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特開2024-66481一体化及び埋設されたセンサーを有するデジタルライトプロセッシング3D印刷モノリシック基材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066481
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】一体化及び埋設されたセンサーを有するデジタルライトプロセッシング3D印刷モノリシック基材
(51)【国際特許分類】
   B81B 1/00 20060101AFI20240508BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20240508BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240508BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240508BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240508BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240508BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B81B1/00
B29C64/129
B29C64/314
B33Y10/00
B33Y70/00
B33Y80/00
H01L29/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183083
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】17/977,314
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】ソン ユイヤン
(72)【発明者】
【氏名】田中 真人
(72)【発明者】
【氏名】ユエ リャン
(72)【発明者】
【氏名】ハン チー
【テーマコード(参考)】
3C081
4F213
4M112
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081BA23
3C081BA77
3C081BA79
3C081CA25
3C081DA10
3C081EA03
3C081EA04
4F213AA43
4F213AB04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL14
4F213WL23
4F213WL25
4F213WL43
4F213WL76
4M112AA01
4M112BA01
4M112CA41
4M112EA14
4M112EA15
4M112FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センサーの設計及び製造に関する従来の問題に対処することができるセンサーを提供する。
【解決手段】センサーは、少なくとも1つのマイクロ流路を有するグレースケールデジタルライトプロセッシング(g-DLP)3D印刷モノリシック基材を含む。モノリシック基材は、0.1MPa~100MPaのヤング率を有するg-DLP 3Dプリンティングを使用して固体ポリマーを形成するように構成された樹脂から形成される。樹脂は、供与体部分と、供与体部分とは異なる受容体部分と、剛直部分と、光重合開始剤と、光吸収剤とを含む。供与体部分は側基を有するアクリレートモノマーの形態にあり、受容体部分は側基を有するアクリレートモノマーの形態にあり、剛直部位は側基を有するアクリレートモノマーの形態にある。また、センサーは、少なくとも1つの微小流路内に配置されたセンサー流体を含み得る。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー用の基材であって、以下を含む基材:
グレースケールデジタルライトプロセッシング(g-DLP)3D印刷されたモノリシック基材であって、その中に配置される流体用に構成された少なくとも1つの微小流路を有するモノリシック基材であって、g-DLP 3D印刷を使用して0.1MPa~100MPaのヤング率を有する固体ポリマーを形成するように構成された樹脂から形成されたモノリシック基材。
【請求項2】
前記モノリシック基材は、ヤング率が1MPa未満の第1の部分と、ヤング率が10MPaを超える第2の部分とを含み、前記少なくとも1つのマイクロ流路は前記第1の部分内に配置されている、請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの微小流路内に配置されたセンサー流体をさらに含む請求項1に記載のセンサー。
【請求項4】
前記センサー流体が電気抵抗センサー流体である、請求項3に記載のセンサー。
【請求項5】
前記樹脂が以下を含む、請求項1に記載のセンサー:
遊離カルボニル、アクリレート上の第1級アミン、アクリレート上の第2級アミン、及びアクリレート上の第3級アミンのうちの少なくとも1つを含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある供与体部分;
前記供与体部分とは異なる受容体部分であって、前記受容体部分は、遊離ヒドロキシ、第1級アミン、第2級アミン、及びイミンのうちの少なくとも1つを含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある受容体部分;
シクロヘキシル、置換シクロヘキシル、及び二環構造体のうちの1つ以上を含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある剛直部分;
光重合開始剤;及び
光吸収剤。
【請求項6】
前記供与体部分及び受容体部分のうちの1つがオリゴマー架橋剤である、請求項5に記載のセンサー。
【請求項7】
供与体部分が、2-ヒドロキシエチルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、1,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、及び脂肪族ウレタン系ジアクリレートのうちの少なくとも1つから選択される、請求項5に記載のセンサー。
【請求項8】
前記供与体部分が前記樹脂の全組成の約10wt%~約30wt%である、請求項7に記載のセンサー。
【請求項9】
前記供与体部分が2-ヒドロキシエチルアクリレートである、請求項8に記載のセンサー。
【請求項10】
前記受容体部分が脂肪族ウレタン系ジアクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレートのうちの少なくとも1つから選択される、請求項5に記載のセンサー。
【請求項11】
前記受容体部分が前記樹脂の全組成の約10wt%~約30wt%である、請求項10に記載のセンサー。
【請求項12】
前記受容体部分が脂肪族ウレタン系ジアクリレートである、請求項11に記載のセンサー。
【請求項13】
前記剛直部分が、イソボルニルアクリレート、4-アクリロイルモルホリン、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、及びイソボルニルメタクリレートのうちの少なくとも1つから選択される、請求項5に記載のセンサー。
【請求項14】
前記剛直部分が前記樹脂の全組成の約50wt%~約70wt%である、請求項13に記載のセンサー。
【請求項15】
前記剛直部分がイソボルニルアクリレートである、請求項14に記載のセンサー。
【請求項16】
少なくとも1つの微小流路を有するグレースケールデジタルライトプロセッシング(g-DLP)3D印刷されたモノリシック基材と、
少なくとも1つのマイクロ流路内に配置されたセンサー流体と、
を含むセンサーであって、前記モノリシック基材は、g-DLP 3D印刷を使用して0.1MPa~100MPaのヤング率を有する固体ポリマーを形成するように構成された樹脂から形成され、前記樹脂は、
遊離カルボニル、アクリレート上の第1級アミン、アクリレート上の第2級アミン、及びアクリレート上の第3級アミンのうちの少なくとも1つを含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある供与体部分;
前記供与体部分とは異なる受容体部分であって、前記受容体部分は、遊離ヒドロキシ、第1級アミン、第2級アミン、及びイミンのうちの少なくとも1つを含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある受容体部分;
シクロヘキシル、置換シクロヘキシル、及び二環構造体のうちの1つ以上を含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある剛直部分;
光開始剤;及び
光吸収剤;
を含む、センサー。
【請求項17】
前記供与体部分が、前記樹脂の全組成の約10wt%~約30wt%であり、2-ヒドロキシエチルアクリレートを含み;
前記受容体部分が、前記樹脂の全組成の約10wt%~約30wt%であり、脂肪族ウレタン系ジアクリレートを含み;及び
前記剛直部分が、前記樹脂の全組成の約50wt%~約70wt%であり、イソボルニルアクリレートを含む、
請求項16に記載のセンサー。
【請求項18】
前記モノリシック基材が、1MPa未満のヤング率を有する第1の部分と、10MPaを超えるヤング率を有する第2の部分とを含み、前記少なくとも1つの微小流路が前記第1の部分内に配置される、請求項17に記載のセンサ。
【請求項19】
少なくとも1つの微小流路を有するグレースケールデジタルライトプロセッシング(g-DLP)3D印刷されたモノリシック基材と、
前記モノリシック基材内に配置されたセンサー流体と、
を含むセンサーであって、前記g-DLP 3D印刷された基材は、0.1MPa~100MPaのヤング率を有するg-DLP 3D印刷を使用して固体ポリマーを形成するように構成された樹脂から形成され、前記樹脂は、
2-ヒドロキシエチルアクリレートを含む供与体部分;
脂肪族ウレタン系ジアクリレートを含む受容体部分;
イソボルニルアクリレートを含む剛直部分;
光開始剤;及び
光吸収剤;
を含む、センサー。
【請求項20】
前記2-ヒドロキシエチルアクリレートは、前記樹脂の全組成の約15wt%~約25wt%であり;
前記脂肪族ウレタン系ジアクリレートは、前記樹脂の全組成の約15wt%~約25wt%であり;
前記イソボルニルアクリレートは、前記樹脂の全組成の約55wt%~約65wt%である、
請求項19に記載のセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、センサーに関し、特に、デジタルライトプロセッシング(digital light processing)3D印刷によって形成されるセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
センサーは、物理現象を感知するために出力信号を生成又は発生する。例えば、センサーは、例えば、ひずみ、温度、圧力及び距離などの物理現象を測定又は検出するために使用される。
【0003】
従来のセンサーは、典型的には、接着剤、テープ及び/又は機械的ファスナーを使用して基材に取り付けられるが、これは、相手先商標製品の製造業者(OEM)などのエンドユーザーに設計及び/又は製造上の制約を課すことになる。
【0004】
本開示は、センサーの設計及び製造に関するこれらの問題、並びにセンサーに関連する他の問題に対処する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一つの形態では、センサーは、その中に配置される流体用に構成された少なくとも1つの微小流路を有する、グレースケールデジタルライトプロセッシング(g-DLP)3D印刷されたモノリシック基材を含む。このモノリシック基材は、g-DLP 3D印刷を使用して0.1MPa~100MPaのヤング率を有する固体ポリマーを形成するように構成された樹脂から形成される。
【0006】
本開示の別の形態では、センサーは、少なくとも1つの微小流路を有するg-DLP 3D印刷モノリシック基材を含む。このモノリシック基材は、g-DLP 3D印刷を使用して0.1MPa~100MPaのヤング率を有する固体ポリマーを形成するように構成された樹脂から形成される。この樹脂は、供与体部分(donor moiety)と、供与体部分とは異なる受容体部分(acceptor moiety)と、剛直部分(rigid moiety)と、光重合開始剤と、光吸収剤とを含む。供与体部分は、遊離カルボニル、アクリレート上の第1級アミン、アクリレート上の第2級アミン、及びアクリレート上の第3級アミンのうちの少なくとも1つを含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある。受容体部分は、遊離ヒドロキシ、第1級アミン、第2級アミン、及びイミンのうちの少なくとも1つを含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある。そして、剛直部分は、シクロヘキシル、置換シクロヘキシル、及び二環構造体のうちの1つ以上を含む側基を有するアクリレートモノマーの形態にある。また、センサーは、少なくとも1つの微小流路内に配置されたセンサー流体を含む。
【0007】
本開示のさらに別の形態では、センサーは、少なくとも1つの微小流路を有するg-DLP 3D印刷基材を含む。g-DLP 3D印刷基材は、g-DLP 3D印刷を使用して0.1MPa~100MPaのヤング率を有する固体ポリマーを形成するように構成された樹脂から形成され、樹脂は、2-ヒドロキシエチルアクリレートを含む供与体部分、脂肪族ウレタン系ジアクリレートを含む受容体部分、及びイソボルニルアクリレートを含む剛直部分を含む。樹脂は光開始剤と光吸収剤も含み、センサー流体は少なくとも1つの微小流路内に配置される。
【0008】
複合塩混合物及びその調製についてのこれら及び他の特徴は、例示的であって限定的ではない図及び実施例と併せて読んだ場合に、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0009】
本教示は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、g-DLP 3Dプリンターを示す。
【0011】
図2A図2Aは、供与体部分、受容体部分及び剛直部分の間に水素結合を有する、本開示の教示による樹脂を示す。
【0012】
図2B図2Bは、供与体部分、受容体部分及び剛直部分の間に架橋を有する図2Aの樹脂を示す。
【0013】
図3A図3Aは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより作製され、0%グレースケールレベル(「G0」と表示)、10%グレースケールレベル(「G10」と表示)、20%グレースケールレベル(「G20」と表示)、30%グレースケールレベル(「G30」と表示)、40%グレースケールレベル(「G40」と表示)、及び50%グレースケールレベル(「G50」と表示)で印刷された引張試験サンプルの応力対ひずみのプロットである。
【0014】
図3B図3Bは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより作製され、60%グレースケールレベル(「G60」と表示)及び70%グレースケールレベル(「G70」と表示)で印刷された引張サンプルの応力対ひずみのプロットである。
【0015】
図3C図3Cは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3D印刷により作製され、200%と300%との間のひずみのサイクルに供された「G60」引張サンプルの応力対サイクル数のプロットである。
【0016】
図4A図4Aは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより作製され、G0、G10、G20、G30、G40、G50、G60、G70グレースケールレベルで印刷された引張サンプルのヤング率及びガラス転移温度対パーセントグレースケールのプロットである。
【0017】
図4B図4Bは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3D印刷により作製され、従来の材料と比較した引張サンプルのヤング率対パーセント弾性伸びのプロットである。
【0018】
図5A図5Aは、本開示の教示による、一対の剛直な端部の間に配置された軟質膜中に波形の微小流路を有する伸長ひずみ計を示す。
【0019】
図5B図5Bは、ひずみを受ける図5Aの伸長ひずみ計を示す。
【0020】
図5C図5Cは、200%ひずみまでの周期的なひずみ又は伸張の間の図5A~5Bの伸長ひずみ計の抵抗の変化対時間のプロットである。
【0021】
図6A図6Aは、本開示の教示による、軟質膜中に微小流路を有する圧力センサーを示す。
【0022】
図6B図6Bは、圧力センサー内の圧力量が異なる図6Aの圧力センサーを示す。
【0023】
図6C図6Cは、圧力センサー内の圧力の周期的な印加の間の図6A~6Bの圧力センサーの抵抗の変化対時間のプロットである。
【0024】
図7A図7Aは、本開示の教示による、一対の剛直な端部の間に配置された軟質膜中に波形の微小流体チャネルを有する指装着センサーを示す。
【0025】
図7B図7Bは、指に装着され、様々な量の曲げを受けた図7Aの指装着センサーを示す。
【0026】
図7C図7Cは、図7Bに示した指の曲げの間の指装着センサーの抵抗の変化対時間のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示に記載の図は、特定の態様の説明を目的として、本技術の複合塩混合物及び電解質の一般的な特徴を例示することを意図していることに留意されたい。これらの図は、任意の所与の態様の特徴を正確に反映していない場合があり、本技術の範囲内の特定の形態又はバリエーションを定義又は限定することを必ずしも意図していない。
【0028】
本開示は、単一バットシングルキュア(single-vat single cure)g-DLP 3D印刷を使用して少なくとも部分的に形成されるセンサー用の基材を提供する。当該センサーは、単一印刷層内に高度に伸縮可能な軟質オルガノゲル部分と剛直な熱硬化部分とを提供する組成を有する樹脂から形成される。本明細書で使用される場合、「剛直(stiff)」という用語は、10MPa以上のヤング率を示すモノリシック基材の部分を指し、「軟質(soft)」という用語は、5MPa以下のヤング率を示すモノリシック基材の部分を指し、剛直部分及び軟質部分の非限定的な例については以下でさらに詳細に説明する。さらに、樹脂は、異なる樹脂の複数のバットを使用又は必要とせずに、1つ又は2つ以上の伸縮性の(弾性のある)の軟質オルガノゲル部分と1つ又は2つ以上の硬質熱硬化部分とを有するモノリシック3D印刷部品の製造を提供する。
【0029】
いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約10MPa~約100MPaのヤング率を示す。少なくとも1つのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約10MPa~約200MPaのヤング率を示す。いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約10MPa~約300MPaのヤング率を示す。また、少なくとも1つのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約10MPa~約400MPa又は約10MPa~約478MPaのヤング率を示す。
【0030】
いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約8MPa~約100MPaのヤング率を示す。少なくとも1つのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約5MPa~約100MPaのヤング率を示す。いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約2MPa~約100MPaのヤング率を示す。また、少なくとも1つのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約1MPa~約100MPa、もしくは約0.5MPa~約100MPa、又は約0.1MPa~約100MPaのヤング率を示す。
【0031】
いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約5MPa~約200MPaのヤング率を示す。少なくとも1つのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約2MPa~約200MPaのヤング率を示す。いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約1MPa~約300MPaのヤング率を示す。また、少なくとも1つのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、約0.5MPa~約400MPa又は約0.1MPa~約475MPaのヤング率を示す。
【0032】
いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、最大100%の弾性伸びを示す。また、いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3Dプリンターにより製造されたモノリシック構造体は、最大で200%まで、最大で300%まで、最大で400%まで、最大で450%まで、又は450%を超える弾性伸びを示す。別の言い方をすれば、本開示の教示による樹脂を使用してg-DLP 3D印刷により製造されたモノリシック構造体は、以下でより詳細に説明するように、低い剛性及び高い弾性を有する少なくとも1つの部分と、高い剛性及び高い強度を有する少なくとも1つの部分とを有する。
【0033】
3D印刷によって、特に、キャスティング、機械加工、冷間加工、熱間加工などの従来の製造技術による物理的及び/又は経済的に可能な範囲を超える幾何学的複雑性及び材料的に複雑な部品及び構造体の製造が可能になることが理解されるべきである。また、新しい3D印刷能力は、展開可能な構造体、ソフトロボティクス(soft robotics)、柔軟な電気部品、生体模倣設計(biomimetic designs)などの機能的な用途又は構造体で使用されることが実証されている。しかしながら、自然界にあるような構造体(nature-like structures)、エアレスタイヤ、マルチステーブルアブソーバー(multi-stable absorbers)、及び4D印刷などの用途は、特性が大きく異なる複数の材料の使用を必要とする。すなわち、そのような構造は、非常に異なる機械的特性及び/又は物理的特性を有する異なる部分を有するか、又は必要とする。
【0034】
DLP 3D印刷は、近年益々普及している高速かつ高解像度の印刷方法であることも理解されるべきである。デジタルライトプロセッシングは、固体部品の所定の断面を有する数百又は数千の樹脂の薄層に光を照射して各薄層を硬化させるためにプロジェクターを使用し、固体部品は一層ずつ製造される。典型的なDLP印刷プロセスでは、単一の樹脂バットが使用され、部品を形成するために必要なのはビルドプレートのz方向の運動だけであり、薄層の光重合(又は光硬化)は数秒で行われる。したがって、DLP 3D印刷は最も高速な3D印刷技術の1つである。しかしながら、単一の樹脂バットを使用するため、一般的にDLPは複数の材料特性を有する部品の印刷には適していない。複数のバット間で印刷された部分を移送することにより2種以上の材料を印刷する、複数のバットを使用する方法が開発されている。しかしながら、複数のバット間の相互汚染、異なる樹脂バット間の切り替え、及びクリーニングは、印刷速度を著しく低下させる。
【0035】
g-DLP印刷では、モノマー変換(硬化)の局所的な程度は、入力グレースケール画像によって画素レベルで操作される光強度によって制御される。例えば、図1を参照すると、本開示の教示による、プロジェクター100、ビルドプラットフォーム120、及び樹脂150を含む単一の樹脂バット140を備えるg-DLP 3Dプリンター10が示されている。プロジェクター100は、センサー20の所定の断面を有する樹脂150の一層に光を照射してこの層が硬化するように、単一の樹脂バット140の透明な底壁142上にグレースケール画像を投影するように構成される。プロジェクター100からのグレースケール露光を介して樹脂150の層に光を照射した後(及び硬化後)、ビルドプラットフォーム120が図示されている+z方向に移動し、樹脂150が樹脂のほぼ硬化した層と透明底壁142の上面143との間に流入する。次に、センサー20の別の所定の断面で樹脂150の最も新しい層に光が照射されるように、プロジェクター100は、単一の樹脂バット140の透明な底壁142に別のグレースケール画像を投影する。このプロセス又はサイクルは、センサー20の製造が層ごとに完了するまで続けられる。このようにして、g-DLP 3Dプリンター10は、単一の樹脂バット140を使用して、剛直な端部200及び軟質膜210を有するモノリシックセンサー20を製造することができる。そして、いくつかのバリエーションでは、剛直な端部200は、取付開口部202(図5A)を含むことができ、軟質膜210は、微小流路212(例えば、波形の微小流路)を含むことができる。
【0036】
図2A~2Bを参照すると、樹脂150に含まれる樹脂中の3種のモノマーの1つの非限定的な例が示されている。特に、樹脂150は、少なくとも1種の水素結合供与性モノマー152(2-ヒドロキシエチルアクリレートが図示されている)、少なくとも1種の水素結合受容性モノマー154(脂肪族ウレタン系ジアクリレートが図示されている)、及び少なくとも1種の剛直モノマー156(イソボルニルアクリレートが図示されている)を含む。いくつかのバリエーションでは、少なくとも1種の水素結合供与性モノマー152は、少なくとも1種の水素結合受容性モノマー154とは異なる水素結合受容性モノマーであってもよく、及び/又は、少なくとも1種の水素結合受容性モノマー154は、少なくとも1種の水素結合供与性モノマー152とは異なる水素結合供与性モノマーであってもよい。
【0037】
いくつかのバリエーションでは、少なくとも1種の水素結合供与性モノマー152(本明細書において「供与体部分152」とも称される)は、遊離カルボニル(-C=O)基を含む1つ以上の側基、又はアクリレート上に第1級、第2級もしくは第3級アミン側基を有するアクリレートモノマーである。そして、少なくとも1つのバリエーションでは、少なくとも1つの水素結合受容性モノマー154(本明細書において「受容体部分154」とも称される)は、遊離ヒドロキシ(-OH)、第1級又は第2級アミン(-N(H)-、例えば、ウレタン(C(O)-N(H)-)、又はイミン(-N=)を含む1つ以上の側基を有するアクリレートモノマーである。そして、少なくとも1種の剛直モノマー156(本明細書では「剛直部分156」とも称される)は、特に、シクロヘキシル類、置換シクロヘキシル類、二環式側基、例えば、イソボルニル、ノルボルニル及びジシクロペンタニルなどのうちの1つ以上を含む1つ以上の側基を有するアクリレートモノマーであることができる。さらに、供与体部分152及び/又は受容体部分154は、架橋剤として機能するオリゴマー(例えば、脂肪族ウレタン系ジアクリレート)である。
【0038】
少なくとも1種の水素結合供与性モノマー152の非限定的な例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)、カプロラクトンアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、1,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド及び脂肪族ウレタン系ジアクリレートが挙げられる。少なくとも1種の水素結合受容体モノマー154の非限定的な例としては、脂肪族ウレタン系ジアクリレート(AUD)及び2-HEAが挙げられる。そして、少なくとも1種の剛直モノマー156の非限定的な例としては、イソボルニルアクリレート(IOBA)、4-アクリロイルモルホリン、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートが挙げられる。
【0039】
いくつかのバリエーションでは、本開示の教示による樹脂(本開示において単に「樹脂150」とも称される)は約5質量%(wt%)~約35wt%の少なくとも1種の水素結合供与体モノマー152を含み、少なくとも1つのバリエーションでは、樹脂150は約10wt%~約30wt%の少なくとも1種の水素結合供与体モノマー152を含む。また、いくつかのバリエーションでは、樹脂150は約15wt%~約25wt%の少なくとも1種の水素結合供与体モノマー152を含む。例えば、少なくとも1つのバリエーションでは、樹脂150は約20wt%の少なくとも1種の水素結合供与体モノマー152を含む。
【0040】
いくつかのバリエーションでは、樹脂150は約5wt%~約35wt%の少なくとも1種の水素結合受容体モノマー154を含み、少なくとも1種のバリエーションでは、樹脂150は約10wt%~約30wt%の少なくとも1種の水素結合受容体モノマー154を含む。また、いくつかのバリエーションでは、樹脂150は約15wt%~約25wt%の少なくとも1種の水素結合受容体モノマー154を含む。例えば、少なくとも1種のバリエーションでは、樹脂150は約20wt%の少なくとも1種の水素結合受容体モノマー154を含む。
【0041】
いくつかのバリエーションでは、樹脂150は約45wt%~約75wt%の少なくとも1種の剛直モノマー156を含み、少なくとも1つのバリエーションでは、樹脂150は約50wt%~約70wt%の少なくとも1種の剛直モノマー156を含む。また、いくつかのバリエーションでは、樹脂150は約55wt%~約65wt%の少なくとも1種の剛直モノマー156を含む。例えば、少なくとも1つのバリエーションでは、樹脂150は約60wt%の少なくとも1種の剛直モノマー156を含む。
【0042】
いくつかのバリエーションでは、樹脂150は光重合開始剤を含む。例えば、いくつかのバリエーションでは、樹脂は約0.1wt%~約2wt%の光重合開始剤を含み、例えば約0.4wt%~約1.6wt%の光重合開始剤、又は約0.7wt%~約1.3wt%の光重合開始剤を含む。少なくとも1つのバリエーションでは、樹脂150は約1.0wt%の光重合開始剤を含む。光重合開始剤の非限定的な例としては、光重合開始剤819(フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)及びカンファーキノンが挙げられる。
【0043】
いくつかのバリエーションでは、樹脂150は光吸収剤を含む。例えば、いくつかのバリエーションでは、樹脂は約0.01wt%~約1wt%の光吸収剤、例えば約0.025wt%~約0.5wt%の光吸収剤、又は約0.04wt%~約0.1wt%の光吸収剤を含む。少なくとも1つのバリエーションでは、樹脂150は約0.05wt%の光吸収剤を含む。光吸収剤の非限定的な例としては、メチレン、コクシン(coccine)、及びタートラジンなどが挙げられる。
【0044】
樹脂150、その特性、及び様々な特性を有するモノリシック構造体を製造するためのその能力をより良く説明するために、また、本開示の範囲をいかなる方法によっても限定しないために、樹脂150の1つの例示的な組成物、及びモノリシック構造体及び対応する特性の多数の例を以下に説明する。
【0045】
樹脂150は、2-ヒドロキシエチルアクリレート(Sigma-Aldrich,米国ミズーリー州)、イソボルニルアクリレート(Sigma-Aldrich)、及びAUD(Ebecryl 8413,Allnex,米国ジョージア州)のモノマーを20:60:20の質量比で混合することによって調製した。次いで、モノマーの混合物に1wt%の光開始剤(Irgacure 819,Sigma-Aldrich)及び0.05wt%の光吸収剤(Sudan I,Sigma Aldrich)を添加した。
【0046】
理論に束縛されることなく、IBOA及び2-HEAを直鎖ビルダーとして、そしてAUDを架橋剤として含めた。AUDは、高分子量脂肪族鎖及びウレタン単位を有する粘性のあるオリゴマーであり、2-HEA及びIOBAモノマーと相互作用した場合にH-N...O水素結合を形成する。また、2-HEAは、さらなるO-H...O水素結合を形成する豊富な-OH基を提供する。
【0047】
低い硬化の程度(「硬化度」としても知られ、本明細書では「DoC」とも称される)では、硬化樹脂の一般的な水素結合を有する共有結合ネットワークは、図2Aに示されるように、ゴム状態で高い伸縮性を提供し、一方、高いDoCでは、剛直なIBOAは、図2Bに示されるように、室温を超えるガラス転移温度(Tg)を示し、それにより、高い弾性率を有するガラス状の挙動をもたらす。
【0048】
g-DLP 3Dプリンターを使用して樹脂150から形成され、種々のグレースケールレベルで印刷された構造体の機械的特性を一軸引張試験で評価し、熱機械的特性を決定した。図3A-3Bに示すように、印刷されたポリマーはG0からG50まで徐々に軟らかくなり、G0でのヤング率は487MPaであった。この「剛直状態」(G0)は、優れた靭性を示し、その値は約109J/mであった。破壊靭性も引裂試験で測定し、650から10000J/mまでに及んだ。転化率が約50~60%のゴム状態G60及びG70(図3B)は、それぞれ0.38MPa及び0.1MPaのヤング率を有し、約1500%まで伸長可能であった。未硬化モノマーと架橋ネットワークとの間の水素結合が広範囲に存在するため、図3Cに示すように、200%~300%の高いひずみを伴う10,000回の疲労サイクルの後でも、印刷部品は優れた弾性特性及びレジリエンスを示す安定したオルガノゲル状態になった。
【0049】
剛直モノマーIOBAは、高いDoCでTgを増加させ、ネットワークを剛直にし、これにより異なるDoCでの弾性率コントラストが確保された。図4Aは、様々なグレースケールでのヤング率とTgをまとめたもので、剛直なG0と軟らかいG70の間のヤング率コントラストが4800倍超であることを示している。また、図4Bは、文献で報告されている樹脂150とDLP材料から形成されたモノリシック構造体のヤング率対伸びの比較を示している。図4Bに示すように、樹脂150は、文献に報告されているどの既知の材料よりも大きなヤング率と弾性伸びの範囲を提供する。従って、この実験結果は、水素結合によって硬化ネットワーク鎖を形成するモノマーを用いると、低いDoCで高い伸縮性が得られることを示している。
【0050】
図5Aを参照すると、樹脂150(図1)から形成されたセンサー20が示されている。センサー20は、単純なモノリシック伸長ひずみ計の形態にあり、一対の離間した剛直な端部200と、一対の離間した剛直な端部200の間に延在する軟質膜210とを含む。また、波形の微小流路212(明瞭化のために実線で図示)は、軟質膜210内に延在し、軟質膜210内に、軟質膜210の印刷中に印刷され、すなわち空隙のまま残される。波形の微小流路212に、室温で液体である共晶ガリウム-インジウム合金(EgaIn、Sigma-Aldrich)を充填し、試験中に共晶ガリウム-インジウム合金の抵抗を測定するために波形の微小流路212の端部に導電性リード線(図示せず)を接合した。特に、図5Bに示されるように、波形の微小流路212の長さが増加する(平均直径が減少する)ように、センサー20を伸張させた。さらに、波形の微小流路212の長さを増加させ、直径を減少させると、その中の共晶ガリウム-インジウム合金の抵抗が劇的に増加した。例えば、図5Cを参照すると、波形の微小流路212内の共晶ガリウム-インジウム合金の時間の関数としての抵抗の変化は、センサー20が周期的に大きな変形(200%のひずみ)を合計24サイクル受ける際に、マルチメーターで測定した。従って、g-DLP 3D印刷でセンサー20を樹脂150から作製することにより、単純であるが汎用性の高いひずみ計を提供することができる。
【0051】
図6Aを参照すると、樹脂150(図1)から形成されたセンサー30が示されている。センサー30は膨張可能な圧力計の形態にあり、剛直な基部300を有するモノリシック体と、波形の微小流路312(明瞭化のために実線で図示)が中に延在する軟質膜310と、剛直な基部300及び軟質膜310によって画定される中空の又は空の内部305とを含む。軟質膜310内に、軟質膜310の印刷中に波形の微小流路312を印刷した、すなわち波形の微小流路312を空洞のまま残した。波形の微小流路312に上述した共晶ガリウム-インジウム合金を充填し、試験中の抵抗測定のために導電性リード線E1、E2を波形の微小流路212の端部に接合した。特に、図6Bに示されるように、軟質膜310が伸長し、波形の微小流路212の長さが増加する(平均直径が減少する)ように、ポンプラインPを介して内部305に圧力を加えることにより、センサー30を伸長させた。さらに、変形が軟質膜310のみに限定されるように、基部300を高いグレースケール(G0)で印刷した。
【0052】
上述の伸張性センサー20と同様に、波形の微小流路312の長さを増加させ、平均直径を減少させると、その内部の共晶ガリウム-インジウム合金の抵抗が劇的に増加した。すなわち、センサー30に内圧が加えられると、軟質膜310は上方に変形して増加し、波形の微小流路312は長さが増加し、平均直径が減少した。そして、この長さと平均直径の変化は、図6Cのプロットに示されるように、センサー30が比較的小さな変形で異なる圧力レベルを正確に捕捉することを提供した。また、樹脂150のユニークな特徴は、膜の厚さを変える必要なしに、膜の剛性を調整してセンサーの感度を変えることができることである。したがって、樹脂150からセンサー30をg-DLP 3D印刷することで、単純であるが汎用性の高い圧力計が得られる。
【0053】
樹脂150を使用したg-DLP 3D印刷は、カスタマイズされた人体に装着可能な電子デバイス及びセンサーを製造するための独特な利点も有する。ゴム状態は、人間の皮膚の機械的柔軟性の範囲(ヤング率は約130kPa~約657kPaに及ぶ)をカバーし、剛直状態は、余分な固定具なしで身体に取り付けるための密着なじみ性(intimate conformability)を可能にする。例えば、図7Aを参照すると、樹脂150(図1)から形成されたセンサー40が示されている。センサー40は、一対の離間した剛直な端部400と、一対の離間した剛直な端部400の間に延在する軟質膜410とを有する指装着型センサーの形態にある。一対の離間した剛直な端部は、図6Bに示されるように、指「F」を覆って指「F」にフィットするように製造され、寸法決めされた。
【0054】
波形の微小流路412(明瞭化のため実線で図示)を、軟質膜410内に、軟質膜410の印刷中に印刷し、すなわち空隙のまま残し、波形の微小流路412に上述した共晶ガリウム-インジウム合金を充填した。導電性リード線(ラベルなし)を、試験中の抵抗測定のために波形の微小流路412の端部に接合し、図7Bに示されるように、指Fの曲げによって軟質膜410が伸長させた。また、指Fの曲げと軟質膜410の伸張により、波形の微小流路412の長さが増加し、平均直径が減少した。波形の微小流路412は、図7Cのプロットに示されるように、より高い感度と指Fの曲げの検出を提供した上述の波形の微小流路212及び312よりも小さい(0.4mm)。同様のセンサーは、人間とロボットの両方について、異なるユーザーや関節に適合するように容易に設計することができる。全体として、これは様々な困難な用途に対する能力を示している。
【0055】
上記の説明は、本質的に単なる例示であり、決して本開示、その適用、又は用途を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、A、B及びCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理「又は」を使用した論理的(AもしくはB又はC)を意味すると解釈されるべきである。1つの方法の中での様々なステップは、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で実行されてもよいことが理解されるべきである。範囲の開示には、全範囲及び全範囲内の細分化された範囲の開示が含まれる。
【0056】
本明細書で使用される見出し(「背景技術」及び「発明の概要」など)及び小見出しは、本開示内のトピックを一般的に整理することのみを意図しており、本技術の開示又はその態様を限定することを意図していない。記載された特徴を有する複数の形態又はバリエーションの記載は、追加の特徴を有する他の形態又はバリエーション、あるいは記載された特徴の異なる組み合わせを組み込んだ他の形態又はバリエーションを排除することを意図していない。
【0057】
本開示で使用される場合、用語「約」及び「一般的に」は、本開示で数値に関連する場合、参照される量に関する既知の商業的及び/又は実験的な測定のばらつき又は公差を指す。あるバリエーションでは、そのような既知の商業的及び/又は実験的測定公差は測定値の±10%であり、他のバリエーションでは、そのような既知の商業的及び/又は実験的測定公差は測定値の±5%であり、さらに他のバリエーションでは、そのような既知の商業的及び/又は実験的測定公差は測定値の±2.5%である。また、少なくとも1つのバリエーションでは、そのような既知の商業的及び/又は実験的測定公差は、測定値の±1%である。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise)」及び「含む(include)」並びにそれらの変形は非限定的であることを意図しており、項目の連続する記載又はリストの記載は、本技術の装置及び方法においても有用であり得る他の同様の項目を排除するものではない。同様に、用語「することができる(can)」及び「してもよい(may)」並びにそれらのバリエーションは、非限定的であることを意図しており、形態又はバリエーションが特定の要素又は特徴を含むことができること又は含んでもよいことを記載していることは、それらの要素又は特徴を含まない本技術の他の形態又はバリエーションを排除するものではない。
【0059】
本開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示には特定の実施例が含まれるが、明細書及び以下の特許請求の範囲を検討すれば、当業者には他の変更が明らかになるであろうから、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきではない。本明細書において、1つの態様又は様々な態様への言及は、形態又はバリエーションに関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの形態又はバリエーションに含まれることを意味する。「1つのバリエーションでは」又は「1つの形態では」(又はそのバリエーション)という表現の出現は、必ずしも同じ形態又はバリエーションを指すものではない。また、本明細書で議論される様々な方法ステップは、描かれているのと同じ順序で実施される必要はなく、各方法ステップが各形態又はバリエーションにおいて必要とされるわけではないことも理解されるべきである。
【0060】
上記の形態又はバリエーションの説明は、例示及び説明の目的で提供されたものである。上記の形態又はバリエーションの説明は、網羅的であること、又は本開示を限定することを意図するものではない。特定の形態又はバリエーションの個々の要素又は特徴は、一般的に、その特定の形態又はバリエーションに限定されるものではなく、該当する場合には、特に図示又は説明されていなくても、交換可能であり、選択された形態又はバリエーションにおいて使用することができる。また、同じものを様々に変化させることもできる。そのようなバリエーションは、本開示からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのそのようなバリエーションは、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0061】
特定の形態又はバリエーションを説明したが、現在予見されていない又は予見され得ない代替物、改変物、バリエーション、改良物、及び実質的等価物を出願人又は当業者には想起し得る。従って、出願時の添付の特許請求の範囲及び補正された場合には補正後の特許請求の範囲は、そのような代替物、改変物、バリエーション、改良物、及び実質的等価物の全てを包含することを意図している。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
【外国語明細書】