(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006641
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】変速モード制御システム
(51)【国際特許分類】
F16H 61/02 20060101AFI20240110BHJP
F16H 59/04 20060101ALI20240110BHJP
F16H 59/54 20060101ALI20240110BHJP
F16H 59/66 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F16H61/02
F16H59/04
F16H59/54
F16H59/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107725
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺井 晃一郎
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA02
3J552MA06
3J552MA18
3J552NA01
3J552NB01
3J552RA12
3J552SA01
3J552SA31
3J552TB02
3J552TB12
3J552VA68W
3J552VA70W
3J552VA76W
3J552VD11W
3J552VE04W
3J552VE05W
(57)【要約】
【課題】変速モードの切り替えを適切に行う。
【解決手段】変速モード制御システムは、変速モードを制御する制御装置と、自動的に変速を実行する自動変速モードから運転者の操作に応じて変速を実行する手動変速モードへの切り替え操作を受け付ける第1操作部と、を備え、前記制御装置は、プロセッサと、前記プロセッサに接続されたメモリと、を有し、前記プロセッサは、前記第1操作部に対する前記運転者の操作後、切替条件としての切替時間を経過した際に、前記手動変速モードから前記自動変速モードに切り替えることと、前記切替時間を経過した後の切替後判定時間内に、前記切替時間が経過する前における前記運転者の操作に応じて前記変速を実行した際の変速比の変化と、同一方向の前記変速比の変化となる前記変速を実行する前記運転者の操作がされた場合に、前記切替時間を、特定時間延長することと、を含む処理を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速モードを制御する制御装置と、
自動的に変速を実行する自動変速モードから運転者の操作に応じて変速を実行する手動変速モードへの切り替え操作を受け付ける第1操作部と、
を備え、
前記制御装置は、プロセッサと、前記プロセッサに接続されたメモリと、を有し、
前記プロセッサは、
前記第1操作部に対する前記運転者の操作後、切替条件としての切替時間を経過した際に、前記手動変速モードから前記自動変速モードに切り替えることと、
前記切替時間を経過した後の切替後判定時間内に、前記切替時間が経過する前における前記運転者の操作に応じて前記変速を実行した際の変速比の変化と、同一方向の前記変速比の変化となる前記変速を実行する前記運転者の操作がされた場合に、前記切替時間を、特定時間延長することと、
を含む処理を実行する、変速モード制御システム。
【請求項2】
変速モードを制御する制御装置と、
自動的に変速を実行する自動変速モードから運転者の操作に応じて変速を実行する手動変速モードへの切り替え操作を受け付ける第1操作部と、
車両の速度を減速させるための前記運転者の操作を受け付けるブレーキ操作部と、
を備え、
前記制御装置は、プロセッサと、前記プロセッサに接続されたメモリと、を有し、
前記プロセッサは、
前記手動変速モードにおいて、前記運転者の操作に応じて低速側に前記変速を実行することと、
前記変速を実行した後、切替条件としての切替時間を経過した際に、前記手動変速モードから前記自動変速モードに切り替えることと、
前記切替時間を経過した後の切替後判定時間内に、前記ブレーキ操作部に対して前記運転者の操作がされた場合に、前記切替時間を、特定時間延長すること、
を含む処理を実行する、変速モード制御システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記手動変速モードから前記自動変速モードに切り替わった後に前記切替時間を延長するか否かを判定するための基準となる延長許可時間を経過したごとに、前記切替時間を、前記特定時間延長すること、
を含む処理を実行する、請求項1または2に記載の変速モード制御システム。
【請求項4】
路面状況に関する情報を検知する検知部を備え、
前記プロセッサは、
前記検知部が検知した前記情報に基づく前記路面状況ごとに、前記切替時間を記憶し、前記路面状況に応じて、前記切替時間を設定することと、
を含む処理を実行する、請求項1または2に記載の変速モード制御システム。
【請求項5】
変速モードを制御する制御装置と、
自動的に変速を実行する自動変速モードから運転者の操作に応じて変速を実行する手動変速モードへの切り替え操作を受け付ける第1操作部と、
前記手動変速モードから前記自動変速モードへの切り替え操作を受け付ける第2操作部と、
を備え、
前記制御装置は、プロセッサと、前記プロセッサに接続されたメモリと、を有し、
前記プロセッサは、
前記第1操作部に対する前記運転者の操作後、切替条件としての切替時間を経過した際に、前記手動変速モードから前記自動変速モードに切り替えることと、
前記第1操作部に対する前記運転者の操作後の、前記切替時間よりも短い誤操作判定時間内に、前記第2操作部に対してされた前記運転者の操作である特定解除操作が行われることが複数回あった場合、前記切替時間を、前記切替時間よりも短い特定解除時間に更新することと、
を含む処理を実行する、変速モード制御システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第1操作部に対する前記運転者の操作後、前記第2操作部に対する前記運転者の操作により、前記手動変速モードから前記自動変速モードに切り替わるまでの計時時間を計時することと、
前記特定解除操作が行われたことが複数回あった場合、前記切替時間を、前記計時時間に更新することと、
を含む処理を実行する、請求項5に記載の変速モード制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速モード制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される自動変速機には、自動で変速を実行する自動変速モードと、運転者の操作によって変速を実行する手動変速モードを搭載したものがある。また、このような自動変速機には、所定の距離に到達した場合に、手動変速モードから自動変速モードに自動的に切り替わる機能を備えているものもある。このような自動変速機において、過去の運転者の操作に応じて、所定の距離を適宜変更する技術が知られている。例えば、特許文献1には、自動変速モードへの自動復帰が行われた後、設定時間内に運転者がセレクトレバーをDレンジ位置からDS/Mレンジ位置に操作した場合に、自動復帰の条件である所定の距離を長くするように学習補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者は、例えば、自らの操作によって手動変速モードに切り替え、変速を実行した際に、目標とする変速比(変速ギア)に変速できる前に、自動変速モードへの自動復帰が行われた場合、自動復帰のタイミングに不満を覚える場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、変速モードの切り替えを適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る変速モード制御システムは、
変速モードを制御する制御装置と、
自動的に変速を実行する自動変速モードから運転者の操作に応じて変速を実行する手動変速モードへの切り替え操作を受け付ける第1操作部と、
を備え、
前記制御装置は、プロセッサと、前記プロセッサに接続されたメモリと、を有し、
前記プロセッサは、
前記第1操作部に対する前記運転者の操作後、切替条件としての切替時間を経過した際に、前記手動変速モードから前記自動変速モードに切り替えることと、
前記切替時間を経過した後の切替後判定時間内に、前記切替時間が経過する前における前記運転者の操作に応じて前記変速を実行した際の変速比の変化と、同一方向の前記変速比の変化となる前記変速を実行する前記運転者の操作がされた場合に、前記切替時間を、特定時間延長することと、
を含む処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、変速モードの切り替えを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る変速モード制御システムが搭載される車両を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る変速モード制御装置による変速モード切替処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る変速モード制御装置による変速モード切替処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第3の実施形態に係る変速モード制御システムが搭載される車両を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態に係る変速モード制御装置による変速モード切替処理を示す第1のフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る変速モード制御装置による変速モード切替処理を示す第2のフローチャートである。
【
図10】
図10は、第4の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第4の実施形態に係る変速モード制御装置による変速モード切替処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
[1.車両と変速モード制御システムの全体構成]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る変速モード制御システムが搭載されている車両1の全体構成について説明する。
【0011】
なお、以下で説明する本実施形態に係る車両1は、本発明の変速モード制御システムが搭載される車両の一例であるが、本発明の変速モード制御システムが搭載される車両は、以下の本実施形態に係る車両1の例に限定されない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る変速モード制御システムが搭載される車両1を示す概略図である。車両1は、エンジン100と、駆動輪110と、ドライブシャフト120と、ステアリングホイール130と、自動変速機140と、マイナスパドルスイッチ150aと、プラスパドルスイッチ150bと(以下、マイナスパドルスイッチ150aおよびプラスパドルスイッチ150bを総称して「パドルスイッチ150」ということもある。)、シフトレバー160と、変速モード制御装置170と、を備える。
【0013】
エンジン100は、車両1の駆動源である。車両1は、エンジン100からの動力を自動変速機140とドライブシャフト120を介して、駆動輪110に伝達する。また、運転者は、ステアリングホイール130により車両1の操舵が可能となる。
【0014】
自動変速機140は、後述する変速モード制御装置170からの制御指令に基づいて、自動変速機140自体に設けられた変速レンジを切り替え、エンジン100の回転数およびトルクを走行に適した回転数およびトルクに変換する。自動変速機140は、例えば、無段変速装置の自動変速機であるが、これに限定されない。自動変速機140は、例えば、プラネタリギヤ式ステップAT等の自動変速機であってもよい。
【0015】
自動変速機140は、自動変速モード、手動変速モード(以下、「マニュアルモード」という。)、一時的手動変速モード(以下、「テンポラリマニュアルモード」という。)の3つの変速モードを備える。自動変速モードは、所定の変速特性に従って自動的に変速を実行する変速モードである。マニュアルモードは、運転者の操作に応じて変速を実行する変速モードである。テンポラリマニュアルモードは、マニュアルモードと同様に、運転者の操作に応じて変速を実行する変速モードである。
【0016】
運転者は、後述するシフトレバー160等を操作することで、3つの変速モードを切り替えることができる。例えば、自動変速モードからマニュアルモードに切り替える場合、運転者は、シフトレバー160を前進レンジ(以下、「Dレンジ」という。)からマニュアルレンジ(以下、「Mレンジ」という。)になるように操作することで、自動変速モードからマニュアルモードに切り替えることができる。また、例えば、マニュアルモードから自動変速モードに切り替える場合、運転者は、シフトレバー160を、MレンジからDレンジになるように操作することで、マニュアルモードから自動変速モードに切り替えることができる。また、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードに切り替える場合、運転者は、シフトレバー160をDレンジに操作した状態で、後述するマイナスパドルスイッチ150aまたはプラスパドルスイッチ150bのいずれか一方を操作するパドル操作をすることで、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードに切り替えることができる。パドル操作は、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードへの切り替え操作の一例である。
【0017】
また、自動変速機140は、所定の条件を満たすと、自動で、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わる。なお、運転者が所望するタイミングで強制的にテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える場合、運転者は、まずシフトレバー160を、DレンジからMレンジに操作する。その後、運転者は、さらにシフトレバー160を、MレンジからDレンジに戻す操作である復帰操作を行うことで、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替えることができる。復帰操作は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードへの切り替え操作の一例である。
【0018】
パドルスイッチ150は、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードへの切り替え操作を受け付ける第1操作部の一例である。パドルスイッチ150は、ステアリングホイール130における運転席と対向する側の反対側の位置に設けられる。また、パドルスイッチ150は、運転者がステアリングホイール130を把持した状態で、運転者の指によって操作できるように設けられる。マイナスパドルスイッチ150aは、ステアリングホイール130の中央左側にあり、プラスパドルスイッチ150bは、ステアリングホイール130の中央右側にある。また、パドルスイッチ150は、後述する変速モード制御装置170と接続されており、運転者による操作を受け付けると、変速モード制御装置170に信号を出力する。
【0019】
パドルスイッチ150は、変速に関する運転者の操作を受け付ける。運転者は、マイナスパドルスイッチ150aまたはプラスパドルスイッチ150bのいずれか一方を操作することで、変速比を変更することができる。例えば、運転者がマイナスパドルスイッチ150aを操作すると、変速比は、所定の変速比にダウンシフトされ、運転者がプラスパドルスイッチ150bを操作すると、変速比は、所定の変速比にアップシフトされる。また、運転者によりパドル操作された際に、変速モードが自動変速モードである場合、変速モードは、テンポラリマニュアルモードに切り替わる。
【0020】
シフトレバー160は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードへの切り替え操作を受け付ける第2操作部の一例である。運転者は、運転者が所望するタイミングで強制的にテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える場合、シフトレバー160によって復帰操作を行う。また、シフトレバー160は、車両1の運転席近傍に設けられ、自動変速機140の変速レンジを切り替えるための運転者の操作を受け付ける。シフトレバー160は、DレンジやMレンジの他に、後進レンジ(以下、「Rレンジ」という。)、ニュートラルレンジ(以下、「Nレンジ」という。)、および、パーキングレンジ(以下、「Pレンジ」という。)を有する。さらに、シフトレバー160は、アップシフトレンジ(以下、「M(+)レンジ」という。)と、ダウンシフトレンジ(以下、「M(-)レンジ」という。)を有する。変速モードがマニュアルモードの場合(すなわち、シフトレバー160がMレンジの位置にある場合)に、運転者は、シフトレバー160をM(+)レンジもしくはM(-)レンジに操作すると、変速比を所定の変速比にアップシフトもしくはダウンシフトすることができる。
【0021】
変速モード制御装置170は、変速モードを制御する制御装置の一例である。変速モード制御装置170は、例えば、自動変速機140の変速モードおよび変速比を制御する。
図1に示すように、変速モード制御装置170は、プロセッサ172と、プロセッサ172に接続されたメモリ174とを有する。
【0022】
プロセッサ172は、コンピュータに搭載される演算処理装置である。プロセッサ172は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成されるが、その他のマイクロプロセッサで構成されてもよい。また、プロセッサ172は、1つまたは複数のプロセッサで構成されてもよい。プロセッサ172は、メモリ174または他の記憶媒体に記憶されているプログラムを実行することにより、変速モード制御装置170における各種の処理が実行される。
【0023】
メモリ174は、プログラムおよびその他の各種データを記憶する記憶媒体である。メモリ174は、例えば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含む。ROMは、プロセッサ172が使用するプログラム、およびプログラムを動作させるためのデータ等を記憶する不揮発性メモリである。RAMは、プロセッサ172により実行される処理に用いられる変数、演算パラメータ、演算結果等のデータを一時記憶する揮発性メモリである。ROMに記憶されたプログラムは、RAMに読み出され、CPUなどのプロセッサ172により実行される。
【0024】
[2.変速モード制御システムの機能構成]
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、変速モード制御装置170は、プログラムが実行されることで動作する機能部として、パドル操作検出部300と、変速モード切替部302と、変速比検出部304と、変速比変更部306と、変速比変化量算出部308と、切替条件更新部310と、テーブル記憶部312とを含む。
【0026】
パドル操作検出部300は、運転者によるパドル操作を検出する。パドル操作検出部300は、例えば、運転者がパドル操作すると、パドルスイッチ150から送信される信号を受信し、パドル操作がされたことを検出する。例えば、運転者は、走行中に変速比をダウンシフトするとき、マイナスパドルスイッチ150aを1回操作する。すると、パドル操作検出部300は、マイナスパドルスイッチ150aから送信される信号を受信し、マイナスパドルスイッチ150aが操作されたことを検出する。また、運転者は、走行中に変速比をアップシフトするとき、プラスパドルスイッチ150bを1回操作する。すると、パドル操作検出部300は、プラスパドルスイッチ150bから送信される信号を受信し、プラスパドルスイッチ150bが操作されたことを検出する。パドル操作検出部300は、パドル操作された回数毎に、パドルスイッチ150から信号を受信し、パドル操作されたことを検出する。
【0027】
変速モード切替部302は、パドルスイッチ150やシフトレバー160に対する運転者の操作に基づいて、変速モードを切り替えるか否かを判定し、変速モードを切り替える。例えば、変速モード切替部302は、現在の変速モードが自動変速モードである場合に、運転者によりパドル操作がされると、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードに変速モードを切り替える。また、変速モード切替部302は、運転者がシフトレバー160をDレンジに操作すると、自動変速モードに切り替え、運転者がシフトレバー160をMレンジに操作すると、マニュアルモードに切り替える。また、変速モード切替部302は、現在の変速モードがテンポラリマニュアルモードである場合に、運転者がシフトレバー160により復帰操作を行うと、自動変速モードに切り替える。
【0028】
また、変速モード切替部302は、運転者による復帰操作が行われなかった場合、変速モードを切り替える切替条件に基づいて、変速モードを切り替えるか否かを判定し、切替条件を満たすと、変速モードをテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える。切替条件としては、例えば、以下に詳述するように、変速比の変更による変速比差分が切替条件としての変速比変化量である切替変速比変化量を超過することが挙げられる。しかし、これに限定されない。例えば、切替条件は、走行時間が所定時間を経過することや走行距離が所定距離を超過することであってもよい。変速モード切替部302は、例えば、運転者によるパドル操作により、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードに切り替わる際の変速比(以下、「第1変速比」ということもある。)と、パドルスイッチ150に対する運転者の操作により変速比が切り替わった後の変速比との差である変速比差分が切替変速比変化量以上であるかを判定し、切替変速比変化量以上である場合に、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える。
【0029】
変速比検出部304は、現在の変速比を検出する。変速比検出部304は、例えば、自動変速機140の回転数に基づいて、現在の変速比を検出する。変速比検出部304は、検出した変速比をメモリ174に記憶する。
【0030】
変速比変更部306は、目標とすべき変更後の変速比を導出し、自動変速機140に変速比の変更指示を行う。例えば、変速モードが自動変速モードである場合、変速比変更部306は、メモリ174に予め記憶された変速マップを参照して、最適な変速比を導出し、自動変速機140に変速比の変更指示を行う。また、変速モードがマニュアルモードもしくはテンポラリマニュアルモードである場合、変速比変更部306は、運転者によるパドルスイッチ150やシフトレバー160の操作に応じて、予め定められた変速比にアップシフトもしくはダウンシフトするように自動変速機140に変速比の変更指示を行う。
【0031】
変速比変化量算出部308は、変速比変化量を算出する。変速比変化量算出部308は、例えば、パドルスイッチ150に対する運転者の操作により、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードに切り替わる際の第1変速比と、シフトレバー160に対する運転者の操作により、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わる際の変速比(以下、「第2変速比」ということもある。)との差である変速比変化量を算出する。また、変速比変化量算出部308は、変速比変化量を算出するため、例えば、第1変速比と、変速比変更部306の指示により変更された後に変速比検出部304が検出した変速比との差である変速比差分を随時算出する。また、変速比変化量算出部308は、例えば、変速比検出部304が検出した変速比の単位時間あたりの変化量である単位変化量を随時算出する。
【0032】
切替条件更新部310は、変速モードを自動で切り替える切替条件を更新する。切替条件更新部310は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える際の切替条件として、例えば、切替変速比変化量を更新する。
【0033】
運転者は、テンポラリマニュアルモードで運転中に、パドル操作することによって、変速比を運転者が所望する変速比に変更する。そして、運転者は、変速比が所望する変速比に到達した後に、自動的に変速モードが切り替わらない場合、自ら操作をすることによって変速モードをテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える。つまり、運転者が自ら操作をして変速モードの切り替えを行った際の変速比は、運転者が所望する変速比である。すなわち、変速モード制御装置170は、第1変速比と、第2変速比の差を算出することにより、運転者が所望する変速比までの変速比変化量を決定することができる。変速モード制御装置170は、その変速比変化量を更新することにより、その後、その変速比変化量に基づいて、運転者が所望する変速比に到達したか否かを判定することができる。
【0034】
切替条件更新部310は、例えば、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える切替変速比変化量を、変速比変化量算出部308により算出された変速比変化量に更新する。
【0035】
切替条件更新部310は、切替条件を更新する方法として、例えば、直近で算出された変速比変化量で、切替変速比変化量を更新する方法がある。これにより、運転者が復帰操作を行うと、そのタイミングで算出された変速比変化量が切替条件となるため、切替条件を即時反映することができる。
【0036】
また、切替条件更新部310の切替条件を更新する方法は、上記例に限定されない。例えば、切替条件更新部310は、直近の算出された複数回の変速比変化量の平均値を算出し、切替変速比変化量として更新してもよい。この場合、切替条件更新部310は、記憶された変速比変化量のうち、新しく記憶された変速比変化量が優先されるように重み付けする。これにより、過去の複数回の変速比変化量の平均値が算出されるため、切替条件更新部310は、切替条件を、運転者が所望するより的確な変速比変化量に更新することができる。また、切替条件更新部310は、算出された変速比変化量が一定値未満である場合、異常値と判定し、切替条件の更新に含まれないように除外してもよい。また、切替条件更新部310は、直近の算出された複数回の変速比変化量を、先入れ先出し(FIFO)で更新してもよい。
【0037】
テーブル記憶部312は、切替条件に関する切替条件テーブルなどの各種の制御情報をメモリ174に記憶する。切替条件テーブルは、例えば、第1変速比と、切替変速比変化量とを対応付けたテーブルである。つまり、テーブル記憶部312は、第1変速比ごとに、切替条件更新部310によって更新された切替変速比変化量を記憶する。
【0038】
[3.変速モード制御システムの処理フロー]
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る変速モード制御システムの変速モード制御装置170による処理フローについて説明する。
図3は、本実施形態に係る変速モード制御装置170による変速モード切替処理を示すフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、まず、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者がパドル操作をしたか否かを検出する(S100)。例えば、運転者がパドル操作すると、パドルスイッチ150から信号が送信され、パドル操作検出部300は、その信号を検出する。パドル操作検出部300がパドル操作を検出しない場合(ステップS100におけるNO)、変速モード切替処理を終了する。
【0040】
パドル操作検出部300がパドル操作を検出した場合(ステップS100におけるYES)、変速モード切替部302は、現在の変速モードがマニュアルモードであるかを判定する(S102)。現在の変速モードがマニュアルモードである場合(ステップS102におけるYES)、変速モード切替処理を終了する。また、現在の変速モードがマニュアルモードでない場合(ステップS102におけるNO)、変速モード切替部302は、現在の変速モードがテンポラリマニュアルモードであるかを判定する(S104)。
【0041】
現在の変速モードがテンポラリマニュアルモードでない場合(ステップS104におけるNO)、つまり、現在の変速モードが自動変速モードである場合、変速モード切替部302は、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードに変速モードを切り替える(S106)。その後、変速比検出部304は、自動変速機140の回転数等に基づいて、現在の変速比(第1変速比)を検出し、メモリ174に記憶する。(S108)。
【0042】
ステップS108において現在の変速比を記憶した後、もしくは、ステップS104において現在の変速モードがテンポラリマニュアルモードである場合(ステップS104のYES)、変速比変更部306は、運転者によるパドル操作に基づいて、自動変速機140に変速比の変更指示を行う(S110)。変速比変更部306は、運転者がマイナスパドルスイッチ150aを操作した場合、変速比をダウンシフトするように自動変速機140に変速比の変更指示を行い、運転者がプラスパドルスイッチ150bを操作した場合、変速比をアップシフトするように自動変速機140に変速比の変更指示を行う。
【0043】
変速比を変更した後、変速比変化量算出部308は、ステップS110で変更した後の実際の変速比を検出し、ステップS108で記憶された第1変速比と、ステップS110で変更した後の実際の変速比との差である変速比差分を算出する(S112)。
【0044】
ステップS112において変速比差分を算出した後、変速モード切替部302は、ステップS112で算出された変速比差分が、切替変速比変化量以上であるかを判定する(S114)。切替変速比変化量は、例えば、初期値が定められており、後述するステップS122の更新をされるたびに、切替変速比変化量の値が小さい値に更新される。
【0045】
ステップS114において、ステップS112において算出された変速比差分が切替変速比変化量未満であった場合(ステップS114におけるNO)、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者のパドル操作を検出したかを判定する(S116)。
【0046】
ステップS116においてパドル操作が検出されたと判定した場合(ステップS116におけるYES)、ステップS110からの処理を繰り返す。また、ステップS116においてパドル操作が検出されないと判定した場合(ステップS116におけるNO)、変速モード切替部302は、シフトレバー160に対する運転者の操作に基づいて、復帰操作がされたか否かを判定する(S118)。
【0047】
ステップS118において復帰操作がされなかった場合(ステップS118におけるNO)、ステップS112からの処理を繰り返す。ステップS118において復帰操作がされた場合(ステップS118におけるYES)、切替条件更新部310は、切替変速比変化量を、ステップS112で算出された変速比差分に更新する(S120)。具体的に、切替条件更新部310は、復帰操作がされた時点の変速比差分を変速比変化量とし、切替変速比変化量を更新する。また、テーブル記憶部312は、第1変速比ごとに、ステップS112で算出された変速比変化量を記憶し、切替条件更新部310は、第1変速比ごとに、ステップS112で算出された変速比変化量を更新する。
【0048】
ステップS120において切替変速比変化量が更新された後、もしくは、ステップS114において、変速比差分が切替変速比変化量以上であった場合(ステップS114におけるYES)、変速モード切替部302は、変速モードをテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替え(S122)、変速モード切替処理を終了する。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る車両1によれば、運転者が自らの操作によってテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替えた際、第1変速比と第2変速比の差である変速比変化量を算出する。これにより、車両1は、変速比変化量に基づいて、運転者が所望する変速比に達したかを判定することができる。そして、車両1は、変速比変化量を切替条件として更新することで、次回以降に、変速比を同程度変化させた場合に、運転者が所望する変速比に達したか否かを判定することができる。これにより、車両1は、変速比変化量が運転者の所望する切替条件に達した場合に、すぐに自動変速モードに切り替えることができ、変速モードの切り替えに係る運転者の煩わしさを低減させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る車両1によれば、第1変速比ごとに、変速比変化量を切替条件として更新することにより、変速比ごとの特性に合った変速比変化量を更新することができる。そして、車両1は、変速比の特性に合わせて変速比変化量が更新されることにより、運転者が所望する変速比を適切に判定することができ、変速モードの切り替えに係る運転者の煩わしさをより確実に低減させることができる。
【0051】
[4.第2の実施形態に係る変速モード制御システム]
次に、
図4を参照して、本発明の第2の実施形態に係る変速モード制御システムが搭載されている車両1について詳細に説明する。なお、第2の実施形態は、以下に説明する点で、第1の実施形態と相違し、その他の構成および機能等については、第1の実施形態と同様であるので、その詳細説明を省略する。
【0052】
図4は、第2の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係る変速モード制御装置170は、上記第1の実施形態に係る変速モード制御装置170の構成要素であるパドル操作検出部300と、変速モード切替部302と、変速比検出部304と、変速比変更部306と、変速比変化量算出部308と、切替条件更新部310と、テーブル記憶部312に加えて、単位変化量判定部400とタイマ計時部402とをさらに含む。
【0053】
単位変化量判定部400は、単位変化量が所定値以下であるか否かを判定する。単位変化量判定部400は、例えば、変速比変化量算出部308が算出した単位変化量が所定値以下であるかを判定する。
【0054】
タイマ計時部402は、所定のタイミングからの時間を計時する。所定のタイミングは、例えば、単位変化量判定部400によって単位変化量が所定値以下になったと判定されたタイミングである。タイマ計時部402は、例えば、パドルスイッチ150に対する運転者の操作後、単位変化量が所定値以下となってから、シフトレバー160に対する運転者の操作により、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わるまでの時間を計時する。
【0055】
変速モード切替部302は、例えば、タイマ計時部402で計時した時間が、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える切替条件としての切替時間を経過したか否かを判定する。そして、変速モード切替部302は、タイマ計時部402で計時した時間が、切替時間を経過した場合、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える。
【0056】
切替条件更新部310は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える切替時間を、タイマ計時部402によって計時された第1計時時間に更新する。第1計時時間は、例えば、タイマ計時部402により計時された、パドルスイッチ150に対する運転者の操作後、単位変化量が所定値以下となってから、シフトレバー160に対する運転者の操作により、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わるまでの時間である。
【0057】
[5.第2の実施形態に係る変速モード制御システムの処理フロー]
次に、
図5を参照して、第2の実施形態に係る変速モード制御システムの変速モード制御装置170による処理フローについて説明する。
図5は、第2の実施形態に係る変速モード制御装置170による変速モード切替処理を示すフローチャートである。
【0058】
図5に示すように、まず、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者がパドル操作をしたか否かを検出する(S200)。例えば、運転者がパドル操作すると、パドルスイッチ150から信号が送信され、パドル操作検出部300は、その信号を検出する。パドル操作検出部300がパドル操作を検出しない場合(ステップS200におけるNO)、変速モード切替処理を終了する。
【0059】
パドル操作検出部300がパドル操作を検出した場合(ステップS200におけるYES)、変速モード切替部302は、現在の変速モードがマニュアルモードであるかを判定する(S202)。現在の変速モードがマニュアルモードである場合(ステップS202におけるYES)、変速モード切替処理を終了する。また、現在の変速モードがマニュアルモードでない場合(ステップS202におけるNO)、変速モード切替部302は、現在の変速モードがテンポラリマニュアルモードであるかを判定する(S204)。
【0060】
現在の変速モードがテンポラリマニュアルモードでない場合(ステップS204におけるNO)、つまり、現在の変速モードが自動変速モードである場合、変速モード切替部302は、自動変速モードからテンポラリマニュアルモードに変速モードを切り替える(S206)。
【0061】
ステップS206において変速モードを切り替えた後、もしくは、ステップS204において現在の変速モードがテンポラリマニュアルモードである場合(ステップS204のYES)、変速比変更部306は、運転者によるパドル操作に基づいて、自動変速機140に変速比の変更指示を行う(S208)。変速比変更部306は、運転者がマイナスパドルスイッチ150aを操作した場合、変速比をダウンシフトするように自動変速機140に変速比の変更指示を行い、運転者がプラスパドルスイッチ150bを操作した場合、変速比をアップシフトするように自動変速機140に変速比の変更指示を行う。
【0062】
ステップS208において変速比を変更した後、タイマ計時部402は、タイマを0に設定する(S210)。その後、変速比変化量算出部308は、単位変化量を算出する(S212)。変速比変化量算出部308は、例えば、変速比を変更した後に、変速比検出部304によって一定の間隔で検出した2つの変速比の差を、その間隔で除算し、その結果を単位変化量とする。
【0063】
ステップS212において単位変化量を算出した後、単位変化量判定部400は、ステップS212において算出された単位変化量が所定値以下であるかを判定する(S214)。単位変化量が所定値以下である場合(ステップS214におけるYES)、タイマ計時部402は、タイマの計時を行う(S216)。
【0064】
ステップS216においてタイマの計時がされた後、もしくは、ステップS214において単位変化量が所定値以下でない場合(ステップS214におけるNO)、変速モード切替部302は、タイマ計時部402が計時した時間が、切替時間を経過しているかを判定する(S218)。タイマ計時部402が計時した時間が切替時間を経過していない場合(ステップS218におけるNO)、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者のパドル操作を検出したかを判定する(S220)。
【0065】
ステップS220においてパドル操作が検出されたと判定した場合(ステップS220におけるYES)、ステップS208からの処理を繰り返す。また、ステップS220においてパドル操作が検出されないと判定した場合(ステップS220におけるNO)、変速モード切替部302は、シフトレバー160に対する運転者の操作に基づいて、復帰操作がされたか否かを判定する(S222)。
【0066】
ステップS222において復帰操作がされなかった場合(ステップS222におけるNO)、ステップS212からの処理を繰り返す。ステップS222において復帰操作がされた場合(ステップS222におけるYES)、切替条件更新部310は、切替時間を第1計時時間に更新する(S224)。具体的に、切替条件更新部310は、復帰操作がされた時点の第1計時時間を切替時間とし、切替時間を更新する。切替条件更新部310は、例えば、更新した切替時間を、メモリ174に記憶する。
【0067】
ステップS224において切替時間が更新された後、もしくは、ステップS218において、タイマ計時部402で計時した時間が切替時間を経過した場合(ステップS218におけるYES)、変速モード切替部302は、変速モードをテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替え(S226)、変速モード切替処理を終了する。
【0068】
以上のように、第2の実施形態の車両1では、変速比を変更した後に、変速比の単位変化量が所定値以下であるかを判定する。そして、車両1は、変速比の単位変化量が所定値以下となったタイミングから時間を計時し、運転者が自らの操作によって変速モードを切り替えるまでの第1計時時間を切替時間として更新する。これにより、車両1は、次回以降、運転者が所望する変速比に変更した後に、所定の時間経過後に自動で変速モードが切り替えることができ、変速モードの切り替えに係る運転者の煩わしさを低減させることができる。
【0069】
[6.第3の実施形態に係る車両と変速モード制御システムの全体構成]
次に、
図6を参照して、本発明の第3の実施形態に係る変速モード制御システムが搭載されている車両1について詳細に説明する。なお、第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、主に第2の実施形態と相違する点について以下に説明し、第2の実施形態と同様の構成および機能等については、その詳細説明を省略する。
【0070】
図6は、第3の実施形態に係る変速モード制御システムが搭載される車両1を示す概略図である。
図6に示すように、第3の実施形態に係る車両1は、上記第2の実施形態に係る車両1の構成要素であるエンジン100と、駆動輪110と、ドライブシャフト120と、ステアリングホイール130と、自動変速機140と、マイナスパドルスイッチ150aと、プラスパドルスイッチ150bと、シフトレバー160と、変速モード制御装置170に加えて、ブレーキペダル180と検知部190とをさらに備える。
【0071】
ブレーキペダル180は、車両1の速度を減速させるための運転者の操作を受け付けるブレーキ操作部の一例である。車両1の速度を減速させるための運転者の操作は、例えば、ブレーキペダル180を踏み込む操作である。ブレーキペダル180は、ブレーキ装置(不図示)と接続される。ブレーキ装置は、例えば、運転者がブレーキペダル180を踏み込む操作を行うと、ブレーキペダル180の操作量であるブレーキ操作量を検出し、ブレーキ操作量に応じて、油圧を用いて駆動輪110に制動力を付与する。
【0072】
検知部190は、路面勾配検知センサ(ジャイロセンサ)や、路面摩擦係数センサ(ハブユニットセンサ、路面温度センサ、外気温センサ、近赤外線センサ、レーザ光センサ)等である。検知部190は、変速モード制御装置170に接続されており、検知部190で検知した情報を、変速モード制御装置170に送信する。
【0073】
検知部190は、路面状況に関する情報を検知する。路面状況は、例えば、路面の勾配や、路面の状態等である。例えば、検知部190は、車両1が走行中の路面の勾配に関する情報を検知する。具体的に、検知部190は、例えば、ロール角、ピッチ角およびヨー角を検知する。また、例えば、検知部190は、路面の状態に関する情報を検知する。路面の状態は、例えば、路面がDRY、WET、SNOW、ICEのいずれかの状態のことである。具体的に、検知部190は、例えば、車両1の駆動輪110(前輪及び後輪)に作用する作用力を検知する。作用力は、例えば、前後方向力、横力および上下力を含む三方向の分力である。また、検知部190は、例えば、車両1の前方の路面の画像や、車両1の前方の路面の温度、車両1の周辺の外気温、車両1の前方の路面の水分量、車両1の前方の路面の粗さを検知する。
【0074】
[7.第3の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成]
次に、
図7を参照して、第3の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成について説明する。
図7は、第3の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0075】
図7に示すように、第3の実施形態に係る変速モード制御装置170は、上記第2の実施形態に係る変速モード制御装置170の構成要素であるパドル操作検出部300と、変速モード切替部302と、変速比検出部304と、変速比変更部306と、変速比変化量算出部308と、切替条件更新部310と、テーブル記憶部312と、単位変化量判定部400と、タイマ計時部402とに加えて、ブレーキ操作検出部500と、切替時間延長判定部502と、路面状況判定部504と、テーブル取得部506をさらに含む。
【0076】
変速比変化量算出部308は、例えば、変速比の変化に関する情報を算出し、算出した当該情報をメモリ174に記憶する。変速比の変化に関する情報は、例えば、直近のテンポラリマニュアルモードにおいて、直近の運転者のパドル操作に応じて変速を実行した際の変速比と、変速比変更部306の指示により変更された後の変速比との差である。
【0077】
切替条件更新部310は、例えば、切替時間を、第2計時時間に更新する。第2計時時間は、例えば、タイマ計時部402により計時された、パドルスイッチ150に対する運転者のパドル操作後、シフトレバー160に対する運転者の復帰操作により、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わるまでの時間である。
【0078】
また、切替条件更新部310は、後述する切替時間延長判定部502により、切替時間を延長する判定がされた場合、切替時間を、特定時間を追加した切替時間に更新する。つまり、切替条件更新部310は、切替時間延長判定部502による判定結果に応じて、切替時間を、特定時間延長する。特定時間は、切替時間を延長するために設けられた時間であり、例えば、予め設定された時間である。しかし、これに限定されず、特定時間は、算出された時間であってもよい。例えば、運転者によるマイナスパドルスイッチ150aの操作によって、変速比が低速側に変化し、切替時間経過後に、運転者によりブレーキペダル180が操作された場合、ブレーキペダル180を操作している間の時間として、特定時間を算出してもよい。
【0079】
また、詳しくは後述するが、特定時間は、切替時間延長判定部502が判定する所定の走行状況や、後述する路面状況判定部504が判定した路面状況に応じて、予め定められた時間を異ならせてもよい。
【0080】
テーブル記憶部312は、切替条件テーブルを用いて、各種の制御情報をメモリ174に記憶する。切替条件テーブルは、例えば、後述する路面状況判定部504が判定した路面状況と、切替時間、後述する切替後判定時間や、特定時間、または、後述する延長許可時間のうち1つ以上を対応付けたテーブルである。つまり、テーブル記憶部312は、検知部190が検知した路面状況に関する情報に基づく路面状況ごとに、切替時間、切替後判定時間、特定時間、または、延長許可時間を記憶する。
【0081】
タイマ計時部402は、所定のタイミングからの時間を計時する。所定のタイミングは、例えば、変速比変更部306の指示により変速比が変更されたタイミングである。また、所定のタイミングは、例えば、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わったタイミングである。また、タイマ計時部402は、第1タイマと、第2タイマを有する。タイマ計時部402の第1タイマは、例えば、パドルスイッチ150に対する運転者の操作後のタイミングからの時間を計時する。なお、これに限定されず、タイマ計時部402の第1タイマは、例えば、パドルスイッチ150に対する運転者の操作後、変速比変更部306の指示により変速比が変更されたタイミングからの時間を計時してもよい。また、タイマ計時部402の第2タイマは、例えば、シフトレバー160に対する運転者の復帰操作によりテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わったタイミングからの時間を計時する。なお、これに限定されず、タイマ計時部402の第2タイマは、例えば、シフトレバー160に対する運転者の復帰操作のタイミングからの時間を計時してもよい。また、タイマ計時部402の第2タイマは、例えば、切替時間が経過後、自動でテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わったタイミングからの時間を計時してもよい。
【0082】
ブレーキ操作検出部500は、運転者によるブレーキペダル180を踏み込む操作を検出する。ブレーキ操作検出部500は、例えば、運転者がブレーキペダル180を踏み込むと、ブレーキ装置から送信される信号を受信し、ブレーキペダル180を踏み込む操作がされたことを検出する。
【0083】
切替時間延長判定部502は、所定の走行状況に応じて、切替時間を延長するか否かの判定を行う。所定の走行状況は、例えば、切替時間を経過した後の切替後判定時間内に、切替時間が経過する前における運転者のパドル操作に応じて変速を実行した際の変速比の変化と、同一方向の変速比の変化となる変速を実行する運転者のパドル操作がされた場合である。切替後判定時間は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替わった後に、切替時間延長判定部502が切替時間を延長するか否かの判定に用いる基準となり、例えば、予め設定された時間である。しかし、これに限定されず、切替後判定時間は、例えば、算出された時間であってもよいし、路面状況に応じて可変する時間であってもよい。
【0084】
つまり、切替時間延長判定部502は、切替時間経過後の切替後判定時間内に、直近のテンポラリマニュアルモードにおいて、変速比変化量算出部308が記憶した変速比の変化と、同一方向の変速比の変化となる変速を実行する運転者のパドル操作がされた場合に、切替時間を延長すると判定する。
【0085】
より具体的には、例えば、直近のテンポラリマニュアルモードにおいて、運転者がマイナスパドルスイッチ150aに対するパドル操作を行った場合に、変速比変更部306は、低速側に変速を実行する。そして、切替時間経過後、切替後判定時間内に、運転者が再度マイナスパドルスイッチ150aに対するパドル操作を行った場合に、切替時間延長判定部502は、切替時間を延長すると判定する。なお、高速側に変速が実行された場合も同様である。
【0086】
すなわち、切替時間延長判定部502は、自動変速モードに自動的に切り替わった後の切替後判定時間内に、直近のテンポラリマニュアルモードにおいて運転者が行ったパドル操作と、同一の方向のパドル操作を運転者が行った場合に、切替時間を延長すると判定する。
【0087】
また、所定の走行状況は、例えば、直近のテンポラリマニュアルモードにおいて、低速側に変速を実行し、切替時間経過後に、切替後判定時間内に、運転者によってブレーキペダル180を踏み込む操作がされた場合である。つまり、テンポラリマニュアルモードにおいて、変速比変更部306が、運転者のマイナスパドルスイッチ150aのパドル操作に応じて低速側に変速を実行し、当該変速を実行した後、切替時間を経過した際に、変速モード切替部302が、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える。そして、切替時間を経過した後の切替後判定時間内に、ブレーキペダル180に対して運転者の操作がされた場合、切替時間延長判定部502は、切替時間を延長すると判定する。なお、切替後判定時間は、所定の走行状況ごとに、同一の時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0088】
また、所定の走行状況は、例えば、タイマ計時部402の第2タイマによって計時された時間が延長許可時間を経過した場合である。延長許可時間は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わった後に、切替時間延長判定部502が切替時間を延長するか否かの判定するための基準となり、切替後判定時間よりも長い時間である。また、延長許可時間は、例えば、予め設定された時間であるが、これに限定されず、算出された時間であってもよいし、路面状況に応じて可変する時間であってもよい。つまり、切替時間延長判定部502は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わった後に、延長許可時間を経過した場合に、切替時間を延長すると判定する。
【0089】
また、切替時間延長判定部502は、1度、延長許可時間に基づいて判定した後も、周期的に延長許可時間を経過したか否かを判定する。つまり、切替時間延長判定部502は、延長許可時間を経過したごとに、切替時間を延長すると判定する。また、この場合、切替時間延長判定部502は、切替時間が上限時間以上であるか否かを判定し、切替時間が上限時間未満である場合のみ、切替時間を延長すると判定する。上限時間は、例えば、最初に設定された切替時間の初期設定時間である。このように、切替時間の延長に対して上限時間が設けられることで、切替時間が初期設定時間よりも長い時間になることを防ぐことができ、切替時間の初期設定時間経過するタイミングまでには、確実に、変速モードを自動で切り替えることができる。
【0090】
また、切替時間延長判定部502が、所定の走行状況に応じて、切替時間を延長すると判定すると、切替条件更新部310は、切替時間を、特定時間延長する。なお、特定時間は、所定の走行状況ごとに、同一の時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0091】
路面状況判定部504は、検知部190による情報に基づいて、車両1が走行する路面状況を判定する。路面状況判定部504は、例えば、検知部190による情報に基づいて、車両1が走行中の路面の勾配が上り勾配か、平坦か、下り勾配かを判定する。例えば、路面状況判定部504は、検知部190であるジャイロセンサを用いて車両1の姿勢、具体的には、ロール角、ピッチ角およびヨー角の情報を検知し、当該情報に基づいて、車両1が走行中の路面の勾配が上り勾配か、平坦か、下り勾配かを判定する。なお、路面状況判定部504は、車両1が走行中の路面の勾配が上り勾配か、平坦か、下り勾配かを判定するだけに限らず、車両1が走行中の路面の勾配の角度をそのまま利用してもよい。
【0092】
また、路面状況判定部504は、例えば、検知部190による情報に基づいて、車両1が走行中の路面、または、車両1の前方の路面の路面摩擦係数μを推定し、路面摩擦係数μに基づいて、路面の状態を判定する。
【0093】
例えば、路面状況判定部504は、検知部190が検知した車両1の駆動輪110(前輪及び後輪)に作用する作用力に基づいて、路面摩擦係数μを推定する。また、例えば、路面状況判定部504は、検知部190が検知した車両1の前方の路面の画像や、車両1の前方の路面の温度、車両1の周辺の外気温、車両1の前方の路面の水分量、車両1の前方の路面の粗さの情報のうち、少なくとも1つの情報に基づいて、車両1の前方の路面の路面摩擦係数μを推定する。そして、路面状況判定部504は、推定した路面摩擦係数μに基づいて、路面の状態がDRY、WET、SNOW、ICEのいずれかの状態であるかを判定する。
【0094】
テーブル取得部506は、メモリ174に記憶されている切替条件テーブルを参照し、各種の制御情報を設定する。テーブル取得部506は、例えば、メモリ174に記憶された切替条件テーブルを参照し、路面状況判定部504により判定された路面状況に応じて、切替時間、切替後判定時間、特定時間、または、延長許可時間を設定する。つまり、テーブル取得部506は、路面の勾配、または、路面の状態のうち1または複数と、切替時間、切替後判定時間、特定時間、または、延長許可時間のうち1または複数を対応付けて記憶されている切替条件テーブルを参照し、路面状況に応じて、各種の制御情報を設定する。
【0095】
例えば、テーブル取得部506は、車両1が走行中の路面の勾配が下り勾配となり、路面状況判定部504により車両1が走行中の路面の勾配が下り勾配であると判定された場合に、切替条件テーブルを参照し、下り勾配用の切替時間を設定する。その後、路面状況判定部504により車両1が走行中の路面が下り勾配であると判定している限り、下り勾配用の切替時間を用いて、変速モードを制御する。例えば、変速モード切替部302は、下り勾配用の切替時間を経過した際に、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える。また、切替条件更新部310は、切替時間延長判定部502による判定結果に応じて、下り勾配用の切替時間を、特定時間延長する。そして、テーブル記憶部312は、特定時間延長された下り勾配用の切替時間を、メモリ174に記憶する。なお、切替時間と同様に、切替後判定時間や、特定時間、延長許可時間も設定される。
【0096】
なお、テーブル記憶部312は、例えば、路面の勾配と、各種の制御情報を対応付ける場合は、上り勾配と、平坦と、下り勾配に区分し、各種の制御情報を記憶する。また、テーブル記憶部312は、例えば、路面の勾配のうち、路面の勾配の角度と、各種の制御情報を対応付ける場合は、路面の勾配の角度を一定の角度ごとに区分し、各種の制御情報を記憶する。また、テーブル記憶部312は、例えば、路面の状態と、各種の制御情報を対応付ける場合は、DRY、WET、SNOW、ICEに区分し、各種の制御情報を記憶する。
【0097】
また、テーブル記憶部312は、例えば、複数の路面状況の種別の組み合わせと各種の制御情報を対応付けた切替条件テーブルをメモリ174に記憶し、テーブル取得部506は、当該切替条件テーブルを参照してもよい。テーブル記憶部312は、例えば、路面の勾配と路面の状態の組み合わせと、各種の制御情報を対応付けた切替条件テーブルをメモリ174に記憶し、テーブル取得部506は、当該切替条件テーブルを参照してもよい。例えば、テーブル記憶部312は、切替条件テーブルに、路面の勾配が下り勾配、かつ、路面の状態がDRYに対応する切替時間を記憶する。そして、テーブル取得部506は、路面状況判定部504により路面の勾配が下り勾配、かつ、路面の状態がDRYと判定された場合に、路面の勾配が下り勾配、かつ、路面の状態がDRYに対応する切替時間を取得する。なお、切替条件テーブルは、各種の制御情報を一つのテーブルにまとめて記憶してもよく、また、各種の制御情報を複数のテーブルに分けて記憶してもよい。
【0098】
[8.第3の実施形態に係る変速モード制御システムの処理フロー]
次に、
図8および
図9を参照し、第3の実施形態に係る変速モード制御システムの変速モード制御装置170による処理フローについて説明する。
図8は、第3の実施形態に係る変速モード制御装置170による変速モード切替処理を示す第1のフローチャートであり、
図9は、第3の実施形態に係る変速モード制御装置170による変速モード切替処理を示す第2のフローチャートである。なお、
図8に示すステップS300からステップS308までの処理は、
図5に示す第2の実施形態に係る変速モード制御装置170による変速モード切替処理のステップS200からステップS208までの処理と同一であり、説明を省略する。
【0099】
図8に示すように、ステップS308において変速比を変更した後、タイマ計時部402は、第1タイマを0に設定し、第1タイマの計時を開始する(S310)。その後、変速比変化量算出部308は、変速比の変化に関する情報を算出し、算出した当該情報をメモリ174に記憶する(S312)。
【0100】
その後、テーブル取得部506は、メモリ174に記憶された切替条件テーブルを参照し、路面状況判定部504が判定した路面状況に応じて、切替時間を設定する(S314)。
【0101】
その後、変速モード切替部302は、タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が、切替時間を経過しているかを判定する(S316)。タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が切替時間を経過していると判定した場合(ステップS316におけるYES)、ステップS324に処理を移す。つまり、変速モード切替部302は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作後、切替時間を経過した際に、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える。
【0102】
タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が切替時間を経過していないと判定した場合(ステップS316におけるNO)、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者のパドル操作を検出したかを判定する(S318)。
【0103】
ステップS318においてパドル操作が検出されたと判定した場合(ステップS318におけるYES)、ステップS308からの処理を繰り返す。また、ステップS318においてパドル操作が検出されてないと判定した場合(ステップS318におけるNO)、変速モード切替部302は、シフトレバー160に対する運転者の操作に基づいて、復帰操作がされたか否かを判定する(S320)。
【0104】
ステップS320において復帰操作がされなかったと判定した場合(ステップS320におけるNO)、ステップS316からの処理を繰り返す。ステップS320において復帰操作がされたと判定した場合(ステップS320におけるYES)、切替条件更新部310は、切替時間を、第2計時時間に更新する(S322)。
【0105】
ステップS322において切替時間が更新された後、もしくは、ステップS316において、タイマ計時部402の第1タイマで計時した時間が切替時間を経過したと判定した場合(ステップS316におけるYES)、変速モード切替部302は、変速モードをテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える(S324)。
【0106】
次に、
図9に示すように、ステップS324において変速モードをテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わった後、タイマ計時部402は、第2タイマを0に設定し、第2タイマの計時を開始する(S326)。
【0107】
その後、切替時間延長判定部502は、前回のテンポラリマニュアルモードから自動変速モードの切り替わった際に、自動でテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わったかを判定する(S328)。すなわち、切替時間延長判定部502は、前回のテンポラリマニュアルモードにおいて、タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が切替時間を経過したか否かを判定する。
【0108】
ステップS328において自動でテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わったと判定した場合(ステップS328においてYES)、テーブル取得部506は、メモリ174に記憶された切替条件テーブルを参照し、路面状況判定部504が判定した路面状況に応じて、切替時間、切替後判定時間、特定時間を設定する(S330)。
【0109】
その後、切替時間延長判定部502は、ステップS326で開始したタイマ計時部402の第2タイマが計時した時間が、切替後判定時間を経過しているかを判定する(S332)。タイマ計時部402の第2タイマが計時した時間が切替後判定時間を経過していないと判定した場合(ステップS332におけるNO)、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者のパドル操作を検出したかを判定する(S334)。
【0110】
ステップS334において、パドル操作が検出されたと判定した場合(ステップS334におけるYES)、切替時間延長判定部502は、ステップS312で記憶された変速比の変化と、同一方向の変速比の変化となる運転者のパドル操作がされたかを判定する(S336)。例えば、ステップS312において変速比変化量算出部308は、運転者のパドル操作に応じて変速を実行した際の変速比から、変速比変更部306の指示により変更された後の変速比を減算する。そして、ステップS336において切替時間延長判定部502は、当該差が0より大きい場合に低速側に変速したと判定し、当該差が0未満である場合に高速側に変速したと判定する。その後、切替時間延長判定部502は、ステップS312で記憶された変速比の変化が低速側への変速であり、運転者がマイナスパドルスイッチ150aに対するパドル操作を行った場合に、同一方向の変速比の変化となる運転者のパドル操作がされたと判定する。もしくは、ステップS312で記憶された変速比の変化が高速側への変速あり、運転者がプラスパドルスイッチ150bに対するパドル操作を行った場合に、同一方向の変速比の変化となる運転者のパドル操作がされたと判定する。すなわち、同一方向の変速比の変化となる運転者のパドル操作がされたかを判定する。
【0111】
ステップS336における切替時間延長判定部502の判定の結果、同一方向の変速比の変化となる運転者のパドル操作がされなかったと判定した場合(ステップS336におけるNO)、ステップS302からの処理を繰り返す。また、ステップS336における切替時間延長判定部502の判定の結果、同一方向の変速比の変化となる運転者のパドル操作がされたと判定した場合(ステップS336におけるYES)、切替条件更新部310は、切替時間を、特定時間を追加した切替時間に更新する(S338)。例えば、切替条件更新部310は、特定時間を追加した切替時間を、メモリ174に記憶する。その後、ステップS302からの処理を繰り返す。
【0112】
ステップS334において、パドル操作が検出されなかったと判定した場合(ステップS334におけるNO)、ブレーキ操作検出部500は、運転者のブレーキペダル180に対する踏み込み操作を検出したか否かを判定する(S340)。ステップS340において、ブレーキペダル180に対する踏み込み操作を検出しないと判定した場合(ステップS340におけるNO)、ステップS330からの処理を繰り返す。
【0113】
ステップS340において、ブレーキペダル180に対する踏み込み操作を検出したと判定した場合(ステップS340におけるYES)、切替時間延長判定部502は、ステップS312で記憶された変速比の変化に関する情報に基づいて、低速側に変速する変速比の変化であるかを判定する(S342)。ステップS342による判定の結果、ステップS312で記憶された変速比の変化に関する情報に基づいて低速側に変速する変速比の変化でないと判定した場合(ステップS342におけるNO)、ステップS330からの処理を繰り返す。
【0114】
ステップS342による判定の結果、ステップS312で記憶された変速比の変化に関する情報に基づいて低速側に変速する変速比の変化であると判定した場合(ステップS342におけるYES)、切替条件更新部310は、切替時間を、特定時間を追加した切替時間に更新する(S344)。例えば、切替条件更新部310は、特定時間を追加した切替時間を、メモリ174に記憶する。その後、ステップS330からの処理を繰り返す。
【0115】
また、ステップS328において、自動でテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替わっていないと判定した場合(ステップS328におけるNO)、もしくは、ステップS332において、タイマ計時部402の第2タイマが計時した時間が切替後判定時間を経過したと判定した場合(ステップS332におけるYES)、テーブル取得部506は、メモリ174に記憶された切替条件テーブルを参照し、路面状況判定部504が判定した路面状況に応じて、切替時間、延長許可時間、特定時間を設定する(S346)。その後、切替時間延長判定部502は、切替時間が、上限時間以上であるかを判定する(S348)。
【0116】
切替時間が上限時間以上であると判定した場合(S348におけるYES)、変速モード切替処理を終了する。また、切替時間が上限時間以上でないと判定した場合(S348におけるNO)、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者のパドル操作を検出したかを判定する(S350)。ステップS350において、パドル操作が検出されたと判定した場合(ステップS350におけるYES)、ステップS302からの処理を繰り返す。
【0117】
また、ステップS350において、パドル操作が検出されないと判定した場合(ステップS350におけるNO)、切替時間延長判定部502は、タイマ計時部402の第2タイマが計時した時間が、延長許可時間を経過しているかを判定する(S352)。タイマ計時部402の第2タイマが計時した時間が延長許可時間を経過していないと判定した場合(ステップS352におけるNO)、ステップS346からの処理を繰り返す。また、タイマ計時部402の第2タイマが計時した時間が延長許可時間を経過したと判定した場合(ステップS352におけるYES)、切替条件更新部310は、切替時間を、特定時間を追加した切替時間に更新する(S354)。例えば、切替条件更新部310は、特定時間を追加した切替時間を、メモリ174に記憶する。その後、タイマ計時部402は、再度第2タイマを0に設定し、第2タイマの計時を開始し(S356)、ステップS346からの処理を繰り返す。
【0118】
以上のように、第3の実施形態に係る車両1によれば、自動変速モードに切り替わった後の切替後判定時間内に、運転者が前回と同一方向の変速比の変化となるパドル操作をした際に、切替時間を、特定時間延長する。これにより、運転者が切替時間の延長を望むタイミングにおいて、適切に切替時間を延長することができる。そして、適切に切替時間を延長することにより、運転者が最適と感じる、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードへの切り替えを実現することができる。
【0119】
また、第3の実施形態に係る車両1によれば、運転者のブレーキペダル180に対する操作によって、運転者が目標とする変速比もしくは車速に達する前に自動変速モードに自動で切り替わったことを把握できる。これにより、運転者にパドル操作をさせることなく、適切に切替時間を延長することができ、運転者のパドル操作をする煩わしさを軽減することができる。そして、適切に切替時間を延長することにより、運転者が最適と感じる、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードへの切り替えを実現することができる。
【0120】
また、第3の実施形態に係る車両1によれば、延長許可時間を経過したごとに、切替時間を、特定時間延長する。これにより、切替時間が極端に短くなったことにより、運転者がテンポラリマニュアルモードを使用することに煩わしさを感じた場合であっても、運転者が最適と感じる切替時間に戻すことができる。
【0121】
また、第3の実施形態に係る車両1によれば、路面状況ごとに、切替時間や、切替後判定時間、延長許可時間、特定時間を記憶し、路面状況に応じて、切替時間や、切替後判定時間、延長許可時間、特定時間を設定する処理が実行される。これにより、路面状況に応じて、各種の制御情報を設定することができ、路面状況に応じた最適な手動変速モードから自動変速モードへの切り替えを行うことができる。
【0122】
[9.第4の実施形態に係る変速モード制御システム]
次に、
図10を参照して、本発明の第4の実施形態に係る変速モード制御システムが搭載されている車両1について詳細に説明する。なお、第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、主に第3の実施形態と相違する点について以下に説明し、第3の実施形態と同様の構成および機能等については、その詳細説明を省略する。
【0123】
第3の実施形態に係る変速モード制御システムでは、テンポラリマニュアルモードにおいて、運転者が、切替時間内に、シフトレバー160による復帰操作を行った場合、切替時間を第2計時時間に更新する。つまり、運転者の復帰操作があった場合、切替時間は、現在の切替時間よりも早い時間に更新をされる。しかし、例えば、運転者が誤って極端に早いタイミングで復帰操作を行った場合、切替時間は、極端に早い時間に更新されてしまう。そして、極端に早い時間に更新された切替時間は、運転者の一定の操作もしくは一定の時間が経過しない限り、元の切替時間に戻すことができず、テンポラリマニュアルモードにおける操作性が著しく低下させる虞があった。そこで、第4の実施形態に係る変速モード制御システムでは、運転者による極端に早い復帰操作が行われた場合に、切替時間を更新するか否かを判定し、必要に応じて、切替時間を更新する。
【0124】
図10は、第4の実施形態に係る変速モード制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように、第4の実施形態に係る変速モード制御装置170は、上記第3の実施形態に係る変速モード制御装置170の構成要素であるパドル操作検出部300と、変速モード切替部302と、変速比検出部304と、変速比変更部306と、変速比変化量算出部308と、切替条件更新部310と、テーブル記憶部312と、単位変化量判定部400と、タイマ計時部402と、ブレーキ操作検出部500と、切替時間延長判定部502と、路面状況判定部504と、テーブル取得部506に加えて、誤操作判定部600とをさらに含む。
【0125】
誤操作判定部600は、テンポラリマニュアルモードにおいて、シフトレバー160に対する運転者の特定解除操作が行われた場合に、切替時間を更新するか否かを判定する。特定解除操作は、パドルスイッチ150に対する運転者のパドル操作後の誤操作判定時間内に、シフトレバー160に対してされた運転者の復帰操作である。誤操作判定時間は、テンポラリマニュアルモードにおいて、誤操作判定部600が運転者の復帰操作が行われた場合に、切替時間を更新するか否かの判定に用いる基準となり、切替時間よりも短い時間である。誤操作判定時間は、例えば、予め設定された時間である。しかし、これに限定されず、誤操作判定時間は、例えば、算出された時間であってもよいし、路面状況に応じて可変する時間であってもよい。
【0126】
誤操作判定部600は、例えば、特定解除操作が行われることが複数回あった場合、切替時間を更新すると判定する。つまり、特定解除操作が行われることが複数回あった場合は、運転者が意図的に特定解除操作を行っており、運転者の誤操作ではないと考えられるため、切替時間を、切替時間よりも短い特定解除時間に更新する。特定解除時間は、例えば、第2計時時間である。また、これに限定されず、特定解除時間は、例えば、切替時間よりも短く、予め定められた時間であってもよい。なお、特定解除時間が予め定められた時間である場合、切替条件更新部310は、下限時間を設定し、切替時間を更新した際に、下限時間よりも小さい時間に更新しないように制限をかけてもよい。
【0127】
具体的には、例えば、1回目のテンポラリマニュアルモードにおいて、1回目の特定解除操作がされた場合、変速モード切替部302は、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える。その後、運転者によるパドル操作によって、2回目のテンポラリマニュアルモードになった場合に、誤操作判定部600は、2回目のテンポラリマニュアルモードにおいて、2回目の特定解除操作がされた際に、切替時間を更新すると判定する。そして、切替条件更新部310は、特定解除操作が行われることが複数回あった場合、切替時間を、特定解除時間に更新する。この場合の特定解除時間は、対象となる2回の第2計時時間のうち、1回目のみを採用してもよいし、2回目を採用してもよいし、両者の平均時間を採用してもよい。
【0128】
なお、誤操作判定部600が運転者の特定解除操作が行われた場合に、切替時間を更新すると判定するのは、特定解除操作が連続で2回行われた場合に限定されない。例えば、誤操作判定部600は、特定解除操作が3回以上行われた場合に、切替時間を更新すると判定してもよい。また、例えば、誤操作判定部600は、1回目の特定解除操作がされてから、2回目の特定解除操作がされる間に、特定解除操作以外の復帰操作が1回以上行われても、2回目の特定解除操作の際に、切替時間を更新すると判定してもよい。
【0129】
また、誤操作判定部600は、例えば、1回目の特定解除操作がされた場合に、切替時間を更新しないと判定する。つまり、1回目の特定解除操作がされた場合は、運転者が誤って特定解除操作を行った可能性があるため、切替時間を特定解除時間に更新しない。すなわち、切替条件更新部310は、特定解除操作が行われることが1回目であった場合、切替時間を、特定解除時間に更新しない。
【0130】
[10.第4の実施形態に係る変速モード制御システムの処理フロー]
次に、
図11を参照して、第4の実施形態に係る変速モード制御システムの変速モード制御装置170による処理フローについて説明する。
図11は、第4の実施形態に係る変速モード制御装置170による変速モード切替処理を示すフローチャートである。なお、
図11に示すステップS400からステップS410までの処理は、
図8に示す第3の実施形態に係る変速モード制御装置170による変速モード切替処理のステップS300からステップS310までの処理と同一であり、説明を省略する。
【0131】
図11に示すように、ステップS410において第1タイマの計時を開始した後、変速モード切替部302は、タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が、切替時間を経過しているかを判定する(S412)。タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が切替時間を経過したと判定した場合(ステップS412におけるYES)、ステップS424に処理を移す。つまり、変速モード切替部302は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作後、切替時間を経過した際に、テンポラリマニュアルモードから自動変速モードに自動で切り替える。
【0132】
タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が切替時間を経過していないと判定した場合(ステップS412におけるNO)、パドル操作検出部300は、パドルスイッチ150に対する運転者の操作に基づいて、運転者のパドル操作を検出したかを判定する(S414)。
【0133】
ステップS414においてパドル操作が検出されたと判定した場合(ステップS414におけるYES)、ステップS408からの処理を繰り返す。また、ステップS414においてパドル操作が検出されないと判定した場合(ステップS414におけるNO)、変速モード切替部302は、シフトレバー160に対する運転者の操作に基づいて、復帰操作がされたか否かを判定する(S416)。
【0134】
ステップS416において復帰操作がされなかったと判定した場合(ステップS416におけるNO)、ステップS412からの処理を繰り返す。ステップS416において復帰操作がされたと判定した場合(ステップS416におけるYES)、誤操作判定部600は、タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が、誤操作判定時間を経過しているかを判定する(S418)。つまり、自動変速モードへの復帰操作があり、誤操作判定時間が経過している場合は、自動変速モードへの復帰操作は、通常の復帰操作と判定され、自動変速モードへの復帰操作があり、誤操作判定時間が経過していない場合は、自動変速モードへの復帰操作は、特定解除操作と判定される。
【0135】
タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が誤操作判定時間を経過していないと判定した場合(ステップS418におけるNO)、誤操作判定部600は、ステップS416での復帰操作、つまり、特定解除操作が、1回目の特定解除操作であるかを判定する(S420)。
【0136】
特定解除操作が1回目の特定解除操作でないと判定した場合(ステップS420におけるNO)、もしくは、ステップS418において、タイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が誤操作判定時間を経過していると判定した場合(ステップS418におけるYES)、切替条件更新部310は、切替時間を、第2計時時間に更新する(S422)。また、ステップS422において、特定解除操作が2回以上行われている場合、切替条件更新部310は、切替時間を、特定解除時間に更新する。切替条件更新部310は、例えば、更新した切替時間を、メモリ174に記憶する。
【0137】
ステップS422において切替時間を更新した後、もしくは、ステップS412においてタイマ計時部402の第1タイマが計時した時間が切替時間を経過したと判定した場合(ステップ412におけるYES)、もしくは、ステップS420において特定解除操作が1回目の特定解除操作であると判定した場合(ステップS420におけるYES)、変速モード切替部302は、変速モードをテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替え(S424)、変速モード切替処理を終了する。
【0138】
以上のように、第4の実施形態の車両1では、パドルスイッチ150に対する運転者のパドル操作後の誤操作判定時間内に、特定解除操作がされた場合、切替時間を、計時された特定解除時間に更新せず、特定解除操作が複数回行われた場合、切替時間を、特定解除時間に更新する。これにより、運転者が誤って誤操作判定時間よりも早いタイミングで復帰操作をした場合、切替時間を更新せず、運転者が意図的に誤操作判定時間よりも早いタイミングで復帰操作をした場合、切替時間を短い時間に更新することができ、運転者の意図を的確に切替時間に反映させることができる。
【0139】
また、第4の実施形態の車両1では、運転者が特定解除操作を複数回行った場合、切替時間を、第2計時時間に更新することで、切替時間を、運転者が希望する切替時間に直接更新することができるため、運転者が最適と感じる切替時間となるまでに、何度も特定解除操作を行う必要がなくなり、運転者の煩わしさを解消することができる。
【0140】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0141】
例えば、上記実施形態の車両1は、車内カメラ等を用いたドライバーモニタリングシステムを備えるものであってもよい。切替条件更新部310は、ドライバーモニタリングシステムを用いて、車両1を運転する運転者が複数人いる場合に、現在運転している運転者を判定し、運転者ごとに切替条件を更新する。また、テーブル記憶部312は、車両1を運転する運転者が複数人いる場合に、運転者ごとに切替条件をメモリ174に記憶する。これにより、車両1は、切替条件が運転者ごとに更新されるため、車両1を運転する運転者が複数人いる場合であっても、運転者ごとにテンポラリマニュアルモードから自動変速モードに切り替える切替条件が変更され、運転者に合わせた切替条件を選択することができる。
【0142】
また、例えば、上記実施形態では、変速比変更部306は、変速比を変更する変更指示を行うと説明したが、かかる例に限定されない。変速比変更部306は、変速段を変更する変更指示を行うとしてもよい。
【0143】
また、例えば、上記実施形態では、
図1に示す車両1の構成例について説明したが、本発明に係る車両の構成は、かかる例に限定されない。本発明に係る車両は、例えば、
図1に示される車両1に対して一部の構成要素の削除、追加または変更を加えたものであってもよい。
【0144】
また、上述した実施形態によれば、路面状況判定部504は、検知部190による情報に基づいて、車両1が走行する路面状況を判定すると説明したが、かかる例に限定されない。例えば、検知部190で車両1が走行する路面状況を判定してもよい。
【0145】
また、上述した実施形態によれば、変速比変化量算出部308は、運転者のパドル操作に応じて変速を実行した際の変速比から、変速比変更部306の指示により変更された後の変速比を減算し、変速比が変化した方向を算出すると説明したが、かかる例に限定されない。例えば、変速比変化量算出部308は、運転者のパドル操作に応じて変速を実行した際の変速比から、直接変速比が変化した方向、つまり、低速側に変速比が変化したか、もしくは、高速側に変速比が変化したかを導出してもよい。
【0146】
なお、上述した実施形態に係る変速モード制御システムによる一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、または、ソフトウェアとハードウェアとの組合せのうちいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部または外部に設けられる非一時的な記憶媒体(non-transitory media)に予め格納される。そして、プログラムは、例えば、非一時的な記憶媒体(例えば、ROM)から一時的な記憶媒体(例えば、RAM)に読み出され、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0147】
また、上述した実施形態によれば、上記変速モード制御システムの各機能の処理を実行するためのプログラムを提供することができる。さらに、当該プログラムが格納された、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体を提供することもできる。非一時的な記録媒体は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のディスク型記録媒体であってもよいし、または、フラッシュメモリ、USBメモリ等の半導体メモリであってもよい。
【符号の説明】
【0148】
1 車両
150a マイナスパドルスイッチ
150b プラスパドルスイッチ
160 シフトレバー
170 変速モード制御装置(制御装置)
172 プロセッサ
174 メモリ
180 ブレーキペダル
190 検知部
302 変速モード切替部
308 変速比変化量算出部
310 切替条件更新部
312 テーブル記憶部
402 タイマ計時部
500 ブレーキ操作検出部
502 切替時間延長判定部
504 路面状況判定部
506 テーブル取得部
600 誤操作判定部