(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066624
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/24 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B65D19/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176134
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】隅田 晃雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑也
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA05
3E063CA01
3E063DA05
3E063EE03
3E063EE13
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】開口部のコーナー部付近の耐久性の向上を図ることのできるパレットを提供する。
【解決手段】平面視略矩形状をなし、4側面からフォークを挿入可能とするパレット1は、複数の柱部2、3、4の下端部間を連結する下デッキ部6を備え、複数の柱部2、3、4の間にフォーク挿入部7が形成される。下デッキ部6は、パレット1の所定の側辺部と平行する方向に延在し、柱部2、3、4間を連結する下連結部19を備えるとともに、フォーク挿入部7同士が交差する部位に対応して開口部20を有している。下連結部19は、開口部20の一部を画定し、柱部2、3、4と連結される内側辺部22を備えている。柱部2、3、4は、開口部20の一部を画定し、当該柱部2、3、4と連結された内側辺部22の間を連結する接続部24を備え、接続部24は、当該接続部24と連結された内側辺部22の端部間を結ぶ仮想直線よりも開口部20の外周側に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部と、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部とを備え、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段の前記フォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、平面視略矩形状をなすパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットの4隅に設けられる隅柱部と、前記パレットの各側辺部に沿って並ぶ一対の前記隅柱部の中間部位に設けられる中間柱部と、前記パレットの中央部に設けられる中央柱部とを備え、
前記下デッキ部は、前記パレットの所定の側辺部と平行する方向に延在し、前記所定の側辺部の延在方向において並ぶ前記柱部間を連結する下連結部を備えるとともに、前記フォーク挿入部同士が交差する部位に対応して前記フォーク挿入部を下方に開口させる開口部を有し、
前記開口部は、前記下連結部、及び、前記柱部によって画定され、
前記下連結部は、前記開口部の一部を画定し、前記柱部と連結される内側辺部を備え、
前記柱部は、前記開口部の一部を画定し、当該柱部と連結された前記内側辺部の間を連結する接続部を備え、
前記複数の柱部のうち少なくとも前記隅柱部に関し、前記接続部は、当該接続部と連結された前記内側辺部の端部間を結ぶ仮想直線上、若しくは、前記仮想直線よりも前記開口部の外周側に位置すること、又は、前記仮想直線上に位置する部位と、前記仮想直線よりも前記開口部の外周側に位置する部位とから構成されることを特徴とするパレット。
【請求項2】
前記複数の柱部のうち少なくとも1つに関し、前記接続部は、当該接続部のうち前記開口部の外周側の面の両端部からそれぞれ前記内側辺部の延在方向に沿って前記柱部の内側に延出させて突合わせた仮想屈曲線よりも前記開口部の内周側に位置する、又は、前記仮想屈曲線上に位置する部位と、前記仮想屈曲線の屈曲点を跨ぐようにして前記仮想屈曲線よりも前記開口部の内周側に位置する部位とから構成されるとともに、前記接続部と連結された前記内側辺部の端部間を結ぶ仮想直線よりも前記開口部の外周側に位置することを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記柱部は、当該柱部の外周面を構成する外周壁部を備え、
前記下連結部には、前記外周壁部と連結される複数の連結リブが設けられ、
前記柱部は、当該柱部に連結された前記連結リブの少なくとも1つを前記柱部の内方側に延出させるようにして設けられる延出リブを備えていることを特徴とする請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記柱部は、前記外周壁部の内側において前記延出リブ同士が連結されて構成される補強区画部を備えていることを特徴とする請求項3に記載のパレット。
【請求項5】
前記延出リブは、前記外周壁部の上端部から下端部にかけて延在していることを特徴とする請求項4に記載のパレット。
【請求項6】
少なくとも1つの前記柱部において、前記補強区画部と、前記接続部との間に、前記補強区画部を構成する前記延出リブに比べて前記外周壁部から前記柱部の内方側への延出長が短い前記延出リブが設けられていることを特徴とする請求項5に記載のパレット。
【請求項7】
前記外周壁部は、前記接続部のうち前記開口部の内周側の形状を前記接続部から上方に連続させるようにして設けられる接続連続部を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用されるパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品の運搬等に使用されるパレットは、複数の柱部と、当該複数の柱部の上端部間、及び、下端部間を連結する上デッキ部、及び、下デッキ部とを備え、柱部間においてフォークリフト等のフォークを挿入可能なフォーク挿入部を有している。また、パレットの四隅に設けられる隅柱部と、パレットの各側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部の中間部位に設けられる中間柱部と、パレットの中央部に設けられる中央柱部とが設けられる4方差しのパレットが知られている。さらに、パレットの下面側(下デッキ部)において、フォーク挿入部を下方に開口させる開口部を設け、当該開口部を介してパレットを運搬するハンドリフトのキャスターを接地可能とする技術が知られている。特に、4方差しのパレットにおいてフォーク挿入部同士が交差する部位に対応して前記開口部を設ける場合には、下デッキ部は、パレットの所定の側辺部と平行する方向に延在し、パレットの前記所定の側辺部の延在方向において並ぶ柱部間を連結する下連結部により構成され、前記開口部は、下連結部と柱部とによって画定されることとなる(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、柱部のうち前記開口部を画定する部位(開口部のコーナー部位)が、前記開口部の内周側に突出するような形状とされている場合には、当該突出した部位の周辺部に応力が集中し易く、パレットが落下したりする場合に、前記突出した部位の周辺部において破損等が生じ易くなってしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、開口部のコーナー部付近の耐久性の向上を図ることのできるパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部と、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部とを備え、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段の前記フォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、平面視略矩形状をなすパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットの4隅に設けられる隅柱部と、前記パレットの各側辺部に沿って並ぶ一対の前記隅柱部の中間部位に設けられる中間柱部と、前記パレットの中央部に設けられる中央柱部とを備え、
前記下デッキ部は、前記パレットの所定の側辺部と平行する方向に延在し、前記所定の側辺部の延在方向において並ぶ前記柱部間を連結する下連結部を備えるとともに、前記フォーク挿入部同士が交差する部位に対応して前記フォーク挿入部を下方に開口させる開口部を有し、
前記開口部は、前記下連結部、及び、前記柱部によって画定され、
前記下連結部は、前記開口部の一部を画定し、前記柱部と連結される内側辺部を備え、
前記柱部は、前記開口部の一部を画定し、当該柱部と連結された前記内側辺部の間を連結する接続部を備え、
前記複数の柱部のうち少なくとも前記隅柱部に関し、前記接続部は、当該接続部と連結された前記内側辺部の端部間を結ぶ仮想直線上、若しくは、前記仮想直線よりも前記開口部の外周側に位置すること、又は、前記仮想直線上に位置する部位と、前記仮想直線よりも前記開口部の外周側に位置する部位とから構成されることを特徴とするパレット。
【0008】
手段1によれば、接続部と下連結部(内側辺部)とが90度以下の角度で連結されることを回避することができる。このため、90度以下の角度で連結される場合に比べ、接続部の周辺部(開口部のコーナー部)に応力が集中し易くなってしまうといった事態を抑止することができる。従って、開口部のコーナー部付近の耐久性の向上を図ることができ、パレットが落下したりする場合であっても、開口部のコーナー部付近において破損等を生じさせ難くすることができる。
【0009】
また、所定の(比較的剛性の低い)物品(例えば、物品を詰めた袋)の上側にパレットを載置し、当該パレットに対して上方から負荷が掛けられた場合に、例えば、接続部が開口部の内周側に突出してるような構成に比べ、接続部が物品に(突き刺さるような格好で)圧接してしまうといった事態を抑制することができる。従って、パレットを用いた物品の運搬・保管に際しての利便性の向上等を図ることができる。
【0010】
手段2.前記複数の柱部のうち少なくとも1つに関し、前記接続部は、当該接続部のうち前記開口部の外周側の面の両端部からそれぞれ前記内側辺部の延在方向に沿って前記柱部の内側に延出させて突合わせた仮想屈曲線よりも前記開口部の内周側に位置する、又は、前記仮想屈曲線上に位置する部位と、前記仮想屈曲線の屈曲点を跨ぐようにして前記仮想屈曲線よりも前記開口部の内周側に位置する部位とから構成されるとともに、前記接続部と連結された前記内側辺部の端部間を結ぶ仮想直線よりも前記開口部の外周側に位置することを特徴とする手段1に記載のパレット。
【0011】
手段2によれば、下連結部の内側辺部と、接続部との連結部位における角度を比較的緩くすることができる。従って、下連結部と、柱部との連結部位であって、比較的応力が作用し易い部位である下連結部の内側辺部と、接続部との連結部位が屈曲していることに起因して当該連結部位に応力が作用し易くなるといった事態を抑止することができる。
【0012】
また、例えば、接続部が柱部の内側に没入し過ぎることによって、柱部の外面を構成する壁部と接続部との角度や、接続部自体の所定部位の角度が比較的急角度となってしまい、当該接続部の周辺部に応力が集中し易くなってしまうといった事態を抑止することができる。
【0013】
手段3.前記柱部は、当該柱部の外周面を構成する外周壁部を備え、
前記下連結部には、前記外周壁部と連結される複数の連結リブが設けられ、
前記柱部は、当該柱部に連結された前記連結リブの少なくとも1つを前記柱部の内方側に延出させるようにして設けられる延出リブを備えていることを特徴とする手段2に記載のパレット。
【0014】
手段3によれば、下連結部と、柱部との連結部位の強度、及び、剛性を高めることができる。従って、当該連結部位が変形するような場合の応力が、開口部のコーナー部位(接続部の周辺部)に作用するといった事態を抑制することができる。
【0015】
手段4.前記柱部は、前記外周壁部の内側において前記延出リブ同士が連結されて構成される補強区画部を備えていることを特徴とする手段3に記載のパレット。
【0016】
手段4によれば、上記手段3の作用効果がより一層奏される上、柱部(下連結部と連結されている部位)の強度、及び、剛性を高めることができる。従って、柱部(外周壁部)が変形するような場合の応力が、開口部のコーナー部位(接続部の周辺部)に作用するといった事態を抑制することができる。
【0017】
手段5.前記延出リブは、前記外周壁部の上端部から下端部にかけて延在していることを特徴とする手段4に記載のパレット。
【0018】
手段5によれば、上記手段4の作用効果がより一層奏される上、柱部(上下方向の全体)の強度、及び、剛性を高めることができる。従って、柱部のうち下連結部と連結されている部位が、その上方部位に対して変位・変形するような場合の応力が、開口部のコーナー部位(接続部の周辺部)に作用するといった事態を抑制することができる。
【0019】
手段6.少なくとも1つの前記柱部において、前記補強区画部と、前記接続部との間に、前記補強区画部を構成する前記延出リブに比べて前記外周壁部から前記柱部の内方側への延出長が短い前記延出リブが設けられていることを特徴とする手段5に記載のパレット。
【0020】
手段6によれば、上記手段5の作用効果がより一層奏される上、延出リブを設けることに起因してパレットが重くなることを抑制しつつ、接続部の周辺部の変形防止等をより効果的に図ることができる。
【0021】
手段7.前記外周壁部は、前記接続部のうち前記開口部の内周側の形状を前記接続部から上方に連続させるようにして設けられる接続連続部を備えていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のパレット。
【0022】
手段7によれば、例えば、外周壁部において、接続部と、その上方部位との境界部に段差が生じ、当該段差に対して応力が集中し易くなってしまうといった事態を回避することができる。また、フォーク挿入部に挿入されるフォークが柱部の角部に接触して、当該角部が損傷するといった事態を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】パレットの下面側を示す部分拡大斜視図である。
【
図6】パレットの一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図8】パレットの一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図9】別の実施形態におけるパレットの上面側を示す斜視図である。
【
図10】別の実施形態におけるパレットの下面側を示す斜視図である。
【
図11】別の実施形態におけるパレットの部分拡大底面図である。
【
図12】別の実施形態におけるパレットの部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、パレット1は、平面視略矩形状をなしている。また、パレット1は、パレット1の4隅に設けられる4本の隅柱部2と、パレット1の各側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部2の中間部位に設けられる中間柱部3と、パレット1の中央部に設けられる中央柱部4と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部間を連結する上デッキ部5と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下端部間を連結する下デッキ部6とを備えている。各柱部2、3、4の間には、運搬手段としてのフォークリフトやハンドリフト等のフォークを挿入可能なフォーク挿入部7が形成されている。フォーク挿入部7は、パレット1の所定の側辺部に対して略直交する方向においてパレット1を貫通するようにして延在する第1フォーク挿入部7aと、第1フォーク挿入部7aに対して略直交する方向においてパレット1を貫通するようにして延在する第2フォーク挿入部7bとを備えている。つまり、本実施形態のパレット1は、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを挿入可能な4方差しタイプのパレットとなっている。
【0025】
また、本実施形態のパレット1は、ポリプロピレンによってその全体が一体的に形成(一体成形)されている。さらに、本実施形態では、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、上デッキ部5の上面によって物品を載置可能な「載置面8」が構成され、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、下デッキ部6の下面によって、パレット1が設置される床面等の設置面に接地する「接地面9」が構成されている。
【0026】
また、
図3、
図7等に示すように、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4は、それぞれの外周面を構成する上下方向に延びる略四角筒状の外周壁部11を備えている。さらに、隅柱部2、及び、中間柱部3の外周壁部11は、パレット1の外周面を構成する外向壁部12と、第1フォーク挿入部7aの一部を画定する第1壁部13と、第2フォーク挿入部7bの一部を画定する第2壁部14とを備えている。尚、中央柱部4の外周壁部11は、第1フォーク挿入部7aの一部を画定する第1壁部13と、第2フォーク挿入部7bの一部を画定する第2壁部14とを備えている。
【0027】
図1、
図8等に示すように、上デッキ部5は、パレット1の所定の側辺部と平行する方向に延在し、前記所定の側辺部の延在方向において並ぶ柱部2、3、4間(第1壁部13間、及び、第2壁部14間)を連結する上連結部16と、上連結部16によって囲まれる範囲に設けられ、上連結部16間を連結する上補助連結部17とを備えている。
【0028】
図2、
図8等に示すように、下デッキ部6は、パレット1の所定の側辺部と平行する方向に延在し、前記所定の側辺部の延在方向において並ぶ柱部2、3、4間(第1壁部13間、及び、第2壁部14間)を連結する下連結部19により構成されている。さらに、下デッキ部6は、第1フォーク挿入部7aと、第2フォーク挿入部7bとが交差する部位に対応してフォーク挿入部7を下方に開口させ、ハンドリフトのフォークの下面側に取付けられたキャスターを接地可能とする開口部20を有している。各開口部20は、4つの下連結部19、1つの隅柱部2(の内側のコーナー部)、2つの中間柱部3(の内側のコーナー部)、及び、中央柱部4(の1つのコーナー部)によって画定される。
【0029】
図4、
図7等に示すように、パレット1の所定の側辺部と平行する方向に延在する下連結部19に関し、当該下連結部19の幅(前記所定の側辺部に対して直交する方向における幅)は、当該下連結部19と連結される柱部2、3、4の前記所定の側辺部に対して直交する方向における幅(最大幅)よりも若干短く構成されている。そして、下連結部19のうちパレット1の外周面を構成する外側辺部21は、隅柱部2、及び、中間柱部3の外向壁部12の外面と面一とされる位置で当該隅柱部2、及び、中間柱部3の第1壁部13又は第2壁部14と連結されている。さらに、パレット1の所定の側辺部に対して平行する方向(例えば、第1フォーク挿入部7aの延在方向)に延在する下連結部19のうち開口部20の一部を構成(画定)する内側辺部22は、前記所定の側辺部に対して直交する方向において、当該下連結部19と連結される柱部2、3、4の側面(例えば、第1壁部13の第1フォーク挿入部7aを画定する面)よりも当該下連結部19の横幅方向中央部側に位置して第2壁部14又は第1壁部13(例えば、第2壁部14)と連結されている。
【0030】
さて、
図3、
図4等に示すように、柱部2、3、4の外周壁部11は、第1壁部13と第2壁部14との境界部において、開口部20の一部を画定し、当該柱部2、3、4と連結された内側辺部22の間(端部間)を連結する接続部24を備えている。接続部24は、当該接続部24と連結された内側辺部22の端部間を結ぶ仮想直線(
図5の2点鎖線X参照)よりも開口部20の外周側(外周壁部11の内側)に位置するように構成されている。さらに、隅柱部2に関し、接続部24は、当該接続部24のうち開口部20の外周側の面(柱部2、3、4の内側の面)の両端部からそれぞれ内側辺部22の延在方向に沿って柱部2、3、4の内側に延出させて突合わせた仮想屈曲線(
図5の2点鎖線Y参照)よりも開口部20の内周側に位置している。加えて、中間柱部3、及び、中央柱部4に関し、接続部24は、内側辺部22(及び、第1壁部13又は第2壁部14)と連接して仮想屈曲線上に位置する部位と、仮想屈曲線の屈曲点(仮想屈曲線の交点)を跨ぐようにして(通らないようにして、ショートカット接続するようにして)仮想屈曲線よりも開口部20の内周側に位置する部位とから構成されている。本実施形態では、接続部24は、開口部20の外周側(外周壁部11の内側)に凸となる断面略円弧状の湾曲部を具備している(隅柱部2の接続部24は全体が湾曲部であり、中間柱部3、及び、中央柱部4の接続部24は、当該接続部24を挟んで外周壁部11に連結された一対の内側辺部22をそれぞれ外周壁部11の内側に延長させるようにして設けられた直線部と、直線部の先端部間を連結する湾曲部とにより構成される)。
【0031】
図3、
図6等に示すように、下連結部19は、柱部2、3、4の外周壁部11間を連結し、下連結部19の幅方向において互いに所定距離を隔てて設けられる複数の連結リブ25を備えており、外側辺部21、及び、内側辺部22に関しては、それぞれ対象となる連結リブ25により構成されている。尚、本実施形態では、接続部24の厚みが内側辺部22を構成する連結リブ25よりも薄く構成されている(内側辺部22を構成する連結リブ25の厚みが柱部2、3、4の接続部24を含む外周壁部11の厚みよりも厚く構成されている)が、同じ厚みとしてもよい。また、本実施形態では、接続部24のうち開口部20の外周側の面の両端部(内側辺部22を構成する連結リブ25、及び、第1壁部13又は第2壁部14との境界部)がR形状となるように面取り加工されているが、平面取り形状としてもよいし、面取り形状としなくてもよい。
【0032】
また、柱部2、3、4は、当該柱部2、3、4(外周壁部11)に連結された連結リブ25の少なくとも1つを(そのまま直線状に)柱部2、3、4(外周壁部11)の内方側に延出させるようにして設けられる延出リブ26を備えている。延出リブ26は、外周壁部11の上端部から下端部にかけて延在している。さらに、柱部2、3、4は、外周壁部11の内側において延出リブ26同士が連結されて構成される補強区画部27を備えている。加えて、柱部2、3、4には、補強区画部27と、接続部24との間に、補強区画部27を構成する延出リブ26に比べて外周壁部11から柱部2、3、4(外周壁部11)の内方側への延出長が短い延出リブ26(以下、「短リブ28」と称する)が設けられている。
【0033】
また、
図3、
図6、
図8等に示すように、外周壁部11は、接続部24のうち開口部20の内周側の形状を接続部24から上方に連続させるようにして設けられる接続連続部30を備えている。本実施形態では、隅柱部2、及び、中間柱部3に関しては、接続連続部30が上デッキ部5にまで延在している。その一方で、
図3、
図6等に示すように、中央柱部4に関しては、接続連続部30の上下方向中間位置から開口部20の内周側、かつ、上方に傾斜して延びる傾斜部31と、傾斜部31の先端縁と上デッキ部5との間を連結する縦補強部32とが設けられている。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、柱部2、3、4(外周壁部11)は、開口部20の一部を画定し、当該柱部2、3、4と連結された下連結部19の内側辺部22の間を連結する接続部24を備えており、接続部24は、当該接続部24と連結された内側辺部22の端部間を結ぶ仮想直線よりも開口部20の外周側に位置している。これにより、接続部24と下連結部19(内側辺部22)とが90度以下の角度で連結されることを回避することができる。このため、90度以下の角度で連結される場合に比べ、接続部24の周辺部(開口部20のコーナー部)に応力が集中し易くなってしまうといった事態を抑止することができる。従って、開口部20のコーナー部付近の耐久性の向上を図ることができ、パレット1が落下したり、パレット1の下面の両側部のみが支持されて保管されたりする場合であっても、開口部20のコーナー部付近において破損等を生じさせ難くすることができる。特に、例えば、接続部24が前記仮想直線上に位置する構成に比べても、下連結部19の内側辺部22と、接続部24との連結部位における角度を比較的緩くすることができる。従って、下連結部19と、柱部2、3、4(外周壁部11)との連結部位であって、比較的応力が作用し易い部位である下連結部19の内側辺部22と、接続部24との連結部位が屈曲していることに起因して、当該連結部位に応力が作用し易くなるといった事態を抑止することができる。
【0035】
また、所定の(比較的剛性の低い)物品(例えば、物品を詰めた袋)の上側にパレット1を載置し、当該パレット1に対して上方から負荷が掛けられた場合に、例えば、接続部が開口部の内周側に突出してるような構成に比べ、接続部24が物品に(突き刺さるような格好で)圧接してしまうといった事態を抑制することができる。従って、物品の運搬・保管に際しての利便性の向上等を図ることができる。
【0036】
さらに、本実施形態の接続部24は、接続部24のうち開口部20の外周側の面(柱部2、3、4の内側の面)の両端部からそれぞれ内側辺部22の延在方向に沿って柱部2、3、4の内側に延出させて突合わせた仮想屈曲線よりも開口部20の内周側に位置する、又は、前記仮想屈曲線上に位置する部位と、前記仮想屈曲線よりも開口部20の内周側に位置する部位とから構成されている。このため、例えば、接続部24が柱部2、3、4(外周壁部11)の内側に没入し過ぎることによって、外周壁部11と接続部24との角度や、接続部24自体の所定部位の角度が比較的急角度となってしまい、当該接続部24の周辺部に応力が集中し易くなってしまうといった事態を抑止することができる。
【0037】
また、柱部2、3、4は、当該柱部2、3、4に連結された連結リブ25の少なくとも1つを柱部2、3、4(外周壁部11)の内方側に延出させるようにして設けられる延出リブ26を備えている。このため、下連結部19と、柱部2、3、4との連結部位の強度、及び、剛性を高めることができる。従って、当該連結部位が変形するような場合の応力が、開口部20のコーナー部位(接続部24の周辺部)に作用するといった事態を抑制することができる。
【0038】
さらに、柱部2、3、4は、外周壁部11の内側において延出リブ26同士が連結されて構成される補強区画部27を備えている。このため、柱部2、3、4(下連結部19と連結されている部位)の強度、及び、剛性を高めることができる。従って、柱部2、3、4(外周壁部11)が変形するような場合の応力が、開口部20のコーナー部位(接続部24の周辺部)に作用するといった事態を抑制することができる。
【0039】
加えて、延出リブ26は、外周壁部11の上端部から下端部にかけて延在している。このため、柱部2、3、4(上下方向の全体)の強度、及び、剛性を高めることができる。従って、柱部2、3、4のうち下連結部19と連結されている部位が、その上方部位に対して変位・変形するような場合の応力が、開口部20のコーナー部位(接続部24の周辺部)に作用するといった事態を抑制することができる。
【0040】
また、柱部2、3、4には、補強区画部27と、接続部24との間に、補強区画部27を構成する延出リブ26に比べて外周壁部11から柱部2、3、4の内方側への延出長が短い延出リブ26(短リブ28)が設けられている。このため、延出リブ26を設けることに起因してパレット1が重くなることを抑制しつつ、接続部24の周辺部の変形防止等をより効果的に図ることができる。
【0041】
さらに、外周壁部11は、接続部24のうち開口部20の内周側の形状を接続部24から上方に連続させるようにして設けられる接続連続部30を備えている。このため、例えば、外周壁部11において、接続部24と、その上方部位との境界部に段差が生じ、当該段差に対して応力が集中し易くなってしまうといった事態を回避することができる。また、フォーク挿入部7に挿入されるフォークが柱部2、3、4の角部(第1壁部13と第2壁部14との境界部)に接触して、当該角部が損傷するといった事態を抑制することができる。
【0042】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0043】
(a)上記実施形態では、全体が一体的に形成されるパレット1に具体化されているが、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上側部分と、上デッキ部5とを具備する上構成部と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下側部分と、下デッキ部6とを具備する下構成部とをそれぞれ一体的に形成し、上構成部の下縁部と、下構成部の上縁部とを溶着(例えば、熱溶着、振動溶着)させることにより、上構成部と下構成部とが一体化されてなるパレットに適用することも可能である。また、上記実施形態では、パレット1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。加えて、上記実施形態では特に言及していないが、上デッキ部5の上連結部16及び上補助連結部17や下デッキ部6の下連結部19には、(上記実施形態の開口部20よりも小さな)複数の開口部が形成されており、当該開口部の形成範囲についても適宜設定することが可能である。例えば、
図9に示すように、上補助連結部17に対し、柱部2、3、4(接続連続部30の上端部)との境界部において載置面8を構成する壁部を設けることとしてもよい。
【0044】
(b)上記実施形態では、全ての柱部2、3、4の接続部24が仮想直線よりも開口部20の内周側に突出しない構成とされているが、例えば、
図10、
図11に示すように、少なくとも隅柱部2の接続部24に関して仮想直線よりも開口部20の内周側に突出しない構成とされていればよい。この場合、複数の柱部2、3、4のうち(例えば、落下時等に)外部からの力を受け易い隅柱部2の接続部24の周辺部における耐久性の向上を図ることができる。但し、中間柱部3、及び、中央柱部4の接続部24に関しても、仮想直線よりも開口部20の内周側に突出しない構成とすることにより、開口部20のコーナー部付近の耐久性の向上を図るといった作用効果がより顕著に奏される。
【0045】
さらに、上記実施形態において、柱部2、3、4に設けられた接続部24は、当該柱部2、3、4と連結された内側辺部22の端部間を結ぶ仮想直線と、接続部24のうち開口部20の外周側の面の両端部からそれぞれ内側辺部22の延在方向に沿って柱部2、3、4の内側に延出させて突合わせた仮想屈曲線との間の範囲(仮想直線及び仮想屈曲線の線上を含むが、仮想屈曲線の屈曲点を除く)に設けられていればよく、また、柱部2、3、4毎に接続部24の断面形状を適宜設定することが可能である。例えば、上記実施形態の隅柱部2の接続部24は全体が円弧状に構成され、中間柱部3、及び、中央柱部4の接続部24は、内側辺部22(及び、第1壁部13又は第2壁部14)に連接し、仮想屈曲線上に位置する直線部と、仮想屈曲線の屈曲点を跨ぐようにして設けられる円弧状の湾曲部とにより構成されているが、
図11、
図12に示す隅柱部2の接続部24のように、隅柱部2に連結される一対の内側辺部22をそれぞれ外周壁部11の内側に延出させるようにして設けられ、仮想屈曲線上に位置する第1直線部41と、第1直線部41の先端部間を連結する第2直線部42とにより構成してもよい(直線を屈曲させたような断面形状としてもよい)。尚、接続部24の全体を直線状(仮想直線上に位置する構成)としたり、接続部24を仮想直線上に位置する部位と、仮想直線よりも開口部20の外周側に位置する部位とから構成したりすることも可能である。また、
図4に示すように、中間柱部3、及び、中央柱部4に関し、接続部24における直線部を第1直線部41と捉えることもできる。
【0046】
(c)上記実施形態では、内側辺部22は、下連結部19の延在方向に対して直交する方向の垂直断面形状が上下に幅広となる略矩形状の連結リブ25(開口部20の内周側の面)により構成されているが、例えば、連結リブ25の下辺部から開口部20の内周側に突出するリブ(開口部20の内周側の辺部)により内側辺部22を構成することとしてもよい。また、上記実施形態では、接続部24のうち開口部20の内周側の面の断面形状と、接続連続部30のうち開口部20の内周側の面の断面形状とが同じ形状をなしているが、異なる形状としてもよい。例えば、接続部24を上記仮想直線よりも開口部20の外周側に位置させ、接続連続部30のうち開口部20の内周側の面を接続部24よりも開口部20の内周側に位置させるように構成してもよい。
【0047】
(d)上記実施形態において、柱部2、3、4の内側に設けられる延出リブ26等のリブや、下連結部19の連結リブ25等のリブについても適宜設計変更可能である。例えば、
図11の2点鎖線で示すように、接続部24(及び、接続連続部30)と、延出リブ26(補強区画部27の内角部)との間を連結する接続補強リブ43を設けることとしてもよい。当該接続補強リブ43についても、外周壁部11の上端部から下端部にかけて延在していることとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…パレット、2…隅柱部、3…中間柱部、4…中央柱部、5…上デッキ部、6…下デッキ部、7…フォーク挿入部、11…外周壁部、19…下連結部、20…開口部、22…内側辺部、24…接続部、25…連結リブ、26…延出リブ、27…補強区画部、28…短リブ、30…接続連続部。