(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066580
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】金属イオン水生成器
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176019
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000154233
【氏名又は名称】株式会社富士計器
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正志
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA03
4D061DB09
4D061EA03
4D061EB01
4D061EB05
4D061EB14
4D061EB17
4D061EB19
4D061EB31
4D061EB37
4D061EB38
4D061EB39
4D061GA02
4D061GB30
4D061GC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属電極板から溶出する金属イオン溶出量の適正化に伴う金属電極板の長期使用性、金属電極板の交換容易性、コスト低減化及び省電力を可能とする金属イオン水生成器を提供する。
【解決手段】水道水の流れ方向に沿って流入口21aと流出口21bが開口する本体ケース21と、本体ケース21に結合され、水道水の流れ方向に沿って平行に対向配置された一対の金属電極板4,5を収納する電極板収納部22と、本体ケース21内に配置され、一対の金属電極板4,5間に印加される電圧を制御する制御部及び電源部、を備え、一対の金属板4,5は、電極板収納部22内の水道水の水圧変化によってその対向間隔δが変化するように支持され、制御部は、本体ケース21内における水道水の通水/非通水を一対の金属電極板4,5間の電気抵抗値Rdの変化により検知し、金属電極板4,5に対する金属イオン水の生成のための通電制御を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌・除菌作用、消臭・防カビ作用、ウイルス不活性化等の作用効果を有する金属イオン水を生成する金属イオン水生成器であって、
水道水の流れ方向に沿って流入口と流出口を有する本体ケースと、
前記本体ケースに接続され、水道水の流れ方向に沿って平行に対向配置された一対の金属電極板を収納する電極板収納部と、
前記本体ケース内に配置され、前記一対の金属電極板間に印加される電圧を制御する制御部及び電源部、を備え、
前記一対の金属電極板は、前記電極板収納部内の水道水の水圧変化によってその対向間隔が変化するように支持され、
前記制御部は、
前記電極板収納部内における水道水の通水/非通水を前記一対の金属電極板間の電気抵抗値の変化により検知し、前記金属電極板に対する金属イオン水の生成のための通電制御を行う、ことを特徴とする金属イオン水生成器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電気抵抗値の変化によって水道水の非通水から通水に至ったと判断した場合は、前記金属電極板に金属イオン水を生成させる通電を行い、
前記電気抵抗値の変化によって水道水の通水から非通水に至ったと判断した場合は、前記金属電極板への金属イオン水を生成させる通電を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属イオン水生成器。
【請求項3】
前記本体ケースの前記流出口が常時開放されている使用状態の場合において、
前記制御部は、
前記流入口から水道水が流入し前記電極板収納部内における水道水の水圧が上昇したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が広がって前記電気抵抗値が上昇した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を開始し、
前記流入口からの水道水の流入が停止し、前記電極板収納部内における水道水の水圧が下降したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が小さくなって前記電気抵抗値が下降した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を停止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の金属イオン水生成器。
【請求項4】
前記本体ケースの前記流入口が常時開放されている使用状態の場合において、
前記制御部は、
前記流出口から水道水が流出して前記電極板収納部内における水道水の水圧が下降したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が小さくなって前記電気抵抗値が下降した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を開始し、
前記流入口からの水道水の流出が停止し、前記電極板収納部内における水道水の水圧が上昇したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が広がって前記電気抵抗値が上昇した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を停止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の金属イオン水生成器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記一対の金属電極板に対して、前記非通水時には微弱な電流を流すことにより前記電気抵抗値の変化を検知し、
前記通水時には所定の金属イオン量が溶出するように予め設定された所定の電流値を流すための定電流制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の金属イオン水生成器、
【請求項6】
前記電極板収納部は、前記本体ケースに対して着脱可能に装着され、前記本体ケースに装着されることにより前記本体ケース内に収納されている電源部及び前記制御部と電気接続されることを特徴とする請求項5に記載の金属イオン水生成器。
【請求項7】
前記制御部は、前記通水時における金属イオンの溶出時において、前記一対の金属電極板に印加される電圧の極性を所定の時間周期毎に反転させることを特徴とする請求項6に記載の金属イオン水生成器。
【請求項8】
前記制御部は、前記一対の金属電極板への通電時間の累積値が所定の時間に至った場合若しくは前記電極板収納部の使用時間が予め設定された所定の時間を超えた場合、前記電極板収納部の交換を促すための信号を出力表示することを特徴とする請求項7に記載の金属イオン水生成器。
【請求項9】
前記一対の金属電極板は、銀電極板であって、電圧の印加によって陽極側の銀電極板から銀プラスイオンが溶出されることを特徴とする請求項3又は4に記載の金属イオン水生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水を殺菌・除菌し、消臭し、ウイルス不活性化などの種々の作用を奏する銀イオン水等の金属イオン水を生成する金属イオン水生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
銀イオン(Ag+)等の金属イオンは、その高い殺菌効果、消臭効果、防カビ効果を有しており、水道水や汚水中の細菌等を殺菌・除菌等する金属イオン水を生成する金属イオン水生成器が知られている。
【0003】
このような水中に金属イオンを溶出させる金属イオン溶出装置の基本原理は、水を通水させながら通水方向に沿って複数の電極を配置し、その電極間に電圧を印加して電流を流し、水中に陽極である電極から電流量に比例した金属イオンを溶出させるものである。
【0004】
このように、水中への金属イオンの溶出量は電極間に流す電流に比例することから、電極をなるべく長時間に亘って使用するために、電極間に印加される電圧の極性を周期的に反転させるとともに、電圧の極性が反転してから所定の期間が経過するまでの間は、電極に流れる電流値を第1の電流値(スケール付着の防止に最適な電流値)に設定し、その後、電極に流れる電流値を第1の電流値よりも小さい第2の電流値(金属イオンの溶出効率が最適になる電流値)に設定するようにした銀イオン溶出ユニットが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
また、再処理水のような塩素イオンを多量に含む水においても、電解に伴う電極表面への塩化銀の析出を抑え、殺菌力を有する濃度の銀イオンを持続的に溶出することで、便器表面の水垢、ぬめりの付着を抑え、さらに臭気の発生を低減するために、小便器に給水される水の電気伝導度を検出し、一定範囲の銀イオン濃度を溶出するに最適な電気伝導度と電流値の相関式に基づいて電流値を算出して、銀電極に印加する。電極間の抵抗値が、電解スタート時よりも一定範囲を超えて増加した場合は、上記算出電流値よりも2乃至10倍大きい電流値を印加するようにした水の電解殺菌方法も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
特許文献1に記載の金属イオン溶出ユニットによれば、電極間に印加される電圧の極性反転後の電圧印加初期におけるスケールの付着を防ぐことができるとともに、その後の電流値を下げることによって金属イオン濃度を適正値に保つことができる。
【0007】
また、特許文献2に記載の殺菌装置によれば、例えば小便器に給水される水の電気伝導度を検出し、一定範囲の銀イオン濃度を溶出するに最適な電気伝導度と電流値の相関式に基づいて電流値を算出して、銀電極に印加することによって、電解に伴う電極表面への塩化銀の析出を抑え、殺菌力を有する濃度の銀イオンを持続的に溶出することで、便器表面の水垢、ぬめりの付着を抑え、さらに臭気発生を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3714945号公報
【特許文献2】特開2002-081121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、金属イオン生成器を電気洗濯機の給水ホースに取り付けた場合などにおいては、水道の蛇口を開いた状態であっても、電気洗濯機側の元栓が閉まっている状態では、金属イオン生成器に水道水は流れない。この状態では、金属イオン水生成器は、金属イオン水を生成する必要はなく、電気洗濯機を使用するために元栓を開いたために金属イオン水生成器に水道水が流れている状態においてのみ、金属イオン水生成器による金属イオン水の生成(金属イオンの溶出)が必要になる。
【0010】
このため、金属イオン水生成器に水道水が流れているか否か(通水状態であるか非通水状態であるか)をセンサによって検知し、センサが金属イオン水生成器に水道水が流れていること(通水状態にあること)を検知したときのみ、前記金属イオン水生成器に通電して金属イオン水を生成するようにすることが節電の観点から望ましい。
【0011】
しかしながら、引用文献1に記載の水の電解殺菌方法のように、金属イオン水生成器が通水状態にあるか否かを検知するためのセンサを別途設けると、金属イオン水生成器の構造が複雑化してコストアップを免れないという問題があった。
【0012】
また、特許文献2に記載のように、便器に給水される水の電気伝導度を検出し、一定範囲の銀イオン濃度を溶出するに最適な電気伝導度と電流値の相関式に基づいて電流値を算出して銀電極に印加する方法は、確かに水の汚染度を電気伝導度に鑑みて適宜銀イオンの溶出量を制御する方法は理に適ってはいるものの、特許文献1と同様に、金属イオン水生成器が通水状態にあるか否かを検知するためのセンサを設けたり、銀電極の消耗が一方の電極に偏ったり、さらには、銀電極の交換時期等のメンテナンスが難しい等の問題と共に構造が複雑化してコストアップを免れないという問題があった。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、構造の簡素化とコストダウン及び節電を図ることができる金属イオン水生成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、殺菌・除菌作用、消臭・防カビ作用、ウイルス不活性化などの作用効果を有する金属イオン水を生成する金属イオン水生成器であって、水道水の流れ方向に沿って流入口と流出口を有する本体ケースと、前記本体ケースに接続され、水道水の流れ方向に沿って平行に対向配置された一対の金属電極板を収納する電極板収納部と、前記本体ケース内に配置され、前記一対の金属電極板間に印加される電圧を制御する制御部及び電源部、を備え、前記一対の金属電極板は、前記電極板収納部内の水道水の水圧変化によってその対向間隔が変化するように支持され、前記制御部は、前記電極板収納部内における水道水の通水/非通水を前記一対の金属電極板間の電気抵抗値の変化により検知し、前記金属電極板に対する金属イオン水の生成のための通電制御を行う、ことを特徴とする。
【0015】
ここで、前記制御部は、前記電気抵抗値の変化によって水道水の非通水から通水に至ったと判断した場合は、前記金属電極板に金属イオン水を生成させる通電を行い、前記電気抵抗値の変化によって水道水の通水から非通水に至ったと判断した場合は、前記金属電極板への金属イオン水を生成させる通電を停止する。
【0016】
これによって、通水時のみに水道水中に金属イオンを溶出させるので、効率的に金属電極板の持続使用を可能としている。
【0017】
また、本発明においては、例えば(1)洗濯機のように本体ケースの流入口が常時開放されている使用状態の場合と、(2)シャワー、トイレ、台所のように、本体ケースの流出口が常時開放されている使用状態の場合と、に鑑みて、
(1)前記本体ケースの前記流出口が常時開放されている使用状態の場合においては、
前記制御部は、前記流入口から水道水が流入し前記電極板収納部内における水道水の水圧が上昇したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が広がって前記電気抵抗値が上昇した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を開始し、前記流入口からの水道水の流入が停止し、前記電極板収納部内における水道水の水圧が下降したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が小さくなって前記電気抵抗値が下降した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を停止させる、ようにする。一方、
(2)前記本体ケースの前記流入口が常時開放されている使用状態の場合においては、
前記制御部は、前記流出口から水道水が流出して前記電極板収納部内における水道水の水圧が下降したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が小さくなって前記電気抵抗値が下降した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を開始し、前記流入口からの水道水の流出が停止し、前記電極板収納部内における水道水の水圧が上昇したことにより、前記一対の金属電極板間の間隔が広がって前記電気抵抗値が上昇した場合は、前記一対の金属電極板に金属イオン水を生成させるための通電を停止する、ようにする。
【0018】
ここで、一対の金属電極板間の電気抵抗値の変化は、水圧の短時間での上昇に伴う電気抵抗値の急上昇及び水圧の短時間での下降に伴う電気抵抗値の急低下を、例えば一対の金属電極板間の電気抵抗値の単位時間当たりとプラス側の変動又はマイナス側の変動(すなわち微分値)によって確実に検知できるのである。
【0019】
ここで、前記制御部は、前記一対の金属電極板に対して、前記非通水時には微弱な電流を流すことにより前記電気抵抗値の変化を検知し、前記通水時には所定の金属イオン量が溶出するように予め設定された所定の電流値を流すための定電流制御を行うことを特徴とする。
【0020】
これによって、本発明においては、水道水の通水/非通水検知を特別の検知器を設けることなく行うようにしているのである。
【0021】
また、前記電極板収納部は、前記本体ケースに対して着脱可能に収納され、前記本体ケースに装着されることにより前記本体ケース内に収納されている電源部及び前記制御部と電気接続されるようにしている。これによって、使用時間に応じて消耗する金属板の交換作業を、一般のユーザーがすることを可能としている。
【0022】
さらに、比較的に高価な一対の金属電極板の使用時間をなるべく長期にするべく、前記制御部は、前記通水時における金属イオンの溶出時において、前記一対の金属電極板に印加される電圧の極性を所定の時間周期毎に反転させるようにしている。
【0023】
そして、前記制御部は、前記一対の金属電極板への通電時間の累積値が所定の時間に至った場合若しくは前記電極板収納部の使用時間が予め設定された所定の時間を超えた場合、前記電極板収納部の交換を促すための信号を出力し、例えば、本体ケース上に配置したLEDランプに表示する。これによって、ユーザーは、電極板収納部の交換時期を容易に知るのである。
【0024】
ところで、前記一対の金属電極板の多くは、銀電極板であって、電圧の印加によって陽極側の銀電極板から銀プラスイオンが溶出されるのであり、高い殺菌効果と消臭効果及び防カビ効果を有する銀イオン(Ag+)が溶出した銀イオン水を生成することができる。
【発明の効果】
【0025】
上記構成により、本発明に係る金属イオン水生成器は、検出機構を含めて装置構造の簡素化とコストダウン、電極板から溶出する金属イオン溶出量の適正化に伴う金属電極板の長期使用可、電極板の交換容易性及び節電を可能としたのである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る金属イオン水生成器が水道水を給水するホースに取り付けられた電気洗濯機の概観を示す。
【
図2】本発明に係る金属イオン水生成器の側面図である。
【
図3】本金属イオン水生成器の
図2における矢視A方向の図である。
【
図4】本金属イオン水生成器の
図3におけるB-B線断面図である。
【
図5】本発明に係る金属イオン水生成器の電気回路の構成例を示す。
【
図6】本発明に係る金属イオン水生成器の制御手順を示すフローチャートの例を示す。
【
図7】本発明に係る金属イオン水生成器の金属電極板間の水の電気抵抗値の変化と金属電極板への通電のON/OFF動作を示すタイムチャートの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る金属イオン水生成器1の使用例を示すが、この使用例では、金属イオン水生成器1が電気洗濯機100の給水ホース101に取り付けられている。
【0029】
ここで、給水ホース101は、可撓性を有する樹脂製又は金属製のホースであって、その長手方向一端は、水道の蛇口110に接続され、長手方向他端は、電気洗濯機100の注水口に接続されている。そして、この給水ホース101に本発明に係る金属イオン水生成器1が着脱可能に取り付けられる。
【0030】
[金属イオン水生成器の構成]
次に、本発明に係る金属イオン水生成器1の構成の詳細を
図2乃至
図4に基づいて以下に説明する。
【0031】
本実施の形態に係る金属イオン生成器1は、殺菌・防カビ作用、ウイルス不活性化などの作用効果を有する銀イオン水を生成するものであって、樹脂製のケース2を備えている。このケース2は、本体ケース21と、該本体ケース21に着脱可能に装着された樹脂製の電極板収納部22(
図4参照)によって構成されている。ここで、本体ケース21には、着脱可能な樹脂製のカバー23も含まれる。
【0032】
この本体ケース21の水道水の流れ方向において上流側端部(
図2の左端部)と下流側端部(
図2の右端部)には、
図1に示す給水ホース101に接続される円筒状のプラグ21A,21Bがそれぞれ一体に形成されている。そして、プラグ21Aの上流側端部には、本体ケース21への水道水の流入口21aが開口しており、プラグ21Bの下流端には、本体ケース21からの水道水の流出口21bが開口している。
【0033】
また、本体ケース21のカバー23によって囲まれた部分には、
図4に示すように、前記電極板収納部22が2本のネジ3によって着脱可能に装着されており、この電極板収納部22には、円筒状の2つのボス22A,22Bが一体に立設されている。そして、本体ケース21の電極板収納部22を受けるベース部21Cの電極板収納部22のボス22A,22Bに対応する位置にはネジ孔21c,21dがそれぞれ形成されている。ここで、電極板収納部22には、水道水の流れ方向に沿って平行に対向配置された一対の銀電極板4,5が収納されており、これらの銀電極板4,5の間には、微小隙間(0.1mm程度)δが形成されている。そして、一対の銀電極板4,5は、後述のように、電極板収納部22を流れる水道水の水圧の変化によって両者間の微小隙間δが変化するように支持されている。なお、本実施の形態では、ケース2の材質には、ポリカーボネート(PC)が選定されているが、これに限定されることなく他の任意の樹脂を使用することができる。
【0034】
そして、電極板収納部22に立設された2つのボス22A,22Bには、導電性金属(本実施の形態では、SUS)製の前記ネジ3がそれぞれ挿通しており、これらのネジ3が本体ケース21のベース部21Cに形成された前記ネジ孔21c,21dにそれぞれねじ込まれることによって、電極板収納部22が前述のように本体ケース21に着脱可能に取り付けられている。
【0035】
他方、
図4に示すように、本体ケース21のカバー23によって囲まれた空間内には、制御基板6が配置されており、この制御基板6の端部から突出する電極7が一方のネジ3に当接することによって、前記電極7とネジ3及び一方の銀電極板4とが電気的に導通している。ここで、制御基板6には、電源部や
図5に示す制御部13などが実装されている。そして、電極板収納部22が本体ケース21に装着されると、制御基板6と銀電極板4,5とが電気的に接続される。
【0036】
ところで、
図3及び
図4に示すように、カバー23の下流側(
図4の右側)の端面には、矩形の差込孔23aが開口しており、この差込孔23aには、
図1に示す電源コード8の一端に取り付けられた不図示のプラグ端子が差し込まれて制御基板6に電気的に接続される。なお、
図1に示す電源コード8の他端には、
図5に示すアダプタ9が取り付けられており、このアダプタ9には、商用交流電圧を必要な直流電圧に変換するDC電源アダプタであるAC/DCコンバータ10(
図5参照)が内蔵されている。また、図示しないが、アダプタ9からは2本のソケット端子が突出しており、これらのソケット端子を
図5に示すAC100Vの商用電源120の電源コンセントに差し込む。また、このAC/DCコンバータ10と電圧回路11(AC/DCコンバータ10内に組み入れることは可能)によって、例えば、金属イオン生成器1にはIC等へ供給される制御用のDC5Vや電極板駆動回路12に提供される電極板駆動用電圧(例えば、DC9V)が供給される。
【0037】
ここで、
図4に示す制御基板6には不図示のLEDが実装されており、カバー23の頂部のLEDに対向する位置には、LEDから出射する光を透過させる薄肉状の光透過部23bが形成されている。
【0038】
ところで、本実施の形態では、金属イオンを溶出する電極板として、銀イオン(Ag+)を溶出する銀電極板4,5を用いたが、電極板としては、殺菌効果を有する他の金属イオンを溶出する金属板、例えば、銅、銀と銅の合金、亜鉛などの金属板を用いても良い。
【0039】
次に、
図5に基づいて、本実施の形態に係る金属イオン水生成器1の制御基板6に組み込まれた電気回路の構成について説明する。
【0040】
図5において、AC100Vの商用電源120には、AC/DCコンバータ10が内蔵されたアダプタ9が接続されており、このアダプタ9には、電圧回路11が接続されている。そして、この電圧回路11の出力側には、電極板駆動回路12と制御部(ECU:Electronical Control Unit)13が接続されており、電圧回路11からはDC5Vの電圧が供給されるとともに、電極板駆動回路12には(+/-)DC駆動電圧が供給される。
図5において、+/-(プラス及びマイナス)DC駆動電圧としているのは、通水時における金属イオンの溶出時において、一対の金属電極板4、5に印加される電圧の極性を所定の時間周期毎に反転させることにより、金属電極板の使用時間を極力長くするためである。
【0041】
ここで、制御部(ECU)13の出力部13aは、D/A変換器14を介して電極板駆動回路12に接続されている。そして、電極板駆動回路12は、陽極側の銀電極板4(または5)に接続されており、陰極側の銀電極板5(または4)は、電流検出回路15に接続されている。また、電流検出回路15は、A/D変換器16を介して制御部(ECU)13の入力部13bに接続されている。
【0042】
ここで、制御部(ECU)13は、D/A変換器を介して電極板駆動回路12に対して一対の銀電極板4,5間に低電圧を印加することにより微小電流(id)を流し、電流検出回路15において抵抗RD間の電圧(vd)を検出し、その検出電圧がA/D変換器16を介して制御部(ECU)13に入力される。これよって、制御部(ECU)13は、銀電極板4,5間に満たされている水道水の電気抵抗値(RDd=Vd÷id)を算出し、それをメモリに記憶しておく。
【0043】
そして、本発明においては、この銀電極板4,5間の電気抵抗値RDdが水道水の蛇口110(
図1)が開かれ又は閉じられたり、又は洗濯機100の受水口が開かれたり閉じられたりした結果、銀電極板4,5間の電気抵抗値RDdが急変した場合に、水道水が銀電極板4,5間を非通水状態から通水状態に至ったか、若しくは通水状態から非通水状態になったかを検出するのである。銀電極板4,5間の水圧が増大した場合は、樹脂製の電極板収納部22が変形し、その結果銀電極板4,5間の間隔が広がることになるので、水道水が銀電極板4,5間を非通水状態から通水状態に至ったか、若しくは通水状態から非通水状態になったかを確実に検知できのである。
【0044】
制御部(ECU)13は、前記制御部は、銀電極板4,5間の電気抵抗値RDdの変化によって水道水の非通水から通水に至ったこと又は通水状態から非通水状態になったことを判断し、通水状態になったと判断した場合は、銀電極板4,5に金属イオン水を生成させる通電を行い、一方、銀電極板4,5間の電気抵抗値RDdの変化によって水道水の通水から非通水に至ったと判断した場合は、銀電極板4,5への金属イオン水を生成させる通電を停止し、上述したように、一対の銀電極板4,5間に低電圧を印加することにより微小電流(id)を流し、電流検出回路15において抵抗RD間の電圧(vd)を検出するモードに入るのである。
【0045】
これによって、通水時のみに水道水中に金属イオンを溶出させるので、効率的に金属電極板の持続使用を可能としている。
【0046】
ところで、本発明においては、例えば(1)洗濯機100のように本体ケース2の流入口及び流水口が常時開放されていて、洗濯機100側の受水口が閉じられたり開かれたりする使用状態の場合と、(2)シャワー、トイレ、台所のように、本体ケース2の流出口が常時開放されていて、水道の蛇口が開かれたり閉じられて使用され使用状態の場合と、に鑑みて、
(1)本体ケース21の流出口が常時開放されている使用状態の場合においては、制御部ECU13は、流入口から水道水が流入し電極板収納部22内における水道水の水圧が上昇したことにより、一対の金属電極板4,5間の間隔が広がって電気抵抗値RDdが上昇した場合は、一対の金属電極板4,5に金属イオン水を生成させるための通電を開始し、流入口からの水道水の流入が停止し、電極板収納部内22における水道水の水圧が下降したことにより、一対の金属電極板4,5間の間隔が小さくなって電気抵抗値RDdが下降した場合は、一対の金属電極板4,5に金属イオン水を生成させるための通電を停止して、一対の銀電極板4,5間に低電圧を印加することにより微小電流(id)を流し、電流検出回路15において抵抗RD間の電圧(vd)を検出するモードに入る。一方、
(2)本体ケース21の流入口及び流出口が常時開放されていて、水道水の蛇口からの通水が行われたり遮断されるような使用状態の場合においては、制御部ECU13は、流出口から水道水が流出して電極板収納部22内における水道水の水圧が下降したことにより、一対の金属電極板4,5間の間隔が小さくなって電気抵抗値RDdが下降した場合は、一対の金属電極板4,5に金属イオン水を生成させるための通電を開始し、その後、流入口からの水道水の流出が停止し、電極板収納部22内における水道水の水圧が上昇したことにより、一対の金属電極板4,5間の間隔が広がって電気抵抗値RDdが上昇した場合は、一対の金属電極板4,5に金属イオン水を生成させるための通電を停止し、電流検出回路15による抵抗RD間の電圧(vd)を検出するモードに入るのである。
【0047】
ここで、電流検出回路は、非通水状態における一対の金属電極板4,5間の水道水の電気抵抗値RDdを検出すると共に、通水状態において一対の金属電極板4,5に金属イオン水を生成させる際には、金属イオンの溶出量を一定にするために、一対の金属電極板4,5への駆動を所定の定電流にするのである。
【0048】
[金属イオン水生成器の作用]
次に、本金属イオン水生成器1が、洗濯機100の給水ホース100に接続された場合について、
図6に示すフローチャート及び
図7に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。上述したように、本金属イオン水生成器1が、洗濯機100の給水ホース100に接続されて使用される場合、多くの場合、水道の蛇口100は、通水するように開かれており、且つ、本金属イオン水生成器1の本体ケース21の流入口も流出口も通水可能に開放されており、洗濯機100側の受水口が洗濯機100内の制御装置(図示せず)により閉じられている。
【0049】
この場合、本金属イオン水生成器1の本体ケース21に接続されている電極板収納部22内の水圧は、洗濯機100内に水道水が通水していない状態では、水道供給圧と同じに高い。従って、電極板収納部22内の圧力も高く、一対の銀電極板4,5の距離が広がっており、電極板4,6間の水道の電気抵抗値RDdが高い。そして、洗濯機100内に水道水が流れ込む状態になった時点で、電極板収納部22内の圧力は多少低下し、その結果、一対の銀電極板4,5の距離が少し小さくなり、電極板4,6間の水道の電気抵抗値RDdが低下することになる。
【0050】
制御部ECU13は、この電極板4,6間の水道の電気抵抗値RDdが低下を検知することにより、洗濯機100内に水道水が流れ込んで使用されることを知り、一対の電極板4,5間の水道水に銀イオンを溶出させるための電流を流すのである。そして、洗濯機100内への水道水の流れ込みが停止されたことを、電極板4,6間の水道の電気抵抗値RDdが低下を検知することにより知り、一対の電極板4,5間の水道水に銀イオンを溶出させるための電流を停止し、一対の銀電極板4,5間に低電圧を印加することにより微小電流(id)を流し、電流検出回路15において抵抗RD間の電圧(vd)を検出するモードに入るのである。
【0051】
このように、本発明に係る金属イオン水生成器1においては、制御部13は、本体ケース21内への水道水の通水/非通水を一対の銀電極板4,5間の電気抵抗値RDdによって検知し、この電気抵抗値RDdが所定の閾値を低下すると銀電極板4,5間の水道水に銀イオン溶解させるイオン溶解モードの通電を行い、電気抵抗値が閾値を超えた場合には銀電極板4,5へのイオン溶解モードの通電を遮断して、一対の銀電極板4,5間に低電圧を印加することにより微小電流(id)を流し、電流検出回路15において抵抗RD間の電圧(vd)を検出するモードに入るのである。
【0052】
そして、制御部(ECU)13は、銀電極板4,5への通電中において銀電極板4,5に印加される電圧の極性(陽極(+)と陰極(-))を所定の時間周期で交互に反転させるようにしている。制御部(ECU)13は、銀電極板4,5への通電時間の累積値が所定の時間に至ったとき、或いは電極板収納部22の使用時間が所定の時間を超えた場合、電極板収納部22の交換を促すための信号を出力する。すると、制御基板6に実装された不図示のLEDが点灯して電極板収納部22が交換時期に達したことをユーザーに報知する。
【0053】
以下、本実施の形態に係る金属イオン水生成器1における制御部(ECU)13による制御手順と、銀電極板4,5間の水の電気抵抗値の変化と銀電極板4,5への銀イオンの溶解モード用通電のON/OFF制御の例について、
図6及び
図7に基づいて説明する。
【0054】
図6及び
図7は、例えば(1)洗濯機100のように本体ケース2の流入口が常時開放されており、洗濯機100側で水道水の流入を開始したり、水道水の流入を閉鎖する場合の制御の例を示すものである。他方、本体ケース21の流入口及び流出口が常時開放されていて、水道水の蛇口からの通水が制御(通水又は遮断)の制御は異なるものとなる。
【0055】
制御部(ECU)13による制御が開始されると(
図6のステップS1)、AC/DCコンバータ9(
図5)の電源がONされたか否かが判定される(ステップS2)。電源がONされた場合(ステップS2:Yes)、銀電極板4,5の溶解モード用の通電はOFFされており、銀電極板4,5間に低電圧を印加することにより微小電流(id)を流し、電流検出回路15において抵抗RD間の電圧(vd)を検出する通水/非通水の検出モードに入っている(ステップS3)。
【0056】
すなわち、制御部(ECU)13は、
図5に示す電流検出回路15によって検出される電流と電圧回路11から当該制御部(ECU)13に供給される電圧に基づいて銀電極板4,5間の電気抵抗値Rdを算出し(ステップS4)、算出した電気抵抗値Rdが所定の閾値Ro(
図7参照)よりも低下したか否か(Rd<Ro ?)を判定する(ステップS5)。次に、洗濯機100の制御により、洗濯機100の受水口に水道水が流れ込んでいけば(通水時:
図7に示す時間0乃至t
1)には、本体ケース2及び電極板収納部22内の水圧が低下し、銀電極4,5間は小さくなるので、銀電極4,5間の水道水の電気抵抗値Rdは、所定の閾値Ro未満(Rd<Ro)となる(ステップS5:Yes)ので、銀電極板4,5への通電はイオン溶解モードとする(ステップS6)。一方、銀電極4,5間の水道水の電気抵抗値Rdが、所定の閾値Ro以上(Rd>Ro)の場合は、銀電極板4,5間に低電圧を印加することにより微小電流(id)を流し、電流検出回路15において抵抗RD間の電圧(vd)を検出する通水/非通水の検出モードを維持する(ステップS3)。
となる。
【0057】
このように、洗濯機100側へ水道水が流れ込んでいる状態においては、陽極側の銀電極板4(または5)から所定量の銀イオン(Ag+)が溶出するように予め設定された所定の電流を流すための定電流制御が行われるのである。
【0058】
ところで、この金属イオン水生成器1においては、陽極側の銀電極板4(または5)から銀イオン(Ag+)が溶出するのに対して、陰極側の銀電極板5(または4)からは水素(H2)が発生するとともに、水の溶存成分から構成される炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどのスケールが陰極側の銀電極板5(または4)の表面に析出する。また、陽極側の銀電極板4(または5)の成分金属の塩化物や硫化物も陰極側の銀電極板5(または4)の表面に付着する。したがって、金属イオン水生成器1の使用が長期に亘ると、スケールや金属塩化物、金属流加物などが陰極側の銀電極板5(または4)の表面に厚く堆積し、陽極側の銀電極板4(または5)からの銀イオン(Ag+)の溶出を妨げる。この結果、銀イオン(Ag+)の溶出量が不安定となったり、陽極側の銀電極板4(または5)の減耗が不均一になるという問題が発生する。
【0059】
そして、陽極側の銀電極板2(または5)から銀イオン(Ag+)が溶出し続ければ、前記銀電極板4(または5)の一方が経時的に減耗していく。このため、本実施の形態では、銀電極板4,5に印加される電圧の極性を制御部(ECU)13によって通電時に一定の時間周期で反転させ、陽極側の銀電極板4(または5)の偏減耗を抑制し、銀電極板4,5の交換サイクル時間を極力長くするようにしている。
【0060】
すなわち、制御部(ECU)13は、銀電極板4,5への通電時間の累積値(或いは電極板収納部22の使用時間)が所定の時間に至らない場合(ステップS8:No)には、銀電極板4,5への通電を開始した時点(
図7に示す時間t
1)から一定時間が経過したか否かを判定し(ステップS9)、一定時間が経過すると(ステップS9:Yes)、銀電極板4,5に印加される電圧の極性を反転させる(ステップS10)ようにしている。
【0061】
そして、制御部(ECU)13は、電流検出回路15によって検出される電流と電圧回路11から当該制御部(ECU)13に供給される電圧に基づいて銀電極板4,5間の現在の電気抵抗値Rdを算出し(ステップS11)、その電気抵抗値Rdが所定の閾値Roを超えたか否か(Rd>Ro ?)を判定する(ステップS12)。
【0062】
電気抵抗値Rdが所定の閾値Roよりも低い状態を維持している場合(ステップS12:No)には、ステップS9→S12の処理が繰り返されて所定の周期で銀電極板4,5に印加される電圧の極性が反転される(ステップS10)。
【0063】
他方、電気抵抗値Rdが
図7に示す時間t
2において所定の閾値Roを超えた場合(ステップS12:Yes)には、銀電極板4,5へのイオン溶解モードの通電を停止(通電OFF)し(ステップS13)、制御部(ECU)13は、AC/DCコンバータ9の電源がON状態に維持されている場合(ステップS14:No)、ステップS4→S14の処理を繰り返し、電源がOFFされた場合(ステップS14:Yes)には、一連の処理を終了する(ステップS15)。しかし、通常、本金属イオン水生成器1の電源はオンされたた状態で使用される。
【0064】
他方、銀電極板4,5への通電を開始(ステップS6)してからの経過時間の累積値(或いは、電極板収納部22の使用時間)が予め設定した所定の時間に達した場合(ステップS8:Yes)には、制御部(ECU)13は、電極板収納部22の交換を促すための信号を出力し(ステップS16)、一連の処理を終了する(ステップS15)。
【0065】
なお、制御基板6には、ベージュと青の光を出射する不図示のLEDが実装されており、金属イオン水生成器1に電源を入れるとベージュと青のLEDが2秒間点灯し、両銀電極板4,5の間に水道水が流れるとベージュのLEDが点灯する。つまり、ベージュのLEDの点灯は、銀イオン(Ag+)が溶出していることを知らせ、銀イオン(Ag+)が溶出していないとき(水が流れていないとき)には、ベージュのLEDは点灯しない。そして、陽極側の銀電極板4(または5)の減耗によって銀イオン(Ag+)の溶出量が少なくなったとき、或いは銀イオン(Ag+)が溶出しなくなったときには、青色のLEDが点灯したままの状態となってユーザーに銀電極板4,5の交換を促すが、銀電極板4,5の耐用年数は概ね1年である。
【0066】
以上のように、本実施の形態では、金属イオン水生成器1の本体ケース21内への水道水の通水/非通水を一対の銀電極板4,5間の電気抵抗値Rdによって検知するようにしたため、水道水の通水/非通水を検知するための他のセンサ等が不要となり、当前記金属イオン水生成器1の構造の簡素化とコストダウンを図ることができる。また、電気抵抗値Rdが所定の閾値Roを超えたり低下することを検出することにより、本体ケース21への通水がなされたものと判断して銀電極板4,5に通電するイオン溶出モードにしたり、水道水の通水/非通水の検出モードに切り替えるようにしているので、無用な電力の消費と金属イオンの無駄な消費を抑えることができる。
【0067】
そして、本実施の形態では、銀電極板4,5への通電中において該銀電極板4,5に印加される電圧の極性を所定の周期で交互に反転させるようにしたため、金属イオンを溶出する陽極側の銀電極板4(または5)の減耗を抑えて(両銀電極板4,5の減耗を均等化して)銀電極板4,5の耐久寿命を延ばすことができるとともに、陰極側の銀電極板5(または4)へのスケールの付着を抑える(両銀電極板4,5へのスケールの付着を均等化する)ことができる。
【0068】
また、本実施の形態においては、金属イオン水生成器1のケース2は、本体ケース21と、該本体ケース21に対して着脱可能な電極板収納部22によって構成されており、電極板収納部22に銀電極板4,5を収容したため、減耗のために銀電極板4,5を交換する際には、本体ケース21から電極板収納部22を取り外して銀電極板4,5を新しいものと簡単に交換することができ、交換の必要がない本体ケース21や制御基板6は、そのまま継続して使用することができる。
【0069】
そして、以上のような効果が得られる金属イオン水生成器1は、電気洗濯機100に予め内蔵しておく必要がなく、現在使用中の既存の電気洗濯機100に事後的に簡単に取り付けることができるため、既存の電気洗濯機100を交換することなくそのまま継続して使用し続けることができ、非常に経済的である。
【0070】
なお、以上の実施の形態では、本発明に係る金属イオン水生成器1によって生成される金属イオン水(銀イオン水)の供給を受ける機器の例として電気洗濯機100を挙げたが、本発明に係る金属イオン水生成器1は、例えば、シャワーヘッド、トイレ、台所などの水道水を使用する他の任意の機器に対しても同様に使用して前記と同様の効果を得ることができる。ここで、シャワーヘッド、トイレ、台所などにおいては、本体ケース21の流出口21bは、常時開放されている。
【0071】
また、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1 金属イオン水生成器
2 ケース
21 本体ケース本体
21a 流入口
21b 流出口
22 電極板収納部
4,5 銀電極板(金属電極板)
6 制御基板
9 アダプタ
10 AC/DCコンバータ
11 電圧回路
12 電極板駆動回路
13 制御部(ECU)
15 電流検出回路
100 電気洗濯機
120 商用電源
Rd 電気抵抗値
Ro 電気抵抗値の閾値
δ 銀電極板間の隙間