IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 船井電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-移載装置および移乗装置 図1
  • 特開-移載装置および移乗装置 図2
  • 特開-移載装置および移乗装置 図3
  • 特開-移載装置および移乗装置 図4
  • 特開-移載装置および移乗装置 図5
  • 特開-移載装置および移乗装置 図6
  • 特開-移載装置および移乗装置 図7
  • 特開-移載装置および移乗装置 図8
  • 特開-移載装置および移乗装置 図9
  • 特開-移載装置および移乗装置 図10
  • 特開-移載装置および移乗装置 図11
  • 特開-移載装置および移乗装置 図12
  • 特開-移載装置および移乗装置 図13
  • 特開-移載装置および移乗装置 図14
  • 特開-移載装置および移乗装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066667
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】移載装置および移乗装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 1/003 20060101AFI20240509BHJP
   A61G 1/02 20060101ALI20240509BHJP
   A61G 7/053 20060101ALI20240509BHJP
   A61G 1/017 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A61G1/003 701
A61G1/02
A61G7/053
A61G1/017
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176231
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】若林 尚之
(72)【発明者】
【氏名】村山 学
(72)【発明者】
【氏名】濱田 信吾
(72)【発明者】
【氏名】上島 力哉
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA08
4C040EE05
4C040JJ08
(57)【要約】
【課題】移載装置への被移載者の移載を容易に行うことが可能であるとともに、移載装置に被移載者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態にある場合において被移載者の身体が下方へ傾斜することを抑制することが可能な移載装置および移乗装置を提供する。
【解決手段】この移載装置100は、ベース部材10と、ベース部材上に設けられ、端部に姿勢を変更可能な進入部材40を含む載置部材30と、ベース部材10に対して相対的に載置部材30を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構61と、載置部材30がベース部材10の直上に配置された第1状態において、進入部材40を水平または端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持するとともに、載置部材30がスライド移動によりベース部材10から離れた第2状態において、進入部材40を端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構60と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材上に設けられるとともに被移載者が載置され、端部に姿勢を変更可能な進入部材を含む載置部材と、
前記ベース部材に対して相対的に前記載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、
前記載置部材が前記ベース部材の直上に配置された第1状態において、前記進入部材を水平または前記端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持するとともに、前記載置部材がスライド移動により前記ベース部材から離れた第2状態において、前記進入部材を前記端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構と、を備える、移載装置。
【請求項2】
前記進入部材は、回動軸周りに回動可能であり、
前記姿勢変更機構は、前記進入部材を前記第1姿勢と前記第2姿勢との間において回動させるように構成されている、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記姿勢変更機構は、
前記進入部材に設けられたガイド部と、
前記ベース部材に設けられ、前記ガイド部をガイドするとともに、前記進入部材が前記ベース部材から離れる方向へスライド移動するのに伴って前記進入部材を前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変化させ、前記進入部材が前記ベース部材に近づく方向へスライド移動するのに伴って前記進入部材を前記第2姿勢から前記第1姿勢へ変化させるガイド支持部とを含む、請求項1に記載の移載装置。
【請求項4】
前記ベース部材の前記ガイド支持部は、端部において前記ベース部から離れる方向に向かって下方へ傾斜するとともに前記進入部材を前記第1姿勢から前記第2姿勢に変化させるための傾斜部と、前記傾斜部の上端に接続されるとともに前記進入部材を前記第1姿勢に維持するための第1姿勢維持部とを含む、請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記載置部材は、前記進入部材を回動可能に支持する回動支持部をさらに含み、
前記姿勢変更機構は、一端が前記進入部材に接続されるとともに他端が前記回動支持部に接続され、前記進入部材を下方へ傾斜するように付勢する付勢部材をさらに含む、請求項3に記載の移載装置。
【請求項6】
前記スライド移動機構が前記載置部材をスライド移動させる前記所定方向は、第1方向および前記第1方向と反対方向としての第2方向を含み、
前記進入部材は、前記回動支持部の一端側に接続され、前記第1方向側に配置された第1進入部材と、前記回動支持部の他端側に接続され、前記第2方向側に配置された第2進入部材とを含み、
前記ガイド部は、前記第1進入部材に設けられた第1ガイド部と、前記第2進入部材に設けられた第2ガイド部とを含み、
前記傾斜部は、前記ガイド支持部の前記第1方向側に形成された第1傾斜部と、前記第2ガイド支持部の前記第2方向側に形成された第2傾斜部とを含み、
前記付勢部材は、前記第1進入部材に接続された第1付勢部材と、前記第2進入部材に接続された第2付勢部材とを含む、請求項5に記載の移載装置。
【請求項7】
前記第1進入部材は、
前記第1ガイド部を介して前記第1姿勢維持部から前記第1傾斜部にガイドされて移動するとともに前記第1付勢部材に付勢されることにより前記第1姿勢から前記第2姿勢に変化するとともに、
前記第1ガイド部を介して前記第1傾斜部にガイドされて前記第1姿勢維持部まで移動することにより前記第2姿勢から前記第1姿勢に変化し、
前記第2進入部材は、
前記第2ガイド部を介して前記第1姿勢維持部から前記第2傾斜部にガイドされて移動するとともに前記第2付勢部材に付勢されることにより前記第1姿勢から前記第2姿勢に変化するとともに、
前記第2ガイド部を介して前記第2傾斜部にガイドされて前記第1姿勢維持部まで移動することにより前記第2姿勢から前記第1姿勢に変化する、請求項6に記載の移載装置。
【請求項8】
前記姿勢変更機構は、前記進入部材が前記傾斜部から離隔した状態において、前記進入部材の所定の傾斜角度を超える下方への傾斜を規制するストッパを含む、請求項4に記載の移載装置。
【請求項9】
前記傾斜部と前記第1姿勢維持部との接続部分は、前記第1状態における前記載置部材と前記ベース部材との配置方向および前記所定方向と直交する方向から見て、曲線形状を有する、請求項4に記載の移載装置。
【請求項10】
前記ガイド部は、前記ガイド支持部の上端部に係合可能な溝を有するローラである、請求項3に記載の移載装置。
【請求項11】
被移載者の臀部を支持する座部と、
前記座部と回動可能に接続され、前記被移載者の背中を支持する背部と、
前記座部と回動可能に接続され、前記被移載者の脚を支持する脚部と、
前記座部、前記背部および前記脚部の各々に設けられた移載装置と、を備え、
前記座部、前記背部および前記脚部は、寝台の状態と椅子の状態とに変形可能なように構成され、
前記移載装置は、
ベース部材と、
前記ベース部材上に設けられるとともに前記被移載者が載置され、端部に姿勢を変更可能な進入部材を含む載置部材と、
前記ベース部材に対して相対的に前記載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、
前記載置部材が前記ベース部材の直上に配置された第1状態において、前記進入部材を水平または前記端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持するとともに、前記載置部材がスライド移動により前記ベース部材から離れた第2状態において、前記進入部材を前記端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構と、を備える、移乗装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置および移乗装置に関し、特に、ベース部材と載置部材とを備える移載装置および移乗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース部材と載置部材とを備える移載装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、下部機構(ベース部材)と、上部機構(載置部材)とを備える移載装置が開示されている。下部機構と上部機構とは、互いに独立した複数の無端状ベルトを備えている。下部機構のベルトはいわゆるキャタピラのような作用をし、下部機構と上部機構とからなる重合体をベッド上で自走させることができる。上部機構の先端には、揺動アーム部が設けられている。揺動アーム部は、常時下向きに弾力付勢されている。そのため、上記特許文献1には明記されていないが、揺動アーム部は、常時下向きに傾斜した状態が維持されていると考えられる。移載装置がベッド上を自走により移動することにより、揺動アーム部はベッド面と患者(被移載者)との間に潜り込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-102789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている移載装置では、たとえばベッドから移載装置に患者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態において、上部機構における常時下向きに傾斜する揺動アーム部に患者の身体の一部分が載置される場合がある。この場合、揺動アーム部に載置された患者の身体の一部分が下方へ傾斜することに起因して患者の姿勢が不安定になるため、患者は不安感を抱く可能性がある。そのため、移載装置への患者の移載を容易に行うとともに、移載装置に患者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態にある場合において、移載装置に載置された患者(被移載者)の身体が下方へ傾斜することを抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、移載装置への被移載者の移載を容易に行うことが可能であるとともに、移載装置に被移載者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態にある場合において移載装置に載置された被移載者の身体が下方へ傾斜することを抑制することが可能な移載装置および移乗装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による移載装置は、ベース部材と、ベース部材上に設けられるとともに被移載者が載置され、端部に姿勢を変更可能な進入部材を含む載置部材と、ベース部材に対して相対的に載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、載置部材がベース部材の直上に配置された第1状態において、進入部材を水平または端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持するとともに、載置部材がスライド移動によりベース部材から離れた第2状態において、進入部材を端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による移載装置では、上記のように、載置部材がスライド移動によりベース部材から離れた第2状態において、進入部材を端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構を備える。これにより、被移載者が載置されている載置箇所から載置部材に被移載者を移載する際には、載置部材のスライド移動により第2状態となり、進入部材の姿勢は、下方へ傾斜した第2姿勢である。そのため、被移載者と被移載者が載置されている載置箇所との間に、進入部材を潜り込むように容易にスライド移動させることができる。また、載置部材がベース部材の直上に配置された第1状態において、進入部材を水平または端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持する。これにより、被移載者が載置されている載置箇所から載置部材に移載されるとともに移載装置がスライド移動前の第1状態となった際には、進入部材の姿勢は、水平または上方へ傾斜した第1姿勢である。そのため、移載装置に載置された被移載者の身体の一部分が下方へ傾斜することに起因して被移載者が抱く不安感を抑制することができる。これらの理由から、移載装置への被移載者の移載を容易に行うことができるとともに、移載装置に被移載者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態(第1状態)にある場合において移載装置に載置された被移載者の身体が下方へ傾斜することを抑制することができる。
【0009】
この発明の第1の局面による移載装置において、好ましくは、進入部材は、回動軸周りに回動可能であり、姿勢変更機構は、進入部材を第1姿勢と第2姿勢との間において回動させるように構成されている。このように構成すれば、姿勢変更機構により進入部材を回動させることにより、進入部材の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間において容易に変更させることができる。そのため、移載装置への被移載者の移載をより容易に行うことができるとともに、移載装置に被移載者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態(第1状態)にある場合において移載装置に載置された被移載者の身体が下方へ傾斜することを容易に抑制することができる。
【0010】
この発明の第1の局面による移載装置において、好ましくは、姿勢変更機構は、進入部材に設けられたガイド部と、ベース部材に設けられ、ガイド部をガイドするとともに、進入部材がベース部材から離れる方向へスライド移動するのに伴って進入部材を第1姿勢から第2姿勢へ変化させ、進入部材がベース部材に近づく方向へスライド移動するのに伴って進入部材を第2姿勢から第1姿勢へ変化させるガイド支持部とを含む。このように構成すれば、進入部材に設けられたガイド部をガイド支持部にガイドさせることにより、スライド移動機構によるスライド移動に伴って進入部材の第1姿勢と第2姿勢との間の変更を行うことができるため、姿勢変更機構により進入部材の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間において容易に変更させることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、ベース部材のガイド支持部は、端部においてベース部から離れる方向に向かって下方へ傾斜するとともに進入部材を第1姿勢から第2姿勢に変化させるための傾斜部と、傾斜部の上端に接続されるとともに進入部材を第1姿勢に維持するための第1姿勢維持部とを含む。このように構成すれば、進入部材における第1姿勢と第2姿勢との間の変更を、下方へ傾斜する傾斜部と第1姿勢に維持するための第1姿勢維持部とにより行うことができるため、姿勢変更機構による進入部材の第1姿勢と第2姿勢との間の変更を確実に行うことができる。
【0012】
上記姿勢変更機構は進入部材に設けられたガイド部と、ベース部材に設けられたガイド支持部とを含む構成において、好ましくは、載置部材は、進入部材を回動可能に支持する回動支持部をさらに含み、姿勢変更機構は、一端が進入部材に接続されるとともに他端が回動支持部に接続され、進入部材を下方へ傾斜するように付勢する付勢部材をさらに含む。このように構成すれば、姿勢変更機構による進入部材の第1姿勢から第2姿勢への変更において、進入部材を確実に下方へ傾斜させることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、スライド移動機構が載置部材をスライド移動させる所定方向は、第1方向および第1方向と反対方向としての第2方向を含み、進入部材は、回動支持部の一端側に接続され、第1方向側に配置された第1進入部材と、回動支持部の他端側に接続され、第2方向側に配置された第2進入部材とを含み、ガイド部は、第1進入部材に設けられた第1ガイド部と、第2進入部材に設けられた第2ガイド部とを含み、傾斜部は、ガイド支持部の第1方向側に形成された第1傾斜部と、第2ガイド支持部の第2方向側に形成された第2傾斜部とを含み、付勢部材は、第1進入部材に接続された第1付勢部材と、第2進入部材に接続された第2付勢部材とを含む。このように構成すれば、載置部材をベース部に対して第1方向および第2方向のいずれにスライド移動させた場合においても、姿勢変更機構により進入部材の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間において変更させることができる。そのため、ベッドなどの被移載者が載置されている載置場所または被移載者を移載すべき移載場所が、移載装置に対して第1方向および第2方向のいずれに位置している場合であっても、被移載者を容易に移載することができる。
【0014】
上記進入部材は第1方向側に配置された第1進入部材と、第2方向側に配置された第2進入部材とを含む構成において、好ましくは、第1進入部材は、第1ガイド部を介して第1姿勢維持部から第1傾斜部にガイドされて移動するとともに第1付勢部材に付勢されることにより第1姿勢から第2姿勢に変化するとともに、第1ガイド部を介して第1傾斜部にガイドされて第1姿勢維持部まで移動することにより第2姿勢から第1姿勢に変化し、第2進入部材は、第2ガイド部を介して第1姿勢維持部から第2傾斜部にガイドされて移動するとともに第2付勢部材に付勢されることにより第1姿勢から第2姿勢に変化するとともに、第2ガイド部を介して第2傾斜部にガイドされて第1姿勢維持部まで移動することにより第2姿勢から第1姿勢に変化する。このように構成すれば、ベッドなどの被移載者が載置されている載置場所、または、被移載者を移載すべき移載場所が、移載装置に対して第1方向および第2方向のいずれに位置している場合であっても、被移載者を確実に移載することができる。
【0015】
上記ベース部材のガイド支持部は傾斜部と第1姿勢維持部とを含む構成において、好ましくは、姿勢変更機構は、進入部材が傾斜部から離隔した状態において、進入部材の所定の傾斜角度を超える下方への傾斜を規制するストッパを含む。このように構成すれば、進入部材が下方へ過度に傾斜することを抑制することができる。そのため、被移載者と被移載者が載置されている載置箇所との間に、進入部材を潜り込むように適切にスライド移動させることができる。
【0016】
上記ベース部材のガイド支持部は傾斜部と第1姿勢維持部とを含む構成において、好ましくは、傾斜部と第1姿勢維持部との接続部分は、第1状態における載置部材とベース部材との配置方向および上記所定方向と直交する方向から見て、曲線形状を有する。このように構成すれば、傾斜部と第1姿勢維持部との接続部分が直線形状を有している場合と比べて、ガイド支持部の傾斜部と第1姿勢維持部との接続部分においてガイドされるガイド部を介して伝わる衝撃を緩和することができる。
【0017】
上記姿勢変更機構は進入部材に設けられたガイド部と、ベース部材に設けられたガイド支持部とを含む構成において、好ましくは、ガイド部は、ガイド支持部の上端部に係合可能な溝を有するローラである。このように構成すれば、ガイド支持部からガイド部がずれることを抑制することができるため、ガイド支持部にガイド部を確実にガイドさせることができる。
【0018】
この発明の第2の局面による移乗装置は、被移載者の臀部を支持する座部と、座部と回動可能に接続され、被移載者の背中を支持する背部と、座部と回動可能に接続され、被移載者の脚を支持する脚部と、座部、背部および脚部の各々に設けられた移載装置と、を備え、座部、背部および脚部は、寝台の状態と椅子の状態とに変形可能なように構成され、移載装置は、ベース部材と、ベース部材上に設けられるとともに被移載者が載置され、端部に姿勢を変更可能な進入部材を含む載置部材と、ベース部材に対して相対的に載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、載置部材がベース部材の直上に配置された第1状態において、進入部材を水平または端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持するとともに、載置部材がスライド移動によりベース部材から離れた第2状態において、進入部材を端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構と、を含む。
【0019】
この発明の第2の局面による移乗装置では、上記のように、載置部材がスライド移動によりベース部材から離れた第2状態において、進入部材を端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構を備える。これにより、被移載者が載置されている載置箇所から載置部材に被移載者を移載する際には、載置部材のスライド移動により第2状態となり、進入部材の姿勢は、下方へ傾斜した第2姿勢である。そのため、被移載者と被移載者が載置されている載置箇所との間に、進入部材を潜り込むように容易にスライド移動させることができる。また、載置部材がベース部材の直上に配置された第1状態において、進入部材を水平または端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持する。これにより、被移載者が載置されている載置箇所から載置部材に移載されるとともに移載装置がスライド移動前の第1状態となった際には、進入部材の姿勢は、水平または上方へ傾斜した第1姿勢である。そのため、移載装置に載置された被移載者の身体の一部分が下方へ傾斜することに起因して被移載者が抱く不安感を抑制することができる。これらの理由から、移載装置への被移載者の移載を容易に行うことができるとともに、移載装置に被移載者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態(第1状態)にある場合において移載装置に載置された被移載者の身体が下方へ傾斜することを抑制することが可能な移乗装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、移載装置への被移載者の移載を容易に行うことが可能であるとともに、移載装置に被移載者が移載されて移載装置が移動前の位置に戻った状態にある場合において移載装置に載置された被移載者の身体が下方へ傾斜することを抑制することが可能な移載装置および移乗装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態による移乗装置の寝台状態の概要図である。
図2】一実施形態による移乗装置の椅子状態の概要図である。
図3】一実施形態による移載装置の概念図である。
図4】一実施形態による移載装置の側面模式図である。
図5】一実施形態による移載装置のスライド移動機構を説明する模式図である。
図6】一実施形態による進入部材および姿勢変更機構を説明する模式図である。
図7】一実施形態による姿勢変更機構による進入部材の姿勢の変更を説明する模式図である。
図8】一実施形態による移載装置のスライド移動を説明する模式図である。
図9】一実施形態による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作の例1を説明する模式図である。
図10】一実施形態による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作の例2を説明する模式図である。
図11】一実施形態による操作入力部の例を示す模式図である。
図12】変形例による進入部材の第1姿勢の例を示す模式図である。
図13】変形例による姿勢変更機構の例1を示す模式図である。
図14】変形例による姿勢変更機構の例2を示す模式図である。
図15】変形例による傾斜部の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(移乗装置の構成)
図1図6を参照して、一実施形態による移乗装置1および移載装置100の構成について説明する。なお、本明細書では、図1に示した寝台形態における移乗装置1の短手方向であってかつスライド移動方向を、X方向(左右方向)として説明する。また、図1に示した寝台形態における移乗装置1の長手方向であってかつスライド移動方向と直交する方向を、Y方向(前後方向)として説明する。また、図1に示した寝台形態における移載装置100の厚み方向をZ方向(上下方向)として説明する。
【0024】
移乗装置1は、図1および図2に示すように、座部2と、背部3と、脚部4と、フレーム90と、移載装置100とを備える。
【0025】
座部2は、被移載者S(図7参照)の臀部を支持するように構成されている。背部3は、被移載者Sの背中を支持するように構成されている。背部3は、座部2と回動可能に接続されている。脚部4は、被移載者Sの脚を支持するように構成されている。脚部4は、座部2と回動可能に接続されている。移乗装置1は、座部2、背部3および脚部4が略水平な平板状の同一平面を構成している寝台の状態(図1参照)と、背部3の一端部が上方に回動するとともに、脚部4の一端部が下方に回動している椅子の状態(図2参照)とに変形可能なように構成されている。移載装置100は、座部2、背部3および脚部4の各々に1つずつ設けられている。移載装置100の各々は、フレーム90に設けられている。なお、移乗装置1の詳細は、後述する。
【0026】
(移載装置の構成)
図3に示すように、移載装置100は、ベース部材10と、載置部材30とを含む。ベース部材10は、第1ベース部材11と、第2ベース部材20とを含む。第1ベース部材11は、移乗装置1のフレーム90(図1参照)に固定されている。なお、図3は、移載装置100の概念図である。また、図3(b)は、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30がX1方向にスライド移動されている概念図である。なお、第1ベース部材11、第2ベース部材20および載置部材30の各々は、左右対称の構成であるため、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30がX2方向にスライド移動されている概念図は省略する。
【0027】
図4に示すように、第1ベース部材11は、移載装置100におけるZ方向の最も下部に設けられている。第1ベース部材11は、第1底面12と、第1側面13とを含む。第1側面13は、第1底面12のY方向の両端部に設けられている。第1ベース部材11は、YZ断面形状がU字形状であるとともにX方向に伸びる形状を有している。第1ベース部材11は、たとえば金属材料により構成されている。
【0028】
第1ベース部材11の第1側面13の内側には、第2ベース部材20を相対的にスライド移動させるための第1スライド部材94が設けられている。第1スライド部材94は、Y1方向およびY2方向における第1ベース部材11の端部に設けられている。第1スライド部材94は、第2ベース部材20のガイド支持部22の外側に接続されている。第2ベース部材20は、第1スライド部材94を介して第1ベース部材11に対してX1方向およびX2方向に相対的にスライド移動可能に支持されている。第1スライド部材94は、たとえばスライドレールを含む。なお、第1スライド部材94の構成は、特に限定されない。
【0029】
第2ベース部材20は、第1ベース部材11上に設けられている。第2ベース部材20は、第2底面21と、ガイド支持部22とを含む。ガイド支持部22は、第2底面21のY方向の両端部に設けられ、Z方向に突出して設けられている。ガイド支持部22は、載置部材30の進入部材40(図5参照)の姿勢を変更するための姿勢変更機構60(図6参照)を構成している。第2ベース部材20は、YZ断面形状がU字形状であるとともにX方向に伸びる形状を有している。ガイド支持部22を含む姿勢変更機構60の詳細については、後述する。第2ベース部材20は、たとえば金属材料により構成されている。
【0030】
図8に示すように、第2ベース部材20は、移載装置100のX1方向に載置された被移載者Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11に対してX1方向にスライド移動可能なように構成されている。また、第2ベース部材20は、移載装置100のX2方向に載置された被移載者Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11に対してX2方向にスライド移動可能なように構成されている。
【0031】
図4に示すように、第2ベース部材20のガイド支持部22の内側には、載置部材30を相対的にスライド移動させるための第2スライド部材95が設けられている。第2スライド部材95は、Y1方向およびY2方向における第2ベース部材20の端部に設けられている。第2スライド部材95は、載置部材30の回動支持部31の外側に接続されている。載置部材30は、第2スライド部材95を介して第2ベース部材20に対してX1方向およびX2方向に相対的にスライド移動可能に支持されている。第2スライド部材95は、たとえばスライドレールを含む。なお、第2スライド部材95の構成は、特に限定されない。
【0032】
載置部材30は、第2ベース部材20上に設けられている。載置部材30は、回動支持部31と、進入部材40とを含む。
【0033】
図8に示すように、載置部材30は、移載装置100のX1方向に載置された被移載者Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対してX1方向にスライド移動可能なように構成されている。また、載置部材30は、移載装置100のX2方向に載置された被移載者Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対してX2方向にスライド移動可能なように構成されている。
【0034】
図4に示すように、回動支持部31は、第3底面32と、第2側面33とを含む。第2側面33は、第3底面32のY方向の両端部に設けられている。回動支持部31は、YZ断面形状がU字形状であるとともにX方向に伸びる形状を有している。回動支持部31は、たとえば金属材料により構成されている。図5に示すように、回動支持部31は、進入部材40を回動可能に支持するように構成されている。回動支持部31のY方向の両端部に設けられた第2側面33の間の領域には、芯材71が設けられている。回動支持部31の第2側面33のX1方向側とX2方向側には、それぞれ、回動軸34が設けられている。
【0035】
進入部材40は、第1進入部材41と、第2進入部材51とを含む。第1進入部材41は、載置部材30のX1方向の端部に配置されている。第1進入部材41は、回動支持部31の第2側面33のX1方向側に接続されている。第1進入部材41は、被移載者S(図9参照)を載置部材30に移載する際に、被移載者Sが載置されている載置箇所に向かって載置部材30がX1方向にスライド移動されることにより、載置箇所と被移載者Sの間に潜り込むように進入する部材である。第1進入部材41は、X1方向側の回動軸34周りに回動可能である。第1進入部材41は、姿勢変更機構60により姿勢を変更可能なように構成されている。
【0036】
第2進入部材51は、載置部材30のX2方向の端部に配置されている。第2進入部材51は、回動支持部31の第2側面33のX2方向側に接続されている。第2進入部材51は、被移載者S(図9参照)を載置部材30に移載する際に、被移載者Sが載置されている載置箇所に向かって載置部材30がX2方向にスライド移動されることにより、載置箇所と被移載者Sの間に潜り込むように進入する部材である。第2進入部材51は、X2方向側の回動軸34周りに回動可能である。第2進入部材51は、姿勢変更機構60により姿勢を変更可能なように構成されている。
【0037】
図4に示すように、第1ベース部材11のY方向の長さd1は、第2ベース部材20のY方向の長さd2よりも長いように構成されている。第2ベース部材20のY方向の長さd2は、載置部材30のY方向の長さd3よりも長いように構成されている。移載装置100は、外側のU字形状の第1ベース部材11と、第1ベース部材11の内部に配置可能なU字形状の第2ベース部材20と、第2ベース部材20の内部に配置可能な載置部材30との、入れ子構造になっている。
【0038】
(載置部材の進入部材の説明)
図6を参照して、第1進入部材41について説明する。なお、図6では、便宜上、第1ベース部材11の図示を省略している。
【0039】
第1進入部材41は、第1ローラ42と、第2ローラ43と、第1接続アーム44とを含む。第1進入部材41は、第1ローラ42の回転軸と同心の回動軸34周りに回動可能なように構成されている。第1進入部材41の第1ローラ42と第2ローラ43との間には、芯材(図示しない)が設けられている。第1進入部材41は、第1ローラ42、第2ローラ43、第1接続アーム44および芯材とにより、Y方向に伸びる略楕円柱形状を有する。
【0040】
第1ローラ42は、回動支持部31のX1方向の端部に接続されている。第1ローラ42はY方向に伸びており、中心軸周りに回転可能なように構成されている。第1ローラ42の外周面には、無端(環状)のシート72が掛けられている。第1ローラ42は、シート回転機構73(図5参照)により回転移動されるシート72を第2ローラ43に向けてガイドするように構成されている。
【0041】
第2ローラ43は、載置部材30におけるX1方向の端部に設けられている。第2ローラ43はY方向に伸びており、中心軸周りに回転可能なように構成されている。第2ローラ43の外周面には、無端(環状)のシート72が掛けられている。第2ローラ43は、シート回転機構73(図5参照)により回転移動されるシート72をX1方向の端部において折り返すように構成されている。
【0042】
第1接続アーム44は、第1ローラ42および第2ローラ43の各々の回転軸の両端を、回転可能に支持している。第1接続アーム44は、Y1方向の端部とY2方向の端部とにそれぞれ設けられている。
【0043】
また、Y1方向側のおよびY2方向側の第1接続アーム44の各々に、第1ガイド部45と、第1付勢部材46とが設けられている。第1ガイド部45および第1付勢部材46は、姿勢変更機構60を構成する。
【0044】
第2進入部材51と第1進入部材41とは左右対称に配置された構成であるため、第2進入部材51の説明を省略する。なお、第2進入部材51の第3ローラ52(図5参照)、第4ローラ53(図5参照)および第2接続アーム54(図5参照)は、それぞれ、第1進入部材41の第1ローラ42、第2ローラ43および第1接続アーム44に対応する。また、第2進入部材51も、Y1方向側のおよびY2方向側のそれぞれに設けられた第2接続アーム54に、第2ガイド部55(図5参照)と、第2付勢部材56(図7参照)とが設けられている。
【0045】
(姿勢変更機構の説明)
姿勢変更機構60は、第1進入部材41および第2進入部材51の各々の姿勢を変更するために設けられている。姿勢変更機構60は、載置部材30が第1状態である場合に、第1進入部材41および第2進入部材51を第1姿勢に支持するとともに、載置部材30が第2状態である場合に、第1進入部材41または第2進入部材51を第2姿勢とするように構成されている。
【0046】
第1状態(図3(a)参照)とは、載置部材30が第1ベース部材11および第2ベース部材20の直上に配置されている状態である。第2状態(図3(b)参照)とは、載置部材30がX1方向へのスライド移動により第1ベース部材11および第2ベース部材20から離れた状態、または、載置部材30がX2方向へのスライド移動により第1ベース部材11および第2ベース部材20から離れた状態である。
【0047】
第1姿勢(図7(a)および図7(c)参照)とは、第1進入部材41のX1方向の端部が上方へ傾斜した姿勢であるとともに、第2進入部材51のX2方向の端部が上方へ傾斜した姿勢である。第1姿勢は、たとえば、水平に対して0度よりも大きく5度よりも小さい範囲で上向きに傾斜した姿勢である。なお、第1姿勢における傾斜姿勢の角度は、特に限定されない。第2姿勢(図7(b)参照)とは、第1進入部材41のX1方向の端部が下方へ傾斜した姿勢であるか、または、第2進入部材51のX2方向の端部が下方へ傾斜した姿勢である。第2姿勢は、たとえば、水平に対して10度以上45度以下の範囲で下向きに傾斜した姿勢である。なお、第2姿勢における傾斜姿勢の角度は、特に限定されない。
【0048】
姿勢変更機構60は、第1進入部材41を第1姿勢と第2姿勢との間において回動させるように構成されている。また、姿勢変更機構60は、第2進入部材51を第1姿勢と第2姿勢との間において回動させるように構成されている。
【0049】
図6に示すように、第1進入部材41の姿勢を変更する姿勢変更機構60は、第1ガイド部45と、ガイド支持部22と、第1付勢部材46と、第1ストッパ47と、第2ストッパ48とを含む。第1進入部材41の姿勢を変更する姿勢変更機構60は、移載装置100のY1方向の端部およびY2方向の端部の各々に設けられている。
【0050】
第1ガイド部45は、第1接続アーム44に設けられている。第1ガイド部45は、たとえば、ローラである。第1ガイド部45は、ガイド支持部22にガイドされるように構成されている。第1ガイド部45は、ガイド支持部22の上端部に係合可能な溝を含む。
【0051】
図7に示すように、ガイド支持部22は、第2ベース部材20に設けられている。ガイド支持部22は、第1傾斜部23と、第2傾斜部24と、第1姿勢維持部25とを含む。第1傾斜部23、第2傾斜部24および第1姿勢維持部25は、ガイド支持部22の上端面を構成している。ガイド支持部22は、第1進入部材41が第2ベース部材20から離れる方向へスライド移動するに伴って第1進入部材41を第1姿勢から第2姿勢へ変化させるように構成されている。また、ガイド支持部22は、第1進入部材41が第2ベース部材20に近づく方向へスライド移動するに伴って第1進入部材41を第2姿勢から第1姿勢へ変化させるように構成されている。なお、図7では、便宜上、第1ベース部材11の図示を省略している。
【0052】
第1傾斜部23は、X1方向の端部に形成されている。第1傾斜部23は、X1方向の端部に向かって下方へ傾斜するように形成されている。第1傾斜部23は、第1進入部材41を第1姿勢から第2姿勢に変化させるように構成されている。第1傾斜部23と第1姿勢維持部25との接続部分は、Y方向から見て、曲線形状を有する。
【0053】
第2傾斜部24は、X2方向の端部に形成されている。第2傾斜部24は、X2方向の端部に向かって下方へ傾斜するように形成されている。第2傾斜部24は、第2進入部材51の姿勢を変更するものである。第2傾斜部24は、第1傾斜部23と同等の構成であるため、説明を省略する。
【0054】
第1姿勢維持部25は、X1方向の端部が第1傾斜部23の上端に接続されるとともに、X2方向の端部が第2傾斜部24の上端に接続されている。第1姿勢維持部25は、X1方向の端部からX2方向の端部に亘る平坦な平坦部である。第1姿勢維持部25は、第1進入部材41を第1姿勢に維持するように構成されている。
【0055】
図6に示すように、第1ガイド部45が第1接続アーム44の回転軸に対してX1方向に配置されている場合において、第1接続アーム44の回転軸から第1姿勢維持部25の上端までの距離d4は、第1接続アーム44の回転軸から第1ガイド部45の下端までの距離d5よりも短くなるように構成されている。これにより、第1状態おいて、第1姿勢維持部25により第1進入部材41を第1姿勢に支持することができる。
【0056】
第1付勢部材46は、たとえば、ばね部材である。第1付勢部材46の一端は第1接続アーム44に接続され、第1付勢部材46の他端は回動支持部31に接続されている。第1付勢部材46は、第1進入部材41をZ1方向に付勢するように構成されている。
【0057】
第1ストッパ47は、たとえば、棒状部材である。第1ストッパ47は、回動支持部31に設けられている。第1ストッパ47は、第1接続アーム44回転軸のZ1方向の近傍に設けられている。第1ストッパ47は、第1進入部材41の所定の傾斜角度を超える下方への傾斜を規制するように構成されている。第1ストッパ47は、たとえば、下方へ45度傾斜する第1進入部材41と接触可能なように構成され、第1進入部材41の45度以上の傾斜を規制するように構成されている。
【0058】
第2ストッパ48は、たとえば、棒状部材である。第2ストッパ48は、回動支持部31に設けられている。第2ストッパ48は、第1接続アーム44の回転軸のZ2方向の近傍に設けられている。第2ストッパ48は、第1進入部材41の所定の傾斜角度を超える上方への傾斜を規制するように構成されている。
【0059】
第2進入部材51の姿勢を変更する姿勢変更機構60と第1進入部材41の姿勢を変更する姿勢変更機構60とは、左右対称に配置された構成であるため、第2進入部材51の姿勢を変更する姿勢変更機構60の説明を省略する。なお、第2進入部材51の姿勢を変更する姿勢変更機構60の第2ガイド部55、第2付勢部材56、第3ストッパ(図示せず)および第4ストッパ(図示せず)は、それぞれ、第2進入部材51の姿勢を変更する姿勢変更機構60の第1ガイド部45、第1付勢部材46、第1ストッパ47および第2ストッパ48に対応する。また、ガイド支持部22は、上述したガイド支持部22と同一である。
【0060】
(姿勢変更機構による進入部材の姿勢の変更の説明)
図7(a)~図7(c)を参照して、姿勢変更機構60による進入部材40の姿勢の変更の一例について説明する。
【0061】
図7(a)に示すように、移載装置100は、第1状態である。第1進入部材41および第2進入部材51は、第1姿勢維持部25により上方に傾斜した第1姿勢に支持されている。
【0062】
図7(b)に示すように、後述するスライド移動機構61により載置部材30がX1方向にスライド移動されることにより、移載装置100は、載置部材30が第1ベース部材11および第2ベース部材20から離れた第2状態となる。第1進入部材41は、第1ガイド部45を介して第1姿勢維持部25から第1傾斜部23にガイドされて下方に回動するとともに、第1付勢部材46に付勢されることにより第1姿勢から下方に傾斜した第2姿勢に変化する。そして、第1進入部材41は第1傾斜部23から離隔する。なお、第1進入部材41は、第1ストッパ47により荷重を支持するように構成されている。
【0063】
図7(c)に示すように、スライド移動機構61により被移載者Sを載置した載置部材30がX2方向にスライド移動されることにより、移載装置100は第1状態となる。第1進入部材41は、第1ガイド部45を介して第1傾斜部23にガイドされて第1姿勢維持部25まで移動することにより第2姿勢から第1姿勢に変化する。このとき、第1傾斜部23は、第1姿勢維持部25に支持されているため、荷重をかけても下方へ傾斜しないように構成されている。
【0064】
(スライド移動機構の説明)
図5を参照して、移載装置100のスライド移動機構61について説明する。スライド移動機構61は、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX1方向およびX2方向にスライド移動させるように構成されている。
【0065】
図5に示すように、スライド移動機構61は、第1回転部材62と、第1紐状部材63と、第2回転部材64と、第2紐状部材65と、第3回転部材66と、駆動力伝達部材と、第1駆動源67(図4参照)とを備える。
【0066】
第1回転部材62は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第1回転部材62(図4参照)は、X1方向における第2ベース部材20の端部側であり、Y2方向における第1ベース部材11の外側に設けられている。
【0067】
第1紐状部材63は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。第1紐状部材63(図4参照)は、Y2方向における第1ベース部材11の第1側面13よりも外側に設けられている。第1紐状部材63は、第1回転部材62と係合している。第1紐状部材63は、一端がX2方向における載置部材30の第2側面33の上端からY2方向に突出する第1突出部35(図4参照)に取り付けられ、他端がX2方向における第1ベース部材11の第1側面13の上端からY2方向に突出する第2突出部14(図4参照)に取り付けられている。第1紐状部材63は、一端と他端との間において、第1回転部材62に巻き掛けられている。
【0068】
第1紐状部材63は、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX1方向にスライド移動させるとともに、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX2方向にスライド移動させるように構成されている。
【0069】
第2回転部材64は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第2回転部材64(図4参照)は、X2方向における第2ベース部材20の端部側であり、Y2方向における第1ベース部材11の外側に設けられている。
【0070】
第2紐状部材65は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。第2紐状部材65(図4参照)は、Y2方向における第1ベース部材11の第1側面13よりも外側に設けられている。第2紐状部材65は、第2回転部材64と係合している。第2紐状部材65は、一端がX1方向における載置部材30の第2側面33の上端からY2方向に突出する第3突出部(図4参照)に取り付けられ、他端がX1方向における第1ベース部材11の第1側面13の上端からY2方向に突出する第4突出部(図4参照)に取り付けられている。第2紐状部材65は、一端と他端との間において、第2回転部材64に巻き掛けられている。
【0071】
第2紐状部材65は、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX2方向にスライド移動させるとともに、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX1方向にスライド移動させるように構成されている。
【0072】
第3回転部材66は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第3回転部材66は、第2ベース部材20に設けられている。第3回転部材66は、Y2方向における第2ベース部材20のガイド支持部22の内側に設けられている。第3回転部材66は、第1駆動源67(図4参照)により回転駆動される。第3回転部材66は、正方向および負方向に回転駆動される。ここで、正方向の回転とは一方向への回転を意味し、負方向の回転とは正方向とは異なる他方向への回転を意味する。
【0073】
駆動力伝達部材は、第4回転部材69と、第5回転部材70と、環状部材68とを含む。第4回転部材69および第5回転部材70の各々は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。環状部材68は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。環状部材68は、第3回転部材66、第4回転部材69および第5回転部材70に巻き掛けられている。第4回転部材69は、第1回転部材62と同じ第1軸部材を介して第1回転部材62とともに回動するように設けられている。また、第5回転部材70は、第2回転部材64と同じ第2軸部材を介して第2回転部材64とともに回動するように設けられている。これにより、駆動力伝達部材は、第3回転部材66の回転を第1回転部材62および第2回転部材64の両方に伝達するように構成されている。
【0074】
第1駆動源67(図4参照)は、たとえば、モータにより構成されている。第1駆動源67は、第1紐状部材63および第2紐状部材65を駆動させるための単一の駆動源である。駆動源は、第3回転部材66を正方向および負方向に回転するように構成されている。第1駆動源67による第3回転部材66の回転は、駆動力伝達部材を介して第1回転部材62および第2回転部材64の両方に伝達される。第1駆動源67により、第3回転部材66、第1回転部材62および第2回転部材64は、同一方向に回転する。第1駆動源67により第1回転部材62および第2回転部材64が回転駆動されることにより、第1紐状部材63および第2紐状部材65が駆動されるように構成されている。
【0075】
図8(a)~図8(c)に示すように、第1駆動源67により第3回転部材66を正方向R1に回転させた場合、駆動力伝達部材を介して第1回転部材62および第2回転部材64も正方向R1に回転される。この時、第1紐状部材63の第1回転部材62と載置部材30との間の部分B1が第1回転部材62の回転により第1回転部材62側に引っ張られ、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30がX1方向にスライド移動される。また、この時、第2紐状部材65の第2回転部材64と第1ベース部材11との間の部分B2が第2回転部材64の回転により第2回転部材64側に引っ張られ、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30がX1方向にスライド移動される。なお、図8(a)~図8(c)では、図示の便宜上、第1進入部材41および第2進入部材51における第1姿勢および第2姿勢は省略している。
【0076】
図8(d)~図8(f)に示すように、第1駆動源67により第3回転部材66を負方向R2に回転させた場合、駆動力伝達部材を介して第1回転部材62および第2回転部材64も負方向R2に回転される。この時、第1紐状部材63の第1回転部材62と第1ベース部材11との間の部分B3が第1回転部材62の回転により第1回転部材62側に引っ張られ、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30がX2方向にスライド移動される。また、この時、第2紐状部材65の第2回転部材64と載置部材30との間の部分B4が第2回転部材64の回転により第2回転部材64側に引っ張られ、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30がX2方向にスライド移動される。なお、図8(d)~図8(f)では、図示の便宜上、第1進入部材41および第2進入部材51における第1姿勢および第2姿勢は省略している。
【0077】
なお、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX1方向にスライド移動させた後の、第2ベース部材20および載置部材30のX2方向へのスライド移動は、モータにより第3回転部材66を負方向に回転させた場合と同様の動作であるため、説明は省略する。また、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX2方向にスライド移動させた後の、第2ベース部材20および載置部材30のX1方向へのスライド移動は、モータにより第3回転部材66を正方向に回転させた場合と同様の動作であるため、説明は省略する。
【0078】
(シート回転機構の説明)
図5に示すように、載置部材30は、芯材71と、シート72と、シート回転機構73とをさらに含む。芯材71は、回動支持部31、第1進入部材41(図示しない)および第2進入部材51(図示しない)の各々に設けられ、回動支持部31、第1進入部材41および第2進入部材51における支持面を構成している。芯材71は、外周面に摩擦係数が小さい部材(図示しない)が設けられている。摩擦係数が小さな部材は、たとえば、ナイロン織布である。
【0079】
シート72は、第1進入部材41、第2進入部材51および回動支持部31の芯材71のY軸周りの外周に設けられている。シート72は、Y方向に開口を有する環状の部材である。シート72は、第1進入部材41、第2進入部材51および回動支持部31の芯材71の外周に沿って回転可能なように構成されている。シート72は、内側の摩擦係数が小さい部材(不図示)と、外側の摩擦係数が大きい部材(不図示)とが縫い付けられて形成されている。摩擦係数が小さな部材は、たとえば、ナイロン織布である。摩擦係数が大きな部材は、たとえば、フェルトや綿織布である。
【0080】
シート回転機構73は、第2駆動源(図示しない)と、係合部材74(図3参照)と、シート回転部材75とを含む。シート回転機構73は、載置部材30の第2ベース部材20に対するスライド移動の際、シート72を回転移動させるように構成されている。シート回転機構73は、載置部材30の第1ローラ42、第2ローラ43、第3ローラ52および第4ローラ53を介してシート72を回転移動させるように構成されている。シート回転機構73は、載置部材30の下部側のシート72をスライド移動方向に回転移動させるとともに、載置部材30の上部側のシート72をスライド移動方向と反対方向に回転移動させるように構成されている。
【0081】
第2駆動源(図示しない)は、たとえば、モータにより構成されている。第2駆動源は、シート72を駆動させるための駆動源である。第2駆動源は、シート回転部材75を正方向および負方向に回転するように構成されている。
【0082】
係合部材74は、シート72に設けられている。係合部材74は、シート72の外周面に縫い付けられて設けられている。係合部材74は、Y方向に開口を有する環状の部材である。係合部材74は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。係合部材74は、シート回転部材75に巻き掛けられている。
【0083】
シート回転部材75は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。シート回転部材75は、第2駆動源により回転駆動される。回転部材は、正方向および負方向に回転駆動される。回転部材は、係合部材74と係合してシート72を回転移動させるように構成されている。
【0084】
(被移載者の移載動作の説明)
図9および図10を参照して、移載装置100による被移載者Sの移載動作を説明する。なお、図示の便宜上、シート72の図示は省略する。
【0085】
図9(a)に示すように、移載装置100は第1状態にある。第1進入部材41および第2進入部材51は、第1姿勢に支持されている。被移載者Sは、載置部材30に載置されていない。被移載者Sは、ベッドなどの台98に載置されている。
【0086】
図9(b)に示すように、駆動源により第3回転部材66が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および第2ベース部材20が、第1ベース部材11に対してX1方向にスライド移動する。移載装置100は第2状態となり、第1進入部材41は第2姿勢となる。
【0087】
図9(c)に示すように、載置部材30の第1進入部材41は被移載者Sと台98との間に潜り込むようにスライド移動する。シート回転部材75の回転に伴い、シート72の上面はX2方向に回転移動される。被移載者Sが載置部材30に移載されるまで、シート72は、シート回転部材75により載置部材30のスライド移動に同期して回転される。シート回転部材75の駆動は、移載装置100または移乗装置1に設けられたセンサ(図示しない)などによる被移載者Sの検知に基づいて行われても良いし、操作入力部5への操作に基づいて行われても良い。
【0088】
この際、シート72の上面がスライド移動方向と反対方向に回転移動されることにより、シート72の上面の第1位置P1は、第1ベース部材11に対して固定される。これにより、載置部材30に被移載者Sを移載する際に、被移載者Sを持ち上げて載置部材30に移載させやすくなる。
【0089】
図9(d)に示すように、被移載者Sは載置部材30上に移載される。
【0090】
図9(e)に示すように、被移載者Sを載置した載置部材30および第2ベース部材20が、第1ベース部材11に対してX2方向にスライド移動する。このとき、シート72はシート回転部材75により回転されない。
【0091】
図9(f)に示すように、移載装置100は再び第1状態となるとともに、第1進入部材41は第1姿勢に支持される。
【0092】
次に、被移載者Sを移載装置100から移載する動作について説明する。
【0093】
図10(a)に示すように、移載装置100は第1状態にある。第1進入部材41および第2進入部材51は、第1姿勢に支持されている。被移載者Sは、載置部材30に載置されている。
【0094】
図10(b)に示すように、駆動源により第3回転部材66が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および第2ベース部材20が、第1ベース部材11に対してX1方向にスライド移動する。移載装置100は第2状態となり、第1進入部材41は第2姿勢となる。
【0095】
図10(c)および図10(d)に示すように、駆動源により第3回転部材66が負方向に回転駆動されることにより、載置部材30および第2ベース部材20が、第1ベース部材11に対してX2方向にスライド移動する。また、シート回転部材75の回転に伴い、シート72の上面はX1方向に回転移動される。シートの上面がスライド移動方向と反対方向に回転移動されることにより、シート72の上面の第1位置P1は、第1ベース部材11に対して固定される。これにより、被移載者Sを載置する台98に被移載者Sを降ろしやすくなる。
【0096】
図10(e)に示すように、被移載者Sは載置部材30から台98の上に降ろされる。被移載者Sを載置していない載置部材30および第2ベース部材20が、第1ベース部材11に対してX2方向にスライド移動する。このとき、シート72はシート回転部材75により回転されない。
【0097】
図10(f)に示すように、移載装置100再び第1状態となるとともに、第1進入部材41および第2進入部材51は第1姿勢に支持される。
【0098】
以上、移載装置100をX1方向にスライド移動させ、被移載者Sを載置部材30に載置した後、または載置部材30から降下させた後に、移載装置100をX2方向にスライド移動させる第1例を説明した。移載装置100をX2方向にスライド移動させ、被移載者Sを載置部材30に載置した後、または載置部材30から降下させた後に、移載装置100をX1方向にスライド移動させる第2例についても、第1例と同様であるため、説明は省略する。
【0099】
(移乗装置)
図1および図2に示すように、移乗装置1は、操作入力部5と、形態変形機構6と、昇降機構7と、装置移動部材8と、制御部(不図示)とを、をさらに備える。
【0100】
操作入力部5は、たとえば、移載装置100および移乗装置1を操作するリモコンである。操作入力部5は、背部3の座部2と反対側の端部に配置されている。また、操作入力部5は、座部2に設けられた左肘掛け93の外側および右肘掛け92の外側に配置されている。被移載者Sの移載の際、移載方向と反対側の肘掛けに配置された操作入力部5、または、背部3の座部2と反対側の端部に配置された操作入力部5が使用される。
【0101】
図11(a)に示す操作入力部5の一例は、「載せる」ボタン5aと、「降ろす」ボタン5bと、「高さ」調整ボタン5cと、「緊急停止」ボタン5dとを含む。「載せる」ボタン5aが押されることにより、移載装置100における被移載者Sの移載動作を説明した図9の動作が実行される。また、「降ろす」ボタン5bが押されることにより、移載装置100における被移載者Sの移載動作を説明した図10の動作が実行される。また、「高さ」調整ボタン5cが押されることにより、昇降機構7による人搭載部9の高さが調整される。また、「緊急停止」ボタン5dが押されることにより、「載せる」ボタンまたは「降ろす」ボタンにより実行されている移載装置100における被移載者Sの移載動作が停止される。
【0102】
図11(b)に示す操作入力部5の他の例は、図11(a)の操作入力部5の各種ボタンと、「進む」ボタン5eとを含む。「進む」ボタン5eが押されている間、台98などに載置された被移載者S、または、台98などにおける被移載者Sを降ろす場所に向かって、載置部材30および第2ベース部材20がスライド移動される。
【0103】
図1に示すように、形態変形機構6は、背部3、座部2および脚部4を含む人搭載部9のフレーム90をリンク機構により接続するように構成されている。形態変形機構6は、移乗装置1の形態を、寝台の形態と椅子の形態とに変形させる。形態変形機構6は、直動モータにより駆動される。ブレーキ付きの直動モータであっても良いし、ウォームギヤを用いた直動モータであっても良い。
【0104】
昇降機構7は、人搭載部9の高さを調整するように構成されている。昇降機構7は、ベースフレーム91およびフレーム90をリンク機構により接続するように構成されている。昇降機構7は、直動モータにより駆動される。昇降機構7は、直動モータにより駆動される。ブレーキ付きの直動モータであっても良いし、ウォームギヤを用いた直動モータであっても良い。
【0105】
また、昇降機構7は、人搭載部9の高さを、400mm~750mm程度の範囲で調整できるように構成されている。これにより、任意の高さのベッドからの被移載者Sの移乗のみならず、ベッドより高さの低いトイレの便器への被移載者Sの移乗も可能になる。
【0106】
装置移動部材8は、たとえば、複数の車輪である。これにより、移乗装置1を移動させることが可能である。
【0107】
制御部(図示しない)は、スライド動作、シートの回転動作、昇降動作などを行うように、各機構に設けたモータの制御を行うように構成されている。制御部は、操作入力部5により入力された内容に応じた動作の制御を行うように構成されている。
【0108】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0109】
本実施形態では、上記のように、載置部材30がスライド移動により第1ベース部材11および第2ベース部材20から離れた第2状態において、進入部材40を端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構60を備える。これにより、被移載者Sが載置されている載置箇所から載置部材30に被移載者Sを移載する際には、載置部材30のスライド移動により第2状態となり、進入部材40の姿勢は、下方へ傾斜した第2姿勢である。そのため、被移載者Sと被移載者Sが載置されている載置箇所との間に、進入部材40を潜り込むように容易にスライド移動させることができる。また、載置部材30が第1ベース部材11および第2ベース部材20の直上に配置された第1状態において、進入部材40を端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持する。これにより、被移載者Sが載置されている載置箇所から載置部材30に移載されるとともに移載装置100がスライド移動前の第1状態となった際には、進入部材40の姿勢は、上方へ傾斜した第1姿勢である。そのため、移載装置100に載置された被移載者Sの身体の一部分が下方へ傾斜することに起因して被移載者Sが抱く不安感を抑制することができる。これらの理由から、移載装置100への被移載者Sの移載を容易に行うことができるとともに、移載装置100に被移載者Sが移載されて移載装置100が移動前の位置に戻った状態(第1状態)にある場合において移載装置100に載置された被移載者Sの身体が下方へ傾斜することを抑制することができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、進入部材40は、回動軸34周りに回動可能であり、姿勢変更機構60は、進入部材40を第1姿勢と第2姿勢との間において回動させるように構成されている。これにより、姿勢変更機構60により進入部材40を回動させることにより、進入部材40の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間において容易に変更させることができる。そのため、移載装置100への被移載者Sの移載をより容易に行うことができるとともに、移載装置100に被移載者Sが移載されて移載装置100が移動前の位置に戻った状態(第1状態)にある場合において移載装置100に載置された被移載者Sの身体が下方へ傾斜することを容易に抑制することができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、姿勢変更機構60は、進入部材40に設けられたガイド部と、ベース部材10に設けられ、ガイド部をガイドするとともに、進入部材40がベース部材10から離れる方向へスライド移動するのに伴って進入部材を第1姿勢から第2姿勢へ変化させ、進入部材40がベース部材10に近づく方向へスライド移動するのに伴って進入部材40を第2姿勢から第1姿勢へ変化させるガイド支持部22とを含む。これにより、進入部材40に設けられたガイド部をガイド支持部22にガイドさせることにより、スライド移動機構61によるスライド移動に伴って進入部材40の第1姿勢と第2姿勢との間の変更を行うことができるため、姿勢変更機構60により進入部材40の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間において容易に変更させることができる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、ベース部材10のガイド支持部22は、端部においてベース部から離れる方向に向かって下方へ傾斜するとともに進入部材40を第1姿勢から第2姿勢に変化させるための傾斜部と、傾斜部の上端に接続されるとともに進入部材40を第1姿勢に維持するための第1姿勢維持部25とを含む。これにより、進入部材40における第1姿勢と第2姿勢との間の変更を、下方へ傾斜する傾斜部と第1姿勢に維持するための第1姿勢維持部25とにより行うことができるため、姿勢変更機構60による進入部材40の第1姿勢と第2姿勢との間の変更を確実に行うことができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、載置部材30は、進入部材40を回動可能に支持する回動支持部31をさらに含み、姿勢変更機構60は、一端が進入部材40に接続されるとともに他端が回動支持部31に接続され、進入部材40を下方へ傾斜するように付勢する付勢部材をさらに含む。これにより、姿勢変更機構60による進入部材40の第1姿勢から第2姿勢への変更において、進入部材40を確実に下方へ傾斜させることができる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、スライド移動機構61が載置部材30をスライド移動させる所定方向は、第1方向および第1方向と反対方向としての第2方向を含み、進入部材40は、回動支持部31の一端側に接続され、第1方向側に配置された第1進入部材41と、回動支持部31の他端側に接続され、第2方向側に配置された第2進入部材51とを含み、ガイド部は、第1進入部材41に設けられた第1ガイド部45と、第2進入部材51に設けられた第2ガイド部55とを含み、傾斜部は、ガイド支持部22の第1方向側に形成された第1傾斜部23と、ガイド支持部22の第2方向側に形成された第2傾斜部24とを含み、付勢部材は、第1進入部材41に接続された第1付勢部材46と、第2進入部材51に接続された第2付勢部材56とを含む。これにより、載置部材30をベース部に対して第1方向および第2方向のいずれにスライド移動させた場合においても、姿勢変更機構60により進入部材40の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間において変更させることができる。そのため、ベッドなどの被移載者Sが載置されている載置場所または被移載者Sを移載すべき移載場所が、移載装置100に対して第1方向および第2方向のいずれに位置している場合であっても、被移載者Sを容易に移載することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、第1進入部材41は、第1ガイド部45を介して第1姿勢維持部25から第1傾斜部23にガイドされて移動するとともに第1付勢部材46に付勢されることにより第1姿勢から第2姿勢に変化するとともに、第1ガイド部45を介して第1傾斜部23にガイドされて第1姿勢維持部25まで移動することにより第2姿勢から第1姿勢に変化し、第2進入部材51は、第2ガイド部55を介して第1姿勢維持部25から第2傾斜部24にガイドされて移動するとともに第2付勢部材56に付勢されることにより第1姿勢から第2姿勢に変化するとともに、第2ガイド部55を介して第2傾斜部24にガイドされて第1姿勢維持部25まで移動することにより第2姿勢から第1姿勢に変化する。これにより、ベッドなどの被移載者Sが載置されている載置場所、または、被移載者Sを移載すべき移載場所が、移載装置100に対して第1方向および第2方向のいずれに位置している場合であっても、被移載者Sを確実に移載することができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、姿勢変更機構60は、進入部材40が傾斜部から離隔した状態において、進入部材40の所定の傾斜角度を超える下方への傾斜を規制するストッパを含む。これにより、進入部材40が下方へ過度に傾斜することを抑制することができる。そのため、被移載者Sと被移載者Sが載置されている載置箇所との間に、進入部材40を潜り込むように適切にスライド移動させることができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、傾斜部と第1姿勢維持部25との接続部分は、第1状態における載置部材30とベース部材10との配置方向および上記所定方向と直交する方向から見て、曲線形状を有する。これにより、傾斜部と第1姿勢維持部25との接続部分が直線形状を有している場合と比べて、ガイド支持部22の傾斜部と第1姿勢維持部25との接続部分においてガイドされるガイド部を介して伝わる衝撃を緩和することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、ガイド部は、ガイド支持部22の上端部に係合可能な溝を有するローラである。これにより、ガイド支持部22からガイド部がずれることを抑制することができるため、ガイド支持部22にガイド部を確実にガイドさせることができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、移乗装置1は、載置部材30がスライド移動によりベース部材10から離れた第2状態において、進入部材40を端部方向に向かって下方へ傾斜した第2姿勢とする姿勢変更機構60を備える。これにより、被移載者Sが載置されている載置箇所から載置部材30に被移載者Sを移載する際には、載置部材30のスライド移動により第2状態となり、進入部材40の姿勢は、下方へ傾斜した第2姿勢である。そのため、被移載者Sと被移載者Sが載置されている載置箇所との間に、進入部材40を潜り込むように容易にスライド移動させることができる。また、載置部材30がベース部材10の直上に配置された第1状態において、進入部材40を水平または端部に向かって上方へ傾斜した第1姿勢に支持する。これにより、被移載者Sが載置されている載置箇所から載置部材30に移載されて第1状態となった際には、進入部材40の姿勢は、水平または上方へ傾斜した第1姿勢である。そのため、移載装置100に載置された被移載者Sの身体の一部分が下方へ傾斜することに起因して被移載者Sが抱く不安感を抑制することができる。これらの理由から、移載装置100への被移載者Sの移載を容易に行うことができるとともに、載置部材30がベース部材10の直上に配置された第1状態にある場合において移載装置100に載置された被移載者Sの身体が下方へ傾斜することを抑制することが可能な移乗装置1を提供することができる。
【0120】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0121】
たとえば、上記実施形態では、進入部材40の第1姿勢は、端部に向かって上方へ傾斜した姿勢である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図12に示すように、進入部材40の第1姿勢は、水平姿勢であっても良い。なお、図12では、便宜上、第1ベース部材11の図示を省略している。
【0122】
また、上記実施形態では、第1進入部材41のX2方向の端部の位置は、回動支持部31のX1方向の端部に配置され、第2進入部材51のX1方向の端部の位置は、回動支持部31のX2方向の端部に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1進入部材41のX2方向の端部の位置、および、第2進入部材51のX1方向の端部の位置は、回動支持部31の略中央部に配置されていても良い。回動支持部31における、第1進入部材41のX2方向の端部の位置、および、第2進入部材51のX1方向の端部の位置は、特に限定されない。また、回動支持部31のX方向の長さは、特に限定されない。
【0123】
また、上記実施形態では、姿勢変更機構60は、ガイド部と、傾斜部および第1姿勢維持部25とを含むガイド支持部22と、ばね部材により構成される付勢部材とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0124】
たとえば、図13(a)に示すように、姿勢変更機構60は、ガイド部と、傾斜部および第1姿勢維持部25とを含むガイド支持部22と、進入部材40を上方へ傾斜させるための直動モータやプッシュソレノイド(図示しない)により構成されるアクチュエータ96とを含んでいても良い。また、たとえば、図13(b)に示すように、姿勢変更機構60は、ガイド部と、傾斜部および第1姿勢維持部25とを含むガイド支持部22とを含まず、進入部材を上方および下方へ傾斜させる直動モータや進入部材40を上方へ傾斜させるためのプッシュソレノイド(図示しない)により構成されるアクチュエータ96を含んでいても良い。なお、図13では、便宜上、第1ベース部材11の図示を省略している。
【0125】
また、上記実施形態では、姿勢変更機構60は、載置部材30に設けられたガイド部と、第2ベース部材20に設けられ、傾斜部および第1姿勢維持部25とを含むガイド支持部22と、付勢部材とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図14に示すように、姿勢変更機構60は、第2ベース部材20に設けられたガイド部および第1姿勢維持部25を含むガイド支持部22と、付勢部材とを含むように構成されていても良い。この場合、進入部材40の第1姿勢では、進入部材40の接続アームをガイド支持部22の第1姿勢維持部25が支持するように構成され、進入部材40の第2姿勢では、進入部材40の接続アームがガイド支持部22の第1姿勢維持部25から離隔するように構成されていても良い。なお、図14では、便宜上、第1ベース部材11の図示を省略している。
【0126】
また、上記実施形態では、第2ベース部材20を相対的にスライド移動させるための第1スライド部材94と、載置部材30を相対的にスライド移動させるための第2スライド部材95とが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2ベース部材20を相対的にスライド移動させるためのローラと、載置部材30を相対的にスライド移動させるためのローラとが設けられていても良い。
【0127】
また、上記実施形態では、載置部材30および姿勢変更機構60はX1方向およびX2方向の両方に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、載置部材30および姿勢変更機構60はX1方向およびX2方向のいずれか一方にのみ設けられていても良い。
【0128】
また、上記実施形態では、スライド移動機構61は、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX1方向およびX2方向にスライド移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スライド移動機構61は、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX1方向およびX2方向のいずれか一方にのみスライド移動させるように構成されていても良い。
【0129】
また、上記実施形態では、ベース部材は第1ベース部材11と第2ベース部材20とを含む2段構成である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ベース部材は、1段構成であっても良いし、3段以上であっても良い。
【0130】
また、上記実施形態では、姿勢変更機構60は、第1ストッパ47および第3ストッパを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、姿勢変更機構60は、第1ストッパ47および第3ストッパを含まないように構成されていても良い。また、上記実施形態では、姿勢変更機構60は、第2ストッパ48および第4ストッパを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、姿勢変更機構60は、第2ストッパ48および第4ストッパを含まないように構成されていても良い。
【0131】
また、上記実施形態では、第1姿勢維持部25は、X1方向の端部からX2方向の端部に亘って、平坦部を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1姿勢維持部25は、傾斜する傾斜部や突出する突出部を有していても良い。
【0132】
また、上記実施形態では、傾斜部と第1姿勢維持部25との接続部分は、Y方向から見て曲線形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15に示すように、傾斜部26と第1姿勢維持部25との接続部分および傾斜部26は、Y方向から見て直線形状により構成されていても良い。なお、図15では、便宜上、第1ベース部材11の図示を省略している。
【0133】
また、上記実施形態では、ガイド部は、ガイド支持部22の上端部に係合可能な溝を有するローラである例を示したが、本発明はこれに限られない。ガイド部はガイド支持部22によりガイド可能に構成されていれば、ガイド部の種類、材料、形状などは特に限定されない。
【0134】
また、上記実施形態では、第1紐状部材63はY2方向における第1ベース部材11の第1側面13よりも外側に設けられ、第2紐状部材65はY2方向における第1ベース部材11の第1側面13よりも外側に設けられ、第3回転部材66はY2方向における第2ベース部材20のガイド支持部22の内側に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。単一の駆動源により第1紐状部材63および第2紐状部材65を駆動させることができれば、第1紐状部材63、第2紐状部材65および第3回転部材66の配置は特に限定されない。
【0135】
また、上記実施形態では、シート回転機構73を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、シート回転機構73は設けられていなくても良い。
【0136】
また、上記実施形態では、第1紐状部材63、第2紐状部材65および係合部材74は、歯付きベルトであり、第1回転部材62、第2回転部材64、第3回転部材66、第4回転部材69、第5回転部材70は、歯型が設けられたプーリである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1紐状部材63、第2紐状部材65および係合部材74は、歯型が設けられていないベルトや、チェーンであっても良い。また、たとえば、第1回転部材62、第2回転部材64、第3回転部材66、第4回転部材69、第5回転部材70は、歯型が設けられていないプーリや、スプロケットであっても良い。
【符号の説明】
【0137】
1 移乗装置
2 座部
3 背部
4 脚部
10 ベース部材
11 第1ベース部材
20 第2ベース部材
22 ガイド支持部
23 第1傾斜部
24 第2傾斜部
25 第1姿勢維持部
30 載置部材
31 回動支持部
40 進入部材
41 第1進入部材
45 第1ガイド部
46 第1付勢部材
47 第1ストッパ
51 第2進入部材
55 第2ガイド部
56 第2付勢部材
60 姿勢変更機構
61 スライド移動機構
100 移載装置
S 被移載者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15