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特開2024-6643化粧シート、化粧板、及び化粧シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006643
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】化粧シート、化粧板、及び化粧シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240110BHJP
   C08J 5/18 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
B32B27/00 E
C08J5/18 CES
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107729
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 麻美子
(72)【発明者】
【氏名】戸賀崎 浩昌
(72)【発明者】
【氏名】氏居 真弓
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
【Fターム(参考)】
4F071AA20
4F071AD06
4F071AE05
4F071AE17
4F071AF20Y
4F071AF21Y
4F071AH03
4F071BB06
4F071BC01
4F071BC12
4F100AA01C
4F100AK03C
4F100AK07C
4F100AT00A
4F100BA03C
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CA23C
4F100CA30C
4F100CB05E
4F100EJ65E
4F100EJ91D
4F100EJ91E
4F100HB00
4F100HB31B
4F100JB16C
4F100JK02C
4F100JK08C
4F100JL10A
4F100JL14E
4F100JN01C
4F100JN18D
4F100JN18E
(57)【要約】
【課題】透明原反の伸縮を抑制し、透明原反の両面に形成する各層を、それぞれ目標とする位置に容易且つより高精度に形成することの可能な化粧シートを提供する。
【解決手段】化粧シート10は、透明オレフィンシートから構成される透明原反20と、透明原反20の裏面側に順に形成された印刷絵柄層50及び着色層40と、透明原反20の表面側に形成された表面保護層60と、を有し、20透明原反は、ナノサイズの添加剤としての分散剤が添加され、透明原反20の両面のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、透明原反20は透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂を含み、引っ張り試験における降伏点が、40℃下において15N/mm以上であり、且つ降伏点に達したときの伸び率が5%以内である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明オレフィンシートから構成される透明原反と、
当該透明原反の裏面側に順に形成された印刷絵柄層及び着色層と、
前記透明原反の表面側に形成された表面保護層と、を有し、
前記透明原反は、ナノサイズの添加剤としての分散剤が添加され、前記透明原反の両面のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、
前記透明原反は透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂を含み、引っ張り試験における降伏点が40℃下において15N/mm以上であり、且つ当該降伏点に達したときの伸び率が5%以内であることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
引っ張り試験における降伏点が常温下において24N/mm以上であり、かつ当該降伏点に達したときの伸び率が3%以内であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記表面保護層は、高艶層と、当該高艶層と平面視で部分的に重なる低艶層とが積層されてなり、平面視で、前記高艶層と前記低艶層とが重なる領域から形成される柄を有し、当該柄と前記印刷絵柄層の絵柄とは平面視で少なくとも一部が重なっていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記透明原反には、無機フィラーが添加されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記透明原反は、透明スキン層、透明コア層、透明スキン層の順に積層された2種3層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記透明原反の裏面側には、前記印刷絵柄層から最も遠い側にプライマー層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記プライマー層の前記透明原反とは逆側に、粘着剤層と、剥離紙とを有することを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記プライマー層の前記透明原反とは逆側に、基板が接着されていることを特徴とする請求項6に記載の化粧シートを用いた化粧板。
【請求項9】
透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂にナノサイズの添加剤としての分散剤を添加して押出し成形し、引っ張り試験における降伏点が40℃下において15N/mm以上であり、且つ、当該降伏点に達したときの伸び率が5%以内となる透明原反を製造する第1の工程と、
前記第1の工程で製造した前記透明原反の裏面側に、印刷絵柄層を形成する第2の工程と、
前記第2の工程の後、又は前記第2の工程に先立ち、前記透明原反の表面側に、表面保護層を形成する第3の工程と、を有し、
当該第3の工程は、前記表面保護層として低艶層と高艶層とを積層し、且つ平面視で前記低艶層が前記高艶層と部分的に重なるように形成する工程を含み、平面視で前記低艶層と前記高艶層とが重なる領域から柄を形成し、当該柄と前記印刷絵柄層の絵柄とが平面視で少なくとも一部が重なるように形成することを特徴とする化粧シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート、化粧板、及び化粧シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の内外装、建具、家具(室内ドア、玄関収納など)、造作材(見切り、周り縁、巾木、窓枠、ドア枠など)、床材などの表面化粧などには、その表面に意匠性や耐久性を付与するために、化粧シートが貼られている。この化粧シートは、燃焼時のガスの問題から近年ではオレフィン系材料のものが主に使用されている(特許文献1~3参照)。例えば、表面の摩耗から絵柄を守るために、化粧シートを複層にし、着色オレフィンシート上に絵柄を印刷したものの上に透明のオレフィンシートを貼り合わせたものが広く使われている(特許文献2の段落[0034]及び図1参照、特許文献3の段落[0059]及び図1参照)。
【0003】
また、近年では、印刷柄と表面保護層の柄とを同調させた、意匠性の高い化粧シートも作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-110929号公報
【特許文献2】特開2015-199313号公報
【特許文献3】特開2016-101663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の化粧シートにあっては、着色オレフィンシートに絵柄を印刷する工程と、絵柄の上に透明のオレフィンシートを貼り合わせるラミネート工程とが必要となる。そのため、表面保護層の柄を印刷柄と同調させるためには、着色原反に絵柄を印刷した後に、透明オレフィンシートを貼り合わせ、その後に、透明オレフィンシートの上に、絵柄と同調するように低艶層を塗工することで、表面保護層の柄と絵柄とを同調させる必要がある。
【0006】
つまり、絵柄印刷と、低艶層印刷とが別工程で実施されるため、絵柄と低艶層とを同調させるためには、高精度に印刷位置を調整する必要があり、ロスが多く発生する。
また、絵柄が印刷された着色オレフィンシートと透明のオレフィンシートとを貼り合わせる貼り合わせ工程などで、これらシートに熱やテンションがかかると、絵柄を印刷した着色オレフィンシートが伸縮する可能性があり、その結果、印刷した絵柄と低艶層の柄とがずれる可能性がある。そのため、貼り合わせ工程などの製造工程におけるシートの伸縮を予め考慮して、低艶層用の印刷版を設計する必要がある。
【0007】
本発明は、これらの問題に着目してなされたものであり、透明原反の伸縮を抑制し、透明原反の両面それぞれに形成される各層を、透明原反の両面それぞれの目標とする位置に容易且つより高精度に形成することの可能な化粧シート、化粧材、及び化粧シートの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る化粧シートは、透明オレフィンシートから構成される透明原反と、当該透明原反の裏面側に順に形成された印刷絵柄層及び着色層と、前記透明原反の表面側に形成された表面保護層と、を有し、前記透明原反は、ナノサイズの添加剤としての分散剤が添加され、前記透明原反の両面のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、前記透明原反は透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂を含み、引っ張り試験における降伏点が40℃下において15N/mm以上であり、且つ当該降伏点に達したときの伸び率が5%以内であることを特徴としている。
また、本発明の他の態様に係る化粧板は、上記形態の化粧シートを用いた化粧板であって、前記プライマー層の前記透明原反とは逆側に、基板が接着されていることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の他の態様に係る化粧シートの製造方法は、透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂にナノサイズの添加剤としての分散剤を添加して押出し成形し、引っ張り試験における降伏点が40℃下において15N/mm以上であり、且つ、当該降伏点に達したときの伸び率が5%以内となる透明原反を製造する第1の工程と、前記第1の工程で製造した前記透明原反の裏面側に、印刷絵柄層を形成する第2の工程と、前記第2の工程の後、又は前記第2の工程に先立ち、前記透明原反の表面側に、表面保護層を形成する第3の工程と、を有し、当該第3の工程は、前記表面保護層として低艶層と高艶層とを積層し、且つ平面視で前記低艶層が前記高艶層と部分的に重なるように形成する工程を含み、平面視で前記低艶層と前記高艶層とが重なる領域から柄を形成し、当該柄と前記印刷絵柄層の絵柄とが平面視で少なくとも一部が重なるように形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、透明原反の両面それぞれに形成される各層を、それぞれの目標とする位置に容易に且つより高精度に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る化粧シートの一例を模式的に示す断面図である。
図2】実施形態1に係る化粧シートの変形例を模式的に示す断面図である。
図3】実施形態2に係る化粧シートの一例を模式的に示す断面図である。
図4】実施形態1に係る化粧シートの変形例を模式的に示す断面図である。
図5】実施形態2に係る化粧シートの変形例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
本発明の一実施形態(以下、「実施形態1」という。)について、以下に図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造などが下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
(実施形態1に係る化粧シート10)
図1中、10は、化粧シートであり、図示しないが、例えば室内に使用され、建具(室内ドア、玄関収納)・造作材(見切り、廻り縁、巾木、窓枠、ドア枠)などの表面に貼られ、家や部屋毎に建具・造作材の柄を合わせたりして使用される。
化粧シート10は、次の各層を含み、各層が(1)から順に設けられる。
なお、次の(1)~(5)については後述する。
(1)プライマー層30
(2)着色層40
(3)印刷絵柄層50
(4)透明原反20
(5)表面保護層60
なお、化粧シート10の各層は、上記した(1)~(5)に限定されず、図1に示すように、プライマー層30の側に基板70を接着し、化粧板11としても良く、また、図示しないが、プライマー層30の側に、粘着剤層と、剥離紙とをこの順に追加して、化粧タックシートとしても良い。
また、上記「(1)プライマー層30」を省略しても良い。すなわち、上記「(2)着色層40」にプライマー層としての機能があれば、プライマー層30を省略可能である。
【0014】
(透明原反20)
透明原反20は、化粧シート10の支持体となるものであって、透明オレフィンシートからなる。
透明原反20は、単層で形成され、ナノサイズの添加剤としての分散剤が添加されている。
透明原反20は、単層であるため、薄膜化が容易であり、更にナノサイズの添加剤を使用することで、薄膜でもシートを硬くすることができる。
【0015】
(化粧シート10の主な特徴)
本実施形態1に係る化粧シート10の主な特徴は、次の通りである。
(1)本実施形態1に係る化粧シート10は、透明オレフィンシートから構成される単層フィルムである透明原反20の裏面側に、絵柄を印刷した印刷絵柄層50、着色層40、プライマー層30が順に形成され、透明原反20の表面側に、表面保護層60が形成され、透明原反20の表面側及び裏面側のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、透明原反20には、ナノサイズの添加剤としての分散剤が添加されている。さらに、透明原反は引っ張り試験における降伏点が、40℃下において15N/mm以上であり、且つ降伏点に達したときの伸び率が5%以内である。
【0016】
本実施形態1によれば、化粧シート10の製造時に、他のシートのラミネート工程がないため、印刷から表面保護層60を付与するまでの製造工程を1工程のインラインで行うことができる。
また、引っ張り試験における降伏点が、40℃下において15N/mm以上であり、且つ降伏点に達したときの伸び率が5%以内であり、さらに、常温下においては降伏点が24N/mm以上であり、且つ降伏点に達したときの伸び率が3%以内となる透明原反を形成したため、製造過程において熱やテンションがかかることなどによる透明原反の伸縮を抑制することができる。そのため、透明原反の両面それぞれに形成される表面保護層及び印刷絵柄層をより高精度に目的の位置に形成することができる。その結果、例えば表面保護層60を後述の高艶層と低艶層とで構成し、平面視で低艶層と印刷絵柄層50の絵柄とを少なくとも一部で重なるようにすることで、平面視で高艶層と低艶層とが重なる領域から形成される柄と印刷絵柄層50の絵柄とを高精度に同調させることができ、意匠性が向上する。
【0017】
また、1工程のインラインで透明オレフィンシートである透明原反20の表裏面側に、印刷絵柄層50と、高艶層及び低艶層を含む表面保護層60とを付与することができるため、容易に同調させることができる。
さらに、本実施形態1によれば、従来の化粧シートが複層であるために、シートを薄膜化するにも製膜上の限界と、シートの硬さとが得られないという問題があったが、本実施形態1に係る化粧シート10は、単層であるため、薄膜化が容易であり、更にナノサイズの添加剤を使用することで、薄膜でもシートを硬くすることができる。
【0018】
(2)本実施形態1に係る化粧シート10は、ナノサイズの添加剤としての分散剤に加え、無機フィラーが添加されている。
そのため、一層の薄膜化、並びに耐傷付き性能を向上できる。
(3)本実施形態1によれば、第一に、枠材を単色にしておくと、中のドア柄が何であっても事前に対応することが可能となるため、ドア柄を後で決めることが可能になったり、老朽化してドアを変更する際にも枠材から壊して取り変えなくてもドアだけの変更で対応することが可能だったりもする。もちろん、ドア自体も単色にしておくこともできる。また、本実施形態1によれば、第二に、アパートなどでも全ての部屋を単色で統一することでロットを増やして生産性を上げることや単価を下げることもしやすくなるため、単色のシートを使うことによるメリットがある。
【0019】
さらに、本実施形態1によれば、第三に、白で仕上げた後に木目調にしたくなった場合に、本実施形態1に係る化粧シート10は、薄くても硬いことから、後で木目調に変えることも可能である。
例えば、白で仕上げられた化粧板の表面を、後で木目調にしたくなった場合に、本実施形態1に係る化粧シート10を用いた化粧タックシートを上に貼り合わせることで、木目調に変えることも可能である。
【0020】
(4)本実施形態1に係る化粧シート10は、着色層40が、透明又は半透明であれば、下地が天然木や木目調のシートの所に貼ることで、下地意匠を活かしつつ、性能向上・更なる意匠向上が可能となる。
(5)本実施形態1に係る化粧板は、プライマー層30の側に、基板70が接着されていることから、化粧板11として容易に且つ迅速に使用できる。
また、化粧シート10のプライマー層30の側に、粘着剤層と、剥離紙とを設けることで、化粧タックシートを、容易に実現することができ且つ迅速に接着できる。
(6)本実施形態1に係る化粧シート10の製造方法を用いることで、高機能な化粧シート10を簡便に且つ迅速に製造できる。
【0021】
(プライマー層30)
プライマー層30は、図1に示すように、透明原反20の裏面側に位置し、主として接着性改善を目的で設けられるものである。
なお、プライマー層30の機能には、接着性改善のほか、表面処理後の表面安定化、金属表面の防食、粘着性の付与、接着剤の劣化防止なども含まれる。
プライマー層30は、例えばグラビア印刷法により固形分量が1g/mとなるようにウレタン系樹脂を塗工して形成している。
【0022】
(着色層40)
着色層40は、図1に示すように、プライマー層30の表面に位置し、印刷方法を用いて形成され、主として隠蔽性を付与する目的で設けられる隠蔽層である。
着色層40は、例えばグラビア印刷法により2液ウレタン系樹脂で印刷したものである。
なお、着色層40は、ベタ層でも良い。
【0023】
(印刷絵柄層50)
印刷絵柄層50は、図1に示すように、着色層40の表面に位置し、印刷方法を用いて形成され、化粧シート10に意匠性を付与する目的で設けられるものである。
印刷絵柄層50は、例えばグラビア印刷法によりウレタン系樹脂で絵柄を印刷したものである。
印刷方法としては、例えばグラビア印刷法を例示したが、これに限定されず、例えばオフセット印刷方法、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法などの各種の印刷方法の適用可能である。
印刷絵柄層50の模様の種類は、使用目的や使用者の嗜好などにより任意であり、例えば木目柄、石目柄、抽象柄などが一般的である。模様の種類は、上記例示した種類に限定されず、例えば全面ベタ印刷などであっても良い。
【0024】
印刷方法に用いられる印刷インキとしては、例えば塩酢ビ系インキ(シアン、マゼンタ、イエロー)を用いている。
なお、印刷インキとしては、ウレタン系樹脂を例示したが、これに限定されず、例えば有機又は無機の染料又は顔料などの着色剤などでも良いし、又、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、乾燥剤などの適宜の添加剤や、溶剤又は希釈剤などと共に、合成樹脂などからなる結着剤中に分散してなるものである。
【0025】
(表面保護層60)
表面保護層60は、トップコートともいい、図1に示すように、透明原反20の表面側に位置し、印刷方法を用いて形成され、耐磨耗性、耐水性及び耐候性などの表面物性を付与する目的で設けられるものである。
表面保護層60は、図1に示すように、透明原反20の表面に塗布する高艶層61と、高艶層61の表面に塗布する低艶層62とから構成される。
高艶層61は、アクリル系二液硬化型樹脂(DICグラフィック株式会社製アクリルウレタン樹脂)を6μmの厚さに塗布して形成される。
【0026】
低艶層62は、高艶層61と同じ樹脂で艶を低くしたものを塗布して形成される。低艶層62は、平面視で、印刷絵柄層50の絵柄と一部が重なるようにしている。そのため、低艶層62は、図1に示すように、高艶層61の表面に部分的に印刷される。具体的には、低艶層62は、平面視で印刷絵柄層50の絵柄50aと少なくとも一部が重なるように印刷され、これにより、平面視で低艶層62と高艶層61とが重なる領域から形成される柄と、印刷絵柄層50の絵柄50aとが同調した表面保護層60を形成している。
【0027】
なお、ここでは、透明原反20の上に高艶層61を形成し、高艶層61よりも艶のより低い低艶層62を、高艶層61の上に形成しているが、これに限るものではない。例えば、図2に示すように、透明原反20の上に低艶層62を形成し、低艶層62を含む透明原反20の上に高艶層61を形成することも可能である。この場合には、平面視における表面保護層60の表面に、平面視で高艶層61と低艶層62とが重なった領域であり、高艶層61の艶の高さと低艶層62の艶の高さとで決まる高さの艶を有する柄が形成された表面保護層60が形成される。
また、低艶層62が印刷絵柄層50の絵柄50aと同調するようにしているが、平面視で高艶層61と低艶層62とが重なる領域と高艶層61のみからなる領域とにおける艶の違いにより形成される柄と、印刷絵柄層50の絵柄50aとが同調するようにしてもよい。
【0028】
(透明原反20)
透明原反20は、透明熱可塑性樹脂から構成される単層フィルムである。透明原反20には、ナノサイズの添加剤として分散剤が添加されている。また、透明原反20には、耐候剤もブレンドされている。さらに透明原反20には、無機フィラーが添加されている。なお、無機フィラーは必ずしも添加されていなくてもよい。透明原反20は、例えば透明のポリプロピレン形の熱可塑性樹脂を用いて、押出成形によって形成される。透明原反20の膜厚は、50μm以上120μm以下である。
【0029】
また、単体での透明原反20は、引っ張り試験における降伏点が40℃の温度環境下においては15N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が5%以内となり、さらに、常温下では、引っ張り試験における降伏点が24N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が3%以内となる特性を有する。なお、ここでいう、常温とは20℃±15℃(5℃~35℃)である。また、40°の温度環境とは、印刷絵柄層50、或いは着色層40などを形成するために、透明原反20の表面側或いは裏面側に印刷を行い、これを乾燥する際に透明原反20にかかる温度である。
【0030】
(ナノサイズの添加剤など(造核剤))
透明原反20には、ナノサイズの添加剤としての分散剤に加え、無機フィラーを含む。以下、ナノサイズの添加剤を、「ナノサイズの造核剤」ともいう。
ナノサイズの造核剤は、単層膜の外膜を具備するベシクルに内包された、造核剤ベシクルの形でポリプロピレン樹脂に添加されて使用されることが好ましい。
また、本実施形態1において、透明原反20を構成する樹脂中の造核剤は、当該造核剤の一部を露出させた状態で、ベシクルに内包されていても良い。透明原反20は造核剤を含むため結晶化度を向上でき、化粧シート10の耐擦傷性(耐傷性)を向上することができる。
【0031】
(ナノサイズの造核剤の粒径)
ナノサイズの造核剤は、平均粒径が可視光の波長領域の1/2以下であることが好ましく、具体的には、可視光の波長領域が400nm以上750nm以下であるので、平均粒径が375nm以下であることが好ましい。
ナノサイズの造核剤は、粒径が極めて小さいため、単位体積当たりに存在する造核剤の数と表面積とが粒子直径の三乗に反比例して増加する。その結果、各造核剤粒子間の距離が近くなるため、樹脂に添加された一の造核剤粒子の表面から結晶成長が生じた際に、結晶が成長している端部が直ちに、一の造核剤粒子に隣接する他の造核剤粒子の表面から成長している結晶の端部と接触し、互いの結晶の端部が成長を阻害して各結晶の成長が止まる。そのため、結晶性樹脂の結晶部における、球晶の平均粒径を小さく、例えば、球晶サイズを小さくして1μm以下とすることができる。
【0032】
この結果、結晶化度の高い高硬度の樹脂フィルムとすることができると共に、曲げ加工時に生じる球晶間の応力集中が効率的に分散されるため、曲げ加工時の割れや白化を抑制した樹脂フィルムを実現することができる。
造核剤を単純添加した場合、樹脂中の造核剤が2次凝集することで粒径が大きくなる。
一方、造核剤ベシクルを添加する場合、樹脂中における分散性が向上するため、造核剤を単純添加した場合と比較して添加した造核剤量に対しする結晶核の数が大幅に増加する。
【0033】
このため、樹脂の結晶部における球晶の平均粒径が小さくなり、曲げ加工時の割れや白化の発生を抑制することができる。よって、造核剤ベシクルを添加することにより結晶化度をより高めることができ、弾性率向上と加工性をより両立可能となる。
透明原反20は、例えば、主成分としてのポリプロピレン樹脂、100質量部に対して好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で造核剤が添加された樹脂材料により形成される。
【0034】
造核剤ベシクルを用いる場合、樹脂材料への造核剤の添加量は、造核剤ベシクル中の造核剤に換算した添加量である。
造核剤の添加量が0.05質量部未満の場合、ポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、透明原反20の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。
また、造核剤の添加量が0.5質量部を超える場合、結晶核が過多のためポリプロピレンの球晶成長が逆に阻害され、結果的にポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、透明原反20の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。
ここで、「主成分」とは、透明原反20を構成する樹脂材料の50質量%以上を占める樹脂材料をいう。
【0035】
(造核剤をナノ化する手法)
また、造核剤をナノ化する手法としては、例えば、造核剤に対して主に機械的な粉砕を行ってナノサイズの粒子を得る固相法、造核剤や造核剤を溶解させた溶液中でナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う液相法、造核剤や造核剤からなるガス・蒸気からナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う気相法などの方法を適宜用いることができる。
固相法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、ハンマーミル、ジェットミルなどが挙げられる。
また、液相法としては、例えば、晶析法、共沈法、ゾルゲル法、液相還元法、水熱合成法などが挙げられる。更に、気相法としては、例えば、電気炉法、化学炎法、レーザー法、熱プラズマ法などが挙げられる。
【0036】
(超臨界逆相蒸発法)
造核剤をナノ化する手法としては、超臨界逆相蒸発法が好ましい。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素を用いて対象物質を内包したカプセル(ナノサイズのベシクル)を作成する方法である。
超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)及び臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素とは、温度だけ又は圧力だけが臨界条件を越えた条件下の二酸化炭素を意味する。
また、超臨界逆相蒸発法による具体的なナノ化処理としては、まず超臨界二酸化炭素と外膜形成物質としてのリン脂質と内包物質としての造核剤との混合流体中に水相を注入し、攪拌することによって、超臨界二酸化炭素と水相のエマルジョンを生成させる。
【0037】
つぎに、減圧することで、二酸化炭素が膨張・蒸発して転相が生じ、リン脂質が造核剤粒子の表面を単層膜で覆ったナノカプセル(ナノベシクル)を生成させる。
この超臨界逆相蒸発法を用いることにより、造核剤粒子表面で外膜が多重膜となる従来のカプセル化方法とは異なり、容易に単層膜のカプセルを生成することができるので、より小径なカプセルを調製することができる。
なお、造核剤ベシクルは、例えば、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、界面活性剤透析法、逆相蒸発法、凍結融解法、超臨界逆相蒸発法などによって調製される。造核剤ベシクルは、その中でも特に超臨界逆相蒸発法を用いて調整されることが好ましい。
【0038】
(造核剤ベシクルを構成する外膜)
造核剤ベシクルを構成する外膜は、例えば単層膜から構成される。また、その外膜は、例えば、リン脂質などの生体脂質を含む物質から構成される。
本明細書では、外膜がリン脂質のような生体脂質を含む物質から構成される造核剤ベシクルを、造核剤リポソームと称する。
外膜を構成するリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチンなどのグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロールなどのスフィンゴリン脂質が挙げられる。
【0039】
(外膜となるその他の物質)
ベシクルの外膜となるその他の物質としては、例えば、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類もしくはトリアシルグリセロールの混合物などの分散剤が挙げられる。
このうち、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン-ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリスチレン-ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド-ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン-ポリカプロラクタム共重合体などの1種又は2種以上を使用することができる。コレステロール類としては、例えば、コレステロール、α-コレスタノール、β-コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5、24-コレスタジエン-3β-オール)、コール酸ナトリウム又はコレカルシフェロールなどを使用することができる。
【0040】
また、リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成するようにしても良い。
本実施形態1の化粧シート10においては、造核剤ベシクルを、リン脂質からなる外膜を具備したラジカル捕捉剤リポソームとすることが好ましく、外膜をリン脂質から構成することによって、化粧シート10の主成分である樹脂材料とベシクルとの相溶性を良好なものとすることができる。
【0041】
造核剤としては、樹脂が結晶化する際に結晶化の起点となる物質であれば特に限定するものではない。造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー及びタルクなどが挙げられる。特に、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって材料自体の透明化が可能な場合には、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしても良い。
【0042】
(透明原反20の特徴)
上述のように、本実施形態1の化粧シート10は、透明原反20が樹脂材料と造核剤とを含有する点に特徴を有している。
また、本実施形態1の化粧シート10は、透明原反20を形成する際に、樹脂材料に対してベシクルに内包された造核剤を添加して樹脂材料を結晶化させる点に特徴を有している。造核剤をベシクルに内包させた状態で樹脂組成物に添加することで、樹脂材料中、すなわち透明原反20中への造核剤の分散性を飛躍的に向上するという効果を奏する。一方、ベシクルに内包された造核剤を、完成された化粧シート10の状態における物の構造や特性にて直接特定することが、状況により困難な場合も想定され、非実際的であるといえる。その理由は次の通りである。
【0043】
ベシクルの状態で添加された造核剤は、高い分散性を有して分散された状態になっており、作成された化粧シート10の前駆体である積層体の状態においても透明原反20に高分散されている。
しかしながら、化粧シート10の製造工程において、通常、積層体は圧縮処理や硬化処理などの種々の処理が施され、このような処理によって造核剤を内包するベシクルの外膜が破砕したり、化学反応が生じたりする場合がある。
このため、化粧シート10の処理工程によって、完成後の化粧シート10における造核剤の外膜が破砕したり、化学反応している状態がばらつき、造核剤が外膜で包含(包皮)されていない可能性も高い。
【0044】
そして、造核剤が外膜で包含されていない場合、造核剤の物性自体を数値範囲で特定することが困難であり、また破砕された外膜の構成材料が、ベシクルの外膜なのか造核剤とは別に添加された材料なのか判定が困難な場合も想定される。
このように、本開示は、従来に比して、化粧シート10に対し、造核剤が高分散で配合されている点で相違があるものの、造核剤を内包するベシクルの状態で添加されたためなのかどうかが、化粧シート10の状態において、その構造や特性を測定に基づき解析した数値範囲で特定することが非実際的である場合も想定される。
【0045】
(化粧シート10の製造方法)
化粧シート10は、上記した構成を有するものであり、その製造方法は、次の第1の工程から第3の工程を有し、インラインで製造するものである。
ここで、「インライン」は、フィルム同士をラミネートするラミネート工程が無いため、通常、複数の工程となる印刷を、一つのライン、すなわちワンラインで加工できることを意味する。すなわち、印刷から表面保護層60を付与するまでの製造工程を1工程のインラインで行うことができる。
【0046】
(1)第1の工程
第1の工程は、透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂を押出し成形して単層フィルムである透明原反20を製造する工程である。このとき、透明原反20を、引っ張り試験における降伏点が、40℃下において15N/mm以上であり、且つ降伏点に達したときの伸び率が5%以内であること、また、引っ張り試験における降伏点が、常温下では、24N/mm以上であり、且つ降伏点に達したときの伸び率が3%以内であること、という特性を有するように形成する。
【0047】
(2)第2の工程
第2の工程は、第1の工程で製造した透明原反20の裏面側に、印刷絵柄層50と、着色層40と、プライマー層30とを順に形成する工程である。
なお、第2の工程で形成する層は、印刷絵柄層50、着色層40、プライマー層30の3層に限らず、例えば少なくとも印刷絵柄層50を含む1層だけでも良いし、又、印刷絵柄層50に加え、着色層40又はプライマー層30の1層を加えた計2層でも良いし、或いは4層以上でも良い。
【0048】
(3)第3の工程
第3の工程は、第2の工程の後、又は第2の工程に先立ち、前記第1の工程で製造した透明原反20の表面側に、表面保護層60を形成する工程である。
第3の工程では、高艶層61を形成した後、低艶層62を形成する。高艶層61の上に低艶層62を積層する場合には、第2の工程後、低艶層62を形成するのに先立ち、高艶層61を形成するか、または、第1の工程と第2の工程との間に高艶層61を形成し、その後第2の工程で各種層を形成した後、第3の工程で低艶層62を形成してもよい。
【0049】
逆に、図2に示すように、低艶層62の上に高艶層61を積層する場合には、第2の工程後、低艶層62を形成した後、低艶層62を含む透明原反20の全面に高艶層61を形成する。
上記工程の順番は、第1の工程、第2の工程、第3の工程の順番と、第1の工程、第3の工程、第2の工程の順番との二通りである。
【0050】
(化粧板11)
化粧板11は、図1に示すように、上記した構成を有する化粧シート10のプライマー層30の側に接着剤などを使用し、基板70を接着したものである。また、化粧板11は、プライマー層30の側に、粘着剤層を設け、この粘着剤層に基板70を直接接着することでも構成できる。
ここで、基板70は、木材、鋼材、樹脂材など、種類を問わないが、例えば不燃仕様の鋼板又は建設省告示1400号で定められた不燃材料から構成しても良い。
【0051】
(化粧タックシート)
化粧タックシートは、図示しないが、上記した構成を有する化粧シート10であって、そのプライマー層30の側に、粘着剤層と、剥離紙とを付けたものである。
【0052】
(透明原反20の裏面側の層構造の他の実施形態)
透明原反20の裏面側の層構造は、図示しないが、次の態様でも良い。
(a)透明原反20の裏面側に、印刷絵柄層50及び着色層40のみをこの順に形成しても良い。
(b)透明原反20の裏面側に、印刷絵柄層50、着色層40及びプライマー層30のみをこの順に形成しても良い。
【0053】
(実施形態1の効果)
実施形態1に係る化粧シート10は、ラミネート工程がない。そのため、透明原反20を形成する第1の工程から、印刷絵柄層50、着色層40及びプライマー層30を形成する第2の工程、さらに表面保護層60を形成する第3の工程までの一連の工程を、1工程インラインで行うことができる。そのため、印刷絵柄層50の絵柄50aと表面保護層60の低艶層62とで柄合わせをする際に生じるロスを削減することができる。
【0054】
また、透明原反20は、ナノサイズの造核剤として、分散剤が添加されたナノサイズの添加物を含む樹脂で形成され、引っ張り試験における降伏点が40℃の温度環境下においては15N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が5%以内となるようにし、さらに常温下では降伏点が24N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が3%以内となるようにしている。つまり、造核剤を添加することで透明原反20が硬くなり、伸び縮みが生じにくくしている。ナノサイズの造核剤として、分散剤が添加されたナノサイズの添加物を含まない場合であっても、引っ張り試験における降伏点が40℃の温度環境下においては15N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が5%以内となり、且つ常温下においては24N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が3%以内となる樹脂であれば良い。
【0055】
そのため、透明原反20の裏面側に、印刷絵柄層50、着色層40、及びプライマー層30を形成する工程、また、透明原反20の表面側に表面保護層60を形成する工程において、透明原反20にテンションが付加された状態で各種層を形成することにより生じる透明原反20の伸び縮み、或いは、印刷絵柄層50など各層を形成する際に印刷絵柄層50形成用のインクを印刷した後に印刷されたインクを乾燥する際に、透明原反20にかかる温度による透明原反20の伸び縮みを抑制することができる。
【0056】
ここで、透明原反20に、印刷絵柄層50や表面保護層60を形成する場合、透明原反20に、位置決め用のマークを複数箇所に付しておき、このマークを基準として各種層を形成している。そのため、透明原反20にテンションが付加されること或いは温度環境等によって、透明原反20に伸び縮みが生じると、位置決め用のマークを基準として各層を形成したとしてもずれが生じる。その結果、表面保護層60の低艶層62と印刷絵柄層50の絵柄50aとが平面視で重なるように設計し、位置決め用のマークを基準として設計通りに各層を形成したとしても、透明原反20自体が伸び縮みしているため、印刷絵柄層50の絵柄50aの位置と低艶層62の形成位置とがずれ、平面視で印刷絵柄層50の絵柄50aと低艶層62とに位置ずれが生じる可能性がある。
【0057】
しかしながら、実施形態1に係る化粧シート10は、透明原反20の伸び縮みが抑制されるため、平面視で、印刷絵柄層50の絵柄50aの位置と低艶層62の位置とをより高精度に一致させることができ、同調精度の高い化粧シート10を形成することができる。
【0058】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る化粧シート10について説明する。
実施形態2に係る化粧シート10は、透明原反20を2種3層から構成している。
(透明原反20)
透明原反20は、図3に示すように、透明スキン層21、透明のポリプロピレン製の透明コア層22、透明スキン層21の順に2種3層で形成される。図3上では、透明原反20は、透明コア層22、透明スキン層21が別層を形成する様に表現しているが、実際は透明コア層22、透明スキン層21は連続的であり、界面は存在しないシートである。
【0059】
透明原反20は、透明スキン層21:透明コア層22:透明スキン層21が、0.5:9:0.5の厚み比率になるように同時押出し、総厚が50μm以上、120μm以下となるように作成する。
また、透明原反20は、引っ張り試験における降伏点が40℃の温度環境下において、15N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が5%以内であり、常温下では、24N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が3%以内となる特性を有する。
【0060】
(透明スキン層21)
透明スキン層21には、ナノサイズの添加剤としての分散剤に加え、無機フィラーを添加し、透明ポリプロピレン樹脂を使用する。なお、無機フィラーは必ずしも添加されていなくてもよい。
(透明コア層22)
透明コア層22は、例えば透明ポリプロピレン樹脂に、耐候剤をブレンドしたものを使用する。透明コア層22には、ナノサイズの添加剤としての分散剤を加えても良い。
(透明コア層22の樹脂材料)
透明コア層22を構成する樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シート10で基材層などとして用いられていた熱可塑性樹脂と同様の材料を用いることができる。
【0061】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネートなどのポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)などのオレフィン系共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミドなどのアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系樹脂など、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体などを使用できる。
【0062】
なかでも、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、熱可塑性樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂などの塩素(ハロゲン)を含有する熱可塑性樹脂を使用することは好ましくなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
特に、各種物性や加工性、汎用性、経済性などの面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)又はポリオレフィン系樹脂、特にポリオレフィン系樹脂を使用することが最も好ましい。例えば、ポリオレフィン系樹脂として、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上の高結晶性ホモポリプロピレン樹脂を30質量%以上100質量%以下含むポリプロピレン樹脂を使用することが好ましい。
【0063】
透明コア層22には、必要に応じて、例えば、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤などの各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。
【0064】
(透明スキン層21の樹脂材料)
透明スキン層21を構成する樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、透明コア層22と同様の樹脂材料を用いることができる。
透明スキン層21は、例えば、主成分としてのポリプロピレン樹脂、100質量部に対して好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で造核剤が添加された樹脂材料により形成される。
造核剤ベシクルを用いる場合、樹脂材料への造核剤の添加量は、造核剤ベシクル中の造核剤に換算した添加量である。
造核剤の添加量が0.05質量部未満の場合、ポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、透明スキン層21の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。
【0065】
また、造核剤の添加量が0.5質量部を超える場合、結晶核が過多のためポリプロピレンの球晶成長が逆に阻害され、結果的にポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、透明スキン層21の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。
ここで、「主成分」とは、透明スキン層21を構成する樹脂材料の50質量%以上を占める樹脂材料をいう。
なお、ナノサイズの添加剤としての分散剤は、透明コア層22及び透明スキン層21のいずれか一方、もしくは両方に添加されていてよい。
なお、実施形態2の他の点については、図1の実施形態1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0066】
(実施形態2の化粧シート10の製造方法)
実施形態2に係る化粧シート10の製造方法は、実施形態1の化粧シート10の製造方法において、透明原反20の製造方法が異なること以外は同一であり、化粧シート10は、インラインで製造される。
透明原反20は、透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂を用いた透明コア層22と、透明コア層22の表裏面側にそれぞれ位置し、熱可塑性樹脂にナノサイズの添加剤としての分散剤を添加した透明スキン層21と、を押出し成形により単層フィルムとして形成される。
【0067】
(実施形態2の効果)
実施形態2に係る化粧シート10における透明原反20は、上記実施形態1に係る化粧シート10と同様に、伸び縮みを抑制することができるため、印刷絵柄層50の絵柄50aと低艶層62とを高精度に同調させることができると共に、製造工程におけるロスを削減することができる。
なお、上記実施形態1及び実施形態2の化粧シート10において、図4及び図5に示すように、表面保護層60に、印刷絵柄層50の絵柄50aと同調するエンボス部90を設けてもよい。
【0068】
エンボス部90は、図4及び図5に示すように、表面保護層60から透明原反20まで深く延びて形成される。エンボス部90を、表面保護層60の表面から透明原反20に向かって延び、透明原反20に一部が侵入するように形成することによって、凹部の輪郭がくっきりと鮮明になり、立体的な意匠感をさらに向上させることができる。
【0069】
エンボス部90は、透明原反20の樹脂が硬化する前に形成される。これは、透明原反20を構成する樹脂の硬化後は、硬度が高くなるためである。
なお、エンボス部90というと、それなりの高低差のイメージを持つが、高艶層61と低艶層62との高低差は、実際には数μmオーダーの高低差しかなく、表面保護層60にグロス/マットコートをすることで、絵柄と同調させる、という表現と同様の意味である。
【実施例0070】
以下に、本発明に係る化粧シートの実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
単層シートである化粧シートを下記の材料を用いて下記の手順で作成した。
第一に、透明原反として透明ポリプロピレン樹脂に耐候剤、ナノサイズの添加剤としての分散剤などを添加した。これらが添加された透明ポリプロピレン樹脂を用いて押出成形を行い、厚みが100μmの透明原反を作成した。また、透明原反は、透明原反単体での引っ張り試験における降伏点が40℃の温度環境下において、15N/mm以上であり、且つ、40℃の温度環境下において降伏点に達した時点での伸び率が5%以内となり、常温下においては、降伏点が24N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が3%以内となる特性を有するように作成した。
【0071】
第二に、透明原反の裏面側に、グラビア印刷法によりウレタン系樹脂で印刷絵柄層となる絵柄を印刷し、印刷絵柄層の上に、2液ウレタン系樹脂で着色層を形成した。
第三に、透明原反の表面側全面に、表面保護層の高艶層として艶の高いアクリル系二液硬化型樹脂(DICグラフィックス株式会社製 アクリルウレタン樹脂)を6μmの厚さになるように塗布し、その上に、高艶層と同じ樹脂であるが艶を低くした樹脂を、印刷絵柄層の絵柄と平面視で重なる位置に印刷し、印刷絵柄層の絵柄と同調する低艶層を形成し、実施例1の評価用化粧シートを得た。
なお、透明原反を形成する工程の後に実行される透明原反の裏面側に各種層を形成する工程と、透明原反の表面側に表面保護層を形成する工程とは、インラインで実行した。
【0072】
(実施例2)
実施例2は、透明原反の厚みを70μmとした以外は、実施例1と同一の材料を用いて同一の手順で実施例2の評価用化粧シートを作成した。
(実施例3)
実施例3は、透明原反の厚みを60μmとした以外は、実施例1と同一の材料を用いて同一の手順で実施例3の評価用化粧シートを作成した。
【0073】
(実施例4)
透明原反として、厚みが100μm、単体での引っ張り試験における降伏点が40℃の温度環境下において、降伏点は15N/mm以上であり、且つ、40℃温度環境下において、降伏点に達した時点での伸び率が5%以内となり、常温の温度環境下において、降伏点は24N/mm以上であり、且つ、降伏点に達した時点での伸び率が3%以内となるように作成した透明ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた以外は実施例1と同一の材料を用いて、同一の手順で実施例3の評価用化粧シートを作成した。
【0074】
(比較例1)
透明原反となる透明ポリプロピレン樹脂に、ナノサイズの添加剤を添加しないこと、すなわち、分散剤及び無機フィラーを添加せずに、透明原反を作成したこと以外は、実施例1と同一の手順で、比較例1の評価用化粧シートを作成した。
(比較例2)
透明原反として透明塩ビシートを用いたこと以外は、実施例1と同一の手順で、比較例2の評価用化粧シートを作成した。
【0075】
(性能評価方法)
評価用化粧シートの性能評価として、以下の2つの特性を評価した。
(1)引張試験(降伏点、伸び)
(2)同調精度および作業性
(1)、(2)の各特性は、以下の手順で評価した。
(1)降伏点及び伸び)
実施例1~4及び比較例1、2として作成した透明原反または透明原反の代りに用いた透明塩ビシートについて、JIS K7161-1に準拠し、測定装置として、オートグラフAGS-X(株式会社島津製作所製)を使用して試験を実施した。つかみ具間距離は、40mm、引っ張り速度は50mm/minとし、常温及び40℃のそれぞれの温度環境下で降伏点及び降伏点に達した時点における伸び率を測定した。なお、引っ張り試験は、実施例1~4及び比較例1、2で作成した透明原反または透明原反の代りに用いた透明塩ビシートと同一特性を有する透明原反または透明塩ビシートを用いて、JIS K7161-1に準拠して、降伏点及び伸びの測定を行った。
【0076】
(2)同調精度及び作業性
作成した評価用化粧シートにおいて、平面視で低艶層と高艶層とが重なる領域から形成される柄と印刷絵柄層の絵柄との平面視でのズレがどの程度あったか、また同調させるときの作業性を考慮して評価を行った。評価基準は次の通りである。
○:同調精度が高く(ズレが1mm以内)、且つ透明原反(または透明原反に相当する部材)に伸びや縮みなどが無く作業がしやすい場合
△:同調精度が高いが、透明原反(または透明原反に相当する部材)の伸びや縮みなどがあり作業性が悪い場合
×:同調のズレがあり(1mmより大きい)、且つ透明原反または透明原反に相当する部材に伸びや縮みなどが生じ、且つ作業性も悪い場合
評価結果を、表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例1~実施例4の評価用化粧シートはいずれも、降伏点が、40℃の温度環境状態下では、15N/mm以上であり、且つ降伏点に達した時点での伸び率が5%以内であった。同様に、実施例1~4の評価用化粧シートは、常温下では、降伏点が24N/mm以上であり、且つ降伏点に達した時点での伸び率が3%以内であった。このとき各評価用シートはいずれも同調精度が高く、良好な作業性であった。
【0079】
これに対し、比較例1の評価用化粧シートは、常温の場合は降伏点が15N/mm以上であるが実施例1、実施例2における降伏点に比較して低く、そのため、降伏点に達した時点での伸び率が、常温では、許容範囲であるが、40℃温度環境下では、±5%の範囲外であった。そのため、ナノサイズの添加剤を添加せずに作成した透明原反は、40℃温度環境下における伸び率が±5%を超えた。この評価用シートは、同調精度は高いが作業性が悪かった。また、透明原反の代りに、透明塩ビシートを用いた比較例2では、常温での降伏点は15N/mm以上であるが、40℃温度環境下における降伏点は15N/mm以下であった。また、伸び率は±5%を超えた。この評価用シートは、同調精度が低く、作業性も悪かった。
【0080】
表1に示すように、実施例1~実施例4であれば、高い同調精度を得ることができ、且つ透明原反の伸び縮みなどによる作業性の悪化を抑制した化粧シートを提供することができる。
また、例えば、本発明は以下のような構成をとることができる。
(1)
透明オレフィンシートから構成される透明原反と、
当該透明原反の裏面側に順に形成された印刷絵柄層及び着色層と、
前記透明原反の表面側に形成された表面保護層と、を有し、
前記透明原反は、ナノサイズの添加剤としての分散剤が添加され、前記透明原反の両面のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、
前記透明原反は透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂を含み、引っ張り試験における降伏点が、40℃下において15N/mm以上であり、且つ降伏点に達したときの伸び率が5%以内であることを特徴とする化粧シート。
【0081】
(2)
引っ張り試験における降伏点が、常温下において24N/mm以上であり、かつ降伏点に達したときの伸び率が3%以内であることを特徴とする上記(1)に記載の化粧シート。
(3)
前記表面保護層は、高艶層と、当該高艶層と平面視で部分的に重なる低艶層とが積層されてなり、平面視で、前記高艶層と前記低艶層とが重なる領域から形成される柄を有し、当該柄と前記印刷絵柄層の絵柄とは平面視で少なくとも一部が重なっていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の化粧シート。
【0082】
(4)
前記透明原反には、無機フィラーが添加されていることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の化粧シート。
(5)
前記透明原反は、透明スキン層、透明コア層、透明スキン層の順に積層された2種3層であることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれ一項に記載の化粧シート。
(6)
前記透明原反の裏面側には、前記印刷絵柄層から最も遠い側にプライマー層が形成されていることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の化粧シート。
【0083】
(7)
前記プライマー層の前記透明原反とは逆側に、粘着剤層と、剥離紙とを有することを特徴とする上記(6)に記載の化粧シート。
(8)
前記プライマー層の前記透明原反とは逆側に、基板が接着されていることを特徴とする上記(6)に記載の化粧シートを用いた化粧板。
【0084】
(9)
透明のポリプロピレン系の熱可塑性樹脂にナノサイズの添加剤としての分散剤を添加して押出し成形し、引っ張り試験における降伏点が、常温下及び40℃下において共に15N/mm以上であり、且つ、降伏点に達したときの伸び率が5%以内となる透明原反を製造する第1の工程と、
前記第1の工程で製造した前記透明原反の裏面側に、印刷絵柄層を形成する第2の工程と、
前記第2の工程の後、又は前記第2の工程に先立ち、前記透明原反の表面側に、表面保護層を形成する第3の工程と、を有し、
当該第3の工程は、前記表面保護層として低艶層と高艶層とを積層し、且つ平面視で前記低艶層が、前記高艶層と部分的に重なるように形成する工程を含み、平面視で前記低艶層と前記高艶層とが重なる領域と前記高艶層のみからなる領域とから柄を形成し、当該柄と、前記印刷絵柄層の絵柄とが同調するようになっていることを特徴とする化粧シートの製造方法。
【符号の説明】
【0085】
10 化粧シート
11 化粧板
20 透明原反
21 透明スキン層
22 透明コア層
30 プライマー層
40 着色層
50 印刷絵柄層
60 表面保護層
61 高艶層
62 低艶層
70 基板
図1
図2
図3
図4
図5