IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の特許一覧

特開2024-66302光検出装置、電子機器、および光学素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066302
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】光検出装置、電子機器、および光学素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240508BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175800
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 奈緒
【テーマコード(参考)】
2H148
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BD00
2H148BG11
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118DD04
4M118FA06
4M118GA02
4M118GA09
4M118GC08
4M118GC14
4M118GC20
4M118GD03
4M118HA25
(57)【要約】
【課題】良好な検出性能を有する光検出装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の光検出装置は、入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び前記第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、前記第1部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、前記第2部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部とを備える。前記第1部分は、前記第2部分に接している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び前記第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、前記第1部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、前記第2部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する第1光電変換部と
を備え、
前記第1部分は、前記第2部分に接している
光検出装置。
【請求項2】
前記第1の媒質は、前記第2の媒質に接している
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1の媒質と前記第2の媒質とは、互いに異なる材料からなる
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1の媒質と前記第2の媒質との積層方向において、前記第1の媒質と前記第2の媒質とは、互いに異なる厚さを有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1部分と前記第2部分とは、連続して設けられている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第1部分と前記第2部分とは、互いに異なる大きさを有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
複数の前記第1光電変換部が設けられた受光部を有し、
前記受光部の中心からの距離に応じて、前記第1部分の中心と前記第2部分の中心との距離が異なっている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記構造体は、前記第2部分の下に設けられる第3部分を含み、
前記導光部は、前記第3部分の隣に設けられ、前記第3部分の屈折率とは異なる屈折率を有する第3の媒質を有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第2部分と前記第3部分とは、互いに異なる大きさを有する
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
複数の前記第1光電変換部が設けられた受光部を有し、
前記受光部の中心からの距離に応じて、前記第2部分の中心と前記第3部分の中心との距離が異なっている
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記導光部は、前記第1光電変換部上に設けられ、入射した光を分光する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記第1光電変換部の隣に設けられ、前記導光部を介して入射する光を光電変換する第2光電変換部を有し、
前記導光部は、入射光のうち、第1波長の光を前記第1光電変換部側へ導き、第2波長の光を前記第2光電変換部側へ導く
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記第1光電変換部の隣に設けられ、前記導光部を介して入射する光を光電変換する第3光電変換部を有し、
前記導光部は、入射光のうち、第3波長の光を前記第3光電変換部側へ導く
請求項12に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第1部分および前記第2部分は、それぞれ、可視光の波長以下の大きさを有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記導光部の上に設けられ、光が入射するレンズを有し、
前記第1光電変換部は、前記レンズと前記導光部とを透過した光を光電変換する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記導光部と前記第1光電変換部との間に設けられるカラーフィルタを有し、
前記第1光電変換部は、前記カラーフィルタを透過した光を光電変換する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項17】
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び前記第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、前記第1部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、前記第2部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部と
を有し、
前記第1部分は、前記第2部分に接している
電子機器。
【請求項18】
入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び前記第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、
前記第1部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、
前記第2部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質と
を備え、
前記第1部分は、前記第2部分に接している
光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置、電子機器、および光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のナノ構造物と、ナノ構造物と異なる屈折率を有する周辺物質とを備えるメタ光学素子が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-140152号公報
【発明の概要】
【0004】
光を検出する装置では、検出性能を向上させることが望ましい。
【0005】
良好な検出性能を有する光検出装置を提供することが望まれる。
【0006】
本開示の一実施形態の光検出装置は、入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、第1部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、第2部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、導光部を介して入射する光を光電変換する第1光電変換部とを備える。第1部分は、第2部分に接している。
本開示の一実施形態の電子機器は、光学系と、光学系を透過した光を受光する光検出装置とを備える。光検出装置は、入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、第1部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、第2部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部とを有する。第1部分は、第2部分に接している。
本開示の一実施形態の光学素子は、入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、第1部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、第2部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを備える。第1部分は、第2部分に接している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素の配置例を示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図4A】本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図4B】本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図4C】本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図5】本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図6】本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図7A】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7B】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7C】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7D】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7E】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7F】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7G】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7H】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図7I】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。
図8】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の断面構成の一例を示す図である。
図9】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の断面構成の一例を示す図である。
図10】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の平面構成の一例を説明するための図である。
図11A】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。
図11B】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。
図12A】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。
図12B】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。
図13A】本開示の変形例2に係る撮像装置の導光部の断面構成の一例を示す図である。
図13B】本開示の変形例2に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。
図14】本開示の変形例2に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。
図15】本開示の変形例3に係る撮像装置の導光部の断面構成の一例を示す図である。
図16】本開示の変形例3に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。
図17】本開示の変形例3に係る撮像装置の導光部の平面構成の一例を説明するための図である。
図18】本開示の変形例4に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図19】撮像装置を有する電子機器の構成例を表すブロック図である。
図20】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図21】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図22】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図23】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.適用例
4.応用例
【0009】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。光検出装置は、入射する光を検出可能な装置である。光検出装置である撮像装置1は、光学系を透過した光を受光して信号を生成し得る。撮像装置1(光検出装置)は、光電変換部を有する複数の画素Pを有し、入射した光を光電変換して信号を生成するように構成される。
【0010】
撮像装置1の各画素Pの光電変換部は、例えばフォトダイオードであり、光を光電変換可能に構成される。撮像装置1は、複数の画素Pが行列状に2次元配置された領域(画素部100)を、撮像エリアとして有している。画素部100は、複数の画素Pが配置される画素アレイであり、受光領域ともいえる。
【0011】
撮像装置1は、光学レンズを含む光学系(不図示)を介して、被写体からの入射光(像光)を取り込む。撮像装置1は、光学レンズにより形成される被写体の像を撮像する。撮像装置1は、受光した光を光電変換して画素信号を生成し得る。撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像装置1は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の電子機器に利用可能である。
【0012】
撮像装置1は、図1に示す例のように、画素部100(画素アレイ)の周辺領域に、例えば、画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、及び処理部114等を有する。また、撮像装置1には、複数の制御線L1と、複数の信号線L2が設けられる。
【0013】
撮像装置1には、画素Pを制御する信号を伝えることが可能な信号線である制御線L1が設けられる。画素部100では、例えば、水平方向(行方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素行ごとに、複数の制御線L1が配線される。制御線L1は、画素Pからの信号読み出しのための制御信号を伝送するように構成される。制御線L1は、画素Pを駆動する信号を伝送する画素駆動線ともいえる。
【0014】
また、撮像装置1には、画素Pからの信号を伝えることが可能な信号線である信号線L2が設けられる。画素部100には、例えば、垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、信号線L2が配線される。信号線L2は、垂直信号線であり、画素Pから出力される信号を伝送するように構成される。
【0015】
画素駆動部111は、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成される。画素駆動部111は、画素部100の各画素Pを駆動可能に構成される。画素駆動部111は、画素Pを制御するための信号を生成し、制御線L1を介して画素部100の各画素Pへ出力する。
【0016】
画素駆動部111は、例えば、画素Pの転送トランジスタを制御する信号、リセットトランジスタを制御する信号等を生成し、制御線L1によって各画素Pに供給する。画素駆動部111は、各画素Pから画素信号を読み出す制御を行い得る。画素駆動部111は、各画素Pを制御可能に構成された画素制御部ともいえる。
【0017】
信号処理部112は、入力される画素の信号の信号処理を実行可能に構成される。信号処理部112は、例えば、負荷回路部、AD(Analog Digital)変換部、水平選択スイッチ等を有する。画素駆動部111によって選択走査された各画素Pから出力される信号は、信号線L2を介して信号処理部112に入力される。信号処理部112は、画素Pの信号のAD変換、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)等の信号処理を行う。信号線L2の各々を通して伝送される各画素Pの信号は、信号処理部112によって信号処理が施され、処理部114に出力される。
【0018】
処理部114は、入力される信号に対して信号処理を実行可能に構成される。処理部114は、例えば、画素信号に対して各種の信号処理を施す回路により構成される。処理部114は、プロセッサ及びメモリを含んでいてもよい。処理部114は、信号処理部112から入力される画素の信号に対して信号処理を行い、処理後の画素の信号を出力する。処理部114は、例えば、ノイズ低減処理、階調補正処理等の各種の信号処理を行い得る。
【0019】
制御部113は、撮像装置1の各部を制御可能に構成される。制御部113は、外部から与えられるクロック、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像装置1の内部情報等のデータを出力し得る。制御部113は、各種のタイミング信号を生成可能に構成されたタイミングジェネレータを有する。制御部113は、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号(パルス信号、クロック信号等)に基づき、画素駆動部111及び信号処理部112等の周辺回路の駆動制御を行う。なお、制御部113及び処理部114は、一体的に構成されていてもよい。
【0020】
画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、処理部114等は、1つの半導体基板に設けられていてもよいし、複数の半導体基板に分けて設けられていてもよい。撮像装置1は、複数の基板を積層して構成された構造(積層構造)を有していてもよい。
【0021】
図2は、実施の形態に係る撮像装置の画素の配置例を示す図である。撮像装置1の画素Pは、カラーフィルタ25を有する。また、画素Pは、後述するが、構造体30を用いて構成される導光部50を有する。なお、図2に示すように、被写体からの光の入射方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する紙面左右方向をX軸方向、Z軸及びX軸に直交する紙面上下方向をY軸方向とする。以降の図において、図2の矢印の方向を基準として方向を表記する場合もある。
【0022】
カラーフィルタ25は、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるように構成される。撮像装置1の画素部100に設けられた複数の画素Pには、赤(R)の光を透過するカラーフィルタ25が設けられた複数の画素Prと、緑(G)の光を透過するカラーフィルタ25が設けられた複数の画素Pgと、青(B)の光を透過するカラーフィルタ25が設けられた複数の画素Pbが含まれる。
【0023】
画素部100では、図2に示す例のように、複数の画素Pr、複数の画素Pg、及び複数の画素Pbが繰り返し配置される。画素Pr、画素Pg、及び画素Pbは、ベイヤー配列に従って配置されている。画素Pr、画素Pg、及び画素Pbは、それぞれ、R成分の画素信号、G成分の画素信号、及びB成分の画素信号を生成する。撮像装置1は、RGBの画素信号を得ることができる。
【0024】
なお、画素部100の画素Pに設けられるカラーフィルタ25は、原色系(RGB)のカラーフィルタに限定されず、例えばCy(シアン)、Mg(マゼンダ)、Ye(イエロー)等の補色系のカラーフィルタであってもよい。白(W)の光を受光して光電変換を行う画素Pでは、カラーフィルタ25を設けなくてよい。また、W(ホワイト)に対応したカラーフィルタ、即ち入射光の全波長域の光を透過させるフィルタを配置するようにしてもよい。なお、必要に応じて、カラーフィルタ25を省略してもよい。例えば、導光部50の特性によっては、撮像装置1の一部又は全部の画素Pにカラーフィルタ25を設けなくてもよい。
【0025】
図3は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。図4A図4Cは、実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。図3に示すように、撮像装置1は、例えば、導光部50と、透明層20(図3では透明層20a、透明層20b)と、カラーフィルタ25と、受光部10と、多層配線層90とがZ軸方向に積層された構成を有している。画素Pは、図3に示す例のように、光電変換部12を有する。
【0026】
図3に示す受光部10は、対向する第1面11S1及び第2面11S2を有する半導体基板11を有する。半導体基板11は、例えば、シリコン基板により構成される。半導体基板11の第1面11S1側に、カラーフィルタ25及び導光部50等が設けられる。半導体基板11の第2面11S2側には、多層配線層90が設けられる。光学系からの光が入射する側に導光部50及びカラーフィルタ25等が設けられ、光が入射する側とは反対側に多層配線層90が設けられる。撮像装置1は、いわゆる裏面照射型の撮像装置である。
【0027】
受光部10では、半導体基板11の第1面11S1及び第2面11S2に沿って、複数の光電変換部12が設けられる。半導体基板11には、例えば、複数の光電変換部12が埋め込み形成される。光電変換部12は、光電変換により電荷を生成可能に構成される。光電変換部12は、フォトダイオード(PD)であり、入射する光を電荷に変換する。光電変換部12は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。
【0028】
多層配線層90は、例えば、複数の配線が層間絶縁層(層間絶縁膜)を間に積層された構成を有する。多層配線層90の配線層は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等を用いて形成される。配線層は、ポリシリコン(Poly-Si)を用いて形成されてもよい。層間絶縁層は、一例として、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)及び酸窒化シリコン(SiOxNy)等を用いて形成される。
【0029】
半導体基板11及び多層配線層90には、光電変換部12で生成された電荷に基づく画素信号を出力可能に構成された読み出し回路(不図示)が設けられる。なお、上述した画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、及び処理部114等は、半導体基板11とは別の基板、又は半導体基板11及び多層配線層90に形成され得る。
【0030】
画素Pの読み出し回路は、例えば、転送トランジスタ、フローティングディフュージョン(FD)、リセットトランジスタ、及び増幅トランジスタ等を含んで構成される。読み出し回路は、光電変換部12で変換された電荷に基づく画素信号を、上述した垂直信号線である信号線L2に読み出し可能に構成される。
【0031】
画素駆動部111(図1参照)は、各画素Pの読み出し回路を制御することによって、各画素Pから画素信号を信号線L2に出力させる。画素駆動部111は、各画素Pの画素信号を信号線L2へ読み出す制御を行い得る。なお、画素駆動部111と制御部113とを併せて、画素制御部ということもできる。
【0032】
透明層20(図3では透明層20a、透明層20b)は、光を透過する透明層であり、例えば酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)等の低屈折率の材料により形成される。透明層20a及び透明層20bは、それぞれ、光を透過する他の透明な材料により構成されてもよい。
【0033】
導光部50は、構造体30を有し、入射した光を受光部10側へ導くように構成される。導光部50には、計測対象である被写体からの光が入射する。構造体30は、微細(微小)な構造体であり、図3に示すように、第1部分31と、第1部分31の下に設けられる第2部分32とを有する。第1部分31は、第2部分32に接している。なお、本開示において「接する」とは、直接に接する場合、及び自然酸化膜等を介して接する場合を含む。「第1部分31と第2部分32とが接している」とは、自然酸化膜が介在している場合を含み、第1部分31が薄い自然酸化膜を介して第2部分32に接している場合を含む。図3に示す例のように、第1部分31と第2部分32は、互いに接するように設けられている。
【0034】
図3に示す例のように、第1部分31と第2部分32とは、連続して設けられている。また、構造体30は、第1部分31の隣に設けられる媒質(第1部材41)と、第2部分32の隣に設けられる媒質(第2部材42)とを有する。導光部50は、第1部材41と第2部材42とが積層された積層構造を有する。
【0035】
構造体30の第1部分31及び第2部分32は、入射する光の所定波長以下の大きさの微細構造体であり、例えば可視光の波長以下の大きさを有する。なお、第1部分31及び第2部分32は、それぞれ、赤外光の波長以下の大きさを有していてもよい。
【0036】
導光部50は、光を導光(伝搬)する光学素子(光学部材)である。導光部50(導光部材)は、微細構造体である構造体30を利用し、光を光電変換部12へ伝搬させる。本実施の形態に係る導光部50は、後述するが、分光部(分光素子)でもあり、入射する光を分光するように構成される。導光部50は、画素Pごと又は複数の画素Pごとに設けられる。
【0037】
構造体30は、例えば、図3に示すように、柱状(ピラー状)の構造体である。図3に模式的に示すように、複数の構造体30は、紙面左右方向(X軸方向)に互いに並んで配置される。撮像装置1の各画素Pでは、入射光の所定波長以下、例えば可視光の波長以下の間隔で、複数の構造体30が配置され得る。
【0038】
複数の構造体30の各々の第1部分31は、第1部材41を挟んで、左右方向(X軸方向)に互いに並んで配置される。第1部分31は、第1部材41内に設けられ、第1部材41の一部に置換して配置されるともいえる。複数の構造体30の各々の第2部分32は、第2部材42を挟んで、左右方向(X軸方向)に互いに並んで配置される。第2部分32は、第2部材42内に設けられ、第2部材42の一部に置換して配置されるともいえる。
【0039】
構造体30は、周囲の媒質の屈折率とは異なる屈折率を有する。図3に示す例では、構造体30は、構造体30の周りの媒質である第1部材41の屈折率及び第2部材42の屈折率とは異なる屈折率を有する。構造体30の第1部分31は、第1部材41の屈折率とは異なる屈折率を有する。また、構造体30の第2部分32は、第2部材42の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0040】
例えば、構造体30の第1部分31は、第1部材41の屈折率より高い屈折率を有していてもよい。構造体30の第2部分32は、第2部材42の屈折率より高い屈折率を有していてもよい。構造体30は、第1部材41の屈折率及び第2部材42の屈折率よりも高い屈折率を有する材料により構成され得る。
【0041】
また、例えば、第1部分31は、第1部材41の屈折率より低い屈折率を有していてもよい。第2部分32は、第2部材42の屈折率より低い屈折率を有していてもよい。構造体30は、第1部材41の屈折率及び第2部材42の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により構成され得る。
【0042】
構造体30は、一例として、シリコン、シリコン化合物(窒化シリコン、炭化シリコン、酸窒化シリコン等)などを用いて形成される。また、構造体30は、アモルファスシリコン(a-Si)、ポリシリコン、ゲルマニウム(Ge)等を用いて構成されてもよい。
【0043】
構造体30は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、ニオブ、インジウムなどの単体、酸化物、窒化物、酸窒化物、或いはこれらの複合物で構成されてもよい。また、構造体30は、シロキサンなどの有機物から構成されてもよい。例えば、構造体30は、シロキサン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いて構成されてもよい。
【0044】
第1部材41及び第2部材42は、それぞれ、シリコン、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、ニオブ、インジウムなどの単体、酸化物、窒化物、酸窒化物、或いはこれらの複合物で構成されてもよい。また、第1部材41及び第2部材42は、それぞれ、シロキサンなどの有機物から構成されてもよい。
【0045】
例えば、第1部材41及び第2部材42は、それぞれ、シロキサン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いて構成されてもよい。第1部材41及び第2部材42は、異なる材料を用いて構成されてもよいし、同種の材料を用いて構成されてもよい。なお、構造体30、第1部材41、及び第2部材42の一部は、空気(空隙)を用いて構成されてもよい。
【0046】
導光部50は、構造体30の屈折率とその周囲の媒質の屈折率との差によって、入射する光に位相遅延を生じさせ、波面に影響を与えることができる。導光部50は、光の波長に応じて異なる位相遅延量を与えることで、光の伝搬方向を調整し、入射した光を各波長域の光に分離することが可能となる。
【0047】
入射光に含まれる各波長域の光が所望の方向に進むように、各構造体30の大きさ(サイズ)、形状、屈折率等が定められる。図3に示す例では、構造体30の第1部分31及び第2部分32の各々の大きさ、形状、屈折率等が調整され得る。
【0048】
導光部50(分光部)は、メタマテリアル(メタサーフェス)技術を利用して光を分光可能な分光素子であり、スプリッター(カラースプリッター)ともいえる。撮像装置1は、カラースプリッター構造を有するともいえる。
【0049】
導光部50による各波長の光の伝搬方向は、構造体30及び第1部材41及び第2部材42等の材料(光学定数)、構造体30の形状、高さ、配置間隔(ギャップ)等によって調整可能である。導光部50は、構造体30によって入射光を分光する領域(分光領域)ともいえる。
【0050】
導光部50は、入射した光を分光可能に構成された分光部である。導光部50は、複数の波長域の光、例えば第1の波長域~第3の波長域の光にそれぞれ異なる位相遅延を与える。これにより、撮像装置1では、導光部50に入射した光を、第1の波長域の光(例えば赤の波長域の光)、第2の波長域の光(例えば緑の波長域の光)、及び第3の波長域の光(例えば青の波長域の光)に分けることが可能となる。
【0051】
画素Pgの導光部50は、入射する光のうち、緑(G)の光をその画素Pgのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ、赤(R)の光を画素Prのカラーフィルタ25及び光電変換部12へそれぞれ伝搬可能に構成される。画素Pgの導光部50は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち赤の波長域の光を画素Prの方へ導く。
【0052】
また、画素Pgの導光部50は、入射する光のうち、青(B)の光を画素Pbのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ伝搬するように構成される。画素Pgの導光部50は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち青の波長域の光を画素Pbの方へ導く。
【0053】
画素Prの導光部50は、入射する光のうち、赤(R)の光をその画素Prのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ、緑(G)の光を画素Pgのカラーフィルタ25及び光電変換部12へそれぞれ伝搬可能に構成される。画素Prの導光部50は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち緑の波長域の光を画素Pgの方へ導く。
【0054】
また、画素Prの導光部50は、入射する光のうち、青(B)の光を画素Pbのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ伝搬するように構成される。画素Prの導光部50は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち青の波長域の光を画素Pbの方へ導く。
【0055】
画素Pbの導光部50は、入射する光のうち、青(B)の光をその画素Pbのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ、緑(G)の光を画素Pgのカラーフィルタ25及び光電変換部12へそれぞれ伝搬可能に構成される。画素Prの導光部50は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち緑の波長域の光を画素Pgの方へ導く。
【0056】
また、画素Pbの導光部50は、入射する光のうち、赤(R)の光を画素Prのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ伝搬するように構成される。画素Pbの導光部50は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち赤の波長域の光を画素Prの方へ導く。
【0057】
こうして、図4Aにおいて矢印で模式的に示すように、画素Prを囲む複数の画素は、入射光のうち赤の波長の光を画素Prの方へ導く。画素Prに入射する赤色の波長の光と、画素Prの周囲の画素の各々に入射する赤色の波長の光とを、画素Prのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ集光させることができる。画素Prの光電変換部12は、赤の波長域の光を効率よく受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成することが可能となる。
【0058】
図4Bにおいて矢印で模式的に示すように、画素Pgを囲む複数の画素は、入射光のうち緑の波長の光を画素Pgの方へ導く。画素Pgに入射する緑色の波長の光と、画素Pgの周囲の画素の各々に入射する緑色の波長の光とを、画素Pgのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ集光させることができる。画素Pgの光電変換部12は、緑の波長域の光を効率よく受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成することが可能となる。
【0059】
また、図4Cにおいて矢印で模式的に示すように、画素Pbを囲む複数の画素は、入射光のうち青の波長の光を画素Pbの方へ導く。画素Pbに入射する青色の波長の光と、画素Pbの周囲の画素の各々に入射する青色の波長の光とを、画素Pbのカラーフィルタ25及び光電変換部12へ集光させることができる。画素Pbの光電変換部12は、青の波長域の光を効率よく受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成することが可能となる。
【0060】
このように、撮像装置1では、より多くの光を効果的に画素P内に取り込むことができ、量子効率(QE)を向上させることが可能となる。なお、上述した画素Pr、画素Pg、画素Pbの各導光部50の構造体30は、例えば、各々の大きさ、形状等が異なるように形成され得る。
【0061】
本実施の形態に係る撮像装置1では、上述したように、第1部分31及び第1部材41が設けられる層と、第2部分32及び第2部材42が設けられる層を用いて、導光部50が形成される。導光部50を積層構造とすることで、構造体30の形状を細かく制御することが可能となる。これにより、撮像装置1を低背化し、斜入射光の場合に分光特性が低下することを効果的に抑制することが可能となる。トポロジー(3D)形状の導光部50を形成することも可能となる。
【0062】
撮像装置1の製造時には、第1部材41及び第2部材42はエッチングのストッパー膜となり、構造体30の加工制御性を改善することができる。このため、構造体30をテーパー(傾斜部)の付かない形状に加工することも可能となる。断面構造を設計通りに加工することが可能となる。
【0063】
図5は、撮像装置1の画素部100(画素アレイ)の中心からの距離、即ち、像高が高い領域における導光部の断面構成の一例を示している。図6の(A)、(B)は、それぞれ、像高が高い領域における導光部50の第1部分31、導光部50の第2部分32の平面構成の一例を示している。
【0064】
撮像装置1の画素部100の中央部分には、光学レンズからの光がほぼ垂直に入射する。一方、中央部分よりも外側に位置する周辺部分、即ち画素部100の中央から離れた領域には、図5において白抜き矢印で示す例のように、光が斜めに入射する。そこで、撮像装置1では、図5及び図6に示すように、各画素Pにおける導光部50の第1部分31及び第2部分32、カラーフィルタ25、光電変換部12等の位置が、画素部100の中心からの距離、即ち、像高に応じて異なるように構成される。
【0065】
図5及び図6(A),(B)に示すように、画素Pの導光部50の第1部分31は、その画素Pの導光部50の第2部分32に対して画素部100の中央側にずらして配置される。画素Pの導光部50の第2部分32が、その画素Pの導光部50の第1部分31に対して、画素部100の端側にずらして配置されるともいえる。
【0066】
図5に示す例では、導光部50の第1部分31は、導光部50の第2部分32に対して紙面左方向にシフトして設けられる。導光部50の第2部分32が、導光部50の第1部分31に対して、紙面右方向にシフトして設けられるともいえる。
【0067】
なお、画素部100(画素アレイ)の中央領域では、画素Pは、例えば、上述した図2及び図3に示すように構成される。画素部100の中央の画素Pでは、図3に示す例のように、導光部50の第1部分31及び第2部分32の各々の中心位置は、略一致している。また、カラーフィルタ25及び光電変換部12の各々の中心位置は、略一致している。
【0068】
このように、撮像装置1では、導光部50の第1部分31及び第2部分32等の各々の位置が像高に応じて調整され、瞳補正を適切に行うことができる。光電変換部12に入射する光量が低下することを抑制し、入射光に対する感度が低下することを防ぐことが可能となる。光が斜めに入射する場合でも、入射する光を適切に光電変換部12へ伝搬させることが可能となる。
【0069】
図7A図7Iは、実施の形態に係る撮像装置の導光部の製造方法の一例を示す図である。まず、図7Aに示すように、第2部材42上に、リソグラフィ及びエッチングにより、レジスト膜61を形成する。また、図7Bに示すように、ドライエッチングにより、第2部材42の一部が除去される。そして、図7Cに示すように、構造体30の第2部分32として、酸化チタン膜(TiO膜)を成膜する。
【0070】
次に、図7Dに示すように、CMP処理により、余分な酸化チタン膜が除去される。また、図7Eに示すように、第2部材42上に、第1部材41を成膜する。そして、図7Fに示すように、リソグラフィ及びエッチングにより、レジスト膜62を形成する。
【0071】
次に、図7Gに示すように、ドライエッチングにより、第1部材41の一部が除去される。また、図7Hに示すように、第2部材42上に、構造体30の第1部分31として、酸化チタン膜(TiO膜)を成膜する。そして、図7Iに示すように、CMP処理により、余分な酸化チタン膜が除去される。以上のような製造方法によって、図3等に示す導光部50を製造することができる。なお、上述した製造方法は、あくまでも一例であって、他の製造方法を採用してもよい。
【0072】
[作用・効果]
本実施の形態に係る光検出装置は、入射光の波長以下の大きさを有する第1部分(第1部分31)及び第1部分の下に設けられる第2部分(第2部分32)を含む構造体(構造体30)と、第1部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質(第1部材41)と、第2部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質(第2部材42)とを有する導光部(導光部50)と、導光部を介して入射する光を光電変換する第1光電変換部(光電変換部12)とを備える。第1部分は、第2部分に接している。
【0073】
本実施の形態に係る光検出装置(撮像装置1)では、第1部分31及び第2部分32を含む構造体30と、第1部材41及び第2部材42とを有する導光部50が設けられる。導光部50を積層構造とすることで、構造体30の形状を制御することが可能となり、斜入射光に対する感度の低下を抑制することができる。良好な検出性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。
【0074】
本実施の形態では、構造体30の第1部分と第2部分は、互いに接するように設けられる。このため、光の制御性を向上させることが可能となる。また、第1部分と第2部分とが離れて設けられる場合と比較して、製造工程における工程数を抑えることができ、撮像装置1の製造コストの増大を防ぐことが可能となる。
【0075】
次に、本開示の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0076】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図8は、本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の断面構成の一例を示す図である。導光部50は、複数の第1部分31及び第2部分32、複数の第1部材41及び第2部材42を用いて構成されてもよい。例えば、図8に示す例のように、導光部50は、第1部分31a及び第1部材41aが設けられる層と、第2部分32及び第2部材42が設けられる層と、第1部分31b及び第1部材41bが設けられる層とが積層された構造を有していてもよい。
【0077】
図9は、像高が高い領域における画素Pの導光部50断面構成の一例を示している。また、図10の(A)、(B)、(C)は、それぞれ、像高が高い領域における導光部50の第1部分31a、導光部50の第2部分32、導光部50の第1部分31bの平面構成の一例を示している。
【0078】
図9及び図10に示す例のように、像高に応じて、第1部分31aと第2部分32と第1部分31bをずらして配置してもよい。被写体からの光の入射方向に対応して、第1部分31aの中心位置と、第2部分32の中心位置と、第1部分31bの中心位置とが異なっている。本変形例では、3層の導光部50によって斜入射光を適切に導光することができる。
【0079】
導光部50は、図11Aに示すように、第1部分31a~31d及び第2部分32a~32c、第1部材41a~41d及び第2部材42a~42cを用いて構成されてもよい。また、図11Bに示すように、画素部100の中央から離れた領域では、光の入射方向に対応して、第1部分31a~31d及び第2部分32a~32cの各々をずらして配置してもよい。なお、構造体30の第1部分31a~31d及び第2部分32a~32cは、図12A又は図12Bに示すように、テーパー状の形状を有していてもよい。
【0080】
(2-2.変形例2)
構造体30を構成する複数の部分、例えば第1部分31及び第2部分32は、互いに異なる大きさ(高さ(厚さ)、幅など)を有していてもよい。また、構造体30の周囲の媒質、例えば第1部材41及び第2部材42は、互いに異なる大きさ(厚さ、幅など)を有していてもよい。
【0081】
図13A及び図13Bは、変形例2に係る撮像装置の導光部の断面構成の一例を示す図である。図13A又は図13Bに示すように、第1部分31と第2部分32とは、互いに異なる大きさを有していてもよい。図13Aに示す例では、第2部分32の大きさは、第1部分31aの大きさよりも小さい。また、図13Bに示す例では、第2部分32の大きさは、第1部分31a及び第1部分31bの各々の大きさよりも小さい。
【0082】
図14は、変形例2に係る撮像装置の導光部の断面構成の別の例を示す図である。図14に示すように、導光部50は、第2部分32の下に接して設けられる第3部分33と、第3部分33の隣に設けられる第3部材43を有していてもよい。第2部分32と第3部分33とは接している。ここで、「第2部分32と第3部分33とが接している」とは、自然酸化膜が介在している場合を含み、第2部分32が薄い自然酸化膜を介して第3部分33に接している場合を含む。図14に示す例のように、第2部分32と第3部分33は、互いに接するように設けられる。
【0083】
第1部分31と第2部分32と第3部分33は、互いに異なる大きさ(厚さ、幅など)を有していてもよい。像高に応じて、第1部分31と第2部分32と第3部分33をずらして配置してもよい。第1部材41、第2部材42、及び第3部材43は、例えば、異なる材料を用いて構成され得る。
【0084】
(2-3.変形例3)
図15は、変形例3に係る撮像装置の導光部の断面構成の一例を示す図である。図15又は図16に示す例のように、第1部分31と第2部分32とは、互いに異なる幅を有していてもよい。第1部分31と第2部分32は、例えば、各々の大きさ、形状等が異なるように形成され得る。この場合、斜入射光の場合に分光特性が低下することを効果的に抑制することが可能となる。
【0085】
第1部分31a、31b、第2部分32は、それぞれ、図17に示す例のように、十字状の形状、四角形状等を有していてもよい。構造体30の形状は、適宜変更可能であり、例えば、平面視において四角形の形状であってもよい。構造体30の形状は、多角形、楕円、十字形、又はその他の形状であってもよい。
【0086】
(2-4.変形例4)
図18は、変形例4に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。撮像装置1は、図18に示すように、レンズ部26を有していてもよい。レンズ部26は、上方から入射する光を導光部50側へ導く。レンズ部26は、オンチップレンズとも呼ばれる光学部材である。レンズ部26は、例えば、画素P毎または複数の画素P毎に、導光部50の上方に設けられる。レンズ部26には、撮像レンズ等の光学系を介して被写体からの光が入射する。光電変換部12は、レンズ部26及び導光部50及びカラーフィルタ25を介して入射する光を光電変換し得る。
【0087】
なお、カラーフィルタ25の代わりに、又はこれに加えて、光電変換部12の上方に、構造体を用いて構成された導光部を設けるようにしてもよい。この構造体は、例えば、導光部50の構造体30と同様に、柱状の微細構造体である。なお、構造体の形状は、適宜変更可能であり、多角形又はその他の形状であってよい。
【0088】
<3.適用例>
上記撮像装置1等は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話等、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。図19は、電子機器1000の概略構成を表したものである。
【0089】
電子機器1000は、例えば、レンズ群1001と、撮像装置1と、DSP(Digital Signal Processor)回路1002と、フレームメモリ1003と、表示部1004と、記録部1005と、操作部1006と、電源部1007とを有し、バスライン1008を介して相互に接続されている。
【0090】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像装置1の撮像面上に結像するものである。撮像装置1は、レンズ群1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1002に供給する。
【0091】
DSP回路1002は、撮像装置1から供給される信号を処理する信号処理回路である。DSP回路1002は、撮像装置1からの信号を処理して得られる画像データを出力する。フレームメモリ1003は、DSP回路1002により処理された画像データをフレーム単位で一時的に保持するものである。
【0092】
表示部1004は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置1で撮像された動画または静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。
【0093】
操作部1006は、ユーザによる操作に従い、電子機器1000が所有する各種の機能についての操作信号を出力する。電源部1007は、DSP回路1002、フレームメモリ1003、表示部1004、記録部1005および操作部1006の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給するものである。
【0094】
<4.応用例>
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0095】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0096】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図20に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0097】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0098】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0099】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0100】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0101】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0102】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0103】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0104】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0105】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図20の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0106】
図21は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0107】
図21では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0108】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0109】
なお、図21には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0110】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0111】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0112】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0113】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0114】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、例えば、撮像装置1等は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高精細な撮影画像を得ることができ、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0115】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0116】
図22は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0117】
図22では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0118】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0119】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0120】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0121】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0122】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0123】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0124】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0125】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0126】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0127】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0128】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0129】
図23は、図22に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0130】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0131】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0132】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0133】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0134】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0135】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0136】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0137】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0138】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0139】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0140】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0141】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0142】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0143】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0144】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0145】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0146】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を高感度化することができ、高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0147】
以上、実施の形態、変形例および適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例は、上記実施の形態の変形例として説明したが、各変形例の構成を適宜組み合わせることができる。
【0148】
上記実施の形態等では、撮像装置を例示して説明するようにしたが、本開示の光検出装置は、例えば、入射する光を受光し、光を電荷に変換するものであればよい。出力される信号は、画像情報の信号でもよいし、測距情報の信号でもよい。光検出装置(撮像装置)は、イメージセンサ、測距センサ等に適用され得る。
【0149】
本開示に係る光検出装置は、TOF(Time Of Flight)方式の距離計測が可能な測距センサとしても適用され得る。光検出装置(撮像装置)は、イベントを検出可能なセンサ、例えば、イベント駆動型のセンサ(EVS(Event Vision Sensor)、EDS(Event Driven Sensor)、DVS(Dynamic Vision Sensor)等と呼ばれる)としても適用され得る。
【0150】
光学素子である導光部50は、構造体30の設計によって、光を集光するレンズ部として構成されてもよい。また、導光部50は、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるフィルタ部として構成されてもよい。本開示に係る光検出装置及び光学素子(導光部50)は、種々の機器に適用することができる。
【0151】
本開示の一実施形態の光検出装置は、入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、第1部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、第2部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、導光部を介して入射する光を光電変換する第1光電変換部とを備える。第1部分は、第2部分に接している。このため、構造体の形状を制御することが可能となり、斜入射光に対する感度の低下を抑制することが可能となる。良好な検出性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。
【0152】
本開示の一実施形態の光学素子は、入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、第1部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、第2部分の隣に設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを備える。第1部分は、第2部分に接している。なお、ここで「接する」とは、直接に接する場合及び自然酸化膜を介して接する場合を含む。本開示の光学素子によれば、構造体の形状を制御することが可能となる。また、斜入射光に対する特性を向上させることが可能となる。
【0153】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び前記第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、前記第1部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、前記第2部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する第1光電変換部と
を備え、
前記第1部分は、前記第2部分に接している
光検出装置。
(2)
前記第1の媒質は、前記第2の媒質に接している
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記第1の媒質と前記第2の媒質とは、互いに異なる材料からなる
前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第1の媒質と前記第2の媒質との積層方向において、前記第1の媒質と前記第2の媒質とは、互いに異なる厚さを有する
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(5)
前記第1部分と前記第2部分とは、連続して設けられている
前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(6)
前記第1部分と前記第2部分とは、互いに異なる大きさを有する
前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(7)
複数の前記第1光電変換部が設けられた受光部を有し、
前記受光部の中心からの距離に応じて、前記第1部分の中心と前記第2部分の中心との距離が異なっている
前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(8)
前記構造体は、前記第2部分の下に設けられる第3部分を含み、
前記導光部は、前記第3部分の隣に設けられ、前記第3部分の屈折率とは異なる屈折率を有する第3の媒質を有する
前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(9)
前記第2部分と前記第3部分とは、互いに異なる大きさを有する
前記(8)に記載の光検出装置。
(10)
複数の前記第1光電変換部が設けられた受光部を有し、
前記受光部の中心からの距離に応じて、前記第2部分の中心と前記第3部分の中心との距離が異なっている
前記(8)または(9)に記載の光検出装置。
(11)
前記導光部は、前記第1光電変換部上に設けられ、入射した光を分光する
前記(1)から(10)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(12)
前記第1光電変換部の隣に設けられ、前記導光部を介して入射する光を光電変換する第2光電変換部を有し、
前記導光部は、入射光のうち、第1波長の光を前記第1光電変換部側へ導き、第2波長の光を前記第2光電変換部側へ導く
前記(1)から(11)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(13)
前記第1光電変換部の隣に設けられ、前記導光部を介して入射する光を光電変換する第3光電変換部を有し、
前記導光部は、入射光のうち、第3波長の光を前記第3光電変換部側へ導く
前記(12)に記載の光検出装置。
(14)
前記第1部分および前記第2部分は、それぞれ、可視光の波長以下の大きさを有する
前記(1)から(13)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(15)
前記導光部の上に設けられ、光が入射するレンズを有し、
前記第1光電変換部は、前記レンズと前記導光部とを透過した光を光電変換する
前記(1)から(14)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(16)
前記導光部と前記第1光電変換部との間に設けられるカラーフィルタを有し、
前記第1光電変換部は、前記カラーフィルタを透過した光を光電変換する
前記(1)から(15)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(17)
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び前記第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、前記第1部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、前記第2部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部と
を有し、
前記第1部分は、前記第2部分に接している
電子機器。
(18)
入射光の波長以下の大きさを有する第1部分及び前記第1部分の下に設けられる第2部分を含む構造体と、
前記第1部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第1の媒質と、
前記第2部分の隣に設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質と
を備え、
前記第1部分は、前記第2部分に接している
光学素子。
【符号の説明】
【0154】
1…撮像装置、10…受光部、12…光電変換部、20…透明層、25…カラーフィルタ、30…構造体、31…第1部分、32…第2部分、41…第1部材、42…第2部材、50…導光部、100…画素部。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23