(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066310
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ヘッド、シート搬送装置及びシート加工システム
(51)【国際特許分類】
B65H 5/08 20060101AFI20240508BHJP
B65H 5/10 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B65H5/08 B
B65H5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175814
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】阿竹 浩之
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 一樹
【テーマコード(参考)】
3F101
【Fターム(参考)】
3F101CA10
3F101CB03
3F101CC01
3F101CC29
3F101CE21
3F101LA15
3F101LB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シートを安定して保持するヘッドを提供する。
【解決手段】シート搬送装置30のヘッド31は、シート10を吸引する吸引孔32hが設けられ、シート10を支持する支持部材32と、シート10を支持部材32に押して支持部材32との間にシート10を保持する、保持部材40と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送装置のヘッドであって、
シートを吸引する吸引孔が設けられ、前記シートを支持する支持部材と、
前記シートを前記支持部材に押して前記支持部材との間に前記シートを保持する、保持部材と、を備える、ヘッド。
【請求項2】
前記保持部材は、第1位置と第2位置との間を揺動可能となるように前記支持部材に設けられた揺動部材を含み、
前記揺動部材は、前記第1位置に位置するときに前記シートを保持し、前記第1位置から前記第2位置に向けて揺動するとき前記シートから離れる、請求項1に記載のヘッド。
【請求項3】
前記第1位置に位置する前記揺動部材の前記シートと接触する部分は、前記揺動部材が前記第2位置に位置するときに、前記支持部材及び前記保持部材の間に保持された前記シートと前記支持部材とが対面する方向に直交する面への投影において、前記シートからずれている、請求項2に記載のヘッド。
【請求項4】
前記シートの縁から前記第1位置に位置する前記揺動部材と前記シートとが重なる位置までの距離は、前記シートの前記縁から前記吸引孔と前記シートとが重なる位置までの距離よりも小さい、請求項2に記載のヘッド。
【請求項5】
前記揺動部材は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分の間には、前記揺動部材の揺動軸線が位置し、
前記第1部分は、前記揺動部材が前記第1位置に位置するときに前記シートと接触し、
前記第2部分は、前記揺動部材が前記第1位置に位置するときに前記支持部材の外方に位置する、請求項2に記載のヘッド。
【請求項6】
前記保持部材は、前記揺動部材を前記第2位置から前記第1位置に向けて付勢する付勢部材を含む、請求項2に記載のヘッド。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッドと、
前記ヘッドを駆動する駆動装置と、を含むシート搬送装置。
【請求項8】
請求項5に記載のヘッドを含むシート搬送装置と、
前記シート搬送装置に前記シートを供給するシート供給装置と、を備え、
前記シート供給装置は、前記ヘッドに向けて前記シートを押し出すプレート部材を含み、
前記プレート部材は、前記揺動部材を操作する操作部を含み、
前記操作部が前記第2部分を押すことで、前記揺動部材が前記第1位置から前記第2位置に向けて揺動する、シート加工システム。
【請求項9】
前記プレート部材には、前記第1位置から前記第2位置へ揺動した前記揺動部材の少なくとも一部分を収容する収容部が設けられている、請求項8に記載のシート加工システム。
【請求項10】
請求項5に記載のヘッドを含むシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送された前記シートを成形するシート成形装置と、を備え、
前記シート成形装置は、前記シート搬送装置によって搬送された前記シートを受容する型を含み、
前記型は、前記揺動部材を操作する操作部を含み、
前記操作部が前記第2部分を押すことで、前記揺動部材が前記第1位置から前記第2位置に向けて揺動する、シート加工システム。
【請求項11】
前記型には、前記第1位置から前記第2位置へ揺動した前記揺動部材の少なくとも一部分を収容する収容部が設けられている、請求項10に記載のシート加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッド、シート搬送装置及びシート加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、ヘッドを備えるシート搬送装置が知られている。ヘッドは、シートを支持する支持部材を含む。支持部材には、シートを吸引する吸引孔が設けられている。ヘッドは、減圧された吸引孔からシートを吸引することで、シートを保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
膨張、収縮、反り、ねじれ等の変形がシートに生じると、吸引孔におけるシートの吸引力が低下する。シートの吸引力が低下すると、ヘッドは、シートを安定して保持できなくなる。本開示は、シートを安定して保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態によるヘッドは、
シート搬送装置のヘッドであって、
シートを吸引する吸引孔が設けられ、前記シートを支持する支持部材と、
前記シートを前記支持部材に押して前記支持部材との間に前記シートを保持する、保持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、シートを安定して保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施の形態を説明するための図であって、シート加工システムを概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のシート加工システムにおける、シート供給装置、シート及びシート搬送装置を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2のシート供給装置のプレート部材を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のシート搬送装置のヘッドを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4のヘッドにおける支持部材、揺動部材、軸部材及び付勢部材を示す背面図である。
【
図6】
図6は、ヘッドと、シートを保持しながらヘッドに近づくプレート部材と、を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す状態からプレート部材をヘッドにさらに近づけた状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、シートを保持するヘッドと、ヘッドから遠ざかるプレート部材と、を示す断面図である。
【
図9】
図9は、シート搬送装置の第2ヘッドを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図1のシート加工システムにおける、シート搬送装置及びシート成形装置を示す正面図である。
【
図12】
図12は、型と、シートを保持しながら型に近づくヘッドと、を示す断面図である。
【
図13】
図13は、
図12に示す状態からヘッドを型にさらに近づけた状態を示す断面図である。
【
図14】
図14は、シートを保持する型と、型から遠ざかるヘッドと、を示す断面図である。
【
図15】
図15は、型及び型に保持されたシートを示す図である。
【
図16】
図16は、型、型において成形されたシート及び型に近づく第2型を示す図である。
【
図17】
図17は、
図16に示す状態から第2型を型に近づけ、射出樹脂を射出した状態を示す図である。
【
図18】
図18は、
図17に示す状態から第2型及び第2型に保持された成形品を第1型から離した状態を示す図である。
【
図19】
図19は、第2型から第2ヘッドへ受け渡された成形品のトリミング領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一実施の形態は、次の[1]~[11]に関する。
【0009】
[1] シート搬送装置のヘッドであって、
シートを吸引する吸引孔が設けられ、前記シートを支持する支持部材と、
前記シートを前記支持部材に押して前記支持部材との間に前記シートを保持する、保持部材と、を備える、ヘッド。
【0010】
[2] 前記保持部材は、第1位置と第2位置との間を揺動可能となるように前記支持部材に設けられた揺動部材を含み、
前記揺動部材は、前記第1位置に位置するときに前記シートを保持し、前記第1位置から前記第2位置に向けて揺動するとき前記シートから離れる、[1]のヘッド。
【0011】
[3] 前記第1位置に位置する前記揺動部材の前記シートと接触する部分は、前記揺動部材が前記第2位置に位置するときに、前記支持部材及び前記保持部材の間に保持された前記シートと前記支持部材とが対面する方向に直交する面への投影において、前記シートからずれている、[2]のヘッド。
【0012】
[4] 前記シートの縁から前記第1位置に位置する前記揺動部材と前記シートとが重なる位置までの距離は、前記シートの前記縁から前記吸引孔と前記シートとが重なる位置までの距離よりも小さい、[2]又は[3]のヘッド。
【0013】
[5] 前記揺動部材は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分の間には、前記揺動部材の揺動軸線が位置し、
前記第1部分は、前記揺動部材が前記第1位置に位置するときに前記シートと接触し、
前記第2部分は、前記揺動部材が前記第1位置に位置するときに前記支持部材の外方に位置する、[2]~[4]のいずれかのヘッド。
【0014】
[6] 前記保持部材は、前記揺動部材を前記第2位置から前記第1位置に向けて付勢する付勢部材を含む、[2]~[5]のいずれかのヘッド。
【0015】
[7] [1]~[6]のいずれかのヘッドと、
前記ヘッドを駆動する駆動装置と、を含むシート搬送装置。
【0016】
[8] [5]のヘッドを含むシート搬送装置と、
前記シート搬送装置に前記シートを供給するシート供給装置と、を備え、
前記シート供給装置は、前記ヘッドに向けて前記シートを押し出すプレート部材を含み、
前記プレート部材は、前記揺動部材を操作する操作部を含み、
前記操作部が前記第2部分を押すことで、前記揺動部材が前記第1位置から前記第2位置に向けて揺動する、シート加工システム。
【0017】
[9] 前記プレート部材には、前記第1位置から前記第2位置へ揺動した前記揺動部材の少なくとも一部分を収容する収容部が設けられている、[8]のシート加工システム。
【0018】
[10] [5]のヘッドを含むシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送された前記シートを成形するシート成形装置と、を備え、
前記シート成形装置は、前記シート搬送装置によって搬送された前記シートを受容する型を含み、
前記型は、前記揺動部材を操作する操作部を含み、
前記突出部が前記第2部分を押すことで、前記揺動部材が前記第1位置から前記第2位置に向けて揺動する、シート加工システム。
【0019】
[11] 前記型には、前記第1位置から前記第2位置へ揺動した前記揺動部材の少なくとも一部分を収容する収容部が設けられている、[10]のシート加工システム。
【0020】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、一部の図において示された構成等が、他の図において省略されていることもある。
【0021】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0022】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する符号を付した矢印により共通する方向を示している。矢印の先端側が、各方向の第1側となる。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば
図1に示すように、円の中に×を設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば
図5に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。
【0023】
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。一例として、「パラメータBは、A1以上でもよく、A2以上でもよく、A3以上でもよい。パラメータBは、A4以下でもよく、A5以下でもよく、A6以下でもよい。」との記載について検討する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0024】
図1~
図19は、一実施の形態を説明する図である。
図1は、シート加工システム1を概略的に示す平面図である。シート加工システム1は、シート10を加工する。
図1に示す例において、シート加工システム1は、シート10を供給するシート供給装置20と、シート10を搬送するシート搬送装置30と、シート10を成形するシート成形装置50と、を含んでいる。
【0025】
シート加工システム1は、シート10と、シート10に接合した熱可塑性樹脂部12と、を含む成形品13を作製してもよい。
図1に示す例では、シート成形装置50のシート10を収容したキャビティ53内に、加熱した熱可塑性樹脂を供給することで、シート10と接合した熱可塑性樹脂部12が作製されている。シート加工システム1は、成形品13から成形製品16をトリミングするトリミング装置80を含んでもよい。
【0026】
図1に示す例において、シート加工システム1は、クリーンブース5内に位置している。クリーンブース5は、空気の流入口6と、空気の流出口7と、を有している。クリーンブース5内の空間は、流入口6及び流出口7以外の部分において、クリーンブース5外の空間から隔てられている。クリーンブース5には、流入口6から清浄な空気が流入している。流入口6及び流出口7は、第1方向D1に互いに対向している。クリーンブース5において、空気は、流入口6から流出口7に向けて第1方向D1に流れている。第1方向D1に流れる空気により、シート加工システム1を構成する装置への異物の付着が抑制され得る。
【0027】
以下、
図1~
図19を参照して、シート加工システム1を構成する各装置の詳細について説明する。
【0028】
シート加工システム1によって加工されるシート10について説明する。シート10は、第1面10aと、第1面10aとは反対の第2面10bと、を有している。第1面10a及び第2面10bは、シート10の主面である。
【0029】
シート10は、種々の機能を有し得る。シート10は、意匠を表示してもよい。シート10は、シート10の適用対象に意匠性を付与してもよい。すなわち、シート10は、加飾シートでもよい。加飾シートは、自動車、バイク、三輪車、電車、航空機、船舶、雪上車、産業用ロボット、ドローン等の移動体に適用されてもよい。加飾シートは、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビ、食洗器等の家電製品に適用されてもよい。加飾シートは、建物の内装として、壁、扉、天井等に適用されてもよい。
【0030】
シート10は、単層でもよい。シート10は、複数の層を含んでもよい。シート10は、複数の層として、基材と、基材に重ねられた意匠層と、意匠層に重ねられた表面層と、を含んでもよい。シート10は、第1面10aから第2面10bに向けて、表面層と、基材と、意匠層と、をこの順で含んでもよい。
【0031】
基材は、シート10に含まれる層を支持してもよい。基材は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。シート10に含まれる熱可塑性樹脂は、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートの一以上を含んでもよい。基材は、着色材を含んでもよい。すなわち、基材は、着色されてもよい。基材は、シート10が表示する意匠を形成してもよい。
【0032】
意匠層は、シート10が表示する意匠を形成してもよい。意匠層によって形成される意匠は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄の一以上を含んでもよい。意匠層は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部によって保持された色材と、を含んでもよい。バインダー樹脂部は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。バインダー樹脂部は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の一以上を含んでもよい。電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂および電子線放射線樹脂を含んでもよい。色材は、染料や顔料を含んでもよい。
【0033】
表面層は、シート10の表面を形成してもよい。表面層は、シート10の第1面10a及び第2面10bの少なくともいずれか一方の面を形成し得る。表面層は、種々の機能を発揮してもよい。表面層は、耐擦傷性を発揮するハードコート層でもよい。表面層は、防汚機能を発揮する防汚層でもよい。表面層は、防眩機能を発揮する防眩層でもよい。表面層は、反射防止機能を発揮する反射防止層でもよい。表面層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。表面層は、透明でもよい。
【0034】
なお、「透明」とは、可視光透過率が50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。可視光透過率は、JIS K 7361に準拠したヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で1nm毎に入射角0°で測定したときの、各波長における全光線透過率の平均値として特定される。
【0035】
成形に起因してシート10が破れること、及び射出された射出樹脂によってシート10にしわが生じることを抑制する観点から、シート10の厚さは、30μm以上でもよく、50μm以上であることが好ましく、75μm以上であることがさらに好ましい。また、シート10の成形性を十分に確保する観点から、シート10の厚さは、500μm以下でもよく、250μm以下であることが好ましく、125μm以下であることがさらに好ましい。
【0036】
シート10は、長尺の長尺シート11の一部分でもよい。長尺シート11は、複数のシート10を含んでもよい。複数のシート10の第1面10aによって、長尺シート11の第1面11aが構成されてもよい。複数のシート10の第2面10bによって、長尺シート11の第2面11bが構成されてもよい。シート10は、長尺シート11から断裁されてもよい。
【0037】
図2に示すように、シート10は、長尺シート11の一部分としてクリーンブース5内に持ち込まれてもよい。長尺シート11は、軸線ASを中心として、巻取コアに巻き取られた状態でクリーンブース5内に持ち込まれてもよい。すなわち、長尺シート11は、巻体11Rとしてクリーンブース5内に持ち込まれてもよい。図示された例において、巻体11Rは、ロール状の形状を有している。図示された例に限られず、シート10は、長尺シート11から断裁された状態でクリーンブース5に持ち込まれてもよい。
【0038】
図2に示す例において、巻体11Rの長尺シート11は、第1方向D1におけるシート供給装置20とシート搬送装置30と間に繰り出されている。長尺シート11は、第1方向D1に直交する第2方向D2に繰り出されている。第2方向D2に繰り出された長尺シート11の第1面11aは、第1方向D1においてシート供給装置20を向いている。第2方向D2に繰り出された長尺シート11の第2面11bは、第1方向D1においてシート搬送装置30を向いている。長尺シート11の軸線ASは、第1方向D1及び第2方向D2の両方向に直交する第3方向D3に延びている。長尺シート11は、第3方向D3において、ある程度の幅を有している。図示された例において、シート供給装置20の断裁手段23によって長尺シート11を第3方向D3に断裁することで、第1方向D1におけるシート供給装置20とシート搬送装置30との間に、シート10が切り出されてもよい。
【0039】
図2に示す例において、シート供給装置20は、シート10の第1面10aと第1方向D1に対面している。シート供給装置20は、シート搬送装置30にシート10を供給する。シート供給装置20は、シート10を押し出すプレート部材21と、シート10を保持するクランプ22と、シート10を切り出す断裁手段23と、シート10を検出するセンサ27と、を含んでいる。プレート部材21、クランプ22a,22b、断裁手段23及びセンサ27は、シート供給装置20の図示しない筐体内に保持されてもよい。
【0040】
図2及び
図3に示す例において、プレート部材21は、主に第2方向D2及び第3方向D3に広がる板状の部材である。プレート部材21は、第1方向D1に移動可能である。プレート部材21は、第2方向D2及び第3方向D3に広がる接触面21aにおいて、シート10の第1面10aと接触し得る。シート10は、第1面10aから接触するプレート部材21によって、シート搬送装置30の後述するヘッド31に向けて押し出される。すなわち、プレート部材21は、シート搬送装置30の後述するヘッド31に向けてシート10を押し出す。プレート部材21は、長尺シート11から切り出される前のシート10をヘッド31に向けて押し出してもよい。
【0041】
プレート部材21は、後述する保持部材40の揺動部材41を操作する操作部21Xを含んでもよい。
図3に示す例において、操作部21Xは、接触面21aよりも第1方向D1に突出する突出部21sを有している。突出部21sは、プレート部材21の第2方向D2における縁部に、一対設けられている。突出部21sは、第3方向D3に延びている。突出部21sは、プレート部材21の第3方向D3における全長に亘って延びている。詳しくは後述するように、プレート部材21がヘッド31に向けて第1方向D1に移動するとき、操作部21Xは揺動部材41を操作する。より具体的には、プレート部材21がヘッド31に向けて第1方向D1に移動するとき、突出部21sは、シート10がシート供給装置20からシート搬送装置30に受け渡される前に、揺動部材41の第2部分41bを第1方向D1に押す。
【0042】
プレート部材21には、操作部21Xによって動作した保持部材40の少なくとも一部分を収容する収容部21Yが設けられてもよい。
図3に示す例において、プレート部材21には、収容部21Yとして、接触面21aよりも第1方向D1に凹んでいる凹部21rが設けられている。凹部21rは、第2方向D2において、一対設けられた突出部21sの各々と接触面21aとの間に設けられている。凹部21rは、第3方向D3に延びている。凹部21rは、プレート部材21の第3方向D3における全長に亘って延びている。詳しくは後述するように、凹部21rは、第1位置P1から第2位置P2へ揺動した揺動部材41の少なくとも一部分を収容する。
【0043】
プレート部材21は、アルミニウム等の金属製でもよい。プレート部材21は、接触面21a、突出部21s及び凹部21rを含めて一体的に形成されてもよい。
【0044】
図2に示す例において、シート供給装置20は、クランプ22として、第2方向D2に互いから離れた第1クランプ22a及び第2クランプ22bを含んでいる。第1クランプ22a及び第2クランプ22bは、第3方向D3に延びている。第1クランプ22aは、第2クランプ22bと比較して、第2方向D2に繰り出された長尺シート11の先端に位置している。第1クランプ22a及び第2クランプ22bは、プレート部材21の第2方向D2における縁よりも外方に位置している。言い換えると、第1クランプ22a及び第2クランプ22bは、プレート部材21の第2方向D2における縁よりも、プレート部材21の重心から第2方向D2に離れている。さらに言い換えると、プレート部材21は、第2方向D2において第1クランプ22aと第2クランプ22bとの間に位置している。
【0045】
クランプ22は、シート10をシート供給装置20に保持する。すなわち、クランプ22は、シート供給装置20に対するシート10の移動を規制する。プレート部材21は、クランプ22によって保持されたシート10をシート搬送装置30のヘッド31に向けて押し出す。
図2に示す例において、巻体11Rから繰り出された長尺シート11は、第1クランプ22aによって保持されている。長尺シート11は、第1クランプ22aによって、第2方向D2及び第3方向D3への移動を規制されている。長尺シート11は、第2クランプ22bによって保持されてもよい。クランプ22は、金属製でもよいし、樹脂製でもよい。
【0046】
図2に示す例において、断裁手段23は、第2方向D2における第2クランプ22bとプレート部材21との間に位置している。断裁手段23は、第3方向D3に延びている。断裁手段23は、長尺シート11を断裁する。断裁手段23は、長尺シート11を第3方向D3に断裁している。長尺シート11が断裁手段23によって断裁されることで、シート10が切り出される。切り出されたシート10は、第2方向D2に長手方向を有している。切り出されたシート10は、第3方向D3に幅方向を有している。断裁手段23は、金属製の刃物を含んでもよい。
【0047】
図2に示す例において、センサ27は、シート供給装置20に向けて繰り出された長尺シート11を検出する。センサ27の検出結果は、シート供給装置20の図示しない制御装置に伝送されてもよい。制御装置は、センサ27の検出結果に基づいて、長尺シート11の繰り出しを制御してもよい。センサ27は、カメラ等の撮像装置でもよい。
【0048】
シート供給装置20は、一例として、以下の工程によりシート10をシート搬送装置30に供給してもよい。第1に、巻体11Rとしての長尺シート11を、第1方向D1における待機中のプレート部材21及びヘッド31との間となる位置に、第2方向D2へ繰り出す。第2に、第2方向D2へ繰出された長尺シート11を、第1クランプ22aによって保持する。第3に、プレート部材21を長尺シート11に向けて第1方向D1に移動させ、長尺シート11の第1面11aと接触させる。第4に、第2クランプ22bによって長尺シート11を保持する。第5に、断裁手段23によって長尺シート11を断裁し、シート10を切り出す。長尺シート11から切り出されたシート10は、第1面10aにおいて、プレート部材21と接触するようになる。第6に、シート10の第1面10aと接触したプレート部材21をヘッド31に向けて移動させる。シート供給装置20は、以上のようにして、シート10をシート搬送装置30に供給してもよい。
【0049】
シート供給装置20によりシート搬送装置30へ供給されたシート10は、シート供給装置20のプレート部材21から、シート搬送装置30のヘッド31に引き渡される。なお、シート供給装置20からシート搬送装置30へシート10を引き渡す工程については、後述する。
【0050】
図2及び
図10に示す例において、シート搬送装置30は、ヘッド31と、ヘッド31を駆動する駆動装置60と、を含んでいる。ヘッド31は、シート10を保持するためのヘッド保持部31Aを含む。
図10に示すように、ヘッド31は、ヘッド保持部31Aに加えて、成形品13を保持するための第2ヘッド保持部31Bを含んでもよい。シート搬送装置30が第2ヘッド保持部31Bを含むとき、ヘッド保持部31Aは、第1ヘッド保持部31Aと称呼されてもよい。図示された例において、ヘッド保持部31A及び第2ヘッド保持部31Bは、駆動装置60の後述する接続部材39に取り付けられている。
【0051】
第1ヘッド保持部31Aは、シート供給装置20から供給されたシート10を受け取る。言い換えると、シート供給装置20は、シート10を第1ヘッド保持部31Aに引き渡す。
図4に示す例において、第1ヘッド保持部31Aは、支持部材32と、保持部材40と、を含んでいる。シート搬送装置30は、第1ヘッド保持部31Aにシート10を保持した状態で、シート10を搬送する。シート搬送装置30は、シート10をシート成形装置50に搬送してもよい。
【0052】
支持部材32は、シート供給装置20から受け渡されたシート10を支持する。
図2及び
図4に示す例において、支持部材32は、第2方向D2及び第3方向D3に延びる周状の部材である。支持部材32は、矩形状の外周に沿って延びる形状を有している。支持部材32は、シート10を支持する支持面32aを有している。図示された例において、支持面32aは、第1方向D1に直交する平面となっている。支持部材32の中央部分は、開口している。
図4において、支持部材32の開口した部分からは、後述するヒータ33が観察される。矩形状の外周に沿って延びる形状を有した支持部材32は、板状のヒータ33の一部分上に位置している。
【0053】
図2に示す例において、支持部材32は、シート10の第2面10bと第1方向D1に対面している。支持部材32は、シート10越しにシート供給装置20のプレート部材21と対面している。支持部材32は、第1方向D1にある程度の厚さを有している。支持部材32は、シート10を支持する支持面32aを有している。支持部材32は、アルミニウム等の金属製でもよい。
【0054】
図4に示す例において、支持部材32には、複数の吸引孔32hが設けられている。複数の吸引孔32hは、周状の支持部材32が延びる方向に沿って、間隔を空けて設けられている。吸引孔32hは、支持部材32の支持面32aに開口している。吸引孔32hの開口は、正面視(第1方向D1に直交する平面の観察)において円形形状を有している。吸引孔32hの開口は、これに限られず、正面視において円形形状以外の形状を有してもよい。吸引孔32hは、例えば、矩形形状を有してもよいし、長円形形状を有してもよい。
【0055】
図4に示す例において、吸引孔32hは、図示しない吸引ポンプに接続されている。複数の吸引孔32hが、単一の吸引ポンプに接続してもよい。吸引ポンプは、吸引孔32h内の空気を吸引する。吸引ポンプが吸引孔32h内の空気を吸引することで、吸引孔32hが減圧される。支持部材32に支持されたシート10は、減圧された吸引孔32hに吸着され得る。
【0056】
図4に示す例において、保持部材40は、支持部材32に設けられている。図示された例において、矩形状の外周に沿って延びる板状形状を有する支持部材32の隅部に、保持部材40が設けられている。支持部材32には、4つの保持部材40が設けられてもよい。保持部材40は、シート10を支持部材32に押す。シート10は、保持部材40に押されることで、支持部材32と保持部材40との間に保持される。図示された例において、保持部材40は、揺動部材41と、軸部材42と、付勢部材43と、を含んでいる。以下、保持部材40について説明する。
【0057】
図5~
図8に示すように、揺動部材41は、板状部411と、板状部411から突出する一対の突出部412と、を含んでもよい。一対の突出部412は、第3方向D3に互いから離れている。突出部412には、突出部412を第2方向D2に貫通する貫通孔が設けられている。
【0058】
図5に示すように、軸部材42は、揺動部材41の一対の突出部412の貫通孔を通過している。軸部材42は、突出部412の貫通孔を通過する部分において、揺動部材41に取り付けられている。軸部材42は、その両端部において支持部材32に取り付けられている。支持部材32に取り付けられた軸部材42は、第3方向D3に延びる軸線ARを中心として、支持部材32に対して回転可能となっている。この結果、揺動部材41は、軸線ARを中心として揺動可能となるように支持部材32に取り付けられている。なお、軸線ARは、揺動部材41の揺動軸線ARと称呼されてもよい。
【0059】
図5~
図8に示す例において、揺動部材41は、第3方向D3に延びる軸線ARを中心として、第1位置P1と第2位置P2との間を揺動可能となっている。揺動部材41は、
図5、
図6及び
図8に示す例において、第1位置P1に位置している。揺動部材41は、
図7に示す例において、第2位置P2に位置している。
【0060】
図6~
図8に示す例において、揺動部材41は長手方向を有する。揺動部材41は、第1部分41aと、第1部分41aから長手方向に離れた第2部分41bと、を有している。また、図示された揺動部材41では、軸線ARは、長手方向において第1部分41aと第2部分41bとの間に位置している。
【0061】
揺動部材41が第1位置P1に位置するとき、揺動部材41の第1部分41aは、支持部材32と接触してもよいし、支持部材32に支持されたシート10と接触してもよい。
図6に示す例において、揺動部材41が第1位置P1に位置するとき、第1部分41aは、支持部材32と接触している。
図8に示す例において、揺動部材41が第1位置P1に位置するとき、第1部分41aは、支持部材32に支持されたシート10と接触している。
図6及び
図8に示すように、揺動部材41が第1位置P1に位置するとき、揺動部材41の第2部分41bは、支持部材32の外方に位置してもよい。すなわち、揺動部材41が第1位置P1に位置するとき、揺動部材41の第2部分41bは、支持部材32よりも支持部材32の重心から離れた位置に位置してもよい。さらに言い換えると、揺動部材41が第1位置P1に位置するとき、揺動部材41の第2部分41bは、支持部材32及び保持部材40の間に保持されたシート10と支持部材32とが対面する方向に直交する面への投影において、揺動部材41の第2部分41bは支持部材32からずれてもよい。
【0062】
付勢部材43は、弾性体でもよい。付勢部材43は、構成により付勢力を発生してもよい。
図5~
図8に示す例において、付勢部材43は、線状部材を巻いたねじりコイルばねである。付勢部材43を構成する線状部材の両端部は、線状部材の巻かれた部分よりも外方に延びている。線状部材の一方の端部は、揺動部材41の板状部411と接触している。線状部材の他方の端部は、支持部材32と接触している。付勢部材43は、揺動部材41の一対の突出部412の間に配置されている。一対の突出部412の間に延びる軸部材42は、付勢部材43の中央部分を通過している。
【0063】
図5~
図8に示す例において、付勢部材43は、揺動部材41が第1位置P1から第2位置P2に向けて揺動するとき、軸線ARを中心としてねじられる。ねじられた付勢部材43には、ねじられる前の状態に戻ろうとする復元力Fが生じる。復元力Fは、
図7に矢印を用いて示すように、揺動部材41を第2位置P2から第1位置P1に向けて揺動する向きに作用する。すなわち、付勢部材43は、揺動部材41を第2位置P2から第1位置P1に向けて付勢している。
【0064】
以上の構成を有する第1ヘッド保持部31Aは、一例として、
図6~
図8を参照して以下に説明するようにして、シート供給装置20から供給されたシート10を保持してもよい。
【0065】
図6に示すように、接触面21aにシート10が位置するプレート部材21を、第1ヘッド保持部31Aに向けて第1方向D1に近づける。図示された例において、揺動部材41は、第1位置P1に位置している。プレート部材21の突出部21sは、揺動部材41、とりわけ揺動部材41の第2部分41bと第1方向D1に対面する部分を含んでいる。プレート部材21の凹部21rは、揺動部材41と第1方向D1に対面する部分を含んでいる。
【0066】
図6に示す状態からプレート部材21を第1ヘッド保持部31Aに向けて第1方向D1にさらに近づけていくと、プレート部材21は、突出部21sにおいて、揺動部材41の第2部分41bと接触する。第1ヘッド保持部31Aに向けて第1方向D1に近づくプレート部材21において、突出部21sは、第2部分41bを第1方向D1に押す。これにより、揺動部材41は、軸線ARを中心として、第1位置P1から第2位置P2に向けて揺動する。第1位置P1から第2位置P2に向けて揺動する揺動部材41において、第1部分41aは、支持部材32の支持面32aから離れていく。
【0067】
図6に示す状態からプレート部材21を第1ヘッド保持部31Aに向けて第1方向D1にさらに近づけていくと、シート10は、
図7に示すように、第2面10bにおいて、支持部材32の支持面32aと接触する。シート10が支持面32aと接触すると、吸引孔32hは、支持部材32における開口をシート10によって塞がれる。その後、開口を塞がれた吸引孔32h内の空気が、図示しない吸引ポンプによって吸引される。これにより、吸引孔32h内の空間は、減圧される。この結果、シート10は、吸引孔32hに吸着される。このようにして、シート10は、支持部材32によって支持される。シート10は、シート供給装置20からシート搬送装置30に引き渡される。
【0068】
図7に示す状態において、揺動部材41は、軸線ARを中心として第1位置P1から揺動して、第2位置P2に位置している。揺動部材41が第2位置P2に位置するとき、揺動部材41の第1部分41a及び第2部分41bは、第1方向D1に直交する平面への投影において、支持部材32の支持面32aに重なるシート10からずれている。とりわけ、
図7に示された状態では、第1方向D1に直交する平面への投影において、揺動部材41と、支持部材32の支持面32aに重なるシート10とが、第2方向D2において互いから離れている。すなわち、揺動部材41が第2位置P2に位置するとき、揺動部材41の第1部分41a及び第2部分41bは、支持面32a上のシート10の外方に位置している。更に言い換えると、揺動部材41が第2位置P2に位置するとき、揺動部材41の第1部分41a及び第2部分41bは、支持面32a上のシート10の外縁よりもシート10の重心から離れている。
【0069】
図7に示された状態において、第1位置P1から第2位置P2へ揺動した揺動部材41は、突出部21sと第2方向D2に対面している。この結果、揺動部材41は、第2位置P2から第1位置P1への揺動を突出部21sによって規制されている。
【0070】
図7に示す状態において、付勢部材43は、揺動部材41の第1位置P1から第2位置P2への揺動によって、
図6に示す状態から、軸線ARを中心としてねじられている。ねじられた付勢部材43には、
図6に示された状態に戻ろうとする復元力Fが生じる。
図7に示す状態において、揺動部材41は、付勢部材43からの復元力Fを加えられた状態で、突出部21sによって第2位置P2から第1位置P1への揺動を規制されている。
【0071】
図3、及び
図6~
図8に示す例において、プレート部材21は、シート10と接触する接触面21aと、揺動部材41を操作する操作部21Xと、を含んでいる。操作部21Xは、接触面21aから突出した突出部21sを含んでいる。突出部21sが揺動部材41の第2部分41bを押すことによって、揺動部材41が第1位置P1から第2位置P2に揺動している。この具体例によれば、揺動部材41は、支持部材32の支持面32aにシート10が接触する前に、第1位置P1から第2位置P2へ揺動できる。揺動部材41は、シート供給装置20からシート搬送装置30にシート10が引き渡される前に、第1位置P1から第2位置P2へ揺動できる。これにより、第1位置P1に位置する揺動部材41とシート10との意図しない干渉を抑制できる。すなわち、シート10と揺動部材41との干渉に起因した、シート10の意図しない変形を抑制できる。したがって、この具体例によれば、シート供給装置20は、シート10を安定してシート搬送装置30に引き渡せる。
【0072】
図3、及び
図6~
図8に示す例において、プレート部材21には、第1位置P1から第2位置P2に移動した揺動部材41を少なくとも部分的に収容する収容部21Yを含む。収容部21Yは、第2方向D2における接触面21aと突出部21sとの間に凹部21rを含む。凹部21rは、
図7に示すように、第1位置P1から第2位置P2へ揺動する揺動部材41の一部分を収容している。図示された例では、揺動部材41の第1部分41aが、凹部21rに収容されている。この具体例によれば、第2位置P2に移動した揺動部材41とプレート部材21との干渉を抑制できる。これにより、プレート部材21と支持部材32とが容易に接近でき、プレート部材21と支持部材32との間でのシート10の受け渡しを安定して実施できる。したがって、この具体例によれば、シート供給装置20は、シート10を安定してシート搬送装置30に供給できる。
【0073】
シート10がシート供給装置20からシート搬送装置30に引き渡されたのち、プレート部材21は、
図7に示す状態から、第1ヘッド保持部31Aに対して第1方向D1に離れていく。プレート部材21が第1ヘッド保持部31Aから離れることで、シート10の第1面10aと、プレート部材21の接触面21aとが離れる。シート10は、吸引孔32hによって、支持部材32の支持面32aに保持される。
【0074】
図6~
図8に示す例において、プレート部材21が第1ヘッド保持部31Aから第1方向D1に離れていくと、突出部21sによる揺動部材41の揺動の規制が解除される。この結果、揺動部材41は、付勢部材43に生じている復元力Fにより、
図7に示された状態、すなわち第2位置P2から、
図8に示された状態、すなわち第1位置P1へと揺動する。
図8に示された状態において、第1位置P1に位置する揺動部材41は、第1部分41aにおいて、シート10と接触している。すなわち、保持部材40は、シート10を支持部材32に押している。保持部材40は、支持部材32との間においてシート10を保持している。
【0075】
以上のようにして、シート搬送装置30のヘッド31は、シート供給装置20から供給されたシート10を、保持部材40によって保持する。ところで、JP2018-176720Aに開示される従来のシート搬送装置のヘッドにおいて、シートを支持する支持部材には、シートを吸引する複数の吸引孔が設けられている。複数の吸引孔は、支持部材に開口している。吸引孔は、吸引ポンプに接続している。このヘッドにおいて、支持部材上のシートによって開口を塞ぎ、さらに開口を塞がれた吸引孔内の空気を吸引ポンプによって吸引することで、吸引孔内が減圧となる。この結果、従来のシート搬送装置において、シートは、減圧された吸引孔から吸引されることで、ヘッドに保持されていた。
【0076】
なお、「減圧」とは、大気圧よりも低い圧力に圧力を低下させることを意味する。したがって、吸引孔を減圧するとは、吸引孔内に空間が大気圧より低い圧力に維持することを意味する。
【0077】
しかしながら、従来のシート搬送装置によってシートを搬送するとき、ヘッドの支持部材に支持されたシートが、支持部材に対して移動することがある。シートは、吸引孔の開口を塞ぐ部分を含めて、支持部材に対して移動することがある。この移動は、種々の原因で生じ得る。例えば、支持部材に支持されたシートの温度が降下また上昇することにともない、支持部材上でシートが収縮または膨張し得る。ヒータからの熱が支持部材の存在によってシートに均一に伝わらないことによって、シートに反りやねじれが生じ得る。そして、シートの開口を塞ぐ部分が支持部材に対して移動すると、吸引孔の開口には、大気圧にさらされる部分が生じ得る。すなわち、シートによる吸引孔の密閉が解除され得る。少なくとも1つの吸引孔のシートによる密閉が損なわれると、この吸引口におけるシートの吸着力が低下し、シートの一部分を保持できなくなり得る。また、この吸引口と同一の吸引ポンプに繋がる吸引口での吸着力も低下し得る。このようにして、従来のヘッドでは、搬送中のシートが部分的に支持部材から剥がれてしまうことや、更には、搬送中のシートが支持部材から落下してしまうことがあった。
【0078】
これに対して、本実施の形態によるシート搬送装置30によれば、ヘッド31は、シート10を吸引する吸引孔32hが設けられ、シート10に吸着する支持部材32と、シート10を支持部材32に押して支持部材32との間においてシート10を保持する保持部材40と、を含んでいる。この具体例によれば、シート10は、吸引孔32hから吸引されるだけでなく、保持部材40によって支持部材32に押される。これにより、吸引孔32hからの吸引によってのみシート10を保持するヘッド31と比較して、支持部材32に対するシート10の移動が抑制される。したがって、この具体例によれば、シート10による吸引孔32hの密閉状態が安定して維持され、ヘッド31によって搬送中のシート10を安定して保持できる。
【0079】
図8に示す例において、第1位置P1に位置する揺動部材41とシート10とが第1方向D1に重なる部分は、支持部材32の吸引孔32hとシート10とが第1方向D1に重なる部分よりも、第3方向D3における外方に位置している。言い換えると、シート10の縁10rから第1位置P1に位置する揺動部材41とシート10とが重なる位置までの距離LAは、シート10の縁10rから吸引孔32hとシート10とが重なる位置までの距離LBよりも小さくなっている。この具体例によれば、保持部材40は、吸引孔32hよりも外方となる位置における支持部材32に対するシート10の移動を抑制できる。これにより、シート10による吸引孔32hの密閉状態が安定して維持され、シート10を安定して保持できる。
【0080】
とりわけ、図示された例では、第1位置P1に位置する揺動部材41は、シート10の縁10rを含む部分と第1方向D1に重なっている。すなわち、シート10の縁10rから揺動部材41とシート10とが重なる位置までの距離LAは、ゼロとなっている。この具体例によれば、保持部材40によってシート10の移動をより効果的に抑制して、シート10による吸引孔32hの密閉状態を更に安定して維持できる。
【0081】
図7及び
図8に示す例において、第1部分41a、すなわち第1位置P1に位置する揺動部材41のシート10と接触する部分は、揺動部材41が第2位置P2に位置するときに、第1方向D1、すなわち支持部材32及び保持部材40の間に保持されたシート10と支持部材32とが対面する方向に直交する面への投影において、シート10からずれている。この具体例によれば、揺動部材41を第2位置P2に配置することによって揺動部材41とシート10との干渉を回避しつつ、シート10をシート供給装置20からシート搬送装置30へ引き渡すことができる。
【0082】
図3、及び
図6~
図8に示す例において、保持部材40は、揺動部材41を第2位置P2から第1位置P1に向けて付勢する付勢部材43をさらに含んでいる。この具体例によれば、保持部材40は、付勢部材43に生じる復元力Fによって、シート10を支持部材32に押すことができる。これにより、第1ヘッド保持部31Aは、シート10を安定して保持できる。
【0083】
図2、
図4及び
図10に示すように、第1ヘッド保持部31Aは、ヒータ33をさらに含んでもよい。ヒータ33は、第1方向D1において第1ヘッド保持部31Aに重ねられている。第1方向D1において、第1ヘッド保持部31Aは、シート10とヒータ33との間に位置している。ヒータ33は、第1ヘッド保持部31Aに保持されたシート10を温める。ヒータ33は、シート10を100℃以上160℃以下に温めてもよい。ヒータ33は、シート供給装置20からシート搬送装置30にシート10が引き渡されてから、シート搬送装置30がシート10をシート成形装置50に引き渡すまでの間に、シート10を温めてもよい。ヒータ33がシート10を温めることにより、シート10が軟化し得る。シート10を軟化させることで、シート成形装置50は、シート10を容易に成形できる。
【0084】
図9及び
図10に示す例において、第2ヘッド保持部31Bは、第1方向D1に延びる棒状の部材である第2ヘッド部材36を含む。第2ヘッド保持部31Bは、複数の第2ヘッド部材36を含んでいる。
図10に示すように、複数の第2ヘッド部材36は、第2ヒータ37が広がる面に分散して設けられている。第2ヘッド保持部31Bは、シート成形装置50において作製された成形品13を保持してもよい。
【0085】
図9に示す例において、第2ヘッド部材36は、先端に複数の吸引パッド36aを有している。第2ヘッド部材36は、吸引パッド36aにて後述する成形品13を吸引してもよい。
【0086】
図9及び
図10に示すように、第2ヘッド保持部31Bは、第2ヒータ37を含んでもよい。第2ヒータ37は、第1方向D1において第2ヘッド部材36に重ねられている。第1方向D1において、第2ヒータ37は、第2ヘッド部材36と接続部材39との間に位置している。第2ヒータ37は、第2ヘッド部材36に保持されたシート10を温めてもよい。第2ヒータ37は、第2ヘッド部材36に保持された成形品13を温めてもよい。第2ヒータ37は、シート成形装置50からシート搬送装置30に成形品13が受け渡されてから、シート搬送装置30が成形品13をトリミング装置80に受け渡すまでの間に、成形品13を温めてもよい。この具体例によれば、急激な変化による成形品13の意図しない変形を抑制できる。また、トリミング装置80によって成形品13を成形製品16へと安定してトリミングできる。
【0087】
図1及び
図10に示す例において、駆動装置60は、ベース61と、ベース61に対して回転可能に取り付けられたアーム62と、を含んでいる。
【0088】
図1及び
図10に示す例において、ベース61は、クリーンブース5内に設置されている。ベース61には、ベース61に対してアーム62を回転させるモータ等の駆動源を収容してもよい。
【0089】
アーム62は、平面視において一方向に延びる棒状の部材である。アーム62は、一方の端部においてベース61に連結されている。アーム62は、ベース61と連結されている端部とは反対の端部において、ヘッド31接続部材39と連結されている。
図10に示された例において、ヘッド31は、第1ヘッド保持部31A及び第2ヘッド保持部31Bと、第1ヘッド保持部31A及び第2ヘッド保持部31Bを接続する接続部材39と、を含んでいる。アーム62は、ヘッド31の接続部材39に接続している。
図1に示すように、アーム62は、ベース61に対して、第3方向D3と平行な軸線AX1を中心として回転可能となっている。
図1に示す状態において、アーム62は、第1方向D1に長手方向を有している。一方、
図10に示す状態において、アーム62は、
図1に示す状態から軸線AX1を中心として回転した結果として、第2方向D2に長手方向を有している。
【0090】
軸線AX1を中心としたアーム62の回転によって、接続部材39と、接続部材39に取り付けられた第1ヘッド保持部31A及び第2ヘッド保持部31Bとが、クリーンブース5内を移動できる。さらには、第1ヘッド保持部31Aに保持されたシート10、及び第2ヘッド保持部31Bに保持された成形品13も、クリーンブース5内を移動できる。
【0091】
図10に示すように、アーム62は、複数の部材によって構成されてもよい。図示された例において、アーム62は、ベース61と連結した第1アーム621と、接続部材39と連結した第2アーム622と、を含んでいる。第1アーム621は、ベース61と連結した一方の端部とは反対の端部において、第2アーム622と連結している。同様に、第2アーム622は、接続部材39と連結した一方の端部とは反対の端部において、第1アーム621と連結している。第1アーム621及び第2アーム622は、アーム62の幅方向、すなわち
図10における第1方向D1に平行な軸線を中心として、互いに回転可能に連結されてもよい。第1アーム621及び第2アーム622の互いに対する回転により、アーム62の長手方向における長さが調節可能でもよい。
【0092】
図1及び
図10に示す例において、接続部材39は、アーム62(第2アーム622)に連結されている。接続部材39は、第1ヘッド保持部31Aと第2ヘッド保持部31Bとの間を延びている。接続部材39は、アーム62と第1ヘッド保持部31Aとを接続する。接続部材39は、アーム62と第2ヘッド保持部31Bとを接続してもよい。図示された例において、接続部材39の一方の端部には、ヒータ33が取り付けられている。第1ヘッド保持部31Aは、ヒータ33を介して接続部材39に取り付けられている。接続部材39の他方の端部には、第2ヒータ37が取り付けられている。第2ヘッド保持部31Bは、第2ヒータ37を介して接続部材39に取り付けられている。
【0093】
図1及び
図10に示すように、接続部材39は、アーム62に対して、第3方向D3に平行な軸線AX2を中心として、回転可能に連結されてもよい。
図1に示す状態において、接続部材39は、アーム62の長手方向と平行な方向、すなわち第1方向D1に延びている。一方、
図10に示す状態において、接続部材39は、
図1に示す状態から軸線AX2を中心として回転した結果として、アーム62の長手方向に直交する方向、すなわち第1方向D1に延びている。
【0094】
図1、及び
図10~
図18に示す例において、シート成形装置50は、型51を含んでいる。シート成形装置50は、シート搬送装置30によって搬送されたシート10を成形する。図示された例では、シート成形装置50の型51が、シート10をシート搬送装置30の第1ヘッド保持部31Aから受容する。
【0095】
シート成形装置50は、シート10及びシート10に接合した熱可塑性樹脂部12を含む成形品13を作製してもよい。
図10、及び
図16~
図18に示す例において、シート成形装置50は、型51と対面する第2型52をさらに含んでいる。型51及び第2型52は、第1方向D1に互いから離れた開型状態と、第1方向D1に互いに接近した閉型状態と、を取り得る。
図10、
図16及び
図18に示す状態において、型51及び第2型52は、開型状態となっている。
図17に示す状態において、型51及び第2型52は、閉型状態となっている。
図17に示すように、閉型状態となる型51と第2型52との間に、キャビティ53が形成されている。キャビティ53には、第2型52に設けられたゲート54から射出樹脂120が射出されてもよい。キャビティ53に射出された射出樹脂120によって、熱可塑性樹脂部12が形成されてもよい。
【0096】
図10及び
図11に示す例において、型51は、主に第2方向D2及び第3方向D3に広がる板状の部材である。型51は、第1ヘッド保持部31Aに保持されたシート10と第1方向D1に対面する接触面51aを有している。第1ヘッド保持部31Aから型51に引き渡されたシート10は、接触面51aに対面して保持されてもよい。
【0097】
図10及び
図11に示す例において、型51は、第2方向D2及び第3方向D3における中央部分に成形凹部511を有している。成形凹部511は、成形凹部511以外の部分よりも、第1方向D1においてシート10から離れる向きに凹んでいる。後述するように、シート搬送装置30からシート成形装置50に引き渡されたシート10は、成形凹部511の形状に対応した形状に成形される。
【0098】
図11、及び
図16~
図18に示す例において、型51の成形凹部511には、複数の第1吸引孔511hが設けられている。複数の第1吸引孔511hは、第2方向D2及び第3方向D3に間隔を空けて複数設けられている。
図11に示す例では、型51の成形凹部511に10個の第1吸引孔511hが設けられている。第1吸引孔511hは、型51の接触面51aに開口している。第1吸引孔511hの接触面51aにおける開口は、正面視において円形形状を有している。第1吸引孔511hの開口形状は、上述の吸引孔32hの開口形状と同様に限定されない。
【0099】
図11、及び
図16~
図18に示す例において、第1吸引孔511hは、図示しない吸引ポンプに接続される。複数の第1吸引孔511hが、単一の吸引ポンプに接続してもよい。吸引ポンプは、第1吸引孔511h内の空気を吸引する。型51の接触面51aと接触するシート10は、第1吸引孔511hに吸引され得る。
【0100】
図11に示す例において、型51には、成形凹部511を取り囲む周状の溝512が設けられている。溝512は、第2方向D2又は第3方向D3に沿って、第1方向D1に延びている。
図11~
図18に示すように、溝512には、複数の第2吸引孔512hが設けられている。複数の第2吸引孔512hは、溝512が延びる方向に間隔を空けて設けられている。
【0101】
図11~
図18に示す例において、第2吸引孔512hは、図示しない吸引ポンプに接続されている。複数の第2吸引孔512hが、単一の吸引ポンプに接続してもよい。吸引ポンプは、第2吸引孔512h内の空気を吸引する。型51の接触面51aと接触するシート10は、第2吸引孔512hに吸引され得る。
【0102】
第1吸引孔511hによるシート10の吸引と、第2吸引孔512hによるシート10の吸引とは、別々に行われてもよい。第2吸引孔512hによるシート10の吸引は、第1吸引孔511hによるシート10の吸引よりも前に行われてもよい。すなわち、第2吸引孔512hによって吸引されたシート10が、第1吸引孔511hによって吸引されてもよい。第1吸引孔511h及び第2吸引孔512hは、互いに異なる吸引ポンプと接続してもよい。
【0103】
型51は、保持部材40の揺動部材41を操作する操作部51Xを含んでもよい。
図11~
図14に示す例において、操作部51Xは、接触面51aよりも第1方向D1に突出する突出部51sを有している。突出部51sは、板状の形状を有する型51の隅部に設けられている。型51には、4つの突出部51sが設けられてもよい。詳しくは後述するように、ヘッド31が型51に向けて第1方向D1に移動するとき、操作部51Xは揺動部材41を操作する。より具体的には、ヘッド31が型51に向けて第1方向D1に移動するとき、突出部51sは、シート10がシート搬送装置30からシート成形装置50に引き渡される前に、揺動部材41の第2部分42bを第1方向D1に押す。
【0104】
型51には、操作部51Xによって動作した保持部材40を少なくとも一部分を収容する収容部51Yが設けられてもよい。
図11~
図14に示す例において、型51には、収容部51Yとして、接触面51aよりも第1方向D1に凹んでいる凹部51rが設けられている。凹部51rは、第2方向D2において、4つ突出部51sの各々と接触面51aとの間に設けられている。詳しくは後述するように、凹部51rは、第1位置P1から第2位置P2へ揺動した揺動部材41の少なくとも一部分を収容する。
【0105】
型51は、ステンレスやアルミニウム等の金属製でもよい。型51は、接触面51a、突出部51s及び凹部51rを含めて一体的に形成されてもよい。あるいは、接触面51a及び凹部51rを含む型51とは別体として作製された突出部51sが、型51に取り付けられても良い。
【0106】
図10に示す例において、第2型52は、主に第2方向D2及び第3方向D3に延びる板状の部材である。第2型52は、型51に向けて第1方向D1に突出する成形凸部521を有している。
図17に示すように、型51及び第2型52が閉型状態にあるとき、型51の成形凹部511と、第2型52の成形凸部521と、の間には、キャビティ53が形成されている。
【0107】
図10に示す例において、第2型52は、第2方向D2及び第3方向D3における中央部分にゲート54を有している。ゲート54は、第2型52を第1方向D1に貫通している。ゲート54は、型51と第2型52との間に形成されるキャビティ53と接続している。ゲート54は、図示しない射出樹脂120の供給装置と接続している。キャビティ53には、ゲート54を通じて射出樹脂120が供給される。第2型52は、ステンレスやアルミニウム等の金属製でもよい。
【0108】
第2型52は、型51の操作部51Xを収容する収容部52Yを含んでもよい。
図15~
図18に示す例において、第2型52は、収容部52Yとして、型51の4つの突出部51sを収容する4つの凹部52rを含んでいる。複数の凹部52rは、第1方向D1から重なる突出部51sの第2方向D2及び第3方向D3における位置に対応した位置に設けられている。
【0109】
シート成形装置50は、一例として、
図12~
図14を参照して以下に説明するようにして、型51において、ヘッド31に保持されていたシート10を受容してもよい。
【0110】
図12に示すように、支持面32aにおいてシート10を支持した第1ヘッド保持部31Aを、型51に向けて第1方向D1に近づける。図示された例において、揺動部材41は、第1位置P1に位置している。型51の突出部51sは、揺動部材41、とりわけ揺動部材41の第2部分41bと第1方向D1に対面する部分を含んでいる。型51の凹部51rは、揺動部材41と第1方向D1に対面する部分を含んでいる。
【0111】
図12に示す状態からヘッド31を型51に向けて第1方向D1にさらに近づけていくと、型51は、突出部51sにおいて、揺動部材41の第2部分41bと接触する。保持部材40を含むヘッド31が型51に向けて近づくとき、型51は、突出部51sにおいて揺動部材41の第2部分41bを第1方向D1に押す。これにより、揺動部材41は、軸線ARを中心として、第1位置P1から第2位置P2に向けて揺動する。第1位置P1から第2位置P2に向けて揺動する揺動部材41において、第1部分41aは、支持部材32に支持されたシート10から離れていく。
【0112】
図13に示すように、揺動部材41は、突出部51sに押されて第2位置P2に位置するようになる。この結果、シート10は、
図13に示すように、保持部材40によって支持部材32に押されなくなる。
図13に示す状態において、シート10は、保持部材40、より具体的には、揺動部材41の第1部分41aによって押されていた部分を含め、型51の接触面51aと第1方向D1に対面している。
【0113】
図13に示された状態において、第1位置P1から第2位置P2へ揺動した揺動部材41は、突出部51sと第2方向D2に対面している。この結果、揺動部材41は、第2位置P2から第1位置P1への揺動を突出部51sによって規制されている。
【0114】
図13に示す状態において、付勢部材43は、揺動部材41の第1位置P1から第2位置P2への揺動によって、
図12に示す状態から、軸線ARを中心としてねじられている。ねじられた付勢部材43には、
図12に示された状態に戻ろうとする復元力Fが生じる。この結果、
図13に示す状態において、揺動部材41は、付勢部材43からの復元力Fを加えられた状態で、突出部51sによって第2位置P2から第1位置P1への揺動を規制されている。
【0115】
図12に示す状態からヘッド31を型51に向けて第1方向D1にさらに近づけていくと、シート10は、
図13に示すように、第1面10aにおいて、型51の接触面51aと接触する。シート10が接触面51aと接触すると、型51の溝512がシート10によって塞がれる。
【0116】
シート10が第1面10aから型51の接触面51aと接触したのち、支持部材32の吸引孔32hと接続された吸引ポンプは、吸引孔32h内の空気の吸引を停止する。この結果、シート10は、支持部材32に対する移動を許容される。
【0117】
吸引孔32hからのシート10の吸引が停止されたのち、第2吸引孔512h内の空気が、図示しない吸引ポンプによって吸引される。第2吸引孔512hは、溝512内に通じている。溝512の開口はシート10によって閉鎖されている。この結果、シート10は、溝512に吸引され、型51の接触面51a上に保持される。
【0118】
以上のようにして、型51は、ヘッド31の第1ヘッド保持部31Aに保持されていたシート10を受容する。シート10は、シート搬送装置30からシート成形装置50に引き渡される。
【0119】
シート10がシート搬送装置30からシート成形装置50に引き渡されたのち、ヘッド31は、
図13に示す状態から、型51に対して第1方向D1に離れていく。ヘッド31が型51から離れることで、シート10の第2面10bと、支持部材32の支持面32aとが離れる。
【0120】
図13及び
図14に示す例において、ヘッド31が型51から第1方向D1に離れていくと、突出部51sによる揺動部材41の揺動の規制が解除される。この結果、揺動部材41は、付勢部材43に生じている復元力Fにより、
図13に示された状態、すなわち第2位置P2から、
図14に示された状態、すなわち第1位置P1へと揺動する。
図14に示された状態において、第1位置P1に位置する揺動部材41は、第1部分41aにおいて、支持部材32と接触している。
【0121】
図11~
図14に示す例において、型51は、シート10と接触する接触面51aと、揺動部材41を操作する操作部51Xと、を含んでいる。操作部51Xは、接触面51aから突出した突出部51sと、を含んでいる。突出部51sが揺動部材41の第2部分41bを押すことで、揺動部材41が第1位置P1から第2位置P2に揺動している。この具体例によれば、揺動部材41は、型51の接触面51aにシート10が接触する前に、第1位置P1から第2位置P2へ揺動できる。すなわち、揺動部材41は、シート搬送装置30からシート成形装置50にシート10が引き渡される前に、第1位置P1から第2位置P2へ揺動できる。これにより、シート搬送装置30は、揺動部材41とシート10との意図しない干渉を回避しつつ、シート10を安定してシート成形装置50に引き渡せる。
【0122】
図11~
図14に示す例において、型51には、第1位置P1から第2位置P2に移動した揺動部材41を少なくとも部分的に収容する収容部51Yが設けられている。収容部51Yは、第2方向D2における接触面51aと突出部51sとの間に凹部51rを含む。凹部51rは、
図13に示すように、第1位置P1から第2位置P2へ揺動する揺動部材41の一部分を収容している。図示された例では、揺動部材41の第1部分41aが、凹部51rに収容されている。この具体例によれば、第2位置P2に移動した揺動部材41と型51との干渉を抑制できる。これにより、型51と支持部材32上のシート10とが接近可能となり、支持部材32と型51との間でのシート10の受け渡しを安定して実施できる。したがって、この具体例によれば、シート10の意図しない変形を抑制できる。シート搬送装置30は、シート10を安定してシート成形装置50に供給できる。
【0123】
ヘッド31から型51へと引き渡されたシート10は、
図14~
図16を参照して以下に説明するように、真空成形によって成形されてもよい。
【0124】
型51に受容されたシート10は、周状の溝512に吸引されている。これにより、シート10と型51との間は、密閉された状態となっている。なお、溝512の内部には、第2吸引孔512hが開口している。シート10は溝512内に向けて凹んでもよく、この例によれば、型51に対するシート10の移動をより効果的に抑制できる。
図14~
図16に示す例において、シート10は、溝512に収容された部分を含んでいる。言い換えると、シート10の溝512と重なる部分は、第2吸引孔512hによって吸引されることで、溝512に向けて凹んでいる。これにより、型51に対するシート10の移動をより効果的に抑制できる。
【0125】
シート10は、
図15に示すように、第2吸引孔512hによって吸引された状態から、第1吸引孔511hによってさらに吸引される。第1吸引孔511hと接続された吸引ポンプは、第1吸引孔511h内の空気、及び成形凹部511とシート10との間の空気を吸引する。これにより、シート10の成形凹部511と対面する部分は、
図16に示すように、成形凹部511を形成する接触面51aに向けて吸引される。このようにして、シート10の成形凹部511と対面する部分が、成形凹部511と同一の形状を有するように、成形される。
【0126】
シート10が型51によって成形されたのち、シート成形装置50は、
図16~
図18を参照して以下に説明するように、シート10を含む成形品13を作製してもよい。
【0127】
図16に示された状態から、第2型52を第1方向D1において型51に近づける。
図16に示された状態から第2型52を型51にさらに近づけることで、
図17に示すように、型51と第2型52とが閉型状態となる。閉型状態において、成形されたシート10は、キャビティ53内に収容されている。
図17に示された状態において、シート10の第1面10aは、型51と第1方向D1に対面している。シート10の第2面10bは、第2型52と第1方向D1に対面している。
【0128】
図17に示された状態から、ゲート54を介して、射出樹脂120がキャビティ53内に射出される。射出樹脂120は、キャビティ53内で冷却され、シート10に溶着して固化する。固化した射出樹脂120から、シート10に接合した熱可塑性樹脂部12が得られる。シート10及び熱可塑性樹脂部12によって、成形品13が形成される。
【0129】
シート10に接合した熱可塑性樹脂部12が形成されたのち、型51においては、第1吸引孔511hからのシート10の吸引、及び第2吸引孔512hからのシート10の吸引が停止する。この結果、シート10の型51に対する移動の規制が解除される。
【0130】
その後、
図18に示すように、型51及び第2型52が互いから離れる。成形品13は、第2型52に保持された状態で、型51から離れる。以上のようにして、シート10を含む成形品13が作製される。
【0131】
第2型52に保持された成形品13は、シート成形装置50からシート搬送装置30に引き渡されてもよい。
図10に示す例において、成形品13は、シート成形装置50の第2型52から、シート搬送装置30の第2ヘッド保持部31Bに引き渡されている。第2ヘッド保持部31Bは、各第2ヘッド部材36の吸引パッド36aからシート10を吸引することで、成形品13を保持している。シート搬送装置30は、第2ヘッド保持部31Bに成形品13を保持した状態で、成形品13をトリミング装置80に搬送してもよい。
【0132】
成形品13は、トリミング装置80によって不要な部分を取り除かれてもよい。
図19に示す例において、成形品13の両端部分であって、シート10と熱可塑性樹脂部12とが互いに重ならない部分が、トリミング装置80によってトリミングされている。成形品13がトリミングされることで、
図19に示すように、成形製品16が作製される。
【0133】
以上に説明してきた一実施の形態において、シート搬送装置30のヘッド31は、シート10を吸引する吸引孔32hが設けられ、シート10を支持する支持部材32と、シート10を支持部材32に押して支持部材32との間においてシート10を保持する、保持部材40と、を含んでいる。この具体例によれば、シート10は、吸引孔32hからの吸引に加えて、保持部材40によって保持部材40と支持部材32との間に押されることによって、支持部材32に対する移動を抑制される。これにより、ヘッド31によってシート10を安定して保持できる。結果として、シート搬送装置30は、シート10を安定して搬送できる。
【0134】
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0135】
上述したヘッド31の一具体例において、揺動部材41は、プレート部材21の突出部21s、あるいは第1型51の突出部51sによって第2部分41bを押されることによって、第1位置P1から第2位置P2に向けて揺動していた。また、揺動部材41は、付勢部材43によって、第2位置P2から第1位置P1に向けて付勢されていた。これに限られず、揺動部材41は、シート加工システム1を構成する他の部材と接触することなく、例えばアクチュエータによって第1位置P1から第2位置P2に向けて揺動してもよい。揺動部材41は、アクチュエータによって第2位置P2から第1位置P1に向けて揺動してもよい。揺動部材41を揺動させるアクチュエータとして、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、電動アクチュエータ等の種々のアクチュエータを使用できる。
【0136】
上述したシート加工システム1の一具体例において、シート成形装置50は、真空成形によってシート10を成形していた。これに限られず、シート成形装置50は、圧空成形等の種々の成形方法によって、シート10を成形してもよい。
【符号の説明】
【0137】
1:シート加工システム、10:シート、10r:縁、12:熱可塑性樹脂部、20:シート供給装置、21:プレート部材、21a:接触面、21r:凹部、21s:突出部、30:シート搬送装置、31:ヘッド、32:支持部材、40:保持部材、41:揺動部材、41a:第1部分、41b:第2部分、43:付勢部材、50:シート成形装置、51:型、51a:接触面、51r:凹部、51s:突出部、51X:操作部、51Y:収容部、60:駆動装置