(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066369
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B60W 10/188 20120101AFI20240508BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20240508BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240508BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20240508BHJP
B60W 10/20 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B60W10/188
B60T7/12 C
B60W40/02
B62D6/00
B60W10/00 132
B60W10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185687
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2022174994
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
3D246
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA23
3D232DA25
3D232DA76
3D232DA84
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3D246MA37
(57)【要約】
【課題】自車両を取り巻く状況に応じて最適なブレーキ制御を行うことが可能なブレーキシステムを提供する。
【解決手段】ブレーキシステムは、制御部10、第1センサ50、第2センサ60などを備える。第1センサ50は、ブレーキ操作に関するブレーキ操作情報を検知する。第2センサ60は、後方車両との車間距離、相対速度などをあらわす後方車両情報を検知する。制御部10は、ブレーキ操作情報、後方車両情報に基づき、ブレーキ圧を制御して車両を制動する通常ブレーキを作動するか、ブレーキ圧を制御するだけでなく、各車輪の角度を変えて効率的に減速して車両を制動する効率ブレーキを作動するかを選択する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右に略対称に位置する少なくとも一対の車輪と、
前記一対の車輪それぞれの操舵角を個別に制御することのできる操舵手段と、
前記一対の車輪に制動力を発生させるブレーキ手段と、
前記車両のブレーキ操作に関するブレーキ操作情報を取得する第1取得部と、
前記車両の周囲環境に関する周囲環境情報を取得する第2取得部と、
前記操舵手段及び前記ブレーキ手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ブレーキ操作情報及び前記周囲環境情報に基づき、前記ブレーキ手段を制御して車両を制動する通常ブレーキと、前記ブレーキ手段とともに前記操舵手段を制御して車両を制動する効率ブレーキのいずれかを選択する、ブレーキシステム。
【請求項2】
前記周囲環境情報には、後方車両との車間距離及び相対速度をあらわす後方車両情報が含まれ、
前記制御部は、
前記ブレーキ操作情報及び前記後方車両情報に基づき、前記通常ブレーキと前記効率ブレーキのいずれかを選択する、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記周囲環境情報には、路面状態に関する路面関連情報が含まれ、
前記制御部は、
前記ブレーキ操作情報及び前記路面関連情報に基づき、前記通常ブレーキと前記効率ブレーキのいずれかを選択する、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記効率ブレーキを選択した場合には、前記一対の車輪に対する制動力が低減されるように前記ブレーキ手段を制御するとともに、前記一対の車輪を車両上面から見て略ハの字になるように前記操舵手段を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項5】
ブレーキの作動状況を外部に報知する報知手段をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
前記報知手段は、作動中のブレーキの種類に応じて異なる態様で報知する、請求項5に記載のブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両と前方の障害物との間の距離及び相対速度を検出し、その検出結果から前方の障害物に対して異常接近した場合に、自動的にブレーキを作動させて自車両を急制動する自動制動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記自動制動装置においては、自車両と前方の障害物の距離が近すぎないようにするには効果的であるが、後方車両が存在する場合に自動制動装置が急ブレーキをかけると、後方車両が急制動に間に合わずに追突するおそれがある、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、自車両を取り巻く状況に応じて最適なブレーキ制御を行うことが可能なブレーキシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るブレーキシステムは、車両の左右に略対称に位置する少なくとも一対の車輪と、一対の車輪それぞれの操舵角を個別に制御することのできる操舵手段と、一対の車輪に制動力を発生させるブレーキ手段と、車両のブレーキ操作に関するブレーキ操作情報を取得する第1取得部と、車両の周囲環境に関する周囲環境情報を取得する第2取得部と、操舵手段及びブレーキ手段を制御する制御部と、を備え、制御部は、ブレーキ操作情報及び周囲環境情報に基づき、ブレーキ手段を制御して車両を制動する通常ブレーキと、ブレーキ手段とともに操舵手段を制御して車両を制動する効率ブレーキのいずれかを選択する、ブレーキシステム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自車両を取り巻く状況に応じて最適なブレーキ制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るブレーキシステムを搭載する車両のシステム構成の一例を示す図である。
【
図3】効率ブレーキの作動態様の一例を示す図である。
【
図4】効率ブレーキの作動態様の一例を示す図である。
【
図5】ブレーキの種類の選択動作の一例を示す説明図である。
【
図6】ブレーキシステムを搭載した車両の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るブレーキシステムを搭載する車両1のシステム構成の一例を示す図である。本実施形態に係るブレーキシステムは、ブレーキ圧を制御して車両を制動する「通常ブレーキ」と、ブレーキ圧を制御するだけでなく、各車輪の角度を変えて効率的に減速して車両を制動する「効率ブレーキ」の2種類のブレーキを作動することが可能となっている。
図1に示す車両1は、制御部10と、操舵手段20と、ブレーキ手段30と、車輪40と、第1センサ50と、第2センサ60と、報知手段70を備える。また、図示省略するが、従来の車両を構成する種々の構成を備えてもよい。車両1は、運転者が車両1を運転する手動運転機能の他に、車両1の自動運転を支援する自動運転機能を有し、各運転機能を任意に選択できることとしてもよい。
【0011】
制御部10は、車両1の内外から取得した種々の情報を用いて、ブレーキに関する様々な制御を行う。例えば、制御部10は、第1センサ50及び第2センサ60が検知した情報に基づいて、ブレーキの種類(具体的には、通常ブレーキまたは効率ブレーキ)を選択し、選択したブレーキの種類に応じて操舵手段20に車輪40の操舵角を指示したり、ブレーキ手段30に車輪40の制動力を指示したりする。
【0012】
操舵手段20は、制御部10から受け取った指示に基づいて、車輪40それぞれの操舵角を個別に制御することができる。操舵手段20としては、車両1が備える4つの車輪40Ar、40Al、40Br、40Blそれぞれに対応する操舵手段20Ar、20Al、20Br、20Blを備え、各操舵手段20Ar、20Al、20Br、20Blが各車輪40Ar、40Al、40Br、40Blの操舵角を個別に設定し、制御できるように構成されてもよい。
【0013】
ブレーキ手段30は、制御部10から受け取った指示に基づいて、車輪40それぞれを制動することができる。ブレーキ手段30は、例えば各車輪40Ar、40Al、40Br、40Blにそれぞれ設けられたホイールシリンダ(図示略)や、ホイールシリンダに接続されたブレーキアクチュエータ(図示略)などを備える構成であってもよい。ブレーキアクチュエータは、モータで駆動される液圧ポンプ等で発生したブレーキ圧を、任意の大きさに制御してホイールシリンダに供給することで、各車輪40Ar、40Al、40Br、40Blを制動する。
【0014】
車両1は、少なくとも一対の車輪(タイヤ)を備え、車輪は車両1の左右に略対称に配置される。本実施形態において、車両1は4輪で構成され、左右一対の前輪40A(40Arと40Al)と、左右一対の後輪40B(40Brと40Bl)とを有する。
【0015】
車輪40にはハブモーター(HUB motor)が搭載されてもよい。ハブモーターは、インホイールモーター(IWM:In Wheel Motor)と呼ばれることもある。4輪全てにハブモーターが搭載されることで、車輪40それぞれの動きを個別に制御することができるようになるため、車輪の角度を変えて減速する効率ブレーキを実現させる上で好ましい。
【0016】
第1センサ50は、ブレーキ操作に関するブレーキ操作情報を検知する。第1センサ50は、例えばブレーキペダルセンサなどによって構成されている。第1センサ50は、運転者によってブレーキペダルが操作されると、ブレーキペダルの操作量(すなわち、ストローク量)などをあらわすブレーキ操作情報を制御部(第1取得部)10に送信する。
【0017】
第2センサ60は、自車両の周囲環境に関わる情報(本実施形態では、後方車両との車間距離、相対速度などをあらわす後方車両情報)を検知する。第2センサ60は、例えばLIDAR(Light Detection And Ranging)センサ、超音波ソナー、及びステレオカメラなどによって構成される。第2センサ60は、後方車両情報を検出すると、制御部(第2取得部)10に送信する。
【0018】
その他にも、車両1には、速度センサ、アクセルペダルセンサ、シフトポジションセンサ、加速度センサをはじめとする様々なセンサが搭載されている。
【0019】
報知手段70は、ブレーキの作動状況を外部(運転者など)に報知する。報知手段70は、例えばブザーやインストルメントパネル(図示略)に設けられたランプやブレーキランプなどによって構成されている。報知手段70は、制御部10によってブレーキが作動されると、例えばランプの色、点灯パターン、文字メッセージなどによって、ブレーキの作動の有無や、作動中のブレーキの種類などを運転者に報知してもよい。一例として、通常ブレーキが作動中である場合には、インストルメントパネルの所定のランプを黄色で点灯表示する一方、効率ブレーキが作動中である場合には、インストルメントパネルの所定のランプを青色で点滅表示する。このように、作動中のブレーキの種類に応じて異なる態様で報知することで、運転者は作動中のブレーキを正確に把握することができる。なお、車両1に複数の報知手段70が設けられている場合には、作動中のブレーキの種類に応じて、利用する報知手段の組み合わせを変えてもよい。また、作動中のブレーキの種類に応じてブレーキランプの表示態様を変えることで、後方車両などにブレーキの作動状況を知らせてもよい。
【0020】
図2は、本実施形態に係る制御部10の構成の一例を示す図である。制御部10は、例えば、プロセッサ12とメモリ14とを含む。
【0021】
プロセッサ12は、車両1のブレーキに関する制御を行う。プロセッサ12として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はマイコン(マイクロコントローラ)等を用いることができる。プロセッサ12は、メモリ14に記憶されたプログラムを実行することで、制御部として機能する。
【0022】
メモリ14は、プロセッサ12により実行される各種プログラムや各種データを記憶する。メモリ14には、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置、及びHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置が含まれ得る。
【0023】
各種データとして、例えば効率ブレーキを作動させる際の、4つの車輪40Ar、40Al、40Br、40Blそれぞれの操舵角をあらわす操舵角パターンを含む。
【0024】
<効率ブレーキの特徴>
図3及び
図4は、本実施形態における効率ブレーキの作動態様の一例を示す図である。
本実施形態においては、4輪全ての操舵角をそれぞれ自由自在に制御することが可能となっているため、ブレーキ圧を制御するとともに、進行方向に向かうモーメントを打ち消すように車輪の操舵角を制御することで、効率ブレーキを実現する。
【0025】
4輪の全てで操舵可能な車両1において、制御部10は、ブレーキ操作情報、後方車両情報に基づき、作動ブレーキとして効率ブレーキを選択すると、まず、ブレーキ手段30を制御してブレーキ圧を制御する。さらに、制御部10は、例えば
図3に示すように、操舵手段20を用いて、一対の前輪40A及び一対の後輪40Bを、車両上面から見て、それぞれ「ハ」の字になるよう操舵角を制御する。すなわち、制御部10は操舵手段20を用いて、一対の前輪40Aのうち、右側の車輪40Arを左向きかつ左側の車輪40Alを右向きとなるよう操舵角を制御する。また、制御部10は操舵手段20を用いて、一対の後輪40Bのうち、右側の車輪40Brを左向きかつ左側の車輪40Blを右向きとなるよう操舵角を制御する。
【0026】
図3では、操舵手段20を用いて、一対の前輪40A及び一対の後輪40Bを、車両上面から見て、それぞれ「ハ」の字になるよう操舵角を制御する態様を例示したが、例えば
図4に示すように、一対の前輪40A及び一対の後輪40Bを、車両上面から見て、それぞれ逆「ハ」の字になるよう操舵角を制御してもよい。すなわち、制御部10は操舵手段20を用いて、一対の前輪40Aのうち、右側の車輪40Arを右向きかつ左側の車輪40Alを左向きとなるよう操舵角を制御する。また、制御部10は操舵手段20を用いて、一対の後輪40Bのうち、右側の車輪40Brを右向きかつ左側の車輪40Blを左向きとなるよう操舵角を制御する。
【0027】
このように、効率ブレーキを作動させた場合には、単にブレーキ圧を制御するだけでなく、左右一対の車輪40A,40Bを内側に向けて進行方向側を狭くしたり、外側に向けて進行方向側を広くしたりすることで、車輪40と地面の接触面の摩擦力を増大させる。これにより、停止までの制動距離を十分に短くすることが可能となる。このとき、制御部10は、車輪40の操舵角を調整することで、車輪40と地面の間の摩擦力を調整することができる。
【0028】
<ブレーキの種類の選択>
上述したように、制動距離を短縮するという観点では、効率ブレーキを選択することが望ましいが、自車両を取り巻く状況によっては、効率ブレーキではなく通常ブレーキを選択することが望ましい場合がある。
【0029】
例えば、
図5に示すように、後方車両が猛スピードで迫ってくる状況下で、効率ブレーキを作動させると、自車両は短い制動距離で停止することができるものの、後方車両はブレーキが間に合わず、後方車両から追突されるおそれがある。
【0030】
このような問題を未然に解消するために、本実施形態では、制御部10は、後方車両からの追突も回避できるように、作動するブレーキの種類を選択する。
【0031】
具体的には、制御部10は、第1センサ50から取得されるブレーキ操作情報、第2センサ60から取得される後方車両情報に基づき、通常ブレーキを作動するか、効率ブレーキを作動するかを選択する。
【0032】
例えば、制御部10は、十分な車間距離等が確保されているために、効率ブレーキを作動しても後方車両から追突される可能性はないと判断すると、効率ブレーキを選択する。
【0033】
一方、制御部10は、十分な車間距離等が確保されていないために、効率ブレーキを作動した場合には後方車両から追突される可能性が高いと判断すると、通常ブレーキを選択する。このように、本実施形態では、自車両を取り巻く状況に応じて、作動するブレーキの種類を選択することで、後方車両からの追突を確実に防ぐことが可能となる。なお、ブレーキの種類の選択基準については、衝突事故の発生確率などを勘案して任意に設定・変更可能である。例えば、衝突事故の過去事例等に基づいて、車間距離及び相対速度から衝突事故の発生確率を導出し、導出した衝突事故の発生確率が閾値未満である場合には、効率ブレーキを選択する一方、閾値を超えた場合には、通常ブレーキを選択してもよい。
【0034】
図6は、ブレーキシステムを搭載した車両1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0035】
制御部10は、車両1の走行中に、第1センサ50からブレーキ操作情報を取得したか否かを判断する(ステップS101)。
【0036】
制御部10は、ブレーキ操作情報を取得していない場合には(ステップS101:NO)、そのまま走行を続ける一方、ブレーキ操作情報を取得している場合には(ステップS101:YES)、第2センサ60から後方車両情報を取得する(ステップS102)。
【0037】
制御部10は、各センサから取得したブレーキ操作情報及び後方車両情報に基づき、作動するブレーキの種類を選択する(ステップS103)。
【0038】
制御部10は、通常ブレーキを選択した場合には、ブレーキ手段30に対して、ブレーキ圧の制御を指示する(ステップS104)。
【0039】
制御部10は、効率ブレーキを選択した場合には、ブレーキ手段30に対して、ブレーキ圧の制御を指示するとともに、操舵手段20に対して、
図3または
図4に示す態様で車輪40の操舵角を制御するように指示する(ステップS105)。
【0040】
そして、制御部10は、報知手段70のランプなどを利用して、ブレーキの作動状況(ブレーキの作動の有無、作動中のブレーキの種類など)を運転者に報知する(ステップS106)。
【0041】
制御部10は、車両1が停止するまでの間は(ステップS107:NO)、ブレーキの種類の選択及び選択したブレーキの作動を継続する。
【0042】
その後、制御部10は、車両1が停止したことを検知すると(ステップS107:YES)、ブレーキの作動状況の報知を終了するとともに、ブレーキの作動を停止し(ステップS108)、処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係るブレーキシステムによれば、自車両を取り巻く状況に応じて最適なブレーキ制御を行うことが可能となる。
【0044】
B.変形例
上述した本実施形態では、後方車両の存在を前提に作動するブレーキの種類を選択したが、これに限る趣旨ではない。例えば、自車両が走行する路面状態などに応じて、作動するブレーキの種類を選択してもよい。
【0045】
変形例に係る第2センサ60は、路面状態に関する路面関連情報を検知する。第2センサ60は、例えば表面温度センサ、温湿度センサ、画像カメラなどによって構成されている。第2センサ60は、路面状態(例えば、路面の凹凸、乾燥、半湿、湿潤、シャーベット、積雪、圧雪、凍結、湿度、気温、路面温度など)をあらわす路面関連情報を検知すると、制御部10に送信する。
【0046】
制御部10は、第1センサ50から取得されるブレーキ操作情報、第2センサ60から取得される路面関連情報に基づき、通常ブレーキを作動するか、効率ブレーキを作動するかを選択する。
【0047】
例えば、制御部10は、路面温度が0度以下であって路面が凍結などしている場合には、制動距離を可能な限り短くするために、効率ブレーキを選択する一方、路面が乾燥している場合には、通常ブレーキを選択する。これにより、路面状態などに応じて安全かつ最適なブレーキ制御を行うことが可能となる。
【0048】
なお、第2センサ60は、路面状態に加えて、タイヤの摩耗状態(摩耗量など)を検知してもよい。この場合、制御部10は、路面状態だけでなく、タイヤの摩耗状態を考慮に入れて最適なブレーキを選択することができる。もちろん、これに限らず、第2センサ60によって検出される自車両の周囲環境に関わる様々な情報を利用して最適なブレーキを選択してもよい。
【0049】
C.その他
本発明は、前述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。したがって、上記実施形態及び変形例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、前述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【0050】
また、操舵角の制御に関して、制御部10は操舵手段20を用いて、前輪40Aを「ハ」の字、後輪40Bを逆「ハ」の字となるように操舵角を設定してもよい。また、制御部10は操舵手段20を用いて、前輪40Aを逆「ハ」の字、後輪40Bを「ハ」の字となるように操舵角を設定してもよい。
【0051】
制御部10は、一対の車輪40A又は40Bのうち、車両1の進行方向と右側の車輪40Ar又は40Brの操舵角との間の角度と、車両1の進行方向と左側の車輪40Al又は40Blの操舵角との間の角度とが、略同一となるように操舵手段20を制御してよい。すなわち、車両1の進行方向と車輪40Ar又は40Brの回転面とによって形成される角度と、車両1の進行方向と車輪40Al又は40Blの回転面とによって形成される角度とが、略同一となるように操舵手段20を制御してよい。これにより、左右の車輪に働く摩擦力が略同一となり、減速時の操舵が安定することが期待できる。
【0052】
また、制御部10は、車両1の速度及び/又は加速度に応じて、車輪40それぞれの操舵角を設定してもよい。例えば、制御部10は、第2センサ60が検知した情報に基づいて速度及び/又は加速度を取得する。そして、車両1の速度及び/又は加速度に適した操舵角を導出し、導出された操舵角になるよう操舵手段20を制御する。このとき、メモリ14に記憶された、速度及び/又は加速度と車輪40それぞれの操舵角とのパターンデータを用いて、操舵角を導出してよい。これにより、車両1の速度及び/又は加速度に応じて、効率良く減速することが可能となる。
【0053】
また、制御部10は、車両1の速度が小さいほど、車両1の進行方向に対して一対の車輪40A又は40Bそれぞれの操舵角が大きくなるように操舵手段20を制御してよい。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
10 制御部
12 プロセッサ
14 メモリ
20 操舵手段
30 ブレーキ手段
40 車輪
50 第1センサ
60 第2センサ
70 報知手段