(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066511
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】シンギュレーション済みワークのための参照システム
(51)【国際特許分類】
B41F 15/26 20060101AFI20240508BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20240508BHJP
H05K 3/12 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
B41F15/26 A
B41F15/08 303E
H05K3/12 610N
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023186539
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】2216231.7
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】514153171
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・エスエムティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニール・ショート
【テーマコード(参考)】
2C035
5E343
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA27
2C035FA29
5E343DD03
5E343FF02
(57)【要約】
【課題】従来のシステムに対して信頼性または精度に悪影響を及ぼすことなく重量およびサイズが低減された、シンギュレーション済みワークのための参照システムを提供すること。
【解決手段】印刷オペレーションの実施前にプリンタ内で複数のシンギュレーション済みワークを参照するための方法および装置であって、水平方向参照オペレーションおよび鉛直方向参照オペレーションの両方に対して単一の参照プレートが使用されることを可能にする、方法および装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷オペレーションの期間中に複数のシンギュレーション済みワークを支持するためのツーリングであって、前記ツーリングは、複数のタワーを備え、各タワーは、ある軸に沿って延在し、水平な向きにおいて複数の前記ワークのそれぞれのワークを支持するように構成され、各タワーは、
ボディと、
ヘッドであって、前記ヘッドの遠位端部に設けられた支持表面を有し、それぞれの前記ワークを支持するように構成され、前記支持表面は、前記軸に対して垂直な面内で前記ボディに対して変位可能である、ヘッドと、
を備え、
前記ボディは、圧縮空気を受け入れ、前記ヘッドに対して持上げ力を印加して前記ボディに対して前記軸方向に沿って前記ヘッドを移動させるための空気圧入力部を備え、
各タワーは、前記ボディに対して前記ヘッドを選択的にロックするためのロック機構を備える、ツーリング。
【請求項2】
前記ヘッドは、前記軸に沿って延在する細長ステムを備え、前記ボディは、前記軸に沿って前記ステムを摺動的に中に受け入れるように寸法設定された中央アパーチャを有するスリーブを備える、請求項1に記載のツーリング。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記ステムに隣接して前記アパーチャ内に配置された空気軸受を備え、それにより、給気が前記空気軸受に供給された場合に、前記ステムは、前記軸に対して平行に前記空気軸受に対して摺動することができ、前記給気が前記空気軸受に供給されない場合に、前記ステムは、前記空気軸受に対してロックされる、請求項2に記載のツーリング。
【請求項4】
印刷オペレーションの期間中に複数のシンギュレーション済みワークに対して印刷媒体を印刷するためのプリンタであって、請求項1に記載のツーリングを備える、プリンタ。
【請求項5】
水平面内で可動である複数の参照表面を有する参照プレートを備え、各参照表面は、複数の前記シンギュレーション済みワークのうちの1つのシンギュレーション済みワークと接触するように可動であるように配置されて、水平方向参照オペレーションにおいて前記水平面内で前記シンギュレーション済みワーク同士を整列させる、請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記参照プレートは、下面を有し、前記下面は、鉛直方向参照オペレーションにおいて前記シンギュレーション済みワークによって接触され得る、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記参照表面は、それぞれの前記支持表面により支持された前記シンギュレーション済みワークが前記参照プレート中に形成されたそれぞれのアパーチャに進入し得る開構成と、前記アパーチャが前記参照表面により少なくとも部分的に閉じられる閉構成と、の間で、前記水平面内で可動である、請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記参照プレートの前記下面は、前記参照表面が前記閉構成にある場合にのみ、前記鉛直方向参照オペレーションにおいて前記シンギュレーション済みワークによって接触可能である、請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
印刷オペレーションの実施前にプリンタ内で複数のシンギュレーション済みワークを参照する方法であって、前記プリンタは、前記シンギュレーション済みワークを支持するためのツーリングと、水平面内で可動である複数の参照表面を有する参照プレートと、を備え、前記方法は、
i)水平な向きにおいて前記ツーリング上に前記ワークを支持するステップと、
ii)鉛直方向参照オペレーションおよび水平方向参照オペレーションを任意の順序で実施するステップであって、
前記鉛直方向参照オペレーションは、前記参照プレートの下面と接触するように前記支持されたワークを持ち上げ、次いで前記ツーリングをロックして、前記ツーリングのベースから、ロックされた鉛直方向距離において前記支持されたワークを保持することを含み、
前記水平方向参照オペレーションは、前記参照プレート中に形成されたそれぞれのアパーチャ内に前記支持されたワークを持ち上げ、それぞれの支持されたワークと接触するように前記水平面内で前記参照表面を移動させることを含む、ステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記ツーリングは、請求項1に記載の前記ツーリングを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記参照表面は、前記支持されたワークがそれぞれの前記アパーチャに進入し得る開構成と、前記アパーチャが前記参照表面により少なくとも部分的に閉じられる閉構成と、の間で、前記水平面内で可動である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記鉛直方向参照オペレーションは、前記参照プレートの前記下面と接触するように前記支持されたワークを持ち上げる前に、前記参照表面を前記閉構成へと移動させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水平方向参照オペレーションは、それぞれの前記アパーチャ内に前記支持されたワークを持ち上げる前に、前記参照表面を前記開構成へと移動させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記鉛直方向参照オペレーションは、前記参照プレートの前記下面と接触するように前記支持されたワークを逐次的に持ち上げることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記支持されたワークを前記参照プレートから離すために、前記鉛直方向参照オペレーションの後に前記ツーリングを下げるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷オペレーションの期間中に複数のシンギュレーション済みワークを支持するためのツーリングと、印刷オペレーションの期間中に複数のシンギュレーション済みワークの上に印刷媒体を印刷するためのプリンタと、印刷オペレーションの実施前にプリンタ内で複数のシンギュレーション済みワークを参照する方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用スクリーン印刷機は、典型的には、例えばはんだペースト、銀ペースト、または導電性インクなどの導電性印刷媒体を、例えばステンシル(例えばステンレス鋼などのパターニングされた固体材料である)、またはエマルジョンでコーティングされたメッシュ材料であるスクリーンなどの、薄平坦層またはマスクにおけるアパーチャパターンを介して塗布することによって、例えば回路基板などの1つまたは複数の平坦状ワークの上に導電性印刷媒体を塗布する。本発明は、スクリーン印刷およびステンシル印刷の両者に対して等しく適用可能であり、便宜上の理由により、「ステンシル」という用語は、本文献の以下全体を通じて任意のかかるパターニングされたマスクを指すために使用される。印刷媒体は、アングルブレードまたはスキージを使用して塗布される。同機械は、ワークに対して、例えば膠剤または他の接着剤などの一定の非導電性媒体を印刷するためにも使用され得る。
【0003】
単一の印刷オペレーションにおいて複数の個別の「シンギュレーション済み」ワークを印刷する場合に、ワーク同士がそれらの面内で、すなわち標準的な印刷機における水平面内で、整列するように許容しながら、各ワークを個別に支持することが必要となる。典型的には、鉛直方向すなわちZ方向において支持部を参照することも必要となる。
【0004】
シンギュレーション済みワークを支持するためのシステムが、例えば特許文献1から知られている。このシステムは、複数のタワーを使用し、鉛直方向可動ツーリングテーブルの上部にアレイ状に配置された各シンギュレーション済みワークに対して、1つのタワーが用いられる。各タワーは、遠位端部にヘッドセクションを有し、このヘッドセクションは、タワーの他の部分に対して水平面内で移動され得る。この移動は、水平方向参照オペレーションの期間中に別個の水平方向参照プレートの作動(「アクティブサラウンド」としてもしばしば知られる)によって生じる。さらに、各タワーは、Z方向においてロック可能に変形可能である。Z方向参照を実現するために、鉛直方向参照オペレーションが実施され、このオペレーションにおいて、タワーは、ツーリングテーブルにより上昇されて、鉛直方向参照プレート(「上部参照プレート」またはTRPとしてしばしば知られる)の下面に係合し、変形し、次いで参照されたZ高さにロックされる(「Zロック」としてしばしば知られる)。この上部参照プレートは、後の印刷オペレーションに干渉しないように、ツーリングから離れるように移動される必要があることは明白である。
【0005】
このシステムは、良好に機能する一方で、いくつかの欠点が存在する。具体的には、TRPは、かなりの規模となり得る全タワーによる総上方力を吸収し得る大型の剛性構造体である必要がある。例えば、各タワーが、最大で約1kgの上方力を印加する場合がある。ひいては、これにより、上部参照プレートをタワー上方の参照位置へとおよび参照位置から移動させるためには、比較的大型の構成要素が必要となる。さらに、このZロックシステムは、印刷オペレーションの期間中にスキージにより印加される圧力に起因する約3kg~5kgの下方力に耐えるために各タワーを保持しなければならない。したがって、これらの構成要素のサイズおよび重量は、大きいため、信頼性または精度に対して悪影響を及ぼすことなくこれらのサイズおよび重量を低減することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの問題を克服することを目的とし、重量およびサイズが大幅に低減されたツーリングシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、以下の2つの様式で実現される。
i)タワーのための新しいタイプのZ作動ロック機構を提案することにより、重量、サイズ、および生成されるZ力を大幅に低減する。
ii)上部参照のためにアクティブサラウンドを利用することにより、別個の上部参照プレートの必要性を完全に解消する。
【0009】
このようにして、単一の参照プレートが、水平方向参照オペレーションおよび鉛直方向参照オペレーションの両方に対して利用され得る。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、印刷オペレーションの期間中に複数のシンギュレーション済みワークを支持するためのツーリングが提供される。このツーリングは、複数のタワーを備え、各タワーは、ある軸に沿って延在し、水平な向きにおいて複数のワークの中の各ワークを支持するように構成され、各タワーは、
ボディと、
ヘッドであって、支持表面が、ヘッドの遠位端部に設けられ、各ワークを支持するように構成され、支持表面が、軸に対して垂直な面内でボディに対して変位可能である、ヘッドと、
を備え、
ボディは、圧縮空気を受け入れ、ヘッドに対して持上げ力を印加してボディに対して前出の軸方向に沿ってヘッドを移動させるための空気圧入力部を備え、
各タワーは、ボディに対してヘッドを選択的にロックするためのロック機構を備える。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、印刷オペレーションの期間中に複数のシンギュレーション済みワークに対して印刷媒体を印刷するためのプリンタであって、第1の態様のツーリングを備える、プリンタが提供される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、印刷オペレーションの実施前にプリンタ内で複数のシンギュレーション済みワークを参照する方法であって、プリンタは、シンギュレーション済みワークを支持するためのツーリングと、水平面内で可動である複数の参照表面を有する参照プレートと、を備え、この方法は、
i)水平な向きにおいてツーリング上にワークを支持するステップと、
ii)鉛直方向参照オペレーションおよび水平方向参照オペレーションを任意の順序で実施するステップであって、
鉛直方向参照オペレーションが、参照プレートの下面と接触するように支持されたワークを持ち上げ、次いでツーリングをロックして、ツーリングのベースから、ロックされた鉛直方向距離において支持されたワークを保持することを含み、
水平方向参照オペレーションが、参照プレート中に形成されたそれぞれのアパーチャ内に支持されたワークを持ち上げ、それぞれの支持されたワークと接触するように水平面内で参照表面を移動させることを含む、ステップと、
を含む。
【0013】
本発明の他の具体的な態様および特徴は、添付の特許請求の範囲に示される。
【0014】
以下、添付の図面(縮尺通りではない)を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】参照プレートの下方に位置する、本発明の一実施形態によるツーリングの概略側面断面図である。
【
図2A】鉛直方向参照オペレーションの期間中の様々な段階のうちの1つにおけるタワーの概略側面断面図である。
【
図2B】鉛直方向参照オペレーションの期間中の様々な段階のうちの1つにおけるタワーの概略側面断面図である。
【
図2C】鉛直方向参照オペレーションの期間中の様々な段階のうちの1つにおけるタワーの概略側面断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3C】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3D】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3E】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3F】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3G】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3H】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3I】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3J】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3K】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3L】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3M】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3N】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3O】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3P】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3Q】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3R】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【
図3S】本発明の一実施形態による参照方法における1つの段階の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、本発明の一実施形態が概略的に示される。プリンタ1が、ツーリング2を取り付けられた状態で示され、このツーリング2は、プリンタ1の上昇テーブル3上に支持される。明確には図示しないが、したがってツーリング2は、プリンタ1の印刷領域の下方に位置し、それによりステンシルは、ツーリング2の上方に位置し、印刷オペレーションの期間中に印刷ヘッドのスキージによる作用を受け得ることが理解されよう。使用時には(および当技術においては本質的に周知であるように)、複数の未印刷ワーク(
図1には図示せず)が、キャリア(図示せず)中のプリンタ1に進入して、ツーリング2に重畳し得る。次いで、上昇テーブル3が、鉛直方向において上方に(すなわち図示する正のZ方向に対して平行に)駆動されて、キャリアから未印刷ワークを上昇させ、印刷オペレーションのためにステンシルと接触させる。印刷オペレーションの完了後に、上昇テーブル3は、次いで下降されて、プリンタ1からのさらなる搬送のためにステンシルから離れるようにおよびキャリアへと印刷済みワークを移動させて戻す。
【0017】
ツーリング2は、複数の鉛直方向に向けられたタワー4を備える。すなわち、各タワーは、Z軸方向に対して平行に延在する。各タワー4は、複数のワークの中のそれぞれのワーク(図示せず)を水平な向きに支持するように構成される。各タワー4は、ヘッド5およびボディ7を備え、ボディ7は、ヘッド5を支持する。ボディは、ツーリング2のベース8の上に支持され、このベース8は、すべてのタワー4に共有されるものである。ヘッド5は、その遠位端部にそれぞれ支持表面6を有し、この支持表面6は、それぞれワークを支持するように構成される。支持表面6は、軸に対して垂直な面内で、すなわち図示する水平X-Y面に対して平行な面内で、ボディ7に対して変位可能である。この変位可能性は、様々な方法で実現し得る。例えば、前述の特許文献1では、支持表面6は、例えばゴム材料または他のエラストマー材料などの弾性変形可能材料を介してタワーに対して連結される。以降でさらに詳細に説明されるように、この変位可能性は、支持表面6およびその各ワークが、水平参照オペレーションの期間中に参照プレート11により「ニュートラル」X-Y位置から離れるように変位され、次いで水平参照オペレーション後に参照プレート11が係合解除されたときには、このニュートラル位置へと復帰することを可能にする。このツーリング2により、支持表面6は、例えば弾性変形可能材料(図示せず)を介してヘッド5に対して連結されることが可能となり、または当業者には明らかなように、代替的な構成(例えば弾性変形可能材料ではなくばねを使用したものなど)を実現することが可能となる。
【0018】
さらに、ヘッド5は、Z軸に対して平行な方向において、すなわち鉛直方向においてボディ7に対して可動である。ヘッド5のこの鉛直方向移動を制御するために、ボディ7は、圧縮空気を受領しヘッドに対して持上げ力を印加することによりヘッド5をボディ7に対して鉛直方向に上方に移動させるための、空気圧入力部を備える。圧縮空気は、ベース8内に設けられた空気チャネル9を経由して各タワー4のボディ7へと送られる。空気チャネル9は、例えばポンプ(図示せず)などの空気圧供給源10に対して連結される。このようにすることで、以降においてさらに詳細に説明されるように、鉛直方向参照オペレーションの期間中に、空気が、各タワー4へ供給され、それにより
図1に示すように各ヘッド5が参照プレート11の下面と接触するように持ち上げられる。また、各タワー4は、ボディ7に対してヘッド5を選択的にロックするためのロック機構(
図1には図示せず)を備える。このロック機構は、
図1に示す位置において適用されて、参照プレート11の下面により設定される鉛直方向参照位置に各タワー4のヘッド5をロックする。それにより、以降においてさらに説明されるように、ヘッド5は、タワー4および参照プレート11が離れるように移動された場合に、この位置に留まる。
【0019】
図1には図示しないが、各タワーは、本質的に当技術において知られているような、ゆえに本明細書においては詳細には説明しないが、例えば真空源または比較的低圧源などの、支持表面6上にワークを固着するための手段をさらに備えてもよい。
【0020】
図2A~
図2Cは、鉛直方向参照オペレーションの期間中の様々な段階におけるタワー4の概略側面断面図を示し、本発明の一実施形態によるロック機構を示す。図示するように、この実施形態では、ヘッド5は、タワー4の軸に沿ってすなわちZ軸に対して平行に延在する細長ステムを備え、支持表面6は、この細長ステムの最上端部に位置する。ボディ7は、この軸に沿ってステムを摺動的に中に受け入れるように寸法設定された中央アパーチャを有するスリーブを備える。空気圧供給源10(
図1を参照)からの圧縮空気は、空気圧ポート(図示せず)を経由して、ステムの下方においてスリーブの下部に位置するリフト空洞部12内へと選択的に導入され得る。空気軸受13が、ステムに隣接してアパーチャ内に設けられる。これにより、給気が別個の空気通路(図示せず)を経由して空気軸受に供給されると、ステムと空気軸受との間の摩擦力が低下し、それによって、ステムは、軸に対して平行に空気軸受13に対して摺動することができる。給気が、空気軸受13へ供給されない場合には、ステムは、空気軸受13に対してロックされる。さらに詳細には、スリーブは、空気軸受13に対する給気がない場合に、ステムが空気軸受13によりしっかり保持されるように、寸法設定される。しかし、空気が空気軸受13に供給されると、スリーブは、若干外方へと変形されてステムの移動を可能にし、かようにして作動された空気軸受13が、摩擦力を低下させるまたは実質的に消滅させる。その結果、ヘッド5は、リフト空洞部12を介して非常に小さい上方力を印加するだけで持ち上げられ得る。空気軸受13への給気が再び解消されると、スリーブは収縮し、ステムは空気軸受およびしたがってスリーブに対してロックされる。
【0021】
図2Aでは、ヘッド5は、ボディ7に対する鉛直方向移動の下限の位置にまたはその付近において図示される。支持表面6上に支持されたワークWが、参照プレート11の下に載置される。
図2Bは、リフト空洞部12および空気軸受13の両方に対して空気を供給することによりヘッド5を持ち上げた後の、同タワー4を示す。ヘッド5は、上方へと「浮動」して、最終的にワークWは、参照プレート11の下面に接触する。この時点において、空気軸受13に対する給気は解消されて、ボディ7に対してヘッド5がロックされ、さらに任意には、リフト空洞部への給気もまた解消され得る。
図2Cに示すように、参照プレート11がワークWから離れるように移動されると、ヘッド5はそのロック位置に留まる。
【0022】
持上げばね(既知のシステムにおけるような)を使用するのではなく、リフト空洞部12に対して給気を供給することによる持上げ圧力の利用により、一定の上方力が維持される。これにより、設計の期間中においてばねの最大値/最小値を計算に入れる必要性が解消され、さらには参照プレートが支持する必要がある最大力が軽減される。したがって、参照プレート11は、従来の上部参照プレートと比較した場合に、大幅により薄くおよびしたがってより軽量にすることが可能になる。以降においてさらに詳細に説明するように、この改良により、鉛直方向参照オペレーションおよび水平方向参照オペレーションの両方について、共通の比較的薄い参照プレートを使用することが可能になる。
【0023】
さらに、上記のような柔軟なボディを使用することにより、高い機械加工公差の必要性が解消されるという追加的な利点を得ることができる。
【0024】
かかるタワーの設計の自由度は高い。例えば、ステムは、正方形断面を有することが可能であり、その場合には、空気軸受は、平坦状であることによりステムの少なくとも2つの対向側部と連続状をなすことが可能となる。代替的には、例えば、ステムは、円形断面を有することが可能であり、その場合には、空気軸受は、ステムを完全に囲む環状であってもよい。
【0025】
図2A~
図2Cに示すものと別の点において非常に類似した代替的な一実施形態では、スリーブは、空気軸受13に対する給気がない場合に(または代替的には空気軸受13に対して正の空気圧が印加される期間中に)、空気軸受13とステムとの間の隙間が維持されて、空気軸受13およびステムの相対移動が可能になるように、寸法設定され得る。その後の空気軸受13に対する負圧の印加により、空気軸受13は座屈して、空気軸受13に対してステムがロックされる。
【0026】
さらなる代替的な一実施形態では、別個のロック構成要素が設けられてもよく、これは負圧を印加すると作動可能となる。
【0027】
図3A~
図3Sは、本発明の一実施形態による参照方法における各段階を概略的に示す。さらに詳細には、
図3A~
図3Cは、任意の参照の実施前におけるツーリングおよび参照プレートを示し、
図3D~
図3Jは、鉛直方向参照オペレーションを示し、
図3K~
図3Pは、印刷オペレーション前の水平方向参照オペレーションを示し、
図3Q~
図3Sは、印刷オペレーション後の装置を示す。明瞭化のために、これらの図面は、ツーリング2および参照プレート11のみを示し、具体的には、ツーリング2を支持する上昇テーブル、ワークWをプリンタに進入させるキャリア、ならびに印刷オペレーションの実施に必要なステンシルおよび印刷ヘッドが、これらの図面からは省略される。
【0028】
図3A~
図3Cは、任意の参照の実施前におけるツーリングおよび参照プレートを、それぞれ側面断面図、平面図、および拡大平面図において示す。図示するように、ツーリング2は、4×2アレイで構成された8つのタワー4を備える。この場合に、各タワー4の支持表面6は、前述のように例えばゴムなどの弾性変形可能材料(図示せず)を介してそれぞれのヘッド5に対して連結される。参照プレート11は、前回よりもさらに詳細に示され、ここでは参照プレート11は、固定具16により連結された上方プレート14および下方プレート15を備えるのが分かる。これにより、上方プレート14および下方プレート15は、平行な水平(すなわちX-Y面内に位置する)構成に保持されるが、この水平(X-Y)面内で相互に対して移動し得る。より具体的には、下方プレート15は、X軸およびY軸に対して約45°で配置された水平方向参照方向HR(
図3Bに図示)に対して平行に移動され得る。当分野において本質的に知られているように、アクチュエータ(図示せず)が、上方プレート14が定置状態に戻る一方で、下方プレート15を方向HRにおよびその逆方向に移動させるために設けられ得る。ツーリング2が持ち上げられた後に、各タワー4上に支持されたワークWが中に受け入れられるように構成および寸法設定された、参照プレート11を貫通してすなわち上方プレート14および下方プレート15の両者を貫通して延在するアパーチャ17が、タワー4上のワークWの適度なミスアラインメントを許容するのに十分な隙間を有しつつ形成される。したがって、下方プレート15が方向HRに移動されると、図示するようなアパーチャ17の右側および下方のエッジは、それぞれのアパーチャ17の内方に移動して、その開口面積を縮小することが分かる。したがって、これらのエッジは、参照表面18として機能し、それにより、ワークWがアパーチャ17内に受け入れられた場合に、これらのエッジが方向HRに移動すると、参照表面18は、ワークWに接触し、図示するようにワークWをアパーチャ17の左上角へと、すなわち水平方向参照位置へと付勢する。
図3Cにおいてより明確に示すように、ここでは、参照表面18は、アパーチャ17の下方右側にて下方プレート15上に、上方プレート14中に形成されたアパーチャ中に延在する上方突出「L字形状」壁部を設けることによって、Z方向においてより広くなる。明瞭化のために、以降の説明では、「閉鎖」という用語は、下方プレート15が方向HRへ移動してアパーチャ17の開口面積を縮小させることを説明するために用いられ、「開口」という用語は、下方プレート15がHRとは逆の方向に移動してアパーチャ17の開口面積を拡大させることを説明するために用いられる。
【0029】
任意には、上方プレート14および下方プレート15の少なくとも一方が、柔軟であってもよく、または水平面上における小規模な軸外並進移動を許容してもよい。この柔軟性は、アパーチャ寸法および基板寸法の両方における小規模な差異を許容するために利用され得る。
【0030】
図3D~
図3Jは、鉛直方向参照オペレーションの各段階を示す。最初に、
図3Dおよび
図3Eに示すように、ツーリング2が下げられた状態において(および
図3Aにおいても図示されるように)、アパーチャ17は、方向HRに参照表面18を移動させることにより閉じられる。
図3Dにおいて見ることのできるワークWは、アパーチャを通して視認可能であるが、アパーチャ内には受け入れられない点に留意されたい。
【0031】
次いで、
図3Fに示すように、ツーリング2は、上昇テーブル(図示せず)を参照プレート11のより近くに「参照前位置」へと持ち上げることにより上昇される。
【0032】
次に、
図3G~
図3Jに示すように、ワークWは、ボディ7に対して各タワー4のヘッド5を上昇させることにより、すなわちリフト空洞部12に空圧作用空気を供給することにより(
図2を参照)、参照プレート11まで持ち上げられる。ワークWが参照プレート11の下面に接触すると、ワークWのさらなる持上げが阻止される。
図3Gおよび
図3Hに示すように、この持上げは、任意には逐次的に実施されてもよく、
図3Gでは、最も左側のワークWのみが持ち上げられており、一方で
図3Hでは、最も左側の2つのワークWが持ち上げられており、最終的にはすべての支持されたワークWが同様に持ち上げられる。かかる逐次的な持上げは、例えばニューマティックロジック、連続連結されたエアフィード、または本質的に周知である他の制御手段などを使用して、タワー4への空気圧供給の適切な制御によって制御され得る。逐次的な持上げは、参照プレート11が受ける最大上方力積を軽減するために有利となり得る。
図3Iに示すように、ワークWは、参照プレート11の下面と接触させられ、さらに詳細には参照表面18の近傍において下方プレート15の下面に接触し、これによりアパーチャ17は閉鎖される。この接触は、ワークWを鉛直方向において参照するように機能する。すべてのワークWがこのようにして参照されると、すべてのタワー4のロック機構が、例えば空気軸受13に対する給気を解消することにより(
図2を参照)、または空気軸受13に対して負圧を印加することにより、係合解除される。次いで、
図3Jに示すように、ツーリング2は、上昇テーブルの移動により下げられてもよく、これによりワークWは、参照プレート11とはもはや接触しなくなる。
【0033】
図3K~
図3Pは、印刷オペレーションの前における続く水平方向参照オペレーションの各段階を示す。
図3Kに示すように、参照表面18は、アパーチャ17を開くように移動される。次いで、
図3Lおよび
図3Mに示すように、ツーリング2は、参照プレート11に向かって持ち上げられ、それによりワークWは、アパーチャ17に接近し、次いでこれらのアパーチャ17内に受け入れられる。前出の鉛直方向参照により、ワークWは、同一の再現可能な距離だけ参照プレート11から上方に突出する。ワークWが、開いたアパーチャ17内に完全に受け入れられると(
図3Nを参照)、
図3O、
図3Pに示すように、参照表面18は、方向HRに移動してアパーチャ17を閉じる。前述のように、これは、ワークWを水平方向において参照する役割を果たす。ワークWが鉛直方向および水平方向の両方において参照されると、ワークWは印刷オペレーションを受けることが可能となる。
【0034】
図3Q~
図3Sは、印刷オペレーション後の装置を示す。
図3Q、
図3Rに示すように、印刷後に、参照表面18は、アパーチャ17を開くように移動する。最終的に、
図3Sに示すように、ツーリング2は、上昇テーブルの移動により下げられてもよく、印刷済みワークWが、キャリアへ戻されることが可能になる。
【0035】
上述の実施形態はもっぱら例示的なものであり、本発明の範囲内に含まれる他の可能性および代替形態が当業者には明らかになろう。例えば、上記で説明したように、鉛直方向参照は水平方向参照の前に実施されるが、タワーが参照された水平方向位置に支持表面をロックするための手段を備える場合には、これは厳密には必須ではない。
【符号の説明】
【0036】
1 プリンタ
2 ツーリング
3 上昇テーブル
4 タワー
5 ヘッド
6 支持表面
7 ボディ
8 ベース
9 空気チャネル
10 空気圧供給源
11 参照プレート
12 リフト空洞部
13 空気軸受
14 上方プレート
15 下方プレート
16 固定具
17 アパーチャ
18 参照表面
HR 水平方向参照方向
W ワーク
【外国語明細書】