(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066322
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20240508BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175834
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木崎 真人
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB57
5L055BB57
(57)【要約】
【課題】資産形成に役立つメタバース空間を提供すること。
【解決手段】本願に係る情報提供装置は、メタバース空間における利用者の行動から推定される利用者の金融関連に関する傾向に応じて、利用者を所定のグループへ分類する分類部と、分類部による分類結果に応じて、利用者に対し金融関連情報を提案する提案部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタバース空間における利用者の行動から推定される前記利用者の金融関連に関する傾向に応じて、前記利用者を所定のグループへ分類する分類部と、
前記分類部による分類結果に応じて、前記利用者に対し金融関連情報を提案する提案部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記分類部によって分類される前記グループに応じて前記利用者が参加可能な前記メタバース空間内のコミュニティを選択する選択部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記選択部は、
前記分類部によって前記グループへ分類される前の前記利用者に対して、前記利用者と現実世界の属性が類似する他の利用者が参加する前記コミュニティを選択すること
を特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記分類部により分類されるグループ毎に前記利用者の属性を学習する学習部
を備え、
前記選択部は、
前記学習部による学習結果に基づいて、前記分類部によって前記グループへ分類される前の前記利用者に対して前記コミュニティを選択すること
を特徴とする請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記分類部は、
前記メタバース空間における利用者同士の会話から推定される前記利用者の金融関連に関する傾向に応じて、前記利用者を所定のグループへ分類すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記分類部は、
前記メタバース空間における利用者の行動から推定される前記利用者の投資経験に基づいて、前記利用者を所定のグループへ分類し、
前記提案部は、
前記金融関連情報として、前記投資経験に応じた金融商品に関する情報を提供すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記分類部は、
前記メタバース空間における利用者の行動から推定される前記利用者の投資に関するリスク許容度に基づいて、前記利用者を所定のグループへ分類し、
前記提案部は、
前記金融関連情報として、前記利用者の投資に関するリスク許容度に応じた金融商品に関する情報を提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記提案部は、
さらに、現実世界における前記利用者の属性に基づいて、金融商品に関する情報を提案すること
を特徴とする請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記提案部は、
前記メタバース空間に存在するアバターを通じて、前記利用者に対し前記金融関連情報を提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記分類部は、
前記利用者の前記メタバース空間におけるアバターに基づいて、前記利用者をグループに分類すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記利用者に対して前記メタバース空間を提供する提供部
を備え、
前記提供部は、
前記メタバース空間における前記利用者のアバターに対して、当該利用者の前記金融関連に関する傾向を表示すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項12】
前記提供部は、
前記メタバース空間内に前記金融関連情報に関する展示スペースを設置すること
を特徴とする請求項11に記載の情報提供装置。
【請求項13】
前記提案部は、
前記メタバース空間における前記利用者による会話内容に関連する金融トピックを前記金融関連情報として提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項14】
前記提案部は、
連携する証券会社が取り扱う金融商品に関する情報を前記金融関連情報として提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する情報提供方法であって、
メタバース空間における利用者の行動から推定される前記利用者の金融関連に関する傾向に応じて、前記利用者を所定のグループへ分類する分類工程と、
前記分類工程による分類結果に応じて、前記利用者に対し金融関連情報を提案する提案工程と、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項16】
メタバース空間における利用者の行動から推定される前記利用者の金融関連に関する傾向に応じて、前記利用者を所定のグループへ分類する分類手順と、
前記分類手順による分類結果に応じて、前記利用者に対し金融関連情報を提案する提案手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザへのカウンセリングを仮想空間内で行う会話システムがある。例えば、かかる会話技術では、仮想空間内のアバターを通じてカウンセラーによるユーザへのカウンセリングが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、資産形成に役立つメタバース空間を提供することについては考慮されていなかった。例えば、近年では、株式などといった投資を始めるユーザが増えつつあるが、金融に関する知識が乏しいユーザにとっては、依然として投資を始めるための一歩を踏み出し難い状況である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、資産形成に役立つメタバース空間を提供することができる情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報提供装置は、メタバース空間における利用者の行動から推定される前記利用者の金融関連に関する傾向に応じて、前記利用者を所定のグループへ分類する分類部と、前記分類部による分類結果に応じて、前記利用者に対し金融関連情報を提案する提案部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、資産形成に役立つメタバース空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る利用者情報データベースの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコミュニティデータベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る金融商品情報データベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る金融トピックデータベースの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るメタバース空間内における会話の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る金融関連情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る金融関連情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る金融関連情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る金融関連情報の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る情報提供装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態に係る情報提供装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理の概要〕
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図であり、実施形態に係る情報提供方法は、
図1に示す情報提供装置1によって実行される。
【0011】
図1に示す情報提供装置1は、各利用者等に対してメタバース空間を提供する装置である。メタバース空間とは、インターネット上に設定された仮想空間であり、例えば、各利用者はアバターを通して、メタバース空間内を移動したり、他の利用者と交流を行ったりすることができる。
【0012】
また、後述するように、情報提供装置1は、例えば、電子決済サービスあるいは証券会社と連携して、利用者Uに対して各種サービスを提供することもできる。
【0013】
利用者端末10は、利用者Uが所有する端末装置であり、例えば、利用者Uは、利用者端末10を通じて情報提供装置1が提供するメタバース空間を体験することができる。利用者端末10の典型例としては、スマートフォンが該当するが、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)などにより実現されてもよい。
図1の例では、利用者端末10として、スマートフォンが示されている。なお、以下の説明では、利用者端末10を利用者Uと言い換えて表記する場合がある。つまり、利用者Uを利用者端末10と読み替えることができる。
【0014】
ところで、近年では、老後の資産問題や、定年退職制度の崩壊の懸念等から資産形成に対する注目が高まりつつある。そのため、例えば、各種メディアでは、資産形成に関する情報があふれているが、利用者の資産状況、収入状況、資産形成に関する知識等によって参考すべき情報が異なるので、利用者にとって資産形成に関する情報の取捨選択が困難である。
【0015】
また、例えば、銀行員やファイナンシャルプランナーなど金融に関する専門家へカウンセリングを受けることも考えられるが、実際には、利用者にとってハードルが高いのが現状である。
【0016】
そのため、例えば、投資未経験の利用者が投資を始めるにあったっては、家族や友人など身近に相談できる相手がいることが好ましいが、身近に相談できる相手がいないために、投資を躊躇する利用者も少なくない。
【0017】
そこで、実施形態に情報提供装置1は、資産形成に関するメタバース空間を提供する(ステップS1)。例えば、メタバース空間には、各コミュニティC1~Cn(nは自然数)が存在する。なお、以下では、各コミュニティC1~Cnを区別する必要がない場合には、単にコミュニティCとも記載する。
【0018】
例えば、
図1に示すように、情報提供装置1は、利用者端末10を通じて、利用者U1の会員登録を受け付ける(ステップS2)。例えば、会員登録は、メタバース空間のアカウントを作成するための登録であってもよく、例えば、情報提供装置1が連携する他のサービス(例えば、電子決済サービス等)のアカウントを作成するための登録であってもよい。例えば、他のサービスからメタバース空間へ誘導する場合、多様な利用者、特に、資産運用等をまだ始めていない利用者等をメタバース空間へ誘導することができる。
【0019】
また、情報提供装置1は、会員登録を行うにあたり、利用者U1に対して、職業、収入、資産状況、投資経験の有無などといった項目の入力を受け付けるようにしてもよい。情報提供装置1は、会員登録を受け付けると、利用者U1をメタバース空間へ招待する(ステップS3)。なお、
図1に示すように、新たに会員登録を行った利用者U1は投資未経験者であるものとする。
【0020】
例えば、各コミュニティCには、投資を既に始めている既存メンバ(例えば、投資経験者である利用者U2)、銀行員やファイナンシャルプランナー等の専門家、あるいは、チャットボットがアバターとして存在し、利用者は既存メンバ等とアバターを通じて会話やチャット等を行うことができる。
【0021】
例えば、コミュニティCにおいて、利用者U1は、メタバース空間を通じて投資を始めた既存メンバ(例えば、投資経験の浅いメンバ)へ資産形成に関する各種相談を行うことができる。例えば、利用者U1は、既存メンバとの会話を通じて、投資に関する疑問等を解消する、あるいは、資産形成に関する悩み等の共有を行うことができる。
【0022】
この際、情報提供装置1は、コミュニティC内における利用者U1の会話等を含む利用者U1の各種行動に関するログを解析する(ステップS5)。例えば、情報提供装置1は、所定の自然言語処理によって利用者U1の会話内容を解析し、その会話内容から利用者U1の金融関連に関する傾向を分析する。
【0023】
例えば、金融関連に関する傾向は、投資に関する興味、金融に関する知識、リスク許容度、知識レベル等を含む。また、金融関連に関する傾向は、月々の収入と支出のバランス、投資に回せる余剰資金、将来設計、投資の目的、インカムゲインおよびキャピタルのどちらを重視するか等を含むようにしてもよい。
【0024】
そして、情報提供装置1は、金融関連に関する傾向に応じて、各利用者のグループ分けを行う(ステップS6)。ここでのグループとは、例えば、コミュニティCであり、金融関連に関する傾向が類似する利用者が同一のコミュニティCに参加するようにグループ分けを行う。
【0025】
このように、金融関連に関する傾向に応じてコミュニティCを分けることで、同じコミュニティCに参加する利用者同士で悩みの共有や、相談する場を提供することが可能となる。これにより、例えば、利用者は、コミュニティCに参加する他の利用者に対して資産形成に関する相談やアドバイスを求めることができる。
【0026】
特に、利用者は、メタバース空間内においては、アバターを通じて金融関連に関する相談や悩みを共有することができるので、現実世界で相談するよりも心理的ハードルを下げることができる。また、例えば、利用者の周囲に金融に詳しい知人がいない場合であっても、メタバース空間ではコミュニティCを通じて相談相手を容易に見つけることができる。
【0027】
なお、各コミュニティCは、属性が類似する利用者が参加するコミュニティであってもよい。例えば、属性は、年齢、収入、職業、性格、趣味、家族構成などで分類するようにしてもよく、アバターの類似性を考慮して分類するようにしてもよい。
【0028】
つまり、金融関連に関する傾向で分類したグループと、コミュニティCとは1対1の関係でなくてもよく、金融関連に関する傾向で分類した複数のグループの利用者を属性で分類した1つのコミュニティCへ参加するようにしてもよい。すなわち、それぞれ異なるバックグラウンドを持った利用者が、属性で分類された同じコミュニティCに参加するようにしてもよい。
【0029】
そして、情報提供装置1は、グループ分けの結果に応じて、利用者U1に対して投資方法や金融商品に関する情報を提案する(ステップS7)。例えば、投資方法は、投資の種類、証券口座の開設方法、投資信託、あるいは、株式の買い付け方法等を含み、金融商品に関する情報は、金融商品の種類、金融商品毎の期待リターンやリスクなどが含まれる。
【0030】
例えば、情報提供装置1は、グループ分けの結果に応じて、利用者U1へ推奨する投資方法や金融商品を提案することになる。なお、投資未経験者である利用者U1に対して提案する金融商品は、例えば、金融庁が推奨する広く分散された投資信託であるが、利用者U1の投資目的やリスク許容度に応じた他の金融商品を提案することにしてもよい。
【0031】
また、例えば、情報提供装置1は、投資未経験者である利用者U1等に対してNISA口座やideco口座の開設等、非課税口座の開設をあわせて提案するようにしてもよい。
【0032】
また、情報提供装置1は、メタバース空間内のアバターを通じて、投資方法や金融商品を提案するにしてもよく、利用者端末10へ例えばメッセージ等を利用したプッシュ型の通知により、投資方法や金融商品を提案するようにしてもよい。
【0033】
特に、アバターを通じて投資方法や金融商品を提案する場合には、会話形式で投資方法や金融商品を提案することができる。そのため、利用者U1の理解度に応じた情報を提供することができる。
【0034】
そして、利用者U1は、これらのメタバース空間内の体験等を通じて、投資に対する理解を深めることができる。特に、利用者U1が実際に証券口座を開設し、金融商品を購入するといった体験に結び付けることで、利用者U1による投資経験を後押しすることができる。なお、例えば、利用者は、情報提供装置1が連携する証券会社を通じて、提案された金融商品を購入することになるが、金融商品の提案から購入までの一連の処理をメタバース空間内で完結するようにしてもよく、金融商品の提案までをメタバース空間で行い、金融商品の購入を連携する証券会社のウェブサイト等で行うようにしてもよい。例えば、情報提供装置1では、利用者に対して連携する証券会社が扱う金融商品に関する情報を提案することで、投資初心者等が安心して金融商品を購入することができる。
【0035】
その後、利用者U1は、既存メンバとしてメタバース空間に参加することになり、投資初心者である新たな利用者の相談に乗ったり、さらに、投資に関する経験や知識等が高い既存メンバと情報の共有を行ったりすることができる。このように、投資を始めた利用者U1は、メタバース空間を通じて、資産形成に関する情報や悩みを共有することができる。
【0036】
そして、情報提供装置1は、利用者U1の投資経験や投資に関する知識にあわせて、投資方法や金融商品に関する情報を提案することになる。例えば、情報提供装置1は、利用者の投資経験等に応じて、金融商品として投資信託に加え、個別株を提案するようにしてもよく、また、FXや暗号資産の売買を提案するようにしてもよい。
【0037】
このように、情報提供装置1は、資産形成に関するメタバース空間を提供することで、投資初心者である利用者U1が投資を始めるにあたり、誰に相談していいか分からない、投資の選択肢が多くて選べないといった課題を解決することができる。
【0038】
上述のように、実施形態に情報提供装置1は、メタバース空間内の利用者の行動から推定される利用者の金融関連に関する傾向に応じて、利用者をグループに分類する。そして、実施形態に係る情報提供装置1は、グループ分けの結果に応じて、金融関連情報を提案する。
【0039】
したがって、実施形態に情報提供装置1によれば、資産形成に役立つメタバース空間を提供することができる。なお、例えば、このようなメタバース空間では、高額な情報商材の販売や、投資詐欺へ誘導するなどといった不正行為が発生することが想定される。そのため、情報提供装置1では、メタバース空間内の各利用者の行動を監視し、不正行為を行う利用者をメタバース空間から排除するなどといった措置を行うようにしてもよい。
【0040】
また、この際、情報提供装置1は、メタバース空間内で不正行為の手口に関する情報を各利用者へ提供し、注意喚起を図るようにしてもよい。すなわち、この場合には、金融関連情報として、メタバース空間内でおこなった不正行為の手口に関する情報を提供するようにしてもよい。
【0041】
〔2.情報提供装置の構成例〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報提供装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報提供装置1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報提供装置1は、通信部2、記憶部3および制御部4を備える。
【0042】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部2は、4G(Generation)、5G、LTE(Long Term Evolution)、WiFi(登録商標)若しくは無線LAN(Local Area Network)等といった各種の無線通信網若しくは各種の有線通信網といったネットワークを介して、外部装置との間で情報の送受信を行う。
【0043】
記憶部3は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部3は、利用者情報データベース31、コミュニティデータベース32、金融商品情報データベース33および金融トピックデータベース34を有する。
【0044】
利用者情報データベース31は、利用者に関する利用者情報を記憶するデータベースである。
図3は、実施形態に係る利用者情報データベース31の一例を示す図である。
【0045】
図3に示すように、実施形態に係る利用者情報データベース31は、「利用者ID」、「アカウント情報」、「行動履歴」、「資産情報」、「リスク許容度」、「知識レベル」、「投資履歴」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0046】
「利用者ID」は、各利用者Uを識別するための識別子である。「アカウント情報」は、対応する利用者IDによって識別される利用者Uのアカウント情報である。例えば、アカウント情報は、利用者Uの氏名、年齢、職業、住所などのデモグラフィック属性や、趣味、嗜好などのサイコグラフィック属性などを含む。
【0047】
「行動履歴」は、対応する利用者IDによって識別される利用者のメタバース空間内における行動履歴である。例えば、行動履歴には、いつ、誰と、どんな会話をしたかといった会話に関する履歴等が含まれる。なお、会話は、音声であってもよく、テキスト(例えば、チャット)であってもよい。
【0048】
「資産情報」は、対応する利用者IDによって識別される利用者の資産情報である。例えば、資産情報は、利用者の銀行口座や証券口座に関する情報であり、例えば、連携する銀行や証券会社を通じて取得される。
【0049】
「リスク許容度」は、対応する利用者IDによって識別される利用者の資産運用に関するリスク許容度である。「知識レベル」は、対応する利用者IDによって識別される利用者の金融リテラシーに関する知識レベルである。なお、リスク許容度および知識レベルは、例えば、メタバース空間内における利用者の行動によっても推定される。リスク許容度および知識レベルは、例えば、利用者のこれまでの投資履歴等を含めて推定されるようにしてもよい。
【0050】
例えば、リスク許容度は、資産運用において、リスク許容度を数値化したものであり、リスク許容度が高いほど、ハイリスク、ハイリターンの投資を望んでいることを示す。また、知識レベルは、金融に関する知識を数値化したものである。例えば、知識レベルは、メタバース空間内における利用者同士の金融に関する会話内容などから推定され、理解している金融に関する用語や、金融に関する悩みなどに応じてランク付けされる。また、知識レベルは、これまでの投資履歴などに応じてランク付けされるようにしてもよい。なお、
図3に示す例では、「リスク許容度」および「知識レベル」をそれぞれレベル1~レベル10の十段階で示しているが、これに限定されるものではない。
【0051】
「投資履歴」は、対応する利用者IDによって識別される利用者の投資履歴である。例えば、投資履歴には、いつ、どの金融商品をいくらで購入したかといった情報の履歴や、通算損益、現在の損益に関する情報等が含まれる。
【0052】
図2の説明に戻り、コミュニティデータベース32について説明する。コミュニティデータベース32は、メタバース空間内のコミュニティに関する情報を記憶するデータベースである。
【0053】
図4は、実施形態に係るコミュニティデータベース32の一例を示す図である。
図4に示すように、コミュニティデータベース32は、「コミュニティID」、「メンバ」、「特徴」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。「コミュニティID」は、メタバース空間内に存在する各コミュニティCを識別するための識別子である。
【0054】
「メンバ」は、対応するコミュニティIDによって識別されるコミュニティCに参加するメンバ(各利用者)である。「特徴」は、対応するコミュニティIDによって識別されるコミュニティCの特徴である。コミュニティCの特徴は、例えば、n次元のベクトルであり、参加するメンバの属性に関する特徴であるが、コミュニティC内の会話の特徴等であってもよい。会話の特徴は、例えば、話題(トピック)と、会話が盛り上がりとの関係性を示す。例えば、後述する提案部47は、会話の特徴に応じた金融関連情報を提供することで、各コミュニティCの盛り上がりの度合いを調整することができる。
【0055】
図2の説明に戻り、金融商品情報データベース33について説明する。金融商品情報データベース33は、金融商品に関する情報を記憶するデータベースである。
図5は、実施形態に係る金融商品情報データベース33の一例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、金融商品情報データベース33は、「商品ID」、「商品タイプ」、「特徴」、「購入推奨者」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。「商品ID」は、各金融商品を識別するための識別子である。例えば、金融商品は、情報提供装置1が各利用者へ提案する金融商品であり、株式、債券、投資信託、上場投資信託(ETF;Exchange Traded Fund)、REIT等、証券会社を通じて購入可能な金融商品であるが、各種仮想通貨や、NFT(Non Fungible Token)アート等を含むようにしてもよい。
【0057】
「商品タイプ」は、対応する商品IDによって識別される金融商品の商品タイプである。例えば、商品タイプは、株式、債券、投資信託、上場投資信託(ETF;Exchange Traded Fund)、REIT等であるが、投資信託、上場投資信託である場合には、連動する指数に関する情報や投資信託のセクターやテーマに関する情報を含む。
【0058】
「特徴」は、対応する商品IDによって識別される金融商品の特徴であり、例えば、所定の格付け会社による格付け、想定利回り、リスクなどに関する情報である。「購入推奨者」は、対応する商品IDによって識別される金融商品の購入を推奨する利用者である。例えば、購入推奨者は、資産やリスク許容度等に応じて設定される。
【0059】
図2の説明に戻り、金融トピックデータベース34について説明する。金融トピックデータベース34は、金融トピックに関する情報を記憶するデータベースである。金融トピックは、株価などに影響を与えるトピック、各種金融制度の改定(例えば、NISA制度等)に関するトピックなどを含む。また、例えば、金融トピックは、各企業の株式に関するトピックを含むようにしてもよい。各企業の株式に関するトピックは、例えば、四季報に掲載されている情報や株価の推移等を含む。
【0060】
図6は、実施形態に係る金融トピックデータベース34の一例を示す図である。
図6に示すように、金融トピックデータベース34は、「トピックID」、「提供元」、「コンテンツ」、「提案条件」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0061】
「トピックID」は、各金融トピックを識別するための識別子である。「提供元」は、対応するトピックIDによって識別される金融トピックの提供元であり、「コンテンツ」は、対応するトピックIDによって識別される金融トピックに関するコンテンツである。
【0062】
「提案条件」は、対応するトピックIDによって識別される金融トピックをメタバース空間内の利用者へ提案する際の条件である。例えば、提案条件は、金融トピックを提案する利用者に関する条件であってもよく、対応する金融トピックを提案する際の会話に関する条件であってもよい。
【0063】
図2の説明に戻り、制御部4について説明する。制御部4は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報提供装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0064】
図2に示すように、制御部4は、提供部41と、受付部42と、取得部43と、選択部44と、学習部45と、分類部46と、提案部47とを備える。
【0065】
提供部41は、各利用者等に対しメタバース空間内を提供する。提供部41は、通信部2を介して、各利用者端末10から入力されるコマンドや音声に応じて、対応するアバターを制御する。また、提供部41は、各利用者のメタバース空間内の行動を利用者情報データベース31の行動履歴に登録する。なお、後述するように、提供部41は、メタバース空間に展示スペースを設置したり、各アバターに対し利用者の金融関連に関する傾向に関する情報を表示したりすることができる。
【0066】
受付部42は、通信部2を介して、各利用者からメタバース空間への会員登録(アカウント作成)を受け付ける。例えば、受付部42は、会員登録に際し、各利用者の年齢、性別、職業、住所、などといったデモグラフィック属性に関する情報の入力を受け付けるとともに、例えば、メタバース空間で使用するアバターの設定を受け付ける。なお、アバターは、例えば、情報提供装置1側で準備した顔や服装等の各パーツの組み合わせであるが、利用者が所有するNFTであってもよい。
【0067】
また、受付部42は、会員登録に際し、収入、資産、投資歴など資産運用に関する質問を行うようにしてもよい。受付部42は、会員登録を終えると、利用者に対し利用者IDを発行し、利用者に関する各種情報を利用者情報データベース31に登録する。
【0068】
取得部43は、通信部2を介し、金融商品に関する各種情報や、金融トピックに関する各種情報を取得する。例えば、取得部43は、所定のWebサイトから金融商品に関する各種情報や金融トピックに関する各種情報を取得する。
【0069】
また、取得部43は、取得した金融商品に関する各種情報を金融商品情報データベース33に登録し、取得した金融トピックに関する各種情報を金融トピックデータベース34に登録する。
【0070】
選択部44は、分類部46によって分類されるグループに応じて利用者を招待するメタバース空間上のコミュニティCを選択する。例えば、選択部44は、既存メンバについては、分類部46が分類したグループとコミュニティCとが一致するように招待するコミュニティCを選択する。
【0071】
例えば、各利用者は、選択部44によって選択されたコミュニティCに参加することになる。また、選択部44は、分類部46によって分類されるグループに変更が生じた場合には、変更後のグループに対応するコミュニティCへ利用者を招待することになる。
【0072】
また、会員登録を済ませた利用者、すなわち、これからメタバース空間に参加する利用者に対しては、メタバース空間内の行動履歴が蓄積されていないので、金融関連に関する傾向を推定することができない。
【0073】
そのため、選択部44は、例えば、分類部46によってグループへ分類される前の利用者については、後述する学習部45による学習結果に基づいて、利用者へ招待するグループを選択する。
【0074】
その結果として、例えば、選択部44は、これからメタバース空間に参加する利用者と現実世界の属性が類似する他の利用者がいるコミュニティCを選択する。ここでの属性とは、年齢、性別、年収、職業、家族構成、住所、趣味等を含む。
【0075】
例えば、選択部44は、利用者が会員登録時に入力した情報や、アバター等から推定される利用者の特徴と、各コミュニティCの特徴とのマッチングにより、当該利用者と属性が類似する他の利用者がいるコミュニティCを選択する。
【0076】
例えば、選択部44は、利用者と属性が近いコミュニティCを選択することで、利用者
が円滑にコミュニティCに参加することができる。また、選択部44は、例えば、利用者のコミュニティC内の会話量などに応じて、当該利用者を他のコミュニティCへ招待し直すようにしてもよい。例えば、選択部44は、当初選択(招待)したコミュニティC内で、利用者の会話が少ない場合等の条件を満たした場合には、他のコミュニティへ招待する。
【0077】
学習部45は、分類部46により分類されるグループ毎に利用者の属性情報を学習する。例えば、学習部45は、コミュニティデータベース32を参照し、各コミュニティCに参加する参加メンバの属性情報の特徴をコミュニティC別に学習する。なお、ここでの属性情報は、年齢、性別、年収、職業、家族構成、住所、趣味等であってもよく、金融資産等に関する情報を含むようにしてもよい。
【0078】
また、学習部45は、コミュニティC内で盛り上がる会話のトピック等の関係性を各コミュニティCの特徴として学習するようにしてもよい。なお、トピックは、例えば、金融に関するトピックであってもよく、金融以外に関するトピックであってもよい。
【0079】
例えば、学習部45は、金融に関するトピックについては、テレビ、新聞、Webニュース等で報道された金融トピックと紐づけて各コミュニティCの特徴を学習するようにしてもよい。
【0080】
例えば、所定の金融トピック(例えば、円安に関するニュースとする)が報道された際に、円安に関する会話を行うコミュニティCと、円安に興味がなく円安に関する会話が行われないコミュニティC等を学習するようにしてもよい。
【0081】
分類部46は、メタバース空間における利用者の行動から推定される利用者の金融関連に関する傾向に応じて利用者を所定のグループへ分類する。まず、分類部46は、メタバース空間内における各利用者の行動から利用者の金融関連に関する傾向を推定する。
【0082】
図7は、実施形態に係るメタバース空間内における会話の一例を示す図である。
図7に示すように、メタバース空間内におけるコミュニティCには、投資未経験者である利用者のアバターAb1と、投資を既に始めている利用者のアバターAb2が存在している場面を示し、アバターAb1が「投資の始め方」について、アバターAb2に対して相談し、アバターAb2が自身の投資体験談(投資信託「AA」の購入)を説明している場面を示す。
【0083】
例えば、これらの会話を通じて、投資未経験者である利用者がどのような悩みを誰に対して相談し、その結果、悩みが解決した、あるいは、解決していないといった情報が情報提供装置1に蓄積されていくことになる。
【0084】
例えば、分類部46は、会話の内容、会話した利用者の属性、会話した利用者の投資傾向、会話に対する利用者に対する評価(肯定あるいは否定)等に基づいて、利用者の金融関連に関する傾向を推定する。
【0085】
例えば、分類部46は、利用者情報データベース31から対応する利用者の行動履歴を抽出し、学習モデルに入力することで、利用者の金融関連に関する傾向を推定する。例えば、学習モデルは、利用者の行動履歴(会話の内容等)と、金融関連に関する傾向との関係性を学習したモデルである。例えば、金融関連に関する傾向は、利用者の投資履歴、利用者の投資に関する興味の傾向、リスク許容度、知識レベル等を含む。
【0086】
また、学習モデルは、利用者の投資履歴において、利用者が購入した金融商品や、売却した金融商品、売買時の価格差や、売却理由等の関係性をさらに学習したモデルであってもよい。すなわち、学習モデルは、利用者がどのような金融商品をどのような状況で購入し、どのような状況で売却したかといった投資の傾向を学習したモデルであってもよい。
【0087】
また、学習モデルは、メタバース空間における利用者の行動履歴から、例えば、利用者の将来設計、投資の目的等を分析するモデルであってもよい。なお、将来設計は、将来の家族構成、住宅購入の有無、金融資産の目標額等を含む。
【0088】
そして、分類部46は、各利用者の行動履歴を入力し、学習モデルから出力される各利用者の金融関連に関する傾向に応じて、利用者をグループに分類する。例えば、分類部46によるグループの分類は、所定のクラスタリング処理によって実現可能である。例えば、この場合、各グループには、金融関連に関する傾向が類似する利用者が含まれることになる。
【0089】
図2の説明に戻り、提案部47について説明する。提案部47は、分類部46による分類結果に応じて、利用者に対し金融関連情報を提案する。例えば、提案部47は、各利用者の所属するグループに応じた投資方法、金融商品等を提案する。また、提案部47は、利用者の現実世界の属性に応じて金融関連情報を提供するようにしてもよい。現実世界の属性は、性別、資産、年齢、収入、支出などを含む。
【0090】
ここで、
図8~
図11を用いて、提案部47によって提案される金融関連情報の具体例について説明する。
図8~
図11は、実施形態に係る金融関連情報の一例を示す図である。
【0091】
図8に示す例では、例えば、コミュニティCにおいて実際に投資を始めた利用者同士がアバターAb1およびアバターAb3を通じて投資に関する会話をしている場面を示す。例えば、
図8に示す例では、アバターAb1と、アバターAb3との会話が投資の損失に関する疑問を解消できていない場面を示す。
【0092】
例えば、提案部47は、アバターAb1およびアバターAb3によるその後の会話から上記の疑問が解決しないと判定した場合、アバターAb1およびアバターAb3の会話にアバターAb11として参加し、アバターAb1およびアバターAb3の疑問に対してアバターAb11を通じて回答する。
【0093】
すなわち、この場合、アバターAb11は、いわゆるチャットボットとしてコミュニティCに参加し、各利用者の疑問や質問に対し応答することになる。なお、アバターAb11は、金融に関する専門家が操作するアバターであってもよい。すなわち、金融に関する専門家が各コミュニティCにおける金融に関するアドバイスを回答するようにしてもよい。この場合、金融に関する専門家に対して、各コミュニティCにおける金融の悩みが通知されるような専用のアカウントを作成しておくとよい。
【0094】
なお、上記の例に加え、例えば、利用者間で疑問を解決する場合もある。つまり、アバターAb1の疑問等に対してアバターAb3が回答することで、アバターAb1の疑問が解決する場合も想定される。その場合、情報提供装置1は、アバターAb3の利用者に対して報酬を支払うようにしてもよい。つまり、この場合には、各利用者が他の利用者に対して積極的にサポートするメタバース空間の形成が期待される。
【0095】
また、
図9に示す例では、コミュニティCにおいて、アバターAb1と、アバターAb4とが会話している場面を示す。
図9に示す例では、投資になれてきた利用者のアバターAb1が現在よりもさらに高い利回りの投資商品に関する相談を他の利用者のアバターAb4に対して行っている場面を示す。
【0096】
また、
図9では、相談を受けた他の利用者のアバターAb4は、金融資産における株式の割合を増やすことをアバターAb1に対して提案している。その後の会話において、アバターAb1の利用者がアバターAb4の提案に納得した場合、提案部47は、アバターAb1の利用者に対し、アバターAb1の利用者のリスク許容度等に応じた金融商品を提案する。
【0097】
つまり、提案部47は、コミュニティC内の会話において投資方法や金融商品について利用者が実際に納得した場合に、金融商品等を利用者に対して提案する。例えば、
図9の例では、アバターAb1の利用者がアバターAb4による提案やその後の説明に納得したうえで、新たに株式を購入する意思を示した場合を示し、提案部47は、アバターAb1の利用者へレコメンドする金融商品を選択し、利用者に対して提案する。
【0098】
これにより、提案部47は、利用者が金融商品等に関する知識を得たうえで、利用者の金融関連に関する傾向にマッチする投資方法や、金融商品を提案することができる。
【0099】
また、
図10および
図11に示す例では、提案部47が金融に関する会話を促進するための金融関連情報を提案する場面を示す。例えば、
図10では、利用者がアバターAb1およびアバターAb5を通じて、特定のゲームに関する会話をしている場面を示す。
【0100】
例えば、このような場面において、提案部47は、会話内容に応じた金融トピックDをメタバース空間に表示する。
図10に示す例では、金融トピックDがゲームを提供するゲームメーカーの時価総額、現在の株価、直近の配当等に関する情報ある場合を示しているが、これに限定されるものではない。
【0101】
この場合、アバターAb1およびアバターAb5の双方の利用者は、金融トピックDを通じて、ゲームメーカーの資産状況、株式等に関する知識を得ることができる。つまり、提案部47は、会話内容に応じた金融トピックをメタバース空間に表示することで、各利用者の金融に関する興味を引き立てることができる。
【0102】
特に、提案部47は、例えば、利用者の会話内容のうち、利用者の関心がある分野に関する金融トピックを提案することで、各利用者の金融に関する興味をより一層引き立てることができる。なお、例えば、
図10に示すように、会話内容に応じた金融トピックDを提案する場合、例えば、その後の会話において、各利用者が他のゲームメーカーに関する興味を持つ場合も想定される。その場合、提案部47は、比較対象として現在の金融トピックDの表示を継続しつつ、他のゲームメーカーに関する新たな金融トピックDを追加して表示するようにしてもよい。
【0103】
また、提案部47は、会話内容に応じて、金融トピックDとして表示する項目を取捨選択するようにしてもよい。例えば、株価の推移に関する会話内容に対し、直近の株価の推移を示すグラフを表示するようにしてもよい。
【0104】
また、
図11に示すように、メタバース空間に金融商品の展示スペースSPを設けるとともに、提案部47は、展示スペースSPを通じて金融関連情報を提案するようにしてもよい。
【0105】
例えば、
図11に示す例では、メタバース空間にアバターAb1およびアバターAb5が存在する場面を示し、提案部47が、金融関連情報として、アバターAb1およびアバターAb5へおすすめのポートフォリオを展示スペースSPを通じて提案している場合を示す。
【0106】
なお、ここでのポートフォリオは、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券等の粒度で大まかな構成比率に関する情報であってもよく、より具体的な銘柄の構成比率に関する情報であってもよい。
【0107】
例えば、提案部47は、アバターAb1およびアバターAb5の双方の利用者の金融関連に関する傾向に応じて、ポートフォリオを作成し、展示スペースSPを通じてアバターAb1およびアバターAb5へ提案する。
【0108】
これにより、アバターAb1およびアバターAb5の双方の利用者による金融に関する会話を効率よく促すことができる。これにより、利用者による会話が増えることで、双方の利用者の金融関連に関する傾向をさらに精度よく推定することができる。
【0109】
なお、展示スペースSPには、利用者の金融関連に関する傾向に依存しない特定の銘柄に関する情報を掲載するようにしてもよく、さらに、金融に関するニュースを掲載するようにしてもよい。例えば、金融に関するニュースは、株価、為替、物価等に影響を及ぼすニュース等を含む。
【0110】
なお、メタバース空間内における利用者の会話を促進する観点からすると、各利用者の投資経験や属性等に関する情報をアバターに表示するようにしてもよい。なお、ここでの投資経験は、例えば、投資を始めた年数、これまでの運用実績、保有する金融商品、金融資産等を含む。
【0111】
また、例えば、メタバース空間内において、利用者が投資経験や属性に基づいて、相談相手となる利用者を検索可能なUI(User Interface)を提供するようにしてもよい。利用者は、アバターに表示された利用者の投資経験や属性に関する情報や、利用者を検索可能なUIによって、相談したい相談相手を容易に見つけ出すことができる。
【0112】
〔3.処理フロー〕
次に、
図12を用いて、実施形態に係る情報提供装置1が実行する処理手順について説明する。
図12は、実施形態に係る情報提供装置1が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0113】
図12に示すように、まず、情報提供装置1は、新規の利用者に対してメタバース空間内のコミュニティCを選択する(ステップS101)。つづいて、情報提供装置1は新規の利用者を選択したコミュニティCへ招待する(ステップS102)。
【0114】
つづいて、情報提供装置1は、メタバース空間内に設定されたコミュニティC上の利用者の行動を解析する(ステップS103)。つづいて、情報提供装置1は、コミュニティC上の利用者の行動から推定される金融関連に関する傾向に応じて、利用者をグループに分ける(ステップS104)。
【0115】
そして、情報提供装置1は、グループ分けの結果に応じて、利用者に対して金融関連情報を提案し(ステップS105)、処理を終了する。
【0116】
〔4.変形例〕
上述した実施形態では、情報提供装置1は、投資未経験者である利用者に対して投資に関する金融関連情報を提供する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、金融関連情報として、副業を後押しするための情報、家計の見直しに関する情報(例えば、固定費を削減するための情報(例えば、保険の見直し等))、収入アップに繋がるスキルを取得するための情報等を提供するようにしてもよい。
【0117】
また、情報提供装置1は、金融関連情報として、利用者の金融関連に関する傾向に応じた動画コンテンツや書籍に関する情報を提案するようにしてもよい。
【0118】
〔6.効果〕
上述した実施形態に係る情報提供装置1は、メタバース空間における利用者の行動から推定される前記利用者の金融関連に関する傾向に応じて、利用者を所定のグループへ分類する分類部46と、分類部46による分類結果に応じて、利用者に対し金融関連情報を提案する提案部47と、を備える。
【0119】
また、実施形態に係る情報提供装置1は、分類部46によって分類されるグループに応じて利用者が参加可能なメタバース空間内のコミュニティCを選択する選択部44をそなえる。また、選択部44は、分類部46によってグループへ分類される前の利用者に対して、利用者と現実世界の属性が類似する他の利用者が参加するコミュニティを選択する。
【0120】
また、実施形態に係る情報提供装置1は、分類部46により分類されるグループ毎に利用者の属性を学習する学習部45を備え、選択部44は、学習部45による学習結果に基づいて、分類部46によってグループへ分類される前の利用者に対してコミュニティCを選択する。
【0121】
また、分類部46は、メタバース空間における利用者同士のコミュニケーションから推定される利用者の金融関連に関する傾向に応じて、利用者を所定のグループへ分類する。また、分類部46は、メタバース空間における利用者の行動から推定される利用者の投資経験に応じて利用者を前記グループへ分類し、提案部47は、金融関連情報として、投資経験に応じた金融商品に関する情報を提供する。
【0122】
また、分類部46は、メタバース空間における利用者の行動から推定される利用者の投資に関するリスク許容度に基づいて、利用者を所定のグループへ分類し、提案部47は、金融関連情報として、利用者の投資に関するリスク許容度に応じた金融商品に関する情報を提案する。また、提案部47は、さらに、現実世界における利用者の属性に基づいて、金融商品に関する情報を提案する。また、提案部47は、メタバース空間に存在するアバターを通じて利用者に対し金融関連情報を提案する。
【0123】
また、分類部46は、利用者のメタバース空間におけるアバターに基づいて、利用者をグループに分類する。また、実施形態に係る情報提供装置1は、利用者に対して前記メタバース空間を提供する提供部41を備え、提供部41は、メタバース空間における利用者のアバターに対して、当該利用者の金融関連に関する傾向を表示する。
【0124】
また、提供部41は、メタバース空間上に金融関連情報に関する展示スペースを設置する。また、提案部47は、メタバース空間における利用者による会話内容に関連する金融トピックを金融関連情報として提案する。また、提案部47は、連携する証券会社が取り扱う金融商品に関する情報を金融関連情報として提案する。
【0125】
上述した各処理のいずれか、もしくは組合せにより、本願に係る情報提供装置は、資産形成に役立つメタバース空間を提供することができる。本願に係る情報提供装置では、資産形成の初期段階において特に有益なメタバース空間を提供することができる。
【0126】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報提供装置1は、例えば
図13に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図13は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0127】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0128】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0129】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図13では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0130】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0131】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る利用者端末10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部4の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0132】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0133】
〔8.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0134】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0135】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0136】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0137】
1 情報提供装置
2 通信部
3 記憶部
4 制御部
10 利用者端末
31 利用者情報データベース
32 コミュニティデータベース
33 金融商品情報データベース
34 金融トピックデータベース
41 提供部
42 受付部
43 取得部
44 選択部
45 学習部
46 分類部
47 提案部
U 利用者