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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006652
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】石膏脱水システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/048 20060101AFI20240110BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20240110BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B01D33/14 ZAB
B01D53/50 245
B01D33/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107748
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】星 英男
(72)【発明者】
【氏名】佐野 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】鷹本 靖欣
【テーマコード(参考)】
4D002
4D116
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA01
4D002DA05
4D002DA12
4D002EA13
4D002FA03
4D116AA12
4D116BB11
4D116BC62
4D116DD01
4D116FF13B
4D116GG12
4D116KK06
4D116QA02C
4D116QA02D
4D116QA55C
4D116QA55F
4D116QC04
4D116QC23A
4D116QC32A
4D116RR01
4D116RR03
4D116RR14
4D116SS07
4D116TT06
4D116VV11
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】 メンテナンス性を向上でき、小型化が図れる石膏脱水システムを提供する。
【解決手段】 排煙脱硫装置から排出される石膏スラリーを脱水するための石膏脱水システムであって、石膏スラリーを第1方向に沿って第1方向の一方側に向かって搬送するように構成された第1搬送ベルトを含む第1石膏分離機と、第1方向に交差する第2方向において第1石膏分離機から離れた位置に配置された第2石膏分離機であって、石膏スラリーを第1方向に沿って第1方向の上記一方側に向かって搬送するように構成された第2搬送ベルトを含む第2石膏分離機と、第1石膏分離機の第2方向における第2石膏分離機側に配置された少なくとも1つの第1計測機器と、第2石膏分離機の第2方向における第1石膏分離機側に配置された少なくとも1つの第2計測機器と、第1石膏分離機と第2石膏分離機との間に第1方向に沿って延在する第1床面を有する第1歩廊と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排煙脱硫装置から排出される石膏スラリーを脱水するための石膏脱水システムであって、
前記石膏スラリーを第1ろ布上に載せた状態で第1方向に沿って前記第1方向の一方側に向かって搬送するように構成された第1搬送ベルトを含む第1石膏分離機と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記第1石膏分離機から離れた位置に配置された第2石膏分離機であって、前記石膏スラリーを第2ろ布上に載せた状態で前記第1方向に沿って前記第1方向の前記一方側に向かって搬送するように構成された第2搬送ベルトを含む第2石膏分離機と、
前記第1石膏分離機の状態を計測するための少なくとも1つの第1計測機器であって、前記第1石膏分離機の前記第2方向における前記第2石膏分離機側に配置された少なくとも1つの第1計測機器と、
前記第2石膏分離機の状態を計測するための少なくとも1つの第2計測機器であって、前記第2石膏分離機の前記第2方向における前記第1石膏分離機側に配置された少なくとも1つの第2計測機器と、
前記第1石膏分離機と前記第2石膏分離機との間に前記第1方向に沿って延在する第1床面を有する第1歩廊と、を備える、
石膏脱水システム。
【請求項2】
前記第1床面の上方に前記第1方向に沿って延在する第2床面を有する第2歩廊と、
前記第1床面と前記第2床面とを繋ぐ連絡通路と、をさらに備える、
請求項1に記載の石膏脱水システム。
【請求項3】
前記第1石膏分離機から蒸気を排出するための第1蒸気排出ラインと、
前記第2石膏分離機から蒸気を排出するための第2蒸気排出ラインであって、前記第1蒸気排出ラインに下流端が接続された第2蒸気排出ラインと、
前記第1蒸気排出ラインの前記第2蒸気排出ラインとの接続位置よりも下流側に接続された吸引装置と、
前記第1蒸気排出ラインの前記第2蒸気排出ラインとの前記接続位置よりも上流側を流れる前記蒸気の流量を調整可能に構成された第1蒸気流量調整弁と、
前記第2蒸気排出ラインを流れる前記蒸気の流量を調整可能に構成された第2蒸気流量調整弁と、を備え、
前記第2床面は、点検者が前記吸引装置、前記第1蒸気流量調整弁及び前記第2蒸気流量調整弁にアクセス可能に構成された、
請求項2に記載の石膏脱水システム。
【請求項4】
前記排煙脱硫装置から前記第1石膏分離機に前記石膏スラリーを送るための第1石膏スラリー供給ラインと、
前記排煙脱硫装置から前記第2石膏分離機に前記石膏スラリーを送るための第2石膏スラリー供給ラインであって、前記第1石膏スラリー供給ラインに上流端が接続された第2石膏スラリー供給ラインと、
前記第1石膏スラリー供給ラインの前記第2石膏スラリー供給ラインとの接続位置よりも下流側を流れる前記石膏スラリーの流量を調整可能に構成された第1石膏スラリー流量調整弁と、
前記第2石膏スラリー供給ラインを流れる前記石膏スラリーの流量を調整可能に構成された第2石膏スラリー流量調整弁と、をさらに備え、
前記第2床面は、点検者が前記第1石膏スラリー流量調整弁及び前記第2石膏スラリー流量調整弁にアクセス可能に構成された、
請求項2又は3に記載の石膏脱水システム。
【請求項5】
前記第1石膏分離機は、前記第1搬送ベルトを駆動させるための第1モータであって、前記第1搬送ベルトの下流側の端部、且つ、前記第1石膏分離機の前記第2方向における前記第2石膏分離機とは反対側に配置された第1モータをさらに含み、
前記第2石膏分離機は、前記第2搬送ベルトを駆動させるための第2モータであって、前記第2搬送ベルトの下流側の端部、且つ、前記第2石膏分離機の前記第2方向における前記第1石膏分離機とは反対側に配置された第2モータをさらに含む、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の石膏脱水システム。
【請求項6】
前記第1床面は、前記第1搬送ベルト及び前記第2搬送ベルトよりも上方に位置している、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の石膏脱水システム。
【請求項7】
前記第1方向における前記第1搬送ベルトの上流端の位置を0%位置とし、
前記第1方向における前記第1搬送ベルトの下流端の位置を100%位置とした場合に、
前記第1方向における前記第2搬送ベルトの上流端の位置は、-10%~10%の範囲内に位置し、
前記第1方向における前記第2搬送ベルトの下流端の位置は、90%~110%の範囲内に位置する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の石膏脱水システム。
【請求項8】
前記第1石膏分離機は、前記第1搬送ベルトの下流端を囲むシュート部をさらに含む、
前記シュート部は、
前記第1搬送ベルトから前記第1方向に隙間を挟んだ位置において前記第2方向に沿って延在するパネルであって、前記パネルを貫通する開口が形成されたパネルと、
前記開口を開閉可能なように前記パネルに取り付けられた扉であって、前記扉を前記第1搬送ベルトから遠ざかる方向に引くことで前記開口を開放するように構成された扉と、を含み、
前記石膏脱水システムは、
前記パネルの前記第1搬送ベルトに面する第1面に上縁が取り付けられて、前記開口を閉塞するように垂れ下がる可撓性を有する第1シート部材をさらに備える、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の石膏脱水システム。
【請求項9】
前記第1シート部材は、前記シュート部の外部から前記シュート部に囲われた内部空間を視認可能な光透過性の材料により構成された、
請求項8に記載の石膏脱水システム。
【請求項10】
前記シュート部は、前記第1石膏分離機が設置された基礎床面を鉛直方向に沿って貫通する床面開口に一端が接続された、
請求項8に記載の石膏脱水システム。
【請求項11】
前記第1石膏分離機は、前記第1搬送ベルトを支持する複数の脚部をさらに含み、
前記石膏脱水システムは、
前記複数の脚部のうち、少なくとも二つの脚部に掛け渡されて前記少なくとも二つの脚部に上縁が取り付けられた可撓性を有する第2シート部材をさらに備える、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の石膏脱水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排煙脱硫装置から排出される石膏スラリーを脱水するための石膏脱水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばボイラなどの燃焼機関から排出される排ガスには、SOx(硫黄酸化物)などの大気汚染物質が含まれている。排ガスに含まれるSOxを低減する脱硫装置として、内部に導入された排ガスと、内部に設置されたスプレーノズルにより噴霧される石灰石スラリー(洗浄液)と、を接触させることで、排ガス中のSOxを洗浄液に吸収させる吸収塔が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、噴霧された洗浄液により、吸収塔内で除去された排ガス中のSOxは洗浄液中のカルシウムと反応し、中間生成物として亜硫酸カルシウムになり、吸収塔に供給される空気により石膏に酸化され最終生成物(石膏)となることが開示されている。また、特許文献1には、抜出しポンプにより吸収塔の外部に抜き出された洗浄液が石膏分離機に送られ、上記最終生成物が粉体の石膏として回収されることが開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、一般的に、一系統の燃焼機関につき、一つの吸収塔と、一つの常用の石膏分離機と、一つの予備の石膏分離機とが設けられることが言及されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-157272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に、常用の石膏分離機と予備の石膏分離機は、同じ設計思想により作成されており、常用の石膏分離機と予備の石膏分離機は、石膏分離機を点検するための点検用歩廊が各石膏分離機に対して同じ位置に配置されている。石膏分離機や点検用歩廊は長手方向の長さが大きく、2台の石膏分離機と2台の点検用歩廊を設置するには広い建屋面積が必要となるという問題がある。また、2台の点検用歩廊を用いて2台の石膏分離機の点検を行うには、2台の点検用歩廊を相互に行き来することになり、手間や時間がかかるという問題もある。
【0007】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、メンテナンス性を向上でき、小型化が図れる石膏脱水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る石膏脱水システムは、
排煙脱硫装置から排出される石膏スラリーを脱水するための石膏脱水システムであって、
前記石膏スラリーを第1ろ布上に載せた状態で第1方向に沿って前記第1方向の一方側に向かって搬送するように構成された第1搬送ベルトを含む第1石膏分離機と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記第1石膏分離機から離れた位置に配置された第2石膏分離機であって、前記石膏スラリーを第2ろ布上に載せた状態で前記第1方向に沿って前記第1方向の前記一方側に向かって搬送するように構成された第2搬送ベルトを含む第2石膏分離機と、
前記第1石膏分離機の状態を計測するための少なくとも1つの第1計測機器であって、前記第1石膏分離機の前記第2方向における前記第2石膏分離機側に配置された少なくとも1つの第1計測機器と、
前記第2石膏分離機の状態を計測するための少なくとも1つの第2計測機器であって、前記第2石膏分離機の前記第2方向における前記第1石膏分離機側に配置された少なくとも1つの第2計測機器と、
前記第1石膏分離機と前記第2石膏分離機との間に前記第1方向に沿って延在する第1床面を有する第1歩廊と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、メンテナンス性を向上でき、小型化が図れる石膏脱水システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る石膏脱水システムの第1床面よりも上方から視た概略図である。
図2】一実施形態に係る石膏脱水システムが設置された建屋の第1方向に沿った概略図である。
図3】一実施形態における複数の石膏分離機の構成を説明するための説明図である。
図4】一実施形態における第1歩廊、第2歩廊、連絡通路及び昇降路の第1方向に沿った概略図である。
図5】一実施形態における第1歩廊、第2歩廊、連絡通路及び昇降路の上方から視た概略図である。
図6】一実施形態に係る石膏脱水システムが設置された建屋の第1方向に沿った概略図である。
図7】一実施形態に係る石膏脱水システムの第2床面よりも上方から視た概略図である。
図8】一実施形態に係る石膏脱水システムのシュート部近傍の上方から視た概略図である。
図9】一実施形態におけるシュート部を構成するパネルの概略図である。
図10】一実施形態に係る石膏脱水システムのシュート部近傍の第1方向に沿った概略図である。
図11】一実施形態に係る石膏脱水システムのシュート部近傍の第2方向に沿った概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(石膏脱水システム)
図1は、一実施形態に係る石膏脱水システム1の第1床面52よりも上方から視た概略図である。図2は、一実施形態に係る石膏脱水システム1が設置された建屋10の第1方向に沿った概略図である。図3は、一実施形態における複数の石膏分離機3、4の構成を説明するための説明図である。幾つかの実施形態に係る石膏脱水システム1は、排煙脱硫装置2(図3参照)から排出される石膏スラリー(石膏を含む吸収液)を脱水し、石膏を生成するためのものである。
【0013】
(排煙脱硫装置)
排煙脱硫装置2は、エンジンやボイラなどの燃焼装置から排出される排ガスと吸収液とを接触させて、排ガス中の硫黄酸化物(例えば、亜硫酸ガス)を吸収液に吸収させることで、排ガス中から硫黄酸化物を除去するように構成されている。石灰石膏法を用いた排煙脱硫装置2では、例えば石灰石を溶解(分散)させた石灰石スラリーなどのアルカリ成分を含むスラリーを吸収液とし、石膏スラリー(石膏を含む吸収液)が副生される。
【0014】
(第1石膏分離機、第2石膏分離機)
石膏脱水システム1は、図1に示されるように、石膏スラリーを脱水し、石膏とろ液に分離するように構成された複数の石膏分離機3、4を備える。複数の石膏分離機3、4は、第1ろ布31及び第1搬送ベルト32を含む第1石膏分離機3と、第2ろ布41及び第2搬送ベルト42を含む第2石膏分離機4と、を含む。
【0015】
第1搬送ベルト32は、石膏スラリーを第1ろ布31上に載せた状態で、第1方向(図1中左右方向)に沿って第1方向の一方側(図1中左側)に向かって搬送するように構成されている。第1搬送ベルト32の搬送方向である第1搬送方向は、第1方向に沿う方向であり、第1搬送方向の下流側は、第1方向における上記一方側である。
【0016】
第2石膏分離機4は、図1に示されるように、第1方向に交差(図示例では、直交)する第2方向(図1中上下方向)において第1石膏分離機3から離れた位置に配置されている。第2搬送ベルト42は、第2方向において第1搬送ベルト32から離れた位置に配置されている。
【0017】
第2搬送ベルト42は、石膏スラリーを第2ろ布41上に載せた状態で、上記第1方向に沿って第1方向の上記一方側に向かって搬送するように構成されている。第2搬送ベルト42の搬送方向である第2搬送方向は、第1方向に沿う方向であり、第2搬送方向の下流側は、第1方向における上記一方側である。
【0018】
第1石膏分離機3は、図3に示されるように、第1搬送方向の上流側に配置され、回転自在に支持されるように構成された第1上流側ドラム33Aと、第1搬送方向の下流側に配置され、回転自在に支持されるように構成された第1下流側ドラム33Bと、第1下流側ドラム33Bに機械的に接続され、第1下流側ドラム33Bを回転駆動させるように構成された第1モータ34と、をさらに含む。第1下流側ドラム33Bは、第1上流側ドラム33Aよりも第1搬送方向の下流側に配置されている。
【0019】
第1搬送ベルト32は、ゴム材料(可撓性を有する弾性体)を材料とするシートを無端帯状に成形したものである。第1搬送ベルト32は、第1上流側ドラム33A及び第1下流側ドラム33Bに掛け回され、第1上流側ドラム33A及び第1下流側ドラム33Bに張設されている。
【0020】
第1ろ布31は、例えば、ポリエステルやポリプロピレンなどの樹脂を材料とする通気性のあるシートを無端帯状に成形したものである。第1ろ布31は、その長さ方向の一部に第1搬送ベルト32の上面321上に重ねられた被支持部311を有する。被支持部311は、第1搬送ベルト32により第1搬送ベルト32とともに第1搬送方向に沿って走行自在に支持されている。
【0021】
第1モータ34を駆動させることにより、第1上流側ドラム33A及び第1下流側ドラム33Bが回転駆動され、第1搬送ベルト32が周回移動する。第1搬送ベルト32が周回移動することで、第1搬送ベルト32の上面321及び第1ろ布31の被支持部311が第1搬送方向に沿って第1搬送方向の下流側に向かって走行する。
【0022】
第1ろ布31や第1搬送ベルト32には、水分を通過させるための複数の孔が形成されている。第1ろ布31上に載せられた石膏スラリーは、第1搬送ベルト32により第1ろ布31とともに搬送される際に、第1ろ布31や第1搬送ベルト32に形成された複数の孔を水分(ろ液)が通過することで、脱水される。第1ろ布31上において石膏スラリーが脱水されることで生成された石膏Pは、第1搬送ベルト32の下流端から落下することで、第1石膏分離機3の外部に排出される。
【0023】
第2石膏分離機4は、第1石膏分離機3と同様の構成を有する。第2石膏分離機4は、第1石膏分離機3が停止したときに駆動させる第1石膏分離機3の予備機であってもよい。
【0024】
第2石膏分離機4は、図3に示されるように、第2搬送方向の上流側に配置され、回転自在に支持されるように構成された第2上流側ドラム43Aと、第2搬送方向の下流側に配置され、回転自在に支持されるように構成された第2下流側ドラム43Bと、第2下流側ドラム43Bに機械的に接続され、第2下流側ドラム43Bを回転駆動させるように構成された第2モータ44と、をさらに含む。第2下流側ドラム43Bは、第2上流側ドラム43Aよりも第2搬送方向の下流側に配置されている。
【0025】
第2搬送ベルト42は、ゴム材料(可撓性を有する弾性体)を材料とするシートを無端帯状に成形したものである。第2搬送ベルト42は、第2上流側ドラム43A及び第2下流側ドラム43Bに掛け回され、第2上流側ドラム43A及び第2下流側ドラム43Bに張設されている。
【0026】
第2ろ布41は、例えば、ポリエステルやポリプロピレンなどの樹脂を材料とする通気性のあるシートを無端帯状に成形したものである。第2ろ布41は、その長さ方向の一部に第2搬送ベルト42の上面421上に重ねられた被支持部411を有する。被支持部411は、第2搬送ベルト42により第2搬送ベルト42とともに第2搬送方向に沿って走行自在に支持されている。
【0027】
第2モータ44を駆動させることにより、第2上流側ドラム43A及び第2下流側ドラム43Bが回転駆動され、第2搬送ベルト42が周回移動する。第2搬送ベルト42が周回移動することで、第2搬送ベルト42の上面421及び第2ろ布41の被支持部411が第2搬送方向に沿って第2搬送方向の下流側に向かって走行する。
【0028】
第2ろ布41や第2搬送ベルト42には、水分を通過させるための複数の孔が形成されている。第2ろ布41上に載せられた石膏スラリーは、第2搬送ベルト42により第2ろ布41とともに搬送される際に、第2ろ布41や第2搬送ベルト42に形成された複数の孔を水分(ろ液)が通過することで、脱水される。第2ろ布41上において石膏スラリーが脱水されることで生成された石膏は、第2搬送ベルト42の下流端から落下することで、第2石膏分離機4の外部に排出される。
【0029】
(第1計測機器、第2計測機器、第1歩廊)
石膏脱水システム1は、図1に示されるように、第1石膏分離機3の上記第2方向における第2石膏分離機4側に配置された少なくとも1つ(図示例では、複数)の第1計測機器11と、第2石膏分離機4の上記第2方向における第1石膏分離機3側に配置された少なくとも1つ(図示例では、複数)の第2計測機器12と、第1石膏分離機3と第2石膏分離機4との間に上記第1方向に沿って延在する第1床面52を有する第1歩廊51と、を備える。
【0030】
第1計測機器11の各々は、第1石膏分離機3の状態を計測するように構成されている。第1計測機器11は、例えば、第1石膏分離機3に設けられる空圧機器(例えば、空圧バルブ)に作動流体である空気を供給するための第1空気供給流路111に設けられる圧力計112や流量計113などを含んでいてもよい。
【0031】
第2計測機器12の各々は、第2石膏分離機4の状態を計測するように構成されている。第2計測機器12は、例えば、第2石膏分離機4に設けられる空圧機器(例えば、空圧バルブ)に作動流体である空気を供給するための第2空気供給流路121に設けられる圧力計122や流量計123などを含んでいてもよい。
【0032】
図2に示されるように、第1床面52は、第1石膏分離機3及び第2石膏分離機4が設置された基礎床面101よりも鉛直方向における上方に設けられる。建屋10は、基礎床面101を有する。第1床面52は、第1床面52上に立つ点検者が、第1搬送ベルト32の上面321や第2搬送ベルト42の上面421を視認できるように、第1搬送ベルト32の上面321よりも1.5m下方の高さ位置以上の高さ位置に設けられる。
【0033】
第1床面52は、第1床面52上に立つ点検者が第1ろ布31や第2ろ布41の巻き状態や第1ろ布31や第2ろ布41上の石膏の状態を目視確認可能な位置に設けられる。第1計測機器11や第2計測機器12の各々は、第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の間における基礎床面101上に立つ点検者がアクセス可能(例えば、視認可能又は操作可能)な位置に設けられる。例えば、第1計測機器11や第2計測機器12の各々は、基礎床面101からの距離(最短距離)が2m以下の範囲に設けられる。また、第1計測機器11や第2計測機器12の各々は、第1床面52以下の高さ位置に設けられる。
【0034】
図4は、一実施形態における第1歩廊51、第2歩廊55、連絡通路57及び昇降路50の第1方向に沿った概略図である。図5は、一実施形態における第1歩廊51、第2歩廊55、連絡通路57及び昇降路50の上方から視た概略図である。
【0035】
第1歩廊51は、図4に示されるように、基礎床面101上に立設して第1床面52を支持する複数の第1歩廊側脚部53と、第1床面52の第2方向における両端からそれぞれ立設して第1方向に沿って延在する一対の第1手摺部54と、をさらに含む。
【0036】
石膏脱水システム1は、図4図5に示されるように、基礎床面101と第1歩廊51とを繋ぐ昇降路50をさらに備える。点検者は、昇降路50を通り、基礎床面101上から第1床面52上に移動できる。図示される実施形態では、昇降路50は、第1床面52の上記第1方向の上記一方側の端部に一端が接続され、該一端から第1方向の上記一方側に向かって斜め下方に延在している。昇降路50の他端は、基礎床面101に接続されている。昇降路50の点検者が通る床面は、階段状であってもよいし、スロープ状に傾斜していてもよい。
【0037】
第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の間に第1床面52を有する第1歩廊51を設けることで、第1歩廊51が第1石膏分離機3と第2石膏分離機4を点検するための兼用設備となるので、石膏分離機3、4ごとに専用の歩廊を設ける場合に比べて、石膏脱水システム1の小型化が図れる。また、上記の構成によれば、点検者が第1床面52上において第1石膏分離機3および第2石膏分離機4の両方の点検が可能となる。第1石膏分離機3や第2石膏分離機4に対して定期的に点検が行われる。この第1石膏分離機3や第2石膏分離機4に対する定期点検では、点検者が第1床面52上に立つことで、第1ろ布31や第2ろ布41の巻き状態や第1ろ布31や第2ろ布41上の石膏の状態を目視確認することができる。これに対して、上記専用の歩廊を設けた場合には、第1石膏分離機3および第2石膏分離機4の両方の点検をするためには、歩廊間の移動が必要となる。よって、上記の構成によれば、石膏分離機3、4ごとに専用の歩廊を設ける場合に比べて、点検の際の移動距離を低減できるため、石膏脱水システム1のメンテナンス性を向上できる。
【0038】
幾つかの実施形態では、図1に示されるように、第1床面52は、第1搬送ベルト32及び第2搬送ベルト42よりも上方に位置している。すなわち、第1床面52は、第1搬送ベルト32の上面321や第2搬送ベルト42の上面421よりも上方に位置している。
【0039】
第1床面52を第1搬送ベルト32及び第2搬送ベルト42よりも上方に設けることで、第1床面52上に立つ点検者が、第1搬送ベルト32により搬送される石膏スラリーや、第2搬送ベルト42により搬送される石膏スラリーの状態を確認することが容易となる。第1床面52上において石膏スラリーの状態を確認した点検者は、石膏スラリーの状態に応じた対応を迅速にとることができる。よって、上記の構成によれば、石膏脱水システム1のメンテナンス性を向上できる。
【0040】
(第2歩廊)
幾つかの実施形態では、上述した石膏脱水システム1は、図1図4及び図5に示されるように、第1床面52の上方に第1方向に沿って延在する第2床面56を有する第2歩廊55と、第1床面52と第2床面56とを繋ぐ連絡通路57と、をさらに備える。点検者は、連絡通路57を通り、第1床面52上から第2床面56上に移動できる。
【0041】
第2歩廊55及び連絡通路57の各々は、第2方向において第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の間に配置されている。第2床面56は、点検者が第1床面52上を容易に移動できるように、第1床面52よりも2m上方の高さ位置以上の高さ位置に設けられる。第2床面56は、第1床面52よりも上記第1方向の上記一方側とは反対側である他方側に突出して設けられる床面56Aを含んでいてもよい。
【0042】
第2歩廊55は、図4及び図5に示されるように、基礎床面101上又は第1床面52上に立設して第2床面56を支持する複数の第2歩廊側脚部58と、第2床面56の第2方向における両端からそれぞれ立設して第1方向に沿って延在する一対の第2手摺部59と、をさらに含む。
【0043】
図示される実施形態では、連絡通路57は、第2床面56の上記第1方向の上記一方側の端部に一端が接続され、該一端から第1方向の上記一方側に向かって斜め下方に延在している。連絡通路57の他端は、第1床面52に接続されている。連絡通路57の点検者が通る床面は、階段状であってもよいし、スロープ状に傾斜していてもよい。
【0044】
図5に示されるように、連絡通路57の他端は、第1床面52の第2方向における中央に設けられていてもよい。図示される実施形態では、第1床面52は、連絡通路57が設けられた第1方向位置の連絡通路57よりも第2方向の一方側(第1石膏分離機3側)に点検者が第1方向に沿って通行可能な床面52Aを含む。第1床面52は、連絡通路57が設けられた第1方向位置の連絡通路57よりも第2方向の他方側(第2石膏分離機4側)に点検者が第1方向に沿って通行可能な床面52Bを含む。
【0045】
第1床面52の上方に第2床面56を設けることで、第1床面52上だけでなく、第2床面56上からも第1石膏分離機3や第2石膏分離機4の点検が可能となる。また、第1床面52と第2床面56とを繋ぐ連絡通路57を設けることで、点検者が連絡通路57を通じて第1床面52から第2床面56へ容易に移動可能となるので、石膏脱水システム1のメンテナンス性を向上できる。
【0046】
(石膏スラリー供給ライン)
図6は、一実施形態に係る石膏脱水システム1が設置された建屋10の第1方向に沿った概略図である。図7は、一実施形態に係る石膏脱水システム1の第2床面56よりも上方から視た概略図である。幾つかの実施形態では、上述した石膏脱水システム1は、図3及び図7に示されるように、排煙脱硫装置2から第1石膏分離機3に石膏スラリーを送るための第1石膏スラリー供給ライン71と、排煙脱硫装置2から第2石膏分離機4に石膏スラリーを送るための第2石膏スラリー供給ライン72と、をさらに備える。
【0047】
第1石膏スラリー供給ライン71の上流端711は、排煙脱硫装置2に接続され、排煙脱硫装置2から第1石膏スラリー供給ライン71に石膏スラリーが導かれる。第1石膏スラリー供給ライン71の下流端712は、第1ろ布31の被支持部311の上方に設けられる。下流端712に設けられた石膏スラリー供給口から第1ろ布31上に排煙脱硫装置2からの石膏スラリーが供給される。
【0048】
第2石膏スラリー供給ライン72の上流端721は、第1石膏スラリー供給ライン71に接続され、排煙脱硫装置2から第2石膏スラリー供給ライン72に石膏スラリーが導かれる。第2石膏スラリー供給ライン72の下流端722は、第2ろ布41の被支持部411の上方に設けられる。下流端722に設けられた石膏スラリー供給口から第2ろ布41上に排煙脱硫装置2からの石膏スラリーが供給される。
【0049】
(石膏スラリー流量調整弁)
上述した石膏脱水システム1は、図3及び図7に示されるように、第1石膏スラリー供給ライン71の第2石膏スラリー供給ライン72との接続位置P1よりも下流側を流れる石膏スラリーの流量を調整可能に構成された第1石膏スラリー流量調整弁73と、第2石膏スラリー供給ライン72を流れる石膏スラリーの流量を調整可能に構成された第2石膏スラリー流量調整弁74と、をさらに備える。なお、石膏脱水システム1は、第1石膏スラリー供給ライン71の第2石膏スラリー供給ライン72との接続位置P1よりも上流側に設けられる、石膏スラリーを第1石膏スラリー供給ライン71の下流側に送るように構成された石膏スラリー用のポンプ713をさらに備えていてもよい。
【0050】
上述した第2床面56は、図6及び図7に示されるように、点検者が第1石膏スラリー流量調整弁73及び第2石膏スラリー流量調整弁74にアクセス可能に構成されている。第1石膏スラリー流量調整弁73や第2石膏スラリー流量調整弁74は、第2床面56に立つ点検者が、手動操作が可能な範囲内に設けられる。例えば、第1石膏スラリー流量調整弁73や第2石膏スラリー流量調整弁74の各々は、第2床面56からの最短距離が0.5m以下の範囲に設けられる。また、第1石膏スラリー流量調整弁73や第2石膏スラリー流量調整弁74の各々は、第2床面56以上の高さ位置、且つ第2床面56よりも1.5m上方の高さ位置以下の高さ位置に設けられる。
【0051】
上記の構成によれば、第1石膏スラリー供給ライン71を通じて排煙脱硫装置2から第1石膏分離機3に石膏スラリーを送ることができるとともに、第2石膏スラリー供給ライン72を通じて排煙脱硫装置2から第2石膏分離機4に石膏スラリーを送ることができる。第1石膏スラリー流量調整弁73や第2石膏スラリー流量調整弁74の片方のみを開くように運用することで、排煙脱硫装置2から各石膏分離機3、4に送られる石膏スラリーの流量を安定させることができる。排煙脱硫装置2から各石膏分離機3、4に送られる石膏スラリーの流量を安定させることで、各石膏分離機3、4において生成される石膏の品質を良好なものにすることができる。
【0052】
また、上記の構成によれば、点検者が第2床面56上において第1石膏スラリー流量調整弁73及び第2石膏スラリー流量調整弁74の点検が可能となるため、石膏脱水システム1のメンテナンス性を向上できる。
【0053】
(蒸気排出ライン、吸引装置)
幾つかの実施形態では、上述した石膏脱水システム1は、図6及び図7に示されるように、第1石膏分離機3から蒸気を排出するための第1蒸気排出ライン61と、第2石膏分離機4から蒸気を排出するための第2蒸気排出ライン62と、蒸気を吸引する吸引力を発生させるように構成された吸引装置(例えば、排気ファン)63と、をさらに備える。
【0054】
第2蒸気排出ライン62は、第1蒸気排出ライン61に下流端622が接続されている。吸引装置63は、第1蒸気排出ライン61の第2蒸気排出ライン62との接続位置P2よりも下流側に接続されている。吸引装置63が発生させた吸引力により、第1蒸気排出ライン61の上流端611A、611Bから第1蒸気排出ライン61内に蒸気が取り込まれ、吸引装置63よりも第1蒸気排出ライン61の下流側に送られる。また、吸引装置63が発生させた吸引力により、第2蒸気排出ライン62の上流端621A、621Bから第2蒸気排出ライン62内に蒸気が取り込まれ、吸引装置63よりも第1蒸気排出ライン61の下流側に送られる。第1蒸気排出ライン61の下流端は、建屋10の外部に位置し、大気開放されている。
【0055】
図示される実施形態では、図6に示されるように、上述した石膏脱水システム1は、第1搬送ベルト32の上面321の上方に配置された乾燥用蒸気を噴出可能な第1蒸気噴出部351、を有する第1蒸気噴出装置35と、第1蒸気噴出部351を覆うとともに、第1ろ布31の被支持部311との間に乾燥用蒸気を噴出するための蒸気噴出空間361を形成する第1蒸気噴出側フード36と、第1石膏スラリー供給ライン71の下流端712を覆うとともに、第1ろ布31の被支持部311との間に石膏スラリーから発生した蒸気が滞留するための蒸気滞留空間371を形成する第1蒸気滞留側フード37と、をさらに備える。
【0056】
第1蒸気排出ライン61は、第2蒸気排出ライン62との接続位置P2よりも上流側において分岐し、二つの上流端611A、611Bが形成されている。二つの上流端611A、611Bのうち、一方の上流端611Aは、蒸気噴出空間361に連通するように第1蒸気噴出側フード36に接続され、他方の上流端611Bは、蒸気滞留空間371に連通するように第1蒸気滞留側フード37に接続されている。吸引装置63が発生させた吸引力により、蒸気噴出空間361や蒸気滞留空間371から第1蒸気排出ライン61に蒸気が取り込まれるようになっている。なお、他の幾つかの実施形態では、第1蒸気排出ライン61には1つの上流端が形成され、この上流端が第1蒸気噴出側フード36又は第1蒸気滞留側フード37の何れかに接続されるようになっていてもよい。
【0057】
図示される実施形態では、図6に示されるように、上述した石膏脱水システム1は、第2搬送ベルト42の上面421の上方に配置された乾燥用蒸気を噴出可能な第2蒸気噴出部451、を有する第2蒸気噴出装置45と、第2蒸気噴出部451を覆うとともに、第2ろ布41の被支持部411との間に乾燥用蒸気を噴出するための蒸気噴出空間461を形成する第2蒸気噴出側フード46と、第2石膏スラリー供給ライン72の下流端722を覆うとともに、第2ろ布41の被支持部411との間に石膏スラリーから発生した蒸気が滞留するための蒸気滞留空間471を形成する第2蒸気滞留側フード47と、をさらに備える。
【0058】
第2蒸気排出ライン62は、上流側が二つに分岐し、二つの上流端621A、621Bが形成されている。二つの上流端621A、621Bのうち、一方の上流端621Aは、蒸気噴出空間461に連通するように第2蒸気噴出側フード46に接続され、他方の上流端621Bは、蒸気滞留空間471に連通するように第2蒸気滞留側フード47に接続されている。吸引装置63が発生させた吸引力により、蒸気噴出空間461や蒸気滞留空間471から第2蒸気排出ライン62に蒸気が取り込まれるようになっている。なお、他の幾つかの実施形態では、第2蒸気排出ライン62には1つの上流端が形成され、この上流端が第2蒸気噴出側フード46又は第2蒸気滞留側フード47の何れかに接続されるようになっていてもよい。
【0059】
(蒸気流量調整弁)
上述した石膏脱水システム1は、図6及び図7に示されるように、第1蒸気排出ライン61の第2蒸気排出ライン62との前記接続位置P2よりも上流側を流れる蒸気の流量を調整可能に構成された第1蒸気流量調整弁64と、第2蒸気排出ライン62を流れる蒸気の流量を調整可能に構成された第2蒸気流量調整弁65と、をさらに備える。
【0060】
上述した第2床面56は、図6及び図7に示されるように、点検者が吸引装置63、第1蒸気流量調整弁64及び第2蒸気流量調整弁65にアクセス可能に構成されている。吸引装置63、第1蒸気流量調整弁64及び第2蒸気流量調整弁65は、第2床面56に立つ点検者が、手動操作が可能な範囲内に設けられる。例えば、吸引装置63、第1蒸気流量調整弁64及び第2蒸気流量調整弁65の各々は、第2床面56からの最短距離が0.5m以下の範囲に設けられる。また、吸引装置63、第1蒸気流量調整弁64及び第2蒸気流量調整弁65の各々は、第2床面56以上の高さ位置、且つ第2床面56よりも1.5m上方の高さ位置以下の高さ位置に設けられる。
【0061】
上記の構成によれば、第1蒸気噴出部351や第2蒸気噴出部451から噴出される蒸気により、石膏スラリー(石膏ケーキ)中に含まれる付着水の粘性を低下させるとともに、石膏スラリーに含まれる水分が加熱除去されるため、石膏の含水率を低下させることができる。吸引装置63により、第1蒸気排出ライン61を通じて第1石膏分離機3から蒸気を排出できるとともに、第1蒸気排出ライン61の接続位置P2よりも下流側および第2蒸気排出ライン62を通じて第2石膏分離機4から蒸気を排出できる。吸引装置63が第1石膏分離機3と第2石膏分離機4に対する兼用設備となるので、石膏分離機3、4ごとに専用の吸引装置を設ける場合に比べて、石膏脱水システム1の小型化が図れる。また、第1蒸気流量調整弁64や第2蒸気流量調整弁65の片方のみを開くように運用することで、吸引装置63に要求される出力を低減できるため、吸引装置63の小型化が図れる。
【0062】
また、上記の構成によれば、点検者が第2床面56上において吸引装置63、第1蒸気流量調整弁64及び第2蒸気流量調整弁65の点検が可能となるため、石膏脱水システム1のメンテナンス性を向上できる。
【0063】
幾つかの実施形態では、上述した第1石膏分離機3と第2石膏分離機4は、図1に示されるような上面視において、第1歩廊51の中心線CL(第1歩廊51の幅中心を通る線)を中心に線対称に配置されている。この場合には、第2石膏分離機4に設けられた各機器は、第1石膏分離機3に設けられた同種の機器と第1方向における位置が同様の位置に配置される。すなわち、2台の石膏分離機3、4は、前記各機器とともに、中央の歩廊51をまたいで鏡対称に配置される。この場合には、計測計器や調整弁が歩廊側に向いているので、第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の間における基礎床面101上、第1床面52上又は第2床面56上において、点検者は振り向いただけで、もう一方の計測計器や調整弁の点検、操作、調整ができる。第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の同種の機器の点検を連続して行うことができるため、石膏脱水システム1のメンテナンス性を向上できる。
【0064】
幾つかの実施形態では、図1に示されるように、上述した第1モータ34は、第1搬送ベルト32の下流側の端部、且つ、第1石膏分離機3の第2方向における第2石膏分離機4とは反対側に配置されている。上述した第2モータ44は、第2搬送ベルト42の下流側の端部、且つ、第2石膏分離機4の第2方向における第1石膏分離機3とは反対側に配置されている。
【0065】
上記の構成によれば、第1石膏分離機3や第2石膏分離機4における大型機器である第1モータ34や第2モータ44を第1歩廊51から離れた側に配置することで、第1石膏分離機3や第2石膏分離機4と第1歩廊51との距離を近付けることができるため、石膏脱水システム1の小型化が図れる。
【0066】
(ろ布洗浄装置)
幾つかの実施形態では、上述した石膏脱水システム1は、図3に示されるように、第1搬送ベルト32の周回方向における下流端323よりも下流側において、第1ろ布31に対して洗浄液(例えば、水)を供給可能な洗浄液供給部381、を有する第1ろ布洗浄装置38と、第2搬送ベルト42の周回方向における下流端423よりも下流側において、第2ろ布41に対して洗浄液(例えば、水)を供給可能な洗浄液供給部481、を有する第2ろ布洗浄装置48と、をさらに備える。
【0067】
(脱水装置)
幾つかの実施形態では、上述した石膏脱水システム1は、図3に示されるように、第1ろ布31上に載せられた石膏スラリーを下方から吸引してろ液を脱水するように構成された第1脱水装置39と、第2ろ布41上に載せられた石膏スラリーを下方から吸引してろ液を脱水するように構成された第2脱水装置49と、をさらに備える。
【0068】
第1脱水装置39は、第1搬送ベルト32の上面321の下方に設けられて、内部の圧力が負圧(大気圧よりも低い圧力)に保持される第1脱水室391と、第1真空ポンプ392と、第1脱水室391と第1真空ポンプ392を繋ぐ第1減圧配管393と、第1減圧配管393に設けられる第1真空タンク394と、を含む。第1真空ポンプ392を駆動させることで、第1脱水室391が減圧されて負圧となり、第1ろ布31上に載せられた石膏スラリー中の水分は、下方から吸引され、石膏スラリーの脱水が行われる。
【0069】
第2脱水装置49は、第2搬送ベルト42の上面421の下方に設けられて、内部の圧力が負圧(大気圧よりも低い圧力)に保持される第2脱水室491と、第2真空ポンプ492と、第2脱水室491と第2真空ポンプ492を繋ぐ第2減圧配管493と、第2減圧配管493に設けられる第2真空タンク494と、を含む。第2真空ポンプ492を駆動させることで、第2脱水室491が減圧されて負圧となり、第2ろ布41上に載せられた石膏スラリー中の水分は、下方から吸引され、石膏スラリーの脱水が行われる。
【0070】
図1に示されるように、上述した第1真空タンク394は、第1石膏分離機3の第2方向における第2石膏分離機4とは反対側に配置されている。上述した第2真空タンク494は、第2石膏分離機4の第2方向における第1石膏分離機3とは反対側に配置されている。
【0071】
上記の構成によれば、第1石膏分離機3や第2石膏分離機4における大型機器である第1真空タンク394や第2真空タンク494を第1歩廊51から離れた側に配置することで、第1石膏分離機3や第2石膏分離機4と第1歩廊51との距離を近付けることができるため、石膏脱水システム1の小型化が図れる。
【0072】
幾つかの実施形態では、上述した石膏脱水システム1は、図1に示されるように、上述した第1方向における第1搬送ベルト32の上流端322の位置を0%位置とし、第1方向における第1搬送ベルト32の下流端323の位置を100%位置とした場合に、第1方向における第2搬送ベルト42の上流端422の位置は、-10%~10%の範囲内に位置し、第1方向における第2搬送ベルト42の下流端423の位置は、90%~110%の範囲内に位置する。
【0073】
上記の構成によれば、第1方向における第1搬送ベルト32と第2搬送ベルト42の各々の上流端322、422の位置が揃えられ、且つ第1方向における第1搬送ベルト32と第2搬送ベルト42の各々の下流端323、423の位置が揃えられる。この場合には、第2石膏分離機4に設けられた各機器(第2計測機器12、第2蒸気流量調整弁65、第2石膏スラリー流量調整弁74など)は、第1石膏分離機3に設けられた同種の機器(第1計測機器11、第1蒸気流量調整弁64、第1石膏スラリー流量調整弁73など)と第1方向における位置が同様の位置に配置される。すなわち、2台の石膏分離機3、4は、前記各機器とともに、中央の歩廊51をまたいで鏡対称に配置される。この場合には、計測機器、調整弁が歩廊側に向いているので、第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の間における基礎床面101上、第1床面52上又は第2床面56上において、点検者は振り向いただけで、もう一方の計測計器や調整弁の点検、操作、調整ができる。第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の同種の機器の点検を連続して行うことができるため、石膏脱水システム1のメンテナンス性を向上できる。
【0074】
以下の開示は、第1石膏分離機3を例に挙げて説明するが、第2石膏分離機4に対して単独で適用可能であり、第1石膏分離機3と第2石膏分離機4の両方に対して適用可能である。また、以下の開示は、複数の石膏分離機3、4を備える石膏脱水システム1だけでなく、1つの石膏分離機を備える石膏脱水システムにも適用可能である。
【0075】
(シュート部)
図8は、一実施形態に係る石膏脱水システム1のシュート部81近傍の上方から視た概略図である。図9は、一実施形態におけるシュート部81を構成するパネル82の概略図である。幾つかの実施形態に係る石膏脱水システム1は、図8に示されるように、石膏スラリーを上記第1方向に沿って第1方向の上記一方側に向かって搬送するように構成された第1搬送ベルト32、及び第1搬送ベルト32の下流端323を囲むシュート部81を含む。
【0076】
シュート部81は、図8に示されるように、第1搬送ベルト32から第1方向に隙間(内部空間80)を挟んだ位置において上記第2方向に沿って延在するパネル82を含む。パネル82には、パネル82を貫通する開口83が形成されている。シュート部81は、図8に示されるように、開口83を開閉可能なようにパネル82に取り付けられた扉84をさらに含む。扉84は、扉84を第1搬送ベルト32から遠ざかる方向に引くことで開口83を開放するように構成されている。また、扉84は、扉84を第1搬送ベルト32に近づく方向に押すことで開口83を閉止するように構成されている。図示される実施形態では、シュート部81は、鉛直方向に沿う方向を回転軸として回動可能な蝶番85であって、開口83の水平方向における一端面と扉84の水平方向における一端面とをヒンジ結合する蝶番85をさらに含む。
【0077】
扉84により開口83を閉止した状態において、第1搬送ベルト32が駆動され、第1搬送ベルト32の下流端323から石膏が落下するときに、飛散した石膏が扉84の内部空間80側の面や開口83に付着することがある。そして、扉84を第1搬送ベルト32から遠ざかる方向に引いたときに、扉84の内部空間80側の面や開口83に付着した石膏がシュート部81の外部に出ることがある。この場合には、シュート部81の外部に出た石膏を取り除く作業が生じる虞がある。
【0078】
(第1シート部材)
幾つかの実施形態では、図8及び図9に示されるように、パネル82の第1搬送ベルト32に面する第1面821に上縁92が取り付けられて、開口83を閉塞するように垂れ下がる可撓性を有する第1シート部材91をさらに備える。図9に示されるように、第1シート部材91は、開口83よりも高さ方向(鉛直方向)の長さ及び幅方向(第2方向)の長さが大きい。
【0079】
図示される実施形態では、図9に示されるように、パネル82の第1面821との間に第1シート部材91の上縁92を挟み込む押え部材93と、押え部材93と第1シート部材91を着脱可能に締結する締結部材(図示例では、ボルト)94と、をさらに備える。押え部材93は、図9に示されるように、第2方向に沿って長手方向を有する金属製の板状部材であってもよい。押え部材93は、開口83よりも上方において締結部材94によりパネル82の第1面821に取り付けられる。なお、第1シート部材91の上縁92が第1面821に取り付けられていればよく、取り付け方法は、図示される実施形態に限定されない。
【0080】
図示される実施形態では、シュート部81は、パネル82の第2方向における一方側(第2石膏分離機4側)の端部から上記第1方向に沿って第1方向の上記一方側とは反対側である他方側に向かって延在する第1側面パネル86と、パネル82の第2方向における他方側(第2石膏分離機4から離れた側)の端部から上記第1方向に沿って第1方向の上記他方側に向かって延在する第2側面パネル87と、第1側面パネル86の先端と第2側面パネル87の先端とを繋ぐ背面パネル88と、を含む。背面パネル88は、下流端323よりも第1方向の他方側において第2方向に沿って延在する。シュート部81の内部空間80は、パネル82、第1側面パネル86、第2側面パネル87及び背面パネル88により画定される。
【0081】
上記の構成によれば、開口83を閉塞するように第1シート部材91を垂れ下げることにより、飛散した石膏が開口83や扉84に付着することを抑制できる。これにより、扉84を第1搬送ベルト32から遠ざかる方向に引いたときに、開口83や扉84に付着した石膏がシュート部81の外部に出ることを防止できる。また、第1シート部材91は、可撓性を有し、且つパネル82の第1面821に上縁92が取り付けられているので、第1シート部材91を捲りあげることにより、シュート部81の外部からシュート部81に囲われた内部空間80に存在する機器(例えば、第1搬送ベルト32の下流端323)に容易にアクセス可能となる。
【0082】
幾つかの実施形態では、上述した第1シート部材91は、シュート部81の外部からシュート部81に囲われた内部空間80を視認可能な光透過性の材料により構成されている。
【0083】
上記の構成によれば、第1シート部材91を光透過性の材料により構成することで、第1シート部材91が開口83を閉塞した状態において、点検者がシュート部81に囲われた内部空間80を視認でき、内部空間80に存在する機器(例えば、第1搬送ベルト32の下流端323)の状態を確認できるようになる。これにより、内部空間80に存在する機器の状態を確認するために、第1シート部材91を捲りあげなくても良いので、第1シート部材91が開口83を閉塞しない期間を短縮でき、飛散した石膏が開口83や扉84に付着することを効果的に抑制できる。
【0084】
上記の構成によれば、シュート部81の外部から第1シート部材91の内部空間80側の面への石膏の付着状況を確認できる。第1シート部材91の内部空間80側の面への石膏の付着量が大きい場合には、シュート部81の外部から第1シート部材91を叩いて付着した石膏を落とすことができる。また、第1シート部材91の内部空間80側の面への石膏の付着量が大きい場合には、第1シート部材91を新しいものに容易に交換できる。
【0085】
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述したシュート部81は、第1石膏分離機3が設置された基礎床面101を鉛直方向に沿って貫通する床面開口105に下端(一端)811が接続されている。
【0086】
建屋10は、図2に示されるように、水平方向に沿って延在して建屋10の内部を上方と下方とに区切る床面部102を有する。建屋10の内部には、床面部102の上方に形成される上側内部空間103と、床面部102の下方に形成される下側内部空間104と、が形成されている。床面部102は、その上面である基礎床面101が上側内部空間103に面している。上側内部空間103に上述した石膏脱水システム1が配置されている。床面部102には、基礎床面101を鉛直方向に沿って貫通する床面開口105が形成されている。シュート部81の下端811を床面開口105に接続することで、シュート部81の内部空間80と下側内部空間104とが連通する。図示される実施形態では、下側内部空間104の高さは、上側内部空間103の高さよりも大きい。
【0087】
シュート部81の下端811を床面開口105に接続することで、第1搬送ベルト32の下流端323から落下する石膏を、床面開口105を通じて基礎床面101よりも下方に導くことができる。具体的には、床面開口105を通じて石膏を下側内部空間104に導くことができ、下側内部空間104に石膏を貯留することができる。この場合には、床面開口105を通じて石膏を基礎床面101よりも下方に導くことで、シュート部81の内部空間80に石膏が溜まるのを抑制できるため、シュート部81の外部に石膏が漏れ出るのを効果的に抑制できる。
【0088】
(第2シート部材)
図10は、一実施形態に係る石膏脱水システム1のシュート部81近傍の第1方向に沿った概略図である。図11は、一実施形態に係る石膏脱水システム1のシュート部81近傍の第2方向に沿った概略図である。幾つかの実施形態では、図10及び図11に示されるように、上述した第1石膏分離機3は、第1搬送ベルト32を基礎床面101よりも上方に支持する複数の脚部89をさらに含む。複数の脚部89の各々は、基礎床面101上に立設している。
【0089】
上述した石膏脱水システム1は、図10及び図11に示されるように、複数の脚部89のうち、少なくとも二つの脚部89、89に掛け渡されて少なくとも二つの脚部89、89に上縁が取り付けられた可撓性を有する少なくとも1つの第2シート部材95をさらに備える。
【0090】
図10に示される実施形態では、複数の脚部89は、シュート部81に対して上記第1方向の上記他方側に隣接して配置された第1脚部89Aと、第1脚部89Aに対して上記第1方向の上記他方側に隣接して配置された第2脚部89Bと、第2脚部89Bに対して上記第1方向の上記他方側に隣接して配置された第3脚部89Cと、を含む。少なくとも1つの第2シート部材95は、第1脚部89Aと第2脚部89Bに掛け渡されて、第1脚部89Aと第2脚部89Bに上縁が取り付けられた下流側シート部材95Aと、第2脚部89Bと第3脚部89Cに掛け渡されて、第2脚部89Bと第3脚部89Cに上縁が取り付けられた上流側シート部材95Bと、の少なくとも一方を含む。
【0091】
下流側シート部材95Aは、例えば、その上縁に沿って取り付けられた掛止部93Aを第1脚部89Aや第2脚部89Bに掛止させることで、第1脚部89Aや第2脚部89Bに着脱可能に取り付けられていてもよい。上流側シート部材95Bは、例えば、その上縁に沿って取り付けられた掛止部93Bを第2脚部89Bや第3脚部89Cに掛止させることで、第2脚部89Bや第3脚部89Cに着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0092】
図11に示される実施形態では、複数の脚部89は、上述した第1脚部89Aと、第1脚部89Aに対して上記第2方向に隣接して配置された第4脚部89Dと、を含む。少なくとも1つの第2シート部材95は、第1脚部89Aと第4脚部89Dに掛け渡されて、第1脚部89Aと第4脚部89Dに上縁が取り付けられた幅方向側シート部材95Cを含む。幅方向側シート部材95Cは、例えば、その上縁に沿って取り付けられた掛止部93Cを第1脚部89Aや第4脚部89Dに掛止させることで、第1脚部89Aや第4脚部89Dに着脱可能に取り付けられていてもよい。なお、複数の第2シート部材95の各々は、視認可能な光透過性の材料により構成されていてもよい。
【0093】
上記の構成によれば、第2シート部材95により、二つの脚部89、89よりも外側に石膏スラリーや石膏等が飛散することを防止できる。第2シート部材95は、可撓性を有し、且つ二つの脚部89、89に上縁が取り付けられているので、第2シート部材95を捲りあげることにより、第1石膏分離機3に設けられた機器に容易にアクセス可能となる。
【0094】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0095】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0096】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0097】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る石膏脱水システム(1)は、
排煙脱硫装置(2)から排出される石膏スラリーを脱水するための石膏脱水システム(1)であって、
前記石膏スラリーを第1ろ布(31)上に載せた状態で第1方向に沿って前記第1方向の一方側に向かって搬送するように構成された第1搬送ベルト(32)を含む第1石膏分離機(3)と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記第1石膏分離機(3)から離れた位置に配置された第2石膏分離機(4)であって、前記石膏スラリーを第2ろ布(41)上に載せた状態で前記第1方向に沿って前記第1方向の前記一方側に向かって搬送するように構成された第2搬送ベルト(42)を含む第2石膏分離機(4)と、
前記第1石膏分離機(3)の状態を計測するための少なくとも1つの第1計測機器(11)であって、前記第1石膏分離機(3)の前記第2方向における前記第2石膏分離機(4)側に配置された少なくとも1つの第1計測機器(11)と、
前記第2石膏分離機(4)の状態を計測するための少なくとも1つの第2計測機器(12)であって、前記第2石膏分離機(4)の前記第2方向における前記第1石膏分離機(3)側に配置された少なくとも1つの第2計測機器(12)と、
前記第1石膏分離機(3)と前記第2石膏分離機(4)との間に前記第1方向に沿って延在する第1床面(52)を有する第1歩廊(51)と、を備える。
【0098】
上記1)の構成によれば、第1石膏分離機(3)と第2石膏分離機(4)の間に第1床面(52)を有する第1歩廊(51)を設けることで、第1歩廊(51)が第1石膏分離機(3)と第2石膏分離機(4)を点検するための兼用設備となるので、石膏分離機(3、4)ごとに専用の歩廊を設ける場合に比べて、石膏脱水システム(1)の小型化が図れる。また、上記1)の構成によれば、点検者が第1床面(52)上において第1石膏分離機(3)および第2石膏分離機(4)の両方の点検が可能となる。これに対して、上記専用の歩廊を設けた場合には、第1石膏分離機(3)および第2石膏分離機(4)の両方の点検をするためには、歩廊間の移動が必要となる。よって、上記1)の構成によれば、石膏分離機(3、4)ごとに専用の歩廊を設ける場合に比べて、点検の際の移動距離を低減できるため、石膏脱水システム(1)のメンテナンス性を向上できる。
【0099】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1床面(52)の上方に前記第1方向に沿って延在する第2床面(56)を有する第2歩廊(55)と、
前記第1床面(52)と前記第2床面(56)とを繋ぐ連絡通路(57)と、をさらに備える。
【0100】
上記2)の構成によれば、第1床面(52)の上方に第2床面(56)を設けることで、第1床面(52)上だけでなく、第2床面(56)上からも第1石膏分離機(3)や第2石膏分離機(4)の点検が可能となる。また、第1床面(52)と第2床面(56)とを繋ぐ連絡通路(57)を設けることで、点検者が連絡通路(57)を通じて第1床面(52)から第2床面(56)へ容易に移動可能となるので、石膏脱水システム(1)のメンテナンス性を向上できる。
【0101】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1石膏分離機(3)から蒸気を排出するための第1蒸気排出ライン(61)と、
前記第2石膏分離機(4)から蒸気を排出するための第2蒸気排出ライン(62)であって、前記第1蒸気排出ライン(61)に下流端(622)が接続された第2蒸気排出ライン(62)と、
前記第1蒸気排出ライン(61)の前記第2蒸気排出ライン(62)との接続位置(P2)よりも下流側に接続された吸引装置(63)と、
前記第1蒸気排出ライン(61)の前記第2蒸気排出ライン(62)との前記接続位置(P2)よりも上流側を流れる前記蒸気の流量を調整可能に構成された第1蒸気流量調整弁(64)と、
前記第2蒸気排出ライン(62)を流れる前記蒸気の流量を調整可能に構成された第2蒸気流量調整弁(65)と、を備え、
前記第2床面(56)は、点検者が前記吸引装置(63)、前記第1蒸気流量調整弁(64)及び前記第2蒸気流量調整弁(65)にアクセス可能に構成された。
【0102】
上記3)の構成によれば、吸引装置(63)により、第1蒸気排出ライン(61)を通じて第1石膏分離機(3)から蒸気を排出できるとともに、第1蒸気排出ライン(61)の接続位置(P2)よりも下流側および第2蒸気排出ライン(62)を通じて第2石膏分離機(4)から蒸気を排出できる。吸引装置(63)が第1石膏分離機(3)と第2石膏分離機(4)に対する兼用設備となるので、石膏分離機(3、4)ごとに専用の吸引装置を設ける場合に比べて、石膏脱水システム(1)の小型化が図れる。また、第1蒸気流量調整弁(64)や第2蒸気流量調整弁(65)の片方のみを開くように運用することで、吸引装置(63)に要求される出力を低減できるため、吸引装置(63)の小型化が図れる。
【0103】
また、上記3)の構成によれば、点検者が第2床面(56)上において吸引装置(63)、第1蒸気流量調整弁(64)及び第2蒸気流量調整弁(65)の点検が可能となるため、石膏脱水システム(1)のメンテナンス性を向上できる。
【0104】
4)幾つかの実施形態では、上記2)又は上記3)に記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記排煙脱硫装置(2)から前記第1石膏分離機(3)に前記石膏スラリーを送るための第1石膏スラリー供給ライン(71)と、
前記排煙脱硫装置(2)から前記第2石膏分離機(4)に前記石膏スラリーを送るための第2石膏スラリー供給ライン(72)であって、前記第1石膏スラリー供給ライン(71)に上流端(721)が接続された第2石膏スラリー供給ライン(72)と、
前記第1石膏スラリー供給ライン(71)の前記第2石膏スラリー供給ライン(72)との接続位置(P1)よりも下流側を流れる前記石膏スラリーの流量を調整可能に構成された第1石膏スラリー流量調整弁(73)と、
前記第2石膏スラリー供給ライン(72)を流れる前記石膏スラリーの流量を調整可能に構成された第2石膏スラリー流量調整弁(74)と、をさらに備え、
前記第2床面(56)は、点検者が前記第1石膏スラリー流量調整弁(73)及び前記第2石膏スラリー流量調整弁(74)にアクセス可能に構成された。
【0105】
上記4)の構成によれば、第1石膏スラリー供給ライン(71)を通じて排煙脱硫装置(2)から第1石膏分離機(3)に石膏スラリーを送ることができるとともに、第2石膏スラリー供給ライン(72)を通じて排煙脱硫装置(2)から第2石膏分離機(4)に石膏スラリーを送ることができる。第1石膏スラリー流量調整弁(73)や第2石膏スラリー流量調整弁(74)の片方のみを開くように運用することで、排煙脱硫装置(2)から各石膏分離機(3、4)に送られる石膏スラリーの流量を安定させることができる。排煙脱硫装置(2)から各石膏分離機(3、4)に送られる石膏スラリーの流量を安定させることで、各石膏分離機(3、4)において生成される石膏の品質を良好なものにすることができる。
【0106】
また、上記4)の構成によれば、点検者が第2床面(56)上において第1石膏スラリー流量調整弁(73)及び第2石膏スラリー流量調整弁(74)の点検が可能となるため、石膏脱水システム(1)のメンテナンス性を向上できる。
【0107】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から上記4)までの何れかに記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1石膏分離機(3)は、前記第1搬送ベルト(32)を駆動させるための第1モータ(34)であって、前記第1搬送ベルト(33)の下流側の端部、且つ、前記第1石膏分離機(3)の前記第2方向における前記第2石膏分離機(4)とは反対側に配置された第1モータ(34)をさらに含み、
前記第2石膏分離機(4)は、前記第2搬送ベルト(42)を駆動させるための第2モータ(44)であって、前記第2搬送ベルト(42)の下流側の端部、且つ、前記第2石膏分離機(4)の前記第2方向における前記第1石膏分離機(3)とは反対側に配置された第2モータ(44)をさらに含む。
【0108】
上記5)の構成によれば、第1石膏分離機(3)や第2石膏分離機(4)における大型機器である第1モータ(34)や第2モータ(44)を第1歩廊(51)から離れた側に配置することで、第1石膏分離機(3)や第2石膏分離機(4)と第1歩廊(51)との距離を近付けることができるため、石膏脱水システム(1)の小型化が図れる。
【0109】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1床面(52)は、前記第1搬送ベルト(32)及び前記第2搬送ベルト(42)よりも上方に位置している。
【0110】
上記6)の構成によれば、第1床面(52)を第1搬送ベルト(32)及び第2搬送ベルト(42)よりも上方に設けることで、第1床面(52)上に立つ点検者が、第1搬送ベルト(32)により搬送される石膏スラリーや、第2搬送ベルト(42)により搬送される石膏スラリーの状態を確認することが容易となる。第1床面(52)上において石膏スラリーの状態を確認した点検者は、石膏スラリーの状態に応じた対応を迅速にとることができる。よって、上記6)の構成によれば、石膏脱水システム(1)のメンテナンス性を向上できる。
【0111】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から上記6)までの何れかに記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1方向における前記第1搬送ベルト(32)の上流端(322)の位置を0%位置とし、
前記第1方向における前記第1搬送ベルト(32)の下流端(323)の位置を100%位置とした場合に、
前記第1方向における前記第2搬送ベルト(42)の上流端(422)の位置は、-10%~10%の範囲内に位置し、
前記第1方向における前記第2搬送ベルト(42)の下流端(423)の位置は、90%~110%の範囲内に位置する。
【0112】
上記7)の構成によれば、第1方向における第1搬送ベルト(32)と第2搬送ベルト(42)の各々の上流端(322、422)の位置が揃えられ、且つ第1方向における第1搬送ベルト(32)と第2搬送ベルト(42)の各々の下流端(323、423)の位置が揃えられる。この場合には、第2石膏分離機(4)に設けられた各機器(第2計測機器12、第2蒸気流量調整弁65、第2石膏スラリー流量調整弁74など)は、第1石膏分離機(3)に設けられた同種の機器(第1計測機器11、第1蒸気流量調整弁64、第1石膏スラリー流量調整弁73など)と第1方向における位置が同様の位置に配置される。この場合には、第1石膏分離機(3)と第2石膏分離機(4)の間における基礎床面(101)上、第1床面(52)上又は第2床面(56)上において、点検者が第1石膏分離機(3)と第2石膏分離機(4)の同種の機器の点検を連続して行うことができるため、石膏脱水システム(1)のメンテナンス性を向上できる。
【0113】
8)幾つかの実施形態では、上記1)から上記7)までの何れかに記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1石膏分離機(3)は、前記第1搬送ベルト(32)の下流端(323)を囲むシュート部(81)をさらに含む、
前記シュート部(81)は、
前記第1搬送ベルト(32)から前記第1方向に隙間(内部空間80)を挟んだ位置において前記第2方向に沿って延在するパネル(82)であって、前記パネル(82)を貫通する開口(83)が形成されたパネル(82)と、
前記開口(83)を開閉可能なように前記パネル(82)に取り付けられた扉(84)であって、前記扉(84)を前記第1搬送ベルト(32)から遠ざかる方向に引くことで前記開口(83)を開放するように構成された扉(84)と、を含み、
前記石膏脱水システム(1)は、
前記パネル(82)の前記第1搬送ベルト(32)に面する第1面(821)に上縁(92)が取り付けられて、前記開口(83)を閉塞するように垂れ下がる可撓性を有する第1シート部材(91)をさらに備える。
【0114】
上記8)の構成によれば、開口(83)を閉塞するように第1シート部材(91)を垂れ下げることにより、飛散した石膏が開口(83)や扉(84)に付着することを抑制できる。これにより、扉(84)を第1搬送ベルト(32)から遠ざかる方向に引いたときに、開口(83)や扉(84)に付着した石膏がシュート部(81)の外部に出ることを防止できる。また、第1シート部材(91)は、可撓性を有し、且つパネル(82)の第1面(821)に上縁(92)が取り付けられているので、第1シート部材(91)を捲りあげることにより、シュート部(81)の外部からシュート部(81)に囲われた内部空間(80)に存在する機器(例えば、第1搬送ベルト32の下流端323)に容易にアクセス可能となる。
【0115】
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1シート部材(91)は、前記シュート部(81)の外部から前記シュート部(81)に囲われた内部空間(80)を視認可能な光透過性の材料により構成された。
【0116】
上記9)の構成によれば、第1シート部材(91)を光透過性の材料により構成することで、第1シート部材(81)が開口(83)を閉塞した状態において、点検者がシュート部(81)に囲われた内部空間(80)を視認でき、内部空間(80)に存在する機器(例えば、第1搬送ベルト32の下流端323)の状態を確認できるようになる。これにより、内部空間(80)に存在する機器の状態を確認するために、第1シート部材(91)を捲りあげなくても良いので、第1シート部材(91)が開口(83)を閉塞しない期間を短縮でき、飛散した石膏が開口(83)や扉(84)に付着することを効果的に抑制できる。
【0117】
10)幾つかの実施形態では、上記8)又は上記9)に記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記シュート部(81)は、前記第1石膏分離機(3)が設置された基礎床面(101)を鉛直方向に沿って貫通する床面開口(105)に一端(811)が接続された。
【0118】
上記10)の構成によれば、シュート部(81)の一端(811)を床面開口(105)に接続することで、第1搬送ベルト(32)の下流端(323)から落下する石膏を、床面開口(105)を通じて基礎床面(101)よりも下方に導くことができる。この場合には、シュート部(81)の外部に石膏が漏れ出るのを効果的に抑制できる。
【0119】
11)幾つかの実施形態では、上記1)から上記10)までの何れかに記載の石膏脱水システム(1)であって、
前記第1石膏分離機(3)は、前記第1搬送ベルト(32)を支持する複数の脚部(89)をさらに含み、
前記石膏脱水システム(1)は、
前記複数の脚部(89)のうち、少なくとも二つの脚部(89、89)に掛け渡されて前記少なくとも二つの脚部(89、89)に上縁が取り付けられた可撓性を有する第2シート部材(95)をさらに備える。
【0120】
上記11)の構成によれば、第2シート部材(95)により、二つの脚部(89、89)よりも外側に石膏スラリーや石膏等が飛散することを防止できる。第2シート部材(95)は、可撓性を有し、且つ二つの脚部(89、89)に上縁が取り付けられているので、第2シート部材(95)を捲りあげることにより、第1石膏分離機(3)に設けられた機器に容易にアクセス可能となる。
【符号の説明】
【0121】
1 石膏脱水システム
2 排煙脱硫装置
3 第1石膏分離機
4 第2石膏分離機
10 建屋
11 第1計測機器
12 第2計測機器
31 第1ろ布
32 第1搬送ベルト
33A 第1上流側ドラム
33B 第1下流側ドラム
34 第1モータ
35 第1蒸気噴出装置
36 第1蒸気噴出側フード
37 第1蒸気滞留側フード
38 第1ろ布洗浄装置
39 第1脱水装置
41 第2ろ布
42 第2搬送ベルト
43A 第2上流側ドラム
43B 第2下流側ドラム
44 第2モータ
45 第2蒸気噴出装置
46 第2蒸気噴出側フード
47 第2蒸気滞留側フード
48 第2ろ布洗浄装置
49 第2脱水装置
50 昇降路
51 第1歩廊
52 第1床面
53 第1歩廊側脚部
54 第1手摺部
55 第2歩廊
56 第2床面
57 連絡通路
58 第2歩廊側脚部
59 第2手摺部
61 第1蒸気排出ライン
62 第2蒸気排出ライン
63 吸引装置
64 第1蒸気流量調整弁
65 第2蒸気流量調整弁
71 第1石膏スラリー供給ライン
72 第2石膏スラリー供給ライン
73 第1石膏スラリー流量調整弁
74 第2石膏スラリー流量調整弁
80 内部空間
81 シュート部
82 パネル
83 開口
84 扉
85 蝶番
86 第1側面パネル
87 第2側面パネル
88 背面パネル
89 脚部
91 第1シート部材
92 上縁
93 押え部材
93A,93B,93C 掛止部
94 締結部材
95 第2シート部材
101 基礎床面
102 床面部
103 上側内部空間
104 下側内部空間
105 床面開口
CL 中心線
P 石膏
P1,P2 接続位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11