサにより測定又は検出される事項としては、例えば、温度センサ42により測定された小冷凍室27の実際の温度、扉センサ43により検出された小冷凍室扉54の開閉の有無、小冷凍室扉54の開閉の回数、等が挙げられる。なお、これら冷却制御に関する情報の少なくとも一部は、上記の「制御情報」と重複する。
【0049】
小冷凍室27の冷却制御の情報は、制御部40から直接取得される場合、冷蔵庫10が備える各種センサにより取得される場合、利用者による操作部13からの入力により取得される場合、外部端末から通信部44を介して取得される場合、等がある。
【0050】
小冷凍室27の冷却制御には、小冷凍室27に貯蔵されている食品をより低温に又はより速く冷却する方向の制御と、食品をより高温に又はより遅く冷却する方向の制御とがある。例えば、小冷凍室27の設定温度や実際の温度が低い場合、除霜が実施されなかった場合、小冷凍室27への冷風供給量が多い場合、小冷凍室扉54の開閉がなされなかった場合等は、食品をより低温に又はより速く冷やす方向の制御が行われたと言える。逆に、小冷凍室27の設定温度や実際の温度が高い場合、除霜が実施された場合、小冷凍室27への冷風供給量が少ない場合、小冷凍室扉54の開閉が何度もなされた場合等は、食品をより高温に又はより遅く冷却する方向の制御が行われたと言える。
【0051】
制御部40は、まず、上記のように食品の貯蔵状態(詳細には
図4を用いて説明したように小冷凍室27の設定温度)に基づき目安時間を決定する。このとき決定される目安時間は仮の目安時間である。
【0052】
さらに、制御部40は、小冷凍室27の冷却制御の情報に基づき、仮の目安時間に対して調整を行い、最終的な目安時間を決定する。具体的には、食品が小冷凍室27に入れられた後、食品をより低温に又はより速く冷却する方向の制御が行われた場合は、制御部40が仮の目安時間に対し減算や除算等のいずれかを行い、仮の目安時間よりも短い最終的な目安時間を決定する。また、食品が小冷凍室27に入れられた後、食品をより高温に又はより遅く冷却する方向の制御が行われた場合は、制御部40が仮の目安時間に対し加算や乗算等のいずれかを行い、仮の目安時間よりも長い最終的な目安時間を決定する。
【0053】
記憶部41には、仮の目安時間から最終的な目安時間への調整をするための資料があらかじめ記憶されている。
【0054】
図5に本変更例の具体例を示す。
図5に示す具体例においては、まず、利用者が操作部13を操作して、取り出し予定時刻を6時と入力したものとする。ここで、食品が小冷凍室27に入れられた後の小冷凍室27の設定温度が-18℃であるとする。この場合、制御部40は、小冷凍室27の設定温度が-18℃の場合の目安時間として定められている4時間を、取り出し予定時刻である6時に足して、最適食事時刻を10時とする。
【0055】
しかし、食品が小冷凍室27に入れられた後の小冷凍室27の設定温度が-10℃であった場合は、設定温度が-18℃のときよりも、食品をより高温にする制御が行われたことになる。この場合、制御部40は、上記の4時間を仮の目安時間とし、記憶部41の資料に基づき目安時間を30分短くする減算を行い、最終的な目安時間を3時間30分とする。そして、制御部40は、この3時間30分を、取り出し予定時刻である6時に足して、最適食事時刻を9時30分とする。
【0056】
これと同様に、食品が小冷凍室27に入れられた後の小冷凍室27の設定温度が-18℃より高い-5℃であった場合は、制御部40は、記憶部41の資料に基づき、仮の目安時間である4時間を1時間短くする減算を行い、最終的な目安時間を3時間とする。そして、制御部40は、この3時間を、取り出し予定時刻である6時に足して、最適食事時刻を9時とする。
【0057】
そして、表示部14は、小冷凍室27の設定温度に応じた最適食事時刻を表示する。このように、食品が小冷凍室27に入れられた後の小冷凍室27の冷却制御に基づき目安時間が調整されることにより、提示される目安時間の精度が上がり、利用者がより良い状態の食品を食することができる。
【0058】
<実施形態1の変更例6>
変更例6においては、まず制御部40は、上の変更例5と同様に仮の目安時間を決定する。次に制御部40は、食品が小冷凍室27に入れられた後の小冷凍室27の冷却制御を仮定する。ここで、制御部40は、利用者により選択等された冷凍制御事項(例えば設定温度)について、複数通りの制御(例えば複数の設定温度)を仮定する。次に、制御部40は、それらの仮定に基づく調整を行った最終的な目安時間をそれぞれ決定する。仮の目安時間に対し調整を行い最終的な目安時間とする方法は、上の変更例5における方法と同じである。
【0059】
そして、表示部14が、小冷凍室27の冷却制御に応じた場合分けをして、それぞれの場合の目安時間を表示する。表示されるのは、目安時間を間接的に示す最適食事時刻でも良い。
【0060】
図6は、食品が小冷凍室27に入れられた後の小冷凍室27の設定温度が上の変更例5のように-18℃、-10℃及び-5℃のいずれかであると仮定し、制御部40がそれらの仮定に基づきそれぞれ目安時間を調整した場合の、表示部14の表示例である。この表示例では、設定温度が-18℃、-10℃及び-5℃の場合のそれぞれの最適食事時刻が示されている。
【0061】
このような表示により、利用者は、小冷凍室27の冷却制御の違いに応じた最適食事時刻を知ることができる。
【0062】
<実施形態1の変更例7>
制御部40は、小冷凍室27から取り出してから食するまでに食品が置かれる環境の情報を取得し、その環境の情報に応じて目安時間を調整しても良い。
【0063】
ここで、環境の情報とは、食品を小冷凍室27から取り出してから食するまでの間に食品が置かれる環境の情報全般のことを意味する。そのような環境の情報として、外気の温度、外気の湿度、食品の持ち運び方や保管の仕方(例えば、食品を弁当箱に入れるか、弁当箱に入れさらに保冷バックに入れるか、弁当箱の置き場が屋内か屋外か、等)等が挙げられる。
【0064】
このような環境の情報は、冷蔵庫10が備えるセンサ(例えば外気の温度や湿度を測定する不図示のセンサ)により取得される場合、利用者による操作部13からの入力により取得される場合、外部端末から通信部44を介して取得される場合、等がある。
【0065】
小冷凍室27から取り出してから食するまでの間に食品が置かれる環境により、その食品が食するのに最適な状態になるまでの時間が変わる。例えば、外気の温度が高い場合や、食品を入れた弁当箱を保冷バックに入れない場合は、食品が速く解凍される。また、外気の温度又は湿度が高い場合は、食品は、小冷凍室27から取り出されてから長時間経つと傷む可能性がある。これらの場合は、食品が食するのに最適な状態になるまでの時間が短い。このようなことを踏まえ、制御部40は、食品を小冷凍室27から取り出してから食するまでの環境の情報に応じて目安時間を調整する。
【0066】
制御部40は、まず、上記のように食品の貯蔵状態(詳細には
図4を用いて説明したように小冷凍室27の設定温度)に基づき目安時間を決定する。このとき決定される目安時間は仮の目安時間である。
【0067】
さらに、制御部40は、環境の情報に基づき、仮の目安時間に対して調整を行い、最終的な目安時間を決定する。具体的には、小冷凍室27から取り出してから食するまでの間に食品が置かれる環境が、その食品が食するのに最適な状態になるまでの時間を短くする環境の場合は、制御部40が仮の目安時間に対し減算や除算等のいずれかを行い、仮の目安時間よりも短い最終的な目安時間を決定する。また、小冷凍室27から取り出してから食するまでの間に食品が置かれる環境が、その食品が食するのに最適な状態になるまでの時間を長くする環境の場合は、制御部40が仮の目安時間に対し加算や乗算等のいずれかを行い、仮の目安時間よりも長い最終的な目安時間を決定する。
【0068】
記憶部41には、仮の目安時間から最終的な目安時間への調整をするための資料があらかじめ記憶されている。
【0069】
図7に示す具体例においては、まず、利用者が操作部13を操作して、取り出し予定時刻を6時と入力したものとする。この時点では、仮の目安時間が4時間であるものとする。さらに利用者は操作部13を操作して、外気の温度を入力する。ここで、外気の温度が30℃であるとする。記憶部41には外気の温度と目安時間の調整値との関係を示す資料が記憶されており、その資料によれば、外気の温度が30℃の場合は仮の目安時間に対して調整が行われないものとする。そのため、制御部40は、仮の目安時間である4時間をそのまま最終的な目安時間とし、その最終的な目安時間を取り出し予定時刻である6時に足して、最適食事時刻を10時とする。表示部14は、最適食事時刻として10時と表示する。
【0070】
しかし、外気の温度が30℃より低い20℃の場合は、食品が解凍されるまでにより時間がかかることになる。この場合、制御部40は、上記の4時間を仮の目安時間としたうえで、記憶部41の情報に基づき目安時間を2時間長くする加算を行い、最終的な目安時間を6時間とする。そして、制御部40は、この6時間を、取り出し予定時刻である6時に足して、最適食事時刻を12時とする。表示部14は、最適食事時刻として12時と表示する。
【0071】
これと同様に、外気の温度が30℃より低い10℃の場合は、制御部40は、上記の4時間を仮の目安時間としたうえで、記憶部41の資料に基づき目安時間を4時間長くする加算を行って最終的な目安時間を8時間とする。そして、制御部40は、この8時間を、取り出し予定時刻である6時に足して、最適食事時刻を14時とする。表示部14は、最適食事時刻として14時と表示する。
【0072】
このように、小冷凍室27から取り出してから食するまでに食品が置かれる環境の情報に基づき目安時間が調整されることにより、提示される目安時間の精度が上がり、利用者がより良い状態の食品を食することができる。
【0073】
<実施形態1の変更例8>
変更例8においては、まず制御部40は、上の変更例7と同様に仮の目安時間を決定する。次に制御部40は、小冷凍室27から取り出してから食するまでに食品が置かれる環境の情報を仮定する。ここで制御部40は、食品が置かれる環境として複数通りの環境(例えば複数の外気温度)を仮定する。次に、制御部40は、それらの仮定に基づく調整を行った最終的な目安時間をそれぞれ決定する。仮の目安時間に対し調整を行い最終的な目安時間とする方法は、上の変更例7における方法と同じである。
【0074】
そして、表示部14が、環境の情報に応じた場合分けをして、それぞれの場合の目安時間を表示する。表示されるのは、目安時間を間接的に示す最適食事時刻でも良い。
【0075】
図8は、外気の温度が30℃、20℃及び10℃であると仮定し、制御部40がそれらの仮定に基づき目安時間を調整した場合の、表示部14の表示例である。この表示例では、設定温度が30℃、20℃及び10℃の場合のそれぞれの最適食事時刻が示されている。
【0076】
このような表示により、利用者は、環境の違いに応じた最適食事時刻を知ることができる。
【0077】
<実施形態1の変更例9>
変更例9においては、まず制御部40は、上記のように食品の貯蔵状態(詳細には
図4を用いて説明したように小冷凍室27の設定温度)に基づき仮の目安時間を決定する。次に制御部40は、食品の特徴(例えば、食品の冷却しやすさ、低温保持の程度、貯蔵室に入れたときの食品の温度等の温度に関連する特徴や、食品の利用目的等)に関する情報を取得し、その情報に基づき仮の目安時間に対して調整を行い最終的な目安時間を決定する。この調整を行うときに使用する資料はあらかじめ記憶部41に記憶されている。そして、表示部14が、目安時間(最終的な目安時間)又は最適食事時刻を表示する。
【0078】
このように、食品の特徴に基づき目安時間が調整されることにより、提示される目安時間の精度が上がり、利用者がより良い状態の食品を食することができる。
【0079】
ここで、変更例9の具体例として、2つの具体例を説明する。
【0080】
1つ目の具体例では、制御部40が、食品の貯蔵状態に応じて仮の目安時間を決定する。さらに、制御部40が、食品の特徴として食品の冷却しやすさに関する情報を取得し、取得した情報に基づき仮の目安時間に対して調整を行い最終的な目安時間を決定する。そして、表示部14が、食品の冷却しやすさに関する情報に基づく調整がなされた最終的な目安時間を提示する。
【0081】
ここで、冷却しやすさに関する情報とは、例えば、食品の量(例えば重さや体積)、食品の種類(例えば、野菜、肉、冷凍加工食品、おにぎり、ケーキといった種類)、食品の加工状態(例えば、肉であればブロックか薄切りかといった加工状態)、小冷凍室27の中での食品の収納状態(例えば、弁当箱等の容器に入っているか否か、樹脂製や金属製といった容器の材質、蓋の有無等の容器の形態)、等のことである。本実施形態の提示を行うため、記憶部41には、食品の冷却しやすさに関する情報と、その食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料が、あらかじめ記憶されている。
【0082】
食品の冷却しやすさに関する情報と、食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料として、例えば、食品の量が多いほど食するのに最適な状態になるまでの時間が長くなっている資料や、食品の種類ごとに定められた時間の資料等がある。
【0083】
利用者が、操作部13において所定の操作を行うと、表示部14に、冷却しやすさに関する情報を入力する画面が現れる。その画面には、例えば、食品の量の入力欄、食品の種類の入力欄、食品の加工状態の入力欄、食品の収納状態の入力欄、等のうちいずれか1つ以上がある。利用者は、その画面において、冷却しやすさに関する情報を入力する。
【0084】
冷却しやすさに関する情報が入力されると、制御部40が、入力された情報と、記憶部41に記憶されている資料とに基づき、先に決定された仮の目安時間に対して調整を行い、最終的な目安時間(食品を貯蔵室から取り出してから食品を食するまでの目安時間)を決定する。そして、決定した目安時間を表示部14が表示する。
【0085】
このように、食品の冷却しやすさに関する情報に基づき目安時間が調整されることにより、提示される目安時間の精度が上がり、利用者がより良い状態の食品を食することができる。
【0086】
2つ目の具体例では、制御部40が、食品の貯蔵状態に応じて仮の目安時間を決定する。さらに、制御部40が、食品の利用目的の情報を取得し、取得した情報に基づき仮の目安時間に対して調整を行い最終的な目安時間を決定する。そして、表示部14が、食品の利用目的の情報に基づく調整がなされた最終的な目安時間を提示する。
【0087】
ここで、食品の利用目的として、弁当箱に詰めて持ち歩き完全に解凍してから食する目的、家庭内で半解凍して食する目的、屋外におけるバーベキューで利用する目的等が挙げられる。なお、弁当箱に詰めて持ち歩き完全に解凍してから食する目的の食品としては、冷凍食品等が挙げられる。また、家庭内で半解凍して食する目的の食品としては、菓子類等が挙げられる。また、屋外におけるバーベキューで利用する目的の食品としては、肉等が挙げられる。記憶部41には、利用目的に応じた目安時間の資料があらかじめ記憶されている。
【0088】
利用者は、任意のタイミングで操作部13を操作し食品の利用目的を入力する。利用目的の情報が入力されると、制御部40が、入力された情報と、記憶部41に記憶されている資料とに基づき、先に決定された仮の目安時間に対して調整を行い、最終的な目安時間(食品を貯蔵室から取り出してから食品を食するまでの目安時間)を決定する。そして、決定した目安時間を表示部14が表示する。
【0089】
このように、利用目的に基づき目安時間が調整されることにより、提示される目安時間の精度が上がり、利用者がより良い状態の食品を食することができる。
【0090】
<実施形態1の変更例10>
表示部14が、小冷凍室27から取り出してから食するまでの食品が置かれる環境についてのアドバイスを提示しても良い。
【0091】
例えば、外気の温度があらかじめ設定された所定温度より高い場合や、食品の小冷凍室27での貯蔵時間があらかじめ設定された所定時間よりも短い場合に、表示部14が、食品を保冷バックに入れることや、食品を冷暗所に置くことを提案する表示を行う。
【0092】
特に、目安時間を決定する際に考慮されていない環境に関する事項がある場合に、その環境に関する事項について提案することが好ましい。
【0093】
図9に変更例10の具体例を示す。この具体例においては、まず
図4における選択肢の1つのように、取り出し予定時刻が6時と入力され、最適食事時刻が10時と表示されたものとする。この具体例においては、最適食事時刻が表示された後、外気の温度を質問する内容が表示部14に表示される。
【0094】
その質問に対して利用者が20℃未満の温度を入力すると、表示部14が最適食事時刻に食すべきことのみを表示する。しかし、その質問に対して利用者が20℃以上30℃未満の温度を入力すると、表示部14が、最適食事時刻に食すべきことを表示することに加え、食品を冷暗所に保管することをアドバイスする内容を表示する。また、その質問に対して利用者が30℃以上の温度を入力すると、表示部14が、最適食事時刻に食すべきことを表示することに加え、食品を保冷バックに入れることをアドバイスする内容を表示する。このような表示により、利用者が食品を適切な環境下に保管したうえで、食べ頃のタイミングで食することができる。
【0095】
<実施形態1の変更例11>
利用者は、操作部13において、貯蔵時間の情報として、食品を貯蔵室から取り出す予定時刻の代わりに、何時間後に取り出すか(別の表現をすれば、今から何時間貯蔵するか)という時間を入力しても良い。
【0096】
この場合も、小冷凍室27からの取り出し時点での食品の温度が設定温度に等しいとの推定のもと、制御部40が目安時間を決定し、表示部14が最適食事時刻を表示する。
【0097】
2.実施形態2
実施形態2では、小冷凍室27での食品の貯蔵時間に基づき目安時間が決定される。なお、食品の貯蔵時間は食品の貯蔵状態の1つである。実施形態2は、これから何時間貯蔵するかで目安時間が決定される実施形態であり、利用者が食品を小冷凍室27に入れるタイミングで目安時間を確認する実施形態である。
【0098】
利用者は、食品を小冷凍室27に入れるタイミングで操作部13を操作し、貯蔵時間の情報として、食品を小冷凍室27から取り出す予定の時刻(取り出し予定時刻)を入力する。ここで、記憶部41には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示す資料や、小冷凍室27からの取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料が、あらかじめ記憶されている。
【0099】
利用者による入力後、まず、制御部40は、小冷凍室27の設定温度、入力された取り出し予定時刻、現在の時刻、及び記憶部41の資料(具体的には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示す資料)から、食品を小冷凍室27から取り出す時点での食品の温度を推定する。
【0100】
次に、制御部40は、取り出し時点での推定される食品の温度と、記憶部41の資料(具体的には、取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料)から、食品を小冷凍室27から取り出してから食品を食するまでの目安時間を決定する。さらに、制御部40は、決定した目安時間と、操作部13から入力された取り出し予定時刻とに基づき、食するのに最適な時刻(最適食事時刻)を決定する。
【0101】
そして、表示部14が、その最適食事時刻を表示する。このとき表示部14が表示するのは最適食事時刻であるが、間接的に、食品を小冷凍室27から取り出してから食品を食するまでの目安時間を提示していると言える。
【0102】
実施形態2においても、実施形態1における変更例1~変更例10のうちいずれか1つ以上の変更を行うことができる。なお、利用者が入力すべき事項が複数ある場合、利用者が複数の事項を1つの入力画面(入力画面は表示部14に表示される)において入力できるように入力画面が表示されても良いし、利用者が1つの事項を入力するごとに入力画面が変化しても良い。
【0103】
また、実施形態2においても、実施形態1における変更例11に記載のように、利用者が、操作部13において、貯蔵時間の情報として、食品を貯蔵室から取り出す予定時刻の代わりに、何時間後に取り出すか(別の表現をすれば、今から何時間貯蔵するか)という時間を入力しても良い。
【0104】
3.実施形態3
実施形態3では、小冷凍室27での食品の貯蔵時間に基づき目安時間が決定される。実施形態3は、利用者が食品を小冷凍室27から取り出すタイミングで目安時間を確認する操作を行い、それまでの貯蔵時間に基づき目安時間が決定される実施形態である。
【0105】
利用者は、食品を小冷凍室27から取り出すタイミングで操作部13を操作し、貯蔵時間の情報として、食品を小冷凍室27に入れた時刻(貯蔵開始時刻)を入力する。ここで、記憶部41には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示す資料や、小冷凍室27からの取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料が、あらかじめ記憶されている。
【0106】
利用者による入力後、まず、制御部40は、小冷凍室27の設定温度、貯蔵開始時刻、現在の時刻、及び記憶部41の資料(具体的には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示す資料)から、食品を小冷凍室27から取り出す時点である現在の食品の温度を推定する。
【0107】
次に、制御部40は、推定される現在の食品の温度と、記憶部41の資料(具体的には、取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料)に基づき、食品を小冷凍室27から取り出してから食品を食するまでの目安時間を決定する。さらに、制御部40は、決定した目安時間を現在の時刻に足すことにより、食するのに最適な時刻(最適食事時刻)を決定する。そして、表示部14が、その最適食事時刻を表示する。このとき表示部14が表示するのは最適食事時刻であるが、間接的に、食品を小冷凍室27から取り出してから食品を食するまでの目安時間を提示していると言える。
【0108】
実施形態3においても、実施形態1における変更例1~変更例10のうちいずれか1つ以上の変更を行うことができる。なお、利用者が入力すべき事項が複数ある場合、利用者が複数の事項を1つの入力画面(入力画面は表示部14に表示される)において入力できるように入力画面が表示されても良いし、利用者が1つの事項を入力するごとに入力画面が変化しても良い。
【0109】
また、貯蔵時間の情報として、貯蔵開始時刻の代わりに、食品を小冷凍室27に何時間貯蔵したかを入力しても良い。また、取り出し時点での食品の温度を制御部40が推定する代わりに、温度センサ(そのような温度センサは例えば小冷凍室27の中にある)が取り出し時点での食品の温度を測定しても良い。
【0110】
4.実施形態4
実施形態4では、小冷凍室27での食品の貯蔵時間に基づき目安時間が決定される。実施形態4は、小冷凍室27からの食品の取り出し時までに何時間貯蔵したことになるかにより、目安時間が決定される実施形態である。
【0111】
利用者は、食品を小冷凍室27に貯蔵している最中に操作部13を操作し、貯蔵時間の情報として、食品を小冷凍室27に入れた時刻(貯蔵開始時刻)と、小冷凍室27から取り出す予定時刻(取り出し予定時刻)を入力する。ここで、記憶部41には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示す資料や、小冷凍室27からの取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料が、あらかじめ記憶されている。
【0112】
利用者による入力後、まず、制御部40は、小冷凍室27の設定温度、貯蔵開始時刻、取り出し予定時刻、及び記憶部41の資料(具体的には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示す資料)から、食品を小冷凍室27から取り出す時点での食品の温度を推定する。
【0113】
次に、制御部40は、取り出し時点での推定される食品の温度と、記憶部41の資料(具体的には、取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料)に基づき、食品を小冷凍室27から取り出してから食品を食するまでの目安時間を決定する。さらに、制御部40は、決定した目安時間を取り出し予定時刻に足すことにより、食するのに最適な時刻(最適食事時刻)を決定する。そして、表示部14が、その最適食事時刻を表示する。このとき表示部14が表示するのは最適食事時刻であるが、間接的に、食品を小冷凍室27から取り出してから食品を食するまでの目安時間を提示していると言える。
【0114】
実施形態4においても、実施形態1における変更例1~変更例10のうちいずれか1つ以上の変更を行うことができる。なお、利用者が入力すべき事項が複数ある場合、利用者が複数の事項を1つの入力画面(入力画面は表示部14に表示される)において入力できるように入力画面が表示されても良いし、利用者が1つの事項を入力するごとに入力画面が変化しても良い。
【0115】
また、貯蔵時間の情報として、貯蔵開始時刻の代わりに何時間前に食品を小冷凍室27に入れたかを入力したり、取り出し予定時刻の代わりに何時間後に食品を小冷凍室27から取り出すかを入力したりしても良い。
【0116】
5.実施形態5
実施形態5では、小冷凍室27での食品の貯蔵時間に基づき目安時間が決定される。実施形態5は、利用者が任意のタイミングで操作部13から入力した貯蔵時間に基づき目安時間が決定される実施形態である。
【0117】
具体的には、利用者は、任意のタイミングで、小冷凍室27での食品の貯蔵時間を入力する。ここで、任意のタイミングは、小冷凍室27に食品が入っている時でも良いし、小冷凍室27に食品が入っていない時でも良い。また、記憶部41には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示す資料や、小冷凍室27からの取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料が、あらかじめ記憶されている。
【0118】
利用者による入力後、まず、制御部40は、利用者が入力した貯蔵時間、及び記憶部41の資料(具体的には、小冷凍室27の設定温度、小冷凍室27での貯蔵時間及び食品の温度の3つの関係を示すデータ)から、食品を小冷凍室27から取り出す時点での食品の温度を推定する。次に、制御部40は、取り出し時点での推定される食品の温度と、記憶部41の資料(具体的には、取り出し時点での食品の温度と、食品が小冷凍室27から取り出されてから食するのに最適な状態になるまでの時間との関係を示す資料)に基づき、食品が食するのに最適な状態となる目安時間を決定する。そして、表示部14が、その目安時間を表示する。
【0119】
実施形態5においても、実施形態1における変更例1~変更例10のうちいずれか1つ以上の変更を行うことができる。なお、利用者が入力すべき事項が複数ある場合、利用者が複数の事項を1つの入力画面(入力画面は表示部14に表示される)において入力できるように入力画面が表示されても良いし、利用者が1つの事項を入力するごとに入力画面が変化しても良い。
【0120】
6.実施形態6
実施形態6では、制御部40が、食品の貯蔵状態に基づき目安時間を決定する。具体例としては、制御部40が、実施形態1~7のいずれかの方法(ただし実施形態1の変更例5、6を除く)にて目安時間を決定する。さらに、制御部40は、決定した目安時間に適した冷却制御を提示する。
【0121】
より具体的な例として、実施形態1では、小冷凍室54内の食品が小冷凍室54の設定温度になっていると推定して目安時間が決定されている。しかし、小冷凍室54での貯蔵時間が所定時間未満であり食品が小冷凍室54の設定温度にまで下がっていない場合や、食品が解凍の進みが速いものである場合は、実施形態1の方法で決定された目安時間が長すぎる可能性がある。
【0122】
そこで、利用者による操作部13の操作に基づき、小冷凍室54での貯蔵時間が所定時間未満である(そのため食品が小冷凍室54の設定温度にまで下がっていない)と判断される場合や、食品が解凍の進みの速いものだと判断される場合は、制御部40は、表示部14において、小冷凍室54の設定温度を現在の温度よりも下げることを提案する提示を行う。
【0123】
実施形態6に対して様々な変更を行うことができる。
【0124】
例えば、制御部40が、小冷凍室54から取り出してから食するまでに食品が置かれた環境の情報を取得し、その環境の情報に応じて調整した冷却制御を提示しても良い。なお、環境の情報とは、実施形態1の変更例7において説明されるものである。
【0125】
より具体的には、例えば、上記のように小冷凍室54の設定温度を現在の温度よりも下げることを提案する場合において、環境の情報として取得された外気の温度が所定温度以上である(そのため小冷凍室54から取り出された食品の解凍が通常よりも速く進むと予想される)場合は、制御部40は、設定温度の下げ幅を通常よりも大きくする(すなわち設定温度を現在の温度よりも大きく下げる)ことを提案する。
【0126】
また、例えば、上記のように小冷凍室54の設定温度を現在の温度よりも下げることを提案する場合において、利用者が操作部13を操作し、食品を小冷凍室54から取り出した後に保冷バックに入れることを入力したとする。この場合、制御部40は設定温度の下げ幅を通常よりも小さくする(すなわち設定温度を現在の温度よりも僅かに下げる)ことを提案する。
【0127】
また本実施形態において、制御部40は、環境の情報に応じて調整した冷却制御を単に提示するだけでなく、提示した制御を実施しても良い。
【0128】
7.実施形態7
実施形態7では、制御部40が、食品の貯蔵状態に基づき目安時間を決定する。具体例としては、制御部40が、実施形態1~7のいずれかの方法(ただし実施形態1の変更例5、6を除く)にて目安時間を決定する。さらに、制御部40は、決定した目安時間に適した冷却制御を実施する。
【0129】
より具体的な例として、実施形態1では、小冷凍室54内の食品が小冷凍室54の設定温度になっていると推定して目安時間が決定されている。しかし、小冷凍室54での貯蔵時間が所定時間未満であり食品が小冷凍室54の設定温度にまで下がっていない場合や、食品が解凍の進みが速いものである場合は、実施形態1の方法で決定された目安時間が長すぎる可能性がある。
【0130】
そこで、利用者による操作部13の操作に基づき、小冷凍室54での貯蔵時間が所定時間未満である(そのため食品が小冷凍室54の設定温度にまで下がっていない)と判断される場合や、食品が解凍の進みの速いものだと判断される場合は、制御部40は、小冷凍室54の設定温度を現在の温度よりも下げる。
【0131】
実施形態7に対して様々な変更を行うことができる。
【0132】
例えば、制御部40が、小冷凍室54から取り出してから食するまでに食品が置かれた環境の情報を取得し、その環境の情報に応じて調整した冷却制御を実施しても良い。なお、環境の情報とは、実施形態1の変更例7において説明されるものである。
【0133】
より具体的には、例えば、上記のように小冷凍室54の設定温度を現在の温度よりも下げる場合において、環境の情報として取得された外気の温度が所定温度以上である(そのため小冷凍室54から取り出された食品の解凍が通常よりも速く進むと予想される)場合は、制御部40は、設定温度の下げ幅を通常よりも大きくする(すなわち設定温度を現在の温度よりも大きく下げる)。
【0134】
また、例えば、上記のように小冷凍室54の設定温度を現在の温度よりも下げることを提案する場合において、利用者が操作部13を操作し、食品を小冷凍室54から取り出した後に保冷バックに入れることを入力したとする。この場合、制御部40は設定温度の下げ幅を通常よりも小さくする(すなわち設定温度を現在の温度よりも僅かに下げる)。
【符号の説明】
【0135】
10…冷蔵庫、11…筐体、12…操作パネル、13…操作部、14…表示部、15…スピーカ、20…冷蔵室、21…断熱仕切壁、22…野菜室、24…載置棚、26…チルド室、27…小冷凍室、28…冷凍室、30…第1冷却器、31…ダクト、32…第1ファン、33…第2冷却器、34…第2ファン、35…除霜装置、36…機械室、37…圧縮機、40…制御部、41…記憶部、42…温度センサ、43…扉センサ、44…通信部、50…冷蔵室扉、51…冷蔵室扉、52…野菜室扉、53…製氷室扉、54…小冷凍室扉、55…冷凍室扉