(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066381
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】フェンス及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E04H 17/14 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
E04H17/14 102Z
E04H17/14 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211428
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2022175608
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391057269
【氏名又は名称】馬場 條
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 條
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142AA03
2E142AA10
2E142DD10
2E142DD23
2E142DD28
2E142HH01
2E142HH12
2E142HH21
2E142JJ06
2E142NN01
(57)【要約】
【課題】 フェンスに係わる施工全体のコストダウンを図るとともに、目隠し効果,防風効果及び遮光効果を含む各種機能に係わる十分な効果を確保し、更に多様性を高める。
【解決手段】 所定間隔おきに配列させた複数の支柱2…,及び所定の幅Lw及び長さLeを有し、かつ所定の弾性を有する複数のプレート材3…を使用することにより、支柱2…の長手方向DhのN段目(Nは正の整数)に、プレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…に交互に係合させるとともに、支柱2…の長手方向DhのN+1段目に、プレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…であって、N段目のプレート材3…に対して左右位置を反転させることにより交互に係合させてなるフェンスユニットUfを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面の上方に設置して所定の空間を仕切るフェンスにおいて、所定間隔おきに配列させた複数の支柱,及び所定の幅及び長さを有し、かつ所定の弾性を有する複数のプレート材を使用することにより、前記支柱の長手方向のN段目(Nは正の整数)に、前記プレート材を、前記支柱の配列方向における当該支柱の右側の周面と左側の周面に交互に係合させるとともに、前記支柱の長手方向のN+1段目に、前記プレート材を、前記の支柱の配列方向における当該支柱の右側の周面と左側の周面であって、前記N段目の前記プレート材に対して左右位置を反転させることにより交互に係合させてなるフェンスユニットを備えることを特徴とするフェンス。
【請求項2】
前記支柱の下端には、地面に設置した基礎部への取付部を備えることを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項3】
前記支柱の配列方向は、直線方向及び/又は曲線方向を含むことを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項4】
前記プレート材は、金属素材又はプラスチック素材により形成することを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項5】
前記プレート材は、上下の相隣る一対の当該プレート材における交差部位の少なくとも一方に、当該一対のプレート材の一部が上下方向に係合してオーバーラップ部を構成する切欠凹部を設けることを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項6】
前記切欠凹部は、角形状又は円弧形状に形成することを特徴とする請求項5記載のフェンス。
【請求項7】
地面の上方に設置して所定の空間を仕切るフェンスの施工方法において、所定間隔おきに複数の支柱を設置した後、前記支柱の長手方向のN段目(Nは正の整数)に、所定の幅及び長さを有し、かつ所定の弾性を有するプレート材を、前記支柱の配列方向における当該支柱の右側の周面と左側の周面に交互に係合させることにより、複数段にわたって組付けるとともに、前記支柱の長手方向のN+1段目に、前記プレート材を、前記支柱の配列方向における当該支柱の右側の周面と左側の周面であって、前記N段目の前記プレート材に対して左右位置を反転させることにより交互に係合させ、かつ複数段にわたって組付けたフェンスユニットを施工することを特徴とするフェンスの施工方法。
【請求項8】
前記支柱の下端に設けた取付部は、地面から所定長さに突出した基礎部の上端面に設置して固定することを特徴とする請求項7記載のフェンスの施工方法。
【請求項9】
前記プレート材の面と前記支柱の外周面が接する部位は、少なくとも一つのネジにより固定することを特徴とする請求項7記載のフェンスの施工方法。
【請求項10】
前記フェンスユニットにおける前記複数のプレート材の端部は、断面コの字形の端部カバーにより覆うことを特徴とする請求項7記載のフェンスの施工方法。
【請求項11】
上下の相隣る一対の前記プレート材の交差部位における少なくとも一方に、当該一対のプレート材の一部が上下方向に係合してオーバーラップ部を構成する切欠凹部を形成することを特徴とする請求項7記載のフェンスの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等を建造した土地(地面)の上方に設置して所定の空間を仕切る際に用いて好適なフェンス及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パネル材やネット材を利用することにより、土地(地面)の上方に設置して所定の空間を仕切るフェンスは広く知られている。一方、パネル材を使用したフェンスであって、デザイン性や機能性を考慮したフェンスも知られている。
【0003】
従来、この種のフェンスとしては、特許文献1に記載されるフェンス及び特許文献2に記載される孔あきフェンスが知られている。同文献1に記載されるフェンスは、目隠し、採光、通気機能のうち少なくとも二つを備えることに加え、組立作業の自動化率を向上し、組立が容易なフェンスの提供を目的とするものであり、具体的には、左右の支柱間にパネルを架設するとともに、パネルは、前後方向の開口部を上下左右に並列した平板状の格子枠と、前後に振幅する波状の遮蔽板と、を備え、左右に並列した開口部の異なる高さ位置に遮蔽板をそれぞれ配置すると共に、格子枠に対して遮蔽板の腹部を横方向に沿って前後に交互に突出する状態に設け、遮蔽板の節部を格子枠の縦桟に連結したものである。
【0004】
また、同文献2に記載される孔あきフェンスは、目かくし機能、防風防砂機能に優れた孔あきフェンスの提供を目的としたものであり、具体的には、フェンスパネルにスリット状の孔を列状に形成し、該列と列の間に孔なし部を設け、該孔なし部が頂部と成るようにフェンスパネルを波形状に折り曲げ、孔はフェンス面に対して所定の角度を有し、通風もフェンス面に対して斜めになるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-030833号公報
【特許文献2】特開2002-089086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のフェンスは、次のような問題点があった。
【0007】
第一に、パネル材は少なくとも通気性やデザイン性を確保するため、例えば、孔開け加工や折曲加工などにより、予めフェンス用に加工処理する必要があり、パネル材自体のコスト上昇を招く傾向がある。しかも、組付けのための部品点数が多くなる傾向があるなど、フェンスに係る部品コスト及び施工コストの上昇に伴うフェンス施工に係わる全体のコストアップを招く。
【0008】
第二に、この種のフェンスは、住宅等を囲むように設置するため、基本的な仕切効果のみならず、目隠し効果,強度を確保した防風効果,及び遮光効果等の各種の機能が要求されるが、これらの各機能はそれぞれ相反する関係、例えば、目隠し効果を高めれば、防風効果が低下するなど、相反する関係を有しているため、総合的な効果を高めるには限界があった。
【0009】
第三に、パネル材のサイズ(縦サイズ,横サイズ)やデザイン及び色等は、メーカーサイドで決められた複数種類に限られていたため、ユーザーが希望するデザインに対して柔軟に対応することが容易でない。仮に、希望するデザインを実現するには、特注せざるを得ないなど、変更や個性化が容易でない。
【0010】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したフェンス及びその施工方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るフェンス1は、上述した課題を解決するため、地面Gの上方に設置して所定の空間を仕切るフェンスを構成するに際して、所定間隔おきに配列させた複数の支柱2…,及び所定の幅Lw及び長さLeを有し、かつ所定の弾性を有する複数のプレート材3…を使用することにより、支柱2…の長手方向DhのN段目(Nは正の整数)に、プレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…に交互に係合させるとともに、支柱2…の長手方向DhのN+1段目に、プレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…であって、N段目のプレート材3…に対して左右位置を反転させることにより交互に係合させてなるフェンスユニットUfを備えることを特徴とする。
【0012】
この場合、発明の好適な態様により、支柱2…の下端には、地面Gに設置した基礎部Bgへの取付部2cを設けることができる。また、支柱2…の配列方向Ddには、直線方向及び/又は曲線方向を含ませることができる。なお、プレート材3…は、金属素材又はプラスチック素材により形成することが望ましい。他方、プレート材3…は、上下の相隣る一対の当該プレート材3…における交差部位Xpの少なくとも一方に、当該一対のプレート材3…の一部が上下方向に係合してオーバーラップ部Roを構成する切欠凹部Csを設けることができ、この切欠凹部Csは、角形状(Cse)又は円弧形状(Cs)に形成することができる。
【0013】
一方、本発明に係るフェンスの施工方法は、上述した課題を解決するため、地面Gの上方に設置して所定の空間を仕切るフェンス1を施工するに際し、所定間隔おきに複数の支柱2…を設置した後、支柱2…の長手方向DhのN段目(Nは正の整数)に、所定の幅Lw及び長さLeを有し、かつ所定の弾性を有するプレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…に交互に係合させることにより、複数段にわたって組付けるとともに、支柱2…の長手方向DhのN+1段目に、プレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…であって、N段目のプレート材3…に対して左右位置を反転させることにより交互に係合させ、かつ複数段にわたって組付けたフェンスユニットUfを施工することを特徴とする。
【0014】
この場合、発明の好適な態様により、支柱2…の下端に設けた取付部2cを、地面Gから所定長さに突出した基礎部Bgの上端面に設置して固定することができる。また、プレート材3…の板面3rと支柱2…の外周面(2p…,2q…)が接する部位は、少なくとも一つのネジ5…により固定することができる。なお、フェンスユニットUfにおける複数のプレート材3…の端部3s…は、断面コの字形の端部カバー6により覆うことが望ましい。他方、上下の相隣る一対の当該プレート材3…には、交差部位Xpの少なくとも一方に、当該一対のプレート材3…の一部が上下方向に係合してオーバーラップ部Roを構成する切欠凹部Cs,Cseを設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明に係るフェンス1及びその施工方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0016】
(1) 所定間隔おきに配列させた複数の支柱2…,及び所定の幅Lw及び長さLeを有し、かつ所定の弾性を有する複数のプレート材3…を組付けて構成できるなど、単純な形状を有する素材の組合わせにより実施できる。したがって、従来のようなパネル材に対する折曲加工や孔開け加工等のフェンスを製作する際の予め行う加工処理が不要となり、部品コストを抑制できるとともに、上下方向の通気性の確保により風等に対する支持強度を低く設定できるため、支柱2…の部品コストの抑制にも寄与できる。しかも、組付けのための部品点数も抑制できるなど、フェンスに係る部品コスト及び施工コストの双方を含む全体のコストダウンを図ることができる。
【0017】
(2) 基本的な仕切効果に加え、相反する関係にもある目隠し効果,防風効果,及び遮光効果を含む各種機能に係わる十分な効果を確保できるなど、総合的な機能に係わる効果を高めることができる。しかも、複数の支柱2…及び複数のプレート材3…の組合わせにより構築できるため、メーカーサイドで設定された規定サイズに左右されることなく、サイズ(縦サイズ,横サイズ)やデザイン等において、ユーザーが希望するデザインに柔軟に対応することができるなど、多様性及び応用性を高めることができる。特に、各プレート材3…の上下左右に隙間が形成されるため、フック付のプランタ等を吊り下げることにより、花や緑による装飾性,多様性及び発展性を飛躍的に高めることができる。
【0018】
(3) 好適な態様により、支柱2…の下端に、地面Gに設置した基礎部Bgへの取付部2cを設ければ、取付部2cを、基礎部Bgの上端面に設置して固定できるため、一般的な従来のフェンスと同様に容易に施工することができる。
【0019】
(4) 好適な態様により、フェンス1の構成及び施工に際し、支柱2…の配列方向Ddには、直線方向及び/又は曲線方向を含めることができるため、様々な形状の設置場所に柔軟に対応することができるなど、汎用性及び適用性に優れる。
【0020】
(5) 好適な態様により、フェンス1を構成するに際し、プレート材3…を、金属素材又はプラスチック素材により形成すれば、アルミニウム等の広く普及している汎用素材を利用できるとともに、既存の他の用途に係わるプレート部材も転用できるため、低コストに設置できる。
【0021】
(6) 好適な態様により、フェンス1の構成及び施工に際し、プレート材3…の板面3rと支柱2…の外周面(2p…,2q…)が接する部位を、少なくとも一つのネジ5…により固定すれば、最小限となる部品の使用及び施工により実施できるため、施工の容易性及び更なる低コスト性に寄与できる。
【0022】
(7) 好適な態様により、フェンスユニットUfにおける複数のプレート材3…の端部3s…を、断面コの字形の端部カバー6により覆うようにすれば、フェンスユニットUfの端部3s…を容易に覆い隠すことができるため、フェンスユニットUfの安全性及び外観性を高めることができる。
【0023】
(8) 好適な態様により、上下の相隣る一対の当該プレート材3…における交差部位Xpの少なくとも一方に、当該一対のプレート材3…の一部が上下方向に係合してオーバーラップ部Roを構成する切欠凹部Cs,Cseを設ければ、プレート材3…の支柱2…間における中間位置が表裏方向に規制されるため、表裏方向の強度を高めることができるとともに、オーバーラップ部Roが構成されることにより、目隠し効果,防風効果,及び遮光効果を、より高めることができる。しかも、切欠凹部Cs,Cseは、施工時に、工具等により容易に形成することができる。
【0024】
(9) 好適な態様により、切欠凹部Csを形成するに際し、角形状(Cse)又は円弧形状(Cs)等の様々な形状に形成できるとともに、特に、半円等の円弧形状(Cs)に形成すれば、係止部位の中心位置に固定できるなど、安定性をより高めることができる。一方、矩形(角形状Cse)に形成すれば、係止部位の横方向における位置ズレ等を容易に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の好適実施形態に係るフェンスの施工方法により設置したフェンスの外観正面図、
【
図3】同フェンスの施工方法に使用する部品の一部破断の外観斜視図、
【
図4】同フェンスの施工方法を説明する第一の施工工程図、
【
図5】同フェンスの施工方法を説明する第二の施工工程図、
【
図6】同フェンスの施工方法を説明する第三の施工工程図、
【
図7】同フェンスの施工方法を説明する第四の施工工程図、
【
図9】同フェンスの上部カバーを含む
図3中A-A線断面図、
【
図10】同フェンスの端部カバーを含むフェンスの断面平面図、
【
図12】同フェンスにおけるフェンスユニットの外観正面図、
【
図15】同フェンスの変更例の要部を明示する斜視図、
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0027】
まず、本実施形態に係るフェンス1の構成について、
図1-
図3を参照して具体的に説明する。
【0028】
最初に、同フェンス1に使用する主要な構成部品について、
図3(a)-(c)を参照して説明する。
【0029】
図3(a)は、支柱2を示す。支柱2は、断面形状(周面形状)が円形となる棒状部材を所定の長さに切断して用いることができる。
【0030】
切断する長さは、施工するフェンス1の高さに対応する本体の部分と、
図1に示す地面Gに設置した基礎部Bgへの取付部2cの部分を加算した長さを選定する。このように、支柱2…の下端に、地面Gに設置した基礎部Bgへの取付部2cを設ければ、取付部2cを、基礎部Bgの上端面に固定できるため、一般的な従来のフェンスと同様に容易に施工することができる。
【0031】
また、支柱2の外径としては、切断する長さ(使用する長さ)や後述するプレート材3…の使用枚数等に対応して任意の外径を選定することができる。なお、使用する棒状部材は、パイプ部材のような円筒状であってもよいし、内部に空間を有しない丸棒状であってもよい。支柱2の形成素材には、耐久性及び機械的強度の観点からアルミニウム素材,スチール素材,ステンレス素材等の金属素材が望ましいが、木質素材やプラスチック素材、更に複合素材等各種同効素材の使用を排除するものではない。
【0032】
図3(b)は、プレート材3を示す。プレート材3は、所定の幅Lw及び長さLeを有し、かつ所定の弾性を有する素材により形成する。この場合、プレート材3は、厚みを選定することにより弾性度合を決定できるため、所定の弾性は、素材自身を特定するものではない。したがって、プレート材3は、予め工場等で所定の長さに切断したものを準備してもよいし、現場における施工時に、現場の状況に合わせて現場で切断してもよい。
【0033】
このようなプレート材3は、以上の条件を満たせば足りるため、単純な帯状部材を切断することにより形成可能である。なお、プレート材3の表面は、平坦な無模様に形成してもよいし、必要により、ライン模様や図形模様などの各種模様を施してもよい。さらに、地肌のままでもよいし、必要な着色等を施してもよい。
【0034】
プレート材3の形成素材には、金属素材又はプラスチック素材を用いることができる。このように、プレート材3を、金属素材又はプラスチック素材により形成すれば、アルミニウム等の広く普及している汎用素材を利用できるとともに、既存の他の用途に係わるプレート部材も転用できるため、低コストに設置できる。なお、形成素材は、金属素材又はプラスチック素材に限定するものではなく、木質部材等の他の形成素材を排除するものではない。
【0035】
図3(c)は、後述する端部カバー6及び上部カバー11に使用するカバー材Cmを示す。カバー材Cmは、断面をコの字形(チャンネル形)に形成するとともに、カバー材Cmを、使用個所に適合する所定の長さに切断することにより、端部カバー6又は上部カバー11として用いる。即ち、
図1に示すように、施工したフェンスユニットUfにおける複数のプレート材3…の端部3s…を覆う端部カバー6と、同フェンスユニットUfにおける上端3uを覆う上部カバー11となる。
【0036】
特に、フェンスユニットUfにおける複数のプレート材3…の端部3s…を、断面コの字形の端部カバー6により覆うようにすれば、フェンスユニットUfの端部3s…を容易に覆い隠すことができるため、フェンスユニットUfの安全性及び外観性を高めることができる。
【0037】
カバー材Cmは、このような用途に使用するため、形成素材には、プレート材3と同一の素材、即ち、金属素材又はプラスチック素材を用いることができるとともに、上述したプレート材3自身を折曲加工して使用することもできる。もちろん、プレート材3とは異なる木質部材等の他の形成素材を使用してもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係るフェンス1の施工方法について、
図4-
図13を参照して具体的に説明する。
【0039】
まず、
図4に示すように、所定間隔おきに複数の支柱2…を設置する。
図4中、Gは地面を示すとともに、Bgは地面G上に起立して設置したコンクリート等の基礎部を示す。例示の場合、この基礎部の上端面に、支柱2…に設けた取付部2cを埋設し、上方へ突出する複数の支柱2…を一定間隔置きに設置する。このように、取付部2cを、基礎部Bgの上端面に設置して固定できるため、一般的な従来のフェンスと同様に容易に施工することができる。
【0040】
この場合、基礎部Bgは、地面Gの仕切形状に沿って設けるため、支柱2…の配列方向Ddは、直線方向であってもよいし曲線方向であってもよい。また、これにの複合形状であってもよい。即ち、地面Gの仕切形状に左右されることなく、各種形状に沿って設置することができる。このように、支柱2…の配列方向Ddには、直線方向及び/又は曲線方向を含めることができるため、様々な形状の設置場所に柔軟に対応することができるなど、汎用性及び適用性に優れる。
【0041】
次いで、
図5に示すように、複数のプレート材3…を用意し、最初に、支柱2…の長手方向Dhの1段目(N段目)に一枚のプレート材3を組付ける。この場合、プレート材3は、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…に交互に係合させる(
図8及び
図9参照)。更に、
図5に示すように、二段目(N+1段目)のプレート材3を組付ける。この場合、プレート材3は、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…であって、1段目(N段目)のプレート材3に対して左右位置を反転させることにより交互に係合させる。この状態を
図8及び
図9に示す。
【0042】
また、プレート材3の板面3rと支柱2の外周面2p,2qが接する部位は、少なくとも一つのネジ5により固定することができる。
図9は、プレート材3の板面3rと支柱2の外周面2pを一本のネジ5により固定した状態を示す。この場合、基本的に、プレート材3の板面3rと支柱2の外周面2p,2qが接する部位は、圧接により係合しているため、全ての接する部位をネジ5…により固定する必要はない。即ち、支柱2…に対して一本置き、二本置き…など、所定間隔置きに固定することも可能である。また、
図13に示すように、二つのネジ5,5により固定することも可能である。
【0043】
このように、プレート材3の板面3rと支柱2の外周面2p,2qを、少なくとも一つのネジ5により固定するようにすれば、最小限となる部品の使用及び施工により実施できるため、施工の容易性及び更なる低コスト性に寄与できる。
【0044】
この後、同様に、3段目(N段目),4段目(N+1段目),5段目(N段目)…の順にプレート材3…を順次組付ける。これにより、
図6に示すように、複数段にわたってプレート材3…を組付けたフェンスユニットUfを施工することができる。
図6に例示のフェンスユニットUfは、7段の場合を示す。
【0045】
フェンスユニットUfの施工が終了したなら、
図7に示すように、フェンスユニットUfにおける上端に位置するプレート材3の上部3uを、断面コの字形の上部カバー11により覆う。
図9は、プレート材3の上部3uを上部カバー11により覆うとともに、左右に配した一対のネジ5,5により左右のプレート材3…の端部3s…及び支柱2に対して固定した状態を示す。
【0046】
また、
図7に示すように、フェンスユニットUfにおける複数のプレート材3…の端部3s…を、断面コの字形の端部カバー6により覆う。
図10は、複数のプレート材3…の端部3s…を端部カバー6により覆うとともに、先端(又は末端)に位置する支柱2に対して左右のプレート材3…の端部3s…を左右に配した一対のネジ5,5により固定した状態を示す。このような端部カバー6を設ければ、フェンスユニットUfの端部3s…を容易に覆い隠すことができるため、フェンスユニットUfの安全性及び外観性を高めることができる。
【0047】
これにより、
図1に示すフェンス1、即ち、地面Gの上方に設置して所定の空間を仕切るとともに、フェンスユニットUfに対して、端部カバー6及び上部カバー11を組付けたフェンス1を施工することができる。
【0048】
図11は、フェンス1の機能(作用)を示す。フェンス1は、
図1に示すように、基本的な仕切効果に加え、
図11に示すように、目隠し効果,防風効果,及び遮光効果を含む各種機能に係る十分な効果を確保できる。
【0049】
即ち、フェンス1に対して離れた場所から眺めた場合、プレート材3…間における上下間の隙間は存在しないため、点線矢印で示す視線Feは、全てのプレート材3…に遮られる。また、フェンス1に近づいた状態であってもN段目のプレート材3とN+1段目のプレート材3間における隙間を通して視線Fesは通過するが、斜め下方又は斜め上方への視線Fesとなるため、フェンス1から離れた場所にある住宅等を見ることはできない。したがって、十分な目隠し効果を確保できる。
【0050】
また、フェンス1に対して強風が吹き付けたとしても、N段目のプレート材3とN+1段目のプレート材3間における隙間を通して、実線矢印で示すように、送風Fwが通過するため、フェンス1が全面的に風圧を受けることはない。したがって、十分な防風効果を確保できる。
【0051】
さらに、プレート材3…は、通常、透明性のない素材で形成されるため、目隠し効果と同様に、十分な遮光効果を確保できる。なお、N段目のプレート材3とN+1段目のプレート材3間における隙間を通して、一部の日差しが入り込むが、むしろ木漏れ日効果としての作用を呈するため、湿気の発生等を防止する効果も期待できる。
【0052】
次に、本実施形態に係るフェンス1の変更例について、
図12及び
図13を参照して説明する。
【0053】
図12及び
図13は、フェンスユニットUfを工場内で製造、即ち、一体化したユニットとして生産し、施工する現場で組付可能にした例を示す。
【0054】
例示のフェンス1は、
図12に示すように、6枚のプレート材3…と4本の支柱2…を組合わせてフェンスユニットUfとしたものである。なお、プレート材3…と支柱2…間は、ネジ5…により固定される。
【0055】
そして、施工時には、工場から出荷したフェンスユニットUfを現場へ搬送し、
図4に示した基礎部Bgの上端面に設けた孔部に、フェンスユニットUfにおける支柱2…の各取付部2c…を埋設して固定する。また、各フェンスユニットUf…同士の連結は、
図13のように、任意のフェンスユニットUfの前端縁Uffにおける各プレート材3…を、他のフェンスユニットUfの後端縁Ufrにおける各プレート材3…に重ね合わせ、左右に配したネジ5…を利用して支柱2…の周面に対して固定することができる。
図13は、一枚のプレート材3に対して上下二つのネジ5,5により固定した場合を示している。
【0056】
次に、本実施形態に係るフェンス1及び施工方法に係る変更例及び使用例について、
図14-
図17を参照して説明する。
【0057】
図14及び
図15に示す変更例は、上下の相隣る一対の当該プレート材3…における交差部位Xpの少なくとも一方に、当該一対のプレート材3…の一部が上下方向に係合してオーバーラップ部Roを構成する切欠凹部Csを設けた。具体的には、
図14及び
図15に示すように、上側に位置するプレート材3の下辺部3dtであって、隣接する支柱2と2間の中間位置に、切欠凹部Csを形成し、この切欠凹部Csに、下側に位置するプレート材3の上辺部3utを収容した。これにより、プレート材3…の支柱2…間における中間位置が表裏方向に固定される。即ち、上側に位置するプレート材3は下側に位置するプレート材3により規制されるとともに、この上側に位置するプレート材3は、更にその上のプレート材3を規制するため、この形態により施工した場合には、一番下に位置のプレート材3を除き、全体のプレート材3…が規制されることになる。このように施工すれば、表裏方向の強度を高めることができる。しかも、オーバーラップ部Roが構成されることにより、目隠し効果,防風効果,及び遮光効果を、より高めることができるとともに、切欠凹部Csは、施工時に、工具等により容易に形成することができる。
【0058】
なお、切欠凹部Csを形成するに際し、半円等の円弧形状に形成すれば、係止部位の中心位置に規制されるため、安定性及び施工性をより高めることができるとともに、
図14の仮想線Cseに示すような矩形(角形状Cse)に形成すれば、係止部位の横方向における位置ズレ等を容易に吸収できるなど、切欠凹部Csの形状は任意に形成することができる。
【0059】
また、
図16及び
図17は使用例を示す。本実施形態に係るフェンス1は、上下及び左右の多数の位置に、
図16及び
図17に示す、配列された
図16及び
図17に示す隙間S…が形成されるため、
図17に示すように、フック20f…が付いたプランタ20をプレート材3…の上辺部3utに掛けることができる。これにより、フェンス1の外面や内面を、花等の各種植物類により自由に装飾することができる。
図17中、20は、左右に二つのフック20f,20fを設けた比較的広幅のプランタを示すとともに、20eは、一つのフック20fを設けた比較的小型のプランタを示す。
【0060】
よって、このような本実施形態に係るフェンス1及びその施工方法によれば、基本的な構成(手法)として、所定間隔おきに複数の支柱2…を設置した後、支柱2…の長手方向DhのN段目(Nは正の整数)に、所定の幅Lw及び長さLeを有し、かつ所定の弾性を有するプレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…に交互に係合させることにより、複数段にわたって組付けるとともに、支柱2…の長手方向DhのN+1段目に、プレート材3…を、支柱2…の配列方向Ddにおける当該支柱2…の右側の周面2p…と左側の周面2q…であって、N段目のプレート材3…に対して左右位置を反転させることにより交互に係合させ、かつ複数段にわたって組付けたフェンスユニットUfを施工するようにしたため、所定間隔おきに配列させた複数の支柱2…,及び所定の幅Lw及び長さLeを有し、かつ所定の弾性を有する複数のプレート材3…を組付けて構成できるなど、単純な形状を有する素材の組合わせにより実施できる。したがって、従来のようなパネル材に対する折曲加工や孔開け加工等のフェンスを製作する際の予め行う加工処理が不要となり、部品コストを抑制できるとともに、上下方向の通気性の確保により風等に対する支持強度を低く設定できるため、支柱2…の部品コストの抑制にも寄与できる。しかも、組付けのための部品点数も抑制できるなど、フェンスに係る部品コスト及び施工コストの双方を含む全体のコストダウンを図ることができる。
【0061】
また、基本的な仕切効果に加え、相反する関係にもある目隠し効果,防風効果,及び遮光効果を含む各種機能に係わる十分な効果を確保できるなど、総合的な機能に係わる効果を高めることができる。しかも、複数の支柱2…及び複数のプレート材3…の組合わせにより構築できるため、メーカーサイドで設定された規定サイズに左右されることなく、サイズ(縦サイズ,横サイズ)やデザイン等において、ユーザーが希望するデザインに柔軟に対応することができるなど、多様性及び応用性を高めることができる。特に、各プレート材3…の上下左右に隙間が形成されるため、フック付のプランタ等を吊り下げることにより、花や緑による装飾性,多様性及び発展性を飛躍的に高めることができる。
【0062】
以上、変更例を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0063】
例えば、支柱2…の取付部2c…は、地面Gに設置した基礎部Bgの上端に固定する例を示したが、この取付部2c…は、地面Gに直接設置するようにしてもよく、基礎部Bgの有無は問わない。なお、支柱2…の配列方向Ddには、直線方向のみの場合,曲線方向のみの場合,直線方向及び曲線方向が混在する場合のいずれも含まれる。また、プレート材3…の板面3rと支柱2…の外周面(2p…,2q…)が接する部位は、少なくとも一つのネジ5…により固定することができるが、ネジ5…は必要な個所のみに部分的に用いることができ、必要がないと判断した個所には設けることを要しない。さらに、フェンスユニットUfにおける複数のプレート材3…の端部3s…は、断面コの字形の端部カバー6により覆うことが望ましいが、必ずしも設けることを要しないとともに、断面L字形に形成するなど、断面形状は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係るフェンス及びその施工方法は、住宅等を建造した土地(地面)の上方に設置して所定の空間を仕切る際に利用できる。
【符号の説明】
【0065】
1:フェンス,2…:支柱,2c:取付部,2p:支柱の内側又は外側の周面(外周面),2q:支柱の外側又は内側の周面(外周面),3…:プレート材,3r:プレート材の板面,3s:プレート材の端部,5…:ネジ,6:端部カバー,G:地面,Lw:所定の幅,Le:所定の長さ,Dh:支柱の長手方向,Dd:支柱の配列方向,Uf:フェンスユニット,Bg:基礎部,Cs:切欠部,Cse:切欠部