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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066334
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】クレーンゲーム機
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/30 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175866
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】593086757
【氏名又は名称】株式会社タカデン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小沼 義行
(57)【要約】
【課題】クレーンゲーム機において、景品を載置台上の所定位置まで移動させる作業の作業負担を軽減する。
【解決手段】クレーンゲーム機は、景品が載置される載置面34を備えた載置台32と、操作により載置面34に沿って移動し、景品を押圧して載置面34上を移動させる移動機構と、載置面34に載置された景品を吊下げて排出口18の上方で吊下解除可能なクレーン装置22と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品が載置される載置面を備えた載置台と、
操作により前記載置面に沿って移動し、前記景品を押圧して前記載置面上を移動させる移動機構と、
前記載置面に載置された前記景品を吊下げて排出口の上方で吊下解除可能なクレーン装置と、
を有するクレーンゲーム機。
【請求項2】
前記移動機構は、前記載置面上で互いに接近及び離隔が可能な一対の移動部材、を有する請求項1に記載のクレーンゲーム機。
【請求項3】
前記載置面は長方形状であり、
前記移動部材は、前記載置面の対角線に沿って移動する請求項2に記載のクレーンゲーム機。
【請求項4】
前記移動部材は、
前記載置面よりも上方向に延在し前記載置面上を移動可能な支柱と、
前記支柱から前記載置面に沿った横方向に延在するアーム部材と、
を有する請求項3に記載のクレーンゲーム機。
【請求項5】
一方の前記移動部材の前記アーム部材と、他方の前記移動部材の前記アーム部材とは、前記載置面から異なる高さ位置にある請求項4に記載のクレーンゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、クレーンゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、景品を次のゲームが始まる前に元の位置に戻すための移動手段を備えたクレーンゲーム機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-187570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、景品が糸で巻き取り車に繋がれており、糸を巻き取ることで景品を元の位置に戻すようになっている。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、景品を糸で巻き取り車に繋ぐ作業が必要であり、作業負担となる。しかも、特許文献1に記載の技術は、インターネット等の通信ネットワークを介してゲームを行うことが前提であり、景品を遊戯者が直接クレーンゲーム機から持ち出すことは想定されていない。しかし、景品が糸で巻き取り車に繋がれているので、景品を遊戯者がクレーンゲーム機から持ち出すことはできない。
【0006】
本開示の技術は、クレーンゲーム機において、景品を載置台上の所定位置まで移動させる作業の作業負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術の第一態様は、景品が載置される載置面を備えた載置台と、操作により前記載置面に沿って移動し、前記景品を押圧して前記載置面上を移動させる移動機構と、前記載置面に載置された前記景品を吊下げて排出口の上方で吊下解除可能なクレーン装置と、を有するクレーンゲーム機である。
【0008】
第一態様のクレーンゲーム機では、操作により、移動機構が載置面に沿って移動する。移動機構は、景品を押圧して載置面上を移動させる。景品に糸等を結びつける必要がないので、糸等を結びつける構成と比較して、作業負担が小さい。
【0009】
また、景品に糸等を結びつけないので、景品がクレーン装置により排出口まで運搬されて排出口の上方で吊下解除された場合は、遊戯者は景品をクレーンゲーム機から持ち出すことができる。
【0010】
第二態様では、第一態様において、前記移動機構は、前記載置面上で互いに接近及び離隔が可能な一対の移動部材、を有する。
【0011】
一対の移動機構が接近することで、景品を所定の位置まで確実に移動させることが可能となる。一対の移動機構は離隔するので、次に景品を移動させるための待機状態を採ることができる。
【0012】
第三態様では、第二態様において、前記載置面は長方形状であり、前記移動部材は、前記載置面の対角線に沿って移動する。
【0013】
載置面が長方形状であることで、クレーンゲーム機に当初から設けられている景品載置スペースに、追加設置しやすい。なお、本開示でいう長方形状には正方形状も含む。
【0014】
移動部材は、載置面の対角線に沿って移動するので、対角線に沿わずに移動する構成と比較して、移動部材の移動距離を長く確保できる。
【0015】
第四態様では、第三態様において、前記移動部材は、前記載置面よりも上方向に延在し前記載置面上を移動可能な支柱と、前記支柱から前記載置面に沿った横方向に延在するアーム部材と、を有する。
【0016】
支柱とアーム部材とを有する簡単な構造で、移動部材を構成できる。
【0017】
アーム部材は、載置面に沿った横方向に延在するので、横方向に広がりのある範囲で景品を押圧することができる。
【0018】
支柱は、載置面よりも上方向に延在しており、上下方向に複数本のアーム部材を取り付けることが可能である。上下方向に複数本のアーム部材を備える構造とすることで、上下方向に広がりのある範囲で景品を押圧することができる。
【0019】
第五態様では、第四態様において、一方の前記移動部材の前記アーム部材と、他方の前記移動部材の前記アーム部材とは、前記載置面から異なる高さ位置にある。
【0020】
移動部材のそれぞれでアーム部材が異なる高さ位置にあるので、移動部材が接近した場合に、アーム部材が干渉することを回避できる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の技術では、クレーンゲーム機において、景品を載置台上の所定位置まで移動させる作業の作業負担を軽減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は第一実施形態のクレーンゲーム機を示す斜視図である。
図2図2は第一実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を示す平面図であり、(A)は移動板が離隔位置にある状態、(B)は移動板が接近位置に移動した状態、(C)は移動板が離隔位置に戻った状態、をそれぞれ示す。
図3図3は第一実施形態のクレーンゲーム機の操作盤を示す図である。
図4図4は第一実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を示す斜視図である。
図5図5は第一実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を部分的に拡大して示す斜視図である。
図6図6は第一実施形態のクレーンゲーム機の制御部のハードウェア構成を示す構成図である。
図7図7は第一実施形態のクレーンゲーム機の制御手順を示すフローチャートである。
図8図8は第一実施形態のクレーンゲーム機の制御における置き直し動作を示すフローチャートである。
図9図9は第二実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を示す斜視図である。
図10図10は第二実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を部分的に拡大して示す斜視図である。
図11図11は第三実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を示す斜視図である。
図12図12は第三実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を部分的に拡大して示す斜視図である。
図13図13は第四実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を示す斜視図である。
図14図14は第四実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を部分的に拡大して示す斜視図である。
図15図15は第四実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置を部分的に拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して第一実施形態に係るクレーンゲーム機12について説明する。このクレーンゲーム機12は、遊戯者がクレーンゲーム機12の設置現場にて実際に操作して遊戯することが可能である他、遠隔地から情報通信回線を通じて遠隔操作することが可能である。
【0024】
クレーンゲーム機12は、筐体14を有している。筐体14内には景品テーブル16が設けられている。景品テーブル16の一部には排出口18が設けられている。景品テーブル16上には、排出口18以外の領域に景品GF(図2参照)を載置することが可能である。
【0025】
景品テーブル16の上方には、クレーン装置22が設けられている。筐体14の前面には操作盤24が設けられている。操作盤24は、図3にも示すように、置き直しボタン26A及びクレーン操作ボタン26Bを含んでいる。
【0026】
遊戯者は、クレーンゲーム機12の設置現場にて遊戯する場合、操作盤24を通じてクレーン装置22を操作する。クレーン装置22は、景品GFを吊下げることが可能である。そして、クレーン装置22は排出口18の上方まで移動した状態では、景品GFの吊下げを解除する。したがって、クレーン装置22による景品GFの吊下げが成功している状態では、吊下げ解除により、景品GFが排出口18に落下する。
【0027】
筐体14の前面には取出口20が設けられている。排出口18に落下した景品GFを、遊戯者は取出口20から取り出すことが可能である。
【0028】
景品テーブル16上には、排出口18が設けられていない領域に、開示の技術に係る景品移動装置30を設置することが可能である。
【0029】
図2及び図4にも示すように、景品移動装置30は載置台32を有している。載置台32は上方から見て長方形の薄板状に形成されており、内部は中空の構造である。
【0030】
載置台32の上面は載置面34である。載置面34に景品GFを載置することが可能である。クレーンゲーム機12内では、載置面34の中央部にある景品GF(図2(B)及び図2(C)参照)はクレーン装置22により吊り下げることが可能である。これに対し、載置面34の周縁部にある景品GF(図2(A)参照)は、クレーン装置22により吊り下げることが難しい。
【0031】
図4に示すように、載置面34には、対角線に沿ってスリット36が形成されている。載置台32には、移動機構28が設けられている。移動機構28は、台座38及びレール40を有している。台座38は長尺でかつ板状の部材であり、スリット36に沿った方向で固定されている。レール40は、台座38の上方で、スリット36に沿った方向に配置されている。
【0032】
さらに、移動機構28は、一対の移動板42、一対のモータ44、一対のリードスクリュー46、一対の外側位置センサ48S及び一対の内側位置センサ48Nを有している。これらの移動板42、モータ44、リードスクリュー46、外側位置センサ48S及び内側位置センサ48Nは、台座38の長手方向の中心に対し略対称に配置されている。
【0033】
モータ44は、台座38の長手方向の中心側の位置で台座38に固定されている。リードスクリュー46は、モータ44の回転軸に対し、回転力を伝達可能となるように連結されており、モータ44の駆動により周方向(矢印R1方向、図5参照)に回転するようになっている。リードスクリュー46は、このようにモータ44の回転力が伝達されるように回転軸に連結されていればよく、直結されていても、あるいはギヤやカムを介して連結されていてもよい。台座38の長手方向の中央寄りの位置及び端部側の位置には固定ブラケット50が固定されている。リードスクリュー46は固定ブラケット50によって、周方向には回転可能で、軸方向(長手方向)には移動不能に支持されている。リードスクリュー46の外周面には雄ネジが形成されている。また、固定ブラケット50は、台座38に対し、レール40を一定の高さ位置で保持している。
【0034】
移動板42は、本開示の技術における移動部材の一例である。移動板42は、レール40に装着されており、レール40沿って移動可能である。移動板42からは、移動ブラケット52が延出されている。本実施形態では、1つの移動ブラケット52は、台座38の長手方向の中央寄りの位置にある内側板部52Nと、外側寄りの位置にある外側板部52Sと、を有している。本開示の技術の移動部材としては、移動板42のように板状に形成された部材に限らず、たとえばブロック状に形成された部材でもよい。
【0035】
移動ブラケット52の内側板部52N及び外側板部52Sには、内周面に雌ネジが形成された雌ネジ部材54が固定されている。雌ネジ部材54の雌ネジは、リードスクリュー46の外周に形成された雄ネジと噛み合っている。
【0036】
リードスクリュー46が周方向(矢印R1方向)に回転すると、移動ブラケット52及び移動板42が、レール40の長手方向に沿ってスライドし、互いに接近及び離隔する。このスライドにより、一対の移動板42は、スリット36の長手方向で離隔した位置(図2(A)及び図2(C)に示す離隔位置PA)と、接近した位置(図2(B)に示す接近位置PB)とを取る。たとえば、モータ44が正回転すると、移動板42は離隔位置PAから接近位置PBに向けて移動する。これに対し、モータ44が逆回転すると、移動板42は接近位置PBから離隔位置PAへ向けて移動する。
【0037】
外側位置センサ48S及び内側位置センサ48Nは、内側板部52Nの接近状態を検知できるようになっている。外側位置センサ48Sは、移動板42の離隔位置PAに、内側位置センサ48Nは移動板42の接近位置PBに対応して設けられている。したがって、外側位置センサ48Sは、移動板42が離隔位置PAにあることを検出する。内側位置センサ48Nは、移動板42が接近位置PBにあることを検出する。
【0038】
移動板42のそれぞれには、支柱56が固定されている。支柱56は、載置面34よりも上方向に延在されている。移動板42がレール40に沿ってスライドすると、移動板42もスリット36の長手方向に沿って移動する。図示の例ではスリット36は載置面34の対角線に沿って形成されているので、移動板42も載置面34の対角線に沿って移動する。
【0039】
支柱56のそれぞれには、アーム部材58が固定されている。本開示の技術では、アーム部材58は、第一アーム58A及び第二アーム58Bを含んでいる。第一アーム58Aと第二アーム58Bとは、載置面34の平面視で90度の角度を成して支柱56から延在されている。具体的には、第一アーム58Aは、載置面34の右側辺34R又は左側辺34Lに沿って延在されており、第二アーム58Bは、載置面34の後側辺34B又は前側辺34Fに沿って延在されている。図示の例では、1つの支柱56あたり、第一アーム58A及び第二アーム58Bはいすれも2本であるが、1本あるいは3本以上でもよい。
【0040】
載置面34の平面視で、すなわち上方から見て、図2(A)及び図2(C)に示すように、移動板42が離隔位置PAにある状態では、第一アーム58Aと第二アーム58Bとは重ならない。しかし、図2(B)に示すように移動板42が接近位置PBへ移動した状態では、第一アーム58Aと第二アーム58Bとは、上方から見て重なる。本実施形態では、第一アーム58Aと第二アーム58Bとは、載置面34から異なる高さ位置で、それぞれ支柱56に固定されている。したがって、移動板42が接近位置PBにある場合でも、第一アーム58Aと第二アーム58Bとが接触することはない。
【0041】
図6には、本開示の技術において、クレーンゲーム機12を制御するコンピュータ72の内部構成が示されている。
【0042】
コンピュータ72は、プロセッサ74、メモリ76、ストレージ78及び通信部80を有している。さらにコンピュータ72は、操作盤24による操作の入力情報を受け付けると共に、クレーン装置22及び景品移動装置30を制御するようになっている。
【0043】
ストレージ78には、コンピュータ72を制御装置として機能させるための制御プログラム70が記憶されている。この制御プログラム70がメモリ76上で展開され、さらにプロセッサ74において実行されることにより、コンピュータ72は制御装置として機能する。
【0044】
本願の開示の技術では、制御プログラム70は、一般的なクレーンゲームの動作の他に、景品GFを載置面34上で中央に移動させる置き直し動作を実行するプログラムを含んでいる。
【0045】
この置き直し動作は、載置面34に載置された景品GFを、第一アーム58A及び第二アーム58Bによって押圧し、載置面34の中央部に移動させる動作である。前述したように、クレーンゲーム機12内では、載置面34の周縁部にある景品GFは、クレーン装置22により吊り下げることが難しい。景品GFが載置面34の周縁部にあり、遊戯者が、クレーン装置22による景品GFの吊り下げを難しいと判断した場合には、置き直し動作を実行する操作を行うことができる。
【0046】
コンピュータ72は、図7に示すフローチャートに従ってクレーンゲーム機12を制御する。具体的には、コンピュータ72は、ステップS102において、クレーンゲーム機12に硬貨が投入されたか否かを判断する。この判断が否定された場合は、ステップS102においてこの判断を継続する。
【0047】
ステップS102の判断が肯定された場合には、ステップS104に移行する。コンピュータ72は、ステップS104において、置き直しボタン26A(図3参照)を、あらかじめ設定された所定時間で点滅させる。そして、ステップS106においてコンピュータ72は、置き直しボタン26Aが押されたか否かを判断する。ステップS106の判断が否定された場合、ステップS108に移行する。ステップS108では、置き直しボタン26Aにおいてあらかじめ設定されている点滅時間が終了したか否かを判断する。この判断が否定された場合は、ステップS106に戻る。この判断が肯定された場合は、ステップS110に移行する。ステップS110では、コンピュータ72はゲーム処理を実行する。すなわち、クレーン操作ボタン26Bの操作を受けて、クレーン装置22を作動させて、景品の把持、排出口18の上方への移動及び把持解除の動作を行う。
【0048】
これに対し、ステップS106の判断が肯定された場合には、ステップS112に移行する。ステップS112では、コンピュータ72は、図8に示す置き直し動作を実行する。
【0049】
置き直し動作では、ステップS114において、コンピュータ72はモータ44を正回転させる。これにより、図2(B)に示すように、移動板42がレール40の中央に向けて移動する。移動板42の移動に伴い、支柱56も載置面34の中央に向けて移動する。そして、第一アーム58A及び第二アーム58Bも、支柱56と共に載置面34の中央に向けて移動する。載置面34に載置されていた景品GFは、第一アーム58A及び第二アーム58Bに押圧され、載置面34の中央に移動する。すなわち、景品GFは、クレーン装置22によって景品GFを吊り下げることが可能な位置に移動する。
【0050】
次に、ステップS116において、コンピュータ72は、内側位置センサ48Nが移動板42を検出したか否かを判断する。この判断が否定された場合は、ステップS114に戻り、モータ44を継続して正回転させる。この判断が肯定された場合は、ステップS118において、コンピュータ72はモータ44を逆回転させる。これにより、移動板42がレール40の両端部に向けて移動し、支柱56、第一アーム58A及び第二アーム58Bもスリット36の両端部に向けて移動する。
【0051】
次いで、ステップS120において、コンピュータ72は、外側位置センサ48Sが移動板42を検出したか否かを判断する。この判断が否定された場合は、ステップS118に戻り、モータ44を継続して逆回転させる。この判断が肯定された場合は、移動板42は離隔位置PAにあるので、ステップS122において、コンピュータ72はモータ44を停止させる。そして、ステップS110(図7参照)に戻る。
【0052】
以上の説明から分かるように、本実施形態のクレーンゲーム機12では、景品GFが、クレーン装置22による吊下げが困難な位置にある場合に、置き直し動作を行うことで、景品GFを、クレーン装置22による吊り下げが相対的に容易な位置へ置き直すことができる。したがって、クレーン装置22による吊り下げが困難な位置に景品GFがある場合のように、通常であれば遊戯者がゲームの継続を諦めざるを得ない状況であっても、置き直し動作により景品GFの置き直しを行い、ゲームを継続して行う意欲を維持できるようにすることが可能である。
【0053】
ここで、従来のクレーンゲーム機によるこのような景品GFの置き直しは、たとえば、クレーンゲーム機12が設置された店舗の店員等によって行うこととされてきた。しかし、この場合には置き直し作業が店員の作業負荷となる。これに対し、本実施形態のクレーンゲーム機12では、店員の置き直し作業に依らずに、遊戯者の操作によって景品GFを置き直すことが可能である。本実施形態のクレーンゲーム機12では、景品GFに対する置き直し作業、すなわち景品GFを移動させる作業の作業負担が軽減される。
【0054】
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、クレーンゲーム機の全体的な構造は、図1に示す第一実施形態のクレーンゲーム機12と同様であるので、図示を省略する。
【0055】
第二実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置110では、図9及び図10に示すように、第一実施形態の景品移動装置30におけるリードスクリュー46及び固定ブラケット50に代えて、ワイヤー112及びバネ114を有している。
【0056】
第二実施形態において、図示の例では、モータ44及び巻取ロール116は台座38の長手方向の中央部分に1つのみ設けられている。これに対し、ワイヤー112及びバネ114は、台座38の長手方向の両側にそれぞれ設けられている。そして、1つのモータ44が、2つのワイヤー112に対し共用されている。
【0057】
バネ114は、固定ブラケット50と、移動ブラケット52(図示の例では外側板部52S)の間に装着されており、移動板42を離隔位置PAに向けて付勢している。
【0058】
モータ44の回転軸には、巻取ロール116が取り付けられている。ワイヤー112の一端は移動ブラケット52に取り付けられ、ワイヤー112の他端側は巻取ロール116に巻きかけられている。
【0059】
このような構成とされた第二実施形態のクレーンゲーム機では、モータ44の正回転によりワイヤー112を他端側で巻き取ることができる。これにより、バネ114のバネ力に抗して、2つの移動板42を離隔位置PAから接近位置PBへ向けて移動させることができる。また、モータ44の逆回転させることによりワイヤー112を弛緩させることができる。そして、バネ114のバネ力により、2つの移動板42を接近位置PBから離隔位置PAへ向けて移動させることができる。
【0060】
次に第三実施形態について説明する。第三実施形態においても、第一実施形態と同様の要素、部材等については第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、クレーンゲーム機の全体的な構造は、図1に示す第一実施形態と同様であるので、図示を省略する。
【0061】
第三実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置120では、図11及び図12に示すように、第一実施形態の景品移動装置30におけるリードスクリュー46、固定ブラケット50及び移動ブラケット52に代えて、ギヤ機構122、プーリ124、ローラ126及びワイヤー128を有している。第三実施形態では、モータ44は台座38の長手方向の中央に1つ設けられている。これに対し、プーリ124、ローラ126及びワイヤー128は、台座38の長手方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0062】
それぞれのワイヤー128は、その一端が移動ブラケット52の内側板部52Nに、他端が移動ブラケットの外側板部52Sに固着されている。ワイヤー128の中間部分は複数のプーリ124に巻きかけられている。
【0063】
複数のプーリ124のうちの1つには、モータ44からギヤ機構122を介して回転力が伝達される。そして、モータ44が正回転することによるプーリ124の回転で、ワイヤー128を介して、移動板42が離隔位置PAから接近位置PBへ移動する。モータ44が逆回転することによるプーリ124の回転で、移動板42が接近位置PBから離隔位置PAへ移動する。
【0064】
ギヤ機構122は反転用ギヤ122Rを有している。モータ44の一方向に回転すると、一方のワイヤー128と他方のワイヤー128とで移動方向が逆方向になる。これにより、2つの移動板42が同期して接近及び離隔するようになっている。
【0065】
ローラ126は、ワイヤー128の一部に接触し、ワイヤー128に張力を付与している。この張力により、ワイヤー128とプーリ124との滑りが抑制され、モータ44の回転力によってワイヤー128が確実に移動するようになっている。
【0066】
このような構成とされた第三実施形態のクレーンゲーム機では、モータ44の正回転によりワイヤー128を移動させて、2つの移動板42を離隔位置PAから接近位置PBへ向けて移動させることができる。また、モータ44の逆回転させることによりワイヤー112を上記とは逆方向に移動させ、2つの移動板42を接近位置PBから離隔位置PAへ向けて移動させることができる。
【0067】
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態においても、第一実施形態と同様の要素、部材等については第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、クレーンゲーム機12の全体的な構造は、図1に示す第一実施形態と同様であるので、図示を省略する。
【0068】
第四実施形態のクレーンゲーム機の景品移動装置130では、図13図15に示すように、第一実施形態のクレーンゲーム機12におけるリードスクリュー46、固定ブラケット50及び移動ブラケット52に代えて、ギヤ機構132、ロータリーアーム134及びスイングアーム136を有している。第四実施形態では、モータ44、ギヤ機構132及びロータリーアーム134は、台座38の長手方向の中央にそれぞれ1つ設けられている。
【0069】
図14及び図15にも示すように、ギヤ機構132は、モータ44の回転力をロータリーアーム134に伝える。ロータリーアーム134は、その長手方向の中央部分を中心として回転するようになっている。ロータリーアーム134の両端には、それぞれ、スイングアーム136の一端が回転可能に連結されている。それぞれのスイングアーム136の他端は、移動ブラケット52の内側板部52Nに連結されている。
【0070】
このような構成とされた第四実施形態のクレーンゲーム機では、モータ44を正回転させることにより、ロータリーアーム134を回転させ、スイングアーム136を介して連結された移動板42を離隔位置PAから接近位置PBへ移動させることができる。また、モータ44を逆回転させることにより、移動板42を接近位置PBから離隔位置PAへ移動させることができる。
【0071】
なお、景品GFを景品移動装置によって移動させる所定位置としては、載置面34の中央に限定されない。たとえば、クレーンゲーム機のサイズや、クレーン装置22の構造によっては、載置面34において中央よりも縁側に偏った位置の方が景品GFの吊り下げに有利な場合がある。この場合には、景品GFを景品移動装置によって移動させる所定位置として、載置面34において中央よりも縁側に偏った位置とすればよい。
【0072】
また、上記各実施形態では、一対の移動部材の一例として、一対の移動板42が接近及び離隔する構造としている。一対の移動板42を接近させることで、景品GFを載置面34の中央に移動させやすい構造を実現できる。ただし、移動部材は一対である必要はなく、たとえば、1つ移動部材で景品GFを一方向にのみ押圧して移動させる構成でもよい。さらに、3つ以上の移動部材を有する構成でもよい。
【0073】
複数の移動部材を有する構成において、移動部材の移動量は、例えば景品GFの大きさや、載置面34のサイズ等に対応して設定可能である。上記実施形態では、内側位置センサ48Nの位置を調整することで、移動板42の接近位置PBを調整することが可能である。
【0074】
本開示の技術において、載置面34は長方形状である。載置台32としても、平面視にて長方形状の扁平な箱状であるので、既存のクレーンゲーム機に載置台32を搭載しやすい。
【0075】
また、既存のクレーンゲーム機のサイズに合わせて、載置台32の大きさや形状を調整することも容易である。
【0076】
移動機構28の具体的構成は、上記のものに限定されない。たとえば、第一アーム58A及び第二アーム58Bのような棒状のアーム部材に代えて、板状の部材で景品GFを押圧する構成でもよい。第一アーム58A及び第二アーム58Bのような棒状のアーム部材を、上下に間隔をあけて複数用いると、上下方向の広い範囲で景品GFを押圧できる。また、板状の押圧部材と比較して、軽量化を図ることも可能である。
【0077】
また、第一アーム58Aと第二アーム58Bとは、支柱56から横方向に延在しているので、横方向に広がりのある範囲で景品GFを押圧することが可能である。
【0078】
第一アーム58Aと第二アーム58Bとは、上下方向で異なる高さ位置にある。このため、移動板42が離隔位置PAから接近位置PBへ移動した場合でも、第一アーム58Aと第二アーム58Bとの干渉を回避できる。
【0079】
第一実施形態及び第二実施形態では、移動機構28を小型化できる。たとえば、台座38の長手方向と直交する幅方向(図4に示す矢印W1方向)で移動機構28が過度に大きくならない構造を実現できる。
【0080】
特に第一実施形態では、モータ44の正回転及び逆回転によって直接的にリードスクリュー46を回転させるので、移動板42を移動させる移動量の調整が容易である。
【0081】
第三実施形態では、プーリ124、ローラ126及びワイヤー128を用いることで、移動機構28を軽量且つ簡素に構成できる。
【0082】
第四実施形態では、モータ44の正回転及び逆回転によってロータリーアーム134及びスイングアーム136を回転させることにより、移動板42を確実に移動させることができる。
【0083】
以上説明したように、本開示の技術に係る何れの実施形態のクレーンゲーム機においても、景品GFを載置台32上の所定位置まで移動させる作業の作業負担を軽減可能である。
【0084】
本開示の技術では、景品GFを押圧することにより載置面34上で移動させる。景品GFに紐等を結び付けて所定位置まで引張る構成のように紐等を景品GFに結び付ける作業が不要であり、作業負担が軽減される。また、本願の開示の技術では、紐等を景品GFに結び付けないので、景品GFを取出口20から取り出す場合に紐等を景品GFから取り外す必要がなく、景品GFの取出しが容易である。
【符号の説明】
【0085】
12 クレーンゲーム機 14 筐体 16 景品テーブル
18 排出口 20 取出口 22 クレーン装置
24 操作盤 26A ボタン 26B クレーン操作ボタン
28 移動機構 30 景品移動装置 32 載置台
34 載置面 34B 後側辺 34F 前側辺
34L 左側辺 34R 右側辺 36 スリット
38 台座 40 レール 42 移動板
44 モータ 46 リードスクリュー
48N 内側位置センサ 48S 外側位置センサ
50 固定ブラケット 52 移動ブラケット
52N 内側板部 52S 外側板部 54 雌ネジ部材
56 支柱 58 アーム部材 58A 第一アーム
58B 第二アーム
70 制御プログラム 72 コンピュータ 74 プロセッサ
76 メモリ 78 ストレージ 80 通信部
110 景品移動装置 112 ワイヤー 114 バネ
116 巻取ロール
120 景品移動装置 122 ギヤ機構 122R 反転用ギヤ
124 プーリ 126 ローラ 128 ワイヤー
130 景品移動装置 132 ギヤ機構
134 ロータリーアーム 136 スイングアーム
図1
図2
図3
図4
図5
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