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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066522
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/082 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
E06B7/082
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187692
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2022175522
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】北島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小花 博志
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036JA04
2E036JB03
2E036JC02
2E036KA01
2E036KB01
2E036LA05
2E036LB06
(57)【要約】
【課題】換気を行うことができ、かつ意匠性の良い建具を提供する。
【解決手段】枠体と、枠体内の開口を開閉する障子と、換気装置と、を有し、障子は、上框と、下框と、吊元框5と、戸先框と、上框、下框、吊元框5および戸先框の内側にはめ込まれた面材と、を有し、換気装置は、吊元框5に形成された屋外通気口55と、屋外通気口55を開閉する開閉部42と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体内の開口を開閉する障子と、
換気装置と、を有し、
前記障子は、
一対の横框と、
一対の縦框と、
前記一対の横框および前記一対の縦框の内側にはめ込まれた面材と、を有し、
前記換気装置は、
前記一対の縦框うちの一方の縦框に形成された通気口と、
前記通気口を開閉する開閉部と、を有する建具。
【請求項2】
前記一方の縦框は、吊元框である請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記面材は、空気層を介して重ねられた複数の板ガラスを有する複層ガラスである請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記通気口は、
前記一方の縦框の屋外側に開口する屋外通気口と、
前記一方の縦框の屋内側に開口する屋内通気口と、を備え、
前記屋外通気口と前記屋内通気口とは繋がっており、
前記開閉部は、
前記屋外通気口を開閉する屋外開閉部と、
前記屋内通気口を開閉する屋内開閉部と、を有する請求項1または2に記載の建具。
【請求項5】
前記屋外開閉部と前記屋内開閉部とは連動する請求項4に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅のキッチンなどの換気を行うためには、天井や壁に給気口や排気口を設け、給気口や排気口に接続したダクトを外壁に導く。外壁を貫通したダクトは、外壁に設けられたベントキャップに接続する。框体の開口部に上げ下げ窓が設けられた採風ドアを設置して換気を行うこともある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-11677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベントキャップは、外壁に設置されるため、住宅の外観意匠を損ねている。上げ下げ窓が設けられた採風ドアは、構造が複雑であるとともに凹凸が多いため、意匠性を損ねている。
【0005】
本開示は、換気を行うことができ、かつ意匠性の良い建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る建具は、枠体と、前記枠体内の開口を開閉する障子と、換気装置と、を有し、前記障子は、一対の横框と、一対の縦框と、前記一対の横框および前記一対の縦框の内側にはめ込まれた面材と、を有し、前記換気装置は、前記一対の縦框うちの一方の縦框に形成された通気口と、前記通気口を開閉する開閉部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による建具の正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図2のB部分の拡大図である。
図4図1のC-C線断面図で屋外通気口が開口された様子を示す図である。
図5図1のC-C線断面図で屋外通気口が閉塞された様子を示す図である。
図6】第2実施形態による建具の鉛直断面図である。
図7】第3実施形態による建具の水平断面図である。
図8】第3実施形態による建具の鉛直断面図である。
図9】屋外側から障子を開放した様子を示す図である。
図10】屋内側から障子を開放した様子を示す図である。
図11】吊元框の水平断面図である。
図12】吊元框の断面斜視図である。
図13】網戸ネットが設けられた吊元框の水平断面図である。
図14】メッシュ板が設けられた吊元框の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1に示すように、建具1は、例えば、住宅のキッチンの勝手口などに取り付けられる片開きドアである。図1は、屋内側から見た建具1の正面図である。勝手口は、住宅の外壁11に形成された開口部12に設けられている。建具1は、使用者が出入可能な形態であり、幅寸法よりも高さ寸法の方が大きい。図1および図2に示すように、建具1は、枠体2と、障子3と、換気装置4と、を有する。枠体2は、開口部12の縁部に沿って開口部12に取り付けられている。枠体2は、四方枠である。枠体2は、上枠21と、下枠22と、一対の縦枠23,24と、を有する。障子3は、枠体2内の開口を開閉する。障子3は、框31と、面材32と、を有する。框31は、上框33と、下框34と、吊元框5と、戸先框35と、を有する。上框33および下框34は、後述する幅方向に延びる横框である。吊元框5および戸先框35は、上下方向に延びる縦框である。吊元框5は、丁番で縦枠23に固定されている。障子3は、枠体2に上下方向に延びる軸線36回りに回転可能に支持されている。戸先框35には、ハンドル351が取り付けられている。ハンドル351は、例えば、レバーハンドルである。図2に示すように、面材32は、2枚の板ガラス321の間に空気層322が設けられたペアガラスである。
【0009】
以下の説明では、障子3は開口部12を閉鎖している姿勢である。外壁に直交する水平方向、すなわち障子3の面材32に直交する水平方向を屋内外方向と表記する。図面では、屋内外方向を矢印Yで示す。外壁に沿った水平方向、すなわち障子3の面材32に沿った水平方向を幅方向と表記する。図面では、幅方向を矢印Xで示す。屋内外方向と幅方向とは直交している。幅方向のうち、吊元框5に対して戸先框35が設けられている側を一方側と表記し、戸先框35に対して吊元框5が設けられている側を他方側と表記する。
【0010】
換気装置4は、吊元框5を介して屋内の換気を行う。図3および図4に示すように、換気装置4は、吊元框5に形成された屋外通気口55および屋内通気口56と、屋外通気口55および屋内通気口56を開閉する開閉ユニット41と、を有する。換気装置4は、吊元框5に設けられる。吊元框5の幅方向の寸法は、戸先框35の幅方向の寸法と略同じ値である。
【0011】
吊元框5は、屋外側部材51と、屋内側部材52と、を有する。屋外側部材51および屋内側部材52は、それぞれ上下方向に延びる形材である。屋外側部材51および屋内側部材52は、例えば、アルミニウム合金などを材料として成形されている。屋外側部材51および屋内側部材52それぞれの水平断面形状は、上下方向の全体にわたって同じである。
【0012】
屋外側部材51は、屋外板部511と、第1屋外突出板部512と、第2屋外突出板部513と、ガイド片514と、を有する。屋外板部511は、板面が屋内外方向を向く平板状である。屋外板部511は、吊元框5の屋外側の面を備えている。第1屋外突出板部512は、屋外板部511の幅方向の一方側の端部から屋内側に突出している。第2屋外突出板部513は、屋外板部511の幅方向の中間部から屋内側に突出している。ガイド片514は、屋外板部511における第1屋外突出板部512と第2屋外突出板部513との間の位置から屋内側に突出している。屋外板部511における第2屋外突出板部513とガイド片514との間の部分には、幅方向に延びる複数の屋外通気口55が上下方向に間隔をあけて形成されている。複数の屋外通気口55は、屋外板部511の上下方向全体にわたって形成されている。
【0013】
屋内側部材52は、第1屋内板部521と、第2屋内板部524と、第1屋内突出板部522と、第2屋内突出板部523と、を有する。第1屋内板部521は、板面が屋内外方向を向く平板状である。第2屋内板部524は、板面が屋内外方向を向く平板状である。第2屋内板部524の幅方向の一方側の端部近傍は、第1屋内板部521の幅方向の他方側の端部と連結部525を介して連結されている。連結部525は、屋内外方向に延びる一対の連結片525a,525aと、一対の連結片525a,525aを連結する接続片525bと、を備えている。第2屋内板部524と連結部525との間には、第1中空部526が形成されている。第1屋内突出板部522は、第1屋内板部521の幅方向の一方側の端部近傍から屋外側に突出している。第2屋内突出板部523は、第1屋内板部521の幅方向の他方側の端部近傍から屋外側に突出している。第2屋内突出板部523は、連結部525よりも吊元側に形成されている。第1屋内板部521には、幅方向に延びる複数の屋内通気口56が上下方向に間隔をあけて形成されている。第1屋内板部521には、上下方向の中間部に上下方向に延びる開口部57が形成されている。複数の屋内通気口56は、第1屋内板部521における開口部57よりも上方の領域全体、および開口部57よりも下方の領域全体にわたって形成されている。複数の屋外通気口55と、複数の屋内通気口56とは、屋内外方向に対向する位置に配置される。
【0014】
屋外板部511と、第1屋内板部521および第2屋内板部524とは、屋内外方向に間隔をあけて配置されている。第1屋外突出板部512の先端部分と第1屋内突出板部522とは、連結されている。第1屋外突出板部512と第1屋内突出板部522とは、屋外板部511と第1屋外突出板部512との間において屋内外方向に延びる壁部を構成している。第2屋外突出板部513の先端部分と第2屋内突出板部523とは、連結されている。第2屋外突出板部513と第2屋内突出板部523とは、屋外板部511と第1屋外突出板部512との間において屋内外方向に延びる壁部を構成している。第2屋外突出板部513の先端部513aは、第1中空部526の屋外側に配置されている。
【0015】
吊元框5には、屋外板部511における第2屋外突出板部513よりも幅方向の一方側の部分、第1屋内板部521、第1屋外突出板部512、第1屋内突出板部522、第2屋外突出板部513および第2屋内突出板部523に囲まれた第2中空部53が形成されている。屋外通気口55と、屋内通気口56とは、第2中空部53を介して繋がっている。吊元框5には、屋外板部511の第2屋外突出板部513よりも幅方向の他方側の部分、第2屋内板部524の連結部525よりも幅方向の他方側の部分および第2屋外突出板部513に挟まれた溝部54が形成されている。溝部54は、幅方向の他方側に開口している。溝部54には、面材32の幅方向の一方側の縁部が嵌めこまれる。
【0016】
開閉ユニット41は、開閉部42と、操作部43と、連結部44と、位置固定部45と、を有する。位置固定部45は、図4を参照する。開閉部42、連結部44および位置固定部45は、吊元框5の第2中空部53に配置される。開閉部42は、上下方向に移動して屋外通気口55を開閉する。操作部43は、使用者が屋内側から上下方向に移動させて操作する部材である。連結部44は、開閉部42と操作部43とを連結する。開閉部42および連結部44は、操作部43の操作に連動して上下方向の所定の範囲を一体に移動可能である。開閉部42、操作部43および連結部44の移動可能な範囲の上端の位置を上端位置と表記する。開閉部42、操作部43および連結部44の移動可能な範囲の下端の位置を下端位置と表記する。位置固定部45は、開閉部42、操作部43および連結部44を上端位置および下端位置のいずれかに固定する。
【0017】
開閉部42は、長尺の平板状である。開閉部42は、板面が屋内外方向を向き、上下方向に延びる向きに配置される。開閉部42の高さ寸法は、吊元框5の高さ寸法と略同じである。開閉部42には、幅方向に延びるスリット421が上下方向に間隔をあけて上下方向全体にわたって形成されている。上下に配列されるスリット421の間の部分を閉塞板部422と表記する。開閉部42は、屋外板部511の屋内側の面に沿って配置される。
開閉部42は、第2屋外突出板部513とガイド片514との間に配置される。第2屋外突出板部513の屋内外方向の端部近傍には、幅方向の一方側に突出する突出片513bが形成されている。ガイド片514には、屋内側端部から幅方向の他方側に突出する突出片514aが形成されている。第2屋外突出板部513の突出片513bとガイド片514の突出片514aとは、幅方向に間隔をあけて対向している。突出片513bおよび突出片514aは、開閉部42の屋内側に配置される。突出片513bおよび突出片514aは、開閉部42を支持している。
【0018】
操作部43は、第1屋内板部521の開口部57に挿入される。操作部43の第1屋内板部521よりも屋内側に突出する部分431は、使用者に把持される。操作部43は、開口部57に沿って上下方向に移動する。第1屋内板部521の屋内側には、操作部43の上下方向の移動をガイドするガイド部材46が取り付けられている。図3に示すように、ガイド部材46は、第1屋内板部521の屋内側の面における開口部57の幅方向の両側の縁部それぞれの近傍に固定される一対の固定片461,461と、一対の固定片461,461から屋内側に突出する一対の突出片462,462と、を有する。一対の突出片462,462は、開口部57の高さ範囲全体にわたって上下方向に延びている。操作部43は、一対の突出片462,462の間に配置される。操作部43は、一対の突出片462,462によって幅方向の移動が拘束され、上下方向に移動するようにガイドされる。
【0019】
連結部44は、例えば、箱状やブロック状、板状の部材である。連結部44は、屋外側の端部が開閉部42の屋内側の面と接触する。連結部44の屋外側には、ピンなどの固定具441で開閉部42が固定される。連結部44の屋内側には、操作部43と接続される。操作部43と連結部44とは、一体に形成されていてもよい。操作部43と連結部44とは、接着剤や固定具などによって固定されていてもよい。
【0020】
図4に示すように、位置固定部45は、吊元框5に固定される框固定部451と、連結部44と接続される移動部452と、を有する。框固定部451は、例えば、吊元框5の屋内側部材52に固定されている。框固定部451には、下穴部453と、上穴部454と、が形成されている。下穴部453は、上穴部454の下側に配置されている。下穴部453および上穴部454は、屋外側に開口している。移動部452は、連結部44の上部から上方に延びる基部455と、基部455の上端部522aから折れ曲がって4屋内側に延びる突出部456と、を有する。
【0021】
突出部456は、開閉部42、操作部43および連結部44が下端位置に配置されると、下穴部453に挿入される。下穴部453の下端と突出部456とが接触して位置固定される。突出部456は、開閉部42、操作部43および連結部44が上端位置に配置されると、上穴部454に挿入される。上穴部454の下端と突出部456とが接触して位置固定される。突出部456は、弾性変形可能である。操作部43が操作されて連結部44が下端位置から図5に示す上端位置に向かって上方に移動すると、基部455が上方に移動するため、下穴部453に挿入された突出部456は、上方に押し下げられて弾性変形し、下穴部453から抜け出る。連結部44が上端位置に配置されると、突出部456は、上穴部454に挿入される。
【0022】
操作部43が操作されて連結部44が上端位置から下端位置に向かって下方に移動する場合も、上穴部454に挿入された突出部456は、下方に押し下げられて弾性変形し、454から抜け出る。開閉部42、連結部44が上端位置に配置されると、突出部456は、下穴部453に挿入される。突出部456は、下穴部453に挿入されることによって連結部44を下端位置に固定する。連結部44が下端位置に固定されることによって、開閉部42および操作部43も下端位置に固定される。突出部456は、上穴部454に挿入されることによって連結部44を上端位置に固定する。連結部44が上端位置に固定されることによって、開閉部42および操作部43も上端位置に固定される。
【0023】
開閉部42は、下端位置に配置されると、複数のスリット421がそれぞれ屋外通気口55と屋内外方向に重なり、屋外通気口55を開口する。屋外通気口55、スリット421および屋内通気口56を介して吊元框5の屋内側と屋外側とで通気が可能になる。開閉部42は、上端位置に配置されると、スリット421の間の閉塞板部422が屋外通気口55と屋内外方向に重なり、屋外通気口55を閉塞する。吊元框5の屋内側と屋外側との通気が不可能となる。屋外板部511の屋内側の面および開閉部42の屋外側の面のいずれかにパッキンなどが設けられ、スリット421の間の閉塞板部422が屋外通気口55と屋内外方向に重なった際に、屋外板部511と開閉部42との隙間を塞ぐようにしてもよい。
【0024】
建具1は、吊元框5に換気装置4が設けられていることにより、吊元框5の屋内側と屋外側との通気が可能となり、屋内の換気を行うことができる。換気装置4は、吊元框5に設けられている。換気装置4は、上框33や下框34に設ける場合と比べて、上下方向に細長いすっきりとした形状にすることができ、意匠性を良くすることができる。換気装置4は、上框33や下框34に設ける場合と比べて、屋外通気口55および屋内通気口56を多く設けることができる。吊元框5は、吊元框5の幅方向の寸法を戸先框35と幅方向の寸法と略同じ値にして、換気装置4を設けている。建具1は、障子3を屋内外方向から見てシンメトリーな形状になる。建具1は、意匠性を良くすることができる。
【0025】
障子3の面材32は、2枚の板ガラス321の間に空気層322が設けられたペアガラスである。建具1は、換気を行うことができるとともに、断熱性を向上させることができる。
【0026】
(第2実施形態)
図6に示すように、第2実施形態による建具1Bの換気装置4Bの開閉ユニット41Bは、第1屋内板部521の屋外側にも開閉部42Bが設けられている。屋外板部511の屋内側の面に沿って設けられる開閉部42Bを屋外開閉部423と表記する。第1屋内板部521の屋外側の面に沿って設けられる開閉部42Bを屋内開閉部424と表記する。
【0027】
屋内開閉部424は、長尺の平板状である。屋内開閉部424の高さ寸法は、吊元框5の高さ寸法と略同じである。屋内開閉部424は、板面が屋内外方向を向き、上下方向に延びる向きに配置される。屋内開閉部424には、幅方向に延びるスリット425が上下方向に間隔をあけて上下方向全体にわたって形成されている。上下に配列されるスリット425の間の部分を閉塞板部426と表記する。屋内開閉部424は、連結部44に連結されている。
【0028】
屋内開閉部424は、操作部43の操作によって下端位置と上端位置との間を上下方向に移動する。屋内開閉部424は、屋外開閉部423と連動する。屋内開閉部424は、下端位置に配置されると、複数のスリット425がそれぞれ屋内通気口56と屋内外方向に重なり、複数の屋内通気口56を開口する。屋内開閉部424が下端位置に配置されると、屋外開閉部423も下端位置に配置され、複数の屋外通気口55を開口する。屋外通気口55、屋外開閉部423のスリット421、屋内開閉部424のスリット425および屋内通気口56を介して吊元框5の屋内側と屋外側とで通気が可能になる。屋内開閉部424は、上端位置に配置されると、スリット425の間の閉塞板部426が屋内通気口56と屋内外方向に重なり、複数の屋内通気口56を閉塞する。屋内開閉部424が上端位置に配置されると、屋外開閉部423も下端位置に配置され、複数の屋外通気口55を閉塞する。吊元框5の屋内側と屋外側との通気が不可能となる。第1屋内板部521の屋外側の面および屋内開閉部424の屋内側の面のいずれかにパッキンなどが設けられ、スリット425の間の閉塞板部426が複数の屋内通気口56と屋内外方向に重なった際に、第1屋内板部521と屋内開閉部424との隙間を塞ぐようにしてもよい。
【0029】
建具1Bの換気装置4Bは、吊元框5の屋外通気口55を開閉可能な屋外開閉部423と、屋内通気口56を開閉可能な屋内開閉部424と、を備えている。換気装置4Bは、吊元框5の屋外通気口55および屋内通気口56のいずれも閉塞することによって、建具1Bの断熱性能を向上させることができる。建具1Bの換気装置4Bは、屋外開閉部423と屋内開閉部424とが連動する。建具1Bの換気装置4Bは、屋内側から操作部43を操作することによって、障子3を開放させることなく屋外通気口55および屋内通気口56の両方を開閉することができる。
【0030】
(第3実施形態)
図7および図8に示すように、第3実施形態による建具1Cは、戸先框35Cに取り付けられるハンドル351Cがいわゆるプッシュプルハンドルである。図7に示すように、換気装置4Cは、吊元框5Cに設けられている。第3実施形態による建具1Cにおいても、吊元框5Cの幅方向の寸法は、戸先框35Cの幅方向の寸法と略同じ値である。ハンドル351Cは、上下方向に延びる長尺の形状である。ハンドル351Cは、戸先框35Cの上下方向の中間部に取り付けられている。ハンドル351Cは、受座部61と、操作部62と、を有する。受座部61は、戸先框35Cに取り付けられている。操作部62は、受座部61に取り付けられる。使用者は、障子3を開閉する際に、操作部62を押したり引いたりする。
【0031】
受座部61は、戸先框35Cを貫通して設けられる。受座部61の屋内側の端部は、戸先框35Cよりも屋内側に突出している。受座部61の屋外側の端部61aは、戸先框35よりも屋外側に突出している。受座部61には、操作部62が挿入される操作部挿入空部611が形成されている。操作部62は、戸先框35Cの屋内側および屋外側の両方に設けられている。操作部62は、挿入部621と、レバー部622と、を有する。挿入部621は、操作部挿入空部611に挿入される。レバー部622は、挿入部621と接続されている。屋内側のレバー部622は、受座部61から屋内側に突出している。屋外側のレバー部622は、受座部61から屋外側に突出している。図7に示すように、レバー部622における幅方向の一方側の縁部を第1縁部622aと表記する。レバー部622における幅方向の他方側の縁部を第2縁部622bと表記する。上述しているように、幅方向のうち、吊元框5Cに対して戸先框35Cが設けられている側を一方側と表記し、戸先框35Cに対して吊元框5Cが設けられている側を他方側と表記する。
【0032】
レバー部622における第2縁部622bには、手掛部623が設けられている。手掛部623と、戸先框35Cおよび障子3の面材32との間には、隙間63が設けられている。使用者は、この隙間63に指を入れて手掛部623を把持したり、手掛部623に手を掛けたりすることが可能である。
【0033】
使用者にレバー部622が操作されることによって、操作部62は、受座部61に対して鉛直軸線周りに所定角度回転する。操作部62が鉛直軸線周りに所定角度回転することによって、挿入部621が操作部挿入空部611において変位し、戸先框35Cに設けられたラッチを移動させる。ラッチは、不図示である。図9および図10に示すように、本実施形態の障子3は、吊元框5Cの吊元を軸として、障子3が屋外に移動するように回転して開口部12を開口する。屋外から障子3を開放する場合には、使用者は、屋外側のレバー部622を引いて障子3の戸先框35C側を屋外側に移動させる。使用者は、操作部62の手掛部623を把持したり手掛部623に手を掛けたりして障子3を屋外側に引き寄せる。図9に示すように、手掛部623が屋外側に引かれると、レバー部622における手掛部623側、すなわちレバー部622の第2縁部622b側が戸先框35Cと離れ、レバー部622の第1縁部622aが戸先框35Cに近づくように回転する。屋内から障子3を開放する場合には、屋内から操作部62を押して障子3を屋外に移動させる。使用者は、操作部62の手掛部623を押したり把持したりして障子3を屋外側に押す。図10に示すように、手掛部623が屋外側に押されると、レバー部622における手掛部623側、すなわちレバー部622の第2縁部622b側が戸先框35Cに近づき、レバー部622の第1縁部622aが戸先框35Cと離れるように回転する。
【0034】
図11および図12に示すように、第3実施形態の吊元框5Cの屋外側部材51Cには、屋外側に開口する凹部517が形成されている。屋外側部材51Cは、屋外側凹部底板部517aと、屋外側凹部側板部517b,517cと、を有する。屋外側凹部底板部517aは、凹部517の底部になる。屋外側凹部底板部517aの板面は、屋内外方向を向いている。屋外側凹部底板部517aには、屋外通気口55Cが形成されている。屋外側凹部側板部517b,517cは、凹部517の側部になる。屋外側凹部側板部517b,517cの板面は、幅方向を向いている。図12では、屋外側凹部底板部517aにおける屋外通気口55Cが形成される領域を符号55Cで示し、屋外通気口55Cを図示していない。
【0035】
吊元框5Cの屋内側部材52Cには、屋外側に開口する凹部527が形成されている。屋内側部材52Cの凹部527は、屋外側部材51Cの凹部517の屋内側に重なって配置されている。屋内側部材52Cは、屋内側凹部底板部527aと、屋内側凹部側板部527b,527cと、を有する。屋内側凹部底板部527aは、凹部527の底部になる。屋内側凹部底板部527aの板面は、屋内外方向を向いている。屋内側凹部底板部527aには、屋内通気口56Cが形成されている。屋内側凹部側板部527b,527cは、凹部527の側部になる。屋内側凹部側板部527b,527cの板面は、幅方向を向いている。図12では、屋内側凹部底板部527aにおける屋内通気口56Cが形成される領域を符号56Cで示し、屋内通気口56Cを図示していない。
【0036】
屋外側部材51Cの凹部517には、開閉ユニット41Cの開閉部42Cが設置される。開閉部42Cは、屋外通気口55Cを開閉する。屋内側部材52Cの凹部527には、開閉ユニット41Cの操作部が設置される。開閉部42Cと操作部とを連結する連結部は、屋内側凹部底板部527aおよび屋内側凹部底板部527aを貫通して設けられている。操作部は、吊元框5Cにおける上下方向の中間部に設けられている。屋内側部材52Cの凹部527には、操作部の上方および下方となる位置にフィルター7が設置されている。図11および図12では、吊元框5Cにおけるフィルター7が設置されている部分を示している。図12では、開閉部42Cの図示を省略している。
【0037】
屋外側部材51Cの凹部517には、開閉部42Cを覆うカバー部材8が設けられている。カバー部材8は、カバー屋外板部81と、カバー側板部82,83と、を有する。カバー屋外板部81は、開閉部42Cの屋外側に配置されている。カバー屋外板部81の屋外側の面は、吊元框5Cの屋外側の端面である。カバー側板部82,83は、開閉部42Cの幅方向の両側に配置されている。カバー側板部82,83は、カバー屋外板部81の幅方向の端部から屋内側に延びている。カバー側板部82,83の屋外側の端部は、屋外側凹部底板部517aと接触している。屋外側凹部側板部517b,517cのうちの幅方向の一方側の屋外側凹部側板部517bと、カバー側板部82,83のうちの幅方向の一方側のカバー側板部82との間には、隙間518aが形成されている。屋外側凹部側板部517b,517cのうちの幅方向の他方側の屋外側凹部側板部517cと、カバー側板部82,83のうちの幅方向の他方側のカバー側板部83との間には、隙間518bが形成されている。カバー側板部82,83それぞれには、屋外側凹部側板部517b,517cとカバー側板部82,83との隙間518a,518bと、カバー部材8の内部、すなわちカバー側板部82とカバー側板部83との間の空間と、を連通させるスリット821,831が形成されている。図12では、カバー側板部82,83におけるスリット821,831が形成される領域を符号821,831で示し、スリット821,831を図示していない。
【0038】
フィルター7は、フィルター本体71と、フィルターカバー72と、を有する。フィルター本体71は、屋内側凹部底板部527aの屋内通気口56Cの屋内側に配置されている。フィルターカバー72は、フィルター本体71の屋内側の面に沿って配置されている。フィルターカバー72の屋内側の面は、吊元框5Cの屋内側の端面である。フィルターカバー72は、フィルター本体71の側部は覆っていない。フィルター7と屋内側凹部側板部527b,527cそれぞれとの間には、隙間528a,528bが形成されている。
【0039】
換気装置4Cによる屋外から屋内への空気の流れは、屋外から屋外側凹部側板部517b,517cとカバー側板部82,83との隙間518a,518bに流入した空気が、カバー側板部82,83のスリット821,831を通過してカバー部材8の内部に流入し、屋外側凹部底板部517aの屋外通気口55Cを通過し、屋内側凹部底板部527aの屋内通気口56Cを通過してフィルター本体71に流入する。フィルター本体71に流入した空気は、側方に流れてフィルター7と屋内側凹部側板部527b,527cとの間の隙間528a,528bに流れ、この隙間528a,528bから屋内に流入する。換気装置4Cによる屋内から屋外への空気の流れは、上記と逆になる。屋外側から屋外側凹部底板部517aの屋外通気口55Cを通過した空気は、屋外側部材51と屋内側部材52との間に流入する。屋外側部材51と屋内側部材52との間に流入した空気は、屋内側凹部底板部527aの屋内通気口56C以外から屋内に流入しない。屋内側から屋内側凹部底板部527aの屋内通気口56を通過した空気は、屋外側部材51と屋内側部材52との間に流入する。屋外側部材51と屋内側部材52との間に流入した空気は、屋外側凹部底板部517aの屋外通気口55C以外から屋外に流出しない。
【0040】
第3実施形態の換気装置4Cは、意匠性をよくすることができる。
【0041】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、建具1は、滑り出し窓などの開き戸以外の建具であってもよい。換気装置4は、戸先框35に設けられていてもよい。障子3の面材32は、1枚の板ガラスであってもよいし、3枚以上の複数の板ガラスが空気層を介して重ねられたトリプルガラスなどの複層ガラスの面材であってもよい。
障子3の面材32は、ガラス以外のパネルであってもよい。
【0042】
図13に示すように、屋外側凹部底板部517aと屋内側凹部底板部527aとの間に、建具の網戸に使用されるような網戸ネット352が設けられていてもよい。図14に示すように、屋外側凹部底板部517aと屋内側凹部底板部527aとの間に、ステンレスのメッシュ板353が設けられていてもよい。このようにすることによって、屋外から屋内に虫が入り込むことを防止できる。
【符号の説明】
【0043】
1,1B,1C 建具、2 枠体、3 障子、4,4B,4C 換気装置、5,5C 吊元框、31 框、32 面材、33 上框、34 下框、35,35C 戸先框、42,42B,42C 開閉部、55,55C 屋外通気口、56,56C 屋内通気口、321 板ガラス、322 空気層、423 屋外開閉部、424 屋内開閉部
図1
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