(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066402
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】美容装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A61N5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068331
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022175244
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 隆秀
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PC10
4C082PE02
4C082PE03
4C082PE09
4C082PG17
4C082PJ21
4C082PJ26
(57)【要約】
【課題】装置内部の除熱対象を適切に空冷する。
【解決手段】光照射型美容装置1は、光をユーザの肌へと照射する照射部20と、照射部20と接続される装置本体10と、を有し、装置本体10は、当該装置本体10の内部空間を形成する筐体11を備え、筐体11は、一方側の表面から他方側の表面までつながる空洞部12を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光又は電磁波をユーザの肌へと照射する照射部と、
前記照射部と接続される装置本体と、を有し、
前記装置本体は、当該装置本体の内部空間を形成する筐体を備え、
前記筐体は、一方側の表面から他方側の表面までつながる空洞部を有する、美容装置。
【請求項2】
前記内部空間に、冷却手段が配置されている、請求項1に記載の美容装置。
【請求項3】
前記空洞部を形成する前記筐体の表面に一端が開口するとともに他端が前記内部空間に連通する通風口が形成されている、請求項1に記載の美容装置。
【請求項4】
前記照射部が、前記光又は前記電磁波が通過する出射開口を備え、
前記出射開口に、前記内部空間と連通する通風口が設けられている、請求項1に記載の美容装置。
【請求項5】
前記光又は前記電磁波が通過する照射開口と、
回転可能に設けられて前記ユーザの肌に接するローラと、を有し、
前記ローラが、前記照射開口の側方の、当該ローラの回転軸の軸方向と直交する方向における一方に設けられている、請求項1に記載の美容装置。
【請求項6】
光又は電磁波が通過する照射開口と、
回転可能に設けられてユーザの肌に接するローラと、
前記ユーザの肌の状態を検知する検知手段と、を有し、
前記ローラが、前記照射開口の側方の、当該ローラの回転軸の軸方向と直交する方向における一方に設けられ、
前記検知手段が、前記ローラの前記回転軸の軸方向と直交する方向において、前記照射開口と前記ローラとの間に配置されている、美容装置。
【請求項7】
光又は電磁波が通過する照射開口と、
回転可能に設けられてユーザの肌に接するローラと、
前記ユーザの肌の状態を検知する検知手段と、を有し、
前記ローラが、当該ローラの回転軸の軸方向において相互に離間する右ローラ部と左ローラ部とを有し、
前記検知手段が、前記ローラの前記回転軸の軸方向において、前記右ローラ部と前記左ローラ部との間に配置されている、美容装置。
【請求項8】
光又は電磁波が通過する照射開口と、
回転可能に設けられてユーザの肌に接する第1ローラ及び第2ローラと、
前記ユーザの肌の状態を検知する検知手段と、を有し、
前記照射開口及び前記検知手段が、前記第1ローラと前記第2ローラとの間に配置されている、美容装置。
【請求項9】
光又は電磁波をユーザの肌へと照射する照射部と、
前記照射部と接続される装置本体と、
回転可能に設けられて前記ユーザの肌に接するローラと、
前記光又は前記電磁波が通過する照射開口と、を有し、
前記ローラが、前記照射開口の側方の、当該ローラの回転軸の軸方向と直交する方向における一方に設けられ、
前記照射部及び前記装置本体の重心が、前記ローラの前記回転軸の軸方向と直交する方向において、前記照射開口と前記ローラの前記回転軸との間に位置する、美容装置。
【請求項10】
前記ユーザの肌を冷却する肌冷却手段を備える、請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の美容装置。
【請求項11】
前記光を照射するためのキセノン管、ハロゲンランプ、発光ダイオード、及びレーザ発生器のうちの少なくとも1つを有する、請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の美容装置。
【請求項12】
ユーザの肌に当接可能な複数の電極を備えるヘッド部と、
前記ヘッド部と接続される装置本体と、を有し、
前記装置本体は、当該装置本体の内部空間を形成する筐体を備え、
前記筐体は、一方側の表面から他方側の表面までつながる空洞部を有する、美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザの体毛を肌面上から目立たなくさせる処理(除毛処理)を行うため、肌に光を照射する光照射型美容装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この光照射型美容装置では、キセノンフラッシュランプの光により、体毛を部分的に焼いたり、毛根にダメージを与えたりすることができる。焼かれた体毛は、脆くなり肌面上から簡単に取り除くことができる。また、毛根にダメージを与えることで、体毛が再び生えるスピードを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キセノンフラッシュランプからの光を肌に照射して除毛処理を行う場合、キセノンフラッシュランプは発熱量が多いため、効率よく放熱、除熱、冷却する必要がある。これは、キセノンフラッシュランプに限られず、他の光源でも同様に生じうる課題である。
【0006】
そこで、本開示は、1つの側面では、装置内部の除熱対象を適切に空冷することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面では、光又は電磁波をユーザの肌へと照射する照射部と、前記照射部と接続される装置本体と、を有し、前記装置本体は、当該装置本体の内部空間を形成する筐体を備え、前記筐体は、一方側の表面から他方側の表面までつながる空洞部を有する、美容装置が開示される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、装置内部の除熱対象を適切に空冷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る光照射型美容装置の外観を示す一部分解斜視図である。
【
図2】
図1の光照射型美容装置の移動方向に沿う視線における一方側の表面を示す図である。
【
図3】
図1の光照射型美容装置の装置本体(筐体)の内部を示す図である。
【
図4】
図1の光照射型美容装置の幅方向に沿う視線における一方側の表面を示す図である。
【
図5】
図1の光照射型美容装置の長手方向に沿う視線における肌面側の構造を示す図である。
【
図6】
図1の光照射型美容装置の移動方向に沿う視線における外気の通り道を示す透視図である。
【
図7】
図1の光照射型美容装置の、
図6におけるVI-VI矢視に対応する断面図である。
【
図8】
図1の光照射型美容装置の、幅方向に沿う視線における外気の通り道を示す、
図6におけるVI-VI矢視に対応する一部拡大断面図である。
【
図9】
図1の光照射型美容装置の幅方向に沿う視線におけるヘッド部のローラの突出の構造を示す一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施の形態について詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示したものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、種々の変更を加えることができる。特に、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。既に公知の技術である部分は説明を省略している。
【0011】
本発明の説明では、各図中に示すように3次元直交座標系の各軸に沿って、移動方向、長手方向、及び幅方向を定義する。長手方向と幅方向とは同一平面内において相互に直交し、移動方向は長手方向及び幅方向と相互に直交する。
【0012】
(光照射型美容装置1)
図1乃至
図9は、本発明に係る美容装置の具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係る光照射型美容装置1の構成を示し説明する図である。
【0013】
図1に示すように、実施の形態に係る光照射型美容装置1は、装置本体10と照射部20とヘッド部30とを有する。光照射型美容装置1の使用時には、長手方向において、ヘッド部30の側がユーザの肌面側になる。
【0014】
光照射型美容装置1は、除毛処理を行うための装置である。光照射型美容装置1は、照射部20からユーザの体(例えば、顔、手、足など)に高輝度の光を照射して、体毛を焼いて除去したり毛根にダメージを与えたりして、体毛の成長や再生を抑制する。
【0015】
本発明に係る美容装置は、除毛処理に限らず、人の肌の種々の美容関連効果を有する処理を行うための装置として構成されてよい。美容関連効果は、任意であり、除毛のほか、美肌、たるみの解消や引き締め、脂肪燃焼、リフトアップ、小顔化、肌のハリやツヤ、潤いの向上、又はそのような類の1つ以上の任意の組合せを含んでよい。
【0016】
光照射型美容装置1の機能は、光照射型美容装置1内のコンピュータ(具体的には例えば、MCU:Microcontroller Unit)単独、又は、光照射型美容装置1内のコンピュータと、外部サーバ及び/又はユーザ端末との組合せで実現可能である。また、この場合、光照射型美容装置1の機能を実現するコンピュータ読み取りプログラムは、光照射型美容装置1内のコンピュータにより実行されてもよく、或いは、光照射型美容装置1内のコンピュータと、外部サーバ及び/又はユーザ端末との組合せにより実行されてもよい。
【0017】
光照射型美容装置1は、ユーザによって肌面上を動かされながら、照射部20から出射される光を連続的にユーザの肌に照射する。光の出射、照射は、ユーザの操作に応じて行われるようにしてもよく、或いは、光照射型美容装置1がユーザの肌面上を移動したことを検知して自動的に行われるようにしてもよい。
【0018】
(装置本体10)
装置本体10は、当該装置本体10の内部空間を形成する筐体11を備える。筐体11は、先端部11a、後端部11b、空洞部12、吸気口13、及び端子部14を有する。筐体11には操作部15が設けられ、また、筐体11内にファン16が配設される。
【0019】
装置本体10は、充電可能な二次電池を備えたり、この二次電池の電力や商用電源の電力などを照射部20へと入力するための電源ケーブルを備えたり、照射部20の光の照射タイミングを制御するための信号送受信用ケーブルを備えたりしてよい。
【0020】
筐体11は、光照射型美容装置1の使用時(具体的には、除毛処理時)にユーザによって持たれる。筐体11は、ユーザが片手で持ち易い程度の大きさ及び形状に形成され、具体的には、全体的に角部が丸められて形成されている。
【0021】
筐体11の先端部11aに、照射部20が接続(言い換えると、連接)している。図に示す例では照射部20が装置本体10に対して着脱不能に接続されているが、照射部20が装置本体10に対して着脱自在に接続(言い換えると、装着)されるようにしてもよい。照射部20が装置本体10に対して着脱自在に接続される場合は、先端部11aに、照射部20を保持するための保持機構が備えられる。
【0022】
筐体11の後端部11bに、端子部14が設けられる。端子部14は、光照射型美容装置1を商用電源と接続するために設けられる。商用電源により、光照射型美容装置1の種々の制御が行われたり、照射部20が光を照射したり、二次電池が充電されたりなどする。
【0023】
筐体11によって形成される、装置本体10の内部空間に、ファン16を少なくとも含む種々の機序が配置される。
【0024】
空洞部12は、移動方向に沿って、筐体11の一方側の表面から他方側の表面までつながるように、即ち、筐体11の全体を貫通する(別言すると、通り抜ける)ように形成される。なお、実施の形態に係る光照射型美容装置1は、筐体11内に従来はひとかたまりの構成として(別言すると、一体として)設けられていたコンデンサを2体に分割した構成(具体的には、2体に分割したうちの一方のコンデンサ17A及び他方のコンデンサ17B)として設けることにより、筐体11の幅方向における中央部において、移動方向に沿って、筐体11の一方側の表面から他方側の表面までつながるように、即ち、筐体11の全体を貫通する(通り抜ける)ように、空洞部12が形成されることを可能としている。なお、コンデンサの個数は2個には限定されない。筐体11に空洞部12が形成されることを可能とするようにコンデンサを分割して設けることが考慮されるなどしたうえで、コンデンサが3体以上設けられてもよい。
【0025】
空洞部12に、吸気口13が設けられる。吸気口13は、空洞部12を形成する(言い換えると、空洞部12の周面部分の)筐体11の表面に一端が開口するとともに他端が装置本体10の内部空間に連通する通風口として形成されている。
【0026】
吸気口13は、具体的には、筐体11の、空洞部12の周面を構成する壁に、空洞部12の移動方向における中央位置に、長手方向に沿うスリット状の開口として設けられる(
図7、
図8参照)。吸気口13は、また、幅方向において対向して2箇所に設けられる(
図3、
図6参照)。
【0027】
吸気口13が空洞部12内に設けられることにより、ユーザが筐体11を手で持った際に吸気口13が塞がれにくくなる。また、吸気口13が空洞部12内にスリット状の開口として、さらには対向して2箇所に設けられることにより、例えば筐体11の表面に小穴が設けられる場合と比べて外気(具体的には、空気)を多く吸気することができ、排熱、除熱に有用である空気を、光照射型美容装置1の使用時における姿勢やユーザの手による筐体11の持たれ方にかかわらず十分に吸気することができる。
【0028】
操作部15は、筐体11の表面に設けられ、具体的には、筐体11の移動方向における一方側の表面のうちの、長手方向において先端部11aと空洞部12との間に配設される。
【0029】
操作部15は、図に示す例では、スイッチを備える。スイッチは、例えば、ユーザが、光照射型美容装置1のメイン電源をON/OFFするためのメインスイッチ、光照射型美容装置1の光の照射をON/OFFするための光照射スイッチ、及び、光照射型美容装置1の動作モードを選択して切り替えるための動作モード切替スイッチである。
【0030】
光照射スイッチをユーザが操作することにより、ユーザは、手動で、好きなタイミグで照射部20から光を出射させることができる。
【0031】
動作モード切替スイッチをユーザが操作することにより、ユーザは、照射部20から出射される光の強さを変えたり、光照射スイッチの機能を使用しないようにしたり(この場合は、光照射型美容装置1がユーザの肌面上を移動したことを検知して自動的に照射部20から光が出射される)することができる。
【0032】
操作部15が、ディスプレイを備えるようにしてもよい。ディスプレイは、例えば、LED(Light Emitting Diode)や液晶画面を備えてよい。ディスプレイに、現在の光照射型美容装置1のモードが表示されるようにしてもよい。また、タッチ操作可能なディスプレイなどが備えられて、タッチ操作によって光照射型美容装置1が操作されるようにしてもよい。
【0033】
ファン16は、例えば、シロッコファンやターボファンである。ファン16は、空洞部12及び吸気口13を介して筐体11の内部空間(即ち、装置本体10の内部空間)に外気(具体的には、空気)を取り込むとともに、取り込んだ空気を除熱対象部へと至るように流動させる。吸気口13から筐体11の内部空間へと流入した空気は、ファン16を介して筐体11の内部空間を流れて除熱対象部を除熱、冷却(具体的には、空冷)し、照射部20の排熱口25から排出される(
図6、
図8中の矢印(符号Air)参照)。
【0034】
除熱対象部は、特に、照射部20の支持体22及びキセノン管23並びにその周囲の構造体である。
【0035】
(照射部20)
照射部20は、装置本体10(具体的には、筐体11の先端部11a)と相互に接続され、光をユーザの肌へと照射する。
【0036】
照射部20は、筒状体21、支持体22、キセノン管23、透過ガラス24、及び排熱口25を備える。筒状体21は、支持体22、キセノン管23、及び透過ガラス24を収容する。照射部20は、具体的にはキセノン管23の光をユーザの肌へと照射する。
【0037】
照射部20から出射される光の光源は、キセノン管に限定されるものではなく、例えば、ハロゲンランプ、発光ダイオード、又はレーザ発生器でもよい。照射部20から出射される光の光源は、また、単一種類に限定されるものではなく、キセノン管、ハロゲンランプ、発光ダイオード、及びレーザ発生器のうちの少なくとも2つの組合せでもよい。
【0038】
筒状体21は、装置本体10の筐体11の先端部11aから長手方向に沿って肌面側へと向かって延び、照射部20の内部の機序を囲う凡そ周壁状の構造として形成される。筒状体21の長手方向における肌面側の端面は、出射開口27として開口している。図に示す例では、出射開口27は、長手方向に沿う視線(即ち、筒状体21の長手方向における肌面側の端面の正面視)において略長方形状を有する。
【0039】
支持体22は、筒状体21の内部空間に、筒状体21に対して固定されて設けられる。支持体22は、長手方向において肌面側へと向けて開口する凹部221を有する。凹部221の肌面側の表面に反射膜(反射鏡)が備えられ、支持体22は、キセノン管23から放射された光を反射させて肌面側へと向かうように案内するための反射器としても機能する。
【0040】
キセノン管23(図に示す例では、2個)は、支持体22の凹部221内に固定されて配置される。キセノン管23から放射された光は、支持体22の反射器としての働きもあり、長手方向において肌面側へと向けて筒状体21から透過ガラス24及び出射開口27を通過して出射される。
【0041】
透過ガラス24は、支持体22の凹部221の開口を覆うように、支持体22の、長手方向における肌面側の端部に取り付けられる。透過ガラス24は、キセノン管23から放射される光に含まれる紫外線をカットする。透過ガラス24として、例えば、450nm以下の波長をカットするものが使用されてよい。
【0042】
透過ガラス24は、支持体22の凹部221内にユーザが指などを不用意に入れてしまう(延いては、ユーザがキセノン管23に不用意に触れてしまう)ことを防止する。
【0043】
支持体22は、幅方向において筒状体21との接合部を有して筒状体21に対して固定されて取り付けられる。一方で、(少なくとも)移動方向において、筒状体21と支持体22との間に空隙26が設けられ、そして、支持体22の肌面側の端部に取り付けられている透過ガラス24の縁辺と筒状体21の内周面との間隙が排熱口25として機能する。
【0044】
排熱口25は、すなわち、筐体11の内部空間(即ち、装置本体10の内部空間)及び筒状体21の内部空間(空隙26を含む)と連通する開口として、筒状体21の出射開口27に設けられる。
【0045】
装置本体10内のファン16が駆動することで空洞部12を介して吸気口13から筐体11の内部空間(即ち、装置本体10の内部空間)に外気(具体的には、空気)が取り込まれる。装置本体10の吸気口13から筐体11の内部空間へと流入した空気は、ファン16を介して、筐体11の内部空間を通過して照射部20の筒状体21と支持体22との間の空隙26を流れて支持体22及びキセノン管23並びにその周囲の構造体を除熱、冷却(具体的には、空冷)し、支持体22に取り付けられている透過ガラス24の縁辺と筒状体21の内周面との間の排熱口25から排出される(
図6、
図8中の矢印(符号Air)参照)。
【0046】
装置本体10の筐体11の長手方向における中央部あたりで外気(具体的には、空気)吸気することにより、照射部20の排熱口25へと向けて短い距離で空気の流れを生成することができ、無駄のない効率的で良好な排熱フローを実現することができる。
【0047】
なお、ファン16による外気(具体的には、空気)の流れの向きを逆にして、図に示す例における照射部20の排熱口25を吸気口とするとともに装置本体10の吸気口13を排熱口とするようにしてもよい。すなわち、装置本体10に、外気(空気)を取り込む又は排出する通風口が設けられ、また、照射部20に、外気(空気)を排出する又は取り込む通風口が設けられる。
【0048】
(ヘッド部30)
ヘッド部30は、照射部20に対して着脱自在に接続(言い換えると、装着)される。ヘッド部30と装置本体10及び照射部20とは、ヘッド部30と照射部20との間に介在するように設けられてヘッド部30が照射部20へと装着されるに伴って電気的に接続される端子(具体的には、照射部20側の雌端子28、及び、ヘッド部30側の雄端子36)を介して、電力の供給や信号の伝送などを行う。詳細な説明は省略するが、照射部20とヘッド部30との間に、照射部20に対してヘッド部30を保持するための保持機構が備えられている。
【0049】
照射部20とヘッド部30とが一体的に構成されて、一体として構成された照射部20及びヘッド部30が装置本体10に対して着脱自在に接続(言い換えると、装着)されるようにしてもよい。照射部20及びヘッド部30が装置本体10に対して着脱自在に接続される場合は、装置本体10の筐体11の先端部11aに、照射部20及びヘッド部30を保持するための保持機構が備えられる。
【0050】
光照射型美容装置1の使用の目的(言い換えると、ユーザの肌に施す美容関連効果の内容、種類)や体の部位に応じた複数種類のヘッド部が、着脱自在で交換可能なアタッチメントとして準備されるようにしてもよい。図に示す例では、照射部20のカバーのような構造を備えるヘッド部30を照射部20(及び装置本体10)に対して着脱自在とすることにより、照射部20のキセノン管23は装置本体10及び照射部20側にあり、アタッチメントとしてのヘッド部30を変更してもキセノン管23は共通して使用することができる。アタッチメントとしてのヘッド部30として、例えば、美容関連効果を施す体の部位に当て易くするために寸法が相互に異なる複数種類のヘッド部が準備されたり、美容関連効果の内容、種類や美容関連効果を施す体の部位に合わせてカットフィルタによって光の波長のうちカットされる波長(言い換えると、透過させる波長)が相互に異なる複数種類のヘッド部が準備されたりしてもよい。
【0051】
ヘッド部30は、肌対向端面31、照射開口32、メインローラ33(第1ローラ)、補助ローラ34(第2ローラ)、検知手段35を備える。
【0052】
肌対向端面31は、ヘッド部30の、長手方向における肌面側の端面であり、長手方向に沿う視線における正面である。肌対向端面31は、光照射型美容装置1の使用時(具体的には、除毛処理時)に、ユーザの肌面と対向し、少なくとも一部がユーザの肌面と接触することもある。肌対向端面31の表面は、ユーザの肌面上を滑らかに移動し得るように、ガラスやプラスチックなどで被覆されることが望ましい。
【0053】
照射開口32は、ヘッド部30の肌対向端面31に、肌対向端面31から照射部20の筒状体21の内部空間(延いては、支持体22の凹部221)と連通する開口として設けられる。照射部20のキセノン管23から放射された光は、筒状体21の内部空間を経て透過ガラス24及び出射開口27並びにヘッド部30の照射開口32を通過してユーザの肌面へと照射される。図に示す例では、照射開口32は、長手方向に沿う視線(即ち、肌対向端面31の正面視)において略長方形状を有する。
【0054】
メインローラ33は、ヘッド部30の肌対向端面31側に、ヘッド部30に対して回転可能に設けられる。メインローラ33は、例えば金属(具体的には、アルミニウムなど)、ゴム、プラスチック、セラミック、炭素性素材などで形成され、光照射型美容装置1の使用時に、ユーザの肌と(少なくとも一部が)接して肌面上を回転、転動する。メインローラ33は、当該メインローラ33の回転軸331の軸方向が、移動方向に対して直交するとともに、幅方向と相互に平行であるように設けられる。
【0055】
メインローラ33は、長手方向に沿う視線(即ち、肌対向端面31の正面視)において、照射開口32の側方に設けられ、具体的には、照射開口32の側方のうちの、移動方向(即ち、メインローラ33の回転軸331の軸方向と直交する方向)における一方の側に設けられる。メインローラ33は、長手方向に沿う視線において、ヘッド部30の幅方向における中央部に配置される。
【0056】
図に示す例では、略長方形状の照射開口32の長辺はメインローラ33の回転軸331の軸方向に沿い、また、照射開口32の短辺はメインローラ33の回転軸331の軸方向と直交する方向に沿っている。なお、照射部20の略長方形状の出射開口27の長辺はメインローラ33の回転軸331の軸方向に沿い、また、出射開口27の短辺はメインローラ33の回転軸331の軸方向と直交する方向に沿っている。
【0057】
照射開口32の、長手方向に沿う視線(即ち、肌対向端面31の正面視)における形状は、長方形状に限定されるものではなく、例えば他の多角形、円形、又は楕円形であってもよい。これらの場合も、メインローラ33は、長手方向に沿う視線において、照射開口32と重ならないような横並びの位置関係で設けられる。すなわち、「照射開口32の側方」は、照射開口32の形状にかかわらず、照射開口32と重ならないような横並びの位置関係を意味する。
【0058】
メインローラ33は、当該メインローラ33の回転軸331の軸方向において相互に離間する右ローラ部33Rと左ローラ部33Lとを有する。右ローラ部33R及び左ローラ部33Lは、表面にすべり止め加工が施されることが好ましい。
【0059】
右ローラ部33R及び左ローラ部33Lは、各々、メインローラ33の回転軸331の軸方向における寸法が比較的短尺の円柱形状を有し、ユーザが装置本体10を肌に当てた状態で移動方向に動かすと、移動方向と直交し且つ幅方向と相互に平行に配置された回転軸331を中心として回転、転動する。メインローラ33が回転、転動することで、装置本体10がスムーズに肌対向端面31を移動することができる。
【0060】
右ローラ部33Rと左ローラ部33Lとは相互に同じ形状に形成される。右ローラ部33R及び左ローラ部33Lの各々の形状は、円柱形状に限られるものではなく、特定方向(具体的には、移動方向)において回転、転動するものであればどのような形状でもよく、例えば樽形や円筒形状でもよい。
【0061】
右ローラ部33R及び左ローラ部33Lは、肌対向端面31に対して長手方向において肌面側へと向けて突出するように設けられる。右ローラ部33R及び左ローラ部33Lの、肌対向端面31に対する突出の寸法D1は、特定の値には限定されないものの、例えば、右ローラ部33R及び左ローラ部33Lの円柱形状の直径の10%以上かつ20%以下に設定されてよい。例えば、右ローラ部33R及び左ローラ部33Lの円柱形状の直径が13mm程度である場合、右ローラ部33R及び左ローラ部33Lの、肌対向端面31に対する突出の寸法D1は、1.3mm以上かつ2.6mm以下に設定されてよく、具体的には2mm程度に設定されてよい。
【0062】
補助ローラ34は、ヘッド部30の肌対向端面31側に、ヘッド部30に対して回転可能に設けられる。補助ローラ34は、例えば金属(具体的には、アルミニウムなど)、ゴムやプラスチック、セラミック、炭素性素材などで形成され、光照射型美容装置1の使用時に、ユーザの肌と(少なくとも一部が)接して肌面上を回転、転動する。補助ローラ34は、当該補助ローラ34の回転軸341の軸方向が、移動方向に対して直交するとともに、幅方向と相互に平行であるように設けられる。
【0063】
補助ローラ34は、長手方向に沿う視線(即ち、肌対向端面31の正面視)において、照射開口32の側方に設けられ、具体的には、照射開口32の側方のうちの、移動方向(即ち、メインローラ33の回転軸331の軸方向及び補助ローラ34の回転軸341の軸方向と直交する方向)における、メインローラ33が設けられている側と反対の側に設けられる。補助ローラ34は、長手方向に沿う視線において、ヘッド部30の幅方向における中央部に配置される。
【0064】
すなわち、メインローラ33と補助ローラ34とは、長手方向に沿う視線における移動方向において、照射開口32を挟んで相互に反対側に対向して設けられる。
【0065】
補助ローラ34は、中央の径よりも両端の径が小さい細長の樽形のローラであり、ユーザが装置本体10を肌に当てた状態で移動方向に動かすと、移動方向と直交し且つ幅方向と相互に平行に配置された回転軸341を中心として回転、転動する。補助ローラ34が回転、転動することで、装置本体10がスムーズに肌対向端面31を移動することができる。
【0066】
補助ローラ34の形状は、樽形に限られるものではなく、特定方向(具体的には、移動方向)において回転、転動するものであればどのような形状でもよく、例えば円柱形状や円筒形状でもよい。
【0067】
補助ローラ34の回転軸341の軸方向は、メインローラ33の回転軸331の軸方向と相互に平行であることが好ましい。また、補助ローラ34の表面は、凹凸加工などが施されず、平滑であることが好ましい。これにより、ユーザがヘッド部30の肌対向端面31側を肌に当てた状態で動かす際、動かす方向をローラの回転方向(具体的には、移動方向)から、それとは異なる方向(即ち、移動方向に加えて幅方向の成分を有する方向)へと変えることが容易になる。
【0068】
補助ローラ34は、肌対向端面31に対して長手方向において肌面側へと向けて突出するように設けられる。補助ローラ34の、肌対向端面31に対する突出の寸法D2は、特定の値には限定されないものの、例えば、補助ローラ34の樽形の最大直径の10%以上かつ20%以下に設定されてよい。例えば、補助ローラ34の樽形の最大直径が6mm程度である場合、補助ローラ34の、肌対向端面31に対する突出の寸法D2は、0.6mm以上かつ1.2mm以下に設定されてよく、具体的には1mm程度に設定されてよい。
【0069】
補助ローラ34の樽形の最大直径は、メインローラ33の右ローラ部33R及び左ローラ部33Lの円柱形状の直径よりも小さくてよく、また、補助ローラ34の、肌対向端面31に対する突出の寸法D2は、メインローラ33の右ローラ部33R及び左ローラ部33Lの、肌対向端面31に対する突出の寸法D1よりも小さくてよい。
【0070】
そして、肌対向端面31がユーザの肌面に対して平行になるようにヘッド部30を押し当てたとき、肌には弾力があるのでメインローラ33(具体的には、右ローラ部33R及び左ローラ部33L)と補助ローラ34との両方が肌に接触するが、より強く(言い換えると、密着度がより高く)肌と当接するのはメインローラ33であることが好ましい。これにより、主にメインローラ33の構造に起因する直進の安定性と、主に補助ローラ34によってもたらされる方向変換の自在性とが良好に両立する。
【0071】
なお、メインローラ33と補助ローラ34とのうちの少なくともどちらか一方の回転を例えばセンサによって自動で検出することにより、光照射型美容装置1がユーザの肌面上を移動したことを検知して、光の出射、照射が自動的に行われるようにしてもよい。
【0072】
検知手段35は、ユーザの肌の状態、例えば体毛や肌色の状態を検知する機序であり、長手方向に沿う視線(即ち、肌対向端面31の正面視)における、肌対向端面31の、照射開口32の側方に備えられる。
【0073】
検知手段35は、長手方向に沿う視線における移動方向において、照射開口32とメインローラ33との間(
図5中の符号B1で示す範囲)に配置され、照射開口32とメインローラ33の回転軸331との間(同図中の符号B2で示す範囲)に配置されることが好ましい。検知手段35は、また、長手方向に沿う視線における幅方向において、右ローラ部33Rの外縁と左ローラ部33Lの外縁との間(同図中の符号W1で示す範囲)に配置され、右ローラ部33Rの内縁と左ローラ部33Lの内縁との間(同図中の符号W2で示す範囲)に配置されることが好ましい。
【0074】
検知手段35は、また、長手方向に沿う視線における移動方向において、メインローラ33(第1ローラ)と補助ローラ34(第2ローラ)との間(
図5中の符号R1で示す範囲)に配置され、メインローラ33(第1ローラ)の回転軸331と補助ローラ34(第2ローラ)の回転軸341との間(同図中の符号R2で示す範囲)に配置されることが好ましい。なお、照射開口32は、メインローラ33(第1ローラ)の回転軸331と補助ローラ34(第2ローラ)の回転軸341との間R2に配置されている。
【0075】
ここで、ユーザの肌の状態(例えば、体毛や肌色の状態)を検知しながら検知された肌の状態に合わせて最適化した例えば光強度を選択して光源(実施の形態では具体的には、キセノン管23)を発光させる場合には、最適化した光を照射するために、照射開口32と検知手段35とは相互に近い位置関係で配置されることが望ましい。この点について、検知手段35を、長手方向に沿う視線における、移動方向において照射開口32とメインローラ33との間B1(特に、回転軸331との間B2)に配置し、また、幅方向において右ローラ部33Rと左ローラ部33Lとの間(特に、右ローラ部33Rの内縁と左ローラ部33Lの内縁との間W2)に配置することにより、照射開口32と検知手段35とを相互に近い位置関係で配置することが可能となる。
【0076】
さらに、検知手段35を、長手方向に沿う視線における幅方向において右ローラ部33Rと左ローラ部33Lとの間(特に、右ローラ部33Rの内縁と左ローラ部33Lの内縁との間W2)に配置することにより、照射開口32並びにメインローラ33及び検知手段35を、無駄な隙間を省いてコンパクトに配置することができる。このため、光照射型美容装置1の使用に際して、ユーザの肌面に対向させ接触させる面積(具体的には、ヘッド部30の長手方向における肌面側の端面、即ち肌対向端面31の面積)を小さくすることができ、また、検知手段35を安定的に動作させることができる。
【0077】
つまり、検知手段35を、長手方向に沿う視線における幅方向において右ローラ部33Rと左ローラ部33Lとの間(特に、右ローラ部33Rの内縁と左ローラ部33Lの内縁との間W2)に配置することにより、照射開口32として必要な面積を確保してユーザの肌面へと照射させる光の量を確保しつつ、ユーザの肌面に対向させ接触させる面積(即ち、肌対向端面31の面積)を小さくすることができる。
【0078】
加えて、照射開口32の面積が十分に確保されるので、照射開口32の近傍に配置される排熱口25を十分な量、大きさとすることができ、排熱効率を向上させることができる。なお、排熱口25は、筒状体21の内周面に沿うように設けられ、そして、照射開口32の周端部にも沿うようになる。
【0079】
また、ユーザの肌面上を回転、転動するメインローラ33及び補助ローラ34並びに検知手段35の配置を工夫しているので、光照射型美容装置1の操作性を保ちつつ照射開口32の面積を大きくすることができる。このため、ユーザが光照射型美容装置1を使用する際にヘッド部30のうちのユーザの肌面に対向させ接触させる部位の範囲(具体的には、ヘッド部30の長手方向における肌面側の端面、即ち肌対向端面31の範囲)と実際に光が照射される範囲(具体的には、照射開口32の範囲)とのギャップ、ずれが小さくなり、ユーザにとって使い易いヘッド部を実現することができる。例えば、ヘッド部30の接触面積(即ち、肌対向端面31の面積)に対する照射開口32の面積が80%以上であることが好ましい。
【0080】
検知手段35は、長手方向における肌面側の端部の開口が透過部材351で覆われ、当該透過部材351で覆われた内部に基板(図示していない)を有する。検知手段35の透過部材351の長手方向における肌面側の表面は、肌対向端面31と面一とされている。
【0081】
透過部材351は、ユーザの肌面と対向する部材であり、ガラスやポリカーボネートなどの透光性に優れて光が透過可能な任意の部材によって形成されてよい。また、検知手段35の透過部材351として例えばサファイアガラスのように熱伝導率が高く透光性に優れた素材を採用することにより、キセノン管23の発光によって発生した肌面の熱を除去することができる。
【0082】
検知手段35は、例えば、基板(図示していない)の表面に実装された、検査光を発生する発光素子と、ユーザの肌面で反射した検査光を受光する受光素子と、を有する。発光素子から出射された光と受光素子へと入射する光とは、透過部材351を通過する。
【0083】
発光素子は、光を出力し得るものであれば特定の部品、機序には限定されないものの、例えば、発光ダイオードによって構成されてもよい。発光素子から出射される検査光の波長は、特定の波長には限定されないものの、例えば、肌の体毛やシミの有無や濃さに応じた反射の程度の変化の感度が良好な波長であることが好ましい。発光素子から出射される検査光は、例えば、可視光の波長範囲に中心波長を有する光でよく、具体的には、380nm以上かつ780nm以下の波長範囲に中心波長を有する光でよい。
【0084】
検査光として白色光が用いられてもよい。ただし、検査光は白色光に限定されるものではなく、検査光として、白色光以外で、例えば、肌の体毛やシミの有無や濃さに応じて反射の程度が有意に変化して肌の体毛やシミの有無や濃さを正確に把握し得る色の光が用いられてもよい。
【0085】
なお、照射部20に備えられる光源(実施の形態では具体的には、キセノン管23)から放射される光を検査光として使用してもよく、その場合には検知手段35に発光素子は設けられなくてもよい。
【0086】
発光素子と対になる受光素子は、光を検知し得るものであれば特定の部品、機序には限定されないものの、例えば、フォトダイオードによって構成されてもよい。受光素子として、少なくとも発光素子から出射される検査光を検知可能なフォトダイオードが用いられてもよく、例えば、白色光、R(赤色光)、G(緑色光)、及びB(青色光)のうちの少なくとも1つを検知可能なフォトダイオードが用いられてもよい。受光素子として、また、明暗(光の強度)を検知可能なフォトレジスタやフォトカプラなどの光を検知する部品が用いられてもよい。
【0087】
発光素子に電圧が印加されると当該発光素子が発光して検査光が出射される。そして、検査光が、透過部材351を通過してユーザの肌面へと到達し、当該肌面で反射して、透過部材351を通過して受光素子へと入射する。受光素子へと入射する検査光が多い(言い換えると、強い)ほど、大きな電流が受光素子を流れる。
【0088】
検査光の反射光量は、ユーザの肌面の状態や色によって、具体的にはユーザの肌の体毛やメラニンの量によって変化する。すなわち、体毛があったりメラニンが多く肌が黒かったりする場合は、検査光が肌面で比較的多く吸収されて、反射光量は少なくなる。一方、体毛が無い若しくは非常に薄かったりメラニンが少なく肌が白かったりする場合は、肌面での検査光の吸収量が比較的少なく、反射光量は多くなる。したがって、体毛がある部分やメラニンを原因とするシミなどの肌の異常部分では、体毛が無い部分やシミなどが無い肌の正常部分と比べて、検査光が多く吸収されて反射光量が少なくなる。このため、反射光量の多寡に基づいて、肌の体毛やシミの有無や濃さを判定することができる。
【0089】
そして、発光素子から出射された検査光の光量に対して、例えばユーザの肌の体毛やメラニンが多いほど反射光量が少なくなって受光素子へと入射する光量が少なくなり、延いては受光素子に流れる電流が小さくなる。
【0090】
そこで、検知手段35は、受光素子の受光量に応じて当該受光素子から出力される電気的出力値に基づいて、肌の体毛やシミの有無や濃さを検知する。検知手段35は、具体的には例えば、受光素子を流れる電流と負帰還回路に配置されている抵抗との積として求められる出力電圧の値に基づいて、肌の体毛やシミの有無や濃さを判断してユーザの肌の状態(例えば、体毛や肌色の状態)を判定する。
【0091】
検知手段35は、受光素子から出力される電気的出力値の時系列的な変化に基づいてユーザの肌の状態を判定するようにしてもよく、或いは、発光素子へと印加された電圧と受光素子から出力される電気的出力値との間の関係(例えば、電圧と電気的出力値との比)に基づいてユーザの肌の状態を判定するようにしてもよい。
【0092】
光照射型美容装置1は、キセノン管23が光の照射を行いながら、検知手段35によって判定されたユーザの肌の状態に応じて、キセノン管23の出力の強さを調整する。例えば、検知手段35からキセノン管23の駆動部に対して指令が伝送される。そして、検知手段35から伝送される指令に基づいて、キセノン管23の駆動部は、電源からキセノン管23へと供給する電力を調整してキセノン管23の発光強度を調整する。
【0093】
検知手段35は、発光素子(具体的には、発光ダイオード)と受光素子(具体的には、フォトダイオード)との組合せに代えて又は加えて、カメラやレンズなどの光学系と画像処理プロセッサとの組合せを有するようにしてもよい。カメラやレンズなどの光学系と画像処理プロセッサとの組合せを有する場合は、ユーザの肌面を撮影して画像データを取得し、取得した画像データの画像処理(例えば、肌の色味や状態などを示す特徴情報の生成)を行い、画像処理の結果を出力するようにしてもよい。
【0094】
ここで、ヘッド部30が、ユーザの肌を冷却する肌冷却手段を備えるようにしてもよい。肌冷却手段は、特定の仕組み、機序には限定されない。肌冷却手段は、例えば、透過性を備え且つ熱伝導率の高いガラス(具体的には、サファイアガラスなど)を照射開口32を覆うように配置するとともに当該ガラスをペルチェ素子で冷却する仕組みでもよい。肌冷却手段は、また、銅やアルミニウムなどの金属を照射開口32の周縁や近傍位置に配置するとともに当該金属をペルチェ素子で冷却する仕組みでもよい。肌冷却手段は、また、ユーザの肌に風を当てて空冷する仕組みでもよい。肌冷却手段として、ジェルなどの冷え易い物質が照射開口32の周縁や近傍位置に配置されるようにしてもよい。
【0095】
また、光照射型美容装置1の長手方向が重力方向に沿う姿勢のとき、照射部20及び装置本体10の重心が、長手方向に沿う視線における移動方向において、照射開口32とメインローラ33との間B1(特に、回転軸331との間B2)に位置することが好ましい。このようにすることにより、光照射型美容装置1を移動方向に沿って移動させながら使用する際に、ヘッド部30の肌対向端面31の全面をユーザの肌面に接触させ易くなる。
【0096】
(浸透作用)
ヘッド部30の照射開口32に併設されてもよい他の肌処理部(例えば、所定の周波数の出力波形をユーザの肌に印加する電極)を利用して浸透作用を実現してもよい。この場合、好適な浸透対象の対象物は任意である。対象物は、人の皮膚に付与可能な物質であり、典型的には、美容効果などの各種効果を期待できる物質である。対象物は、例えば、化粧品等に含まれる各種成分であってよい。対象物は、あるいは、皮膚外用剤に含まれる各種成分であってもよい。なお、皮膚外用剤は、医薬品、及び医薬部外品など物質担体の使用目的は任意である。また、対象物は、医薬部外品において肝臓で代謝され効果効能が発揮しきれなかった医薬品の経皮吸収の促進にも効果がある物質を含んでよい。また、さらに経皮吸収させる外用剤の使用目的は任意であり、鎮痛剤、消炎剤、美白剤、湿潤剤、抗しわ剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス薬をはじめとして外用剤の経皮吸収目的を問わない。浸透に適する有用成分のいくつかの例を列挙する。
【0097】
弱酸性~弱アルカリ性付近のpHにおいて、
<水溶液中で+に帯電している化合物群>
美白効果が知られている成分としてはトラネキサム酸、トラネキサム酸セチル塩酸塩などトラネキサム酸誘導体やナイアシンアミドが挙げられるが、これらに限られず、にきびや肌荒れに有効とされる塩酸ピリドキシン及びその誘導体、殺菌及び消毒に使われるベンザルコニウムクロリド、更には、しわ改善に効果があるとされ等電点がアルカリ側にあるペプチド類、例としてパルミトイルトリペプチド-5、アセチルヘキサペプチド-8、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドなどのペプチド及びその誘導体が挙げられる。また、アラントイン、アルジオキサ、カルニチンHCl、塩基性アミノ酸であるリジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、オルニチン等、更にはエルゴチオネイン、保湿剤として尿素等も一例として挙げられるが、弱酸性~弱アルカリ性付近のpHで+に帯電ないしは分極している官能基を持つ物質(帯電量は微小でもカチオン性であればよい)であればよく、これら化合物群に限らない。
【0098】
<水溶液中で-に帯電している化合物群>
美白剤として有効性が認められている4-メトキシサリチル酸カリウム塩、アデノシン一リン酸二ナトリウムの他、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸2-グルコシド、リン酸L-アスコルビルナトリウム、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、L-アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naなどアスコルビン酸及びその誘導体、dl-αートコフェリルリン酸ナトリウム等が挙げられる。また、パラフェノールスルホン酸亜鉛、サリチル酸とそのナトリウム塩など、更には乳酸ナトリウム、L-ないしDL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、L-グルタミン酸ナトリウムやL-アスパラギン酸ナトリウムなど酸性アミノ酸が挙げられる。また、炎症を鎮める効果があるとされるグリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムやグリチルリチン酸アンモニウムなどグリチルリチン酸及びその塩、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa等、弱酸性~弱アルカリ性付近のpHで-に帯電ないしは分極している官能基を持つ物質(帯電量は微小でもアニオン性であればよい)であればよく、上記に限らない。
【0099】
<水溶液中でほとんど解離しない化合物ないし両性電解質>
美白効果があるとされるコウジ酸、アルブチン、ハイドロキノン、4-n-ブチルレゾルシノール、5,5’-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール、エラグ酸、3-O-エチルアスコルビン酸、3-グリセリルアスコルビン酸、ビスグリセリルアスコルビン酸、ヘキシル3-グリセリルアスコルビン酸、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸などアスコルビン酸誘導体、D-パントテニルアルコール、コレカルシフェロール、3-o-シメン-5-オール(イソプロピルメチルフェノール)、グリシン、プロリン、アラニン、セリン、アセチルヒドロキシプロリン、εーアミノカプロン酸、γ-アミノ酪酸のような中性アミノ酸類及びその誘導体、トリメチルグリシンなどの両性電解質やキシロース、ソルビトール、マンニトールなどの糖類やブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリンなどのポリオール類、ヒノキチオールなどのテルペン類等が挙げられる。また、難溶性物質であるフラーレン、オリザノール、セラミドEOP、セラミドEOS、セラミドNG、カプロオイルスフィンゴシン、セラミドNP、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、セラミドAG、セラミドAP、ヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン、セラミド6II、フィトスフィンゴシンもリポソームに内包される、されないにかかわらず、有用成分として挙げられる。さらには有用性を発揮する植物、動物から得られるエキス類、幹細胞などの培養液、培養上清液も挙げられる。
【0100】
また、フラボノイドとしてはイソフラボン、カンゾウ根エキス、カンゾウフラボノイド、甘草フラボノイドなどが挙げられるがこの限りではない。エキス類としてはカモミラET、クララ根エキス、センブリエキス、ニンジン及びその根のエキス、ダイズエキス及びダイズ種子エキス、チャ葉エキス、ガラクトミセス培養液、ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)、アスタキサンチン液や紅藻類のエキス、プラセンタエキス及びプラセンタエキス(1)~(5)、水溶性及び加水分解プラセンタエキスなどが挙げられる。
【0101】
<脂質及び油溶性物質>
スクワラン、リノール酸、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、水添レチノール、リノール酸レチノールなどレチノール及びその誘導体、ニコチン酸トコフェロール、dl-α-トコフェロール、d-δ-トコフェロール、天然ビタミンE、酢酸DL-α-トコフェロールなどトコフェロールとその誘導体、グリチルレチン酸ステアリル、エストラジオール、エチニルエストラジオール、アスタキサンチン、コメ胚芽油、スフィンゴミエリンなどのリン脂質、合成、植物性を含むスクワラン、グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸エステル、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビルなどアスコルビン酸の脂肪酸エステル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、油溶性プラセンタなどが挙げられる。
【0102】
<比較的分子量の高い化合物及び高分子化合物>
ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1、パルミトイルヘキサペプチド-4を含むパルミトイルヘキサペプチド類、パルミトイルペンタペプチド類、加水分解コラーゲン及びその誘導体、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸Na、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムなどヒアルロン酸及びその誘導体、シロキクラゲ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体、ポリクオタニウム類が挙げられる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0104】
例えば、上記の実施の形態では照射部20がキセノン管23を備えるようにしているが、光照射型美容装置1によって行われる各種処理は光学的な出力波形に基づく処理には限られない。例えば光学的な出力波形に代えて又は加えて、電気的な出力、ヒータ等による熱を用いる方法、超音波を用いる方法、磁気的な方法、及び電磁波を用いる方法のうちのいずれか1つ以上が利用されてもよい。
【0105】
さらに、本発明に係る美容装置は、上記の実施の形態における照射部20及びヘッド部30に相当する構成として、ユーザの肌に当接可能な複数の電極を備えるヘッド部を有する装置として構成されてもよい。この場合、美容装置は、電極を介して例えば美容関連作用(具体的には、肌を加温する作用など)を有する所定の周波数の出力波形をユーザの肌に印加してユーザの肌に美容関連効果を付与するように構成されてよい(あくまで一例として、特許第7235862号公報参照)。
【0106】
また、上記の実施の形態では光照射型美容装置1の除熱対象部を除熱、冷却するために装置本体10の内部空間にファン16が配設されるようにしているが、光照射型美容装置1の除熱対象部を除熱、冷却するための冷却手段はファンには限定されない。光照射型美容装置1の除熱対象部を除熱、冷却するための冷却手段として、例えば、水冷式の冷却手段が用いられるようにしてもよい。
【0107】
また、上記の実施の形態ではメインローラ33が相互に離間する右ローラ部33Rと左ローラ部33Lとを有するようにしているが、メインローラ33が一のローラから構成されるようにしてもよい。この場合も、検知手段35は、長手方向に沿う視線(即ち、肌対向端面31の正面視)における移動方向において、照射開口32とメインローラ33との間B1に配置され、照射開口32とメインローラ33の回転軸331との間B2に配置されることが好ましい。この場合も、検知手段35は、また、長手方向に沿う視線における移動方向において、メインローラ33(第1ローラ)と補助ローラ34(第2ローラ)との間R1に配置され、メインローラ33(第1ローラ)の回転軸331と補助ローラ34(第2ローラ)の回転軸341との間R2に配置されることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の美容装置を用いての処理を顔などの肌面に施し、除毛や美容関連効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 光照射型美容装置
10 装置本体
11 筐体
11a 先端部
11b 後端部
12 空洞部
13 吸気口
14 端子部
15 操作部
16 ファン(冷却手段)
17A コンデンサ(2体に分割したうちの一方)
17B コンデンサ(2体に分割したうちの他方)
20 照射部
21 筒状体
22 支持体
221 凹部
23 キセノン管
24 透過ガラス
25 排熱口
26 空隙
27 出射開口
28 雌端子
30 ヘッド部
31 肌対向端面
32 照射開口
33 メインローラ(第1ローラ)
33R 右ローラ部
33L 左ローラ部
331 回転軸
34 補助ローラ(第2ローラ)
341 回転軸
35 検知手段
351 透過部材
36 雄端子