(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066605
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】多相モータ用切替装置
(51)【国際特許分類】
H02K 27/28 20060101AFI20240509BHJP
H02P 25/18 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H02K27/28
H02P25/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176082
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 慎太郎
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505BB03
5H505DD03
5H505EE23
5H505EE55
5H505HA06
5H505JJ03
(57)【要約】
【課題】構造を簡略化しつつ多相モータの特性を変化させる多相モータ用切替装置を提供する。
【解決手段】多相モータ用切替装置10は、複数相のコイル32A,32B,32Cを備え、各コイル32A,32B,32Cが第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wを有するモータ100に用いられる。本開示の多相モータ用切替装置10は、各コイル32A,32B,32Cにおける第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの直列接続数を切り替える切替部80を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数相のコイルを備え、各前記コイルが複数のコイル部を有する多相モータに用いられる多相モータ用切替装置であって、
各前記コイルにおける複数の前記コイル部の直列接続数を切り替える切替部を備える、多相モータ用切替装置。
【請求項2】
前記切替部は、複数のリレースイッチを有し、各前記リレースイッチをオン状態とオフ状態とに個別に切り替えることによって前記直列接続数を切り替える、請求項1に記載の多相モータ用切替装置。
【請求項3】
前記コイルは、第1コイル部、及び第2コイル部を有し、
前記第1コイル部の一端は、第1導電路に接続され、
前記第2コイル部の他端は、第2導電路に接続され、
前記切替部は、前記第1コイル部の他端と前記第2コイル部の他端との間に設けられる第1リレースイッチと、前記第1コイル部の他端、及び前記第2コイル部の一端の間に設けられる第2リレースイッチと、を有し、
前記第2コイル部の一端と、前記第1導電路と、の間は、常に非短絡構成にされている、請求項2に記載の多相モータ用切替装置。
【請求項4】
複数の前記コイル部は、直列に接続されており、
前記切替部は、直列に接続された前記コイル部の両端部及び全ての前記コイル部間のうちの一を第1導電路に接続し、他を第2導電路に接続するように切り替える構成である、請求項2に記載の多相モータ用切替装置。
【請求項5】
複数の前記コイル部は、円環状に配置されており、
前記切替部によって使用範囲から外された前記コイル部は、周方向に離散するように配置される、請求項1又は請求項2に記載の多相モータ用切替装置。
【請求項6】
複数の前記コイル部は、円環状に配置されており、
前記切替部によって使用範囲から外された前記コイル部は、周方向に偏って配置される、請求項1又は請求項2に記載の多相モータ用切替装置。
【請求項7】
前記切替部の動作を制御する制御装置を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の多相モータ用切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多相モータ用切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、巻線切替装置によって三相交流電動機の巻線の結線状態が巻線並列と、巻線直列と、に切り替える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結線状態を巻線並列と、巻線直列と、に切り替える構成として、
図9に示す構成が考えられる。この構成は、2つのコイル部50,51が3つのリレースイッチ52,53,54で接続される構成である。この構成の場合、リレースイッチ52,54をオフ状態にし、リレースイッチ53をオン状態とすることによって、コイル部50,51を直列接続とすることができる。これに対して、リレースイッチ52,54をオン状態にし、リレースイッチ53をオフ状態とすることによって、コイル部50,51を並列接続とすることができる。リレースイッチ52,53,54に比較的大きな電流が流れることを想定してリレースイッチ52,53,54を大型化する場合、実装するスペースを抑制することも考慮しなければならない。
【0005】
本開示は、構造を簡略化しつつ多相モータの特性を変化させる多相モータ用切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の多相モータ用切替装置は、
複数相のコイルを備え、各前記コイルが複数のコイル部を有する多相モータに用いられる多相モータ用切替装置であって、
各前記コイルにおける複数の前記コイル部の直列接続数を切り替える切替部を備える。
【発明の効果】
【0007】
構造を簡略化しつつ多相モータの特性を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のモータの模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のモータに多相モータ用切替装置を設けた構成を示す回路図である。
【
図3】
図3は、実施形態1のモータにおけるトルクと回転数との関係を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施形態2のモータの模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態2のモータに多相モータ用切替装置を設けた構成を示す回路図である。
【
図6】
図6は、実施形態2のモータの模式図であって、各コイル部の符号を明示した模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態2のモータにおけるトルクと回転数との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、他の実施形態におけるコイル部と切替部との接続の一例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、従来のコイル部と切替部との接続の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕~〔7〕の特徴は、矛盾しない範囲でどのように組み合わされてもよい。
【0010】
〔1〕本開示の多相モータ用切替装置は、複数相のコイルを備え、各コイルが複数のコイル部を有する多相モータに用いられる。本開示の多相モータ用切替装置は、各コイルにおける複数のコイル部の直列接続数を切り替える切替部を備える。
【0011】
この構成によれば、コイル部の直列接続数を切り替えることによって多相モータの特性を様々に変化させることができる。ここで、直列接続数とは、直列に接続され、且つ通電可能とされたコイル部の数を意味する。
【0012】
〔2〕上記〔1〕の多相モータ用切替装置において、切替部は、複数のリレースイッチを有し、各リレースイッチをオン状態とオフ状態とに個別に切り替えることによって直列接続数を切り替え得る。
【0013】
上記〔2〕の多相モータ用切替装置は、リレースイッチを用いることにより、切替部を簡単な構成にすることができる。
【0014】
〔3〕上記〔2〕の多相モータ用切替装置において、コイルは、第1コイル部、及び第2コイル部を有し、第1コイル部の一端は、第1導電路に接続され、第2コイル部の他端は、第2導電路に接続され得る。切替部は、第1コイル部の他端と第2コイル部の他端との間に設けられる第1リレースイッチと、第1コイル部の他端、及び第2コイル部の一端の間に設けられる第2リレースイッチと、を有し得る。第2コイル部の一端と、第1導電路と、の間は、常に非短絡構成にされ得る。
【0015】
〔3〕の多相モータ用切替装置は、第1リレースイッチと第2リレースイッチとを交互に切り替えれば、コイルの直列接続数を、第1コイル部のみと、第1コイル部及び第2コイル部とに変更することができる。ここで、短絡構成とは、第2コイル部の一端と、第1導電路と、の間を通電する場合に必ずコイルを介して通電する構成であり、非短絡構成とは、短絡構成ではない(すなわち、コイルを介さずに通電する経路はない)構成である。
【0016】
〔4〕上記〔2〕の多相モータ用切替装置において、複数のコイル部は、直列に接続されており、切替部は、直列に接続されたコイル部の両端部及び全てのコイル部間のうちの一を第1導電路に接続し、他を第2導電路に接続するように切り替える構成であり得る。
【0017】
〔4〕の多相モータ用切替装置は、コイル部の所望の部分を利用することができる。
【0018】
〔5〕上記〔1〕又は〔2〕の多相モータ用切替装置において、複数のコイル部は、円環状に配置されており、切替部によって使用範囲から外されたコイル部は、周方向に離散するように配置され得る。
【0019】
〔5〕の多相モータ用切替装置は、使用範囲から外されたコイル部の影響を周方向に分散させることができる。ここで、使用範囲とは、コイル部のうち電流が流れる状態になったコイル部を意味し、使用範囲から外れるとは、電流が流れない状態になったコイル部を意味する。
【0020】
〔6〕上記〔1〕又は〔2〕の多相モータ用切替装置において、複数のコイル部は、円環状に配置されており、切替部によって使用範囲から外された前記コイル部は、周方向に偏って配置され得る。
【0021】
〔6〕の多相モータ用切替装置は、コイル部に切替部を接続する位置を周方向にまとめた構成とし易いため、省スペース化が期待できる。
【0022】
〔7〕上記〔1〕又は〔2〕の多相モータ用切替装置は、切替部の動作を制御する制御装置を更に備え得る。
【0023】
〔7〕の多相モータ用切替装置は、制御装置によって切替部の動作を良好に行い易い。
【0024】
<実施形態1>
[モータの構成]
実施形態1の多相モータ用切替装置10は、多相交流電源を利用する多相モータであるモータ100に用いられる。モータ100は、
図1に示すように、ステータ部21と、ロータ部23と、を備えている。
【0025】
[ステータ部の構成]
ステータ部21は、図示しないハウジングに収容されている。ステータ部21は、ステータコア31と、複数のコイル32A,32B,32Cと、を有している。例えば、ステータコア31は、導電性を有する円筒状の金属製である。
【0026】
複数のコイル32A,32B,32Cは、三相のセグメントコイルとして構成されている。コイル32Aは、第1相(U相)に相当し、コイル32Bは、第2相(V相)に相当し、コイル32Cは、第3相(W相)に相当する。第1相(U相)のコイル32Aは、コイル部である第1コイル部1U,3U、及びコイル部である第2コイル部2U,4Uを有している。第2相(V相)のコイル32Bは、コイル部である第1コイル部1V,3V、及びコイル部である第2コイル部2V,4Vを有している。第3相(V相)のコイル32Cは、コイル部である第1コイル部1W,3W、及びコイル部である第2コイル部2W,4Wを有している。
【0027】
第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの各々は、自身を形成する電線が螺旋状(コイル状)に巻回された形態をなしている。
図2に示すように、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、中性部である第2導電路Cから放射状に連なるように電気的に接続されている。例えば、第2導電路Cは、バスバー等で形成されている。
【0028】
本開示において、「電気的に接続される」とは、接続対象の両方の電位が等しくなるように互いに導通した状態(電流を流せる状態)で接続される構成であることが望ましい。ただし、この構成に限定されない。例えば、「電気的に接続される」とは、両接続対象の間に電気部品が介在しつつ両接続対象が導通し得る状態で接続された構成であってもよい。
【0029】
図1に示すように、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、ステータコア31の内周に沿って円環状に並んで配置されている。具体的には、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、巻回方向に直交する軸線をステータコア31の中心軸線に直交する向きにして配置されている。
【0030】
第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの各々は、一対の端末部Tを有している。ステータコア31の内周に沿って配置された第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの各々の端末部Tは、ステータコア31の軸線方向の一方側に引き出されている。
【0031】
図1において、円内に×が付与された記号、及び円内に黒丸が付与された記号は、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの各々における一対の端末部Tに対応している。円内に×が付与された記号に対応する端末部は、
図2における外側(第2導電路Cから離れた側)に配置され、円内に黒丸が付与された記号に対応する端末部は、
図2における内側(第2導電路Cに近い側)に配置されている。
【0032】
図2に示すように、第2導電路Cから最も離れた第1コイル部1U,1V,1Wの端末部には、第1導電路41,42,43が電気的に接続されている。第1導電路41,42,43は、例えばバスバーで形成されており、図示しないインバータとコイル32A,32B,32Cとの間に介在する導電路として機能する。
【0033】
[ロータの構成]
図1に示すように、ロータ部23は、ステータ部21の内側に回転可能に配置されている。ロータ部23は、外周縁部に複数の永久磁石24が配置されている。
【0034】
[多相モータ用切替装置の構成]
多相モータ用切替装置10は、
図2に示すように、切替部80と、制御装置90と、を有している。切替部80は、第1切替部81と、第2切替部82と、第3切替部83と、を有している。第1切替部81は、第1相(U相)のコイルを構成する第1コイル部1U,3U、及び第2コイル部2U,4Uにおいて直列接続数を切り替える。第2切替部82は、第2相(V相)のコイルを構成する第1コイル部1V,3V、及び第2コイル部2V,4Vにおいて直列接続数を切り替える。第3切替部83は、第3相(W相)のコイルを構成する第1コイル部1W,3W、及び第2コイル部2W,4Wにおいて直列接続数を切り替える。
【0035】
第1切替部81は、第1リレースイッチ81A、及び第2リレースイッチ81Bを有している。第1リレースイッチ81A、及び第2リレースイッチ81Bは、半導体リレーとして構成されている。半導体リレーは、例えば、MOSFET、GaNFET、IGBT、バイポーラトランジスタ等によって構成される。第1リレースイッチ81A、及び第2リレースイッチ81Bは、後述する制御装置90からの制御信号によるオン指示又はオフ指示によってオン状態とオフ状態とに切り替えられる。第1リレースイッチ81A、及び第2リレースイッチ81Bは、制御装置90からのオン指示によって、自身を介した通電を許容するオン状態となり、制御装置90からのオフ指示によって、自身を介した通電を遮断するオフ状態となる。
【0036】
制御装置90は、例えば、演算機能や情報処理機能を有する情報処理装置として構成される。制御装置90は、マイクロコンピュータとして構成されていてもよく、これ以外の情報処理装置として構成されていてもよい。
【0037】
第2切替部82は、第1リレースイッチ82A、及び第2リレースイッチ82Bを有している。第1リレースイッチ82A、及び第2リレースイッチ82Bは、第1リレースイッチ81A、及び第2リレースイッチ81Bと同様の構成である。第3切替部83は、第1リレースイッチ83A、及び第2リレースイッチ83Bを有している。第1リレースイッチ83A、及び第2リレースイッチ83Bは、第1リレースイッチ81A、及び第2リレースイッチ81Bと同様の構成である。
【0038】
第1コイル部1Uの一端には、第1導電路41が電気的に接続されている。第1コイル部1Uの他端は、第1コイル部3Uの一端に電気的に接続されている。第2コイル部4Uの他端には、第2導電路Cが電気的に接続されている。第2コイル部4Uの一端は、第2コイル部2Uの他端に電気的に接続されている。第1コイル部3Uの他端、及び第2コイル部4Uの他端の間には、第1リレースイッチ81Aが設けられている。第1コイル部3Uの他端、及び第2コイル部2Uの一端の間には、第2リレースイッチ81Bが設けられている。第2コイル部2U,4Uは、第1コイル部1Uの一端及び第1導電路41に接続されていない。言い換えると、第2コイル部2U,4Uと第1導電路41との間は、常に非短絡構成にされている。
【0039】
制御装置90は、第1リレースイッチ81A、及び第2リレースイッチ81Bのいずれか一方にオフ指示を与え、いずれか他方にオン指示を与えることによって、第1導電路41と第2導電路Cとの間で通電する経路をなすコイル32Aの直列接続数を切り替える。具体的には、制御装置90が第1リレースイッチ81Aにオン指示を与え、第2リレースイッチ81Bにオフ指示を与えると、第1導電路41、第1コイル部1U,3U、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、第1コイル部1U,3Uが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、第2コイル部2U,4Uは、使用範囲から外れ、電流が流れない。このときのコイル32Aにおける直列接続数は、2である。
【0040】
制御装置90が第1リレースイッチ81Aにオフ指示を与え、第2リレースイッチ81Bにオン指示を与えると、第1導電路41、第1コイル部1U,3U、第2コイル部2U,4U、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、第1コイル部1U,3U、及び第2コイル部2U,4Uが使用範囲に含まれ、電流が流れる。このときのコイル32Aにおける直列接続数は、4である。
【0041】
第1コイル部1Vの一端には、第1導電路42が電気的に接続されている。第1コイル部1Vの他端は、第1コイル部3Vの一端に電気的に接続されている。第2コイル部4Vの他端には、第2導電路Cが電気的に接続されている。第2コイル部4Vの一端は、第2コイル部2Vの他端に電気的に接続されている。第1コイル部3Vの他端、及び第2コイル部4Vの他端の間には、第1リレースイッチ82Aが設けられている。第1コイル部3Vの他端、及び第2コイル部2Vの一端の間には、第2リレースイッチ82Bが設けられている。第2コイル部2V,4Vは、第1コイル部1Vの一端及び第1導電路42には接続されていない。言い換えると、第2コイル部2V,4Vと第1導電路42との間は、常に非短絡構成にされている。
【0042】
制御装置90は、第1リレースイッチ82A、及び第2リレースイッチ82Bのいずれか一方にオフ指示を与え、いずれか他方にオン指示を与えることによって、第1導電路42と第2導電路Cとの間で通電する経路をなすコイル32Bの直列接続数を切り替える。具体的には、制御装置90が第1リレースイッチ82Aにオン指示を与え、第2リレースイッチ82Bにオフ指示を与えると、第1導電路42、第1コイル部1V,3V、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、第1コイル部1V,3Vが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、第2コイル部2V,4Vは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル32Bにおける直列接続数は、2である。
【0043】
制御装置90が第1リレースイッチ82Aにオフ指示を与え、第2リレースイッチ82Bにオン指示を与えると、第1導電路42、第1コイル部1V,3V、第2コイル部2V,4V、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、第1コイル部1V,3V、及び第2コイル部2V,4Vが使用範囲に含まれ、電流が流れる。このときのコイル32Bにおける直列接続数は、4である。
【0044】
第1コイル部1Wの一端には、第1導電路43が電気的に接続されている。第1コイル部1Wの他端は、第1コイル部3Wの一端に電気的に接続されている。第2コイル部4Wの他端には、第2導電路Cが電気的に接続されている。第2コイル部4Wの一端は、第2コイル部2Wの他端に電気的に接続されている。第1コイル部3Wの他端、及び第2コイル部4Wの他端の間には、第1リレースイッチ83Aが設けられている。第1コイル部3Wの他端、及び第2コイル部2Wの一端の間には、第2リレースイッチ83Bが設けられている。第2コイル部2W,4Wは、第1コイル部1Wの一端及び第1導電路43には接続されていない。言い換えると、第2コイル部2W,4Wと第1導電路43との間は、常に非短絡構成にされている。
【0045】
制御装置90は、第1リレースイッチ83A、及び第2リレースイッチ83Bのいずれか一方にオフ指示を与え、いずれか他方にオン指示を与えることによって、第1導電路43と第2導電路Cとの間で通電する経路をなすコイル32Cの直列接続数を切り替える。具体的には、制御装置90が第1リレースイッチ83Aにオン指示を与え、第2リレースイッチ83Bにオフ指示を与えると、第1導電路43、第1コイル部1W,3W、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、第1コイル部1W,3Wが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、第2コイル部2W,4Wは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル32Cにおける直列接続数は、2である。
【0046】
制御装置90が第1リレースイッチ83Aにオフ指示を与え、第2リレースイッチ83Bにオン指示を与えると、第1導電路43、第1コイル部1W,3W、第2コイル部2W,4W、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、第1コイル部1W,3W、及び第2コイル部2W,4Wが使用範囲に含まれ、電流が流れる。このときのコイル32Cにおける直列接続数は、4である。
【0047】
こうして、多相モータ用切替装置10は、コイル32A,32B,32Cの各々を構成する複数のコイル部(第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4W)の直列接続数を切り替える。
【0048】
[使用範囲から外れたコイル部について]
制御装置90が、第1リレースイッチ81A,82A,83Aにオン指示を与え、第2リレースイッチ81B,82B,83Bにオフ指示を与えた場合、第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは使用範囲から外れる。この場合、切替部80によって使用範囲から外された第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、周方向に離散するように配置される(
図1参照)。また、使用範囲に含まれる第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3Wも、周方向に離散するように配置される。具体的には、第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、周方向に均等に離間して配置される。そして、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3Wも、周方向に均等に離間して配置される。また、使用範囲に含まれる第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3Wと、使用範囲から外された第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、周方向に交互に並んで配置される。
【0049】
[モータのトルクと回転数の特性について]
制御装置90が第1リレースイッチ81A,82A,83Aにオン指示を与え、第2リレースイッチ81B,82B,83Bにオフ指示を与える。これによって、使用範囲に含まれた第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3Wに電流が流れ、使用範囲から外れた第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wに電流が流れない。この場合のモータ100におけるトルクと回転数との関係は、
図3に示す実線の特性に沿って変化する。
【0050】
制御装置90が第1リレースイッチ81A,82A,83Aにオフ指示を与え、第2リレースイッチ81B,82B,83Bにオン指示を与える。これによって、使用範囲に含まれた第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wに電流が流れる。この場合のモータ100におけるトルクと回転数との関係は、
図3に示す点線の特性に沿って変化する。
図3において、実線の特性、及び点線の特性の両方において、回転数が比較的小さい領域では、トルクが一定の値を示す。そして、所定の回転数を超えると、トルクは減少する。
【0051】
実線の特性と点線の特性とを比較すると、トルクが一定の値を示す領域におけるトルクの大きさは、点線の特性の方が大きい。そして、実線の特性における回転数は、点線の特性よりも広く、範囲が高回転側に延びている。したがって、所定の低回転状態においては、点線の特性となるように第1リレースイッチ81A,82A,83Aにオフ指示を与え、第2リレースイッチ81B,82B,83Bにオン指示を与える。これによって、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wを使用範囲に含める。
【0052】
所定の低回転状態よりも高回転状態においては、実線の特性となるように第1リレースイッチ81A,82A,83Aにオン指示を与え、第2リレースイッチ81B,82B,83Bにオフ指示を与える。これによって、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3Wを使用範囲に含める。ここで、所定の低回転状態とは、例えばモータ100の回転数が予め定めた閾値以下の状態であり、例えば、回転数が
図3における点Sp以下の場合が考えられる。また、所定の低回転状態よりも高回転状態とは、回転数が
図3における点Spよりも大きい場合が考えられる。
【0053】
次に、本構成の効果を例示する。
多相モータ用切替装置10は、複数相のコイル32A,32B,32Cを備え、各コイル32A,32B,32Cが第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wを有するモータ100に用いられる。本開示の多相モータ用切替装置10は、各コイル32A,32B,32Cにおける第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの直列接続数を切り替える切替部80を備える。この構成によれば、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの直列接続数を切り替えることによってモータ100の特性を様々に変化させることができる。ここで、直列接続数とは、直列に接続され、且つ通電可能とされた第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの数を意味する。
【0054】
多相モータ用切替装置10において、切替部80は、第1リレースイッチ81A,82A,83A、第2リレースイッチ81B,82B,83Bを有している。切替部80は、第1リレースイッチ81A,82A,83A、第2リレースイッチ81B,82B,83Bの各々をオン状態とオフ状態とに個別に切り替えることによって直列接続数を切り替える。この構成によれば、リレースイッチを用いることにより、切替部80を簡単な構成にすることができる。
【0055】
多相モータ用切替装置10において、コイル32A,32B,32Cは、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wを有している。第1コイル部1U,1V,1Wの一端は、第1導電路41,42,43に接続され、第2コイル部4U,4V,4Wの他端は、第2導電路Cに接続される。切替部80は、第1リレースイッチ81A,82A,83Aと、第2リレースイッチ81B,82B,83Bと、を有する。第1リレースイッチ81A,82A,83Aは、第1コイル部3U,3V,3Wの他端と第2コイル部4U,4V,4Wの他端との間に設けられる。第2リレースイッチ81B,82B,83Bは、第1コイル部3U,3V,3Wの他端、及び第2コイル部2U,2V,2Wの一端の間に設けられる。第2コイル部2U,2V,2Wの一端と、第1導電路41,42,43と、の間は、常に非短絡構成にされる。この構成によれば、第1リレースイッチ81A,82A,83Aと第2リレースイッチ81B,82B,83Bとを交互に切り替えれることによって、コイル32A,32B,32Cの直列接続数を、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3Wのみと、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wとに変更することができる。
【0056】
ここで、短絡構成とは、第2コイル部2U,2V,2Wの一端と、第1導電路41,42,43と、の間を通電する場合に必ずコイル32A,32B,32Cを介して通電する構成であり、非短絡構成とは、短絡構成ではない(すなわち、コイル32A,32B,32Cを介さずに通電する経路はない)構成である。
【0057】
多相モータ用切替装置10において、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、円環状に配置されている。切替部80によって使用範囲から外された第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wは、周方向に離散するように配置される。この構成によれば、使用範囲から外された第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wの影響を周方向に分散させることができる。ここで、使用範囲とは、第1コイル部1U,3U,1V,3V,1W,3W、及び第2コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wのうち電流が流れる状態になったコイル部を意味し、使用範囲から外れるとは、電流が流れない状態になったコイル部を意味する。
【0058】
多相モータ用切替装置10は、切替部80の動作を制御する制御装置90を更に備える。この構成によれば、制御装置90によって切替部80の動作を良好に行い易い。
【0059】
<実施形態2>
実施形態2の多相モータ用切替装置110は、切替部180とコイル132A,132B,132Cとの接続の構成、切替部180におけるリレースイッチの切り替え方等が実施形態1とは異なる。また、実施形態2のモータ200は、コイル132A,132B,132Cの構成が実施形態1と異なる。実施形態1と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0060】
図4に示すように、実施形態2のモータ200は、コイル132A,132B,132Cを有している。
図5に示すように、コイル132Aは、コイル部11U,13U,12U,14Uがこの順に直列に接続された構成とされている。コイル部11Uの一端は、第1導電路41に電気的に接続されている。
【0061】
コイル132Bは、コイル部13V,11V,14V,12Vがこの順に直列に接続された構成とされている。コイル部13Vの一端は、第1導電路42に電気的に接続されている。コイル132Cは、コイル部11W,13W,12W,14Wがこの順に直列に接続された構成とされている。コイル部11Wの一端は、第1導電路43に電気的に接続されている。
【0062】
[多相モータ用切替装置の構成]
多相モータ用切替装置110は、切替部180と、制御装置190と、を有している。切替部180は、第1切替部181と、第2切替部182と、第3切替部183と、を具備している。第1切替部181は、第1相(U相)のコイルを構成するコイル部11U,13U,12U,14Uのうち、第1導電路41と第2導電路Cとの間で通電する経路をなす直列接続数を切り替える。第2切替部182は、第2相(V相)のコイルを構成するコイル部13V,11V,14V,12Vのうち、第1導電路41と第2導電路Cとの間で通電する経路をなす直列接続数を切り替える。第3切替部183は、第3相(W相)のコイルを構成するコイル部11W,13W、12W,14Wのうち、第1導電路41と第2導電路Cとの間で通電する経路をなす直列接続数を切り替える。
【0063】
第1切替部181は、第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dを有している。第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dは、半導体リレーとして構成されている。半導体リレーは、例えば、MOSFET、GaNFET、IGBT、バイポーラトランジスタ等によって構成される。
【0064】
第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dは、後述する制御装置190からの制御信号によってオン動作とオフ動作とに切り替えられる。第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dは、制御装置190からのオン指示によって、自身を介した通電を許容するオン状態となる。第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dは、制御装置90からのオフ指示によって、自身を介した通電を遮断するオフ状態となる。
【0065】
制御装置190は、例えば、演算機能や情報処理機能を有する情報処理装置として構成される。制御装置190は、マイクロコンピュータとして構成されていてもよく、これ以外の情報処理装置として構成されていてもよい。
【0066】
第2切替部182は、第1リレースイッチ182A、第2リレースイッチ182B、第3リレースイッチ182C、及び第4リレースイッチ182Dを有している。第1リレースイッチ182A、第2リレースイッチ182B、第3リレースイッチ182C、及び第4リレースイッチ182Dは、第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dと同様の構成である。
【0067】
第3切替部183は、第1リレースイッチ183A、第2リレースイッチ183B、第3リレースイッチ183C、及び第4リレースイッチ183Dを有している。第1リレースイッチ183A、第2リレースイッチ183B、第3リレースイッチ183C、及び第4リレースイッチ183Dは、第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dと同様の構成である。
【0068】
コイル部11Uの他端とコイル部13Uの一端との接続点には、第1リレースイッチ181Aの一端が電気的に接続されている。第1リレースイッチ181Aの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部13Uの他端とコイル部12Uの一端との接続点には、第2リレースイッチ181Bの一端が電気的に接続されている。第2リレースイッチ181Bの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部12Uの他端とコイル部14Uの一端との接続点には、第3リレースイッチ181Cの一端が電気的に接続されている。第3リレースイッチ181Cの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部14Uの他端には、第4リレースイッチ181Dの一端が電気的に接続されている。第4リレースイッチ181Dの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。
【0069】
コイル部13Vの他端とコイル部11Vの一端との接続点には、第1リレースイッチ182Aの一端が電気的に接続されている。第1リレースイッチ182Aの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部11Vの他端とコイル部14Vの一端との接続点には、第2リレースイッチ182Bの一端が電気的に接続されている。第2リレースイッチ182Bの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部14Vの他端とコイル部12Vの一端との接続点には、第3リレースイッチ182Cの一端が電気的に接続されている。第3リレースイッチ182Cの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部12Vの他端には、第4リレースイッチ182Dの一端が電気的に接続されている。第4リレースイッチ182Dの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。
【0070】
コイル部11Wの他端とコイル部13Wの一端との接続点には、第1リレースイッチ183Aの一端が電気的に接続されている。第1リレースイッチ183Aの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部13Wの他端とコイル部12Wの一端との接続点には、第2リレースイッチ183Bの一端が電気的に接続されている。第2リレースイッチ183Bの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部12Wの他端とコイル部14Wの一端との接続点には、第3リレースイッチ183Cの一端が電気的に接続されている。第3リレースイッチ183Cの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。コイル部14Wの他端には、第4リレースイッチ183Dの一端が電気的に接続されている。第4リレースイッチ183Dの他端は、第2導電路Cに電気的に接続されている。
【0071】
制御装置190は、第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dのうち、いずれか1つにオン指示を与え、他にオフ指示を与えることによって、コイル132Aの直列接続数を切り替える。具体的には、制御装置190が第1リレースイッチ181Aにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路41、コイル部11U、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11Uが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部13U,12U,14Uは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Aにおける直列接続数は、1である。
【0072】
制御装置190が第2リレースイッチ181Bにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路41、コイル部11U,13U、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11U,13Uが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部12U,14Uは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Aにおける直列接続数は、2である。
【0073】
制御装置190が第3リレースイッチ181Cにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路41、コイル部11U,13U,12U、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11U,13U,12Uが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部14Uは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Aにおける直列接続数は、3である。
【0074】
制御装置190が第4リレースイッチ181Dにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路41、コイル部11U,13U,12U,14U、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11U,13U,12U,14Uが使用範囲に含まれ、電流が流れる。このときのコイル132Aにおける直列接続数は、4である。こうして制御装置190は、第1リレースイッチ181A、第2リレースイッチ181B、第3リレースイッチ181C、及び第4リレースイッチ181Dを個別に切り替えることによって、コイル部11U,13U,12U,14Uの直列接続数を切り替える。
【0075】
制御装置190は、第1リレースイッチ182A、第2リレースイッチ182B、第3リレースイッチ182C、及び第4リレースイッチ182Dのうち、いずれか1つにオン指示を与え、他にはオフ指示を与えることによって、コイル132Bのうち使用範囲を切り替える。具体的には、制御装置190が第1リレースイッチ182Aにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路42、コイル部13V、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部13Vが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部11V,14V,12Vは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Bにおける直列接続数は、1である。
【0076】
制御装置190が第2リレースイッチ182Bにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路42、コイル部13V,11V、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部13V,11Vが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部14V,12Vは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Bにおける直列接続数は、2である。
【0077】
制御装置190が第3リレースイッチ182Cにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路42、コイル部13V,11V,14V、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部13V,11V,14Vが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部12Vは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Bにおける直列接続数は、3である。
【0078】
制御装置190が第4リレースイッチ182Dにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路42、コイル部13V,11V,14V,12V、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部13V,11V,14V,12Vが使用範囲に含まれ、電流が流れる。このときのコイル132Bにおける直列接続数は、4である。
【0079】
制御装置190は、第1リレースイッチ183A、第2リレースイッチ183B、第3リレースイッチ183C、及び第4リレースイッチ183Dのうち、いずれか1つにオン指示を与え、他にはオフ指示を与えることによって、コイル132Cのうち使用範囲を切り替える。具体的には、制御装置190が第1リレースイッチ183Aにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路43、コイル部11W、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11Wが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部13W,12W,14Wは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Cにおける直列接続数は、1である。
【0080】
制御装置190が第2リレースイッチ183Bにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路43、コイル部11W,13W、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11W,13Wが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部12W,14Wは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Cにおける直列接続数は、2である。
【0081】
制御装置190が第3リレースイッチ183Cにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路43、コイル部11W,13W,12W、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11W,13W,12Wが使用範囲に含まれ、電流が流れる。これに対して、コイル部14Wは、使用範囲から外され、電流が流れない。このときのコイル132Cにおける直列接続数は、3である。
【0082】
制御装置190が第4リレースイッチ183Dにオン指示を与え、他にはオフ指示を与える。すると、第1導電路43、コイル部11W,13W,12W,14W、第2導電路Cがこの順に電気的に直列に接続される。これによって、コイル部11W,13W,12W,14Wが使用範囲に含まれ、電流が流れる。このときのコイル132Cにおける直列接続数は、4である。
【0083】
こうして、多相モータ用切替装置110は、コイル132A,132B,132Cの各々における直列接続数を切り替える。
【0084】
[使用範囲から外れたコイル部について]
制御装置190が、第1リレースイッチ181A,182A,183Aにオン指示を与え、他のリレースイッチにオフ指示を与えた場合、コイル部13U,12U,14U,11V,14V,12V,13W,12W,14Wは使用範囲から外れる。この場合、切替部180によって使用範囲とされたコイル部11U,13V,11Wは、周方向に離散するように配置される。具体的には、コイル部11U,13V,11Wは、周方向に均等に離間して配置される(
図6参照)。
【0085】
制御装置190が、第2リレースイッチ181B,182B,183Bにオン指示を与え、他のリレースイッチにオフ指示を与えた場合、コイル部12U,14U,14V,12V,12W,14Wは使用範囲から外れる。この場合、切替部180によって使用範囲から外されたコイル部12U,14U,14V,12V,12W,14Wは、周方向に離散するように配置される(
図6参照)。また、使用範囲に含まれるコイル部11U,13U,13V,11V,11W,13Wも、周方向に離散するように配置される(
図6参照)。具体的には、コイル部12U,14U,14V,12V,12W,14Wは、周方向に均等に離間して配置される。そして、コイル部11U,13U,13V,11V,11W,13Wも、周方向に均等に離間して配置される。
【0086】
制御装置190が、第3リレースイッチ181C,182C,183Cにオン指示を与え、他のリレースイッチにオフ指示を与えた場合、コイル部14U,12V,14Wは使用範囲から外れる。この場合、切替部180によって使用範囲から外されたコイル部14U,12V,14Wは、周方向に離散するように配置される(
図6参照)。具体的には、コイル部14U,12V,14Wは、周方向に均等に離間して配置される。
【0087】
制御装置190が、第4リレースイッチ181D,182D,183Dにオン指示を与え、他のリレースイッチにオフ指示を与えた場合、コイル部11U,13U,12U,14U,13V,11V,14V,12V,11W,13W,12W,14Wは、使用範囲から外れない。
【0088】
[モータのトルクと回転数の特性について]
切替部180によってコイル部11U,13V,11Wが使用範囲とされた場合、コイル部11U,13V,11Wには電流が流れる。これに対して、コイル部13U,12U,14U,11V,14V,12V,13W,12W,14Wは、使用範囲から外れ、電流が流れない。この場合、モータ200のトルクと回転数との関係は、
図7に示す実線の特性に沿って変化する。
【0089】
切替部180によってコイル部11U,13U,13V,11V,11W,13Wが使用範囲とされた場合、コイル部11U,13U,13V,11V,11W,13Wには電流が流れる。これに対して、コイル部12U,14U,14V,12V,12W,14Wは、使用範囲から外れ、電流が流れない。この場合、モータ200のトルクと回転数との関係は、
図7に示す二点鎖線の特性に沿って変化する。
【0090】
切替部180によってコイル部11U,13U,12U,13V,11V,14V,11W,13W,12Wが使用範囲とされた場合、コイル部11U,13U,12U,13V,11V,14V,11W,13W,12Wには電流が流れる。これに対して、コイル部14U,12V,14Wは、使用範囲から外れ、電流が流れない。この場合、モータ200のトルクと回転数との関係は、
図7に示す一点鎖線の特性に沿って変化する。
【0091】
切替部180によって使用範囲に含まれたコイル部11U,13U,12U,14U,13V,11V,14V,12V,11W,13W,12W,14Wには、電流が流れる。この場合、モータ200のトルクと回転数との関係は、
図7に示す点線の特性に沿って変化する。
【0092】
図7における各特性において、回転数が比較的小さい領域では、トルクが一定の値を示す。そして、所定の回転数を超えると、トルクは減少する。
【0093】
各特性を比較すると、トルクが一定の値を示す領域におけるトルクの大きさは、点線の特性が最も大きく、次に一点鎖線の特性が大きく、次に二点鎖線の特性が大きく、実線の特性が最も小さい。回転数の範囲に着目すると、実線の特性が最も回転数の範囲が広く高回転側に延び、次に二点鎖線の特性が広く高回転側に延び、次に一点鎖線の特性が広く高回転側に延び、点線の特性が最も狭い。
【0094】
多相モータ用切替装置110において、コイル部11U,13U,12U,14Uは直列に接続され、コイル部13V,11V,14V,12Vは直列に接続され、コイル部11W,13W,12W,14Wは直列に接続されている。切替部180は、直列に接続されたコイル部11U,13U,12U,14U、コイル部13V,11V,14V,12V、コイル部11W,13W,12W,14Wの両端部及び全てのコイル部11U,13U,12U,14U,13V,11V,14V,12V,11W,13W,12W,14W間のうちの一を第1導電路41,42,43に接続する。これとともに、他を第2導電路Cに接続する。この構成によれば、コイル部11U,13U,12U,14U、コイル部13V,11V,14V,12V、及びコイル部11W,13W,12W,14Wのうちの所望の部分を利用することができる。
【0095】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0096】
実施形態1とは異なり、リレースイッチに機械式リレーを用いてもよい。
【0097】
各コイル部の巻き数は同じでもよく、異なっていてもよい。また、各相におけるコイル部の数は4つより多くてもよく、4つより少なくてもよい。
【0098】
実施形態1とは異なり、各コイルの構成を
図9に示す構成とし、コイル部50の一端と、コイル部51の一端との間にリレースイッチ52で接続する構成としてもよい。リレースイッチ52を常にオフ状態にしておき、リレースイッチ53とリレースイッチ54とを相補的に切り替えることによって使用範囲を切り替えればよい。また、リレースイッチ52とリレースイッチ54をオン状態にして、リレースイッチ53をオフ状態にすることによって、コイル部50とコイル部51とを並列に接続することができる。また、リレースイッチ52及びリレースイッチ54をオフ状態にして、リレースイッチ53をオン状態にすることによってコイル部50とコイル部51とを直列に接続することができる。つまり、この構成によれば、2個(偶数個)のコイル部50,51を直列接続して使用したり、その半分の直列数(1個)で並列接続にして使用したり、半分の直列数(1個)のみを使用範囲に含めて使用したりすることができる。
【0099】
実施形態2とは異なり、直列に接続されたコイル部の他端を第2導電路に接続し、各リレースイッチの他端を第1導電路に接続する構成としてもよい。
【0100】
図8に示すように、直列に接続された複数のコイル部21U,23U,22U,24Uに対して、切替部281の各リレースイッチ281A,281B,281C,281D,281E,281F,281G,281Hを接続してもよい。この場合、281A,281B,281C,281Dのうちの1つのみオン状態とし、281E,281F,281G,281Hのうちの1つのみをオン状態とすることによって、直列に接続されたコイル部21U,23U,22U,24Uの両端部及び全てのコイル部21U,23U,22U,24U間のうちの一を第1導電路41に接続し、他を第2導電路Cに接続するように切り替えることができる。これによって、コイル部21U,23U,22U,24Uの所望の部分を利用することができる。なお、281A,281B,281C,281Dと、281E,281F,281G,281Hとにおいて、直接的に接続されたリレースイッチ同士をオン状態にすると、コイル部21U,23U,22U,24Uを介さずに第1導電路41と第2導電路Cとを電気的に接続した構成となる。
図8はU相の例示であり、V相、W相も同様の構成であることが好ましい。
【0101】
実施形態2とは異なり、コイル部11U,12U,11V,12V,11W,12Wを使用範囲に含み、コイル部13U,14U,13V,14V,13W,14Wを使用範囲から外すように各コイル部を結線してもよい(
図6参照)。言い換えると、切替部によって使用範囲から外されたコイル部13U,14U,13V,14V,13W,14Wを周方向に偏って配置してもよい。この場合、コイルに切替部を接続する構成を周方向の一部にまとめた形とし易いため、省スペース化が期待できる。
【符号の説明】
【0102】
1U,1V,1W,3U,3V,3W…第1コイル部(コイル部)
2U,2V,2W,4U,4V,4W…第2コイル部(コイル部)
10,110…多相モータ用切替装置
11U,11V,11W,12U,12V,12W,13U,13V,13W,14U,14V,14W,21U,22U,23U,24U,50,51…コイル部
21…ステータ部
23…ロータ部
24…永久磁石
31…ステータコア
32A,32B,32C,132A,132B,132C…コイル
41,42,43…第1導電路
80,180,281…切替部
81,181…第1切替部
81A,82A,83A,181A,182A,183A…第1リレースイッチ
81B,82B,83B,181B,182B,183B…第2リレースイッチ
82,182…第2切替部
83,183…第3切替部
90,190…制御装置
100,200…モータ(多相モータ)
181C,182C,183C…第3リレースイッチ
181D,182D,183D…第4リレースイッチ
52,53,54,281A,281B,281C,281D,281E,281F,281G,281H…リレースイッチ
C…第2導電路
T…端末部