(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066479
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G01N35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181873
(22)【出願日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】202211356956.6
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】モン レイソン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ イ
(72)【発明者】
【氏名】シャ カイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シンミン
(72)【発明者】
【氏名】テン ヒィ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058HA00
(57)【要約】
【課題】スペース要件を満たす条件で、工場への返還メンテナンスを避けるように、ケーブルのレイアウトを改善することにより、装置のメンテナンス時間を減少し、サービスの効率を向上させること。
【解決手段】本実施形態に係る自動分析装置は、試薬庫と、反応槽と、載置部と、配線固定部とを備える。前記載置部には、前記試薬庫及び前記反応槽の少なくとも一方が載置される。前記配線固定部は、前記載置部の下面側に取り付けられ、下面側に前記試薬庫及び前記反応槽の少なくとも一方に接続される配線が固定される。前記配線固定部は、引き出し可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬庫と、
反応槽と、
前記試薬庫及び前記反応槽の少なくとも一方が載置される載置部と、
前記載置部の下面側に取り付けられ、下面側に前記試薬庫及び前記反応槽の少なくとも一方に接続される配線が固定される配線固定部と、
を備え、
前記配線固定部は、引き出し可能に構成される
自動分析装置。
【請求項2】
前記配線固定部は、接続手段を介して前記載置部の下面側に接続される
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記接続手段は、前記配線固定部と前記載置部の一方に固定されたガイドレールと、他方に固定されたガイド溝とを含む
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記ガイド溝と前記ガイドレールの少なくとも一方は、少なくとも一の端部に、ガイド溝におけるガイドレールの摺動を制限するための位置制限手段を有する
請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記載置部と前記配線固定部との位置関係を位置決めする位置決め手段をさらに有する
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記配線固定部は、一方側が前記載置部と貼り付けられた貼付面を備え、前記貼付面の他方側に溶接ナットが固定されており、
前記溶接ナットは、取外しネジがねじ込まれることで、前記配線固定部と前記載置部とを分離させることができる
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記配線固定部は、分離した複数の配線固定部である
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記配線は、属性別に、異なる配線固定部に固定される
請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項9】
複数の機能ユニットをさらに有し、
前記配線固定部の下面側には、前記複数の機能ユニットに接続される配線が固定される
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記載置部には、前記試薬庫が載置され、
前記配線固定部の下面側に固定される配線は、前記試薬庫に接続される配線である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置において、試料として、被検体または被検体と試薬とを混ぜた液体を容器へ注入することで、血液凝固検査などの様々な検査を行う。そのため、自動分析装置は、試薬庫、反応槽、光測定部、分析部、洗浄部などのそれぞれのユニットを有し、そのうち、試薬庫は、円周に配置された複数の試薬容器を冷蔵し保持するユニットである。試薬庫内の試薬容器は、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬が収容されている。自動分析装置のレイアウトについて、ケージングの内に、各ユニットのスペースおよび各ユニットを接続したケーブルの配置位置などを設置する必要がある。
【0003】
例えば、従来の自動生化学分析機器のような自動分析装置では、装置ケージングの枠体が主に、装置中の全てのユニット(試薬庫、反応槽、光測定部、分析部、洗浄部など)、および、各ユニットを接続させるためのケーブルに対する固定に用いられる。
【0004】
従来のレイアウトとして、層状の構造を用いることが多い。
図14は、従来の自動分析装置のケージング内部のレイアウトを示す模式図である。
図14に示すように、ケージングの中には、第1の支持層10’、第2の支持層30’、第3の支持層50’が下から上に配置されることで、ケージングの内部空間が主に3つの収容スペースに区切されている。ここで、第一の支持層10’には、各機能ユニット60’を制御する電気制御ユニット20’が支持されている。第2の支持層30’には、試薬庫40’が支持されており、第3の支持層50’には、反応槽、光測定部などの機能ユニット60’が支持されている。また、各機能ユニット60’、試薬庫40’および電気制御ユニット20’の間では、ケーブル80’およびケーブルコネクタ81’を介して接続される。
【0005】
このようなレイアウトは、構造が複雑であり、固定されたユニットの数が多いので、ケーブルの数も多い。現在、大量のケーブル80’がケーブルクランプにより第2の支持層30’と試薬庫40’の間で敷設し固定されている。例えば、第2の支持層30’上のケーブル80’は、試薬庫40’を貫通した中心穴、または、試薬庫40’の周囲を通過して、第2の支持層30’上の試薬庫40’、および、その上層である第3の支持層50’上の機能ユニット60’に接続されている。また、例えば、第2の支持層30’上のケーブル80’は、第2の支持層30’の開口を通過して、その下層である第1の支持層10’上の電気制御ユニット20’に接続される。
【0006】
しかし、このようなレイアウトは、以下の問題がある。
【0007】
まず、試薬庫40’は、取外しが困難な部分に属するので、間接的に、試薬庫40’の下と第2の支持層30’との間に介在したケーブル80’も取外し困難になる。
【0008】
次に、
図14に示すように、ケーブル80’は、主に第2の支持層30’の上方に取り付けられている。このため、一旦、装置のケーブル80’に損傷が生じれば、作業者が第2の支持層30’および第3の支持層50’上の全ての載置ユニット(試薬庫40’などの着脱困難なユニットを含む)を1つずつ取り外す必要がある。そして、作業者がケーブルクランプにより固定されたケーブル80’を取り外すことで、損傷のあるケーブル80’を交換する。ここで、作業者がケーブル80’の交換終了且つ固定の後に、逆の順に従い、取り外された全てのユニットを改めて1つずつ取り付け、位置を調節し直すことが必要になる。この過程において、操作の難度が高く、工場への返還メンテナンスが必要となり、病院などの現場での使用に影響がある。且つ、メンテナンスの過程において、操作の難度が高く、多くの時間が費やされ、サービスの効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、スペース要件を満たす条件で、工場への返還メンテナンスを避けるように、ケーブル等のレイアウトを改善することにより、装置のメンテナンス時間を減少し、サービスの効率を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態に係る自動分析装置は、試薬庫と、反応槽と、載置部と、配線固定部とを備える。前記載置部には、前記試薬庫及び前記反応槽の少なくとも一方が載置される。前記配線固定部は、前記載置部の下面側に取り付けられ、下面側に前記試薬庫及び前記反応槽の少なくとも一方に接続される配線が固定される。前記配線固定部は、引き出し可能に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置内部の全体のレイアウトを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る自動分析装置におけるケーブル固定領域の一部分離した状態での構造を示す拡大模式図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る自動分析装置における第2の支持層の構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部の構造を示す模式図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した矢印0の方向に沿って配線固定部を見る時の側面図である。
【
図6A】
図6Aは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部を挿入する過程を示す模式図である。
【
図6B】
図6Bは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部を挿入した状態を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る自動分析装置における位置決め手段を示す模式図である。
【
図8】
図8は、斜め上から見るときの第1の実施形態に係る自動分析装置におけるケーブル固定領域の結合した状態での構造を示す拡大模式図である。
【
図9】
図9は、斜め下から見るときの第1の実施形態に係る自動分析装置におけるケーブル固定領域の結合した状態での別視角の構造を示す拡大模式図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部を引き出す過程を示す模式図である。
【
図11】
図11は、自動分析装置における位置決め手段の変形例を示す模式図である。
【
図12A】
図12Aは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線レイアウトを示す正面模式図である。
【
図12B】
図12Bは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線レイアウトを示す側面模式図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る自動分析装置における載置部および配線固定部の構造を示す模式図である。
【
図14】
図14は、従来技術に係る自動分析装置における配線レイアウトを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を基に、自動分析装置の実施形態について説明する。また、各実施形態では、実質的に同一の構成部位に対し同一の記号を表記し詳細の説明を適当に省略する。
【0014】
また、実施形態の説明では、自動分析装置として自動生化学分析機器を例に説明する。しかし、本実施形態はそれに限定されるものではなく、容器を用い被検体の成分を分析する自動分析装置であればよく、本実施形態に適用することができる。
【0015】
また、各図面は説明の便宜上に概略的に示された構造であり、そのうち、部品の具体的寸法および異なる部品間の比例関係と位置関係が必ずしも実際の製品と一致しているとは限らない。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置内部の全体のレイアウトを示す斜視図である。
図1に示すように、自動分析装置は、箱状のケージング1で囲まれており、ケージング1の対向した両側のケージング側壁および上壁が取り外された後、
図1に示されたレイアウトを呈している。
【0017】
図1に示すように、自動分析装置は、第1の支持層10、縦置き支持板11、電気制御ユニット20、第2の支持層30、試薬庫40、第3の支持層50、機能ユニット60、配線固定部70を備えている。
【0018】
例えば、
図1に示すように、ケージング1には、平板状の第1の支持層10、第2の支持層30、第3の支持層50が下から上に向かって配置され、第1の支持層10と第2の支持層30との間に、直立に設けられた縦置き支持板11が配置されている。第1の支持層10、第2の支持層30および第3の支持層50により、ケージング1の内部空間が、3つの収容スペースに区切されている。具体的には、ケージング1の内部空間は、第1の支持層10と第2の支持層30との間の下部空間、第2の支持層30と第3の支持層50との間の中部空間、第3の支持層50の上方にある上部空間の3つの主な収容スペースに区切されている。
【0019】
ここで、上部空間の第3の支持層50には、主に、複数の機能ユニット60が支持されている。これらの機能ユニット60は、自動分析装置の各機能を実行するモジュールであり、例えば、反応槽(不図示)、光測定部、分析部、洗浄部などが挙げられる。反応槽は、複数の反応容器の各々を回転移動可能に保持し、反応容器内で試料と試薬とを反応させる。光測定部は、回転移動している測定位置の反応容器に対して光を照射し、この照射により反応容器内の試料及び試薬の混合液を透過した光を検出する光測定を行う。分析部は、光測定の結果に基づいて、試料を分析する。洗浄部は、光測定部による測定が終了した反応容器を洗浄する。なお、機能ユニット60は、これに限定されず、自動分析装置の具体的な測定内容に応じて必要な機能ユニットを設置することが可能である。
【0020】
中部空間の第2の支持層30には、主に、試薬庫40が載置され、支持されている。試薬庫40は、円周に配置された複数の試薬容器を冷蔵し保持する。試薬庫40内の試薬容器は、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬が収容されている。第2の支持層30は、「載置部」の一例である。
【0021】
下部空間の第1の支持層10には、主に、各機能ユニット60および試薬庫40を制御する電気制御ユニット20が支持されている。各電気制御ユニット20は、制御する試薬庫40、機能ユニット60とはケーブルおよびケーブルコネクタを介して接続される。電気制御ユニット20、試薬庫40および機能ユニット60間のケーブルの接続を実現するために、ケーブルの接続経路に分布された第2の支持層30、第3の支持層50などのセパレータには、ケーブルが通過できるような開口が設けられている。ケーブルは、「配線」の一例である。
【0022】
通常、ケーブルコネクタにより接続されたケーブルの長さには余裕があり、ケージング1内に、余分なケーブルが第2の支持層30付近のケーブル固定領域に集まり固定される。具体的には、第2の支持層30の下面側に板状の配線固定部70が取り付けられ、配線固定部70が、第2の支持層30の下面側に接続される。例えば、配線固定部70は、接続手段により、第2の支持層30の下面側に着脱可能に接続され、複数のケーブルが配線固定部70の下面側に固定される。接続手段の詳細については後述する。
【0023】
また、
図1に示す自動分析装置の内部空間に、さらに必要に応じて他の部材を設置することができ、ここでは、他の詳しい説明を省略し、主に本実施形態に関わるケーブル固定領域の構造について説明する。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係る自動分析装置におけるケーブル固定領域の一部分離した状態での構造を示す拡大模式図である。
【0025】
第2の支持層30および配線固定部70は、いずれも板状の部材であり、取付の際に上下方向において重ね合う。また、第2の支持層30および配線固定部70は、同一の側に、上向きに巻きあがったエッジを有することで、当該エッジでネジにより接合し固定される。且つ、配線固定部70の縦置き支持板11に近い側が下向きに折り曲げ、縦置き支持板11とネジにより接合することができる。
【0026】
図2には、第2の支持層30と配線固定部70とを分離させた場合の状態について示されている。
図2に示すように、第2の支持層30の上面側には試薬庫40が固定されており、第2の支持層30の下面側が配線固定部70と対向している。
【0027】
配線固定部70の第2の支持層30に対向する上面側には、第2の支持層30と嵌め込み可能なガイドレールが設けられ、且つ、配線固定部70のある辺には上向きに巻き上がったエッジが設けられる。当該エッジには、第2の支持層30の同一側のエッジとねじ合い可能な穴が設けられている。また、当該エッジのケージング1の外側に向く方向において、接触を便利に解除するための溶接ナット71が設けられている。第2の支持層30および配線固定部70のある側のエッジが緊密に結合した場合、溶接ナット71にネジをねじ込むことで、第2の支持層30と配線固定部70との結合状態を便利かつ緩和に解除することができる。
【0028】
また、
図2では、配線固定部70の下面側には、さらに、ケーブルを固定させるための複数のケーブルクランプ76が設けられている。当該ケーブルクランプ76は任意的に分布することができ、主にケーブルを配線固定部70の下面側に固定させるためのものである。ここでのケーブルクランプ76はケーブルを固定させる方法の一例に過ぎず、他の固定方式によりケーブルを固定させることも可能である。
【0029】
図3は、第1の実施形態に係る自動分析装置における第2の支持層の構造を示す模式図である。
図3では、下から第2の支持層30を見る時の視角で、第2の支持層30の裏面側(下面側)が示されている。第2の支持層30は、全体的に板状であり、ある辺に上向きに巻き上がった支持層エッジ34を有し、支持層エッジ34にネジを取付可能な穴を複数有する。第2の支持層30の裏面側には、複数のガイド溝31が固定されており、ガイド溝31の進行先端には、位置決め斜面32が設けられている。また、第2の支持層30には、さらに、ケーブルが通過できるような開口33を有する。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部の構造を示す模式図である。
図4では、斜め上から配線固定部70を見る時の視角で、配線固定部70の状態が示されている。配線固定部70は、全体的に板状であり、ある辺に支持層エッジ34に対応して上向きに巻き上がった配線固定部エッジ77を有する。ここで、配線固定部エッジ77にネジを取付可能な穴を複数有することで、支持層エッジ34と配線固定部エッジ77とをネジにより締め付けることができる。配線固定部エッジ77に略垂直するもう一つの辺は、下向きに折り曲げられることで、折り曲げ部72を形成し、折り曲げ部72が縦置き支持板11に接続される。
【0031】
また、配線固定部70は、第2の支持層30のガイド溝31に対応する位置に複数のガイドレール73を有し、ガイドレール73のうち、両端がいずれも開放するガイドレール73は、配線固定部エッジ77に近い一端に支持板金75が設けられている。当該支持板金75は、
図4の下の矢印で指示された拡大図のように、ガイドレール73に向く側に斜面を有した板金部材であり、開放したガイドレールの後端の支持強度を向上させることができる。
【0032】
ガイド溝31とガイドレール73の少なくとも一方は、少なくとも一の端部に、ガイド溝31におけるガイドレール73の摺動を制限するための位置制限手段を有する。
図3、
図4に示す例では、ガイドレール73の他方端には斜面74が設けられており、ガイドレール73がガイド溝31において摺動するとき、ガイドレール73の摺動を制限し位置決めするために、斜面74を位置決め斜面32に当接させる。斜面74および位置決め斜面32は、「位置制限手段」の一例である。
【0033】
第1の実施形態では、各ガイドレールの先端および各ガイド溝の末端に斜面が設けられており、且つ、開放式のガイドレールのいずれにも支持板金が設けられている状況を例に説明する。しかし、支持板金75、斜面74、位置決め斜面32の設置は必要に応じて行うことができ、そのうちのある1つを設けてもよく、また、設置を省略してもよい。
【0034】
図5は、
図4に示した矢印0の方向に沿って配線固定部を見る時の側面図である。ここで、配線固定部70の折り曲げ部72の形状の一例は、該図に示すように、ケーブルが通過できるような開口などを設けてもよく、勿論、折り曲げ部72の形状はスペースに許容された場合、任意的な設計を行うことが可能である。例えば、縦置き支持板11が設けられていない自動分析装置のケージング内に、折り曲げ部72の設置を省略してもよい。折り曲げ部72が設けられた場合、折り曲げ部72の内側にケーブルクランプ76を設けることで、一部のケーブルを固定させることもできる。
【0035】
配線固定部70と第2の支持層30とが接続状態を解除可能な接続手段により接続され、ここでは、ガイドレール機構が接続手段として用いられており、例えば、接続手段は、配線固定部70と載置部(第2の支持層30)の一方に固定されたガイドレール73と、他方に固定されたガイド溝31とを含む。
図2~
図5に示す例では、配線固定部70の第2の支持層30に対向する面にガイドレール73が設けられており、第2の支持層30の配線固定部70に対向する面にガイド溝31が設けられている。あるいは、配線固定部70の第2の支持層30に対向する面にガイド溝31が設けられており、第2の支持層30の配線固定部70に対向する面にガイドレール73が設けられてもよい。これにより、
図2~
図5に示す例では、配線固定部70のガイドレール73がガイド溝31において順調に摺動でき、配線固定部70が第2の支持層30と結合する状態と第2の支持層30から引き出される状態との間で自在に切り替えることができる。ガイドレール73およびガイド溝31は、「接続手段」の一例である。
【0036】
そのうち、ガイドレール73をガイド溝31に挿入し滑らせた後、第2の支持層30に固定させることにより、配線固定部70が第2の支持層30と結合した状態になる。
【0037】
図6Aは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部70を挿入する過程を示す模式図であり、
図6Bは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部70を挿入した状態を示す模式図である。ガイドレール73の摺動経路を明瞭に示すために、
図6Aおよび
図6Bでは、第2の支持層30の本体部分およびケーブルが隠されており、第2の支持層30のガイド溝31の部分のみが残されている。
【0038】
第2の支持層30に配線固定部70を取り付けるとき、まず、ケーブルを配線固定部70に固定させる。そして、ケーブルが固定されている配線固定部70のガイドレール73を第2の支持層30のガイド溝31に嵌め合い、
図6Aに示すように、矢印の方向に沿って配線固定部70を押し付けてガイドレール73をガイド溝31において摺動させる。
【0039】
次に、配線固定部70を前へ押し付け、引き続き、移動させることにより、配線固定部70が、
図6Bに示された位置に到着し、ガイドレール73の先端の斜面74がガイド溝31上の位置決め斜面32と接触する。
図7では、斜面74と位置決め斜面32とが接触する機構が位置決め手段として拡大し示されている。
図7に示すように、斜面74と位置決め斜面32との接触により、ガイドレール73の進行方向および当該進行方向に水平的に垂直する方向において、ガイドレール73に対する位置決めを行うことができる。
【0040】
この時、配線固定部エッジ77が支持層エッジ34と近接している。配線固定部エッジ77と支持層エッジ34との間で、固定用のネジを取り付けることにより、両方を貼り付けて締め付けさせ、且つ、折り曲げ部72と縦置き支持板11とをネジにより締め付けることで、配線固定部70の取付を完成させる。この状態で、第2の支持層30の下面側と配線固定部70の上面側とが接触しており、配線固定部エッジ77と支持層エッジ34とが接触している。
【0041】
図8は、配線固定部エッジ77側の斜め上から見るときのケーブル固定領域の結合した状態での構造を示す拡大模式図である。
図9は、配線固定部エッジ77側の斜め下から見るときのケーブル固定領域の結合した状態での別視角の構造を示す拡大模式図である。該図に示すように、配線固定部エッジ77と支持層エッジ34とを結合させることにより、第2の支持層30が配線固定部70と貼り付けられ、配線固定部70の下面側のケーブルクランプ76に固定されたケーブルが第2の支持層30の下方のスペースにコンパクトに配置される。配線固定部70の取付が終了した後、ケーブルを、対応するケーブルコネクタおよびユニットに接続させることができる。
【0042】
また、配線固定部70をガイド溝31から引き出すことにより、配線固定部70と第2の支持層30とが分離した状態またはケーブルを取外し可能な状態になる。
【0043】
図10は、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線固定部70を引き出す過程を示す模式図である。ケーブルの交換またはメンテナンスが必要となり、配線固定部70を引き出そうとした場合、まず、ケーブルと、対応したケーブルコネクタおよびユニットとの接続を遮断し、次に、全てのネジを取り外した後、溶接ナット71に取外しネジ(不図示)をねじ込み、取外しネジの先端を第2の支持層30と接触させ、取外しネジの持続的ねじこみに連れて、配線固定部70が取外しネジのねじこみ方向に第2の支持層30と分離する。当該取外しネジは、溶接ナット71にねじ込まれることで、配線固定部70と第2の支持層30とを分離できるネジであり、配線固定部70と第2の支持層30とを接続するためのネジを直接に利用してもよく、取外しネジを別途に用意してもよい。当該取外しネジを使用していない場合、配線固定部70と第2の支持層30とを接続するためのネジを任意の位置に設けることもできる。
【0044】
配線固定部70と第2の支持層30とが分離した後、ガイドレール73が、ガイド溝31において、
図10に示された矢印の方向に沿って摺動し、配線固定部70が引き出されるので、引き出された配線固定部70のみに対してケーブルの着脱作業を行うことができる。
【0045】
以上のように、配線固定部70は、一方側が載置部(第2の支持層30)と貼り付けられた配線固定部エッジ77を備え、配線固定部エッジ77の他方側に溶接ナット71が固定されている。当該溶接ナット71は、取外しネジがねじ込まれることで、配線固定部70と第2の支持層30とを分離させることができる。即ち、溶接ナット71を用いることにより、取外し時の過度の力によるケーブルの損傷問題を避け、配線固定部70に取り付けられたケーブルを保護することができる。ここで、溶接ナット71を省略し、直接手動的に取り外すなどもできる。配線固定部エッジ77は、「貼付面」の一例である。
【0046】
以下、配線固定部70が取り付けられた状態での配線レイアウトについて簡単に説明する。
図12Aは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線レイアウトを示す正面模式図であり、
図12Bは、第1の実施形態に係る自動分析装置における配線レイアウトを示す側面模式図である。
【0047】
図12Aおよび
図12Bに示すように、ケージング1には、第1の支持層10、第2の支持層30、第3の支持層50が下から上に配置されている。第1の支持層10には、各機能ユニット60を制御する電気制御ユニット20が支持されている。第2の支持層30には、試薬庫40が固定し支持されており、第2の支持層30の下面側には、配線固定部70がガイド溝31により取り付けられ、配線固定部70の下面側には、ケーブルがケーブルクランプ76により固定される。
【0048】
第3の支持層50には、反応槽、光測定部などの機能ユニット60が支持されている。そのうち、各機能ユニット60、試薬庫40および電気制御ユニット20の間では、ケーブル80およびケーブルコネクタ81を介して接続される。
【0049】
ケーブル80はケーブルコネクタ81により接続され、上下方向には、主に、次の(1)~(3)の三種の配線が存在する。(1)機能ユニット60に接続されたケーブルが、試薬庫40の周囲を経て、第2の支持層30の開口33(
図3、
図8参照)を通過し配線固定部70の下面側に伸びて固定され、さらに下向きに伸びて電気制御ユニット20に接続される。(2)機能ユニット60に接続されたケーブルが、試薬庫40の中心穴を経て、第2の支持層30の開口33を通過し配線固定部70の下面側に伸びて固定され、さらに下向きに伸びて電気制御ユニット20に接続される。(3)試薬庫40に接続されたケーブルが、第2の支持層30の開口33を通過し配線固定部70の下面側に伸びて固定される。さらに、当該ケーブルが、下向きに伸びて電気制御ユニット20に接続され、または、試薬庫40の中心穴を経て、第3の支持層50の開口を通過し上向きに機能ユニット60に接続される。
【0050】
図12Aおよび
図12Bに示されたケーブルレイアウトの場合、ケーブル80の損傷でメンテナンスが必要になった時、まず、作業者は、各ユニットとケーブル80とのコネクタを取り外し、配線固定部70を引き出す。次に、作業者は、ケーブルクランプ76により固定された損傷のあるケーブルを取り外し、交換した後、新たなケーブル80を固定させる。そして、作業者は、配線固定部70をガイド溝に取り付けて第2の支持層30の下面側に押し戻し、次に、新たなケーブル80と各ユニットとのコネクタを接続させる。これによって、短い作業時間で、ケーブル80の交換を簡便に行うことができる。
【0051】
図12Aおよび
図12Bに係る配線レイアウトは、ケーブル配置の一例に過ぎない。例えば、各支持層と配線固定部70の具体的な形状および各ユニット間の接続の要求に応じて任意的に設計し、ケーブル80の余裕部分を配線固定部70の下面側に案内し固定させることもできる。これによって、ケーブル80をモジュール化することができる。なお、このケーブル80のモジュール化および取付方法は、自動分析装置に限定されず、例えば、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの他のモダリティに用いることもできる。
【0052】
第1の実施形態によれば、試薬庫40の固定構造(載置部である第2の支持層30)に対して、取外し可能な配線固定部70にケーブル80を固定させる。第2の支持層30の下面側に取り付けられた配線固定部70は、下面側に試薬庫40に接続されるケーブル80が固定され、引き出し可能に構成される。これにより、第1の実施形態では、ケーブルの固定手段に対し取外し可能なモジュール化固定設計を行い、これで取外しを便利にする。第1の実施形態によれば、スペース要件を満たす条件で、工場への返還メンテナンスを必要とせず、配線固定部70を引き出すだけで、損傷のあるケーブル80を交換し、作業者の装置メンテナンス時間を節約し、サービスの効率を向上させることができる。
【0053】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、ガイドレール73およびガイド溝31を第2の支持層30と配線固定部70との接続手段(ガイドレール73、ガイド溝31)として用いる。これにより、搬送過程における振動を減少し、配線固定部と第3の支持層との接合をより締め付けることができる。第2の支持層30と配線固定部70のいずれか一方にガイド溝31を設け、他方にガイドレール73を設ければよい。
【0054】
しかし、接続手段は、これに限定されるものではなく、例えば、係合構造などの他の接続構造を用いることもできる。
【0055】
また、第1の実施形態では、ガイド溝31の位置決め斜面32およびガイドレール73の斜面74により位置決めを行えるが、これに限定されるものではない。例えば、
図11は、自動分析装置における位置決め手段の変形例を示す模式図である。位置決めピン91と位置決め穴92の一方をガイド溝31の端部に設け、他方をガイドレール73の端部に設け、位置決めピン91と位置決め穴92との嵌め合いにより位置決めすることもできる。
【0056】
また、第2の支持層30と配線固定部70の形状は、異なる様式の自動分析装置内の空間および配線方式に応じて変形することもできる。例えば、第1の実施形態では、第2の支持層30が支持層エッジ34を有しており、配線固定部70が配線固定部エッジ77を有しているが、固定方式別にこれらの部材を適当に省略することができる。
【0057】
また、第1の実施形態では、空間をコンパクトにするために、配線固定部70が接続手段により第2の支持層30に接続されており、第2の支持層30に取り付けられる。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第2の支持層30ではなく、ケージング1の側壁に配線固定部70を接続手段により接続させることもでき、配線固定部70を第2の支持層30の下面側に設ければよく、必ずしも、第2の支持層30と接触する必要はない。この場合、例えば、ガイド溝31がケージング1の側壁に設けられることにより、配線固定部70がケージング1の側壁および第2の支持層30に対して引き出すことができる。
【0058】
また、第1の実施形態では、自動分析装置におけるケーブル固定構造(配線固定部70)の最適化を説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、ケーブル固定構造を、自動分析装置または自動分析装置以外の装置における、気体または液体を運送するためのチューブの固定構造に適応してもよい。その場合に、上述の実施形態におけるケーブルは、チューブに対応する。
【0059】
また、第1の実施形態では、載置部(第2の支持層30)には、試薬庫40が載置される場合を例にしたが、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、反応槽も取り外し困難なユニットであるので、反応槽が載置される第3の支持層50の下面側に配線固定部70が取り付けられてもよい。この場合、第3の支持層50の配線固定部70の下面側に固定されるケーブルは、反応槽に接続されるケーブルであり、第2の支持層30の配線固定部70の下面側に固定されるケーブルは、試薬庫40に接続されるケーブルである。また、第2の支持層30に試薬庫40と反応槽とが載置されてもよい。この場合、第2の支持層30の配線固定部70の下面側に固定されるケーブルは、試薬庫40と反応槽とに接続されるケーブルである。
【0060】
以上の説明により、本実施形態の自動分析装置では、試薬庫40と、反応槽と、載置部(第2の支持層30)と、配線固定部70と、を備える。載置部(第2の支持層30)には、試薬庫40及び反応槽の少なくとも一方が載置される。配線固定部70は、第2の支持層30の下面側に取り付けられ、下面側に試薬庫40及び反応槽の少なくとも一方に接続される配線(ケーブル)が固定される。当該配線固定部70は、引き出し可能に構成される。このため、本実施形態によれば、試薬庫40およびケーブルを別体としたプレート(第2の支持層30、配線固定部70)にそれぞれ固定させ、また、ケーブルを第2の支持層30の下面側に固定させる。これにより、本実施形態では、配線固定部70を引き出すだけで、試薬庫40などの他のユニットを取り外すことなく、ケーブルの交換などのメンテナンス作業を行うことができる。また、本実施形態では、機器全体のケーブル取付のモジュール化を実現し、損傷後のケーブルのメンテナンス時間を減少し、かつ、サービスの効率を向上させる。さらに、本実施形態では、装置の工場での組立時間を大幅に節約し、装置の生産コストを省くことができる。
【0061】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態との主な相違点が、複数の配線固定部70が設けられており、属性別にケーブルを異なる配線固定部70の下面側にそれぞれ固定させることにより、複数のモジュールを形成することにある。
【0062】
図13は、第2の実施形態に係る自動分析装置における載置部および配線固定部の構造を示す模式図である。
図13では、ケーブル固定領域の構成部分が主に集中的に示されており、他の構造について、第1の実施形態に係る自動生化学分析機器の構造を参照してもよく、または、異なる様式の自動分析装置に応じて相応な変更を行ってもよい。
【0063】
第2の実施形態に係る自動分析装置は、載置部30aおよび配線固定部70a1、70a2、70a3を有する。載置部30aは、第1の実施形態における第2の支持層30に相当する。また、配線固定部70a1、70a2、70a3は、第1の実施形態における配線固定部70に相当する。即ち、配線固定部70は、分離した複数の配線固定部(70a1、70a2、70a3である。
【0064】
ここで、
図13では、載置部30aの一部が消去されて配線固定部70a1の構成が示されており、配線固定部70a1が第1の実施形態に係る配線固定部70と比べると、同様にガイドレール73および配線固定部エッジ77を有している。載置部30aの裏面に配線固定部70a1、70a2、70a3にそれぞれ対応した複数のガイド溝が設けられている。複数のガイド溝は、第1の実施形態におけるガイド溝31に相当する。これにより、第1の実施形態と同様に、ガイドレール73の方式により、配線固定部70a1、70a2、70a3が載置部30aに取り付けられる。
【0065】
また、配線固定部70a2、70a3は、配線固定部70a1と同一の構造であり、その詳しい説明を省略する。勿論、配線固定部70a1、70a2、70a3の構造を異なる構造にそれぞれ設定してもよい。
【0066】
また、ケーブルのレイアウトを行うとき、属性別に、異なる属性を有するケーブルを異なる配線固定部の下面側にそれぞれ固定させる。当該属性は、ケーブルが接続された機能ユニット60の相違、ケーブルが接続されたユニットの用途の相違、ケーブルが接続されたユニットの取付位置の相違、ケーブル/パイピングの種類の相違、ケーブルの交換頻度の相違などに従って、区別することができる。
【0067】
例えば、ケーブルの異なる寿命に従い、ケーブルを固定させるための配線固定部70a1、70a2、70a3を特定することができる。例えば、
図13に示す例の場合、寿命が5年のケーブルが配線固定部70a1に固定され、寿命が7年のケーブルが配線固定部70a2に固定され、寿命が11年のケーブルが配線固定部70a3に固定されることとしてもよい。
【0068】
このように、異なる属性に基づき、ある属性の配線固定部を引き出すだけで、相応な属性を有するケーブルを交換することができる。
【0069】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同一の技術的効果を取得し、且つ、ケーブルモジュールをさらに精細化することにより、ケーブルモジュールの着脱をより的確に行い、サービスの効率を更に向上させることができる。
【0070】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、スペース要件を満たす条件で、工場への返還メンテナンスを避けるように、ケーブルのレイアウトを改善することにより、装置のメンテナンス時間を減少し、サービスの効率を向上させることができる。
【0071】
いくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。これらの実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれており、同様に特許請求の範囲に記載された発明及びその均等の範囲にも含まれている。
【符号の説明】
【0072】
30 第2の支持層
40 試薬庫
70 配線固定部