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特開2024-66647二重管構造体、その形成方法及び管支持部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066647
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】二重管構造体、その形成方法及び管支持部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 9/18 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
F16L9/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176184
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】519147522
【氏名又は名称】中西商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸作
【テーマコード(参考)】
3H111
【Fターム(参考)】
3H111AA01
3H111BA03
3H111CA13
3H111CA17
3H111CB03
3H111CB14
3H111DB08
3H111EA14
(57)【要約】
【課題】二重管構造体を形成するための作業を簡素化することができるようにする。
【解決手段】内管43及び外管44を備え、内管43内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管43と外管44との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成されるようになっている。樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管43を包囲して配設されたサポートリング63と、前記外管44に取り付けられ、前記サポートリング63を保持する保持体65、66とを有する。サポートリング63の周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突出させて、外管44を支持する突起が形成される。サポートリング63に外管44を外嵌する必要がない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成された二重管構造体において、
(a)樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、
(b)前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有するとともに、
(c)前記サポートリングの周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突出させて、外管を支持する突起が形成されることを特徴とする二重管構造体。
【請求項2】
前記保持体は、外管に取り付けられるポスト、及び該ポストの一端から分岐させて形成されたサポート保持部を備える請求項1に記載の二重管構造体。
【請求項3】
(a)前記サポート保持部は溝を備え、
(b)前記サポートリングは、前記溝内に進入させられて前記サポート保持部によって保持される請求項2に記載の二重管構造体。
【請求項4】
(a)前記サポートリングは環状の形状を有する溝を備え、
(b)前記サポート保持部は、前記溝内に進入させられて前記サポートリングを内管に対して位置決めする請求項2に記載の二重管構造体。
【請求項5】
(a)前記外管は、前記所定の箇所において外管の内外を貫通させて形成された穴を備え、
(b)前記保持体は、前記ポストの外周面と前記穴の内周面とを溶接することによって外管に取り付けられる請求項1~4のいずれか1項に記載の二重管構造体。
【請求項6】
(a)外管内に、ポスト及びサポート保持部を備えた保持体を挿入し、
(b)外管の所定の箇所に形成された穴に前記ポストを貫通させ、前記保持体を径方向外方に移動させ、
(c)周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突起が形成されたサポートリングを内管に外嵌し、
(d)該内管を外管内に挿入し、
(e)前記保持体を径方向内方に移動させて、前記サポート保持部とサポートリングとを係合させることを特徴とする二重管構造体の形成方法。
【請求項7】
内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成された二重管構造体に配設された管支持部材において、
(a)樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、
(b)ポスト、及び該ポストの一端から分岐させて形成され、前記サポートリングを保持するサポート保持部を備えた保持体とを有するとともに、
(c)前記サポートリングの周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突出させて、外管を支持する突起が形成されることを特徴とする管支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管構造体、その形成方法及び管支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガス(LNG)を燃料ガスとし、ガスエンジンを駆動して航行する船舶については、IGCコード、IGFコード等において、ガスエンジンが収容されるエンジンルームをガスセーフマシナリースペース(Gas safe machinery space)とすることが規定されている。前記IGCコード、IGFコード等の規定に従って設計されたエンジンルームにおいては、燃料ガスが漏れたときを考慮して、燃料ガスが流れる配管である燃料ライン、燃料ガスに接する機器等が、別の構造体によって包囲されることによって二重管構造体にされ、しかも、二重管構造体の内部が常時換気されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記二重管構造体においては、内管内に燃料ガス流路が形成され、内管と外管との間に換気用の環状の空気流路が形成され、該空気流路の断面積を一定に保つための管支持部材としてのサポートが長手方向における所定の箇所に配設される。
【0004】
図2は従来の二重管構造体に配設されるサポートの斜視図、図3は従来の二重管構造体の組立手順を説明するための図である。
【0005】
図において、Puは二重管構造体、43は内管、44は外管、45は、内管43を包囲して配設され、内管43を支持するサポート、46、47は、二重管構造体Puの一端側及び他端側の端部において内管43に外嵌され、かつ、サポート45に当接させて配設され、内管43に対してサポート45を位置決めする位置決め部材としてのリングである。
【0006】
前記サポート45は、射出成形等の成形方法でフッ素樹脂によって形成された筒状の部材を所定の長さに切断し、機械加工を施すことによって一体に形成され、環状の形状を有する。
【0007】
前記リング46、47は、ステンレス鋼によって形成され、内管43に摺動させて外嵌することができるように、内径が内管43の外径よりわずかに大きくされる。
【0008】
リング46は、エッジeg1に塗布された樹脂製の接着剤48によって内管43に接着されて固定され、リング47は、エッジeg2に塗布された接着剤48によって内管43に接着されて固定される。
【0009】
また、前記サポート45は、環状体から成り、環状部51、及びサポート45の円周方向における複数箇所、本実施の形態においては、4箇所において径方向外方に突出させて形成された凸部52を備える。なお、内管43にサポート45を摺動させて外嵌することができるように、環状部51の内径は内管43の外径よりわずかに大きくされる。
【0010】
サポート45に外管44が外嵌されると、サポート45の円周方向における各凸部52間に、扇状の形状を有し、内管43と外管44との間の空気流路を連通させ、空気を通すための連通孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2017-82728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の二重管構造体Puにおいては、内管43のあらかじめ設定された位置にサポート45を配設することが困難であり、しかも、内管43の設定された位置にサポート45を位置決めするためにリング46、47を配設し、リング46、47を接着剤48によって内管43に接着する必要があり、二重管構造体Puを形成するための作業が煩わしい。
【0013】
本発明は、前記従来の二重管構造体Puの問題点を解決して、二重管構造体を形成するための作業を簡素化することができる二重管構造体、その形成方法及び管支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明の二重管構造体は、内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成されるようになっている。
【0015】
そして、樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有する。
【0016】
また、前記サポートリングの周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突出させて、外管を支持する突起が形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二重管構造体は、内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成されるようになっている。
【0018】
そして、樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有する。
【0019】
また、前記サポートリングの周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突出させて、外管を支持する突起が形成される。
【0020】
この場合、外管の所定の箇所に保持体が取り付けられ、該保持体によってサポートリングが保持されるので、サポートリングに外管を外嵌する必要がない。また、外管に保持体を取り付けるだけで、内管に対してサポートリングを位置決めすることができる。
【0021】
したがって、二重管構造体を形成するための作業を簡素化することができる。
【0022】
さらに、前記サポートリングの周方向における複数箇所に形成された突起によって外管が支持されるので、二重管構造体は外力を受けても変形することがなく、外管と保持体との連結部分が破損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態における二重管構造体の斜視図である。
図2】従来の二重管構造体に配設されるサポートの斜視図である。
図3】従来の二重管構造体の組立手順を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態における二重管構造体を備えた船舶の要部概念図である。
図5】本発明の実施の形態における二重管構造体の縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態における二重管構造体の横断面図である。
図7】本発明の実施の形態におけるサポートリングの斜視図である。
図8】本発明の実施の形態における保持体の斜視図である。
図9】本発明の実施の形態におけるサポートリングに保持体を取り付ける状態を示す図である。
図10】本発明の実施の形態におけるサポートユニットの斜視図である。
図11】本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の斜視図である。
図12】本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の縦断面図である。
図13】本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の横断面図である。
図14】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第1の図である。
図15】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第2の図である。
図16】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第3の図である。
図17】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第4の図である。
図18】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第5の図である。
図19】本発明の実施の形態におけるサポートユニットの第1の変形例を示す斜視図である。
図20】本発明の実施の形態におけるサポートユニットの第2の変形例を示す斜視図である。
図21】本発明の実施の形態におけるサポートユニットの第3の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、ガスエンジンが収容されるエンジンルームにおける二重管構造体、その形成方法、及び管支持部材としてのサポートユニットについて説明する。
【0025】
図4は本発明の実施の形態における二重管構造体を備えた船舶の要部概念図である。
【0026】
図において、Aruは、船舶の所定の箇所にIGFコードの規定に従って形成された機関区域であり、該機関区域Aruは、第1の区域としてのガス安全機関区域Ar1、及び第2の区域としてのESD(緊急遮断装置)保護機関区域Ar2から成る。そして、前記ガス安全機関区域Ar1は、ガスエンジン22が配設されてエンジンルームとして使用される。前記ESD保護機関区域Ar2には、液化天然ガスを船舶に供給するためのバンカユニット25、液化天然ガスを収容するタンク26、熱交換器28、換気装置としてのブロア31等が配設される。
【0027】
また、機関区域Aru外に、空気取込口33、空気排出口34及び開閉弁35が配設され、機関区域Aru内に、タンク26とガスエンジン22とを連結する燃料ラインL1、及び空気取込口33と空気排出口34とを連結する換気ラインL2、L3が配設され、前記ガス安全機関区域Ar1からESD保護機関区域Ar2にかけて、燃料ラインL1及び換気ラインL3によって二重管構造体Puが形成される。
【0028】
機関区域Aru外からバンカユニット25を介して船舶に供給された液化天然ガスは、タンク26に収容された後、ガスエンジン22を駆動するのに必要な量だけ熱交換器28に送られ、該熱交換器28において温水によって加熱されて気化させられ、所定の温度、例えば、40〔℃〕程度の燃料ガスにされる。
【0029】
燃料ガスは、第1の流体として、燃料ガス用の配管である前記燃料ラインL1を流れてガスエンジン22に送られ、ガスエンジン22が駆動された後、図示されない排気ガスラインを介して船舶外に排出される。
【0030】
ところで、船舶においては、燃料ガスが燃料ラインL1外に漏れたときを考慮して、燃料ラインL1によって形成される第1の要素部材としての内管43を、別の構造体である、換気ラインL3によって形成される第2の要素部材としての外管44によって包囲することにより前記二重管構造体Puが形成され、機関区域Aru外から取り込まれた第2の流体としての空気が、内管43と外管44との間に供給され、機関区域Aru外に排出されるようになっている。
【0031】
そのために、前記空気取込口33と前記ガスエンジン22との間に、吸気用の前記換気ラインL2が配設され、ガスエンジン22と前記空気排出口34との間に、排気用の前記換気ラインL3が配設され、空気取込口33によって機関区域Aru外から取り込まれた空気は、換気ラインL2を流れてガスエンジン22に送られ、該ガスエンジン22内で加熱された後、前記外管44と前記内管43との間を流れ、ガス安全機関区域Ar1からESD保護機関区域Ar2に送られ、燃料ラインL1から分離させられ、換気ラインL3を流れてブロア31に送られ、空気排出口34から機関区域Aru外に放出される。
【0032】
該機関区域Aruにおいては、前記換気ラインL2、L3内にブロア31によって負圧が形成されるので、仮に、燃料ガスが内管43から漏れても、燃料ガスは、外管44外に出ることなく、ブロア31によって吸引されて機関区域Aru外に排出される。
【0033】
なお、図においては、便宜上、内管43と外管44とが隣接させて示されている。
【0034】
次に、前記二重管構造体Puについて説明する。
【0035】
図1は本発明の実施の形態における二重管構造体の斜視図、図5は本発明の実施の形態における二重管構造体の縦断面図、図6は本発明の実施の形態における二重管構造体の横断面図、図7は本発明の実施の形態におけるサポートリングの斜視図、図8は本発明の実施の形態における保持体の斜視図、図9は本発明の実施の形態におけるサポートリングに保持体を取り付ける状態を示す図、図10は本発明の実施の形態におけるサポートユニットの斜視図、図11は本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の斜視図、図12は本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の縦断面図、図13は本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の横断面図である。
【0036】
図において、Puは二重管構造体であり、該二重管構造体Puは、二重管構造体Puを配管するために機関区域Aru(図4)内の必要な箇所に配設された図示されない複数のフランジ間を連結して配設され、内管43、及び該内管43を包囲して配設された外管44を備える。
【0037】
前記内管43及び外管44は、いずれも、金属材料、本実施の形態においては、ステンレス鋼から成る管部材を所定の長さに切断し、二重管構造体Puを配管するに当たり、必要に応じて曲げ加工を施すことによって形成される。
【0038】
また、前記各フランジは、金属材料、本実施の形態においては、ステンレス鋼から成り、所定の形状、本実施の形態においては、円板状の形状を有するプレート部材によって形成され、両面に内管43及び外管44を連結するための内管連結部及び外管連結部が形成される。
【0039】
前記内管43の両端が、各フランジに形成された前記内管連結部に溶接によって内管43の内外が密封されるように固定され、前記外管44の両端が、各フランジに形成された前記外管連結部に溶接によって外管44の内外が密封されるように固定され、内管43内に、円形の断面形状を有する第1の流路としてのガス流路Rt1が形成され、内管43と外管44との間に、円環状の断面形状を有する第2の流路としての空気流路Rt2が形成される。なお、前記フランジには、内管連結部と外管連結部との間に、上流側及び下流側のガス流路Rt1を連通させ、燃料ガスを通すための図示されない複数の燃料ガス穴が形成され、外管連結部より径方向外方に、上流側及び下流側の空気流路Rt2を連通させ、空気を通すための図示されない複数の空気穴が貫通させて形成される。
【0040】
前記二重管構造体Puの長手方向における所定の複数箇所にサポート配設位置St1が設定され、該各サポート配設位置St1に管支持部材としてのサポートユニット61が配設され、該サポートユニット61によって内管43が外管44に対して支持される。
【0041】
前記サポートユニット61は、内管43を包囲して配設され、樹脂材料、本実施の形態においては、フッ素樹脂から成る管支持環状体としてのサポートリング63、及び外管44の周方向における所定の箇所、本実施の形態においては、外管44の上端部及び下端部に溶接によって取り付けられ、二重管構造体Puの長手方向においてサポートリング63を保持し、内管43に対して位置決めする位置決め部材としての一対の保持体65、66から成る。
【0042】
サポートリング63は、射出成形等の成形方法で樹脂材料、本実施の形態においては、フッ素樹脂によって形成された環状体から成り、内管43に外嵌することができるように、内管43の外径よりわずかに大きい内径を有する。
【0043】
また、図7に示されるように、前記サポートリング63の周方向における所定の箇所、本実施の形態においては、周方向において180〔°〕のピッチ角を置いた2箇所に、径方向外方に向けて突出させて突起としての凸部64が形成される。
【0044】
そして、サポートユニット61に外管44が外嵌されると、サポートユニット61の円周方向における各凸部64間に、扇状の形状を有し、内管43と外管44との間の空気流路Rt2を連通させ、空気を通すための2個の連通孔Rhが形成される。
【0045】
前記保持体65、66は、金属材料、本実施の形態においては、ステンレス鋼から成る鋼材にプレス加工、切削加工等を施すことによって形成され、図8に示されるように、「さすまた」状の形状を有する。また、保持体65、66は、円柱状の形状を有し、保持体65、66を外管44に取り付けるためのポスト68、及び該ポスト68と一体に、かつ、ポスト68の一端から左右に分岐させて所定の形状、本実施の形態においては、「U」字状(半円形状)に湾曲させて形成されたサポート保持部69を備える。
【0046】
そして、サポートリング63を、保持体65、66を介して内管43に対して位置決めすることができるように、サポート保持部69の内周面S1の幅方向(内管43の長手方向)における中央部に、所定の幅及び所定の深さを有する溝、本実施の形態においては、環状の溝m1が周方向の全体にわたって形成される。
【0047】
前記サポートリング63を前記溝m1に進入させることができるように、サポートリング63の外周面の曲率半径は、溝m1の内周面の曲率半径よりわずかに大きくされ、溝m1の幅はサポートリング63の幅よりわずかに大きくされる。
【0048】
そして、図9に示されるように、サポートリング63をサポート保持部69の溝m1に進入させ、サポートリング63を保持体65、66に取り付けると、図10に示されるように、サポートユニット61が形成される。
【0049】
本実施の形態においては、サポートリング63が、耐摩耗性、耐熱性及び耐候性の高いフッ素樹脂によって形成されるので、長期間にわたり二重管構造体Puを使用しても、サポートリング63が変形することがない。したがって、サポートユニット61の耐久性を向上させることができる。
【0050】
前記サポート配設位置St1において、サポートユニット61を前記外管44の上端部及び下端部に取り付けるために、外管44の上端部及び下端部に、180〔°〕のピッチ角をおいて穴h1が貫通させて形成される。該各穴h1にポスト68を内嵌することができるように、穴h1の内径はポスト68の外径よりわずかに大きくされる。
【0051】
各ポスト68を各穴h1に内嵌させた状態で、前記保持体65、66を外管44内における径方向外方に移動させ、続いて、前記内管43に外嵌されたサポートリング63を保持体65、66間に挿入し、保持体65、66を径方向内方に移動させてサポート保持部69の溝m1にサポートリング63を進入させ、サポートリング63とサポート保持部69とを係合させると、図11に示されるように、二重管構造体Puにおいてサポートユニット61が組み込まれる。
【0052】
そして、ポスト68の外周面と穴h1の内周面とを溶接することによって外管44の内外を密封すると、サポートユニット61が二重管構造体Puに取り付けられる。
【0053】
なお、サポートユニット61が二重管構造体Puに取り付けられると、図11~13に示されるように、保持体65、66のポスト68が外管44の上端部及び下端部から径方向外方に向けて突出させられる。
【0054】
そこで、サポートユニット61が二重管構造体Puに取り付けられた後、ポスト68の他端である外管44の上端部及び下端部から突出した部分が図示されないカッタ等によってカットされ、除去される。これにより、図1、5及び6に示されるような二重管構造体Puが形成される。
【0055】
また、図において、Sbはポスト68をカットしたときのカット面、Pt1は、ポスト68の外周面と穴h1の内周面との間に形成された溶接金属部である。
【0056】
次に、二重管構造体Puの形成方法について説明する。
【0057】
図14は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第1の図、図15は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第2の図、図16は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第3の図、図17は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第4の図、図18は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第5の図である。
【0058】
まず、図14に示されるように、管部材を所定の長さに切断することによって内管43及び外管44が、射出成形等によってサポートリング63が、プレス加工、切削加工等によって保持体65、66が形成される。前述されたように、サポート配設位置St1における外管44の上端部及び下端部に、保持体65、66のポスト68を貫通させるための穴h1が形成される。
【0059】
次に、図15に示されるように、外管44の所定の端部Edから保持体65、66が外管44内に挿入され、外管44内において各ポスト68が穴h1に貫通させられる。
【0060】
続いて、図16に示されるように、外管44内において、保持体65、66が径方向外方に移動させられ、ポスト68が穴h1(図15)から十分な量突出させられ、サポート保持部69が外管44の内周面に近接させられ、サポートリング63が外嵌された内管43が、外管44内に進入させられる。
【0061】
次に、保持体65、66が径方向内方に移動させられ、サポートリング63がサポート保持部69の前記溝m1(図8)に進入させられて、サポートリング63とサポート保持部69とが係合させられると、図17に示されるように、二重管構造体Puのサポート配設位置St1にサポートユニット61が形成される。そして、溶接装置71によって、ポスト68の外周面と穴h1の内周面とが溶接される。
【0062】
続いて、ポスト68の他端である外管44の上端部及び下端部から突出した部分がカッタ等によってカットされ、除去される。これにより、図18に示されるような二重管構造体Puが形成される。
【0063】
このように、本実施の形態においては、外管44の所定の箇所に保持体65、66が取り付けられ、該保持体65、66によってサポートリング63が保持されるので、サポートリング63に外管44を外嵌する必要がない。また、外管44に保持体65、66を取り付けるだけで、内管43に対してサポートリング63を位置決めすることができる。
【0064】
したがって、二重管構造体Puを形成するための作業を簡素化することができる。
【0065】
さらに、本実施の形態においては、前記サポートリング63の周方向における2箇所に形成された凸部64によって外管44が支持されるので、二重管構造体Puは外力を受けても変形することがなく、外管44と保持体65、65との溶接金属部Pt1が破損するのを防止することができる。
【0066】
特に、本実施の形態において、二重管構造体Puは機関区域Aru(図4)内に配設されるので、船舶が航行するのに伴って二重管構造体Puに定常的に外力が加わるが、保持体65、66及び凸部64によって外管44が支持されるので、二重管構造体Puが変形することがない。また、前記溶接金属部Pt1に過剰な外力が加わることがない。
【0067】
そして、本実施の形態においては、保持体65、66のサポート保持部69が内管43の外周面の近傍でサポートリング63を保持するので、サポート保持部69と外管44の内周面との間に、空気流路Rt2の上流側と下流側とを連通する十分な広さのスペースを形成することができる。したがって、サポートユニット61によって空気の流れが阻害されることがなく、連通孔Rh(図6)を十分に広くすることができる。
【0068】
次に、サポートリング63及び保持体65、66の形状を変更したサポートユニット61の第1の変形例について説明する。
【0069】
図19は本発明の実施の形態におけるサポートユニットの第1の変形例を示す斜視図である。
【0070】
図において、161はサポートユニットであり、該サポートユニット161は、サポートリング163、及び該サポートリング163を保持する保持体165、166から成る。
【0071】
前記サポートリング163の周方向における所定の箇所、本実施の形態においては、周方向において90〔°〕のピッチ角を置いた4箇所に、径方向外方に向けて突出させて凸部164が形成される。
【0072】
また、前記保持体165、166は、円柱状の形状を有し、保持体165、166を外管44に取り付けるためのポスト168、及び該ポスト168と一体に「コ」字状に形成されたサポート保持部169を備える。
【0073】
そして、サポートリング163を保持体165、166を介して内管43に対して位置決めすることができるように、サポート保持部169の内周面に、所定の幅及び所定の深さを有する図示されない溝が形成される。
【0074】
第1の変形例においては、前記サポートリング163の周方向における4箇所に形成された突起164によって外管44が支持されるので、二重管構造体Puは外力を受けても変形することがなく、外管44と保持体165、166との溶接金属部Pt1が破損するのを十分に防止することができる。
【0075】
次に、サポートリング63及び保持体65、66の形状を変更したサポートユニット61の第2の変形例について説明する。
【0076】
図20は本発明の実施の形態におけるサポートユニットの第2の変形例を示す斜視図である。
【0077】
図において、261はサポートユニットであり、該サポートユニット261は、サポートリング263、及び該サポートリング263を保持する保持体265、266から成る。
【0078】
この場合、サポートリング263を保持体265、266によって位置決めすることができるように、サポートリング263の外周面S11の幅方向(内管43の長手方向)における中央部に、所定の幅及び所定の深さを有する溝、本実施の形態においては、環状の溝m11が周方向の全体にわたって形成される。また、前記サポートリング263の周方向における所定の箇所、本実施の形態においては、周方向において180〔°〕のピッチ角を置いた2箇所に、径方向外方に向けて突出させて凸部264が形成される。
【0079】
前記保持体265、266は、「さすまた」状の形状を有するとともに、円柱状の形状を有し、保持体265、266を外管44に取り付けるためのポスト268、及び該ポスト268と一体に、かつ、ポスト268の一端から左右に分岐させて所定の形状、本実施の形態においては、「U」字状(半円形状)に湾曲させて形成されたサポート保持部269を備える。
【0080】
そして、該サポート保持部269をサポートリング263の溝m11に進入させ、サポートリング263に保持体265、266を取り付けると、サポートユニット261が形成される。
【0081】
第2の変形例においては、前記サポートリング263の周方向における2箇所に形成された凸部264によって外管44が支持されるので、二重管構造体Puは外力を受けても変形することがなく、外管44と保持体265、266との溶接金属部Pt1が破損するのを十分に防止することができる。
【0082】
また、サポート保持部269がサポートリング263の溝m11に進入させられ、サポートリング263が保持体265、266によって支持されるので、外管44に保持体265、266を取り付けるだけで、内管43に対してサポートリング263を位置決めすることができる。
【0083】
次に、サポートリング63及び保持体65、66の形状を変更したサポートユニット61の第3の変形例について説明する。
【0084】
図21は本発明の実施の形態におけるサポートユニットの第3の変形例を示す斜視図である。
【0085】
図において、361はサポートユニットであり、該サポートユニット361は、サポートリング363、及び該サポートリング363を保持する保持体365、366から成る。
【0086】
この場合、サポートリング363を保持体365、366によって位置決めすることができるように、サポートリング363の外周面S21の幅方向(内管43の長手方向)における中央部に、所定の幅及び所定の深さを有する溝、本実施の形態においては、環状の溝m21が周方向の全体にわたって形成される。また、前記サポートリング363の周方向における所定の箇所、本実施の形態においては、周方向において90〔°〕のピッチ角を置いた4箇所に、径方向外方に向けて突出させて凸部364が形成される。
【0087】
前記保持体365、366は、「さすまた」状の形状を有するとともに、円柱状の形状を有し、保持体365、366を外管44に取り付けるためのポスト368、及び該ポスト368と一体に、かつ、ポスト368の一端から左右に分岐させて所定の形状、本実施の形態においては、「U」字状(半円形状)に湾曲させて形成されたサポート保持部369を備える。
【0088】
そして、該サポート保持部369をサポートリング363の溝m21に進入させ、サポートリング363に保持体365、366を取り付けると、サポートユニット361が形成される。
【0089】
第3の変形例においては、前記サポートリング363の周方向における4箇所に形成された凸部364によって外管44が支持されるので、二重管構造体Puは外力を受けても変形することがなく、外管44と保持体365、366との溶接金属部Pt1が破損するのを十分に防止することができる。
【0090】
また、サポート保持部369がサポートリング363の溝m21に進入させられ、サポートリング363が保持体365、366によって支持されるので、外管44に保持体365、366を取り付けるだけで、内管43に対してサポートリング363を位置決めすることができる。
【0091】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0092】
43 内管
44 外管
63、163、263、363 サポートリング
64、164、264、364 凸部
65、66、165、166、265、266、365、366 保持体
Pu 二重管構造体
Rt1 ガス流路
Rt2 空気流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成された二重管構造体において、
(a)樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、
(b)前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有するとともに、
(c)該保持体は、保持体を前記外管に取り付けるためのポスト、及び前記第2の流路内において前記ポストの一端から分岐させて形成され、前記サポートリングと係合させられてサポートリングを保持する二つのサポート保持部を備え、
(d)前記サポートリングの周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突出させて、外管を支持する突起が形成されることを特徴とする二重管構造体。
【請求項2】
前記サポートリングは、前記サポート保持部と係合させられてサポート保持部によって保持され、前記内管に対して位置決めされる請求項1に記載の二重管構造体。
【請求項3】
(a)前記サポート保持部は溝を備え、
(b)前記サポートリングは、前記溝内に進入させられて前記サポート保持部によって保持される請求項2に記載の二重管構造体。
【請求項4】
(a)前記サポートリングは環状の形状を有する溝を備え、
(b)前記サポート保持部は、前記溝内に進入させられて前記サポートリングを内管に対して位置決めする請求項2に記載の二重管構造体。
【請求項5】
(a)前記外管は、前記所定の箇所において外管の内外を貫通させて形成された穴を備え、
(b)前記保持体は、前記ポストの外周面と前記穴の内周面とを溶接することによって外管に取り付けられる請求項1~4のいずれか1項に記載の二重管構造体。
【請求項6】
(a)外管内に、ポスト、及び該ポストの一端から分岐させて形成された二つのサポート保持部を備えた保持体を挿入し、
(b)外管の所定の箇所に形成された穴に前記ポストを貫通させ、前記保持体を径方向外方に移動させ、
(c)周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突起が形成されたサポートリングを内管に外嵌し、
(d)該内管を外管内に挿入し、
(e)前記保持体を径方向内方に移動させて、前記サポートリングと前記サポート保持部とを係合させることを特徴とする二重管構造体の形成方法。
【請求項7】
内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成された二重管構造体に配設された管支持部材において、
(a)樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、
(b)ポスト、及び前記第2の流路内において前記ポストの一端から分岐させて形成され、前記サポートリングを保持する二つのサポート保持部を備えた保持体とを有するとともに、
(c)前記サポートリングは、前記サポート保持部と係合させられてサポート保持部によって保持され、
(d)前記サポートリングの周方向における複数箇所に、径方向外方に向けて突出させて、外管を支持する突起が形成されることを特徴とする管支持部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
そして、樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有する。
該保持体は、保持体を前記外管に取り付けるためのポスト、及び前記第2の流路内において前記ポストの一端から分岐させて形成され、前記サポートリングと係合させられてサポートリングを保持する二つのサポート保持部を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
そして、樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有する。
該保持体は、保持体を前記外管に取り付けるためのポスト、及び前記第2の流路内において前記ポストの一端から分岐させて形成され、前記サポートリングと係合させられてサポートリングを保持する二つのサポート保持部を備える。