(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066457
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】熱交換器及び熱交換方法
(51)【国際特許分類】
F28D 7/00 20060101AFI20240508BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20240508BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20240508BHJP
C03B 5/237 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F28D7/00 A
F24H9/00 A
F28D7/16 C
F28D7/16 F
C03B5/237
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172346
(22)【出願日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】202211348756.6
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】リウ,リュウチェン
(72)【発明者】
【氏名】グ,ユークワン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンカンペン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】パン,ユエジン
【テーマコード(参考)】
3L036
3L103
4G014
【Fターム(参考)】
3L036AA09
3L103AA05
3L103AA11
3L103AA32
3L103AA37
3L103BB01
3L103CC24
3L103CC27
3L103DD05
3L103DD08
3L103DD10
3L103DD22
3L103DD31
4G014AF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、輸送中に高温流体から熱を回収し得る熱交換器及び熱交換方法を開示する。
【解決手段】熱交換器は、閉鎖熱交換領域、及びその内部に取り付けられた受熱流体コイルを含む。熱交換方法は、高温流体を、それと接触する熱交換ベースプレートに通して、受熱流体へ熱を伝達することである。本発明における熱交換器の設計によれば、元の輸送管路の修正、及び新しい装置の取り付けが、非常に好都合であり、熱交換面積が増大され得る一方で、コストを節約し、且つ熱交換効率が高められる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温流体と受熱流体との間で熱を交換するように構成された熱交換器において、前記熱交換器は、高温流体輸送管路の一部を形成し、
前記熱交換器は:
断熱層外壁及び断熱層内壁を含むハウジングであって、前記ハウジングの軸が、前記高温流体の流れ方向に対して平行である、ハウジングと;
前記ハウジングに形成された高温流体入口及び高温流体出口と;
前記高温流体と接触する熱交換ベースプレートであって、前記ハウジングと前記熱交換ベースプレートとの間に少なくとも1つの熱交換領域が形成され、及び前記受熱流体を送給するための受熱流体コイルが前記熱交換領域を通過する、熱交換ベースプレートと;
受熱流体入口及び受熱流体出口と
を含み;
前記高温流体輸送管路は鉛直方向に配置されることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
前記受熱流体コイルは、少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブ状チャンネルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記受熱流体が前記チューブ状チャンネルに沿って流れるための流体経路を形成するための隣接するチューブ状チャンネル間に、画成された空間があることを特徴とする、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記断熱層内壁は、少なくとも部分的に熱反射板を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記受熱流体入口及び前記受熱流体出口は、前記断熱層外壁に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記熱交換器は、さらに、前記熱交換領域を通過する補助流体コイルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記補助流体コイルは、少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブ状チャンネルを含むことを特徴とする、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記補助流体コイルには、補助流体入口及び補助流体出口が設けられることを特徴とする、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記補助流体は、空気、窒素又は二酸化炭素を含むことを特徴とする、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記受熱流体は、燃料ガス又は酸化剤ガス、例えば酸素富化ガス、天然ガス、又は水素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記高温流体の温度は500℃~1200℃の範囲内であり、及び前記受熱流体の温度は300℃~600℃の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記受熱流体の流速は5~60m/sの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項13】
高温流体を使用することによって受熱流体へ熱を伝達するための熱交換方法において、高温流体輸送管路の少なくとも一部は、請求項1~12のいずれか1項に記載の熱交換器で構成され、前記高温流体輸送管路は鉛直方向に配置され、前記熱交換器は、前記高温流体と接触する熱交換ベースプレートを含み、且つハウジングを含み、前記ハウジングと前記熱交換ベースプレートとの間に少なくとも1つの熱交換領域が形成され、及び前記受熱流体を送給するための受熱流体コイルが前記熱交換領域を通過し;
前記受熱流体コイルを流れる前記受熱流体が提供され、前記受熱流体は、前記熱交換ベースプレートの熱放射により、前記高温流体によって加熱されることを特徴とする、熱交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温流体熱回収の分野に関し、並びに熱交換器及び熱交換方法に関する。特に、燃料及び/又は酸化剤ガスを加熱するための燃焼及び/又は熱分解によって発生した熱気送管ガス(flue gas)から熱を回収する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス及び金属の溶融(smelting)などのプロセスは、一般的に、化石燃料及び酸化剤を使用するバーナーを備える。これらのプロセスは、かなりのエネルギー消費を必要とするだけでなく、大量の熱気送管ガスの放出も発生させる。エネルギーコストを削減し、且つこの熱気送管ガスを処理するための努力がなされてきた。
【0003】
多くの炉は酸素燃料燃焼で動作する、つまり、燃焼は、もはや燃料と空気との間で起こる(空気燃焼)のではなく、燃料と、酸素濃度が空気よりも高い酸素富化ガスとの間で起こる(酸素燃料燃焼)ことを意味する。そのような酸素燃料燃焼によって形成された熱気送管ガスは、大量の熱エネルギーを含む。例えば、酸素燃料燃焼では、熱気送管ガスに含まれるエネルギーは、消費されるエネルギーの約30%を占める。エネルギーのこの部分が熱気送管ガスから回収することができれば、望ましい。
【0004】
酸素富化ガスの使用は、バーナー及び一連の熱交換器の構造及び動作に新しい課題を提示する。酸素富化ガスの使用に関連付けられるリスクは、特に、大量の酸素富化ガスを包囲する熱交換器では、温度上昇から生じ始める。
【0005】
(特許文献1)には、間接熱交換器が開示されている。燃焼ガスを送給するための機器が、不活性ガスが入れられる熱交換領域内に設けられる。熱気送管ガスと燃焼ガスとの間の熱伝達は、間接的に行われる。熱交換器は、熱気送管ガスが横切る熱交換領域を含む。熱は、不活性ガスが入れられるための機器の壁を通過し、不活性ガス雰囲気を通過し、及び燃焼ガスが入れられるための機器の壁を通過する。しかしながら、占有される空間が大きく、且つ投資コストが高いために、そのような熱交換器は広く使用されてはいない。
【0006】
(特許文献2)には、熱交換器と一体化された高温流体輸送管路が開示されている。熱交換器は、閉鎖熱交換キャビティ、及びそこに設置された受熱流体コイルを含む。熱交換方法は、高温流体が、キャビティ内の補助流体を、それと接触する熱交換キャビティの熱交換ベースプレートを介して加熱し、その後、加熱された補助流体が、受熱流体コイル内の受熱流体へ熱を伝導することである。しかしながら、これは、実質的に水平に配置された様々な高温流体輸送管路の修正例に好適であるにすぎないため、限界がある。
【0007】
酸素流を加熱することは、高温での酸素の高反応性が熱回収システムの設計及び構造に極度の制約を課すため、極めて難易度が高い。酸素が熱気送管ガスと反応することは不可避であることへの懸念から、酸素を加熱するために熱気送管ガスを直接使用することも困難である。
【0008】
従来技術では、セラミック熱交換器が使用される手法もある。しかしながら、熱伝達は放射性であり、及びセラミック材料は壊れやすいため、熱交換器は漏れを起こしやすく、酸素流又は燃料流の安全性を考慮する必要があり、これらの手法は容認できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許第100575788C号明細書
【特許文献2】中国実用新案第214950753U号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術の欠陥を克服し、且つ高温流体から熱を回収するためのシステム及び方法を提供することを目的としている。既存の高温流体輸送管路を修正し、且つ高温流体輸送管路の一部から熱交換器を作製することによって、熱回収率が最大まで上昇され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、高温流体輸送管路の一部を形成する熱交換器を提供する。熱交換器は、高温流体と接触する熱交換ベースプレートを含み、且つハウジングを含み、ハウジングと熱交換ベースプレートとの間に少なくとも1つの熱交換領域が形成され、受熱流体を送給するための受熱流体コイルが熱交換領域を通過する。
【0012】
ハウジングは、断熱層外壁及び断熱層内壁を含む。断熱層内壁は、高温流体から断熱層内壁へ放射される熱を受熱流体コイルへと戻るように反射させるために、少なくとも部分的に熱反射板を含む。
【0013】
断熱層内壁と断熱層外壁との間のキャビティが、真空引きされても、又は断熱綿及び/又はパーライト砂などを含む断熱材で満たされてもよい。
【0014】
断熱層外壁には、受熱流体入口及び受熱流体出口が設けられ、受熱流体入口は、次に、受熱流体入口分配器、及び熱交換領域内にある受熱流体コイルの入口と連通する。受熱流体出口は、次に、受熱流体出口分配器、及び受熱流体コイルの出口と連通する。熱交換器の外側で、受熱流体入口及び受熱流体出口は、それぞれフランジを介して受熱流体送給システムに接続される。受熱流体送給システムは、受熱流体の流量を調整できる弁、受熱流体コントローラなどを含む。受熱流体コントローラは、測定機器によって測定された受熱流体出口温度及び/又は圧力を受信し得、及びこれに基づいて、受熱流体の流量(又は流速)、温度及び圧力などを調節し得る。受熱流体の温度及び圧力などの変数は、重要な工業上のパラメータであるため、温度センサー及び/又は圧力センサーなどの測定機器は、受熱流体出口管路、又は受熱流体出口に接続される受熱流体出口分配器に設けられ得る。
【0015】
断熱層外壁には、さらに、補助流体入口及び補助流体出口が設けられ、それらはそれぞれ、熱交換領域と連通している。補助流体出口にガス組成分析器が設けられて、受熱流体が熱交換領域から漏れていないことを保証する。ガス組成分析器によって測定されたガス組成が、補助流体の組成と不整合であり、且つ受熱流体の流量が増加する場合、受熱流体コイルが壊れているか又は漏れていることを示している。この時点で、熱交換器はすぐに停止され、修理されるべきである。
【0016】
当業者は、必要に応じて1つ以上の補助流体入口及び補助流体出口を設け得る。
【0017】
熱交換器の外側で、補助流体入口及び補助流体出口はそれぞれ、補助流体送給システムに接続され、補助流体送給システムは、補助流体の流量を調整できる弁及び補助流体コントローラなどを含む。補助流体は、熱交換領域にある受熱流体コイルの外側の空間を流れる。補助流体コイルが、熱交換領域を通過するように構成され得る。補助流体コントローラはまた、測定機器によって測定された受熱流体出口温度及び/又は圧力を受信し、これに基づいて、補助流体の流量(又は流速)、温度及び圧力などを調節し得る。
【0018】
本発明の第1の態様は、高温流体と受熱流体との間で熱を交換するように構成された熱交換器を提供し、ここで、熱交換器は、高温流体輸送管路の一部を形成し、
熱交換器は:
断熱層外壁及び断熱層内壁を含むハウジングであって、ハウジングの軸が、高温流体の流れ方向に対して平行である、ハウジングと;
ハウジングに形成された高温流体入口及び高温流体出口と;
高温流体と接触する熱交換ベースプレートであって、ハウジングと熱交換ベースプレートとの間に少なくとも1つの熱交換領域が形成され、及び受熱流体を送給するための受熱流体コイルが熱交換領域を通過する、熱交換ベースプレートと;
受熱流体入口及び受熱流体出口と
を含む。
【0019】
さらに、高温流体輸送管路は、鉛直方向に配置される。
【0020】
さらに、受熱流体コイルは、少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブ状チャンネルを含む。
【0021】
さらに、受熱流体がチューブ状チャンネルに沿って流れるための流体経路を形成するための隣接するチューブ状チャンネル間に、画成された空間がある。
【0022】
さらに、断熱層内壁は、少なくとも部分的に熱反射板を含む。
【0023】
さらに、受熱流体入口及び受熱流体出口は、断熱層外壁に配置される。
【0024】
さらに、熱交換器は、熱交換領域を通過する補助流体コイルをさらに含む。
【0025】
さらに、補助流体コイルは、少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブ状チャンネルを含む。
【0026】
さらに、補助流体コイルには、補助流体入口及び補助流体出口が設けられる。
【0027】
さらに、高温流体は、燃焼及び/又は分解によって発生した熱気送管ガスを含有する。
【0028】
本発明の第2の態様は、高温流体を使用することによって受熱流体へ熱を伝達するための熱交換方法を提供し、高温流体輸送管路の少なくとも一部は、本発明の第1の態様による熱交換器で構成され、高温流体輸送管路は鉛直方向に配置され、熱交換器は、高温流体と接触する熱交換ベースプレートを含み、且つハウジングを含み、ハウジングと熱交換ベースプレートとの間に少なくとも1つの熱交換領域が形成され、及び受熱流体を送給するための受熱流体コイルが熱交換領域を通過し;及び
受熱流体コイルを流れる受熱流体が提供され、及び受熱流体は、熱交換ベースプレートの熱放射により、高温流体によって加熱される。
【0029】
さらに補助流体が提供され、補助流体は、熱交換領域内において、流れているか又は静止している。
【0030】
本出願の実装形態では、熱交換ベースプレートの周辺は、熱交換器の実質的に軸方向範囲全体に沿って熱交換領域を囲み、且つ断熱層内壁から離間される。熱交換ベースプレートの表面は、全体として、シリンダー状とし得る。
【0031】
高温流体輸送管路が鉛直方向に配置される場合、その一部又は全てが、熱交換器によって置き換えられてもよい。例として高温流体を熱気送管ガスと取れば、熱交換器の底端面は、熱交換器の下にある耐火レンガにぴったりと押し付けられ、及び熱交換器の上方の耐火レンガは、熱交換器の上端面にぴったりと押し付けられる。熱交換器のハウジングの外側に支持構造が配置される。
【0032】
任意選択的に、熱交換ベースプレート、断熱層の内壁及び外壁、熱反射板、及び受熱流体コイルなどは全て、ステンレス鋼製である。
【0033】
任意選択的に、高温流体輸送管路は、鉛直方向に沿って複数の熱交換器を備え、及び隣接する熱交換器の端面は、互いに近くにある。各端面は、耐火材料によって封止される。
【0034】
本発明はまた、高温流体を使用することによって受熱流体へ熱を伝達するための熱交換方法を開示し、受熱流体は受熱流体コイルを流れ、及び補助流体が、熱交換領域において、流れているか又は静止している。熱は、高温流体から熱交換ベースプレートへ伝達され、その後、熱は、熱交換ベースプレートから、熱交換領域内の受熱流体コイルへ伝達され、最終的に、対流によって受熱流体へ伝達される。
【0035】
高温流体は、燃焼及び/又は熱分解によって発生する熱気送管ガスを含む。
【0036】
補助流体は、空気、窒素又は二酸化炭素を含む。受熱流体は、燃料ガス又は酸化剤ガス、例えば酸素富化ガス、天然ガス、又は水素を含む。
【0037】
高温流体、例えば熱気送管ガスの温度は500℃~1200℃の範囲内であり、及び受熱流体の温度は300℃~600℃の範囲内である。受熱流体の流速は、5~60m/s、好ましくは20~30m/sの範囲内である。補助流体の流速は、0~50m/s、好ましくは20~30m/sの範囲内である。
【0038】
本発明の目的は、既存の高温流体輸送管路、例えば熱気送管ガス管路自体を修正することによって、熱交換器及び高温流体輸送管路を一体化して、熱エネルギーの回収を最大にし、空間を節約し、及び投資コストを節約して、従来技術の不都合な点を克服することにある。
【0039】
本発明の技術的解決法の使用は、いくつかの有益な技術的効果を生じるであろう。
【0040】
第1に、本発明の熱交換器の設計によれば、元の輸送管路の修正、及び新しい装置の設置は、非常に好都合であり、熱交換面積が増大される一方で、コストを節約し、且つ熱交換効率が高められる。
【0041】
第2に、複数の熱交換器が一緒に設置され得、及び複数の熱交換器は、同じ受熱流体又は異なる受熱流体を加熱し得る。
【0042】
第3に、熱交換器は、間接的な加熱モードを採用し、且つ補助流体、温度センサー、ガス組成分析器などの使用によって、熱交換器の安全性及び可制御性を高める。
【0043】
本出願の図面は、本出願の趣旨の図示、解釈及び説明のためにすぎず、本出願を何ら限定するものではない。同様の参照符号は、添付図面全体を通して、対応する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、本出願の実施形態における熱交換器の空間構造図を示す。
【
図2】
図2は、鉛直高温流体輸送管路に設置された関連の実施形態の断面図を示す。
【
図3】
図3は、鉛直高温流体輸送管路に設置された関連の実施形態の断面図を示す。
【
図4】
図4は、水平高温流体輸送管路に設置された関連の実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
参照符号のリスト:1-熱交換ベースプレート、3-上端面、4-下端面、5-受熱流体入口、6-受熱流体出口、7-温度センサー、8-受熱流体入口分配器、9-受熱流体出口分配器、10-補助流体入口、11-補助流体出口、12-受熱流体コイル、13-断熱層外壁、14-断熱層内壁、15-補助流体コイル。
【0046】
本発明では、用語「上」、「下」、「前」、「背面」、「垂直」、「平行」、「頂部」、「底」、「内側」、「外側」などによって示される向き又は位置関係は、添付図面に示す向き又は位置関係に基づき、且つ水平面を基準とすることを理解されたい。
【0047】
具体的に明記しない限り、本明細書に出現する「a」のような限定詞は、量の定義を示すものではなく、技術的特徴の区別を説明する。同様に、本明細書で数字の前に出現する「およそ」及び「約」のような修飾語は、通常、数字を含み、及び文脈に照らして特定の意味が解釈されるべきである。特定の量に関する限定詞によって修飾されていない限り、本明細書の名詞は、単数形及び複数形の双方を含むとみなされ、且つ技術的解決法は、1つの技術的特徴、又は複数の技術的特徴を含み得る。
【0048】
本発明では、用語「設置する」、「接続する」、「接続」、「連通」、「固定」などは、他に特に明白な規定又は定義がなければ、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続としても、取り外し自在な接続としても、又は一体的な接続としてもよい;機械的な接続としてもよい;及び直接的な接続としても、若しくは中間媒体を介した間接的な接続としてもよく、又は2つの要素の内部間の連通としても、若しくは2つの要素の相互作用としてもよい。当業者は、特定の状況に従って、本発明における上記の用語の特定の意味を理解し得る。
【0049】
用語「軸」及び「軸方向」は、中心線及び対向する円形端部を有するシリンダーにおいて、対向する端部間で中心線に対して平行に延在する方向を指す。場合によっては、用語「軸方向」は、シリンダー状(又はそうでなければ放射対称性)ではない構成要素に対して使用され得る。例えば、回転するシャフトを含む長方形ハウジングの「軸方向」の方向は、シャフトの回転軸に対して大体平行な方向とみなされ得る。
【0050】
用語「熱交換器」は、その用語の技術的な常識において使用され、換言すると、異なる温度の少なくとも2種の流体が独自の室内で循環して互いに熱を伝達する装置を指す。「熱交換器」は、加熱に貢献する流体(ガス)、及び被加熱流体(ガス)が別々の室内で循環し、且つ第1の流体が、2つの室を分ける1つ以上の壁を通して、被加熱流体へ熱を伝達する、すなわち、直接的な接触がなく、及び2種の流体の混合がない、加熱設備又は機器を指すことが理解される。
【0051】
用語「酸素富化ガス」は、酸素含有量が70容積%以上、好ましくは90容積%以上、又はさらには95容積%以上のガスであると理解されるべきである。
【0052】
用語「補助流体」は、空気、水蒸気、二酸化炭素又はそれらの組み合わせとし得る。補助ガスは、好ましくは空気である。
【0053】
用語「熱交換領域」は、燃焼及び/又は熱分解によって発生した熱気送管ガスからの熱を受熱流体へと伝達するために使用される。
【0054】
用語「受熱流体」は、燃焼及び/又は熱分解プロセスにおいて使用される任意のガス、特に酸化剤、例えば酸素富化ガス及び空気、又は燃料、例えば天然ガス及び水素を指す。
【0055】
本出願における高温流体は、様々な形及び組成を含み得る。高温流体は、ガス又は液体を含有し得る。高温流体は、単一成分としても、又は混合物としてもよい。「高温流体」における「高温」は、受熱流体の温度よりも高く、且つ100~1500℃の範囲内で変化する温度を指す。高温流体が、ガス、例えば熱気送管ガスであるとき、その輸送管路は、一般的に、耐火レンガで構成される。高温流体が液体であるとき、その輸送管路のハウジングは金属製であることが多い。本出願は、実質的に鉛直方向に配置された様々な高温流体輸送管路の修正例に好適である。修正中、高温流体輸送管路の一部が、熱交換機能を有する機器、すなわち、本出願の熱交換器と置き換えられる。
【0056】
熱交換器では、熱交換ベースプレート及びハウジングが、上端面及び下端面を介して接続される。熱交換ベースプレート1の軸方向断面と断熱層の軸方向断面は、互いに平行である。熱交換ベースプレート1、断熱層、上端面3及び下端面4は、実質的に包囲された熱交換領域を規定する。
【0057】
受熱流体コイル12が、熱交換器の軸方向の周りでらせん状に巻かれて延在し、及び受熱流体コイルのスパイラルは、可能な限り互いに取り付けられる。
図1に示すように、熱交換器本体は、中空のシリンダー状構造であり、及び高温流体が熱交換器の中心を通って流れて、熱交換ベースプレート1へ熱を伝達する。熱交換ベースプレート1は、受熱流体コイル12へと熱を放射する。そのような設計には、大きな熱交換面積及び高い熱交換効率という利点がある。
【0058】
断熱層は、断熱層内壁14及び断熱層外壁13を含む、中空の環状三次元構造である。断熱層内壁14の少なくとも一部は、熱反射板で形成されるか又はそれによって覆われる。断熱層内壁と断熱層外壁との間の空間が、真空引きされ得るか、又は断熱材、例えば断熱綿及び/又はパーライト砂で満たされ得る。
【0059】
受熱流体出口分配器9が、温度センサー7及び/又は圧力センサーを備える。さらに、受熱流体入口分配器8が、受熱流体出口分配器9の真向かいに位置する。
【0060】
断熱層外壁13には、さらに、補助流体入口10及び補助流体出口11が設けられ得る。補助流体が補助流体コイル15内を流れる。補助流体コイルは熱交換領域内に位置する。補助流体コイルは、均等に分布した通気孔が設けられているため、補助流体は、より均一に供給される。任意選択的に、ガス組成分析器が補助流体出口の近くに設けられて、受熱流体の漏れを検出する。
【0061】
熱交換器の熱交換ベースプレートは、様々な形を有し得る。
図1に示すように、熱交換ベースプレート1、断熱層外壁13及び断熱層内壁14は、実質的に平行であり、及びそれぞれ、シリンダー状形状を有する。
【0062】
図1に示すように、熱交換器内の熱交換ベースプレート及び断熱層は、上端面3及び下端面4を介して互いに接続される。上記部分の面は、平面的でも、湾曲していてもよく、又はそれら面は、設置のために、曲がり、突起、又は中空を含む。任意選択的に、熱交換ベースプレートの突出部及び断熱層は、軸方向において、互いに平行である。上端面3及び下端面4は互いに平行である。熱交換ベースプレート、断熱層並びに上端面及び下端面は、実質的に包囲された熱交換領域を規定する(各出口及び各入口を除いて)。
【0063】
本発明の熱交換器は、間接的な熱交換モードを採用する。高温流体が、最初に、伝導、放射、対流などによって、熱交換ベースプレート1を加熱する。その後、熱交換ベースプレート1が、伝導、放射などによって、受熱流体コイルを加熱し、それにより、受熱流体へさらに熱を伝導する。
【0064】
断熱層内壁14は、熱反射板及び断熱材によって部分的に覆われて、熱交換領域内の熱を可能な限り保つ。受熱流体が、高温で反応性が高い、腐食性の、又はさもなければ有害(hazardous)な物質、例えばO2又はCH4を含有する場合、熱交換プロセスの安全性は、間接的な熱交換を使用することによって、かなり向上され得る。
【0065】
補助流体は、空気、水蒸気、N2、CO2などから選択され得るが、熱交換ベースプレートは、これらの比較的不活性の雰囲気で加熱されるときは、腐食、経年劣化などにより損傷されることが少なく、漏れなどの安全性に関する事故を引き起こさないであろう。
【0066】
熱交換器の各部分に対する材料の選択(組成、厚さ、強度、仕上げ加工などを含む)は、それらと接触する流体の特性、並びに使用中の温度及び圧力の条件次第である。例えば、熱交換ベースプレートは、優秀な熱伝導性を必要とし、且つ広範囲にわたる温度の急速な変化に耐えることができる。上端面3及び下端面4は、十分な強度及び温度変化に対する抵抗を必要とする。受熱流体コイル12の壁は、良好な熱伝導性、及び動作温度範囲内での受熱流体との非反応性の双方を必要とする。受熱流体が酸素富化ガスである(すなわち、その酸素含有量が空気の酸素含有量よりも高い、任意選択的に50%よりも高い、さらに80%よりも高い、及びさらに90%よりも高い)とき、それと接触する材料は、高酸素雰囲気中で非可燃性であり、並びに耐腐食性及び耐酸化性である必要がある。
【0067】
熱交換器の熱交換効率、及び受熱流体出口における温度は、様々な方法で調整され得る。高温流体の温度及び流速が実質的に一定であるとき、補助流体の流量及び流速を増すことによって、受熱後の補助流体の温度を下げ、それに応じて、受熱流体の温度も低下する。補助流体がガスである場合、その圧力を増すことによってその密度を高め、それにより、熱伝達効率を高める。同様に、他の条件は不変のままであるが、受熱流体の流速又は流量を増すことによって、受熱流体出口における温度を下げもする。
【0068】
好ましい実施形態では、鉛直方向に取り付けられた高温熱気送管ガス管路の内径は0.4mである。熱交換ベースプレートの表面積は1m2である。受熱流体コイルの熱伝達面積は2.5m2である(展開面積(developed area)に基づいて計算される)。熱交換器内の全ての金属構成要素は、310SS製である。高温熱気送管ガスの温度は、500℃~1200℃の範囲内である。受熱流体は、酸素富化ガス、例えば酸素である。上端面と下端面との間の高さは800mmとし得る。
【0069】
本出願では、燃焼後に発生した熱気送管ガスは、高温熱気送管ガス管路に導入される。熱気送管ガスの主成分は、二酸化炭素、水、一酸化炭素、二酸化硫黄、酸化窒素などであり、温度は、500~1200℃の範囲内で変化する。受熱流体は酸素であり、及び酸素の加熱後に到達され得る温度は、300~600℃の範囲内であることが予想される。補助流体は、空気として選択される。
【0070】
受熱流体及び補助流体の流量、流速及び圧力などはそれぞれ、それらそれぞれの送給システムにあるコントローラによって制御される。受熱流体の流速は、5~100m/s、好ましくは20~60m/sの範囲内で変化する。補助流体の流速は、0~50m/s、好ましくは20~30m/sの範囲内で変化する。
【0071】
図2は、本出願の熱交換装置がどのように鉛直高温熱気送管ガス管路に設置されるかを示す。高温熱気送管ガス管路の部分の耐火レンガが、熱交換器によって置き換えられる。熱交換器と高温熱気送管ガス管路との間の接触面は、耐火材料を用いて封止される。さらに、
図3に示すように、複数の熱交換器がまた、積み重ねられてもよく、熱交換器内の受熱流体及び補助流体は同じでも又は異なってもよい。
【0072】
図2に示すように、耐火レンガで構成された通常の鉛直高温熱気送管ガス管路を例に取れば、本出願の上述の熱交換器を設置するとき、高温熱気送管ガス管路の耐火レンガの部分が除去され得、その後、熱交換器が、適切な位置につり上げられ、及び高温熱気送管ガス管路の残りの部分に平らに押し付けられ得る。熱交換器と輸送管路との間の接触面は、耐火材料、例えばセラミック繊維、ガラス繊維、耐火泥(refractory mud)などを用いて封止される。
図3に示すように、当業者は、必要に応じて、複数の熱交換器を配置してもよく、それらは、高温熱気送管ガス管路上に順次積み重ねられ、及び熱交換器間の接触面も耐火綿を用いて封止される。複数の熱交換器内の補助流体及び受熱流体は同じでも又は異なってもよい。
図4に示すように、本出願の上述の交換器はまた、水平高温熱気送管ガス管路の一部又は全てを置き換え得る。熱交換器は、支持構造によってその安定性を維持する。支持構造は、高温流体輸送管路又は地面に固定され得る。
【0073】
ガラス炉内での酸素富化燃焼などの、酸素富化燃焼の様々なプロセスでは、熱交換後の酸素は、燃料と一緒にバーナーへ送られるため、より高い燃焼温度、及び熱気送管ガスにおける少ないエネルギー損失が得られ得、燃焼効率が高められ、且つ酸化窒素及び粉塵の発生が減らされる。
【0074】
本発明は、上述の説明に役立つ例及び実施形態に限定されない;本書に基づいて当業者によって行われた様々な等価の修正及び置換が、本出願の特許請求の範囲によって定義される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 熱交換ベースプレート
3 上端面
4 下端面
5 受熱流体入口
6 受熱流体出口
7 温度センサー
8 受熱流体入口分配器
9 受熱流体出口分配器
10 補助流体入口
11 補助流体出口
12 受熱流体コイル
13 断熱層外壁
14 断熱層内壁
15 補助流体コイル