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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066450
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20240508BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240508BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240508BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/04 A
H01F27/29 123
H01F17/00 B
H01F17/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146533
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】10-2022-0143683
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオク
(72)【発明者】
【氏名】ホワンボ、ジュン ス
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ミン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070BB03
5E070CB17
5E070EA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部電極のうち側面に配置される領域を最小化することによって、側面における外部電極間の短絡や隣接した部品との短絡を防止する結合インダクタを提供する。
【解決手段】コイル部品1000は、第1方向に対向した第1面と第2面及び第1面と第2面とを連結し、互いに対向した第3面と第4面を含む本体100、本体内に配置された支持部材200、支持部材に配置された第1コイル300及び第2コイル400、本体上に配置され、第1コイルと連結される第1外部電極510及び第3外部電極530、第2コイルと連結される第2外部電極520及び第4外部電極540、第1コイルと第1外部電極とを連結する第1ビア電極610及び第2コイルと第2外部電極とを連結する第2ビア電極620を含み、第1~第4外部電極は第1面に配置され、第3外部電極は第3面に延長され、第4外部電極は第4面に延長される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向した第1面と第2面、及び前記第1面と前記第2面とを連結し、互いに対向した第3面と第4面を含む本体と、
前記本体内に配置された支持部材と、
前記支持部材に配置された第1及び第2コイルと、
前記本体上に配置され、前記第1コイルと連結される第1外部電極及び第3外部電極と、
前記本体上に配置され、前記第2コイルと連結される第2外部電極及び第4外部電極と、
前記本体内に配置され、前記第1コイルと前記第1外部電極とを連結する第1ビア電極と、
前記本体内に配置され、前記第2コイルと前記第2外部電極とを連結する第2ビア電極と、を含み、
前記第1外部電極から前記第4外部電極は前記第1面に配置され、前記第3外部電極は前記第3面に延長され、前記第4外部電極は前記第4面に延長される、コイル部品。
【請求項2】
前記第1ビア電極及び前記第2ビア電極のうち少なくとも一つは、前記第1面に近いほど、断面積が広いテーパ形状である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1ビア電極及び前記第2ビア電極のそれぞれは、前記第1コイル及び前記第2コイルと接する一面、及び前記第1外部電極及び前記第2外部電極と接する他面を含み、
前記一面と前記他面はそれぞれ円形に形成され、
前記第1ビア電極及び前記第2ビア電極のうち少なくとも一つは、前記一面の直径に対する前記他面の直径の比が1.05より大きい、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記本体は、前記支持部材を貫通する第1コア及び第2コアを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1コイルは、前記支持部材の両面にそれぞれ配置され、前記第1コアを中心として巻かれた第1巻回部及び第3巻回部、前記第1巻回部及び前記第3巻回部を連結する第1ビア、前記第1ビア電極と接する第1引出部、前記第3外部電極と接する第3引出部、並びに前記第1巻回部及び前記第3巻回部と前記第1引出部及び前記第3引出部とをそれぞれ連結する第1延長部及び第3延長部を含み、
前記第2コイルは、前記支持部材の両面にそれぞれ配置され、前記第2コアを中心として巻かれた第2巻回部及び第4巻回部、前記第2巻回部及び前記第4巻回部を連結する第2ビア、前記第2ビア電極と接する第2引出部、前記第4外部電極と接する第4引出部、並びに前記第2巻回部及び前記第4巻回部と前記第2引出部及び前記第4引出部とをそれぞれ連結する第2延長部及び第4延長部を含む、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1ビア電極及び前記第2ビア電極のうち少なくとも一部は、前記第1引出部及び前記第2引出部の内側に延長される、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1引出部及び前記第2引出部の前記第1方向に沿った厚さに対する、前記第1ビア電極及び前記第2ビア電極が前記第1引出部及び前記第2引出部の内側に延長された領域の前記第1方向に沿った厚さの比は0.9より小さい、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1巻回部から前記第4巻回部は同じ方向に巻かれた、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1延長部から前記第4延長部はそれぞれ、前記第1コア及び前記第2コアを共に囲む、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項10】
互いに対向した第1面と第2面を含む本体と、
前記本体内に配置された支持部材と、
前記支持部材に配置された第1及び第2コイルと、
前記第1面に配置され、前記第1コイルと連結される第1外部電極及び第3外部電極と、
前記第1面に配置され、前記第2コイルと連結される第2外部電極及び第4外部電極と、
前記本体内に配置され、前記第1コイルと前記第1外部電極及び前記第3外部電極とをそれぞれ連結する第1ビア電極及び第3ビア電極と、
前記本体内に配置され、前記第2コイルと前記第2外部電極及び前記第4外部電極とをそれぞれ連結する第2ビア電極及び第4ビア電極と、を含む、コイル部品。
【請求項11】
前記第3ビア電極は、前記支持部材を貫通して前記第1コイルと連結され、
前記第4ビア電極は、前記支持部材を貫通して前記第2コイルと連結される、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1ビア電極から前記第4ビア電極のそれぞれは、前記第1コイル又は前記第2コイルと接する一面、前記第1外部電極から前記第4外部電極と接する他面、及び前記一面と前記他面とを連結する側面を含み、
前記第1ビア電極から前記第4ビア電極のうち少なくとも一つは、前記側面の少なくとも一部が前記本体の表面と共面をなす、請求項10又は11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記本体は、前記第1面と前記第2面とを連結し、互いに対向した第3面と第4面をさらに含み、
前記第2ビア電極及び前記第3ビア電極のうち少なくとも一つは、前記側面の少なくとも一部が前記第3面と共面をなし、
前記第1ビア電極及び前記第4ビア電極のうち少なくとも一つは、前記側面の少なくとも一部が前記第4面と共面をなす、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第1ビア電極から前記第4ビア電極のうち少なくとも一つは、前記第1面に近いほど、断面積が広いテーパ形状である、請求項10又は11に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記本体上に配置され、前記第1外部電極から前記第4外部電極を露出する絶縁層をさらに含み、
前記絶縁層は、前記第1ビア電極から前記第4ビア電極のうち少なくとも一つの少なくとも一部と接する、請求項10又は11に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記本体は、前記支持部材を貫通する第1コア及び第2コアを含み、
前記第1コイルは、前記支持部材の両面にそれぞれ配置され、前記第1コアを中心として巻かれた第1巻回部及び第3巻回部、前記第1巻回部及び前記第3巻回部を連結する第1ビア、前記第1ビア電極及び前記第3ビア電極とそれぞれ接する第1引出部及び第3引出部、並びに前記第1巻回部及び前記第3巻回部と前記第1引出部及び前記第3引出部とをそれぞれ連結する第1延長部及び第3延長部を含み、
前記第2コイルは、前記支持部材の両面にそれぞれ配置され、前記第2コアを中心として巻かれた第2巻回部及び第4巻回部、前記第2巻回部及び前記第4巻回部を連結する第2ビア、前記第2ビア電極及び前記第4ビア電極と接する第2引出部及び第4引出部、並びに前記第2巻回部及び前記第4巻回部と前記第2引出部及び前記第4引出部とをそれぞれ連結する第2延長部及び第4延長部を含む、請求項10又は11に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品の一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗(resistor)及びキャパシタ(capacitor)とともに電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。
【0003】
電子機器が次第に高性能化かつ小型化するにつれて、電子機器に用いられる電子部品もその数が増加し、小型化している。
【0004】
特に、一つのコイル部品内に磁気的に結合された2つ以上のコイルが配置される結合インダクタは、4つの端子を有するが、上記4つの端子はそれぞれコイル部品の側面に配置されて実装面に延長される構造が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-054207号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態による目的のうち一つは、結合インダクタにおいて、外部電極のうち側面に配置される領域を最小化することによって、側面における外部電極間の短絡や隣接した部品との短絡を防止することである。
【0007】
本発明の実施形態による目的のうち他の一つは、側面絶縁時に発生し得る外観不良を改善することである。
【0008】
本発明の実施形態による目的のうち他の一つは、コイル部品内において、磁性物質が充填される有効体積を増加させることによって、インダクタンス特性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によれば、第1方向に対向した第1面と第2面、及び上記第1面と第2面とを連結し、互いに対向した第3面と第4面を含む本体、上記本体内に配置された支持部材、上記支持部材に配置された第1及び第2コイル、上記本体上に配置され、上記第1コイルと連結される第1及び第3外部電極、上記本体上に配置され、上記第2コイルと連結される第2及び第4外部電極、上記本体内に配置され、上記第1コイルと上記第1外部電極とを連結する第1ビア電極、及び上記本体内に配置され、上記第2コイルと上記第2外部電極とを連結する第2ビア電極を含み、上記第1~第4外部電極は上記第1面に配置され、上記第3外部電極は上記第3面に延長され、上記第4外部電極は上記第4面に延長されたコイル部品が提供されることができる。
【0010】
本発明の他の側面によれば、互いに対向した第1面と第2面を含む本体、上記本体内に配置された支持部材、上記支持部材に配置された第1及び第2コイル、上記第1面に配置され、上記第1コイルと連結される第1及び第3外部電極、上記第1面に配置され、上記第2コイルと連結される第2及び第4外部電極、上記本体内に配置され、上記第1コイルと上記第1及び第3外部電極とをそれぞれ連結する第1及び第3ビア電極、並びに上記本体内に配置され、上記第2コイルと上記第2及び第4外部電極とをそれぞれ連結する第2及び第4ビア電極を含むコイル部品が提供されることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、結合インダクタにおいて、外部電極のうち側面に配置される領域が最小化され、側面に配置された外部電極間の短絡や隣接した部品との短絡の危険が減少したコイル部品を実現することができる。
【0012】
本発明の他の側面によれば、コイル部品の側面絶縁工程が単純化され、側面絶縁と下面絶縁との間のずれのような外観不良が減少できる。
【0013】
本発明の他の側面によれば、コイル部品の本体内でビア電極の体積が減少することで、有効体積が増加してインダクタンス特性が向上したコイル部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態によるコイル部品を概略的に示す斜視図である。
図2】第1及び第2コイル間の連結関係を示す組立斜視図である。
図3図1の下部斜視図である。
図4図1のI-I'線に沿った断面及びA領域の拡大図である。
図5図1のII-II'線に沿った断面を示す図である。
図6図1の上面図である。
図7図1の底面図である。
図8】本発明の第2実施形態によるコイル部品を概略的に示す斜視図である。
図9図8のIII-III'線に沿った断面を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態によるコイル部品を概略的に示す斜視図である。
図11図10のIV-IV'線に沿った断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解すべきである。そして、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上又は下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準として上側に位置することを意味するものではない。
【0016】
なお、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素間に介在し、該他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念で使用するものとする。
【0017】
図面に示される各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示したものであるため、本発明は必ずしも示されたものに限定されない。
【0018】
図面において、T方向は第1方向又は厚さ方向、L方向は第2方向又は長さ方向、W方向は第3方向又は幅方向と定義することができる。
【0019】
以下、本発明の実施形態によるコイル部品について、添付の図面を参照して詳細に説明するが、添付の図面を参照して説明するにあたり、同一又は対応する構成要素については同じ図面番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0020】
電子機器には、様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去等を目的に様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。
【0021】
すなわち、電子機器においてコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などに用いられることができる。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるコイル部品1000を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1及び第2コイル300、400間の連結関係を示す組立斜視図であり、図3図1の下部斜視図であり、図4図1のI-I'線に沿った断面及びA領域の拡大図であり、図5図1のII-II'線に沿った断面を示す図であり、図6図1の上面図であり、図7図1の底面図である。
【0023】
一方、構成要素間の結合をより明確に示すために、図1図3図6図7では、本体100上の絶縁層700は省略して示している。
【0024】
図1図7を参照すると、本発明の第1実施形態によるコイル部品1000は、本体100、支持部材200、第1及び第2コイル300、400、第1~第4外部電極510、520、530、540、第1及び第2ビア電極610、620を含むことができる。
【0025】
本実施形態によるコイル部品1000は、本体100内に磁気的に結合され、物理的に離隔する第1及び第2コイル300、400を含み、第1及び第2コイル300、400と連結される第1~第4外部電極510、520、530、540を含むことができる。具体的に、第1コイル300の両端と第1及び第3外部電極510、530がそれぞれ連結され、第2コイル400の両端と第2及び第4外部電極520、540がそれぞれ連結されることができる。
【0026】
ここで、第1コイル300の一端は、第1ビア電極610を介して本体100の下面の第1外部電極510と連結され、他端は、直接に本体100の側面の第3外部電極530と連結されることができる。また、第2コイル400の一端は、第2ビア電極620を介して本体100の下面の第2外部電極520と連結され、他端は、直接に本体100の側面の第4外部電極540と連結されることができる。すなわち、結合インダクタの4端子のうち、2端子は側面連結、2端子は下面連結された構造を有することができる。
【0027】
このような構成により、結合インダクタの本体100の一側面に2つの外部電極が共に配置されないことができるため、側面における外部電極間の短絡や、隣接した部品との側面の外部電極を介した短絡の可能性を減少させることができる。また、本体100の側面及び下面における絶縁層700の配置工程が単純化して外観不良が減少し、工程効率も高めることができる。
【0028】
以下、本実施形態によるコイル部品1000を構成する主要構成要素について詳細に説明する。
【0029】
本体100は、本実施形態によるコイル部品1000の外観をなし、内部に支持部材200、第1及び第2コイル300、400を埋設する。
【0030】
本体100は、全体として六面体の形状に形成されることができる。
【0031】
本体100は、厚さ方向(T、第1方向)に互いに対向する第1面と第2面、長さ方向(L、第2方向)に互いに対向する第3面と第4面、幅方向(W、第3方向)に互いに対向する第5面と第6面を含む。本体100の第3~第6面のそれぞれは、本体100の第1面と第2面とを連結する本体100の壁面に該当する。
【0032】
本体100は、例示的に、後述する外部電極510、520、530、540が形成された本実施形態によるコイル部品1000が、2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、又は2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.65mmの厚さを有するか、又は1.6mmの長さ、0.8mmの幅、0.8mmの厚さを有するか、又は1.0mmの長さ、0.5mmの幅、0.8mmの厚さを有するか、又は0.8mmの長さ、0.4mmの幅、0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに限定されるものではない。一方、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さに関する前述の例示的な数値は、工程誤差を反映していない数値をいうため、工程誤差と認められる範囲の数値は前述の例示的な数値に該当すると見なすべきである。
【0033】
上述したコイル部品1000の長さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージ又はSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示されたコイル部品1000の長さ方向Lに対向した2つの最外側境界線を長さ方向Lと平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、長さ方向Lと平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0034】
上述したコイル部品1000の厚さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージ又はSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示されたコイル部品1000の厚さ方向Tに対向した2つの最外側境界線を厚さ方向Tと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、厚さ方向Tと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0035】
上述したコイル部品1000の幅とは、コイル部品1000の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージ又はSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示されたコイル部品1000の幅方向Wに対向した2つの最外側境界線を幅方向Wと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味するものであることができる。あるいは、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、幅方向Wと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0036】
あるいは、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定することもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ(tip)の間に本実施形態によるコイル部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法によりコイル部品1000の長さを測定するにあたり、コイル部品1000の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。これは、コイル部品1000の幅及び厚さにも同様に適用することができる。
【0037】
本体100は、磁性物質と樹脂を含むことができる。具体的に、本体100は、磁性物質が樹脂に分散された磁性複合シートを一つ以上積層して形成することができる。但し、本体100は、磁性物質が樹脂に分散された構造以外に他の構造を有することもできる。例えば、本体100は、フェライトのような磁性物質からなってもよく、非磁性体からなってもよい。
【0038】
磁性物質はフェライト又は金属磁性粉末であってもよい。
【0039】
フェライトは、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系等のスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系等の六方晶型フェライト類、Y系等のガーネット型フェライト及びLi系フェライトのうち少なくとも一つ以上であってもよい。
【0040】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも一つ以上であってもよい。
【0041】
金属磁性粉末は非晶質又は結晶質であってもよい。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0042】
フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μmから30μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
本体100は、樹脂に分散された2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散された磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のうちいずれか一つで互いに区別されることを意味する。
【0044】
樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独又は混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0045】
本体100は、支持部材200及び第1コイル300を貫通する第1コア110と、支持部材200及び第2コイル400を貫通する第2コア120とを含むことができる。
【0046】
図2及び図5を参照すると、支持部材200には、第1コア110が配置される第1貫通孔H1と、第2コア120が配置される第2貫通孔H2とが形成されることができる。
【0047】
第1及び第2コア110、120は、磁性複合シートを積層及び硬化する工程において、磁性複合シートの少なくとも一部が第1及び第2コイル部300、400のそれぞれの貫通孔を充填することにより形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0048】
支持部材200は本体100内に配置される。支持部材200は、第1及び第2コイル300、400を支持する構成である。
【0049】
一方、第1及び第2コイル300、400が巻線型コイルに該当するか、又はコアレス(coreless)構造を有する場合など、実施形態に応じて、支持部材200が除外される場合もある。
【0050】
支持部材200は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂又は感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成されるか、あるいは、このような絶縁樹脂にガラス繊維又は無機フィラーのような補強材が含浸された絶縁材料で形成されることができる。例として、支持部材200は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)、銅箔積層板(Copper Clad Laminate、CCL)などの材料で形成されることができるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO)、チタン酸バリウム(BaTiO)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO)で構成された群から選択された少なくとも一つ以上が使用されることができる。
【0052】
支持部材200が補強材を含む絶縁材料で形成される場合、支持部材200はより優れた剛性を提供することができる。支持部材200がガラス繊維を含まない絶縁材料で形成される場合、支持部材200と第1及び第2コイル300、400全体の厚さ(図1の厚さ方向Tに沿った第1及び第2コイル300、400と支持部材200のそれぞれの数値(dimension)の合計を意味する)を薄型化して部品の厚さを減少させるのに有利である。支持部材200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成される場合、第1及び第2コイル300、400を形成するための工程数が減少し、生産コストの削減に有利であり、ビア320、420を微細に形成することができる。支持部材200の厚さは、例として、10μm以上50μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0053】
図1及び図2を参照すると、第1及び第2コイル300、400は支持部材200に配置される。第1コイル300は、支持部材200の両面に配置されてもよく、第2コイル400も支持部材200の両面に配置されてもよい。
【0054】
第1及び第2コイル300、400は、支持部材200に互いに離隔して配置され、本実施形態によるコイル部品1000の特性を発現する。例えば、本実施形態のコイル部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、第1及び第2コイル300、400は電場を磁場として保存し、出力電圧を維持することにより、電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。また、第1及び第2コイル300、400は磁気的に結合され、結合係数kの絶対値が0超過1未満の結合インダクタであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0055】
図2及び図5を参照すると、第1コイル300は、支持部材200の両面にそれぞれ配置され、第1コア110を軸として巻かれた第1及び第3巻回部311、313、第1及び第3巻回部311、313を連結する第1ビア320、第1及び第2コア110、120を共に囲む第1及び第3延長部331、333、第1ビア電極610と連結される第1引出部341、並びに第3外部電極530と連結される第3引出部343を含むことができる。
【0056】
また、第2コイル400は、支持部材200の両面にそれぞれ配置され、第2コア120を軸として巻かれた第2及び第4巻回部412、414、第2及び第4巻回部412、414を連結する第2ビア420、第1及び第2コア110、120を共に囲む第2及び第4延長部432、434、第2ビア電極 620と連結される第2引出部442、並びに第4外部電極540と連結される第4引出部444を含むことができる。
【0057】
図2及び図6を参照すると、支持部材200の上面には、第1コイル300のうち第3巻回部313、第3延長部333、及び第3引出部343が配置され、第2コイル400のうち第4巻回部414、第4延長部434、及び第4引出部444が配置されることができる。
【0058】
第3巻回部313は第1コア110を中心として少なくとも一つのターンを形成し、第3巻回部313から延長された第3延長部333は第1及び第2コア110、120を共に囲むように配置されることができる。第3延長部333の端部に位置する第3引出部343は、本体100の第3面103に配置された第3外部電極530と連結されることができる。
【0059】
また、第4巻回部414は第2コア120を中心として少なくとも一つのターンを形成し、第4巻回部414から延長された第4延長部434は第1及び第2 コア110、120を共に囲むように配置されることができる。第4延長部434の端部に位置する第4引出部444は、本体100の第4面104に配置された第4外部電極540と連結されることができる。
【0060】
図1図2及び図7を参照すると、支持部材200の下面には、第1コイル300のうち第1巻回部311、第1延長部331、及び第1引出部341が配置され、第2コイル400のうち第2巻回部412、第2延長部432、及び第2引出部442が配置されることができる。
【0061】
第1巻回部311は第1コア110を中心として少なくとも一つのターンを形成し、第1巻回部311から延長された第1延長部331は第1及び第2コア110、120を共に囲むように配置されることができる。第1延長部331の端部に位置する第1引出部341は、第1ビア電極610を介して本体100の第1面101に配置された第1外部電極510と連結されることができる。
【0062】
また、第2巻回部412は第2コア120を中心として少なくとも一つのターンを形成し、第2巻回部412から延長された第2延長部432は第1及び第2 コア110、120を共に囲むように配置されることができる。第2延長部432の端部に位置する第2引出部442は、第2ビア電極620を介して本体100の第1面101に配置された第2外部電極520と連結されることができる。
【0063】
図5を参照すると、第1コイル300の第1巻回部311と第3巻回部313とは、支持部材200を貫通する第1ビア320を介して内側端部が互いに連結されることができる。また、第2コイル400の第2巻回部412と第4巻回部414とは、支持部材200を貫通する第2ビア420を介して内側端部が互いに連結されることができる。
【0064】
このような構成により、本実施形態によるコイル部品1000の実装時に、第1外部電極510に入力される信号は、第1ビア電極610、第1引出部341、第1延長部331、第1巻回部311、第1ビア320、第3巻回部313、第3延長部333、及び第3引出部343を経て第3外部電極530に出力されることができる。
【0065】
したがって、第1コイル300と第1ビア電極610は、第1外部電極510と第3外部電極530との間で一つのコイルとして機能することができる。
【0066】
また、第2外部電極520に入力される信号は、第2ビア電極620、第2引出部442、第2延長部432、第2巻回部412、第2ビア420、第4巻回部414、第4延長部434、及び第4引出部444を経て第4外部電極540に出力されることができる。
【0067】
したがって、第2コイル400と第2ビア電極620は、第2外部電極520と第4外部電極540との間で一つのコイルとして機能することができる。
【0068】
図2を参照すると、第1コイル300において、第1巻回部311と第1延長部331が巻かれた方向は互いに同一であり、第3巻回部313と第3延長部333が巻かれた方向は互いに同一に形成されることができる。上記構成により、第1外部電極510と第3外部電極530との間で電流が流れる場合、第1巻回部311から誘導される磁束の方向と第1延長部331から誘導される磁束の方向は同一であり、また、第3巻回部313から誘導される磁束の方向と第3延長部333から誘導される磁束の方向は同一であることができる。
【0069】
同様に、第2コイル400において、第2巻回部412と第2延長部432が巻かれた方向は互いに同一であり、第4巻回部414と第4延長部434が巻かれた方向は互いに同一に形成されることができる。上記構成により、第2外部電極520と第4外部電極540との間で電流が流れる場合、第2巻回部412から誘導される磁束の方向と第2延長部432から誘導される磁束の方向は同一であり、第4巻回部414から誘導される磁束の方向と第4延長部434から誘導される磁束の方向は同一であることができる。
【0070】
第1コイル300と第2コイル400は全体として同じ巻回方向を有することができ、上記のように同じ方向に巻かれた第1及び第2コイル300、400が一つの本体100内に配置されることで、第1及び第2コイル300、400が磁気的に結合する結合インダクタが実現されることができる。
【0071】
第1及び第2コイル300、400間の磁気結合係数kの絶対値は、0より大きく1より小さい値を有することができ、外部電極510、520、530、540の入出力方向に応じて、ポジティブカップリング又はネガティブカップリングを制御することができる。
【0072】
第1~第4巻回部311、412、313、414、第1及び第2ビア320、420、第1~第4延長部331、432、333、434、並びに第1~第4引出部341、442、343、444のうち少なくとも一つは、少なくとも一つ以上の導電層を含むことができる。
【0073】
第1コイル300を例に挙げると、第1巻回部311、第1ビア320、第1延長部331、及び第1引出部341を支持部材210の下面(図1の方向を基準とする)にめっきで形成する場合、第1巻回部311、第1ビア320、第1延長部331、及び第1引出部341のそれぞれはシード層と電解めっき層を含むことができる。シード層は、無電解めっき法又はスパッタリングなどの気相蒸着法で形成することができる。シード層及び電解めっき層のそれぞれは単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の電解めっき層は、いずれか一方の電解めっき層を他方の電解めっき層がカバーするコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されてもよく、いずれか一方の電解めっき層の一面にのみ他方の電解めっき層が積層された形状に形成されてもよい。第1巻回部311、第1ビア320、第1延長部331、及び第1引出部341のシード層は一体に形成され、相互間に境界が形成されなくてもよいが、これに限定されるものではない。第1巻回部311、第1ビア320、第1延長部331、及び第1引出部341の電解めっき層は一体に形成され、相互間に境界が形成されなくてもよいが、これに限定されるものではない。
【0074】
第1~第4巻回部311、412、313、414、第1及び第2ビア320、420、第1~第4延長部331、432、333、434、並びに第1~第4引出部341、442、343、444のそれぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金などの導電性物質を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
図1図4を参照すると、本実施形態によるコイル部品1000は、本体100内に配置されて第1コイル300と第1外部電極510とを連結する第1ビア電極610、及び本体100内に配置されて第2コイル400と第2外部電極520とを連結する第2ビア電極620を含むことができる。
【0076】
図4を参照すると、第1及び第2ビア電極610、620のうち少なくとも一つは、本体100の第1面101に近いほど、断面積が広いテーパ形状を有することができる。第1及び第2ビア電極610、620のうち少なくとも一つは、L-T断面上において台形形状の断面を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0077】
第1ビア電極610は、第1コイル300と接する、すなわち、第1コイル300のうち第1引出部341と接する一面、及び第1外部電極510と接する他面を含み、第1ビア電極610の一面と他面はそれぞれ円形に形成されることができる。ここで、一面と他面が円形であるとは、レーザを用いたビアホール加工等により、工程誤差等を含めて実質的に円形に近い形状を有するという意味であるが、これに限定されるものではない。
【0078】
第1ビア電極610の一面の直径D2に対する他面の直径D1の比D1/D2は1.05より大きく形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。第1ビア電極610の一面の直径D2に対する他面の直径D1の比D1/D2が1.05以下の場合、第1ビア電極610は円柱に近い形状を有することになり、テーパ形状の場合よりもビア電極のホール充填品質が低下する可能性がある。
【0079】
同様に、第2ビア電極620は、第2コイル400と接する、すなわち、第2コイル400のうち第2引出部442と接する一面、及び第2外部電極520と接する他面を含み、第2ビア電極620の一面と他面はそれぞれ円形に形成されることができる。ここで、一面と他面が円形であるとは、レーザを用いたビアホール加工等により、工程誤差等を含めて実質的に円形に近い形状を有するという意味であるが、これに限定されるものではない。
【0080】
第2ビア電極620の一面の直径D2に対する他面の直径D1の比D1/D2は1.05より大きく形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。第2ビア電極620の一面の直径D2に対する他面の直径D1の比D1/D2が1.05以下の場合、第2ビア電極620は円柱に近い形状を有することになり、テーパ形状の場合よりもビア電極のホール充電品質が低下する可能性がある。
【0081】
ここで、図4を参照すると、ビア電極610、620の一面又は他面の直径は、ビア電極610、620の中心を通るように研磨されたコイル部品1000のL-T断面に対する光学顕微鏡イメージ、又はSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準として、ビア電極610、620の一面及び他面のそれぞれのL方向ディメンションを測定した値であることができる。
【0082】
上記のように、ビア電極610、620が本体100の第1面101に近いほど、断面直径が広くなるテーパ形状の円柱形状を有する場合、レーザ加工されたビアホールにめっき等による導電性物質の充填が容易になるため、ビア電極610、620と引出部341、442との間の連結信頼度が向上できる。
【0083】
図4を参照すると、第1及び第2ビア電極610、620の少なくとも一部は、第1及び第2引出部341、442の内側に延長されることができる。すなわち、ビア電極610、620は、支持部材200の両面に第1及び第2コイル300、400を配置した後、磁性シートを積層して本体100を形成し、レーザ等を用いて形成されたビアホール内に導電性物質を充填することによって形成できるため、第1及び第2引出部341、442の内側に一部が貫通して入り込んだ形態であることができる。
【0084】
上記構成において、第1及び第2引出部341、442の第1方向Tに沿った厚さT1に対する、第1及び第2ビア電極610、620が第1及び第2 引出部341、442の内側に延長された領域の第1方向Tに沿った厚さT2の比T2/T1は、0.9より小さく形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。第1及び第2引出部341、442の第1方向Tに沿った厚さT1に対する、第1及び第2ビア電極610、620が第1及び第2引出部341、442の内側に延長された領域の第1方向Tに沿った厚さT2の比T2/T1が0.9以上に形成される場合、支持部材200の反対面のコイル又は隣接したターンとの短絡の危険が高まる可能性がある。
【0085】
図1図4を参照すると、第1~第4外部電極510、520、530、540は本体100の第1面101に配置され、第3外部電極530は本体100の第3面103に延長され、第4外部電極540は本体100の第4面104に延長されることができる。
【0086】
具体的に、第1~第4外部電極510、520、530、540は、本体100の第1面101に互いに離隔するように配置され、そのうち第1及び第2外部電極510、520は本体100の第1面101において第1及び第2ビア電極610、620とそれぞれ接し、第3外部電極530は本体100の第3面103に延長されて第3引出部343と接し、第4外部電極540は本体100の第4面104に延長されて第4引出部444と接するように配置されることができる。
【0087】
すなわち、本実施形態によるコイル部品1000は、4つの外部電極510、520、530、540のうち、第1及び第2外部電極510、520はビア電極610、620を介して下面連結され、第3及び第4外部電極530、540は、引出部343、444と直接に側面連結される構造を有することができる。
【0088】
上記構成により、第1コイル300の一端は第1外部電極510と下面連結され、他端は第3外部電極530と側面連結され、第2コイル400の一端は第2外部電極520と下面連結され、他端は第4外部電極540と側面連結されることができる。これにより、通常の結合インダクタに比べて、本実施形態のコイル部品1000は、側面における短絡の危険が著しく減少でき、側面絶縁工程が単純化されることで、外観不良も改善することができる。
【0089】
第1~第4外部電極510、520、530、540は、本実施形態によるコイル部品1000がプリント回路基板等に実装されるとき、コイル部品1000をプリント回路基板等と電気的に連結させる。例として、本体100の一面に互いに離隔して配置された第1~第4外部電極510、520、530、540とプリント回路基板の接続部とが電気的に連結されることができる。
【0090】
第1~第4外部電極510、520、530、540は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
第1~第4外部電極510、520、530、540のそれぞれは、複数の層で形成されてもよい。例として、第1~第4外部電極510、520、530、540は、それぞれ第1及び第2ビア電極610、620又は第3及び第4引出部343、444と接する第1層、及び第1層に配置された第2層を含むことができる。ここで、第1層は、銅(Cu)及び銀(Ag)のうち少なくとも一つを含む導電性粉末と絶縁樹脂を含む導電性樹脂層であってもよく、銅(Cu)めっき層であってもよい。第2層は、ニッケル(Ni)めっき層及び錫(Sn)めっき層のように二重層構造であってもよい。
【0092】
図4及び図5を参照すると、絶縁膜IFは、第1及び第2コイル300、400をカバーするように第1及び第2コイル300、400と本体100との間に配置されることができる。絶縁膜IFは、支持部材200、第1及び第2コイル300、400の表面に沿って形成されることができる。絶縁膜IFは、第1及び第2コイル300、400を本体100から絶縁させるためのものであって、パリレン等の公知の絶縁物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。絶縁膜IFは気相蒸着などの方法により形成されてもよいが、これに限定されるものではなく、絶縁フィルムを支持部材200の両面に積層することにより形成されてもよい。
【0093】
一方、本実施形態によるコイル部品1000は、本体100の外側面をカバーし、且つ第1~第4外部電極510、520、530、540が配置された領域を除く領域に配置されて第1~第4外部電極510、520、530、540を露出する絶縁層700をさらに含むことができる。
【0094】
絶縁層は、例として、絶縁樹脂を含む絶縁材料を本体100の表面に塗布及び硬化して形成されたものであってもよい。この場合、絶縁層は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系等の熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂及び感光性絶縁樹脂のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0095】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態によるコイル部品2000を概略的に示す斜視図であり、図9は、図8のIII-III'線に沿った断面を示す図である。
【0096】
図8及び図9を参照すると、本実施形態は、第1実施形態と比較して、第3引出部343と第3外部電極530との間の連結関係、第4引出部444と第4外部電極540との間の連結関係、第3及び第4外部電極530、540の形状、並びに第3及び第4ビア電極630、640を含む構造等が異なる。
【0097】
したがって、本実施形態を説明するにあたり、本発明の第1実施形態と異なる第3引出部343と第3外部電極530との間の連結関係、第4引出部444と第4外部電極540との間の連結関係、第3及び第4外部電極530、540の形状、並びに第3及び第4ビア電極630、640についてのみ説明し、本実施形態の残りの構成については、本発明の第1実施形態における説明をそのまま適用することができる。
【0098】
図8及び図9を参照すると、本実施形態によるコイル部品2000は、第1~第4外部電極510、520、530、540が本体100の第1面101上に配置され、本体100の側面、すなわち、第3面~第6面103、104、105、106には延長されないように配置されることができる。
【0099】
また、本実施形態によるコイル部品2000は、本体100内に配置され、第1コイル300と第1及び第3外部電極510、530をそれぞれ連結する第1及び第3ビア電極610、630を含み、本体100内に配置され、第2コイル400と第2及び第4外部電極520、540とをそれぞれ連結する第2及び第4ビア電極620、640を含むことができる。
【0100】
すなわち、本実施形態は、第1実施形態と比較して、第3及び第4ビア電極630、640をさらに含む構造を通じて、第1~第4外部電極510、520、530、540はいずれも本体100の第1面101に配置され、第1及び第2コイル300、400の各端部はいずれも下面連結されることができる。
【0101】
図9を参照すると、第3ビア電極630は支持部材200を貫通して第1コイル300と連結されることができる。具体的に、第3ビア電極630は、支持部材200の下面から上面に向かって貫通し、支持部材200の上面に配置された第1コイル300の第3引出部343と接することができる。このとき、第3ビア電極630の少なくとも一部は、第3引出部343の内側に延長されてもよい。
【0102】
また、第4ビア電極640は、支持部材200を貫通して第2コイル400と連結されることができる。具体的に、第4ビア電極640は、支持部材200の下面から上面に向かって貫通し、支持部材200の上面に配置された第2コイル400の第4引出部444と接することができる。このとき、第4ビア電極640の少なくとも一部は、第4引出部434の内側に延長されてもよい。
【0103】
第3及び第4ビア電極630、640は、第1及び第2ビア電極610、620と同様に、本体100にレーザ等によるビアホール加工後に導電性物質を充填することにより形成されることができる。第3及び第4ビア電極630、640のうち少なくとも一つは、本体100の第1面101に近いほど、断面積が広いテーパ形状であることができるが、これに限定されるものではない。
【0104】
第3ビア電極630は、第1コイル300の第3引出部343と接する一面、及び第3外部電極530と接する他面を含み、第3ビア電極630の一面と他面はそれぞれ円形に形成されることができる。また、第4ビア電極640は、第2コイル400の第4引出部444と接する一面、及び第4外部電極540と接する他面を含み、第4ビア電極640の一面と他面はそれぞれ円形に形成されることができる。
【0105】
ここで、一面と他面が円形であるとは、レーザを用いたビアホール加工等により、工程誤差等を含めて実質的に円形に近い形状を有するという意味であるが、これに限定されるものではない。
【0106】
本実施形態によるコイル部品2000は、第1実施形態と比較して、第1~第4外部電極510、520、530、540が全て本体100の第1面101に配置されるため、結合インダクタの4端子が全て下面電極として実現されることができる。このような構成により、側面には外部電極510、520、530、540が配置されないため、側面絶縁工程をさらに単純化することができ、本体100の側面における短絡発生の危険もさらに低減することができる。
【0107】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態によるコイル部品3000を概略的に示す斜視図であり、図11は、図10のIV-IV'線に沿った断面を示す図である。
【0108】
図10及び図11を参照すると、本実施形態は、第2実施形態と比較して、第1~第4ビア電極610、620、630、640の形状、及び第1~第4ビア電極610、620、630、640と本体100の表面との間の配置関係が異なる。
【0109】
したがって、本実施形態を説明するにあたり、本発明の第2実施形態とは異なる第1~第4ビア電極610、620、630、640の形状、及び第1~第4ビア電極610、620、630、640と本体100の表面との間の配置関係についてのみ説明し、本実施形態の残りの構成については、本発明の第2実施形態における説明をそのまま適用することができる。
【0110】
図10を参照すると、本実施形態によるコイル部品3000のビア電極610、620、630、640は、本体100の側面と接するように配置され、一部が切り取られた形態を有することができる。例として、第1~第4ビア電極610、620、630、640は、テーパ形状の半円柱形状を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0111】
図10及び図11を参照すると、第1~第4ビア電極610、620、630、640のそれぞれは、第1コイル300又は第2コイル400と接する一面、第1~第4外部電極510、520、530、540と接する他面、及び一面と他面とを連結する側面を含み、第1~第4ビア電極610、620、630、640のうち少なくとも一つは、側面の少なくとも一部が本体100の表面と共面(coplanar)をなすことができる。
【0112】
具体的に、第2及び第3ビア電極620、630のうち少なくとも一つは、第2及び第3ビア電極620、630の側面の少なくとも一部が本体100の第3面103と共面をなすことができ、第1及び第4ビア電極610、640のうち少なくとも一つは、第1及び第4ビア電極610、640の側面の少なくとも一部が本体100の第4面104と共面をなすことができる。
【0113】
第1~第4ビア電極610、620、630、640は、少なくとも一部が本体100の第3面103又は第4面104に露出して、本体100をカバーする絶縁層700と接するように配置されることができる。
【0114】
第3ビア電極630は、支持部材200を貫通して支持部材200の上面に配置された第1コイル300の第3引出部343と連結され、本体100の第3面103をカバーする絶縁層700と支持部材200との間に配置されることができる。
【0115】
また、第4ビア電極640は、支持部材200を貫通して支持部材200の上面に配置された第2コイル400の第4引出部444と連結され、本体100の第4面104をカバーする絶縁層700と支持部材200との間に配置されることができる。
【0116】
本実施形態によるコイル部品3000は、個別部品にダイシングされる前のコイルバー状態で、ビア電極610、620、630、640がダイシングライン上に配置され、ダイシング工程の際に本体100と共にダイシングされることによって形成されることができる。
【0117】
このような構成により、ビア電極610、620、630、640が本体100内で占める体積が減少するため、コイル部品3000の有効体積が増加し、それによりインダクタンス特性が向上できる。また、ビア電極610、620、630、640を形成するためのビアホール加工の回数が減少するため、工程効率が高くなり、不良の発生が低減できる。
【0118】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更又は削除等により、本発明を様々に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれると言える。
【符号の説明】
【0119】
100:本体
110:第1コア
120:第2コア
200:支持部材
300:第1コイル
311:第1巻回部
313:第3巻回部
320:第1ビア
331:第1延長部
333:第3延長部
341:第1引出部
343:第3引出部
400:第2コイル
412:第2巻回部
414:第4巻回部
420:第2ビア
432:第2延長部
434:第4延長部
442:第2引出部
444:第4引出部
510:第1外部電極
520:第2外部電極
530:第3外部電極
540:第4外部電極
610:第1ビア電極
620:第2ビア電極
630:第3ビア電極
640:第4ビア電極
700:絶縁層
H1:第1貫通孔
H2:第2貫通孔
IF:絶縁膜
1000、2000、3000:コイル部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11