(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066610
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20240509BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20240509BHJP
B41J 29/40 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J3/407
B41J29/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176095
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴史
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AS11
2C061JJ06
2C061JJ14
2C187AC05
2C187AD20
2C187AG15
2C187BF41
2C187BH17
2C187BH23
2C187CD07
(57)【要約】
【課題】作業ミスを減らしつつ、作業効率の悪化を回避すること。
【解決手段】一実施形態に係る印刷装置1は、レジマークR1/R2が等間隔に付与されたフィルム100を搬送する搬送部11と、フィルム100に対して印字する印字部13と、レジマークRを検出するセンサ12と、隣接するレジマークR間の距離に関する第1情報とフィルム100に印字する際に必要な第2情報とを対応付けて記憶する記憶部16と、センサ12が隣接するレジマークR1/R2を検出する間のフィルム100の搬送距離或いは搬送時間に基づいて第1情報を特定し、特定された第1情報に対応する第2情報を記憶部16から抽出して設定する制御部15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジマークが等間隔に付与されたフィルムを搬送する搬送部と、
前記フィルムに対して印字する印字部と、
前記レジマークを検出するセンサと、
隣接する前記レジマーク間の距離に関する第1情報と、前記フィルムに印字する際に必要な第2情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記センサが前記隣接するレジマークを検出する間の前記フィルムの搬送距離或いは搬送時間に基づいて前記第1情報を特定し、特定された前記第1情報に対応する前記第2情報を前記記憶部から抽出して設定する制御部と、を備える印刷装置。
【請求項2】
前記フィルムの搬送距離に関する情報を出力するロータリエンコーダを更に備え、
前記制御部は、前記センサが、前記フィルムにおいて、あるレジマークを検出してから次のレジマークを検出するまでに前記ロータリエンコーダが出力する前記フィルムの搬送距離に関する情報に基づいて、前記第1情報を特定する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記フィルムに一定ピッチの模様が印刷されており、
前記制御部は、前記隣接するレジマーク間に印刷されている前記模様のビッチ数に基づいて、前記第1情報を特定する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印字部は、前記フィルムの幅方向に沿って配列された複数の発熱素子によって前記フィルムに対して印字し、
前記模様は、前記発熱素子の断線を検査するためのパターンである、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
表示部を更に備え、
前記制御部は、抽出した前記第2情報が複数ある場合には、前記複数の第2情報を前記表示部に表示させ、いずれか1つの前記第2情報を選択させる、請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置が、包装機に装着されるフィルムに対して、商品(非包装物)に対応する商品情報を印字していく場合、作業者が、かかるフィルムの種類や商品の種類を見て、かかるフィルムに合致する印字情報(例えば、印字速度や印字濃度等の印字条件、印字項目のサイズや座標位置や書体等の印字フォーマット、商品名や原材料や栄養素等の商品情報)を商品マスタから呼び出して、印刷装置に設定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、作業者が、フィルムの種類(例えば、レジマークの間隔)や商品の種類を見誤ることがあるため、テスト印字を行うことによって、印刷装置に設定された印字情報に間違いがないか、レジマーク間に正しい印字がなされているか等を確認していたため、作業性が悪いという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、作業ミスを減らしつつ、作業効率の悪化を回避することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る印刷装置は、レジマークが等間隔に付与されたフィルムを搬送する搬送部と、前記フィルムに対して印字する印字部と、前記レジマークを検出するセンサと、隣接する前記レジマーク間の距離に関する第1情報と、前記フィルムに印字する際に必要な第2情報とを対応付けて記憶する記憶部と、前記センサが前記隣接するレジマークを検出する間の前記フィルムの搬送距離或いは搬送時間に基づいて前記第1情報を特定し、特定された前記第1情報に対応する前記第2情報を前記記憶部から抽出して設定する制御部と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レジマークの間隔に対応する印字情報を適切に抽出することで、作業ミスを減らしつつ、作業効率の悪化を回避することができる印刷装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る印刷装置1の全体構成の一例を説明する図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態に係る印刷装置1で用いられるフィルム100の一例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施形態に係る印刷装置1で用いられるフィルム100の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る印刷装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る印刷装置1について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る印刷装置1は、搬送部11と、センサ12と、印字部13と、記憶部16と、制御部15とを備えている。また、本実施形態に係る印刷装置1は、フィルム巻取部21を備えている。
【0012】
搬送部11は、フィルム100を搬送するように構成されている。
図1に示すように、搬送部11は、駆動ローラ及び非駆動ローラを含む複数のローラによって構成されている。
【0013】
ここで、フィルム100は、フィルムロール20から繰り出される帯状のフィルムである。例えば、フィルム100は、ヒートシールが可能な透明フィルムであってもよい。
【0014】
また、フィルム100には、
図2A及び
図2Bに示すように、レジマークR1/R2が付与されている。例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、レジマークR1/R2は、フィルム100の搬送方向において等間隔で、フィルム100に印刷されている。
図2A及び
図2Bの例では、レジマークR1/R2は、フィルム100の搬送方向MDと直交する方向(幅方向W)の端部に印刷されているが、他の場所に印刷されていてもよい。
【0015】
印字部13は、フィルム100に対し、文字や図形を印字するように構成されている。例えば、印字部13は、熱転写式のサーマルプリンタによって構成されていてもよい。かかる場合、印字部13の印字ヘッド13Aは、発熱素子に通電してインクリボンのインクをフィルム100に転写するサーマル式の印字ヘッドである。
【0016】
また、フィルム100に感熱剤が塗布されている場合は、サーマル式の印字ヘッド13Aをフィルム100に直接押し当てて印字するように構成されている。この場合において、印字ヘッド13Aと感熱剤層との接触によって、印字ヘッド13Aが摩耗するため、印字領域で印字ヘッドをフィルム100に押し当てて印字し、それ以外の領域では、印字ヘッドをフィルム100から浮かせて搬送するように構成してもよい。
【0017】
センサ12は、搬送中のフィルム100に付加されたレジマークRを検出する位置に配置されて、レジマークRの有無を検出して出力するように構成されている。
【0018】
記憶部16は、第1情報と第2情報とを対応付けて記憶するように構成されている。例えば、記憶部16は、ハードディスク装置等の任意のタイプの記憶媒体によって構成されていてもよいし、クラウド上に設けられている任意のタイプの記憶媒体によって構成されていてもよい
ここで、第1情報は、隣接するレジマークR間の距離に関する情報である。例えば、第1情報は、かかる距離自身であってもよいし、かかる距離を識別する識別情報であってもよい。また、第1情報は、複数のレジマークRが存在している場合、複数の隣接するレジマークR間の距離の平均値や最頻値等であってもよい。
【0019】
また、第2情報は、フィルム100に印字する際に必要な情報である。例えば、印字速度や印字濃度等の印字条件、印字項目のサイズや座標位置や書体等の印字フォーマット、商品名や原材料や栄養素等の商品情報等の印字情報である。
【0020】
制御部15は、センサ12が隣接するレジマークRを検出する間のフィルム100の搬送距離或いは搬送時間に基づいて第1情報を特定し、特定された第1情報に対応する第2情報を記憶部16から抽出して設定するように構成されている。
【0021】
例えば、制御部15は、
図2Aに示すケースでは、センサ12が隣接するレジマークR1及びR2を検出する間のフィルム100の搬送距離L1を検出し、かかる搬送距離L1に関する情報を特定するように構成されていてもよい。
【0022】
同様に、制御部15は、
図2Bに示すケースでは、センサ12が隣接するレジマークR1及びR2を検出する間のフィルム100の搬送距離L2を検出し、かかる搬送距離L2に関する情報を特定するように構成されていてもよい。
【0023】
ここで、制御部15は、テスト印字の際に、上述のように、第1情報を特定し、第2情報を設定するように構成されていてもよい。
【0024】
制御部15は、設定した第2情報に基づいて、印字部13に印字を行うように指示するように構成されている。
【0025】
なお、制御部15がマイクロコンピュータで構成されている場合は、所定のプログラムを実行することにより、以上の動作が実行される。
【0026】
かかる構成によれば、レジマークRの間隔に対応する印字情報(第2情報)を適切に抽出することで、作業ミスを減らしつつ、作業効率の悪化を回避することができる印刷装置とすることができる。
【0027】
また、本実施形態に係る印刷装置1は、フィルム100の搬送距離に関する情報を出力するロータリエンコーダ14を更に備えていてもよい。
【0028】
例えば、フィルム100の搬送距離に関する情報は、ロータリエンコーダ14がフィルム100の搬送に伴って所定角度回転する度に出力するパルスであってもよい。
【0029】
制御部15は、センサ12が、フィルム100において、あるレジマークR1を検出してから次のレジマークR2を検出するまでにロータリエンコーダ14が出力するフィルム100の搬送距離L1/L2に関する情報に基づいて、第1情報を特定するように構成されていてもよい。
【0030】
例えば、制御部15は、ロータリエンコーダの出力パルスをカウントすることにより、フィルム100の搬送距離に関する情報を取得することができる。
【0031】
また、制御部15は、ロータリエンコーダ14の出力と、レジマークRの有無を出力するセンサ12の出力とを利用して、レジマークRを検出する。
【0032】
具体的には、制御部15は、ロータリエンコーダ14からパルス信号が出力される度に、センサ12の出力を入力し、入力したセンサ12の出力がレジマークR無しの状態からレジマークR有りの状態に変化し、その状態が、フィルム100が所定距離搬送される間、持続していれば、レジマークRを検出したと判断するように構成されていてもよい。これにより、フィルム100の搬送速度が変化する場合でも、レジマークRの検出時点を、レジマークRが所定距離搬送された時点とすることができる。
【0033】
かかる構成によれば、ロータリエンコーダ14の出力と、レジマークRの有無を出力するセンサ12の出力とを利用することができるため、より正確にレジマークRを検出することができ、より正確にフィルム100の搬送距離に関する情報を取得することができる。
【0034】
また、フィルム100に一定ピッチの模様が印刷されていてもよい。例えば、かかる一定ピッチの模様として、市松模様が印刷されていてもよい。なお、かかる模様としては、格子状にアレンジした市松模様や、断面を表すハッチング模様や、レンガ模様等、任意の模様であってもよい(例えば、特開昭57-89985号公報等に記載されている模様等)。
【0035】
かかる場合、制御部15は、隣接するレジマークR間に印刷されている模様のビッチ数に基づいて、上述の第1情報を特定するように構成されていてもよい。
【0036】
かかる構成によれば、テスト印字の際にフィルム100に印刷された模様のピッチ数によっても、上述のフィルム100の搬送距離を推定することができるため、より正確にフィルム100の搬送距離に関する情報を取得することができる。
【0037】
また、印字部13は、フィルム100の幅方向Wに沿って配列された複数の発熱素子によってフィルム100に対して印字するように構成されていてもよい。
【0038】
かかる場合、上述の一定ピッチの模様は、かかる発熱素子の断線を検査するためのパターンであってもよい。
【0039】
かかる構成によれば、作業者は、テスト印字の際に印字された一定ピッチの模様のパターンを検査することで、複数の発熱素子の断線を見つけることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る印刷装置1は、表示部17を更に備えていてもよい。かかる場合、制御部15は、抽出した第2情報が複数ある場合には、複数の第2情報を表示部17に表示させ、作業者に、いずれか1つの第2情報を選択させるように構成されていてもよい。
【0041】
かかる構成によれば、同一の第1情報に対応する第2情報が記憶部16に記憶されている場合であっても、正しい第2情報を設定することができる。
【0042】
さらに、本実施形態に係る印刷装置1は、包装部2を備えていてもよい。なお、包装部2は、印刷装置1と連動するが、フィルムの搬送速度は、包装部2の動作速度に依存している。
【0043】
包装部2は、搬送部11によって搬送されるフィルム100を、商品が収納された複数の容器上に被せた上から、ヒータを押し当てて、それらの容器周縁のフランジ部にフィルム100を熱溶着するように構成されている。したがって、レジマークRは、搬送方向に並ぶ各容器の境目に付与され、フィルムへの印字は、そのレジマークRの位置から所定距離搬送された時点から開始されるように構成されている。
【0044】
フィルム巻取部21は、包装部2の熱溶着によって刳り貫かれたフィルム100を巻き取るように構成されている。
【0045】
以下、
図3を参照して、本実施形態に係る印刷装置1の動作の一例について説明する。
【0046】
図3に示すように、ステップS101において、制御部15は、作業者の操作に従って、印字部13及び搬送部11に対して、テスト印字の開始を指示する。搬送部11は、かかる指示に基づいて、フィルム100の搬送を開始し、印字部13は、かかる指示に基づいて、搬送中のフィルム100に対して、テスト印字として、上述の一定ピッチの模様を印字する。
【0047】
ステップS102において、センサ12は、搬送中のフィルム100上のレジマークRを検出する。
【0048】
制御部15は、ステップS103において、センサ12が隣接するレジマークRを検出する間のフィルム100の搬送距離或いは搬送時間に基づいて第1情報を特定し、ステップS104において、ステップS104において特定した第1情報に対応する第2情報を記憶部16から抽出して設定する。
【0049】
ステップS105において、作業者が、テスト印字においフィルム100上に印字された模様のパターンを検査し、断線箇所が見つからなかった場合、ステップS106において、制御部15は、設定された第2情報に基づいて、生産用の印字を開始する。
【0050】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0051】
1…印刷装置
2…包装部
11…搬送部
12…センサ
13…印字部
13A…印字ヘッド
14…ロータリエンコーダ
15…制御部
16…記憶部
17…表示部
20…フィルムロール
21…フィルム巻取部
100…フィルム
R、R1、R2…レジマーク