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特開2024-66488自動車及び自動車自体の駆動速度を検出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066488
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】自動車及び自動車自体の駆動速度を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/10 20200101AFI20240508BHJP
   G01S 17/58 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G01S17/10
G01S17/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183774
(22)【出願日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】102022000022347
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ サルトーニ
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ モンティロッシ
(72)【発明者】
【氏名】ウーゴ シッタ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA36
5J084BB02
5J084BB04
5J084CA03
5J084CA32
5J084CA65
(57)【要約】      (修正有)
【課題】駆動速度を迅速に、反復可能かつ正確に検出する、自動車。
【解決手段】自動車(1)であって、車室を画定する本体と、複数の車輪と、自動車(1)の駆動速度に関連する、値(v)を検出するように設計された第1のセンサ(10)と、を備え、第1のセンサ(10)は、第1のレーザ信号(R)を放射するように構成された、第1のエミッタ(15)と、第1のレーザ信号(R)、又は、使用時に、第1のレーザ信号(R)の反射によって生成された第2のレーザ信号(S)を検出するように構成された、1つ又はそれ以上の、第1の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)(11)と、使用時に、第1の光検出器(11)によって検出された、第1又は第2のレーザ信号(R、S)に基づいて、自動車(1)の駆動速度(v)に関連する値を処理するようにプログラムされた制御ユニット(20)と、を更に備える、自動車(1)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
車室(3)を画定する本体(2)と、
複数の車輪(4、5)と、
前記自動車(1)の駆動速度と関連する値(v)を検出するように設計された第1のセンサ(10)と、を備え、
前記第1のセンサ(10、110)が、
第1のレーザ信号(R)を放射するように構成された第1のエミッタ(15)と、
前記第1のレーザ信号(R)、又は、使用時に、前記第1のレーザ信号(R)の反射によって生成された第2のレーザ信号(S)を検出するように構成された、1つ以上の第1の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)(11)と、
使用時に、前記第1の光検出器(11)によって検出された前記第1のレーザ信号(R、S)に基づいて、前記自動車(1)の駆動速度に関連する前記値(v)を処理するようにプログラムされた、制御ユニット(20)と、を更に備え、
前記制御ユニット(20)が、
関連する光検出器(11)によって検出された強度に関連する第1の値に基づいて、第1の瞬間(t1)における、前記第1のセンサ(10)と路面(16)上の基準点(P)との間の距離(d1)についての第1の値を取得し、
関連する光検出器(11)によって検出された、強度に関連する第2の値に基づいて、第2の瞬間(t2)における、前記第1のセンサ(10)と前記路面(16)上の前記基準点(P)との間の距離(d2)についての第2の値を取得し、
前記第1及び第2の距離の値(d1、d2)、並びに、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間の差分(t1、t2)に基づいて、前記駆動速度(v)の第1の一次的な値(v1)を処理するようにプログラムされていることを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記第2のレーザ信号(S)が、使用時の、前記路面(16)に対する前記第1のレーザ信号(R)の反射に相当することを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記本体(2)を含み、前記第1のエミッタ(15)及び前記第1の光検出器(11)を支持する、ばね上質量と、
前記車輪(4、5)を含み、前記ばね上質量に弾性的に接続された、ばね下質量と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項4】
前記制御ユニット(20)が、前記第2のレーザ信号(S)の強度、並びに、使用時の、前記第1のレーザ信号(R)が放射される第1の瞬間と、前記第2のレーザ信号(S)が検出される第2の瞬間との間の経過時間の少なくとも一方に基づいて、前記駆動速度に関連する前記値(v)を処理するようにプログラムされ、
前記強度が、使用時に、前記光検出器(11)によって検出された光子の数に関するものであることを特徴とする、請求項3に記載の自動車。
【請求項5】
前記センサ(10)が、
前記第1の光検出器(11)によって生成された電流(i)を入力として受け取り、電圧(V)を出力として生成するように構成された、電子回路(200)と、
第1の光検出器(11)による前記第2のレーザ信号(D)の受信時間に関連する時間信号を供給するように構成された時間測定回路(201)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項6】
前記制御ユニット(20)が、
前記回路(201)からインパルス列を受け取り、
前記インパルス列を、横軸に到着時間があり、縦軸に蓄積された光子数がある関連ヒストグラム(300)として表し、
前記ヒストグラム(300)のピークを、前記第1のレーザ信号(R)の放射と、前記第2のレーザ信号(S)の受信との間の時間間隔の値(ΔT1、ΔT2)と関連付け、
前記第1及び第2の距離の値(d1、d2)を、c*ΔT1、c*ΔT2として処理するようにプログラムされ、ここでは、cが光速であり、ΔT1、ΔT2が、前記第1のレーザ信号(R)の放射と前記第2のレーザ信号(S)の受信との間の時間間隔であることを特徴とする、請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
第2のセンサ(110)を備え、前記第2のセンサ(110)は、
前記本体(2)及び関連する車輪(4、5)の一方に配置された第2のエミッタ(115)と、
前記本体(2)及び関連する車輪(4、5)の他方に配置された第2の光検出器(111)と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項8】
前記制御ユニット(20)が、少なくとも1つの車輪(4、5)に対して、
対応する瞬間において、前記第2のセンサ(10)によって生成されたそれぞれの信号に基づいて、前記第2のエミッタ(115)に対する前記車輪(4、5)の相対運動の、それぞれの瞬間(T0、T1、…T5)に関連する複数の画像(130)を処理し、
前記画像に基づいて、前記自動車(1)の駆動速度の第2の一時的な値(v2)を処理するようにプログラムされていることを特徴とする、請求項7に記載の自動車。
【請求項9】
それぞれが関連する車輪(4、5)に対応付けられ、それぞれが前記関連する車輪(4、5)の駆動速度に関連する第3の一時的な値(v3)を検出するように設計された複数の前記第2のセンサ(110)を備え、
前記制御ユニット(20)が、前記第3の一時的な値(v3)に基づいて、前記自動車(1)の駆動速度の前記第2の一時的な値(v2)を処理するようにプログラムされていることを特徴とする、請求項7に記載の自動車。
【請求項10】
前記制御ユニット(20)が、前記駆動速度(v)の前記一時的な値(v1、v2)のうちの1つに基づいて、又は、前記駆動速度(v)の前記一時的な値(v1、v2)の組み合わせに基づいて、前記自動車(1)の前記駆動速度(v)の前記値を処理するようにプログラムされていることを特徴とする、請求項8に記載の自動車。
【請求項11】
自動車(1)の速度(v)を検出する方法であって、
i)第1のセンサ(10)によって、前記自動車(1)の駆動速度(v)を検出するステップと、
ii)第1のエミッタ(15、115)によって、第1のレーザ信号(R)を放射するステップと、
iii)前記第1のセンサ(10)の、1つ又はそれ以上の第1の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)(11)を使用して、前記第1のレーザ信号(R)の反射によって生成された第2のレーザ信号(S、T)を検出するステップと、
iv)前記第1のレーザ信号(R)を路面(16)に反射させるステップと、
v)前記路面(16)上で前記第1のレーザ信号(R)が反射することに続いて、前記第2のレーザ信号(S)を生成するステップと、を含み、
vi)関連する第1の前記光検出器(11)によって検出された、前記第1のレーザ信号(R)の強度に対応する第1の値に基づいて、第1の瞬間(t1)における、前記第1のセンサ(10)と前記路面(16)上の基準点(P)との間の距離(d1)についての第1の値を取得するステップと、
vii)関連する前記光検出器(111)によって検出された、前記第1のレーザ信号(R)の強度に対応する第2の値に基づいて、第2の瞬間(t2)における、前記第1のセンサ(10)と前記路面(16)上の前記基準点(P)との間の距離(d2)の第2の値を取得するステップと、
viii)前記第1の及び第2の距離の値(d1、d2)、並びに、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間の差分(t1、t2)に基づいて、前記駆動速度(v)の第1の一時的な値(v1)を処理するステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記ステップi)が、
ix)本体(2)及び車輪(4、5)の一方に配置された第2のエミッタ(115)によって、前記レーザ信号(R)を生成するステップと、
x)前記本体(2)及び前記車輪(4、5)の他方に配置された第2の光検出器(11)によって、前記レーザ信号(R)を検出するステップと、を含み、
前記方法が、
xi)対応する瞬間において、前記第2のセンサ(110)によって生成されたそれぞれの信号について、前記第2のエミッタ(115)に対する前記車輪(4、5)の相対運動の、それぞれの瞬間(T0、T1、…T5)に関連する複数の画像(130)を処理するステップと、
xii)前記画像(130)に基づいて、前記自動車(1)の駆動速度の第2の一時的な値(v2)を処理するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記駆動速度(v)の、前記一時的な値(v1、v2)のうちの1つに基づいて、又は、前記駆動速度(v)の前記一時的な値(v1、v2)の組み合わせに基づいて、前記自動車(1)の前記駆動速度(v)の前記値を処理するステップxiii)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
制御ユニット(20)にロードすることができ、それを実行することで、請求項11に記載の方法の各ステップを実施するように設計された、コンピュータ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、及び自動車自体の駆動速度を検出する方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年10月31日に出願されたイタリア特許出願第102022000022347号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
自動車は、公知の方法で、以下のものを備える。
-制動システムに動作可能に接続され、自動車の所与の動作状況において、自動車に所望の安定性を確保するために、必要であれば異なる車輪であっても、それぞれの車輪に制動トルクを働かせるように制動システムを動作させることができる、安定性制御システム。
-同じく制動システムに動作可能に接続され、車輪に作用する制動トルクを制限し、車輪がロックすることを防止するように動作させることのできる、ABSとして一般に知られている、アンチロックシステム。
【0004】
前述したシステムでは、正しく動作するために、自動車の複数の運動学的パラメータ及び動的パラメータ、例えば自動車の姿勢角を判定することが必要となる。
【0005】
前述したパラメータ判定では、更に、自動車の駆動速度を判定することが必要となる。
【0006】
前述した安定性制御システム及びアンチロックシステムを、迅速かつ正確に動作できるようにするためには、自動車の駆動速度を、可能な限り迅速かつ正確に検出する必要がある。
【0007】
したがって、自動車産業では、自動車の駆動速度を迅速に、反復可能かつ正確に検出するように設計された、センサが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上述した必要性のうちの、少なくとも1つを満たすことができる、自動車を提供することである。
【0009】
前述した目的は、請求項1に記載の自動車に関するものとして、本発明によって達成される。
【0010】
更に、本発明はまた、請求項11に記載の自動車の速度を検出する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な実施例として提供される、2つの好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を検討することによって、最もよく理解されるであろう。
【0012】
図1】第1の自動車用駆動速度センサを有する、本発明による自動車の斜視図である。
図2図1の第1のセンサについて、第1の構成要素を概略的に示す図である。
図3】第2の自動車用駆動速度センサを有する、本発明による自動車の上面図である。
図4図1のセンサの動作について、いくつかの動作ステップを概略的に示す図である。
図5図1から図4の自動車の、いくつかの構成要素を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照すると、番号1は、車室3を画定する本体2、及び複数の車輪4、5を備える、自動車を示す。
【0014】
以下、「上部に」、「下部に」、「前部に」、「後部に」といった表現、及びそれらに類似する表現は、自動車1の通常の前進状態を基準として使用される。
【0015】
更に、以下のものを定義することができる。
-使用時に水平であり、自動車1の通常の走行方向に平行である、自動車1と一体の長手方向の軸線X。
-使用時に水平であり、軸線Xに直交する、自動車1と一体の横方向の軸線Y。
-使用時に、軸線X、Yに垂直であり、かつ直交する、自動車1と一体の軸線Z。
【0016】
自動車1は、自動車1の駆動速度vを検出するように設計された、(それぞれ図1及び図3に概略的に示される)複数のセンサ10、110を、更に備える。
【0017】
本明細書に示す特定の事例では、センサ10、110は光学センサである。
【0018】
各センサ10は、有利には、以下のものを備える。
-レーザ信号Rを放射するように構成されたエミッタ15。
-路面16によって反射されたレーザ信号S、又はレーザ信号R自体を検出するように構成された、(SPADとしても知られている)1つ又はそれ以上の単一光子アバランシェダイオード11。
-単一光子アバランシェダイオード11によって検出された、レーザ信号S、Rに基づいて、速度vの値を処理するようにプログラムされた、制御ユニット20。
【0019】
より詳細には、センサ10のエミッタ15及び単一光子アバランシェダイオード11は、自動車1の本体2、好ましくは、通常の走行方向を基準として、本体2の前部によって支持される。
【0020】
特に、エミッタ15は、自動車1の瞬間的な位置に対する、前方領域に向かってレーザ信号Rを放射するように構成される。
【0021】
エミッタ15及び単一光子アバランシェダイオード11は、不透明な要素を介在させることなく、光学的に互いに向き合っている。
【0022】
エミッタ15は、路面16に向けてレーザ信号Rを放射するように構成される。
【0023】
具体的には、エミッタ15は、パルス状のレーザ信号Rを放射するように構成される。
【0024】
エミッタ15は、軸線Xにも平行な延長部である領域Tに、レーザ信号Rを放射するように構成される。
【0025】
単一光子アバランシェダイオード11は、路面16でのレーザ信号Rの反射によって形成された、レーザ信号Sを受け取る。
【0026】
そうすることによって、エミッタ15及び単一光子アバランシェダイオード11は、LiDARシステムを画定する。
【0027】
レーザ信号Rは、路面16との相互作用に続いて、レーザ信号Sとして、一方向のミラー状の反射若しくはフレネル反射、又は複数方向の拡散反射によって反射される。
【0028】
特に、単一光子アバランシェダイオード11は、検出された光子の数、すなわちレーザ信号Sの強度に関連する電流iを、出力として生成する。
【0029】
更に、センサ10は以下のものを備える(図2)。
-例えば、第1のレンズからなり、路面16を照らすために、レーザ信号Rを拡大するように設計された、光学系50。
-第2のレンズからなり、単一光子アバランシェダイオード11に向かってレーザ信号Sをコリメートするように設計された、光学系51。
【0030】
制御ユニット20は、以下のものを備える。
-単一光子アバランシェダイオード11によって生成された電流iを入力として受け取り、電流iに関連する電圧Vを出力として供給する、公知のものであるため詳細には説明していない、電子回路200。
-単一光子アバランシェダイオード11によって受信された、レーザ信号Sの到達時間に関連する時間信号を供給するように構成された、例えばデジタル時間変換器である、時間測定回路201。
【0031】
制御ユニット20は、以下のようにプログラムされている。
-単一光子アバランシェダイオード11によって検出された、レーザ信号Rの強度に関連する信号に基づいて、瞬間t1における、路面16上の基準点Pと単一光子アバランシェダイオード11との間の、軸線Xに平行な距離d1の値を取得する。
-単一光子アバランシェダイオード11によって検出された、レーザ信号Rの強度に関連する信号に基づいて、瞬間t2における、路面16上の基準点Pと単一光子アバランシェダイオード11との間の、軸線Xに平行な距離d2の値を取得する。
-前述した距離の値d1及びd2、並びに、瞬間t1及び瞬間t2との間の差分に基づいて、軸線Xに平行な、駆動速度v1の第1の値を処理する(図5)。
【0032】
より詳細には、軸線Xに平行な駆動速度v1の第1の値は、
【数1】
で得られる。
【0033】
より具体的には、制御ユニット20は更に、距離d1、d2のそれぞれについて、以下のようにプログラムされている(図2)。
-回路201から、インパルス列を受信する。
-前述したインパルス列を、横軸に到着時間があり、縦軸に蓄積された光子数がある、関連ヒストグラム300として表す。
-ヒストグラム300のピークを、レーザ信号Rの放射とレーザ信号Sの受信との間の時間間隔の値である、ΔT1、ΔT2と関連付ける。
-路面16上の基準点Pと単一光子アバランシェダイオード11との間の距離d1、d2を、c*ΔT1、c*ΔT2として測定する。式中で、cは光速であり、ΔT1、ΔT2はレーザ信号Rの放射とレーザ信号Sの受信との間の時間間隔である。
【0034】
特に、ヒストグラム300上の到着時間の分布は、値ΔT1、ΔT2に影響を及ぼすものであり、レーザ信号Rの生成、並びに、電子回路200及び回路201の挙動から導出された、不確実性δtotalを表すものである。
【0035】
各単一光子アバランシェダイオード11は、SPAD/CMOSチップの形態で製造されることが好ましい。このようにして、各単一光子アバランシェダイオード11は、エミッタ15によって放射された情報の、非常に高速な読み取りを統御する。
【0036】
したがって、センサ10は、「直接飛行時間(direct Time of-Flight:dToF)」として、自動車業界で知られている構成を実現する。
【0037】
本明細書に示す特定の場合では、エミッタ15は、VCSEL(垂直共振器型面発光レーザ)源、すなわち垂直キャビティを有する、面発光レーザ源である。基準点Pは、路面16の平面に対する、エミッタ15の傾きによって決定される。
【0038】
図3及び図4を参照すると、センサ110は、それぞれの車輪4、5に関連付けられ、自動車1のそれぞれの駆動速度値、v3を検出するように設計される。
【0039】
各センサ110は、特に、以下のものを備える。
-レーザ信号Rを放射するように構成された、エミッタ115。
-エミッタ115によって放射されたレーザ信号Rを検出するように構成された、(SPADとしても知られている)1つ又はそれ以上の単一光子アバランシェダイオード111。
【0040】
各センサ110のエミッタ115は、関連する車輪4、5によって支持される。
【0041】
単一光子アバランシェダイオード111は、対応する車輪4、5に面する、本体2のホイールハウス116によって支持される。
【0042】
制御ユニット20は、互いに連続する様々な瞬間における、単一光子アバランシェダイオード11に対するエミッタ115の位置を表す、複数の画像130に基づいて、車輪4、5の駆動速度v2の、第2の一時的な値を処理するように、更にプログラムされる。
【0043】
制御ユニット20は、より具体的には、以下のようにプログラムされている。
-対応する瞬間において、単一光子アバランシェダイオード111によって生成された、それぞれの信号に基づいて、エミッタ15と単一光子アバランシェダイオード111との間の相対運動の、それぞれの瞬間に関連する複数の画像130を処理する。
-前述した画像130に基づいて、車輪4、5の駆動速度v2の値を処理する。
【0044】
図4を参照すると、各瞬間、T0、T1、T2からT5における、画像130の時間的な推移が、エミッタ115の速度成分v2、したがって軸線X、Zの方向に沿った、車輪4、5の速度成分v2の時間的な進展に関連付けられている。車輪4、5は、軸線Yに平行なそれぞれの軸線を中心に回転するため、軸線Yに沿った速度成分v2は、実質的に0である。
【0045】
言い換えれば、制御ユニット20は、センサ10が取得した情報を用いて、オプティカルフローとして知られる手法により、駆動速度v2を算出する。
【0046】
より正確には、制御ユニット20は、本発明の一部ではないため詳細には説明しないアルゴリズムに従って、センサ110によって検出された駆動速度v3に基づいて、駆動速度v2の一時的な値を処理するように、プログラムされる。
【0047】
最後に、制御ユニット20は、本発明の一部ではないため詳細には説明しないアルゴリズムに従って、駆動速度値v1及びv2に基づいて、車輪4、5の駆動速度vの値を処理するように、プログラムされる。
【0048】
自動車1は、単独のセンサ10、又はセンサ10、110の両方を備えることができることを、指摘しておくべきである。
【0049】
図5を参照すると、制御ユニット20は、使用時に以下のことを行う。
-レーザ信号Rがセンサ10のエミッタ15から路面16に移動し、路面16によって反射されるやいなや、路面16から単一光子アバランシェダイオード11まで移動するのに必要な時間に基づいて、自動車1の駆動速度の一時的な値v1を処理する。
-様々な瞬間における、センサ110の単一光子アバランシェダイオード111に対する、エミッタ115の位置を表す、複数の画像130に基づいて、車輪4、5の駆動速度の一時的な値v2を処理する。
-一時的な速度v1、v2に基づいて、車輪4、5の駆動速度の最終的な値vを処理する。
【0050】
より詳細には、エミッタ15はパルスレーザ信号Rを放射し、パルスレーザ信号Rは、光学系50を通過して、レーザ信号Sとして、路面16から反射される。
【0051】
その後、レーザ信号Sは、光学系51を経て、単一光子アバランシェダイオード11に到達する。
【0052】
単一光子アバランシェダイオード11は、レーザ信号Sを受信し、検出された光子の数、すなわちレーザ信号Sの強度に関連する、電流iを生成する。
【0053】
制御ユニット20の電子回路200は、単一光子アバランシェダイオード11によって生成された、電流iを入力として受け取り、電圧Vを出力として生成する。
【0054】
回路201は、単一光子アバランシェダイオード11によって受信された、レーザ信号Sの到達時間に関連する時間信号を、出力として供給する。
【0055】
より具体的には、2つの異なる瞬間t1、t2で、制御ユニット20は、回路201からインパルス列を受信し、インパルス列を、横軸に到着時間があり、縦軸に蓄積された光子数がある、関連ヒストグラム300として表し、かつ、ヒストグラム300のピークを、レーザ信号Rの放射からレーザ信号Sの受信までの時間間隔の値、ΔT1、ΔT2のそれぞれに関連付ける。
【0056】
制御ユニット20は、特に、センサ10と路面16上の基準点Pとの間の、軸線Xに平行な距離d1、d2を、c*ΔT1、c*ΔT2として処理する。ここで、cは光速であり、ΔT1、ΔT2は、レーザ信号Rの放射から、レーザ信号Sの受信までの時間間隔である。
【0057】
また、制御ユニット20は、駆動速度v1の値を、次式のように処理する。
【数2】
【0058】
各車輪4、5について、制御ユニット20は、更に、対応する瞬間T0、T1、…T5において、単一光子アバランシェダイオード111によって生成されたそれぞれの信号に基づいて、エミッタ115と単一光子アバランシェダイオード111との間の相対運動の、それぞれの瞬間に関連する複数の画像130を処理する。かつ、画像130に基づいて、自動車1の駆動速度v3の値を処理する。
【0059】
図5を参照すると、制御ユニット20は、センサ110によって検出された駆動速度v3に基づいて、駆動速度v2の一時的な値を処理する。
【0060】
最後に、制御ユニット20は、本発明の一部ではないため詳細には説明しないアルゴリズムに従って、一的な駆動速度の値v1及びv2に基づいて、自動車1の駆動速度vの値を処理する。
【0061】
上記の開示によって、本発明で得ることのできる、明白な利点が示される。
【0062】
特に、制御ユニット20は、路面16から反射され、センサ10の単一光子アバランシェダイオード11によって検出された、レーザ信号Sの強度から開始してそれぞれ決定された、一時的な速度v1、v2、並びに、エミッタ115によって放射され、センサ110の単一光子アバランシェダイオード111によって検出された、レーザ信号Rに関連付けられた画像130に基づいて、自動車1の速度の値vを処理する。
【0063】
単一光子アバランシェダイオード11、111が単一光子を有するという事実により、速度v及びその時間的な進展を、迅速かつ正確に処理することができる。
【0064】
これにより、説明の冒頭で述べた安定性制御システム及びアンチロックシステムが、正確に動作し、自動車1の動的条件の変化に対する、迅速な応答を提供することが保証され、自動車1の運転安全性に関して、明らかな利点がある。
【0065】
制御ユニット20は、「直接飛行時間」を生成するセンサ10によって得られた、一時的な速度v1、並びに、「オプティカルフロー」として知られる技術を使用するセンサ110によって得られた一時的な速度v2の、両方に基づいて、速度vを処理する。
【0066】
これにより、処理された速度の値vの、精度及び信頼性が向上する。
【0067】
最後に、本発明による自動車1及び方法には、添付の特許請求の範囲に記載された保護の範囲を超えることなく、変形及び変更を施すことができる。
【0068】
具体的には、エミッタ115を、それぞれの車輪4、5に関連するホイールハウス106に配置することができ、単一光子アバランシェダイオード111を、それぞれの車輪4、5に配置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】