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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066536
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】茶生葉摘採機
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/04 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
A01D46/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175919
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 芳春
(72)【発明者】
【氏名】雪丸 誠一
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075AC07
2B075AC08
2B075HA05
2B075HA20
2B075HC02
2B075HC11
2B075HD01
2B075HD10
(57)【要約】
【課題】本発明は、茶生葉収容体内の茶生葉の満杯状態を安定的に検出することを課題としている。
【解決手段】茶うねを跨いで走行する門型の走行機体と、
茶生葉を刈り取る摘採手段と、
前記摘採手段で刈り取った茶生葉を収容するコンテナ形状の茶生葉収容体と、
前記摘採手段で刈り取った茶生葉を前記茶生葉収容体へ移送する移送手段とより構成するとともに、
前記茶生葉収容体の内部の茶生葉を感知する満杯センサを設けることを特徴とする茶生葉摘採機。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶うねを跨いで走行する門型の走行機体と、
茶生葉を刈り取る摘採手段と、
前記摘採手段で刈り取った茶生葉を収容するコンテナ形状の茶生葉収容体と、
前記摘採手段で刈り取った茶生葉を前記茶生葉収容体へ移送する移送手段とより構成するとともに、
前記茶生葉収容体の内部の茶生葉を感知する満杯センサを設けることを特徴とする茶生葉摘採機。
【請求項2】
前記満杯センサを前記移送手段の出口の下部に設けることを特徴とする請求項1記載の茶生葉摘採機。
【請求項3】
前記満杯センサに静電容量式センサを用いることを特徴とする請求項1または2記載の茶生葉摘採機。
【請求項4】
前記満杯センサには異なる複数の種類の満杯センサを用いることを特徴とする請求項1記載の茶生葉摘採機。
【請求項5】
前記満杯センサが茶生葉を感知すると、音や表示で告知することを特徴とする請求項1、2または4記載の茶生葉摘採機。
【請求項6】
前記満杯センサが茶生葉を感知すると、前記摘採手段や前記走行機体が停止することを特徴とする請求項1、2または4記載の茶生葉摘採機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶生葉を収穫するための茶生葉摘採機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
茶生葉の収穫は、摘採手段で刈り取り、刈り取った茶生葉を移送手段により茶生葉収容体へ搬送し、収容しながら茶うねを移動し、収穫を行っている。
【0003】
茶うねを跨いで走行しながら茶生葉を摘採する茶生葉摘採機は、摘採した茶生葉を茶袋に収容するものと、茶袋より大容量のコンテナ形状の茶生葉収容体に収容するものがある。近年では、経営の拡大や作業効率の向上によるニーズから、コンテナ形状の茶生葉収容体に茶生葉を収容する茶生葉摘採機が普及し始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-34241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテナ形状の茶生葉収容体が大容量であったとしても、茶生葉の収穫途中に茶生葉収容体は満杯になり、茶生葉収容体内の茶生葉を別の容器(例えば運搬用のトラックの荷台に備えた容器など)へ移し替える必要があった。前記茶生葉収容体が茶生葉で満杯になると、行き場のなくなった茶生葉が移送手段にいっぱいになり、摘採手段にまであふれ出し、摘採作業がおこなえなくなる。そのため、通常は、茶生葉収容体が茶生葉であふれ出す前に茶生葉の移し替えをしている。しかし、そのためには、茶生葉収容体内にどれくらいの茶生葉を収容できるのかということを把握していなければならず、把握していたとしても、茶うねの距離や茶生葉の生育具合の差により、意図せず茶生葉収容体が茶生葉であふれてしまうことがある。
【0006】
本来であれば、茶生葉収容体内の茶生葉の量を目視で確認することができれば一番よいのだが、一般的に茶生葉収容体は作業者のいる操縦席より後方に位置しており、茶生葉の摘採中、作業者は進行方向を注意深く見て、摘採及び走行の操作をしているため、後方に位置する茶生葉収容体を監視することは危険であり、難しい。また、前記操縦席と前記コンテナ形状の茶生葉収容体の間には前記移送手段である移送ダクト等が位置しているため、茶生葉収容体の内容量が、わかりにくい。
【0007】
前記茶生葉収容体が茶生葉で満杯になり、移送手段や摘採手段にまで茶生葉があふれ出した場合、作業者の手作業により茶生葉を除去しなければならない。しかし、摘採手段付近は刈刃があって危険であり、移送手段内は間隔が狭くて経路が長いため、困難な作業となる。摘採作業は中断され、あふれ出した茶生葉は茶畑に落下して無駄になり、作業者は肉体的、精神的に作業が大変になるという課題があった。
【0008】
近年、開発及び普及の始まったロボット型の茶生葉摘採機において、茶生葉収容体内の満杯状態の安定的な検出は、運用上非常に重要な課題となっている。前記のような問題点を踏まえ、本発明は、茶生葉収容体内の茶生葉の満杯状態を安定的に検出することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1手段は、
茶うねを跨いで走行する門型の走行機体と、
茶生葉を刈り取る摘採手段と、
前記摘採手段で刈り取った茶生葉を収容するコンテナ形状の茶生葉収容体と、
前記摘採手段で刈り取った茶生葉を前記茶生葉収容体へ移送する移送手段とより構成するとともに、
前記茶生葉収容体の内部の茶生葉を感知する満杯センサを設けることを特徴とする茶生葉摘採機。
本発明の第2手段は、前記第1手段において、
前記満杯センサを前記移送手段の出口の下部に設ける。
本発明の第3手段は、前記第1または2手段において、
前記満杯センサに静電容量型センサを用いる。
本発明の第4手段は、前記第1手段において、
前記満杯センサには異なる複数の種類の満杯センサを用いる。
本発明の第5手段は、前記第1、2または4手段において、
前記満杯センサが茶生葉を感知すると、音や表示で告知する。
本発明の第6手段は、前記第1、2または4手段において、
前記満杯センサが茶生葉を感知すると、前記摘採手段や前記走行機体が停止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1手段により、
茶生葉収容体の内部の茶生葉の量を満杯センサが感知するため、茶生葉収容体の内部の茶生葉の量を気にすることなく、茶生葉の摘採をすることができる。満杯感知ができることにより、満杯状態を原因とする茶生葉の詰まりやあふれかえった茶生葉の除去作業から解放される。
本発明の第2、3手段により、
摘採した茶生葉が移送手段の出口付近にたまれば満杯を感知できるので、センサの特別な調整は不要であり、安定した満杯感知が可能となる。
本発明の第4手段により、
異なる複数の種類の満杯センサを用いることで、満杯感知の確実性が増す。
本発明の第5または6手段により、
満杯センサが感知すると、音や表示で告知したり、摘採手段や走行機体が停止したりすることで、作業者への確実な連絡ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は茶生葉摘採機の側面図であり、茶生葉収容体付近の断面図である。
図2図2は茶生葉摘採機の茶生葉収容体付近の上面断面図である。
図3図3は茶生葉摘採機の茶生葉収容体を背面から見た断面図である。
図4図4は満杯センサが茶生葉を感知しない状態を示した説明図である。
図5図5は満杯センサ11Aのみが茶生葉を感知した状態を示した説明図である。
図6図6は満杯センサ11Bのみが茶生葉を感知した状態を示した説明図である。
図7図7は満杯センサ11Aと満杯センサ11Bの両方が茶生葉を感知した状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面に基づいて説明をする。茶生葉摘採機1は、茶うねTUを挟んで2本のクローラ型の走行装置2を門型枠4でつないで走行機体とし、門型枠4の下に茶生葉の摘採手段5を設けてある。摘採手段5の後方には、茶生葉収容体3を設けてあり、摘採手段5にて摘採した茶生葉Tを移送手段にて茶生葉収容体3へ移送する。移送手段は送風ファン6、送風ダクト7、移送ダクト8等からなっており、摘採手段5と茶生葉収容体3は移送ダクト8で着脱自在につながっており、移送ダクト8の先端は茶生葉収容体3の上部に位置する。送風ファン6は門型枠4の上に設置してあり、フレキシブルな送風ダクト7で摘採手段5へ接続され、茶生葉Tを風送する。送風ファン6により発生した風を送風ダクト7により摘採手段5により摘採された茶生葉Tへ送風し、移送ダクト8によって茶生葉収容体3へ茶生葉Tを移送する。
【0013】
茶生葉収容体3は、上部及び周囲を取り囲む周囲壁31と底板32により構成されており、周囲壁31の全部または一部を通気性部材(例えば金網など)で構成している。茶生葉収容体3には、茶生葉収容体3の内部の茶生葉の量を感知する満杯センサ11A、11Bを設ける。本実施例では、移送手段である移送ダクト8の出口の下部に満杯センサ11Aを設け、移送ダクト8の出口の上部に満杯センサ11Bを設ける。
【0014】
満杯センサ11Aと満杯センサ11Bとは異なる種類のセンサであることが望ましい。満杯センサ11Aは接触式のセンサが望ましく、パドル式やロードセルなどの加圧センサ、バネとリミットスイッチ等を組み合わせた機械式の接触感知型などがある。本実施例では、静電容量式センサを用いており、静電容量式センサ11Aは茶生葉に接触したとき、および非接触でも近傍に茶生葉があるときに感知する。静電容量式の満杯センサ11Aは、満杯センサ11Aが茶生葉Tに接触または埋まったとき、または接触しなくても茶生葉が近くに滞留したときに満杯を感知するため、満杯センサ11Aの感度調整が不要になり、安定して満杯感知が可能となる。その他の種類の接触式の満杯センサ11Aであれば、感知するのは満杯センサ11Aが茶生葉Tに接触または埋まったときのみとなる。
【0015】
他方、満杯センサ11Bは非接触式のセンサが望ましく、その中でも本実施例では超音波式のセンサを用いている。その他にレーザー式や反射型の電波式などがある。前記茶生葉収容体3への移送は風送を用いられることが一般的で、風送により移送された茶生葉Tは進行方向の後方側の周囲壁31へ当たり、下へ落下し収容されていく。この際、液体のように底面側から均一に収容されるわけではなく、周壁の下隅部から徐々に収容され、茶生葉の安息角を超えた時に前側へ徐々に崩れながら収容されていく。左右幅方向についても傾斜などの影響を受けてどの位置から収容されるか不確定となる。また、一般的に、センサ近傍の短い距離は不感帯を持つものが多く、満杯センサ11Bに茶生葉が張り付いた状態や、接触した状態となったときに正常な感知ができない。非接触式のセンサは満杯状態の感度調整が摘採した茶生葉の状態によりシビアになる。そのため、静電容量式と超音波式の異なる種類の満杯センサを用いることにより、茶生葉Tが茶生葉収容体3内で様々な形態で収容されていても感知することができ、誤感知を防ぐことができる。満杯センサの感度が良好であれば、満杯センサ11A、満杯センサ11Bの両方を設けずに一方でもかまわない。
【0016】
ブザー音の聞こえるスピーカーやライト、表示器等を設け、茶生葉Tが茶生葉収容体3内に満杯であることを作業者や周りの人に知らせたり、摘採手段5や走行機体の走行装置2を停止させたりする電子回路を設け、茶生葉Tが茶生葉収容体3内に満杯であることを確実に連絡することができる。
【0017】
本実施例の茶生葉摘採機1を用いて、茶生葉の収穫を説明する。走行装置2を起動して、門型枠4が茶うねTUを跨ぐように移動して、摘採手段5と送風ファン6を駆動して、茶生葉Tの摘採を開始する。摘採された茶生葉Tは移送ダクト8を経由して茶生葉収容体3へ収容される。図4のような状態から始まり、徐々に茶生葉Tが茶生葉収容体3内へたまり、図5、6、7のような状態になり、満杯センサ11A、11Bが茶生葉Tを感知する。図5のように満杯センサ11Aに茶生葉Tが直接接触して感知した状態や、図6のように満杯センサ11Bが距離等により茶生葉Tを感知した状態、図7のように満杯センサ11Aや満杯センサ11Bの両方が感知した状態などがある。
【0018】
満杯センサ11Aや満杯センサ11Bにより移送ダクト8の出口付近がふさがれる前に、茶生葉収容体3が満杯であることを判断する。そのタイミングで作業者に連絡したり、茶生葉摘採機1が停止したりすることにより、移送ダクト8に茶生葉Tが遡及して詰まることがなくなる。
【0019】
茶生葉収容体3が茶生葉Tで満杯になったとき、または茶うねTUの一番端へ茶葉摘採機1が到着したときには、茶生葉収容体3内の茶生葉Tを茶葉運搬用のトラック(図示しない)などへ移し替える。この方法は様々あるが、本実施例では問わない。
【0020】
近年開発及び普及の始まったロボット型の茶生葉摘採機において、茶生葉収容体3内茶生葉Tの満杯状態の安定的な検出は 非常に有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 茶生葉摘採機
2 走行装置
3 茶生葉収容体
4 門型枠
5 摘採手段
6 送風ファン
7 送風ダクト
8 移送ダクト
9 運転席
10 操縦桿
11A、11B 満杯センサ
31 周囲壁
32 底板
T 茶生葉
TU 茶うね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7