(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066414
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】温度監視方法、温度制御方法、および溶接機器
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20240508BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240508BHJP
【FI】
B23K31/00 J
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094027
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】202211348135.8
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510283557
【氏名又は名称】富泰華工業(深▲セン▼)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】516114396
【氏名又は名称】鴻富錦精密電子(鄭州)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522138696
【氏名又は名称】河南富▲馳▼科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523196910
【氏名又は名称】太原富馳科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 党飛
(72)【発明者】
【氏名】▲テキ▼ 理想
(72)【発明者】
【氏名】張 恒
(72)【発明者】
【氏名】徐 琴
(72)【発明者】
【氏名】劉 智勇
(72)【発明者】
【氏名】鄭 金松
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コストを抑え、溶接温度の監視の効率を向上させる温度監視方法、温度制御方法、溶接機器を提供する。
【解決手段】本出願は、温度監視方法、温度制御方法、および溶接機器を提供し、温度監視方法は、材料の溶接温度を制御する複数の予設パラメータを設けるステップ、材料を加熱する過程中に、予設パラメータのグループ毎に、材料の表面温度と対応する参考温度とを採取するステップ、各表面温度に対応する参考温度とに基づいて、予設関数を用いて溶接温度を算出するステップ、および予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析して、材料の溶接温度制御の目標パラメータを決定し、目標パラメータをサーバに送信するステップ、を備える。本出願は、物品の溶接過程に対して効果的な温度管理を行うことができて、溶接効率を高めることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の溶接温度を制御する複数の予設パラメータを設けるステップ、
前記材料を加熱する過程中に、前記予設パラメータのグループ毎に、前記材料の表面温度と対応する参考温度とを採取するステップ、
各表面温度に対応する参考温度とに基づいて、予設関数を用いて溶接温度を算出するステップ、および
前記予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析して、前記材料の溶接温度制御の目標パラメータを決定し、前記目標パラメータをサーバに送信するステップ、
を備える温度監視方法。
【請求項2】
各グループの前記予設パラメータは、複数の温度区間を含み、温度区間ごとに1つの加熱期間が対応付けられており、
各グループの前記予設パラメータに対応する加熱期間ごとの複数の溶接温度によって、グループごとの前記予設パラメータに対応する第1曲線を作成するステップ、
各グループの前記予設パラメータに対応する加熱期間ごとの参考温度によって、グループごとの前記予設パラメータに対応する第2曲線を作成するステップ、
各グループの前記予設パラメータでの前記第1曲線と前記第2曲線の一致率を算出するステップ、を備える請求項1に記載の温度監視方法。
【請求項3】
前記予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析する前に、
一致率が予設閾値以下である一グループまたは複数グループの前記予設パラメータに対応する溶接温度を濾過除去するステップ、をさらに備える請求項2に記載の温度監視方法。
【請求項4】
前記予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析するステップは、
前記予設パラメータの一グループ又は複数グループに対応する溶接温度の一致度を算出し、最大の一致度に対応する前記予設パラメータの一グループを前記目標パラメータとして決定することを含む、ことを特徴とする請求項2または3に記載の温度監視方法。
【請求項5】
前記材料上の複数の材料検出ポイントを決定するステップ、および
前記材料を加熱する際に、前記複数の材料検出ポイントの表面温度を採取するステップ、をさらに備える請求項1に記載の温度監視方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の温度監視方法に基づいて前記材料の溶接温度を制御する前記目標パラメータを得る温度制御方法であって、
被溶接材料に対応する前記目標パラメータを取得するステップ、および
取得した前記目標パラメータに基づいて前記被溶接材料の加熱を制御して、前記被溶接材料の表面温度が温度閾値に達するまで、前記被溶接材料の加熱を停止するステップ、を備える温度制御方法。
【請求項7】
取得した前記目標パラメータは、目標温度区間およびこれに対応する加熱期間を複数グループ含み、
取得した前記目標パラメータに基づいて前記被溶接材料の加熱を制御するステップは、
いずれかの加熱期間内において、前記被溶接材料のフィードバック温度をリアルタイムで取得するステップ、
前記フィードバック温度が前記いずれかの加熱期間に対応する目標温度区間内に維持されるように制御されるステップ、を備える請求項6に記載の温度制御方法。
【請求項8】
前記フィードバック温度が前記いずれかの加熱期間に対応する目標温度区間内に維持されるように制御されるステップは、
前記いずれかの加熱期間における前記フィードバック温度が、前記いずれかの加熱期間に対応する前記目標温度区間の下限値を小さいことを検知すると、赤外加熱装置の加熱電力を上げるステップ、および
前記いずれかの加熱期間における前記フィードバック温度が、前記いずれかの加熱期間に対応する前記目標温度区間の上限値よりも大きいことを検知すると、赤外加熱装置の加熱電力を下げるステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の温度制御方法。
【請求項9】
プロセッサおよびメモリを備える溶接機器であって、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、請求項1~5のいずれか1項に記載の温度監視方法、または請求項6~8のいずれか1項に記載の温度制御方法を実現することを特徴とする溶接機器。
【請求項10】
少なくとも一つのコンピュータ命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記少なくとも一つのコンピュータ命令がプロセッサにより実行されるときに、請求項1~5のいずれか1項に記載の温度監視方法、または請求項6~8のいずれか1項に記載の温度制御方法を実現することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、温度監視技術分野に関し、特に、温度監視方法、温度制御方法、および溶接機器に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接の過程では、通常、溶接温度を検出する必要があり、溶接時の温度が高くなり過ぎて溶接された材料にダメージを与えることを防止する。このため、一般的に採用された方法は、外部の装置である検温プレートを利用して材料の溶接温度の検出を行うものであり、溶接温度の検出の精度に高い要求がある。従来、このような方法は、大量の人手による検出を必要とし、特に材料が多い場合、大量の検査コストがかかり、検出の効率が低い。
【発明の概要】
【0003】
本願の実施例は、溶接温度の監視の効率低下及びコスト高などの課題を解決することができる温度監視方法、温度制御方法、および溶接機器を開示する。
【0004】
本出願は、温度監視方法を開示しており、該方法は、
材料の溶接温度を制御する複数の予設パラメータを設けるステップ、
前記材料を加熱する過程中に、前記予設パラメータのグループ毎に、前記材料の表面温度と対応する参考温度とを採取するステップ、
各表面温度に対応する参考温度とに基づいて、予設関数を用いて溶接温度を算出するステップ、および
前記予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析して、前記材料の溶接温度制御の目標パラメータを決定し、前記目標パラメータをサーバに送信するステップ、を備える。
【0005】
ある好ましい態様において、各グループの前記予設パラメータは、複数の温度区間を含み実施形態では区間ごとに1つの加熱期間が対応付けられており、前記方法は、
各グループの前記予設パラメータに対応する加熱期間ごとの複数の溶接温度によって、グループごとの前記予設パラメータに対応する第1曲線を作成するステップ、
各グループの前記予設パラメータに対応する加熱期間ごとの参考温度によって、グループごとの前記予設パラメータに対応する第2曲線を作成するステップ、
各グループの前記予設パラメータでの前記第1曲線と前記第2曲線の一致率を算出するステップ、を備える。
【0006】
ある好ましい態様において、前記予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析する前に、前記方法は、
一致率が予設閾値以下である一グループまたは複数グループの前記予設パラメータに対応する溶接温度を濾過除去するステップ、をさらに備える。
【0007】
ある好ましい態様において、前記予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析するステップは、
前記予設パラメータの一グループ又は複数グループに対応する溶接温度の一致度を算出し、最大の一致度に対応する前記予設パラメータの一グループを前記目標パラメータとして決定することを含む。
【0008】
ある好ましい態様において、前記方法は、
前記材料上の複数の材料検出ポイントを決定するステップ、および
前記材料を加熱する際に、前記複数の材料検出ポイントの表面温度を採取するステップ、をさらに備える。
【0009】
本出願は、前記温度監視方法に基づいて前記材料の溶接温度を制御する前記目標パラメータを得る温度制御方法をさらに提供しており、前記温度制御方法は、
被溶接材料に対応する前記目標パラメータを取得するステップ、および
取得した前記目標パラメータに基づいて前記被溶接材料の加熱を制御して、前記被溶接材料の表面温度が温度閾値に達するまで、前記被溶接材料の加熱を停止するステップ、を備える。
【0010】
ある好ましい態様において、取得した前記目標パラメータは実施形態では区間およびこれに対応する加熱期間を複数グループ含み、取得した前記目標パラメータに基づいて前記被溶接材料の加熱を制御するステップは、
いずれかの加熱期間内において、前記被溶接材料のフィードバック温度をリアルタイムで取得するステップ、
前記フィードバック温度が前記いずれかの加熱期間に対応する目標温度区間内に維持されるように制御されるステップ、を備える。
【0011】
ある好ましい態様において、前記フィードバック温度が前記いずれかの加熱期間に対応する目標温度区間内に維持されるように制御されるステップは、
前記いずれかの加熱期間における前記フィードバック温度が、前記いずれかの加熱期間に対応する前記目標温度区間の下限値を小さいことを検知すると、赤外加熱装置の加熱電力を上げるステップ、および
前記いずれかの加熱期間における前記フィードバック温度が、前記いずれかの加熱期間に対応する前記目標温度区間の上限値よりも大きいことを検知すると、赤外加熱装置の加熱電力を下げるステップを含む。
【0012】
本出願は、プロセッサおよびメモリを備える溶接機器をさらに提供しており、前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、前記温度監視方法、または前記温度制御方法を実現する。
【0013】
本出願は、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供しており、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるときに、前記温度監視方法、または前記温度制御方法を実現する。
【0014】
本出願による温度監視方法および温度制御方法は、溶接中に、監視し得る材料の表面温度及び参考温度に基づいて、材料を溶接温度制御する目標パラメータを決定することができ、溶接時の溶接温度の監視効率が向上し、他の外付け設備を用いることなく、目標パラメータを用いて溶接温度を制御することができ、監視コストを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願実施例による温度監視方法の適用場面を示す図である。
【
図2】本願実施例による溶接機器の動作を示す図である。
【
図3】本願実施例による温度監視方法のフローチャートである。
【
図5】本願実施例による表面温度をフィッティングして得られる曲線を示す図である。
【
図7】本願実施例による温度制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
理解を容易にするために、本出願の実施形態に関するいくつかの概念の例示的な説明が、参考のために与えられた。
【0017】
なお、本願において「少なくとも1つ」とは、1つ又は複数を意味し、「複数」とは、2つ又は2つより多いことを意味する。「及び/又は」は、関連オブジェクトの間の関連関係を記述し、3つの関係が存在してもよいことを意味し、例えば、A及び/又はBは、A単体で存在する場合、AとBが同時に存在する場合、B単体で存在する場合であってもよく、ここでA、Bはそれぞれ単数または複数であってもよい。本願の明細書及び特許請求の範囲及び図面中の用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等(存在であれば)は、特定の順番又は前後順位を記述するものではなく、類似物を区別するために用いられる。
【0018】
以下、本願実施例による温度監視方法、温度制御方法及び溶接機器をより良く理解するために、まず本願温度監視方法の適用場面について説明する。
【0019】
図1は、本願実施例による温度監視方法の適用場面を示す図である。本願実施例による温度監視方法は、溶接機器1に適用され、溶接機器1は、材料(溶接板)のメンテナンスに用いられる赤外線溶接機器であってもよい。溶接機器1は、通信バス10を介して接続されるメモリ11と、少なくとも1つのプロセッサ12と、赤外装置13と、サーモグラフィ14とを有するが、これらに限定されない。前記赤外装置13は、赤外高温計131及び赤外加熱装置132を含む。溶接機器1は、例えば複数の溶接機器1が異種類の材料に対する溶接を行う際に参照又は最適化すべき関連パラメータ等、異なる機器のパラメータデータを受信・記憶・送信するサーバ2と接続され得る。
【0020】
以下、溶接機器1における各部品の関連機能を説明するために、
図2を参照して説明する。
【0021】
図2は、溶接機器1の動作を示す図であり、
図2に示すように、実用上、赤外加熱装置132により材料を加熱する。加熱中に、サーモグラフィ14により材料の表面温度をリアルタイムで監視し、赤外高温計131により材料の表面の温度を監視して、フィードバック温度が得られる。プロセッサ12は、検出されたフィードバック温度が予め設定された要求に適合しなければ、赤外加熱装置132への制御指令を発して、赤外加熱装置13により材料への加熱の度合いを制御して、例えば、電力を上げたり、電力を下げたりして、材料のフィードバック温度が予設の要求に合うようにする。
【0022】
概略図である上記
図1は、溶接機器1の構成を限定するものではなく、溶接機器1の単なる例であり、図示されたコンポーネントよりも多いまたは少ないコンポーネントを含んで構成されたり、またはいくつかのコンポーネントを組み合わせることにより構成されたり、または異なるコンポーネントにより構成されることを当業者は理解すべきである。例えば、溶接機器1は更に入力および出力デバイス、ネットワークアクセスデバイスなどを含むことができる。
【0023】
本願実施例は、材料を溶接する際の検査コストが高く、検査効率が低いという課題を解決するために、溶接温度を監視する効率を高め、溶接作業の検査コストを低減することが可能な温度監視方法を提供する。
【0024】
図3に示すように、本願実施例による温度監視方法のフローチャートである。本開示に係る温度監視方法は、溶接機器(例えば
図1の溶接機器1)に適用される。フローチャートのステップの手順は、さまざまな要件に応じて変更できたり、一部のステップは省略することができる。
【0025】
材料の溶接温度を制御する複数グループの予設パラメータを設けるステップ31。
【0026】
実際の応用においては、溶接プロセスを実現するのに必要な機器である溶接機器を用いて材料を溶接することができる。溶接機器は、溶接機と、溶接プロセス設備と、溶接補助具とを含み、溶接機は赤外高温計と赤外加熱装置とを含む赤外線機器であってもよく、溶接補助具はサーモグラフィーであってもよい。材料は、溶接対象とする物理的な部品であってもよく、物理的な部品は、携帯電話の内部のチップなどの携帯電話内部の部品であってもよい。
【0027】
本願実施例において、溶接機器による材料の溶接を開始する前に、予め、加熱期間に対応する複数の温度区間を含む所定のパラメータを複数グループ設定しておくことができる。具体的には、複数の温度区間は、例えば、0~100℃、100~200℃、200~300℃などの温度区間を含んでもよい。予め定められた1つの材料に対する加熱時間は、予め設定された時間の長さであってもよいし、実際の状況によって決定されてもよい。加熱期間内の異なる段階(例えば、異なる温度区間)の温度をより制御するために、加熱期間を温度区間毎に対応するように複数の加熱段階に切り分けられ、例えば、加熱時間が15分であれば、加熱期間を第1温度区間0~100℃に対応する第1加熱期間の0分~5分、第2温度区間100℃~200℃に対応する第2加熱期間の5分~10分、第3温度区間200~300℃に対応する第3加熱期間の10分~15に分けられる。このようにして、設定された複数グループの予設パラメータを用いて溶接温度の制御が行われる。
【0028】
材料を加熱する過程中に、予設パラメータのグループ毎に、材料の表面温度と対応する参考温度とを採取するステップ32。
【0029】
本願実施例では、複数グループの予設パラメータのセット完了後に、複数グループの予設パラメータから各グループを選択して材料を加熱する。材料を加熱する過程中に、選択された予設パラメータに従って、材料の加熱が行われ、例えば、一グループの予設パラメータは、第1加熱期間に設定された0℃~100℃、第2加熱期間に設定された100℃~200℃、および第3加熱期間に設定された200~300℃を含む。そのうち、第1期間は0分~5分であってもよく、第2期間は5分~10分であってもよく、第3期間は10分~15分であってもよく、各加熱期間内に設定された温度区間に応じて材料を加熱する。サーモグラフィーにより材料の表面温度を採取し、材料の表面温度を採取する際、材料の予め決められた複数の検出ポイントの表面温度を同時に採取することができる。
【0030】
なお、表面温度の採取時には、検温プレートにより各材料の検出ポイントに対応する温度を参考温度として採取し、各表面温度は参考温度に対応するものとし、この参考温度を材料の溶接時の標準溶接温度とする。
【0031】
各表面温度に対応する参考温度とに基づいて、予設関数を用いて溶接温度を算出するステップ33。
【0032】
本願実施例では、採取により材料の表面温度と対応する参考温度を取得する後で、材料の表面温度と対応する参考温度とから予設関数によって溶接温度を算出する。例えば、いずれかの加熱期間において採取された材料の参考温度は200℃であり、その対応する表面温度は180℃であり、表面温度は、予設関数に基づいて、予め設定された相関係数により可能な限り参考温度に近づくように調整され得る。すなわち、予設関数および相関係数に基づいて180℃である表面温度が、200℃である参考温度に近づくように調整される。調整後の表面温度を溶接温度として算出した。
【0033】
予設パラメータのグループごとに対応する溶接温度とそれに対応する参考温度とのマッチング関係を解析して、材料の溶接温度制御の目標パラメータを決定し、目標パラメータをサーバに送信するステップ34。
【0034】
本願実施例では、溶接温度を算出して得た後、いずれかのグループの予設パラメータに対応する加熱期間ごとの複数の溶接温度に基づいて、加熱期間ごとの時刻ごとに対応する溶接温度に基づいて、いずれかグループの予設パラメータに対応する第1曲線をフィッティングする。
【0035】
予設パラメータのグループ毎に対応する加熱期間に対して、加熱期間内の時刻毎に対応する参考温度に応じて、いずれかグループの予設パラメータに対応する第2曲線をフィッティングし、第1及び第2曲線は同じ予設パラメータで作成されたものであり、複数グループの予設パラメータに基づいて対応する第1及び第2曲線を作成することができる。
図4は第1曲線の模式図であり、
図5は表面温度をフィッティングして得る曲線図であり、
図6は第2曲線の模式図である。
図4、
図5、
図6の横軸は、いずれも複数の温度区間からなる加熱時長(T)であり、縦軸は複数の温度区間(℃)であり、第2の曲線を例として、参考温度を検出する際に設定された予設パラメータが第2曲線から見えることができ、例えば、0~13分に対応する温度区間を0~100℃とする。
【0036】
複数グループの予設パラメータから効率よく目標パラメータを決定するために、複数グループの予設パラメータに基づいてそれぞれ作成された第1曲線をフィルタリングし、所望の曲線からずれの大きい曲線に対応する1グループ又は複数グループの予設パラメータを濾過除去して、有効な予設パラメータがフィッティングされた第1曲線を残し、有効な予設パラメータがフィッティングされた第1曲線から目標パラメータを決定するようにしてもよい。具体的には、上述の
図4および
図6を参照して、フィッティングされた第1曲線および第2曲線に基づいて、第1曲線および第2曲線の一致率を算出し、一致率により第1曲線が所望の曲線であるか否かを評価する。
【0037】
本願実施例において、第1曲線と第2曲線との一致度を判定するために、第1曲線を判定するための予設閾値を設けることで、第1曲線と第2曲線とのずれ度を評価することができる。
【0038】
第1曲線と第2曲線との一致率が予設閾値以下であると、算出した溶接温度に対応する第1曲線が所望の曲線から大きくずれしていることを示し、ずれが大きい第1曲線に対応する予設パラメータが所望に達していないことを示し、溶接過程の温度を有効に制御することができない。ずれが大きいことが確認された第1曲線に対応する予設パラメータを濾過除去し、ずれが大きい第1曲線に対応する予設パラメータに対応する溶接温度を濾過除去する。
【0039】
第1曲線と第2曲線との一致率が予設閾値より大きいと、算出した溶接温度に対応する第1曲線と、所望の曲線とのずれが小さいことを示し、ずれが小さい第1曲線に対応する予設パラメータが所望に達したことを示し、所望に達した予設パラメータに対応する溶接温度を解析し、溶接機器で解析してもよいし、サーバに送信して解析してもよい。
【0040】
本願実施例において、具体的な解析は、予設パラメータの一グループ又は複数グループに対応する溶接温度の一致度を算出することを含み、溶接温度と対応する参考温度との一致度を算出し、算出された溶接温度の精度を一致度を用いて評価し、最大の一致度に対応する予設パラメータの一グループを目標パラメータ、即ち最も精度の高い予設パラメータの一グループを目標パラメータとして決定するようにしても良い。
【0041】
決定された目標パラメータを、材料に対する溶接温度の制御を行う目標パラメータとしてサーバに送信する。そのうち、目標パラメータをサーバに送信する前に、溶接温度の変化の曲線をクライアントで見ることができるように目標パラメータをクライアントに送信することで、溶接機器の動きをリアルタイムで知ることができ、クライアントを介して目標パラメータをサーバに送信することができる。
【0042】
本出願は、材料の表面温度と対応する参照温度を採取し、材料の溶接温度を算出し得られ、さらに溶接温度を解析することで、溶接時の温度制御の目標パラメータを確保し、材料に対する溶接効率を向上させる。
【0043】
本願実施例はまた、ステップ31~ステップ34の温度監視方法に基づいて材料の溶接温度を制御する目標パラメータを得る温度制御方法を提供しており、
図7に示すようlに、本願実施例による温度制御方法のフローチャートである。
【0044】
被溶接材料に対応する目標パラメータを取得するステップ71。
【0045】
被溶接材料を特定した後は、被溶接材料のコード、名称、仕様、型番などの情報に基づいて対応する目標パラメータをサーバから取得することができる。上述したように、目標パラメータは、複数の温度区間を含み、温度区間ごとに1つの加熱期間が対応付けられている。
【0046】
複数の加熱期間に対応する被溶接材料の温度区間によってフィードバック温度を制御することにより、被溶接材料の表面温度を制御して、サーモグラフィが被溶接材料の表面温度をリアルタイムで監視する。
【0047】
取得した目標パラメータに基づいて、被溶接材料の加熱を制御して、被溶接材料の表面温度が温度閾値に達するまで、被溶接材料の加熱を停止するステップ72。
【0048】
本願実施例において、取得した目標パラメータに基づいて、溶接機器における赤外加熱装置を用いて被溶接材料を加熱し、被溶接材料の加熱中に、溶接機器の赤外高温計を用いて被溶接材料のフィードバック温度をリアルタイムに検出し、検出したフィードバック温度に基づいて赤外加熱装置の加熱電力を制御する。
【0049】
いずれかの加熱期間内において、赤外高温計により被溶接材料のフィードバック温度をリアルタイムに採取し、赤外高温計により検出されたフィードバック温度に基づいて、赤外加熱装置がフィードバック温度をいずれかの加熱期間に対応する目標温度区間内に維持されるように、赤外加熱装置による被溶接材料の加熱を制御する。
【0050】
いずれかの加熱期間におけるフィードバック温度が、いずれかの加熱期間に対応する目標温度区間の下限値を下回ったことを赤外線高温計により検知すると、プロセッサにより赤外加熱装置に加熱指令を発信することで、赤外加熱装置の加熱電力を上げる。
【0051】
いずれかの加熱期間におけるフィードバック温度が、いずれかの加熱期間に対応する目標温度区間の下限値よりも大きいことを赤外線高温計により検知すると、プロセッサにより赤外加熱装置に降温指令を発信することで、赤外加熱装置の加熱電力を下げる。
【0052】
赤外高温計は、いずれかの加熱期間におけるフィードバック温度が、いずれかの加熱期間に対応する目標温度区間内にあることを検出すると、赤外加熱装置の現在の加熱電力を維持する。
【0053】
被溶接材料を加熱する前に、予め温度閾値を設定しておき、加熱中に、赤外高温計により検知された被溶接材料のフィードバック温度が、予め設定された温度閾値に達した場合に、過度な高温による被溶接材料への損害を防止するように、赤外加熱装置による被溶接材料の加熱を停止するように制御してもよい。
【0054】
本出願は、溶接機器に対して予め設定されたパラメータを複数グループ設け、複数グループの予設パラメータに対応する溶接温度を解析することにより、材料に対して最適な溶接温度に対応する予設パラメータを目標パラメータとして決定するものである。目標パラメータの決定後、目標パラメータをサーバに送信する。同じ仕様の材料(すなわち被溶接材料)に対する溶接を必要とする場合、目標パラメータに基づいて被溶接材料の温度制御を行い、被溶接材料に対するインテリジェント溶接を行う効果を奏する。さらに、被溶接材料をインテリジェントメンテナンスする目標を達成し、被溶接材料の溶接効率を向上させる。本出願は、他の外付け装置が不要となり、被溶接材料に対する溶接コストが低減される。
【0055】
図1を引き続き参照して、本実施例において、前記メモリ11は、溶接装置1の内部メモリ、すなわち、前記溶接機器1に内蔵されたメモリであってもよい。
【0056】
他の実施例では、前記メモリ11は、溶接機器1の外部メモリ、すなわち、前記溶接設備1に外付けされたメモリであってもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、前記メモリ11は、プログラムコードおよび各種データを記憶し、溶接機器1の動作中に、高速且つ自動的にプログラムやデータのアクセスを実現する。
【0058】
前記メモリ11は、ランダムアクセスメモリを含み、更に、例えば、ハードディスク、メモリ、プラグインハードディスク、スマートメモリカード(Smart Media<登録商標> Card:SMC)、セキュアデジタル(Secure Digital:SD)カード、フラッシュカード(Flash Card)、少なくとも1つのディスクストレージ装置、フラッシュ装置等の不揮発性メモリや、その他の不揮発性ソリッドステートストレージ装置を含む。
【0059】
一実施例において、前記プロセッサ12は、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)であってもよく、または他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはその他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントなどであってもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサまたはプロセッサであってもよく、他の任意の従来のプロセッサなどであってもよい。
【0060】
このメモリ11におけるプログラムコードや各種データは、ソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、スタンドアロン製品として販売または使用される場合、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納することができる。このような理解に基づいて、本発明は、前述の実施形態のプロセスの全部または一部(例えば、温度監視方法および温度制御方法)を実施し、関連するハードウェアを指示するコンピュータプログラムによって実施することもできる。上記のコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納することができ、前記コンピュータプログラムはプロセッサによって実行されることにより、上述の各実施形態のステップが実装される。ここで、前記コンピュータプログラムは、ソースコード形式、オブジェクトコード形式、実行可能ファイルまたは何らかの中間形式の形態であり得るコンピュータプログラムコードを含む。前記コンピュータ可読媒体は、前記コンピュータプログラムコードを運ぶことができる任意のエンティティまたは装置、記録媒体、USBフラッシュドライブ、モバイルハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、コンピュータメモリ、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory:ROM)等を含む。
【0061】
なお、上記説明したモジュール分割は、論理的な機能分割であり、実際に実現されると別の分割が可能であると理解される。さらに、本発明の各実施形態における各機能モジュールは、同じ処理ユニットに集積されてもよく、各モジュールが物理的に別々に存在してもよく、または2つ以上のモジュールが同じユニットに集積されてもよい。上記の集積されたユニットは、ハードウェアの形式で実装されたり、またはハードウェアとソフトウェア機能モジュールの形式で実装できる。
【0062】
上記の各実施形態は、ただ本発明の技術的解決策を説明するためのものであり、限定することを意図するものではなく、好ましい実施形態を参照して、本発明について詳細に説明しているが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の技術的解決策を修正または同等に置換できることを理解すべきである。