(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066633
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】蓋材用ホットメルト接着剤及び該ホットメルト接着剤を用いた蓋材、密封容器
(51)【国際特許分類】
C09J 191/06 20060101AFI20240509BHJP
C09J 109/06 20060101ALI20240509BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240509BHJP
C09J 123/08 20060101ALI20240509BHJP
C09J 131/04 20060101ALI20240509BHJP
C09J 123/00 20060101ALI20240509BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20240509BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20240509BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20240509BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
C09J191/06
C09J109/06
C09J11/08
C09J123/08
C09J131/04
C09J123/00
C09J153/02
C09J7/35
B65D77/20 K
B32B27/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176148
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢部 謙太
【テーマコード(参考)】
3E067
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3E067AB16
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4J040MA10
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4J040PA42
(57)【要約】
【課題】蓋材のヒートシール直後にせん断方向に荷重をかけても蓋材がずれず、内容物が漏れ出さない適切なせん断強度と、運搬時に蓋材が剥離しない適切な接着強度とを両立して有するホットメルト接着剤を提供すること。
【解決手段】ワックス、スチレン系エラストマー、及び粘着付与樹脂を各々特定量含み、かつ特定のエチレン酢酸ビニル共重合体または特定のオレフィン系ポリマーの少なくとも一方を特定量含むホットメルト接着剤であることにより解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤100質量%中に、ワックス(A)30~70質量%、スチレン系エラストマー(B)5~20質量%、及び粘着付与樹脂(C)10~40質量%を含み、
かつ下記(1)~(5)のいずれかを満足する蓋材用ホットメルト接着剤。
(1)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが10~1000g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D)1~15質量%を含む。
(2)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが0.1~1000g/10分であるオレフィン系ポリマー(E)1~15質量%を含む。
(3)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが10~100g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D1)1~15質量%と荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが0.1~100g/10分であるオレフィン系ポリマー(E1)1~15質量%を含む。
(4)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが10~100g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D1)1~15質量%と荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるオレフィン系ポリマー(E2)1~15質量%を含む。
(5)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D2)1~15質量%と荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが0.1~100g/10分であるオレフィン系ポリマー(E1)1~15質量%を含む。
【請求項2】
粘着付与樹脂(C)が、水素添加された石油系粘着付与樹脂(C1)またはロジン系粘着付与樹脂(C2)の少なくとも一方を含有する、請求項1に記載の蓋材用ホットメルト接着剤。
【請求項3】
ワックス(A)の融点が50~150℃であり、
スチレン系エラストマー(B)のスチレン比率が10~40%、かつジブロック比率が0~80%であり、
かつ粘着付与樹脂(C)の軟化点が80~150℃である請求項1に記載の蓋材用ホットメルト接着剤。
【請求項4】
オレフィン系ポリマー(E)を構成するモノマーの炭素数が2~6である、請求項1に記載の蓋材用ホットメルト接着剤。
【請求項5】
基材上に、請求項1~4に記載のホットメルト接着剤からなる熱溶融層を有する蓋材。
【請求項6】
基材が、樹脂シート、紙、ガラス及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種が任意の構成で積層された積層体である請求項5に記載の蓋材。
【請求項7】
容器の開口部が、請求項6に記載の蓋材における熱溶融層でヒートシールされてなる、開封可能な密封容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋材用ホットメルト接着剤及びそれを用いてなる蓋材に関し、更に詳細には接着強度とヒートシール直後のせん断強度を両立した蓋材用ホットメルト接着剤に関する。また、蓋材を用いてなる密封容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からヨーグルト、ゼリー菓子、プリン、乳酸菌飲料、シロップ等の内容物を食品容器に入れ、予めホットメルト接着剤等が塗布された熱接着可能な蓋材により封緘し、密封包装物が形成される食品包装材料が使用されている。食品容器用蓋材に用いられるホットメルト接着剤には、内容物を充填した食品容器を密封するためのシール性能、容器を開封する際に内容物が飛散して手や服を汚す問題が発生することを防止する易剥離性、運搬時や落下時に容器内の内容物が飛散しない耐衝撃性、その蓋材を生産する際の生産性(長時間の連続生産、高速での塗工適性等)、蓋材の加工性等の物性が要求される。
【0003】
そこで、従来蓋材用等に使用できるホットメルト接着剤について、下記の特許文献1、2に示されるような提案がなされてきた。
【0004】
特許文献1において、オレフィン系ポリマー、エチレン酢酸ビニル共重合体、ワックスから構成され、前記ワックスには低分子量エチレン・プロピレン共重合物のスチレングラフト物とパラフィンワックスを含み、耐ブロッキング性と接着性に優れているホットメルト接着剤が開示されている。
【0005】
特許文献2において、エチレン酢酸ビニル共重合体、オレフィン系ポリマー、ワックス、粘着付与樹脂から構成され、開封強度、易剥離性、開封時のフランジへのホットメルト接着剤の糊残り及び耐衝撃性に優れているホットメルト接着剤が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のホットメルト接着剤はヒートシール直後にせん断方向に荷重がかかった場合に蓋材がずれ、内容物が漏れ出す、という課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-128687号公報
【特許文献2】特開2018-150444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、蓋材のヒートシール直後にせん断方向に荷重をかけても蓋材がずれず、内容物が漏れ出さない適切なせん断強度と、運搬時に蓋材が剥離しない適切な接着強度とを両立して有するホットメルト接着剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、
ワックス、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂を特定量含み、かつ特定のエチレン酢酸ビニル共重合体または特定のオレフィン系ポリマーの少なくとも1つを特定量含むホットメルト接着剤であることにより、ヒートシール直後における強いせん断強度とホットメルト接着剤固化後の強い接着強度を両立し、ヒートシール直後に荷重がかかっても蓋材が剥がれず、かつホットメルト接着剤の固化後に運搬しても蓋材が剥離しない強い接着強度を保持でき、好適に用いられることを達成するという効果を有することを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、ホットメルト接着剤100質量%中に、ワックス(A)30~70質量%、スチレン系エラストマー(B)5~20質量%、及び粘着付与樹脂(C)10~40質量%を含み、
かつ下記(1)~(5)のいずれかを満足する蓋材用ホットメルト接着剤に関する。
(1)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが10~1000g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D)1~15質量%を含む。
(2)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが0.1~1000g/10分であるオレフィン系ポリマー(E)1~15質量%を含む。
(3)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが10~100g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D1)1~15質量%と荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが0.1~100g/10分であるオレフィン系ポリマー(E1)1~15質量%を含む。
(4)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが10~100g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D1)1~15質量%と荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるオレフィン系ポリマー(E2)1~15質量%を含む。
(5)さらに、荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D2)1~15質量%と荷重21.18N、190℃条件下で測定したメルトマスフローレイトが0.1~100g/10分であるオレフィン系ポリマー(E1)1~15質量%を含む。
【0011】
本発明は、粘着付与樹脂(C)が、水素添加された石油系粘着付与樹脂(C1)またはロジン系粘着付与樹脂(C2)の少なくとも一方を含有する、前記の蓋材用ホットメルト接着剤に関する。
【0012】
本発明は、ワックス(A)の融点が50~150℃であり、
スチレン系エラストマー(B)のスチレン比率が10~40%、ジブロック比率が0~80%であり、
かつ粘着付与樹脂(C)の軟化点が80~150℃である前記の蓋材用ホットメルト接着剤に関する。
【0013】
本発明は、オレフィン系ポリマー(E)を構成するモノマーの炭素数が2~6である、前記の蓋材用ホットメルト接着剤に関する。
【0014】
本発明は、基材上に、前記のホットメルト接着剤からなる熱溶融層を有する蓋材に関する。
【0015】
本発明は、基材が、樹脂シート、紙、ガラス及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも2種以上が任意の構成で積層された積層体である前記の蓋材に関する。
【0016】
本発明は、容器の開口部が、前記の蓋材におけるホットメルト接着剤でヒートシールされてなる、開封可能な密封容器に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、蓋材のヒートシール直後にせん断方向に荷重をかけても蓋材がずれず、内容物が漏れ出さない適切なせん断強度と、運搬時に蓋材が剥離しない適切な接着強度とを両立して有するホットメルト接着剤の提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0019】
本明細書において、特に記載がない限り、「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
なお、本発明においてメルトマスフローレイト(MFR)とは、JISK7210に準拠して測定を行い、ヒーターで加熱された円筒容器内で一定量の樹脂などを温度190℃、荷重21.18N で加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂などの量を測定した値を示し、「g/10分」で表示する。
【0020】
<ワックス(A)>
本発明のホットメルト接着剤を構成するワックス(A)としては、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量エチレン・プロピレン共重合物、低分子量エチレン・プロピレン共重合物の酸化物、低分子量エチレン・ブテン共重合物、低分子量プロピレン・ブテン・エチレン共重合物、低分子量エチレン・プロピレン共重合物のスチレングラフト物、エチレン・プロピレン共重合物の無水マレイン酸化物、プロピレン・ブテン・エチレン共重合物の無水マレイン酸化物などの変性ワックス等の合成ワックス挙げられる。中でも熱安定性に優れ、低粘度であるフィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスが好ましい。
これらのワックス(A)は、単独または2種以上使用できる。
【0021】
ワックス(A)の融点は50~150℃が好ましく、より好ましくは60~145℃であり、さらに好ましくは70~140℃である。ワックス(A)の融点が50~150℃であることで、接着強度及びヒートシール直後のせん断強度を維持することができるため、好ましい。さらに、融点が50~100℃のワックス(A1)及び融点が100℃を超えて150℃以下のワックス(A2)を併用することが特に好ましい。
ワックス(A1)の融点はより好ましくは60~90℃であり、さらに好ましくは70~85℃である。また、ワックス(A2)の融点はより好ましくは110~145℃であり、さらに好ましくは120~140℃である。
融点が50~100℃のワックス(A1)及び融点が100℃を超えて150℃以下のワックス(A2)を併用することで、接着強度及びヒートシール直後のせん断強度に優れるホットメルト接着剤とすることができる。
なお、本発明において融点とは、示差走査熱量計(DSC)測定で、10℃/分で上昇した際のピーク温度である。詳細は実施例の欄に記載する。
【0022】
ホットメルト接着剤100質量%中、融点が50~100℃のワックス(A1)の含有率は25~68質量%が好ましく、また融点が100℃を超えて150℃以下のワックス(A2)の含有率は1~15質量%であることが好ましい。より好ましくは、融点が50~100℃のワックス(A1)の含有率は38~61質量%であり、融点が100℃を超えて150℃以下のワックス(A2)の含有率は1~9質量%である。
【0023】
<スチレン系エラストマー(B)>
本発明におけるスチレン系エラストマー(B)は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合物(以下、「SBS」とも略記する)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEBS」とも略記する)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合物(以下、「SIS」とも略記する)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEPS」とも略記する)、スチレン-ブタジエン-イソプレン-スチレンブロック共重合物(以下、「SBIS」とも略記する)、及び、スチレン-ブタジエン-イソプレン-スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEEPS」とも略記する)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、上記共重合物は、カルボキシル変性されたものであってもよく、さらには、上記共重合物中のスチレンブロックは、スチレンと、α-メチルスチレン等のその他の芳香族系ビニル化合物との共重合体を含んでいてもよい。
また、スチレン系エラストマー(B)は、トリブロック型の構造部のみを有するものには限定されず、一部ジブロック型の構造部を有するものであってもよい。
これらのスチレン系エラストマー(B)は単独または2種以上が使用できるが、熱安定性、接着強度、ヒートシール直後のせん断強度に優れている点からSEBSの使用が好ましい。
【0024】
スチレン系エラストマー(B)のスチレン比率は10~40質量%が好ましく、より好ましくは10~29質量%であり、さらに好ましくは10~19質量%である。スチレン系エラストマー(B)のスチレン比率が10~40質量%であることで柔軟性、ヒートシール直後のせん断強度に優れるため、好ましい。
【0025】
スチレン系エラストマー(B)のジブロック比率は0~80質量%が好ましい。スチレン系エラストマー(B)のスチレン比率が0~80質量%であることで接着強度に優れるため、好ましい。
【0026】
<粘着付与樹脂(C)>
本発明における粘着付与樹脂(C)としては、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、炭化水素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エラストマー系樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。なお、これらの樹脂は水素添加されていても良い。
これらの中でも、水素添加された石油系樹脂は耐熱性に優れている点で好ましく、ロジン系樹脂は接着強度を向上させる点で好ましい。これらの粘着付与樹脂は、単独または2種以上を併用できる。
【0027】
粘着付与樹脂(C)は水素添加された石油系粘着付与樹脂(C1)と、ロジン系粘着付与樹脂(C2)を併用することが好ましい。これらの粘着付与樹脂を併用することで、耐熱性及び接着強度に優れるホットメルト接着剤とすることができる。
【0028】
粘着付与樹脂(C)の軟化点は80~150℃が好ましく、より好ましくは90~135℃である。さらに好ましくは100~128℃である。粘着付与樹脂(C)の軟化点が80~150℃であることで、ヒートシール直後のせん断強度に優れるため、好ましい。
軟化点80℃~150℃の水素添加された石油系粘着付与樹脂(C1)と、軟化点80℃~150℃のロジン系粘着付与樹脂(C2)を併用することで、接着強度に優れるホットメルト接着剤とすることができる。
なお、本発明における軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。詳細は実施例の欄に記載する。
【0029】
ホットメルト接着剤100質量%中、水素添加された石油系粘着付与樹脂(C1)の含有率は1~35質量%が好ましく、またロジン系粘着付与樹脂(C2)の含有率は1~25質量%であることが好ましい。より好ましくは、水素添加された石油系粘着付与樹脂(C1)の含有率は10~25質量%であり、またロジン系粘着付与樹脂(C2)の含有率は8~17質量%である。
【0030】
<エチレン酢酸ビニル共重合体(D)>
本発明におけるエチレン酢酸ビニル共重合体(D)は、MFRが10~1000g/10分の範囲である、エチレンと酢酸ビニルの共重合体である。エチレン酢酸ビニル共重合体(D)は、MFRが10~100g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D1)と、MFRが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D2)に分けられる。
【0031】
エチレン酢酸ビニル共重合体(D)のMFRは好ましくは12~350g/10分であり、さらに好ましくは13~200g/10分であり、特に好ましくは、13~100g/10分である。MFRが10~1000g/10分の範囲にあることで、接着性に優れる。
【0032】
エチレン酢酸ビニル共重合体(D)中の酢酸ビニル由来の構成単位は、エチレン酢酸ビニル共重合体全体を100質量%とした場合に10~35質量%の範囲であることが好ましく、12~34質量%の範囲がより好ましい。酢酸ビニル由来の構成単位の質量が10~35質量%の範囲にあることで、接着強度及び耐ブロッキング性に優れる。
【0033】
<オレフィン系ポリマー(E)>
本発明におけるオレフィン系ポリマー(E)は、MFRが0.1~1000g/10分の範囲であり、MFRが0.1~100g/10分であるオレフィン系ポリマー(E1)と、MFRが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるオレフィン系ポリマー(E2)に分けられる。オレフィン系ポリマー(E)のMFRは、0.1~500g/10分であることが好ましく、より好ましくは1.0~100g/10分であり、さらに好ましくは1.0~60g/10分であり、特に好ましくは1.0~29g/10分である。MFRが0.1~1000g/10分の範囲にあることで、ヒートシール直後のせん断強度及び塗工性に優れる。
【0034】
オレフィン系ポリマー(E)を構成するモノマーの炭素数は2~6が好ましい。構成するモノマーの炭素数が2~6であることで、ヒートシール直後のせん断強度に優れる。
【0035】
オレフィン系ポリマー(E)は、オレフィンの単独重合体でも、オレフィンの共重合体でもよく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリペンテン、ポリヘキセン等の単独重合体、エチレンとエチレン以外のオレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレン及びプロピレン以外のオレフィンとの共重合体、エチレン及びプロピレン以外のオレフィンとエチレン及びプロピレン以外のオレフィンの共重合体が挙げられる。
【0036】
エチレンと、エチレン以外のオレフィンとの共重合体におけるエチレン以外のオレフィンとしては、炭素数が3~6のオレフィンが好ましい。具体的には、エチレン-1-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-cis-2-ブテン共重合体、エチレン-trans-2-ブテン共重合体、エチレン-イソブチレン共重合体、エチレン-cis-2-ペンテン共重合体、エチレン-trans-2-ペンテン共重合体、エチレン-3-メチル-1-ブテン共重合体、エチレン-2-メチル-2-ブテン共重合体及びエチレン-2,3-ジメチル-2-ブテン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ヒートシール直後のせん断強度に優れている点でエチレン-1-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体が好ましく、エチレン-1-ブテン共重合体が特に好ましい。
【0037】
プロピレンと、エチレン及びプロピレン以外のオレフィンとの共重合体におけるエチレン及びプロピレン以外のオレフィンとしては、炭素数が4~6のオレフィンが好ましい。具体的には、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ペンテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-cis-2-ブテン共重合体、プロピレン-trans-2-ブテン共重合体、プロピレン-イソブチレン共重合体、プロピレン-cis-2-ペンテン共重合体、プロピレン-trans-2-ペンテン共重合体、プロピレン-3-メチル-1-ブテン共重合体、プロピレン-2-メチル-2-ブテン共重合体及びプロピレン-2,3-ジメチル-2-ブテン共重合体などが挙げられる。
【0038】
エチレン及びプロピレン以外のオレフィンと、エチレン及びプロピレン以外のオレフィンの共重合体としては、ブテン-1-ヘキセン共重合体などが挙げられる。
【0039】
本発明のオレフィン系ポリマー(E)は、単独または2種以上を併用できるが、ヒートシール直後のせん断強度及び接着強度に優れている点でエチレン-1-ブテンまたはプロピレン-1-エチレン共重合体を含むことが好ましい。
【0040】
<ホットメルト接着剤>
本発明のホットメルト接着剤100質量%中のワックス(A)の含有率は30~70質量%であり、好ましくは40~65質量%である。また、前記スチレン系エラストマー(B)の含有率は5~20質量%であり、好ましくは9~15質量%である。また、前記粘着付与樹脂(C)の含有率は10~40質量%であり、好ましくは18~32質量%である。
また、さらに前記エチレン酢酸ビニル共重合体(D)を含有する場合の含有率は1~15質量%であり、好ましくは5~10質量%である。また、さらに前記オレフィン系ポリマー(E)を含有する場合の含有率は1~15質量%であり、好ましくは5~10質量%である。
エチレン酢酸ビニル共重合体(D)及びオレフィン系ポリマー(E)を両方含有する場合は、下記のいずれかを満足する。
(1)MFRが10~100g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D1)1~15質量%とMFRが0.1~100g/10分であるオレフィン系ポリマー(E1)1~15質量%を含む。
(2)MFRが10~100g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D1)1~15質量%とMFRが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるオレフィン系ポリマー(E2)1~15質量%を含む。
(3)MFRが100g/10分を超えて1000g/10分以下であるエチレン酢酸ビニル共重合体(D2)1~15質量%とMFRが0.1~100g/10分であるオレフィン系ポリマー(E1)1~15質量%を含む。
ワックス(A)、スチレン系エラストマー(B)、粘着付与樹脂(C)、及び、エチレン酢酸ビニル共重合体(D)またはオレフィン系ポリマー(E)の少なくとも一方を前記特定量含むことにより、接着強度及びヒートシール直後のせん断強度を両立することができる。エチレン酢酸ビニル共重合体(D)及びオレフィン系ポリマー(E)を併用することが好ましく、特に、(D1)と(E1)を併用することが好ましい。これらを併用することで、接着強度及びヒートシール直後のせん断強度をより優れて両立させることができる。
【0041】
<その他成分>
本発明のホットメルト接着剤には、発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、シランカップリング剤、シリコーンオイル、ブロッキング防止剤などの添加剤を添加してもよい。
【0042】
上記の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0043】
上記のシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
上記のシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、反応性シリコーンオイルや非反応性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらは単独または2種以上を併用できる。
【0045】
上記のブロッキング防止剤としては、例えば、無機質微粉末及び有機質微粉末を用いることができる。無機質微粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、ケイ酸微粉末、合成ケイ酸塩、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が使用でき、有機質微粉末として、耐熱性を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン、アクリル、ナイロン、尿素系樹脂等からなるフィラー、スチレン架橋フィラー、ベンゾグアナミン架橋フィラー、クエン酸脂肪酸モノグリセライド、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレート等が挙げられる。これらは単独または2種以上を併用できる。
【0046】
本発明の目的を損なわない範囲で添加できる酸化防止剤、シランカップリング剤、シリコーンオイル、ブロッキング防止剤などの添加剤の配合量はホットメルト接着剤100質量部に対して、合計0~10質量部であることが好ましく、より好ましくは合計0~5質量部である。添加剤の配合量が合計0~10質量部になることで任意成分のブリードアウト等がより生じにくくなる。
【0047】
<製造方法>
本発明の蓋材用ホットメルト接着剤を製造する方法としては、特に限定されず、ミキシングロール、ロール、バンバリーミキサー、一軸又は二軸の押出機、ニーダー、エクストルーダー、溶融押出機、撹拌機を備えた溶融釜などを用いて加熱混合するホットメルト法、適当な溶剤に溶解する溶剤法など、いずれの方法も用いることができるが、ホットメルト法が環境への影響が小さいため好ましい。
【0048】
本発明の蓋材用ホットメルト接着剤は、150℃での粘度が1000~8500mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1500~7000mPa・sである。150℃での粘度が1000~8500mPa・sであることで塗工性に優れる。なお、ホットメルト接着剤の粘度は、B型粘度計を使用して測定した値であり、詳細は実施例の欄に記載する。
【0049】
<蓋材>
蓋材は、基材の片面にホットメルト接着剤を塗布した熱溶融層を有しており、開封可能な容器に用いることができる。また、蓋材は基材の片面にホットメルト接着剤を塗布した後、ホットメルト接着剤の最外面に疎水性酸化物微粒子を付着させることができ、開封可能な容器に用いることができる。
【0050】
蓋材の製造方法は、本発明が目的とする蓋材を製造することができる限り、特に限定さ
れるものではなく、既知の製造方法を使用して製造することができる。ホットメルト接着剤、ホットメルト接着剤の最外面に付着させる疎水性酸化物微粒子の塗工方法は、特に限定されることはなく、通常知られた接触塗工法、非接触塗工法により塗工することができる。接触塗工法とは、ホットメルト接着剤を塗工する際、噴出機を部材やフィルムに接触させる塗工方法である。非接触塗工法とは、ホットメルト接着剤を塗工する際、噴出機を部材やフィルムに接触させない塗工方法である。
【0051】
(塗工方法)
本発明の蓋材用ホットメルト接着剤は、接触塗工法として、例えば、スロットコーター塗工、グラビアコーター塗工、ロールコーター塗工などが挙げられ、非接触塗工法として、例えば、螺旋状に塗工できるスパイラル塗工、波状に塗工できるオメガ塗工、コントロールシーム塗工、面状に塗工できるスロットスプレー塗工、カーテンスプレー塗工、点状に塗工できるドット塗工、線状に塗工できるビード塗工などが挙げられる。ホットメルト接着剤層の厚みは、1~100μm が好ましい。疎水性酸化物微粒子層の厚みは、0.3~5μmが好ましい。また、ホットメルト接着剤層は、加熱または紫外線照射によって架橋することもできる。
【0052】
基材は、樹脂シート、紙、ガラス、アルミニウム( アルミ箔) から選ばれる少なくとも1種で構成されてなる。例えば、樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂などの樹脂から形成される樹脂シートが挙げられる。蓋材は1 層であっても積層されていても良く、さらに不織布、織布、布などを積層することができる。
【0053】
積層構成としては特に限定されないが、好ましい具体例としては「紙/ ポリエチレン」、「アルミニウム/ ポリエチレン」、「紙/ アルミニウム/ ポリエチレン」、「ポリエチレンテレフタレート/ 紙/ ポリエチレン」、「ポリエチレンテレフタレート/ アルミニウム/ ポリエチレン」、「ポリエチレンテレフタレート/ 紙/ アルミニウム/ ポリエチレン」等が挙げられる。また、基材には必要に応じて、基材の表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの易接着処理、帯電防止処理、着色処理などを施してもよい。基材の厚みには特に制限はないが、1~300μm が好ましい。
【0054】
<密封容器>
上記蓋材は、容器と共に好適に使用することができる。本発明における密封容器は、容器の開口部が、上記蓋材におけるホットメルト接着剤層でヒートシールされてなる。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例中、「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0056】
融点、MFR、軟化点及び粘度は、次の方法で測定した。
【0057】
[融点]
示差走査熱量計(DSC、装置名:DSC-60A Plus)を用いて、クリンプセル上に試料を約2.5mg秤量し、10℃/分で昇温し、得られたチャートの吸熱ピーク温度を読み取った。ピークトップの値を融点とした。
[MFR]
JIS K 7210に規定される方法により求めた。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で一定量の樹脂を温度190℃、荷重21.18Nで加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押し出された樹脂の量を測定した値を示し、「g/10分」で表示する。
[軟化点]
JIS K 6863に規定される方法により求めた。具体的には、樹脂組成物を充填した規定の環を12時間以上静置させた後、グリセリンの熱媒体中に入れて、樹脂組成物を充填した規定の環の上に規定の球を置き、一定の割合で熱媒体の温度を上昇させたとき、樹脂組成物の軟化により球が沈み環台の底板に触れたときの温度を軟化点とした。
[粘度]
B型粘度計(東機産業(株)、型番:RB-85L)を使用し、下記条件で測定した。
温度:150℃
試料量:300g
ロ-タ-No.:3
ロ-タ-回転数:12rpm
回転時間:30秒
【0058】
<ホットメルト接着剤の製造>
[実施例1]
撹拌機を備えた釜に、ワックス(A)として、A1-2を50部、スチレン系エラストマー(B)として、B-3を19部、粘着付与樹脂(C)として、C1-1を25部、エチレン酢酸ビニル共重合体(D)として、D1-1を6部、酸化防止剤1を0.5部、シリコーンオイル1を0.3部添加し、150℃で3時間撹拌し、実施例1のホットメルト接着剤を得た。
【0059】
[実施例2~20、比較例1~17]
表1~4の組成にしたがって、実施例1と同様の方法で実施例2~20、比較例1~17のホットメルト接着剤を得た。
【0060】
以下に表1~4中の略称を示す。
<ワックス(A)>
A1-1:パラフィンワックス(日本精蝋社製、製品名:パラフィンワックス125、融点53℃)
A1-2:フィッシャートロプシュワックス(日本精鑞社製、製品名:FT-0165、融点73℃)
A1-3:フィッシャートロプシュワックス(Sasol Chemical Industrial社製、製品名:サソールC80、融点82℃)
A2-1:ポリエチレンワックス(三井化学社製、製品名:ハイワックス200P、融点124℃)
A2-2:ポリプロピレンワックス(三洋化成工業社製、製品名:ビスコール550-P、融点139℃)
A2-3:ポリプロピレンワックス(三洋化成工業社製、製品名:ビスコール330-P、融点145℃)
A3:パラフィンワックス(日本精蝋社製、製品名:パラフィンワックス115、融点48℃)
<スチレン系エラストマー(B)>
B-1:SEBS(クレイトンポリマージャパン社製、製品名:クレイトンG1657、スチレン比率:13%、ジブロック比率:29%)
B-2:SEBS(クレイトンポリマージャパン社製、製品名:クレイトンG1643、スチレン比率:20%、ジブロック比率:10%)
B-3:SEBS(クレイトンポリマージャパン社製、製品名:クレイトンG1726、スチレン比率:30%、ジブロック比率:70%)
B-4:SBS(クレイトンポリマージャパン社製、製品名:クレイトンDKX410、スチレン比率:18%、ジブロック比率:60%)
B-5:SIS(日本ゼオン社製、製品名:Quintac3421、スチレン比率:14%、ジブロック比率:26%)
<粘着付与樹脂(C)>
C1-1:水素添加C5系石油樹脂(出光興産社製、製品名:アイマーブP-100、軟化点100℃)
C1-2:水素添加C5系石油樹脂(出光興産社製、製品名:アイマーブP-125、軟化点125℃)
C1-3:水素添加C9系石油樹脂(荒川化学工業社製、製品名:アルコンP-140、軟化点140℃)
C1-4:水素添加C9系石油樹脂(荒川化学工業社製、製品名:アルコンP-70、軟化点70℃)
C2-1:ロジンエステル樹脂(アリゾナケミカル社製、製品名:SYLVALITE RE85L、軟化点85℃)
C2-2:ロジンエステル樹脂(ハリマ化成社製、製品名:ハリタックFK100、軟化点100℃)
C2-3:ロジンエステル樹脂(ハリマ化成社製、製品名:ハリタックFK125、軟化点125℃)
C2-4:ロジンエステル樹脂(荒川化学工業社製、製品名:エステルガムH、軟化点73℃)
C3:α-メチルスチレン/スチレン系樹脂(イーストマンケミカル社製、製品名:クリスタレックスF100、軟化点100℃)
<エチレン酢酸ビニル共重合体(D)>
D1-1:エチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、製品名:ウルトラセン710、MFR:18g/10分、酢酸ビニル含有率:28%)
D1-2:エチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、製品名:ウルトラセン752、MFR:60g/10分、酢酸ビニル含有率:32%)
D2-1:エチレン酢酸ビニル共重合体(三井・デュポン ポリケミカル社製、製品名:エバフレックス EV420、MFR:150g/10分、酢酸ビニル含有率:19%)
D2-2:エチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、製品名:ウルトラセン722、MFR:400g/10分、酢酸ビニル含有率:28%)
D2-3:エチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、製品名:ウルトラセン725、MFR:1000g/10分、酢酸ビニル含有率:28%)
D’-1:エチレン酢酸ビニル共重合体(三井・デュポン ポリケミカル社製、製品名:エバフレックス EV270、MFR:1g/10分、酢酸ビニル含有率:28%)
<オレフィン系ポリマー(E)>
E1-1:エチレン-1-ヘキセン共重合体(東ソー社製、製品名:ニポロン-Z ZF220、MFR:2.0g/10分)
E1-2:エチレン-ブテン共重合体(三井化学社製、製品名:タフマーA-20085S、MFR:18g/10分)
E1-3:エチレン-1-ブテン共重合体(住友化学社製、製品名:エクセレン FX 558、MFR:75g/10分)
E2-1:エチレン-1-オクテン共重合体(SK Global Chemical社製、製品名:Solutack7405、MFR:500g/10分)
E2-2:エチレン-1-オクテン共重合体(SK Global Chemical社製、製品名:Solutack6810、MFR:1000g/10分)
<その他成分>
酸化防止剤1:BASFジャパン社製、製品名:Irganox 1010
シリコーンオイル1:信越化学工業社製、製品名:KF-96-100CS
【0061】
<塗工性>
得られたホットメルト接着剤を上記の粘度測定方法で測定し、得られた150℃における粘度を基に、塗工性を下記基準で判断した。〇を実用可能と判断した。
〇:1000mPa・s以上8500mPa・s以下:実用可
×:1000mPa・sより低い、または8500mPa・sより大きい:実用不可
【0062】
≪蓋材の作製≫
[ 実施例1]
得られたホットメルト接着剤1を140℃に加熱して、積層構成がPET/アルミニウム/ポリエチレンである基材(厚さ100μm) のポリエチレン上に、塗布量が20g/m2になるように塗布し、「PET/アルミニウム/ポリエチレン/ホットメルト接着剤」という構成の積層体である蓋材1を得た。
【0063】
[実施例2~20、比較例1~17]
ホットメルト接着剤を変更した以外は、実施例1と同様にして蓋材(蓋材2~蓋材37)(蓋材2~蓋材20:実施例2~20、蓋材21~蓋材37:比較例1~17)を得た。
【0064】
得られた蓋材(蓋材1~蓋材37)について、後述する方法に従い、開封強度、180度角接着強度、ヒートシール直後のせん断方向へのずれ、耐ブロッキング性を評価した。結果を表1~4に示す。
【0065】
<開封強度に用いる試験片の作成>
得られた蓋材を、各々容器の形状(タブ付きの直径75mmの円形)に切り抜き、フランジ付きポリスチレン製容器(フランジ幅3mm、フランジ外径70mm、高さ55mm、内容積約130cm3、厚み約400μm になるように成形した容器)のフランジ上にヒートシールして食品容器をそれぞれ作製した。ヒートシール条件は180℃×3kg/cm2×0.5秒の条件でヒートシールし、これを試験片1とした。
【0066】
<開封強度>
試験片1を引張試験機に設置し、100mm/minの速度で45度角剥離を行い、開封時の最大接着強度を開封強度(N)とした。各試験片についてn=3点測定し、その平均値を求め下記基準で判断した。◎、〇、△を実用可能と判断した。
◎:14.0N以上:最良
〇:12.0N以上14.0N未満:良好
△:10.0N以上12.0N未満:実用可
×:10.0N未満:実用不可
【0067】
<180度角接着強度試験に用いる試験片の作製>
[実施例2~44、比較例1~17]
得られた蓋材を各々15mm×70mmの大きさに断裁し、15mm×70mmのCPP板に180℃×0.3MPa×1秒でヒートシールし、「PET/アルミニウム/ポリエチレン/ホットメルト接着剤/CPP」という構成の積層体を作製し、これを試験片2とした。
【0068】
<180度角最大接着強度>
試験片2を引張試験機に設置し、200mm/minの速度で180度角剥離を行い、剥離時の最大接着強度を接着強度(N/15mm)とした。各試験片についてn=3点測定し、その平均値を求め下記基準で判断した。〇、△を実用可能と判断した。
〇:20.0N/15mm以上:良好
△:17.0N/15mm以上20.0N/15mm未満:実用可
×:17.0N/15mm未満:実用不可
【0069】
<ヒートシール直後のせん断方向へのずれ>
得られた蓋材を各々15mm×70mmの大きさに断裁し、15mm×70mmのCPP板に180℃×0.1MPa×5秒でヒートシールし、直後に蓋材にせん断方向に1.3kgの荷重をかけ、蓋材の剥離した距離をヒートシール直後のせん断方向へのずれ(mm)とした。各試験片についてn=3点測定し、その平均値を求め下記基準で判断した。◎、〇、△を実用可能と判断した。なお、剥離距離が短いものほどヒートシール直後のせん断強度に優れている。
◎:6.5mm未満:最良
〇:6.5mm以上8.0mm未満:良好
△:8.0mm以上10.0mm未満:実用可
×:10.0mm以上:実用不可
【0070】
<耐ブロッキング性>
得られた蓋材を、各々5cm角に切ったものを10枚重ね、その上に10kgの重りを置いて、40℃ 雰囲気内で24時間静置した。その後、重りを取り除き、23℃ 雰囲気下に1時間静置し、蓋材を剥離した際のブロッキングの有無を確認した。〇を実用可能と判断した。
○ : ブロッキングすることなく剥離できる。:良好
△ : ブロッキングするが剥離できる。:実用化
× : ブロッキングが発生し剥離できない。:実用不可
【0071】
表1~4の結果から、本願発明の蓋材用ホットメルト接着剤は、接着強度及びヒートシール直後のせん断強度を両立していることが示された。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】