(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066504
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240508BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186008
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2022174938
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514195425
【氏名又は名称】株式会社ニューズドテック
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】粟津 浜一
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】経験則に頼ることなく、バッテリーの劣化を利用者の利用実態に即して個別に予測できるようにすること。
【解決手段】ユーザ源情報取得部51は、バッテリーからの電力により駆動するモバイル端末2のユーザU2の入力により取得される、モバイル端末3の利用に関する情報をユーザ源情報として取得する。装置源情報取得部52は、モバイル端末3の自己診断等によって得られる、バッテリーの状態を含む情報を装置源情報として取得する。分類部53は、ユーザ源情報及び端末源情報に基づいて、分類モデルDB81に格納された分類モデルを用いて、バッテリー浪費の観点で予め設定された「浪費型」、「バランス型」、「節約型」のグループのうち何れかに分類する。劣化予測部54は、装置源情報及び分類されたグループに基づいて、所定時間経過後のモバイル端末3の前記バッテリーの劣化度合を予測する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーからの電力により駆動する対象装置のユーザの入力により取得される、当該対象装置の利用に関する情報をユーザ源情報として取得するユーザ源取得手段と、
前記対象装置についての前記ユーザ源情報に基づいて、所定観点で予め設定されたN(Nは2以上の整数値)のグループのうち何れかに前記ユーザを分類する分類手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記対象装置から取得される、当該対象装置の前記バッテリーの状態を含む情報を装置源情報として取得する装置源取得手段と、
当該対象装置についての前記装置源情報及び分類された前記グループに基づいて、所定時間経過後の前記対象装置の前記バッテリーの劣化度合を予測する劣化予測手段と、
前記分類手段の分類結果、及び前記劣化予測手段の予測結果を、前記対象装置を介して前記ユーザに報知する第1報知手段と、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
1以上の入力項目からなるアンケートを前記ユーザに提供するアンケート制御手段をさらに備え、
前記ユーザ源取得手段は、前記アンケートに対する前記ユーザの回答内容を前記ユーザ源情報として取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記劣化度合が閾値以下となる見込みの前記所定時間よりも前に、当該所定時間に前記劣化度合が閾値以下となる見込みである旨を前記対象装置を介して前記ユーザに報知する第2報知手段
をさらに備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
バッテリーからの電力により駆動する対象装置のユーザの入力により取得される、当該対象装置の利用に関する情報をユーザ源情報として取得するユーザ源取得ステップと、
前記対象装置についての前記ユーザ源情報に基づいて、所定観点で予め設定されたN(Nは2以上の整数値)のグループのうち何れかに分類する分類ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
バッテリーからの電力により駆動する対象装置のユーザの入力により取得される、当該対象装置の利用に関する情報をユーザ源情報として取得するユーザ源取得ステップと、
前記対象装置についての前記ユーザ源情報に基づいて、所定観点で予め設定されたN(Nは2以上の整数値)のグループのうち何れかに分類する分類ステップと、
を含む制御処理を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等のモバイル端末のバッテリーの劣化は、電池自体の性能や、その端末の利用者の利用態様との間に相関性を見出すことができるとされている。特にモバイル端末のおかれた環境がバッテリーの劣化に影響を与えるとされている。
これに対して、モバイル端末の市場では、バッテリーの状態が重視されることはなく、所定期間(例えば2年間)経過後の買い替えのサイクルによってモバイル端末の入れ替えを行うことが推奨されてきた。
しかしながら、モバイル端末を含む、バッテリーからの電力を利用して駆動する装置におけるバッテリーの経年劣化は重要課題とされる状況にある。
なお、バッテリーの劣化を診断するための技術は従来から存在する。例えば特許文献1には、鉛蓄電池の満充電状態における開回路電圧と、鉛蓄電池の内部抵抗とを算出し、満充電状態における開回路電圧及び内部抵抗から鉛蓄電池の放電容量を算出する、とされる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術を含む従来技術のような経験則に頼る手法ではなく、利用者の利用実態に即してバッテリーの劣化の状態を個別に予測することができる技術の開発が求められている状況にある。
【0005】
このような状況に鑑みてなされたものであり、経験則に頼ることなく、利用者の利用実態に即してバッテリーの劣化を個別に予測することができる手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
バッテリーからの電力により駆動する対象装置のユーザの入力により取得される、当該対象装置の利用に関する情報をユーザ源情報として取得するユーザ源取得手段と、
前記対象装置についての前記ユーザ源情報に基づいて、所定観点で予め設定されたN(Nは2以上の整数値)のグループのうち何れかにユーザを分類する分類手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、経験則に頼ることなく、利用者の利用実態に即してバッテリーの劣化を個別に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係る推論装置が適用される情報処理システムより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
【
図2】本発明の情報処理装置の一実施形態に係る推論装置を含む、情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示す情報処理システムのうち推論装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4の推論装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図4の機能的構成を有する推論装置によりユーザに提示されるアンケートの一例を示す図である。
【
図6】
図4の機能的構成を有する推論装置により推論されるユーザのバッテリー劣化の予測の一例を示す図である。
【
図7】
図4の機能的構成を有する推論装置による推論の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
まず、
図1を参照して、本発明の情報処理装置の一実施形態に係る推論装置1が適用される情報処理システム(後述する
図2参照)により実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係る推論装置が適用される情報処理システムより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
【0012】
本サービスは、サービス提供者により管理される推論装置1が適用される情報処理システムにより実現可能なサービスである。本サービスは、ユーザU1-1乃至U1-n(nは2以上の整数値)及びU2及び所定店舗の店舗スタッフ等に対して提供されるサービスである。
ユーザU1-1乃至U1-nは、バッテリーで駆動するモバイル端末2-1乃至2-nを利用する者であって、
図1に示す学習段階において、端末の劣化状況及び端末の利用状況についてのアンケートの情報の集計対象となるユーザである。
ユーザU2は、バッテリーで駆動するモバイル端末3を利用する者であって、
図1に示す推論段階において、端末の劣化状況及び端末の利用状況についてのアンケートの情報を提供することで、そのモバイル端末3のバッテリー劣化の予測がなされるユーザである。
【0013】
ユーザU1-1乃至U1-n及びU2は、本サービスを利用する場合、モバイル端末2―1乃至2-n及びモバイル端末3にインストールされた、本サービスの利用を可能とする専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「専用アプリ」と呼ぶ)に対する操作を行う。また、ユーザU1-1乃至U1-n及びU2は、モバイル端末2―1乃至2-n及びモバイル端末3のブラウザ機能により表示される、本サービスの利用を可能とする専用のウェブサイト(以下、「専用サイト」と呼ぶ)にアクセスすることでも本サービスを利用することができる。
以下、説明の便宜上、ユーザU1-1乃至U1-nやユーザU2がモバイル端末2―1乃至2-n及びモバイル端末3を操作する際には、ユーザU1-1乃至U1-n及びU2が専用アプリ又は専用サイトから本サービスを利用することを意味するものとする。
【0014】
本サービスでは、n人(nは1以上の任意の整数値)のユーザU1-1乃至U1-nの夫々に対して、n台のモバイル端末2―1乃至2-nの利用に関するアンケート調査(以下、「実態調査アンケート」と呼ぶ)が実施される。なお、1人のユーザU1-1乃至U1-nが複数台のモバイル端末を利用する場合があるが、この場合、1台のモバイル端末に対してユーザU1-1乃至U1-nは1人としてカウントするものとする。また、1台のモバイル端末を複数のユーザU1-1乃至U1-nが共有する場合もあるが、この場合も、代表者を1人定めることとして、1台のモバイル端末に対するユーザU1-1乃至U1-nは1人としてカウントするものとする。
【0015】
実態調査アンケートは、1以上の質問事項とそれに対する入力項目からなるUI(User Interface)をモバイル端末2-1乃至2-n及びモバイル端末3に表示させることで実施される。ユーザU1-1乃至U1-nは、モバイル端末2―1乃至2-n及びモバイル端末3を操作することで実態調査アンケートに回答する。ただし、実態調査アンケートの実施の手法はこれに限定されない。例えば、ユーザU1-1乃至U1-n及びU2宛てのメールに実態調査アンケートを添付し、これにユーザU1-1乃至U1-n及びU2が回答する態様であってもよい。
【0016】
実態調査アンケートには、モバイル端末2の使用実態に関する一般的な質問事項とともにバッテリーに関する質問項目が含まれる。実態調査アンケートの例は、
図5を用いて後述する。
【0017】
実態調査アンケートは、n人のユーザU1-1乃至U1-n及びU2に対して行われる。そして、n人のユーザU1-1乃至U1-n及びU2の夫々による入力の結果は、質問事項と対応付けられて、調査結果情報として学習装置4により取得される。また、学習装置4は、実態調査アンケートの他、独自に実施されたインターネット調査の結果も調査結果情報として取得する。
調査の体制の具体例として、例えば所定店舗でモバイル端末2-1乃至2-nの買取りが行われる度にユーザU1-1乃至U1-nに対する実態調査アンケートを実施する。これを所定期間(例えば3カ月間)実施することで多数の調査結果情報を学習装置4に集積させる。また、例えば、詳しくは後述するが、ユーザU2は、実態調査アンケートに回答して任意の期間だけモバイル端末2を利用し、その後、本サービスの提供者にモバイル端末2の買取を依頼することがある。したがって、ユーザU2の所定期間前後における実態調査アンケートや、モバイル端末2の劣化状況も適宜取得される。このような情報も適宜集積される。
【0018】
そして、本サービスでは、学習装置4に集積させた複数の調査結果情報に基づいて、劣化予測モデルが生成又は更新される。
具体的には例えば、学習装置4により、モバイル端末2-1乃至2-nの劣化状況及びユーザU1-1乃至U1-nから得られた実態調査アンケート結果の組が多数学習用データとして用いられて、機械学習等の処理が行われる。その機械学習の結果、劣化予測モデルが生成されて、当該劣化予測モデルは、劣化予測モデルDB80に格納して管理される。なお、劣化予測モデルは、機械学習によらず、任意のロジック(例えば、回帰分析)により求められてもよい。
【0019】
この時、学習装置4は、実態調査アンケートの結果に基づいて、ユーザU1-1乃至U-nを、所定観点で予め設定されたN(Nは2以上の整数値)のグループのうち何れかに分類する。本実施形態では、所定観点として、バッテリーの浪費の程度が採用されている。また、本実施形態では、グループの数として、N=3が採用されている。
具体的には、学習装置4は、ユーザU1-1乃至1-nを、「浪費型」、「バランス型」、「節約型」の3つのグループに分類する。
そして、このグループ毎に、劣化予測モデルを生成又は更新する。即ち、浪費型のユーザU1のための劣化予測モデルと、節約型のユーザU1のための劣化予測モデルと、バランス型(浪費型と節約型の間の型)のための劣化予測モデルが生成又は更新される。
これにより、バッテリーの普段の利用方法(実態)毎に精度よく劣化予測が可能なモデルの生成又は更新が可能となるのである。
【0020】
さらに、推論装置1は、劣化予測モデルDB80に格納された劣化予測モデルを用いて、ユーザU2のモバイル端末3のバッテリー劣化予測(推論)を行う。即ち、まず、推論装置1は、モバイル端末3の自己診断等により得られた劣化状況の情報と、ユーザU2により回答された実態調査アンケートの結果を取得する。そして、推論装置1は、実態調査アンケートの結果に基づいて、ユーザU2を、学習装置4において分類したのと同様に、「浪費型」、「バランス型」、「節約型」の3つのグループに分類する。
そして、このグループ毎の劣化予測モデルを用いて、バッテリーの劣化の予測(推論)をする。即ち、ユーザU2がいずれのグループに属するかにより、そのグループに応じた劣化予測モデルを使用して、推論を行う。
これにより、ユーザU2のバッテリーの普段の利用方法(実態)に応じた、そのユーザU2に合わせた将来的な劣化予測が可能となるのである。
ユーザU2がいずれのグループに属するかによる劣化予測の曲線グラフの例については、
図6を用いて説明する。
【0021】
そして、推論装置1は、ユーザU2に対してモバイル端末3を介して劣化予測の結果を提供する。これにより、ユーザU2は、将来のモバイル端末3の買い替え時期などを予め把握することが可能となる。
さらに、推論装置1は、ユーザU2に対してモバイル端末3を介して所定レベル(例えば、バッテリーの容量が設計の8割以下)よりも劣化するタイミング前に、所定レベルよりも劣化してしまう時期が近付いている旨をリマインド(報知)することが出来る。
これにより、ユーザU2は、所定レベルの劣化状態となる時期前後に、スムーズにモバイル端末3の買い替え等のための行動を開始することが出来るようになる。即ち、モバイル端末3が所定レベルより劣化したまま利用され、ユーザU2が不便と感じることがなくなる。
また、サービス提供者にとってみれば、このようなリマインドがなされることにより、モバイル端末3の買取のために訪問することにより、バッテリーをメンテナンスしたり、適宜リサイクルできる資源として、モバイル端末3を活用することが出来るようになるのである。
【0022】
以上をまとめると、本サービスによれば例えば以下のような効果が期待できる。
即ち、本サービスによれば、中古市場に属する業界全体でバッテリーの劣化予測を推奨することで、ユーザU2にバッテリーの修理を推奨したり、買い替えを指南したりすることができる。この場合、買い替え時におけるバッテリーの状態に応じて買取価格を変動させることもできる。これにより、中古市場におけるモバイル端末3の査定額の適正化を図ることもできる。その結果、中古市場におけるモバイル端末3の正常な流通が図られるので、中古市場でモバイル端末3を購入しようとする者は、モバイル端末3の状態(例えば推測される余命等)を納得したうえで購入することができる。
また、多くのユーザU2は、バッテリーの劣化を感じたタイミングで機種変更を行うため、本サービスが適用されることで、中古市場に限らず、新品市場においても機種変更の促進を図ることができる。
また、AI(人工知能)による機械学習が行われることで、グループによる差のあるバッテリーの状態を最適化させることができる。これにより、ユーザU2にとってベストなタイミングでの売買機会の創出が可能となる。
また、本サービスは、スマートフォンなど主要な消費財とされる商品に適用可能なサービスであるため、その利用価値や得られるメリットが甚大になることが期待できる。
【0023】
次に、
図2を参照して、上述した本サービスの提供を実現化させる情報処理システム、即ち本発明の情報処理装置の一実施形態に係る推論装置1を含む、情報処理システムの構成について説明する。
図2は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係る推論装置を含む、情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0024】
図2に示す情報処理システムは、推論装置1と、モバイル端末3とを含むように構成されている。なお、本明細書において、モバイル端末3は、ユーザU2が利用するモバイル端末3をいう。
推論装置1、モバイル端末3の夫々は、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
【0025】
推論装置1は、サービス提供者により管理される情報処理装置である。推論装置1は、モバイル端末3と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0026】
モバイル端末3は、ユーザU2により操作される情報処理装置である。モバイル端末3は、例えばスマートフォン、タブレット等で構成される。
【0027】
図3は、
図2に示す情報処理システムのうち推論装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
推論装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0029】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0030】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0031】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を出力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば
図2のモバイル端末2、及び店舗端末3)との間で通信を行う。
【0032】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0033】
なお、図示はしないが、
図2のモバイル端末3も、
図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。従って、モバイル端末3のハードウェア構成についての説明は省略する。
【0034】
このような
図4の推論装置1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、推論装置1におけるバッテリー劣化の予測(推論)が可能になる。その結果、サービス提供者は、ユーザU1-1乃至U1-n及びU2に対して上述の本サービスを提供することができる。
以下、推論装置1において実行される、バッテリー劣化の予測(推論)を実行するための機能的構成について説明する。
【0035】
図4は、
図3の推論装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0036】
図4に示すように、推論装置1のCPU11においては、バッテリー劣化の予測(推論)が実行される場合、ユーザ源情報取得部51と、装置源情報取得部52と、分類部53と、劣化予測部54と、劣化予測報知部55と、見込報知部56とが機能する。
なお、推論装置1の記憶部18の一領域には、分類モデルDB81と、劣化予測モデルDB82と、ユーザDB83とが設けられている。
【0037】
ユーザ源情報取得部51は、バッテリーからの電力により駆動するモバイル端末3のユーザU2の入力により、当該対象装置の利用に関する情報をユーザ源情報として取得する。
【0038】
装置源情報取得部52は、モバイル端末3の自己診断等によって得られる、バッテリーの状態を含む情報を装置源情報として取得する。
【0039】
分類部53は、ユーザ源情報及び端末源情報に基づいて、分類モデルDB81に格納された分類モデルを用いて、バッテリー浪費の観点で予め設定された「浪費型」、「バランス型」、「節約型」のグループのうち何れかに分類する。
ここで、分類モデルとは、機械学習等により得られた、ユーザ源情報や端末源情報に基づいてユーザU2をグループに分類するためのモデルである。分類モデルは、劣化予測モデルとともに、適宜生成又は更新される。
【0040】
劣化予測部54は、装置源情報及び分類されたグループに基づいて、所定時間経過後のモバイル端末3の前記バッテリーの劣化度合を予測する。
【0041】
劣化予測報知部55は、バッテリーの劣化度合いの予測結果を、モバイル端末3を介してユーザU3に報知する。
劣化予測の結果は、適宜ユーザDB83に記憶される。
【0042】
見込報知部56は、劣化度合が閾値(例えば、SoHが80%)以下となる見込みの所定時間よりも前(例えば、2か月前)に、所定時間に前記劣化度合が閾値以下となる見込みである旨をモバイル端末3を介してユーザU3に報知する。
見込報知部56は、ユーザDB83に記憶された情報に基づいて、リマインドを行う。
上記の構成により、ユーザU3にあわせたバッテリーの劣化の予測が可能となる。
【0043】
図5は、
図4の機能的構成を有する推論装置によりユーザに提示されるアンケートの一例を示す図である。
即ち、
図2に示すように、n人のユーザU1-1乃至U1-nに対して実施される実態調査アンケートには、所定数の質問項目が設けられている。具体的には例えば、「使用日数は何日ですか?」、「スマートフォンで動画を見ますか?」、「充電しながらスマートフォンを使うことがありますか?」、「毎晩寝るときに充電しますか?」、「スマートフォンでゲームをしますか?」、「モバイル充電器は使っていますか?」、「フル充電ではなく、必要な分だけ充電しますか?」、「省エネ対策アプリの利用をしますか?」、「電池がゼロになるまで使うことがありますか?」といった質問項目が設けられる。
ユーザU1-1乃至U1-nは、ユーザ端末2を用いて、これらの質問に、「はい」又は「いいえ」等の回答、或いは、日数の数字などを入力する。このようにして、ユーザ源情報が取得される。
【0044】
図6は、
図4の機能的構成を有する推論装置により推論されるユーザのバッテリー劣化の予測の一例を示す図である。
図6(A)のグラフは、モバイル端末3の現在のSoHが90%であり、ユーザU2が「浪費型」に分類された場合の劣化予測グラフの一例である。
図6(B)のグラフは、モバイル端末3の現在のSoHが90%であり、ユーザU2が「バランス型」に分類された場合の劣化予測グラフの一例である。
図6(C)のグラフは、モバイル端末3の現在のSoHが90%であり、ユーザU2が「節約型」に分類された場合の劣化予測グラフの一例である。
【0045】
このように、モバイル端末3の現在のSoHが同一であっても、ユーザU2がいずれのグループに属するかにより、異なるバッテリーの劣化予測がなされるのである。
即ち例えば、バッテリー劣化の閾値が80%である場合を考える。
【0046】
この場合、
図6(A)の劣化予測がなされたときには、SoHはおよそ550日後に当該閾値を下回る。
この旨が、劣化予測の結果として、ユーザU2に報知される。
さらに、例えば、この予測がなされて520日後に、そろそろSoHが80%を下回る時期である旨が、ユーザU2にリマインドされる。
【0047】
また、
図6(B)の劣化予測がなされたときには、SoHはおよそ900日後に当該閾値を下回る。
この旨が、劣化予測の結果として、ユーザU2に報知される。
さらに、例えば、この予測がなされて870日後に、そろそろSoHが80%を下回る時期である旨が、ユーザU2にリマインドされる。
【0048】
また、
図6(C)の劣化予測がなされたときには、SoHはおよそ1200日後においても当該閾値を下回らない。
この旨が、劣化予測の結果として、ユーザU2に報知される。
さらに、例えば、この予測がなされて所定期間後に、再度の最新の劣化予測をしてはどうかという旨が、ユーザU2にリマインドされる。これにより、比較的珍しい、長期間利用可能なモバイル端末3についてのユーザU2のユーザ源情報や端末源情報が収集されるため、より精度の良い予測が実現可能となる。
【0049】
図7は、
図4の機能的構成を有する推論装置による推論の具体例を示す図である。
図7のグラフ、縦軸はSoHを示しており、横軸は時間を示している。
横軸の現在よりも前(
図7中左方)、即ち過去については、離散的なプロットが示されている。このプロットは、装置源情報のうちAバッテリー最大容量が実測された時刻における、実測されたSoHを示している。即ち、過去については、SoHの実測値が示されている。
一方、横軸の現在よりも後(
図7中右方)、即ち将来については、推論装置により劣化予測がなされた結果得られるSoHの劣化予測グラフが示されている。
【0050】
図7の例では、専用アプリにおいて、次のような処理が実行される。
即ち、ユーザ源情報取得部51は、モバイル端末3に対するユーザU2の入力により得られたバッテリーの使用状況に関する実態調査アンケートをユーザ源情報として取得する。
【0051】
装置源情報取得部52は、モバイル端末3の自己診断等によって得られる、A現在のバッテリー最大容量、B充電日時、C充電時間、D充電回数、E充電量、F充電開始時、終了時バッテリー残量%を装置源情報として取得する。
【0052】
分類部53は、ユーザ源情報及び端末源情報(B充電日時、C充電時間、D充電回数、E充電量、F充電開始時、終了時バッテリー残量%)に基づいて、分類モデルDB81に格納された分類モデルを用いて、バッテリー浪費の観点で予め設定された「浪費型」、「バランス型」、「節約型」のグループのうち何れかに分類する。
【0053】
劣化予測部54は、装置源情報及び分類されたグループに基づいて、所定時間経過後のモバイル端末3の前記バッテリーの劣化度合として、将来のSoH曲線を予測する。即ち、
図7に示す3つのSoH曲線のうち、「浪費型」、「バランス型」、「節約型」のうち分類されたグループに対応するSoH曲線が、バッテリーの劣化度合いの予測結果(将来のSoH曲線)として得られる。
【0054】
劣化予測報知部55は、バッテリーの劣化度合いの予測結果(将来のSoH曲線)を、専用アプリ(モバイル端末3)を介してユーザU3に報知する。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0056】
上述の実施形態に限定されないものとしては、さらに次のようなものが存在する。
即ち例えば上述の実施形態では、スマートフォンやタブレット等で構成されるモバイル端末2のバッテリーの劣化予測を行っているが、本発明における「対象装置」は、上述の実施形態に限定されない。即ち、バッテリーからの電力により駆動する装置であれば本発明における「対象装置」に含まれる。このため、例えばバッテリーで駆動する自動車、ドローン、各種のハードウェア等のあらゆる装置が「対象装置」に含まれ得る。
【0057】
また例えば、
図5の実態調査アンケートの質問項目は例示に過ぎない。
図5に示す質問項目の他、モバイル端末2の利用状況を把握するために必要となる各種の情報を得るための他の質問項目が含まれていてもよい。
【0058】
また、
図2に示すシステム構成、及び
図3に示す推論装置1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0059】
また、
図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が
図4の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図4の例に限定されない。
【0060】
また、機能ブロックの存在場所も、
図4に限定されず、任意でよい。
例えば、
図4の例において推論装置1側の構成は、モバイル端末2側や図示せぬ他の情報処理装置において少なくとも一部が行われてもよい。
即ち、バッテリー劣化予測処理、及び買取価格算出処理の実行に必要となる機能ブロックは、推論装置1側が備える構成となっているが、これは例示に過ぎない。推論装置1側に配置された機能ブロックの少なくとも一部を、モバイル端末3側が備える構成としてもよい。
【0061】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0062】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば推論装置の他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0063】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0064】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0065】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図4の推論装置1)は、
バッテリーからの電力により駆動する対象装置のユーザの入力により取得される、当該対象装置の利用に関する情報をユーザ源情報として取得するユーザ源取得手段と、
前記対象装置についての前記ユーザ源情報に基づいて、所定観点で予め設定されたN(Nは2以上の整数値)のグループのうち何れかに前記ユーザを分類する分類手段と、
を備えれば足りる。
【0066】
これにより、バッテリーからの電力により駆動する1以上の対象装置の夫々から報知されるバッテリーの利用に関する第1情報に基づいて、1以上の対象装置の夫々の利用期間とバッテリーの状態との相関関係を示す第2情報が生成される。
その結果、第2情報を用いたバッテリーの劣化の予測が可能となる。即ち、経験則に頼ることなく、バッテリーの劣化をユーザの利用実態に即して個別に予測することが可能となる。
【0067】
前記対象装置から取得される、当該対象装置の前記バッテリーの状態を含む情報を装置源情報として取得する装置源取得手段と、
当該対象装置についての前記装置源情報及び分類された前記グループに基づいて、所定時間経過後の前記対象装置の前記バッテリーの劣化度合を予測する劣化予測手段と、
前記分類手段の分類結果、及び前記劣化予測手段の予測結果を、前記対象装置を介して前記ユーザに報知する第1報知手段と、
を備えることが出来る。
【0068】
1以上の入力項目からなるアンケートを前記ユーザに提供するアンケート制御手段をさらに備え、
前記ユーザ源取得手段は、前記アンケートに対する前記ユーザの回答内容を前記ユーザ源情報として取得する、
ことができる。
【0069】
前記劣化度合が閾値以下となる見込みの前記所定時間よりも前に、当該所定時間に前記劣化度合が閾値以下となる見込みである旨を前記対象装置を介して前記ユーザに報知する第2報知手段
をさらに備えることができる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・推論装置、2・・・モバイル端末、3・・・モバイル端末、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、31・・・リムーバルメディア、51・・・ユーザ源情報取得部、52・・・装置源情報取得部、53・・・分類部、54・・・劣化予測部、55・・・劣化予測報知部、56・・・見込報知部、80・・・劣化予測モデルDB、81・・・分類モデルDB、82・・・劣化予測モデルDB、83・・・ユーザDB