(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066458
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20240508BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240508BHJP
H01F 19/02 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173708
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0143685
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ホワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオク
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070BA07
(57)【要約】
【課題】低い直流抵抗R
dc及び高放熱特性を有するコイル部品を提供する。
【解決手段】本発明の一側面によるコイル部品は、互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面と第2面を連結する第1~第4側面を含む本体と、上記本体内に配置され、上記本体の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる第1及び第2引き出し部を含む第1コイルと、上記本体内に配置され、上記本体の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる第3及び第4引き出し部を含む第2コイルと、上記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、上記第1引き出し部と連結された第1外部電極、上記第2引き出し部と連結された第2外部電極、上記第3引き出し部と連結された第3外部電極および上記第4引き出し部と連結された第4外部電極と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第1~第4側面を含む本体と、
前記本体内に配置され、前記本体の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる第1及び第2引き出し部を含む第1コイルと、
前記本体内に配置され、前記本体の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる第3及び第4引き出し部を含む第2コイルと、
前記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、前記第1引き出し部と連結された第1外部電極と、
前記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、前記第2引き出し部と連結された第2外部電極と、
前記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、前記第3引き出し部と連結された第3外部電極と、
前記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、前記第4引き出し部と連結された第4外部電極と、を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記本体の第1及び第2側面は互いに向かい合い、
前記本体の第3及び第4側面は互いに向かい合う、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1外部電極は、前記本体の第1及び第3側面に配置され、
前記第2外部電極は、前記本体の第1及び第4側面に配置され、
前記第3外部電極は、前記本体の第2及び第4側面に配置され、
前記第4外部電極は、前記本体の第2及び第3側面に配置される、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1外部電極は、前記本体の第1及び第3側面間の角を覆い、
前記第2外部電極は、前記本体の第1及び第4側面間の角を覆い、
前記第3外部電極は、前記本体の第2及び第4側面間の角を覆い、
前記第4外部電極は、前記本体の第2及び第3側面間の角を覆う、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1~第4外部電極は前記本体の第1面に延びる、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1及び第2引き出し部は、それぞれ前記第1及び第2外部電極と前記本体の第1側面で連結され、
前記第3及び第4引き出し部は、それぞれ前記第3及び第4外部電極と前記本体の第2側面で連結される、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1引き出し部は、前記第1外部電極と第1引き出し部の1つの面で連結され、
前記第2引き出し部は、前記第2外部電極と第2引き出し部の1つの面で連結され、
前記第3引き出し部は、前記第3外部電極と第3引き出し部の1つの面で連結され、
前記第4引き出し部は、前記第4外部電極と第4引き出し部の1つの面で連結される、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1引き出し部は、前記第1外部電極と前記本体の第3側面でも連結され、
前記第2引き出し部は、前記第2外部電極と前記本体の第4側面でも連結され、
前記第3引き出し部は、前記第3外部電極と前記本体の第4側面でも連結され、
前記第4引き出し部は、前記第4外部電極と前記本体の第3側面でも連結される、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1引き出し部は、前記第1外部電極と第1引き出し部の2つの面で連結され、
前記第2引き出し部は、前記第2外部電極と第2引き出し部の2つの面で連結され、
前記第3引き出し部は、前記第3外部電極と第3引き出し部の2つの面で連結され、
前記第4引き出し部は、前記第4外部電極と第4引き出し部の2つの面で連結される、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1引き出し部の前記第1外部電極と連結される2つの面は互いに離隔し、
前記第2引き出し部の前記第2外部電極と連結される2つの面は互いに離隔し、
前記第3引き出し部の前記第3外部電極と連結される2つの面は互いに離隔し、
前記第4引き出し部の前記第4外部電極と連結される2つの面は互いに離隔する、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1引き出し部の前記第1外部電極と連結される2つの面の間には前記本体の一部が充填され、
前記第2引き出し部の前記第2外部電極と連結される2つの面の間には前記本体の一部が充填され、
前記第3引き出し部の前記第3外部電極と連結される2つの面の間には前記本体の一部が充填され、
前記第4引き出し部の前記第4外部電極と連結される2つの面の間には前記本体の一部が充填される、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記本体は、互いに離隔した第1及び第2コアをさらに含み、
前記第1コイルは、前記第1コアを軸に少なくとも一つのターンを形成する第1巻回部と、第1及び第2コアを囲むように前記第1巻回部の一端部から延びる第1延長部をさらに含み、
前記第2コイルは、前記第2コアを軸に少なくとも一つのターンを形成する第2巻回部と、第1及び第2コアを囲むように前記第2巻回部の一端部から延びる第2延長部をさらに含む、請求項6または8に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1引き出し部の断面積は、前記第1コイルの第1巻回部及び第1延長部の断面積よりも大きく、
前記第2引き出し部の断面積は、前記第1コイルの第1巻回部及び第1延長部の断面積よりも大きく、
前記第3引き出し部の断面積は、前記第2コイルの第2巻回部及び第2延長部の断面積よりも大きく、
前記第4引き出し部の断面積は、前記第2コイルの第2巻回部及び第2延長部の断面積よりも大きい、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第1及び第2コイルを支持するように前記本体内に配置された支持基板をさらに含む、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記第1コイルは、前記支持基板の一面に配置された第1上部コイルパターン、前記支持基板の一面と向かい合う前記支持基板の他面に配置された第1下部コイルパターン、及び前記支持基板を貫通して前記第1上部コイルパターン及び前記第1下部コイルパターンを連結する第1ビアをさらに含み、
前記第2コイルは、前記支持基板の一面に前記第1上部コイルパターンと離隔して配置された第2上部コイルパターン、前記支持基板の他面に前記第1下部コイルパターンと離隔して配置された第2下部コイルパターン、及び前記支持基板を貫通して前記第2上部コイルパターン及び前記第2下部コイルパターンを連結する第2ビアをさらに含む、請求項14に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記第1及び第2巻回部は、前記第1及び第2上部コイルパターンのみに形成される、請求項15に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル部品の一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗(Resistor)及びキャパシタ(Capacitor)に加えて電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。コイル部品には、実装面積を減らすために一つの部品内に複数個のコイルを含むアレイタイプのコイル部品がある。
【0003】
上記アレイタイプのコイル部品は、複数個のコイル間の結合係数または相互インダクタンスに応じて、非カップルド(Noncoupled)またはカップルド(Coupled)インダクタ形態または上記形態の混合形態を有することができる。
【0004】
カップルド(Coupled)インダクタは、シングル(Single)インダクタに比べてシステム面積を縮小することができ、Output段で発生する電流及び電圧のPeakを下げることができて、効率に優れる。高電流用カップルド(Coupled)パワーインダクタの需要が徐々に増加するに伴い、高電流による発熱を防止するために、低い直流抵抗Rdc及び高放熱特性を有するインダクタに対する研究が続けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許公報10-1762026号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの目的の一つは、低い直流抵抗Rdc及び高放熱特性を有するコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面と第2面を連結する第1~第4側面を含む本体と、上記本体内に配置され、上記本体の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる第1及び第2引き出し部を含む第1コイルと、上記本体内に配置され、上記本体の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる第3及び第4引き出し部を含む第2コイルと、上記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、上記第1引き出し部と連結された第1外部電極と、上記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、上記第2引き出し部と連結された第2外部電極と、上記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、上記第3引き出し部と連結された第3外部電極と、上記本体の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に配置され、上記第4引き出し部と連結された第4外部電極と、を含むコイル部品が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、カップルドインダクタにおいて、低い直流抵抗Rdc及び高放熱特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施例に係るコイル部品を概略的に示した図面である。
【
図2】
図1のコイル部品を上部から見たものを示した図面である。
【
図3】
図1のコイル部品の上部コイルパターンを上部から見たものを示した図面である。
【
図4】
図1のコイル部品の下部コイルパターンを上部から見たものを示した図面である。
【
図5】本発明の第2実施例によるコイル部品を概略的に示した図面である。
【
図6】
図5のコイル部品を上部から見たものを示した図面である。
【
図7】
図5のコイル部品の上部コイルパターンを上部から見たものを示した図面である。
【
図8】
図5のコイル部品の下部コイルパターンを上部から見たものを示した図面である。
【
図9】本発明の第2実施例によるコイル部品の他の変形例であって、コイル部品を上部から見たものを示した図面である。
【
図10】従来の電極構造を有するコイル部品の一比較例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願で用いられた用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解することができる。そして、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0011】
なお、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触される場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素間に介在して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念で用いるようにする。
【0012】
図面に示される各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上任意に示されたので、本発明は必ずしも示されたものに限定されない。
【0013】
図面において、X方向は第1方向または長さ方向、Y方向は第2方向または幅方向、Z方向は第3方向または厚さ方向と定義されることができる。
【0014】
以下、本発明の実施例に係るコイル部品を添付図面を参照して詳細に説明するが、添付図面を参照して説明するにあたり、同一又は対応する構成要素は同一の図面番号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。
【0015】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品間にはノイズ除去などを目的に様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。
【0016】
すなわち、電子機器でコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビード(General Bead)、高周波用ビード(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などで用いられることができる。
【0017】
(第1実施例によるコイル部品)
図1は、本発明の第1実施例によるコイル部品を概略的に示した図面であり、
図2は、
図1のコイル部品を上部から見たものを示した図面であり、
図3は、
図1のコイル部品の上部コイルパターンを上部から見たものを示した図面であり、
図4は、
図1のコイル部品の下部コイルパターンを上部から見たものを示した図面である。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、本実施例によるコイル部品1000は、本体100、第1コイル300、第2コイル400、第1~第4外部電極510、520、530、540を含む。
【0019】
本体100は、本実施例によるコイル部品1000の全体的な外観をなし、内部に支持基板200、第1コイル300及び第2コイル400を埋め込む。
【0020】
本体100は、全体的に六面体状に形成されることができる。
【0021】
図1を参照して、本体100は、X方向(第1方向)に互いに向かい合う第1側面101と第2側面102、Y方向(第2方向)に互いに向かい合う第3側面103と第4側面104、Z方向(第3方向)に向かい合う第1面105及び第2面106を含む。本体100の第1側面~第4側面のそれぞれは、本体100の第1面と第2面を連結する本体100の面に該当する。以下において、本体100の下面と上面は、それぞれ
図1の方向を基準に決めた、本体100の第1面105と第2面106を意味することができる。
【0022】
本体100は、絶縁樹脂及び磁性物質を含むことができる。具体的に、本体100は、磁性物質が絶縁樹脂に分散された磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。磁性物質は、フェライトまたは金属磁性粉末であることができる。フェライトは、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも一つ以上であることができる。金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも一つ以上であることができる。金属磁性粉末は非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。本体100は、樹脂に分散された2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散された磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれかで互いに区別されることを意味する。絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本体100は、支持基板200及び第1コイル300を貫通する第1コア110と、支持基板200及び第2コイル400を貫通する第2コア120を含むことができ、第1コア110及び第2コア120は互いに離隔することができる。コア110、120は、磁性複合シートを積層及び硬化する工程で、磁性複合シートの少なくとも一部が第1及び第2コイル300、400のそれぞれの貫通孔を充填することで形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0024】
支持基板200は本体100の内部に配置されることができる。具体的には、支持基板200は本体100の内部に埋め込まれることができる。支持基板200は、後述するコイル300、400を支持する構成である。但し、実施形態によっては支持基板200が備えられないことができ、例えば、巻線型構造のコイルを用いる場合、支持基板200は別途必要ない。
【0025】
支持基板200は、エポキシ樹脂などの熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性絶縁樹脂または感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された絶縁資材で形成されることができる。例として、支持基板200は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)フィルム、PID(Photo Imagable Dielectric)フィルムなどの絶縁資材で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0026】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、泥、マイカ粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)からなる群から選択された少なくとも一つ以上が用いられることができる。
【0027】
支持基板200が補強材を含む絶縁資材で形成される場合、支持基板200はより優れた剛性を提供することができる。支持基板200がガラス繊維を含まない絶縁資材で形成される場合、支持基板200は部品の薄型化に有利である。支持基板200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成される場合、コイル300、400形成のための工程数が減り、生産費の節減に有利であり、微細なビアを形成するのに有利であることができる。
【0028】
第1及び第2コイル300、400は、支持基板200上に互いに離隔して配置されることができ、本実施例によるコイル部品1000の特性を発現する。例えば、本実施例によるコイル部品1000は、第1及び第2コイル300、400間の結合係数kの絶対値が0超過1未満であるカップルドインダクタ(Coupled Inductor)であることができるが、これに制限されるものではない。
【0029】
第1コイル300は、第1コア110を軸に少なくとも一つのターンを形成する第1巻回部311と、第1及び第2コア110、120を全て囲むように第1巻回部の一端部から延びる第1延長部312を有し、第1コイル300の一端部及び他端部にそれぞれ連結された第1引き出し部313及び第2引き出し部323を有する。
【0030】
第1及び第2引き出し部313、323は、本体100の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる。具体的には、
図1を参照すると、第1及び第2引き出し部313、323は本体100の第1側面に延びることができる。第1及び第2引き出し部313、323は、本体100の第1側面に延びて、以下後述する第1及び第2外部電極510、520とそれぞれ連結される。
【0031】
第2コイル400は、第2コア120を軸に少なくとも一つのターンを形成する第2巻回部411と、第1及び第2コア110、120を全て囲むように第2巻回部の一端部から延びる第2延長部412を有し、第2コイル400の一端部及び他端部にそれぞれ連結された第3引き出し部413及び第4引き出し部423を有する。
【0032】
第3及び第4引き出し部413、423は、本体100の第1~第4側面の少なくとも一つの側面に延びる。具体的には、
図1を参照すると、第3及び第4引き出し部413、423は本体100の第2側面に延びることができる。第3及び第4引き出し部413、423は、本体100の第2側面に延びて、以下後述する第3及び第4外部電極530、540とそれぞれ連結される。
【0033】
第1引き出し部313の断面積は、第1巻回部311及び第1延長部312の断面積よりも大きく、第2引き出し部323の断面積は、第1巻回部311及び第1延長部312の断面積よりも大きい。このような場合、コイル内部電極の断面積が増加するため、直流抵抗R
dcが減少されることがある。具体的には、
図3及び
図4を参照すると、第1引き出し部313が本体100の第1側面に延びる面積を第1引き出し部313の断面積とし、第1コイル300がコアを巻回する方向と垂直な第1巻回部311及び第1延長部312の断面の面積を第1巻回部311及び第1延長部312の断面積とするとき、第1引き出し部313の断面積は、第1巻回部311及び第1延長部312の断面積よりも大きい。第2引き出し部413も同様であり、詳細な説明は重複するため、省略する。
【0034】
第3引き出し部413の断面積は、第2巻回部411及び第2延長部412の断面積より大きく、第4引き出し部423の断面積は、上記第2巻回部411及び第2延長部412の断面積よりも大きい。このような場合、コイル内部電極の断面積が増加するため、直流抵抗R
dcが減少されることがある。具体的には、
図3及び
図4を参照すると、第3延長部413が本体100の第2側面に延びる面積を第3引出部413の断面積とし、第2コイル400がコアを巻回する方向と垂直な第2巻回部411及び第2延長部412の断面の面積を第2巻回部411及び第2延長部412の断面積とするとき、第3引き出し部413の断面積は、第2巻回部411及び第2延長部412の断面積よりも大きい。第4引き出し部423も同様であり、詳細な説明は重複するため、省略する。
【0035】
図1~
図4を参照すると、第1コイル300は、
図1の方向を基準に、支持基板200の上面に配置された第1上部コイルパターン310、支持基板200の下面に配置された第1下部コイルパターン320、及び支持基板200を貫通して第1上部コイルパターン310と第1下部コイルパターン320を連結するビア330を含むことができる。
【0036】
第1上部コイルパターン310は、第1コア110を軸に少なくとも一つのターンを形成する第1上部巻回部311と、第1及び第2コア110、120を全て囲むように第1上部巻回部311の一端部から延び、一端部が第1上部巻回部311の最外側ターンよりも本体100の表面に近く配置された第1上部延長部312、及び第1上部延長部312から延びて本体100の第1側面に延びる第1引出部313を有することができる。
【0037】
第1下部コイルパターン320は、第1及び第2コア110、120を全て囲むように配置された第1下部延長部322、及び第1下部延長部322から延びて本体100の第1側面に延びる第2引き出し部323を有することができる。すなわち、第1巻回部は、第1下部コイルパターン320に形成されず、第1上部コイルパターン310のみに形成されることができる。
【0038】
第1上部巻回部311の他端部と第1下部巻回部321の他端部は、それぞれビア330に接触連結される。本体100の第1側面には後述する第1及び第2外部電極510、520が配置されるため、第1引き出し部313及び第2引き出し部323と連結される。このようにすることで、第1コイル300は、第1引き出し部313から第2引き出し部323まで延びた形態で単一のコイルとして機能することができる。
【0039】
図1~
図4を参照すると、第2コイル400は、
図1の方向を基準に、支持基板200の上面に配置された第2上部コイルパターン410、支持基板200の下面に配置された第2下部コイルパターン420、及び支持基板200を貫通して第2上部コイルパターン410と第2下部コイルパターン420を連結するビア430を含むことができる。
【0040】
第2上部コイルパターン410は、第2コア120を軸に少なくとも一つのターンを形成する第2上部巻回部411と、第1及び第2コア110、120を全て囲むように第2上部巻回部411の一端部から延び、一端部が第2上部巻回部411の最外側ターンよりも本体100の表面に近く配置された第2上部延長部412、及び第2上部延長部412から延びて本体100の第2側面に延びる第3引き出し部413を有することができる。第2下部コイルパターン420は、第1及び第2コア110、120を全て囲むように配置された第2下部延長部422、及び第2下部延長部から延びて本体100の第2側面に延びる第4引き出し部423を有することができる。すなわち、第2巻回部は、第2下部コイルパターン420に形成されず、第1上部コイルパターン410のみに形成されることができる。
【0041】
第2上部巻回部411の他端部と第2下部巻回部421の他端部は、それぞれビア430に接触連結される。本体100の第2側面には後述する第3及び第4外部電極530、540が配置されるため、第3引き出し部413及び第4引き出し部423と連結される。このようにすることで、第2コイル400は、第3引き出し部413から第4引き出し部423まで延びた形態で単一のコイルとして機能することができる。
【0042】
第1及び第2コイル300、400の場合、当技術分野で用いられるめっき工程、例えば、パターンめっき、異方めっき、等方めっきなどの方法を用いて形成されためっきパターンであることができ、これらの工程のうち複数の工程を用いて多層構造で形成されることもできる。
【0043】
第1及び第2コイル300、400のそれぞれは、支持基板200に接触するシード層、及びシード層に配置されためっき層を含むことができる。シード層は、スパッタリングなどの薄膜工程または無電解めっき工程で形成されることができる。シード層をスパッタリングなどの薄膜工程で形成した場合、シード層を構成する物質の少なくとも一部が支持基板200の表面に浸透した形態を有することができる。これは、支持基板200においてシード層を構成する金属物質の濃度が本体100のZ方向に沿って差が生じることが確認できる。
【0044】
シード層の厚さは、1.5μm以上3μm以下であることができる。シード層の厚さが1.5μm未満の場合、シード層を実現し難くて、後続工程でめっき不良が発生する可能性がある。シード層の厚さが3μm超過である場合、制限された本体100の体積内でめっき層の体積を比較的大きく形成することが難しく、工程時間が増加する可能性がある。
【0045】
ビアは少なくとも一つ以上の導電層を含むことができる。例として、ビアを電解めっきで形成する場合、ビアは、支持基板200を貫通するビアホールの内壁に形成されたシード層と、シード層が形成されたビアホールを充填する電解めっき層を含むことができる。ビアのシード層は、第1及び第2コイル300、400のシード層と同一工程で一緒に形成されて相互一体に形成されるか、第1及び第2コイル300、400のシード層と異なる工程で形成されて、両者間に境界が形成されていることができる。ビアの電解めっき層は、第1及び第2コイル300、400のめっき層と同一工程で一緒に形成されて相互一体に形成されるか、第1及び第2コイル300、400のめっき層と異なる工程で形成されて両者間に境界が形成されていることができる。
【0046】
コイル300、400及びビアのそれぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。制限されない一例として、シード層はモリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)及びチタン(Ti)の少なくとも一つを含み、めっき層は銅(Cu)を含むことができる。
【0047】
第1~第4外部電極510、520、530、540は、本体100の第1~第4側面のうち互いに隣接する2つの側面に互いに離隔するように配置される。
図1を参照すると、第1外部電極510は本体100の第1及び第3側面に配置され、第2外部電極520は本体100の第1及び第4側面に配置され、第3外部電極530は本体100の第2及び第4側面に配置され、第4外部電極540は本体100の第2及び第3側面に配置される。
【0048】
第1外部電極510は、本体100の第1側面及び第3側面間の角を覆うことができる。第2外部電極520は、本体100の第1側面及び第4側面間の角を覆うことができる。第3外部電極530は、本体100の第2側面及び第4側面間の角を覆うことができる。第4外部電極540は、本体100の第2側面及び第3側面間の角を覆うことができる。
【0049】
第1~第4外部電極510、520、530、540は本体100の第1面に延びることができる。すなわち、第1~第4外部電極510、520、530、540は、本体100の隣接する或る3面が接する地点に配置されることができる。
【0050】
直流抵抗Rdcは、コイルで発生する直流抵抗Rdcとコイル内部電極による直流抵抗Rdcに分けることができるが、コイルによって発生する直流抵抗Rdcが非常に少ないため、コイル内部電極による直流抵抗Rdcが多い部分を占める。本願発明のインダクタは、内部電極で発生する直流抵抗Rdcを減らすために、熱伝導に最も大きい影響を及ぼす電極形状を新たに考案したものである。
【0051】
本願発明の場合、外部電極は本体の側面のうち互いに隣接する2つの側面上に配置されるため、コイル部品で発生した熱が基板に伝達される経路が増加して、熱抵抗が減少される。
【0052】
第1及び第2外部電極510、520は、共通的に本体100の第1側面に配置され、本体100の第1側面に延びる第1及び第2引き出し部313、323と連結される。すなわち、本実施例の場合、第1引き出し部313は、第1外部電極510と第1引き出し部313の1つの面で連結され、第2引き出し部323は第2外部電極520と第2引き出し部323の1つの面で連結される。
【0053】
第3及び第4外部電極530、540は、共通的に本体100の第2側面に配置され、本体100の第2側面に延びる第3及び第4引き出し部413、423と連結される。すなわち、本実施例の場合、第3引き出し部413は、第3外部電極530と第3引き出し部413の1つの面で連結され、第4引き出し部423は第4外部電極540と第4引き出し部423の1つの面で連結される。
【0054】
第1~第4外部電極510、520、530、540は、電気導電性に優れた金属を含むペーストを用いて形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)または銀(Ag)などの単独またはこれらの合金などを含む導電性ペーストであることができる。また、第1~第4外部電極510、520、530、540のそれぞれを覆うようにめっき層が備えられることもできる。この場合、上記めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びスズ(Sn)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層及びスズ(Sn)層が順次形成されることができる。
【0055】
一方、図示してはいないが、本体100が導電性の磁性物質を含む場合、コイル部品1000は、第1及び第2コイル300、400の表面に配置された絶縁層をさらに含むことができる。
【0056】
(第2実施例によるコイル部品)
図5は、本発明の第2実施例によるコイル部品を概略的に示した図面であり、
図6は、
図5のコイル部品を上部から見たものを示した図面であり、
図7は、
図5のコイル部品の上部コイルパターンを上部から見たものを示した図面であり、
図8は、
図5のコイル部品の下部コイルパターンを上部から見たものを示した図面である。
【0057】
以下、第1実施例によるコイル部品と異なる点について詳述する。
【0058】
第2実施例によるコイル部品2000の場合、第1実施例によるコイル部品1000と比較して、引き出し部313、323、413、423と外部電極510、520、530、540の連結構造が異なる。
【0059】
具体的には、第1引き出し部313は、第1外部電極510と本体100の第3側面でも連結され、第2引き出し部323は、第2外部電極520と本体100の第4側面でも連結され、第3引き出し部413は、第3外部電極530と本体100の第4側面でも連結され、第4引き出し部423は、第4外部電極540と本体100の第3側面でも連結される。
【0060】
すなわち、第1引き出し部313は第1外部電極510と第1引き出し部313の2つの面で連結され、第2引き出し部323は第2外部電極520と第2引き出し部323の2つの面で連結され、第3引き出し部413は第3外部電極530と第3引き出し部413の2つの面で連結され、第4引き出し部423は第4外部電極540と第4引き出し部423の2つの面で連結される。
【0061】
このように、引き出し部は外部電極と2つの面で接するため、電流伝達の経路となる電極の断面積が増加し、電気抵抗が減少される。
【0062】
その他の内容は、第1実施例に対する説明で上述したものと実質的に同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0063】
図9は、本発明の第2実施例によるコイル部品の他の変形例であって、コイル部品2000'を上部から見たものを示した図面である。
【0064】
該当変形例において、第1引き出し部313の第1外部電極510と連結される2つの面は互いに離隔し、第2引き出し部323の第2外部電極520と連結される2つの面は互いに離隔し、第3引き出し部413の第3外部電極530と連結される2つの面は互いに離隔し、第4引き出し部423の第4外部電極540と連結される2つの面は互いに離隔する。
【0065】
さらに、第1引き出し部313の第1外部電極510と連結される2つの面の間には本体100の一部が充填され、第2引き出し部323の第2外部電極520と連結される2つの面の間には本体100の一部が充填され、第3引き出し部413の第3外部電極530と連結される2つの面の間には本体100の一部が充填され、第4引き出し部423の第4外部電極540と連結される2つの面の間には、本体100の一部が充填されることができる。
【0066】
その他の内容は、第1及び第2実施例に対する説明で上述したものと実質的に同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
図10は、従来の電極構造を有するコイル部品の一比較例を示したものである。
図10を参照すると、コイル部品Aの外部電極はL字状を示す。
【0068】
下記表1は、第1及び第2コイル300、400が同一条件でコイル電極構造を本願発明の第1実施例及び第2実施例のように変更した場合、従来の電極構造に比べて直流抵抗Rdcの値及び変化比率を示したものである。コイル部品としては8080_2.0T_R33機種を使用した。
【0069】
【0070】
下記表2は、第1及び第2コイル300、400が同一条件でコイル電極構造を本願発明の第1実施例及び第2実施例のように変更した場合、従来の電極構造に比べてPower loss値及び変化比率(損失比率)を示したものである。コイル部品は上記のものと同じものを使用し、22A(アンペア)条件で試験した。
【0071】
【0072】
下記表3は、第1及び第2コイル300、400が同一条件でコイル電極構造を本願発明の第1実施例及び第2実施例のように変更した場合、従来の電極構造に比べて温度変化値及び変化比率を示したものである。コイル部品は上記のものと同じものを使用し、22A(アンペア)条件で試験した。
【0073】
【0074】
上記表1~表3の結果を参照すると、本願発明の実施例の構造により直流抵抗Rdcが減少され、放熱特性が向上することが分かる。すなわち、従来の電極構造に比べて、本願発明の実施例は、外部電極の配置形態及び引き出し部との接合構造に違いがあり、有意味な結果の差を示した。
【0075】
具体的には、本発明の第1~第4外部電極510、520、530、540は、それぞれ本体100の互いに隣接する2つの側面に配置されることができ、本体100の下面に延びることができる。このような場合、コイル部品で発生した熱が基板に伝達される経路が増加し、熱抵抗が減少される。また、電流伝達の経路となる電極の断面積が増加するため、電気抵抗が減少される。
【0076】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更又は削除等により本発明を多様に修正及び変更させることができ、これも本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
100 本体
110、120 コア
200 支持基板
300、400 コイル
310、410 上部コイルパターン
320、420 下部コイルパターン
311、411 巻回部
312、412 延長部
313、323、413、423 引き出し部
510、520、530、540 外部電極
1000、2000 コイル部品