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特開2024-66637配送管理装置、配送管理方法及び配送管理プログラム
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  • 特開-配送管理装置、配送管理方法及び配送管理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066637
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】配送管理装置、配送管理方法及び配送管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176164
(22)【出願日】2022-11-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】508342998
【氏名又は名称】株式会社セブン&アイ・ホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】591156788
【氏名又は名称】株式会社セブン-イレブン・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 信行
(72)【発明者】
【氏名】我妻 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】三好 大悟
(72)【発明者】
【氏名】新居 義典
(72)【発明者】
【氏名】石津 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長尾 大志
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 幸平
(72)【発明者】
【氏名】石川 桃子
(72)【発明者】
【氏名】小田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】落合 剛弘
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】商品の配送効率を向上させることができる配送管理装置を提供する。
【解決手段】配送管理装置は、注文された商品の情報に基づいて、商品を積載可能な車両の種類を選択する選択部111と、選択された車両の種類に基づいて、所定時間内に商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出する抽出部112と、抽出された車両の現在位置から商品の配送先まで車両を運転する配送員が商品を配送するのに要する距離要因のコスト、配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数、及び配送員がこれから配送する予定の配送予定件数、を引き数とする関数の処理結果を算出する算出部113と、算出された処理結果に基づいて、商品を配送する配送員を特定する特定部114と、特定された配送員に商品の配送依頼を送信する送信部115と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文された商品の情報に基づいて、前記商品を積載可能な車両の種類を選択する選択部と、
選択された前記車両の種類に基づいて、所定時間内に前記商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出する抽出部と、
抽出された前記車両の現在位置から前記商品の配送先まで前記車両を運転する配送員が前記商品を配送するのに要する距離要因のコスト、前記配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数、及び前記配送員がこれから配送する予定の配送予定件数、を引き数とする関数の処理結果を算出する算出部と、
算出された前記処理結果に基づいて、前記商品を配送する前記配送員を特定する特定部と、
特定された前記配送員に前記商品の配送依頼を送信する送信部と、
を備える配送管理装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記距離要因のコストを、前記車両の現在位置から前記商品の配送先までの距離、及び前記車両が前記商品を配送する際に積載する全ての前記商品の総重量に基づいて算出する、
請求項1記載の配送管理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記配送員が前記商品を配送する際に前記配送員が配送する全ての前記商品を配送する時間が最短となる配送順序を算出し、算出した前記配送順序により定まる配送ルートに基づいて、前記車両の現在位置から前記商品の配送先までの距離を算出する、
請求項2記載の配送管理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記配送ルートを定める際に、渋滞情報を参照し、渋滞を回避可能なルートを優先して前記配送ルートを定める、
請求項3記載の配送管理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記関数の処理結果として、商品の配送効率が高いほど小さくなる値を算出する、
請求項1記載の配送管理装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記関数の処理結果が最小となる前記配送員を、前記商品を配送する前記配送員として特定する、
請求項5記載の配送管理装置。
【請求項7】
プロッセサにより実行される方法であって、
注文された商品の情報に基づいて、前記商品を積載可能な車両の種類を選択するステップと、
選択された前記車両の種類に基づいて、所定時間内に前記商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出するステップと、
抽出された前記車両の現在位置から前記商品の配送先まで前記車両を運転する配送員が前記商品を配送するのに要する距離要因のコスト、前記配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数、及び前記配送員がこれから配送する予定の配送予定件数、を引き数とする関数の処理結果を算出するステップと、
算出された前記処理結果に基づいて、前記商品を配送する前記配送員を特定するステップと、
特定された前記配送員に前記商品の配送依頼を送信するステップと、
を含む配送管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
注文された商品の情報に基づいて、前記商品を積載可能な車両の種類を選択する選択部、
選択された前記車両の種類に基づいて、所定時間内に前記商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出する抽出部、
抽出された前記車両の現在位置から前記商品の配送先まで前記車両を運転する配送員が前記商品を配送するのに要する距離要因のコスト、前記配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数、及び前記配送員がこれから配送する予定の配送予定件数、を引き数とする関数の処理結果を算出する算出部、
算出された前記処理結果に基づいて、前記商品を配送する前記配送員を特定する特定部、
特定された前記配送員に前記商品の配送依頼を送信する送信部、
として機能させる配送管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送管理装置、配送管理方法及び配送管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数の配達先に連続して品物を配達する配達車両の配達管理装置が開示されている。この配達管理装置は、同一の配達員が配達に出発し、複数の配達先を連続して経由し、配達完了後に店舗に戻る、いわゆる複数配達を含む配達計画を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6822873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記配達管理装置は、複数配達時の配達ルートを算出する際に、マップ画面に表示された複数の配達先の中から管理者が任意に指定した複数の配達先を経由するルートを算出している。しかしながら、管理者が任意に指定した複数の配送先に基づいて配送ルートを算出していたのでは、商品の配送効率を低下させる要因になる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、商品の配送効率を向上させることができる配送管理装置、配送管理方法及び配送管理プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る配送管理装置は、注文された商品の情報に基づいて、商品を積載可能な車両の種類を選択する選択部と、選択された車両の種類に基づいて、所定時間内に商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出する抽出部と、抽出された車両の現在位置から商品の配送先まで車両を運転する配送員が商品を配送するのに要する距離要因のコスト、配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数、及び配送員がこれから配送する予定の配送予定件数、を引き数とする関数の処理結果を算出する算出部と、算出された処理結果に基づいて、商品を配送する配送員を特定する特定部と、特定された配送員に商品の配送依頼を送信する送信部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、注文された商品に適合する車両の種類を選択し、選択した車両の種類に属する車両の中から、所定時間内に商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出し、注文された商品を配送員が配送するのに要する距離要因のコスト、配送員の当日の通算受諾件数及び配送予定件数を引き数とする関数の処理結果に基づいて、注文された商品を配送する配送員を特定し、特定した配送員に配送依頼を送信することができる。
【0008】
これにより、新たな注文を受けるたびに、注文された商品に適合する車両を選択し、遅配の可能性が低くなり、かつ稼働数が少なくなるように車両を絞り込み、配送距離によるコスト及び配送員の配送状況などを考慮して、注文された商品を配送するのに好適な配送員を手配することが可能となる。
【0009】
上記態様において、算出部は、距離要因のコストを、車両の現在位置から商品の配送先までの距離、及び車両が商品を配送する際に積載する全ての商品の総重量に基づいて算出してもよい。
【0010】
上記態様において、算出部は、配送員が商品を配送する際に配送員が配送する全ての商品を配送する時間が最短となる配送順序を算出し、算出した配送順序により定まる配送ルートに基づいて、車両の現在位置から商品の配送先までの距離を算出してもよい。
【0011】
上記態様において、算出部は、配送ルートを定める際に、渋滞情報を参照し、渋滞を回避可能なルートを優先して配送ルートを定めてもよい。
【0012】
上記態様において、算出部は、関数の処理結果として、商品の配送効率が高いほど小さくなる値を算出してもよい。
【0013】
上記態様において、特定部は、処理結果が最小となる配送員を、商品を配送する配送員として特定してもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係る配送管理方法は、プロッセサにより実行される方法であって、注文された商品の情報に基づいて、商品を積載可能な車両の種類を選択するステップと、選択された車両の種類に基づいて、所定時間内に商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出するステップと、抽出された車両の現在位置から商品の配送先まで車両を運転する配送員が商品を配送するのに要する距離要因のコスト、配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数、及び配送員がこれから配送する予定の配送予定件数、を引き数とする関数の処理結果を算出するステップと、算出された処理結果に基づいて、商品を配送する配送員を特定するステップと、特定された配送員に商品の配送依頼を送信するステップと、を含む。
【0015】
本発明の他の態様に係る配送管理プログラムは、コンピュータを、注文された商品の情報に基づいて、商品を積載可能な車両の種類を選択する選択部、選択された車両の種類に基づいて、所定時間内に商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出する抽出部、抽出された車両の現在位置から商品の配送先まで車両を運転する配送員が商品を配送するのに要する距離要因のコスト、配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数、及び配送員がこれから配送する予定の配送予定件数、を引き数とする関数の処理結果を算出する算出部、算出された処理結果に基づいて、商品を配送する配送員を特定する特定部、特定された配送員に商品の配送依頼を送信する送信部、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、商品の配送効率を向上させることができる配送管理装置、配送管理方法及び配送管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る配送管理装置を含む情報処理システムの構成を例示する図である。
図2】配送管理装置の物理的な構成を例示する図である。
図3】配送管理装置の機能的な構成を例示する図である。
図4】ネットコンビニで注文された商品の配送員を特定する際の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[情報処理システムの概要]
図1を参照して、実施形態に係る配送管理装置1を含む情報処理システムの構成について説明する。情報処理システムは、配送管理装置1と、配送員端末2と、ネットコンビニシステム3と、を備える。
【0020】
ネットコンビニシステム3は、ネットコンビニとしてのサービスを提供するシステムである。ネットコンビニは、コンビニエンスストアの店舗で販売している商品をネットワーク経由で販売し、スマートフォンなどで注文された商品を、店舗から自宅などの指定された場所まで届けるサービスである。
【0021】
ネットコンビニシステム3は、例えば、システムを統括して管理する管理サーバ、及びコンビニエンスストアの各店舗に配置される店舗装置などを含む。
【0022】
配送管理装置1は、例えば、ネットコンビニで注文された商品の配送を管理するサーバ装置である。
【0023】
配送員端末2は、例えば、車両を運転して商品を配送する配送員が使用するスマートフォンなどの可搬型端末である。可搬型端末には、スマートフォンの他、例えば、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)、スマートウォッチなどが含まれる。
【0024】
配送管理装置1、配送員端末2及びネットコンビニシステム3は、ネットワークNを介して通信できるように構成される。ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせなどのいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0025】
[配送管理装置の物理的な構成]
図2に示すように、配送管理装置1は、物理的な構成として、例えば、プロセッサ11と、通信インターフェース12と、記憶装置13とを備える。
【0026】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサである。このプロセッサ11は、記憶装置13に格納されているプログラム131を実行することで、後述する各種の機能を実現する。
【0027】
通信インターフェース12は、ネットワークNに接続し、ネットワークN上の他の装置と通信するハードウェアモジュールである。
【0028】
記憶装置13は、例えば、ディスクドライブ又は半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この記憶装置13は、例えば、プログラム131や、データベース132に登録される各種データなどを記憶する記憶部として機能する。各種データとして、例えば、ネットコンビニで販売される商品に関する商品マスタ情報、商品の配送に用いる車両に関する車両情報、及び商品を配送する配送員に関する配送員情報などが含まれる。
【0029】
商品マスタ情報には、例えば、商品ID、商品名称、価格、重量、サイズ、管理温度帯、商品カテゴリ、商品説明などを含むことができる。車両情報には、例えば、車両ID、車両の種類、荷室サイズ、重量制限、稼働状況、積載状況、現在位置などを含むことができる。配送員情報には、例えば、配送員ID、氏名、稼働状況、利用中の車両IDなどを含むことができる。
【0030】
なお、商品マスタ情報、車両情報及び配送員情報は、配送管理装置1とは別の装置に記憶させてもよいし、他のシステムと共用させてもよい。
【0031】
プログラム131は、所定の処理を行うためのコンピュータプログラムであり、配送管理装置1のメインプログラムや、そのメインプログラムの動作中に適宜呼び出されて実行される複数のソフトウェアモジュールを有する。ソフトウェアモジュールは、それぞれ特定の処理を実行するためにモジュール化されたサブプログラムであり、例えば、プロシージャ、サブルーチン、メソッド、関数及びデータ構造などを用いて作成される。
【0032】
[配送管理装置の機能的な構成]
図3を参照して、配送管理装置1のプログラム131を実行することで実現される機能について説明する。配送管理装置1は、機能的な構成として、例えば、選択部111と、抽出部112と、算出部113と、特定部114と、送信部115とを有する。各部について、以下に説明する。
【0033】
選択部111は、ネットコンビニで注文された商品の情報に基づいて、注文された商品を積載可能な車両の種類を選択する。注文された商品の情報には、例えば、商品ID、重量、サイズ、管理温度帯、注文個数などの車両の種類を選択する際に用いる商品情報が含まれる。注文された商品の情報は、例えば、ネットコンビニで商品が注文されるたびにネットコンビニシステム3から受信する注文情報に含まれる商品IDに基づいて、商品マスタ情報から抽出して作成することができる。車両の種類には、例えば、大型トラック、中型トラック、小型トラック、冷凍冷蔵車、小型自動車、軽自動車、自動二輪車、自転車、無人配送機などが含まれる。
【0034】
抽出部112は、選択部111により選択された車両の種類に属する車両の中から、注文された商品を所定時間内に配送可能であり、かつ現在稼働している車両(その車両を運転している配送員を含む)を抽出する。
【0035】
算出部113は、例えば、以下の(a)~(c)を引数(パラメータ)とする関数の戻り値を、処理結果として算出する。この関数は、商品の配送効率が高いほど、戻り値が小さくなるように設定することが好ましい。
【0036】
(a)抽出部112により抽出された車両の現在位置から注文された商品の配送先まで、配送員が商品を配送するのに要する距離要因のコスト
(b)配送員が配送を受諾した当日の通算受諾件数
(c)配送員がこれから配送する予定の配送予定件数
【0037】
上記(a)の距離要因のコストは、例えば、車両の現在位置から商品の配送先までの距離と、車両が商品を配送する際に積載する全ての商品の総重量と、に基づいて算出することができる。
【0038】
上記の車両の現在位置から商品の配送先までの距離は、例えば、配送員が商品を配送する際に、配送員が配送する全ての商品を配送するのに要する時間が最短となる配送順序を算出し、その算出した配送順序により定まる配送ルートの距離を算出することで求めることができる。これにより、配送時間が最短となる最適なルートを定めることができるため、注文から配達までの即時性を担保することが可能となる。
【0039】
上記の配送ルートを定める際に、渋滞情報を参照し、渋滞を回避可能なルートを優先して配送ルートを定めてもよい。これにより、渋滞を回避することが可能となるため、遅配の可能性を低減させ、即時性をより確実に担保できるようになる。
【0040】
ここで、上記(a)~(c)を引数とする関数を用いて配送員を特定する方法について、以下に具体的に説明する。
【0041】
特定する対象となる配送員ごとに、以下の(1)式のコスト関数“C”の戻り値を算出し、コスト関数“C”の戻り値が最小となる配送員(arg mindriver C)を特定し、その特定した配送員に対して配送を依頼(差配)することが好ましい。
【数1】
【0042】
上記(1)式のCはコスト関数であり、“Cdist(driver)”は上記(a)の距離要因のコストであり、“N(driver)”は上記(b)の通算受諾件数であり、“M(driver)”は上記(c)の配送予定件数である。
【0043】
上記(1)式のfφ(N(driver))は、以下の(2)式の条件に従う関数である。
【数2】
【0044】
上記(2)式のnはドライバーの通算受諾件数であり、φはドライバーの通算受諾件数の目標値であり、β、γはそれぞれ受諾件数との差に応じてどれほどコストを大きくすべきか支配するパラメータである。
【0045】
上記(1)式のhψ(M(driver))は、以下の(3)式の条件に従う関数である。
【数3】
【0046】
ここで、上記(3)式のnは配送予定件数であり、ψは配送予定件数の上限となる目標値であり、αはψから超過した配送予定件数に応じてどれほどコストを大きくすべきか支配するパラメータである。
【0047】
なお、上記(1)式のコスト関数Cの各引数は、以下(4)式及び(5)式の関数を用いて最適化することができる。(4)式及び(5)式の関数は、差配をシミュレーションすることで算出できる。
【数4】
【数5】
【0048】
ここで、上記(4)式及び(5)式のα、β、γ、φ、ψは、上記(2)式及び(3)式と同様であり、Nはシミュレーション回数である。Hは、i番目のシミュレーションでの各ドライバーの総移動距離のエントロピーであり、小さいほどドライバーの稼働の集中化が達成できていることを意味する。Dは、i番目のシミュレーションで発生した遅配に対する遅配時間の平方和であり、小さいほど遅配がなく配送が行えたことを意味する。wはシミュレーション中発生させる注文の時間的な密度を表し、wが大きいほど配送の難易度は高いこととなり、各パラメータはより遅配時間が短くなるように調整される。dはドライバーjの移動距離であり、Tはシミュレーション中注文が存在する期間であり、aはシミュレーション中のk番目の注文の注文時刻から配送予定時刻までの期間であり、eはシミュレーション中のk番目の注文の遅配時間である。
【0049】
上記コスト関数Cは、以下の(ア)~(ウ)の状態に当てはまる配送員ほど、戻り値が小さくなるように設定することが好ましい。
【0050】
(ア)新規の注文を受けたときに、より配送先に近い位置に存在する配送員であり、
(イ)(配送員の稼働を集中化させるために)既にある程度の注文数を受けている配送員である一方、
(ウ)配送を依頼する時点で過剰に注文を受けていない配送員。
【0051】
特定部114は、算出部113により算出された関数の戻り値に基づいて、注文された商品を配送する配送員を特定する。具体的に、特定部114は、上記コスト関数Cの戻り値が最小となる配送員を特定する。
【0052】
送信部115は、特定部114により特定された配送員に対し、注文された商品を配送するように依頼する配送依頼を送信する。
【0053】
[配送管理装置の動作]
図4を参照し、配送管理装置1において、ネットコンビニで注文された商品の配送員を特定する際の手順の一例について説明する。
【0054】
最初に、配送管理装置1の選択部111は、ネットコンビニで注文された商品の情報に基づいて、注文された商品を積載可能な車両の種類を選択する(ステップS101)。
【0055】
続いて、配送管理装置1の抽出部112は、上記ステップS101で選択された車両の種類に属する車両の中から、注文された商品を所定時間内に配送可能であり、かつ現在稼働している車両を抽出する(ステップS102)。
【0056】
続いて、配送管理装置1の算出部113は、上記ステップS102で抽出された車両を運転する配送員ごとに、距離要因のコスト、通算受諾件数及び配送予定件数を引数とする関数の処理結果を算出する(ステップS103)。
【0057】
続いて、配送管理装置1の特定部114は、上記ステップS103で算出された関数の処理結果が最小となる配送員を特定する(ステップS104)。
【0058】
続いて、配送管理装置1の送信部115は、上記ステップS104で特定された配送員に対し、注文された商品を配送するように依頼する配送依頼を送信する(ステップS105)。
【0059】
上述したように、実施形態に係る配送管理装置1によれば、注文された商品に適合する車両の種類を選択し、選択した車両の種類に属する車両の中から、所定時間内に商品を配送可能かつ稼働している車両を抽出し、注文された商品を配送員が配送するのに要する距離要因のコスト、配送員の当日の通算受諾件数及び配送予定件数を引き数とする関数の処理結果に基づいて、注文された商品を配送する配送員を特定し、特定した配送員に配送依頼を送信することができる。
【0060】
これにより、新たな注文を受けるたびに、注文された商品に適合する車両を選択し、遅配の可能性が低くなり、かつ稼働数が少なくなるように車両を絞り込み、配送距離によるコスト及び配送員の配送状況などを考慮して、注文された商品を配送するのに好適な配送員を手配することが可能となる。
【0061】
それゆえ、実施形態に係る配送管理装置1によれば、商品の配送効率を向上させることができる。
【0062】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【0063】
上述した実施形態では、算出部113により算出される関数の戻り値が最小となる配送員に配送依頼を送信しているが、これに限定されない。例えば、関数の戻り値が小さい順に配送員を並べ(ソートし)、予め定めた上位に位置する配送員に配送依頼を送信してもよい。
【0064】
また、実施形態におけるプログラムは、CD、DVDなどの光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)を通じて、又は通信ネットワークなどを介してサーバ装置(媒体)からダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…配送管理装置、2…配送員端末、3…ネットコンビニシステム、11…プロセッサ、12…通信インターフェース、13…記憶装置、111…選択部、112…抽出部、113…算出部、114…特定部、115…送信部、131…プログラム、132…データベース
図1
図2
図3
図4