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特開2024-666鞍乗り型車両のコーナリングライト構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000666
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両のコーナリングライト構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/023 20200101AFI20231226BHJP
   B62J 45/415 20200101ALI20231226BHJP
   B62J 6/027 20200101ALI20231226BHJP
【FI】
B62J6/023
B62J45/415
B62J6/027
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099493
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山本 千晶
(57)【要約】
【課題】ストアップを抑えるとともに他機種への展開を容易にした鞍乗り型車両のコーナリングライト構造を提供する。
【解決手段】鞍乗り型車両のコーナリングライト30は、車体を左右にバンクさせてコーナリングする自動二輪車に備えられ、前記コーナリング時に車体をバンクさせた方向の照射範囲を広げるものであり、前記車体のバンク角を検知するバンク角検知手段34(加速度センサ32)と、前記バンク角検知手段34が検知した前記1バンク角に応じて、前記車体をバンクさせた方向を照射するライト本体33と、を備え、前記ライト本体33と前記バンク角検知手段34とは、一体的なライトユニット30Aを構成している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を左右にバンクさせてコーナリングする鞍乗り型車両(1)に備えられ、前記コーナリング時に車体をバンクさせた方向の照射範囲を広げる鞍乗り型車両のコーナリングライト構造において、
前記車体のバンク角を検知するバンク角検知手段(34)と、
前記バンク角検知手段(34)が検知した前記バンク角に応じて、前記車体をバンクさせた方向を照射するライト本体(33)と、を備え、
前記ライト本体(33)と前記バンク角検知手段(34)とは、一体的なライトユニット(30A)を構成している
ことを特徴とする鞍乗り型車両のコーナリングライト構造。
【請求項2】
前記ライト本体(33)と前記バンク角検知手段(34)とは、同一部材(36)に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のコーナリングライト構造。
【請求項3】
前記ライトユニット(30A)は、車体左右中央に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両のコーナリングライト構造。
【請求項4】
前記ライトユニット(30A)は、車体左右中央に前記バンク角検知手段(34)の検知部(32)を有するとともに、前記検知部(32)の左右両側にそれぞれ少なくとも一つの前記ライト本体(33)を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両のコーナリングライト構造。
【請求項5】
前記鞍乗り型車両(1)は、前記車体に対して別体的に取り付けられるフレーム部材(21)を備え、
前記ライトユニット(30A)は、前記フレーム部材(21)に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両のコーナリングライト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両のコーナリングライト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IMU等のジャイロセンサーを用いて鞍乗り型車両のバンク角を検出し、バンク側の進行方向(旋回方向)の照射範囲を広げるコーナリングライトが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-006876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のコーナリングライトは、ライト本体が車体に組み込まれており、車体外装にライト本体用の開口を形成したりライト取り付け用の構造を設けたりする必要があった。このような構成では、他機種へ展開するには専用部品、専用設計が必要となり、コストアップの要因となっていた。
【0005】
そこで本発明は、コストアップを抑えるとともに他機種への展開を容易にした鞍乗り型車両のコーナリングライト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車体を左右にバンクさせてコーナリングする鞍乗り型車両(1)に備えられ、前記コーナリング時に車体をバンクさせた方向の照射範囲を広げる鞍乗り型車両のコーナリングライト構造において、前記車体のバンク角を検知するバンク角検知手段(34)と、前記バンク角検知手段(34)が検知した前記バンク角に応じて、前記車体をバンクさせた方向を照射するライト本体(33)と、を備え、前記ライト本体(33)と前記バンク角検知手段(34)とは、一体的なライトユニット(30A)を構成していることを特徴とする。
この構成によれば、コーナリングライトが車体部品に組み込まれている構成に比べて、オプション部品のような後付けが容易となり、コストアップを抑えるとともに他機種への展開を容易にすることができる。また、ライト本体およびバンク角検知手段が一体のライトユニットを構成することで、コーナリングライトをオプション設定しやすくし、かつ車体への取り付けを容易にすることができる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記ライト本体(33)と前記バンク角検知手段(34)とは、同一部材(36)に取り付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、ライト本体とバンク角検知手段とが同一部材を共用することで、一体のライトユニットを構成しやすくすることができる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記ライトユニット(30A)は、車体左右中央に取り付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、車体左右中央にバンク角検知手段を含むライトユニットを配置することで、車体のバンク角を効率よく検知することができる。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記ライトユニット(30A)は、車体左右中央に前記バンク角検知手段(34)の検知部(32)を有するとともに、前記検知部(32)の左右両側にそれぞれ少なくとも一つの前記ライト本体(33)を有していることを特徴とする。
この構成によれば、車体左右中央にバンク角検知手段の検知部を配置するとともに、左右両側にそれぞれライト本体を配置することで、車体のバンク角を効率よく検知しやすくし、かつ車体のバンク方向を照射しやすくすることができる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記鞍乗り型車両(1)は、前記車体に対して別体的に取り付けられるフレーム部材(21)を備え、前記ライトユニット(30A)は、前記フレーム部材(21)に取り付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、車体外側の広範囲に配置されたフレーム部材にライトユニットを取り付けることで、ライトユニットの配置自由度を高めるとともに取り付けを容易にし、コーナリングライトの汎用性を高めてコストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コストアップを抑えるとともに他機種への展開を容易にした鞍乗り型車両のコーナリングライト構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態における自動二輪車の正面図である。
図2】上記自動二輪車のガードパイプおよびコーナリングライトユニットの正面図である。
図3】上記コーナリングライトユニットの概略構成を示す斜視図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】コーナリングライトの点灯制御システムの構成を示すブロック図である。
図6】第一実施形態のコーナリングライトユニットの具体例を示す図2に相当する正面図である。
図7図6のコーナリングライトユニットの下面図である。
図8図6のコーナリングライトユニットの左側面図である。
図9図6のコーナリングライトユニットの斜視図である。
図10図9のX-X断面図である。
図11】本発明の第二実施形態のコーナリングライトの正面図である。
図12】本発明の第三実施形態のコーナリングライトの正面図である。
図13図12の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中央を示す線CLが示されている。
【0014】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態におけるコーナリングライト30を採用した自動二輪車1の正面図である。図1に示す自動二輪車1は、舗装路のみならず未舗装路での走行も考慮した、いわゆるアドベンチャータイプの鞍乗り型車両である。
自動二輪車1は、バータイプの操向ハンドル2で操舵可能な前輪3と、内燃機関等を含むパワーユニット4と、パワーユニット4で駆動される後輪(不図示)と、を備えている。自動二輪車1は、運転者が車体を跨いで乗車する鞍乗り型車両の一例である。自動二輪車1は、前後輪の接地点を基準に車体を左右方向(ロール方向)に揺動(バンク)可能である。
【0015】
自動二輪車1は、車体フレームの前端部に位置するヘッドパイプ(何れも不図示)に、左右一対のフロントフォーク5等を含む操舵系部品を回動可能に支持している。左右一対のフロントフォーク5は、それぞれテレスコピック式の緩衝器を構成している。左右一対のフロントフォーク5の下端部には、前輪(操舵輪)3が支持されている。左右一対のフロントフォーク5の上部は、トップブリッジ(不図示)およびボトムブリッジ7によって互いに連結されている。トップブリッジ上には、操向ハンドル2が支持されている。
【0016】
操向ハンドル2には、左右一対のバックミラー11およびレバーガード12等が取り付けられている。バックミラー11はライダーから車両後方を視認可能とし、レバーガード12は操向ハンドル2に取り付けた操作レバーへの外乱を抑える。左右一対のフロントフォーク5には、前輪3の上部を覆うフロントフェンダ13が支持されている。
【0017】
自動二輪車1の車体前部は、フロントカウル15で覆われている。フロントカウル15の前端部の左右中央には、ヘッドライト16が配置されている。ヘッドライト16の上方には、ウインドスクリーン17が配置されている。フロントカウル15の左右両側には、左右一対のフロントウインカ18が配置されている。
【0018】
図2を併せて参照し、フロントカウル15の周囲には、フロントカウル15の外面に沿うようにガードパイプ(フレーム部材)21が配置されている。ガードパイプ21は、アルミ等の金属製の丸パイプをフロントカウル15の外形状に沿うように屈曲させて形成されている。ガードパイプ21は、フロントカウル15の前方側を延びる前方パイプ部22と、フロントカウル15の左右側方を延びる左右一対の側方パイプ部25と、を一体に備えている。
【0019】
前方パイプ部22は、ガードパイプ21の前端位置で車体左右中央を跨いで左右方向に沿って直線状に延びる前端直線部23と、前端直線部23の左右端から側方パイプ部25に向けて斜め後に屈曲して延びる左右一対の側方傾斜部24と、を一体に備えている。左右の側方傾斜部24の下方には、左右一対のフォグライト27がそれぞれ支持されている。左右一対のフォグライト27は、車両前面視において、左右フロントフォーク5よりも車幅方向外側に配置され、かつ左右側方パイプ部25よりも車幅方向内側に配置されている。
【0020】
例えば、ヘッドライト16の下方には、コーナリングライト30が配置されている。コーナリングライト30は、自動二輪車1のコーナリング時に、そのリーン(バンク)角度に応じて点灯して旋回方向を照射する。例えば、コーナリングライト30は、ガードパイプ21の前端直線部23の下方に支持されている。
【0021】
図3図4を併せて参照し、コーナリングライト30は、一体のケース31内に、バンク角度を検知する加速度センサ(検知部)32と、左右一対のライト本体33と、を収容している。実施形態のコーナリングライト30は、バンク角度センサ(加速度センサ32)と左右一対のライト本体33とを含む一体のユニット(以下、ライトユニット30Aということがある。)として構成されている。コーナリングライト30は、車体が右側にリーンした際には右側のライト本体33を点灯させ、車体が左側にリーンした際には左側のライト本体33を点灯させる。
ただし、コーナリングライト30が車体前方側に取り付けられている場合、バンク方向と反対側のライト本体33を点灯させることで、より高い位置から進行方向を照射することも可能である。
【0022】
ケース31は、例えば上下厚さを抑えた偏平状をなしている。ケース31は、ガードパイプ21の前端直線部23に対し、上下方向の角度を調整可能(すなわち光軸調整可能)に支持されている。
図4では、コーナリングライト30の取付構造として、上下方向に延びるステー31aを介してケース31およびライト本体33を支持している。
【0023】
加速度センサ32は、車体左右中央に配置され、車体に作用する加速度を検知する。加速度センサ32の検知信号は、後述するECU40に出力される。加速度センサ32およびECU40は、車体のバンク角を検知するバンク角検知手段34を構成している。
【0024】
加速度センサ32は、5軸または6軸のIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)であってもよい。加速度センサ32は、車体における3軸(ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸)の角速度を検知する。ECU40は、加速度センサ32の検知結果から角度及び加速度を推定する。加速度センサ32に代わり、車体のバンク角度を検知する傾斜センサを用いてもよい。ECU40の少なくとも一部(コーナリング判定部45等)は、ケース31内に収容してもよく、あるいはユニットとは別体にして車体に取り付けてもよい。
【0025】
自動二輪車1がパワーユニット4等の制御のために加速度センサを備えている場合、ライト本体33にライト制御回路を設けておき、既存の加速度センサから検知信号を受け取ってライト本体33を点灯させてもよい。
【0026】
<点灯制御システム>
図5は、コーナリングライト30の点灯制御システムの構成を示すブロック図である。
コーナリングライト30のECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)40には、ライト点灯制御部41と、コーナリングライト点灯判定部42と、が含まれる。ヘッドライト16を常時点灯式とする場合は、自動二輪車1のメインスイッチ43のオン操作に伴い、ライト点灯制御部41がヘッドライトドライバ41aに駆動指令を伝達し、ヘッドライト用光源41bを点灯させる。コーナリングライト点灯判定部42は、ライト点灯制御部41の駆動中にのみ、コーナリングライト30の点灯判定を行う。コーナリングライト点灯判定部42は、コーナリング判定がなされると、コーナリングライトドライバ42aに駆動指令を伝達し、コーナリングライト用光源42bを点灯させる。
尚、点灯制御システムはコーナリングライト30と別体的に設けられても良い。
【0027】
コーナリングライト点灯判定部42は、コーナリング判定部45を備えている。コーナリング判定部45は、加速度センサ32で検知されるバンク角度、および車速センサ44で検知される車速に応じて、自動二輪車1がコーナリング走行しているか否かを判定する。コーナリング判定部45は、車速が所定値以上でかつバンク角度が所定値以上である場合に、コーナリング判定を行う。このとき、コーナリングライト点灯判定部42は、左右いずれかのコーナリングライト用光源を点灯させる。
【0028】
コーナリング走行時に車体がリーンすると、ヘッドライト16によって路面に形成される照射範囲は、旋回方向とは反対側に移動する。本実施形態に係るコーナリングライト30は、ヘッドライト16とは別個独立した光源によって、コーナリング走行時に不足する旋回方向の照射範囲を補う。
【0029】
例えば、コーナリングライト30は、車幅方向内側から順に複数の光源を並べて配置してもよい。このとき、例えば、バンク角度が大きくなるにつれて、車幅方向内側から外側に向かって点灯個数が増すように制御してもよい。また、例えば、点灯個数を1つに固定し、バンク角度が大きくなるにつれて点灯位置のみが切り替わる構成としたり、車幅方向外側の光源の点灯に伴って、車幅方向内側の光源を減光するように構成してもよい。
【0030】
以下、図6図10を参照し、第一実施形態のコーナリングライト30のより具体的な構成について説明する。
図9図10を参照し、コーナリングライト30は、一体のケース31内に、バンク角度センサ(加速度センサ)32と、左右一対のライト本体33と、を収容し、一体のライトユニット30Aを構成している。
【0031】
図6図8を併せて参照し、ケース31は、上下厚さを抑えた偏平状をなし、直方体状の外形を有している。ケース31は、例えば上下面を水平にし、前後面を左右方向(車幅方向)に沿わせて配置されている。ケース31における上面31aを形成する上壁31a1の左右両側方には、ケース31の左右側面31dよりも車幅方向外側に延出する固定フランジ31eがそれぞれ備えられている。コーナリングライト30(ライトユニット30A)は、左右固定フランジ31eおよび不図示のボルト、ナット等を利用して、ガードパイプ21等の車体部品に取り付けられる。
【0032】
図10を参照し、ケース31内には、バンク角度センサ32と左右一対のライト本体33とを支持するブラケット35が収容されている。ブラケット35は、ケース31内に浮動状態で支持されている。ブラケット35は、例えば上壁35aおよび後壁35bを有する側面視L字状に形成されている。ブラケット35の後壁35bとケース31における後面31cを形成する後壁31c1との間には、ブラケット35ひいては左右一対のライト本体33を傾動させて光軸調整可能とするエーミング構造39が設けられている。エーミング構造39は、例えば上下左右に離間した一対のエーミングボルト等を備えている。
【0033】
ライトユニット30Aは、左右一対のライト本体33の各光源(例えばLED)33aおよびバンク角度センサ32を実装する単一の電子基板(同一部材)36を備えている。すなわち、左右一対のライト本体33とバンク角センサ32とは、単一の電子基板36を共用している。電子基板36は、ECU40の少なくとも一部(コーナリング判定部45等)を構成してもよい。ブラケット35、電子基板36、各光源33aおよびバンク角度センサ32、ならびに後述するリフレクタ37は、一体のユニットを構成し、エーミング構造39によって一体的に傾動可能である。
【0034】
電子基板36は、ブラケット35の上壁35aの下面側に支持されている。各光源33aは、下方に向けて光を照射する。各光源33aの下方には、照射光を車両前方の規定範囲に向けて配光するリフレクタ37が配置されている。リフレクタ37は、例えば電子基板36とともにブラケット35の上壁35aに支持されている。リフレクタ37は、例えば左右ライト本体33に対応するリフレクタ同士が一体に設けられている。図中符号37aはリフレクタ37の反射面、符号37bはリフレクタ37の左右中央を左右ライト本体33に応じて仕切る隔壁、をそれぞれ示す。
【0035】
ケース31における前面31bを形成する前壁には、左右一対のライト本体33によって車両前方を照射可能とするための開口38aが形成されている。前壁には、開口38aを閉塞するレンズ38が取り付けられている。各ライト本体33の照射光は、レンズ38を透過して車両前方に配光される。レンズ38は、レンズカットの有無を問わない。
【0036】
上記構成の作用について説明する。
まず、ライトユニット30Aは、ケース31の左右固定フランジ31eを、ガードパイプ21等の車体部品に取り付けることで、ケース31を車体に固定する。ケース31内ではバンク角度センサ32と左右一対のライト本体33とが浮動支持されているので、以下の作用を奏する。
【0037】
すなわち、ライトユニット20Aの光軸調整は、ケース31の後部に配置されたエーミング構造39を使用してブラケット35を傾動させることでなされる。このとき、ライト本体33(リフレクタ37含む)とともにバンク角度センサ32も一体的に動く。このため、ライトユニット30Aの本体(ケース31)を車体に取り付けた際に、ライトユニット30Aの向きが完成車の番線からずれても、光軸合わせに伴ってバンク角度センサー32の取り付け向きが調整される。このため、ライトユニット30Aを取り付ける車体部品の製品ばらつきおよび取付バラツキを吸収可能であり、ある程度取付角度等がばらつく部品にライトユニット30Aを取り付けても、バンク角度センサ―32の出力を安定させることができる。
【0038】
図11は、第二実施形態のコーナリングライト130を示している。
第二実施形態のコーナリングライト130は、左右に分離したライト本体133を有している。左右一対のライト本体133は、ガードパイプ21の左右両側に支持した左右一対のフォグライト27とそれぞれ一体的に設けられている。すなわち、左右一対のライト本体133は、左右同側のフォグライト27との間でハウジングを一体化し、このハウジング内にフォグライト27とは別の光源を備えて構成されている。第二実施形態では、左右一対のライト本体133と前記加速度センサ32とは互いに別体とされている。
【0039】
図12図13は、第三実施形態のコーナリングライト230を示している。
第三実施形態のコーナリングライト230は、第二実施形態と同様、左右に分離したライト本体233を有している。これら左右一対のライト本体233は、フロントフェンダ13の左右両側に配置されている。各ライト本体233は、フロントフェンダ13と同様、前輪3とともに操舵軸回りに回動可能である。各ライト本体33は、例えばフロントフォーク5の長さ方向に沿うように延びる態様をなしている。フロントフェンダ13および左右一対のライト本体33は、テレスコピック式のフロントフォーク5における下部筒体5bに支持されている。
【0040】
図12図13のフロントフォーク5は倒立フォークであり、上部筒体(アウタチューブ)5aと下部筒体(インナチューブ)5bとを伸縮させて緩衝を行う。下部筒体(インナーチューブ)5bの下端には、ブレーキキャリパ5dを支持するボトムブラケット5cが固定されている。フロントフェンダ13および左右一対のライト本体33は、ボトムブラケット5cに支持されている。フロントフォーク5が正立フォークである場合、下部筒体5bであるアウターチューブにフロントフェンダ13および左右一対のライト本体33が支持されることとなる。左右一対のライト本体33は、フロントフェンダ13またはその周辺部品(各種ブラケット、スタビライザ等)に支持されてもよい。
【0041】
フロントフォーク5の側面にサイドリフレクタ(反射装置)8を設ける場合、サイドリフレクタ8とライト本体33とを一体化してもよい。すなわち、ライト本体33のハウジングにサイドリフレクタ8を取り付けてもよい。
【0042】
コーナリングライト30の他の態様として、ガードパイプ21を有さない自動二輪車1において、フロントカウル15(またはカウル支持フレーム)の左右両側にライト本体33が支持されてもよい。車体左右中央でヘッドライト16の下方にライトユニット30Aが支持されてもよい。ボトムブリッジ7の左右両側にライト本体33が支持されてもよい。
図1を参照し、左右一対のバックミラー11、左右一対のフロントウインカ18、左右一対のレバーガード12、等にライト本体33が支持(一体化を含む)されてもよい。
【0043】
以上説明したように、第一実施形態における鞍乗り型車両のコーナリングライト30は、車体を左右にバンクさせてコーナリングする自動二輪車1に備えられ、前記コーナリング時に車体をバンクさせた方向の照射範囲を広げるものであり、前記車体のバンク角を検知するバンク角検知手段34(加速度センサ32およびECU40)と、前記バンク角検知手段34が検知した前記バンク角に応じて、前記車体をバンクさせた方向を照射するライト本体33と、を備え、前記コーナリングライト30における少なくとも前記ライト本体33は、前記鞍乗り型車両の車体部品に対して別体的に取り付けられている。
【0044】
この構成によれば、コーナリングライト30が車体部品に組み込まれている構成に比べて、オプション部品のような後付けが容易になり、コストアップを抑えるとともに他機種への展開を容易にすることができる。
前記「車体部品」とは、車体外装等、車体外側に露出する部品全般を含み、ガードパイプ21の他、フロントカウル15、フロントフェンダ13、フロントフォーク5等を含む。前記「車体部品に対して別体的に取り付けられている」とは、前記車体部品の外面を大きく加工することなく、車体部品に後付けで取り付けられていることをいう。
【0045】
第一実施形態のコーナリングライト30において、前記ライト本体33および前記バンク角検知手段34(加速度センサ32)は、一体的なライトユニット30Aを構成し、前記ライトユニット30Aは、前記車体部品に対して別体的に取り付けられている。
この構成によれば、ライト本体33およびバンク角検知手段34が一体のライトユニット30Aを構成することで、コーナリングライト30をオプション設定しやすくし、かつ車体への取り付けを容易にすることができる。前記「一体的」とは、別体であったり分解可能であったりしても、一体の状態を維持可能な構成であればよい。
【0046】
第一実施形態のコーナリングライト30において、前記ライトユニット30Aは、車体左右中央に取り付けられている。
この構成によれば、車体左右中央にバンク角検知手段34を含むライトユニット30Aを配置することで、車体のバンク角を効率よく検知することができる。
【0047】
第一実施形態のコーナリングライト30において、前記ライトユニット30Aは、車体左右中央に前記バンク角検知手段34の検知部(加速度センサ32)を有するとともに、前記検知部の左右両側にそれぞれ少なくとも一つの前記ライト本体33(光源)を有している。
この構成によれば、車体左右中央にバンク角検知手段の加速度センサ32を配置するとともに、左右両側にそれぞれライト本体33を配置することで、車体のバンク角を効率よく検知しやすくし、かつ車体のバンク方向を照射しやすくすることができる。
【0048】
第一実施形態のコーナリングライト30において、前記自動二輪車1は、前記車体に対して別体的に取り付けられるガードパイプ21を備え、前記ライトユニット30Aは、前記ガードパイプ21に取り付けられている。
この構成によれば、車体外側の広範囲に配置されたガードパイプ21にライトユニット30Aを取り付けることで、ライトユニット30Aの配置自由度を高めるとともに取り付けを容易にし、コーナリングライト30の汎用性を高めてコストダウンを図ることができる。
【0049】
第二実施形態のコーナリングライト30において、車体左右両側に振り分けて配置された複数のフォグライト27を備え、前記ライト本体33は、車体左右両側に振り分けて複数設けられ、かつ左右同側に位置する前記フォグライト27と一体的に設けられている。
この構成によれば、車体左右両側のフォグライト27とコーナリングライト30の左右両側のライト本体33とを一体化することで、コーナリングライト30を効率よく設けることができる。
【0050】
第二実施形態のコーナリングライト30において、前記ライト本体33(フォグライト27)は、前記ガードパイプ21に取り付けられている。
この構成によれば、車体外側の広範囲に配置されたガードパイプ21にライト本体33を取り付けることで、ライト本体33の配置自由度を高めるとともに取り付けを容易にし、コーナリングライト30の汎用性を高めてコストダウンを図ることができる。ライト本体33は、フォグライト27とは別体をなしてガードパイプ21に取り付けられてもよい。
【0051】
第三実施形態のコーナリングライト30において、前記自動二輪車1は、前輪3と車体フレームとの間にフロントフォーク5を有し、前記フロントフォーク5は、上部筒体5aと下部筒体5bとを伸縮させて緩衝を行い、前記ライト本体33は、前記下部筒体5bに取り付けられている。
この構成によれば、上部筒体5aと下部筒体5bとを伸縮させるテレスコピック式のフロントフォーク5にライト本体33を取り付けることで、異なる車種においても取付構造を流用しやすく、コーナリングライト30の汎用性を高めてコストダウンを図ることができる。フロントフォーク5の下部筒体5bにライト本体33を取り付けることで、路面を効率よく照射することができる。
【0052】
第三実施形態のコーナリングライト30において、前記下部筒体5bには、外部からの光を反射するサイドリフレクタ8が設けられ、前記コーナリングライト30は、前記サイドリフレクタ8と一体的に構成されている。
この構成によれば、下部筒体5bにライト本体33を配置した際に、サイドリフレクタの配置場所がなくなることを回避することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪(四輪バギー等)の車両も含まれる。また、原動機に電気モータを含む車両に適用してもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
3 前輪
5 フロントフォーク(緩衝器)
5a 上部筒体
5b 下部筒体
8 サイドリフレクタ(反射装置)
21 ガードパイプ(フレーム部材)
27 フォグライト
30 コーナリングライト
30A ライトユニット
32 加速度センサ(検知部)
33 ライト本体
34 バンク角検知手段
36 電子基板(同一部材)
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