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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066679
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ウォーターサーバーの管理システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/00 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176247
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】517101089
【氏名又は名称】株式会社KARIU
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【弁理士】
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】狩生 憲次
(72)【発明者】
【氏名】狩生 真吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寛介
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD01
3E082EE01
3E082EE05
3E082FF01
(57)【要約】
【課題】端末を用いてフィルターの交換時期を把握可能なウォーターサーバーの管理システムの提供。
【解決手段】
外部取水口からタンクに水を取り込んで濾過手段によって濾過することで、取水口から飲料水として供給可能にするウォーターサーバーの管理システムであって、前記ウォーターサーバーは、前記タンクから供給された水を所定の温度に加熱もしくは冷却する温度調整部と、前記タンクと前記温度調整部との経路上にあって前記水の不純物を濾しとる1つ以上のフィルターを含む濾過手段と、前記フィルターの消耗度を検知するためのフィルター消費検知手段と、を備え、前記フィルターの消耗度が所定値以上に増大したと判断したときに、当該ウォーターサーバーと通信を介して接続された携帯端末に対して前記フィルターの交換を通知する通知手段を有することを特徴とするウォーターサーバーの管理システム。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部取水口からタンクに水を取り込んで濾過手段によって濾過することで、取水口から飲料水として供給可能にするウォーターサーバーの管理システムであって、
前記ウォーターサーバーは、
前記タンクから供給された水を所定の温度に加熱もしくは冷却する温度調整部と、
前記タンクと前記温度調整部との経路上にあって前記水の不純物を濾しとる1つ以上のフィルターを含む濾過手段と、
前記フィルターの消耗度を検知するためのフィルター消費検知手段と、
を備え、
前記フィルターの消耗度が所定値以上に増大したと判断したときに、当該ウォーターサーバーと通信を介して接続された端末に対して前記フィルターの交換を通知する通知手段を有することを特徴とするウォーターサーバーの管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のウォーターサーバーの管理システムであって、
前記フィルター消費検知手段は、前記フィルターの前記経路における上流側と、前記経路における下流側と、の双方に配置された2つの流速センサを備えたことを特徴とするウォーターサーバーの管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載のウォーターサーバーの管理システムであって、
前記フィルター消費検知手段は、2つの前記流速センサ間で測定された流速差を基に前記フィルターの消耗度を算出することを特徴とするウォーターサーバーの管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のウォーターサーバーの管理システムであって、
前記フィルターが交換されてから、前記フィルター消費検知手段が再度交換を通知するまでの間隔を記録することで前記タンクから供給された水の水質を推定することを特徴とするウォーターサーバーの管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載のウォーターサーバーの管理システムであって、
前記ウォーターサーバーから取得される前記水質のデータを、前記ネットワークを介して情報連携することを特徴とするウォーターサーバーの管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末を用いたウォーターサーバーの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道水等の原水をフィルターによって浄化することで品質を向上させた飲料水として供給する浄水装置が知られている。
また、近年ではミネラル水等を予め梱包された容器兼タンクに詰め、飲むのに適当な温度に温度調整を行ってから飲料水として供給するウォーターサーバーが広く知られている(例えば特許文献1、2等参照)。
【0003】
こうしたウォーターサーバーにおいては、フィルター等の消耗部品や、容器兼タンクを定期的に交換する必要があり、例えばこのような部材の交換時期を、ネットワーク接続を介して事業者に適宜連絡する方法等が知られている(例えば特許文献2、3等参照)。
【0004】
さて、従来のウォーターサーバー用のフィルターにおいては、濾過可能な総水量によって品質保証がされている場合が多く、一般的にはウォーターサーバーの取水量から交換時期を把握していることがほとんどである。
しかしながら特に水道水を浄化する浄化式のウォーターサーバーでは、実際のフィルターの交換タイミングは元となる水道水の水質や、各家庭までの水道管の質、利用方法等によりまちまちになることがわかっている。
そこで、フィルターの最適な交換時期を利用者に対して知らせる方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6552075号公報
【特許文献2】特開2018-165963号公報
【特許文献3】特開2021-030119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、利用者の所持する端末から制御可能なウォーターサーバーの管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にかかるウォーターサーバーの管理システムは、外部取水口からタンクに水を取り込んで濾過手段によって濾過することで、取水口から飲料水として供給可能にするウォーターサーバーの管理システムであって、前記ウォーターサーバーは、前記タンクから供給された水を所定の温度に加熱もしくは冷却する温度調整部と、前記タンクと前記温度調整部との経路上にあって前記水の不純物を濾しとる1つ以上のフィルターを含む濾過手段と、前記フィルターの消耗度を検知するためのフィルター消費検知手段と、を備え、前記フィルターの消耗度が所定値以上に増大したと判断したときに、当該ウォーターサーバーと通信を介して接続された端末に対して前記フィルターの交換を通知する通知手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者の所持する端末から制御可能な新規なウォーターサーバーの管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態におけるウォーターサーバーの管理システムの構成の一例を示す概念図である。
図2】本発明の実施形態におけるウォーターサーバーの構成の一例を示す図である。
図3図2に示したウォーターサーバーの機能構成の一例を示す概略図である。
図4図1に示したウォーターサーバーの管理システムの画面の構成例を示す図である。
図5図4に示した画面のうち故障通知機能の一例を示す図である。
図6図4に示した画面のうちフィルターの消耗度を通知する機能の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態として、インターネットを例とするネットワーク9を介してウォーターサーバー10を制御する管理システム1の概念図を図1に示す。
管理システム1は、ウォーターサーバー10と、利用者Pが普段から利用している携帯端末であるスマートフォン2と、ネットワーク9上にある外部サーバー3と、で構成されている。
なお、本実施形態では、外部サーバー3を利用する構成としているが、かかる外部サーバー3は必須の構成ではなく、当該外部サーバー3と同様の機能をウォーターサーバー10の制御部に組み込んでも良い。
また、外部サーバー3には、利用者P以外のユーザー情報も登録されており、各ユーザー毎に対応するウォーターサーバー10の設置位置や、ID、パスワード等を管理している。
【0011】
利用者Pは、外部サーバー3からウォーターサーバー10の制御に必要なアプリケーションソフトウェアをダウンロードする。
ウォーターサーバー10には、例えば予め所定の操作用のIDが割り振られており、かかるIDと、スマートフォン2とが紐づけられることで、利用者Pのスマートフォン2から、ウォーターサーバー10を操作可能となる。なお、このような構成でなくとも、利用者Pの用いる携帯端末と、利用者Pが用いているウォーターサーバー10とを1対1に紐づけするような構成であれば良い。
【0012】
ウォーターサーバー10の構成について、内部の構造について述べる。
ウォーターサーバー10は、図2に示されたように、上部に取り付けられた原水タンク11と、原水タンク11から流水経路12を介して接続されたポンプ13と、複数のフィルター21、22、23を含むフィルター群で構成された濾過手段である浄水部20と、飲料水用に温度調整可能な温度調整部30と、温度調整後の飲料水を利用者Pに供給する取水口40と、これらの各部を制御する制御手段である制御部50と、を有している。
また、これらの各部の構成を経路がわかりやすくなるように機能別にまとめたのが図3の構成図である。なお、これらの各部がウォーターサーバー10の装置内部のどこに位置するかは必ずしも正確ではなく、各装置のサイズや設計に合わせて適宜変更して構わない。
【0013】
原水タンク11は、本実施形態では外部取水口14から利用者Pが原水を供給可能なように開放可能なタンクである。
本実施形態では原水として水道水や市販のミネラルウォーター等を用いることができる。
【0014】
流水経路12は、原水あるいは原水をフィルターによって清浄化した飲料水が通過する経路であって、多くはパイプ状に形成されている。
流水経路12の途上には、ポンプ13が接続されており、上部に配置された原水タンク11からウォーターサーバー10の各所に水を圧力によって供給することが可能となる。
流水経路12の途上には、水流の有無を検知するためのフローチェッカーである流水センサ15と、水漏れした際に原水の供給を遮断するためのリークバルブ16と、が適宜設けられている。
また、各種のタンクには、流れてきた原水あるいは飲料水の水量を検知するための水位センサや、温度計、空気抜き弁等が設けられていて良いが、本実施形態では特に必要なセンサ類のみについて説明し、その他の各種センサについては適宜説明を省略する。
【0015】
浄水部20は、ここでは第1フィルター21と、第2フィルター22と、第3フィルター23と、の3つのフィルターによって構成されたフィルター群であって、通過する原水中の不純物を濾しとることで清浄化する浄水機能を有する濾過手段である。
【0016】
第1フィルター21は、本実施形態では炭素等を含むコンポジットフィルターであり、内部を通過することで、原水中の沈殿物等の除去を行うことができる。
第2フィルター22は、限外ろ過フィルターであって、第1フィルター21よりも粒径の細かい不純物の除去を可能とする。
第3フィルター23は、活性炭フィルターであって、原水中の脱臭やカルキの除去を行うことができる。
これらの複数のフィルターにより、浄水部20は濾過手段としての機能を有している。
【0017】
第1フィルター21、第2フィルター22、第3フィルター23のそれぞれには、その流水経路12の上流側と下流側とのそれぞれにおいて、流速センサ24が取り付けられている。
本実施形態では、流速センサ24のうち、各フィルターの上流側に配置されたものを上流側流速センサ24a、下流側に配置されたものを下流側流速センサ24bとする。
なお、上流側流速センサ24aと、下流側流速センサ24bとは、交換可能なフィルター1つにつき1対ずつ配置されることが最も好ましいが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば浄水部20を1つのフィルターと見なして、浄水部20の上流側に1つ、下流側に1つ、と配置しても良い。
なお、図3においては、第1フィルター21、第2フィルター22、第3フィルター23の何れも、図中の上部側から通水されて上部側へと流れていく構造であって、上流側流速センサ24aも下流側流速センサ24bもフィルタ上部に設けられている。
【0018】
温度調整部30は、冷却用タンク31と、冷却用タンク31の周囲に巡らされて冷媒を循環させる循環経路32と、冷却用コンプレッサー33と、フロートスイッチ34と、加熱用タンク35と、加熱用タンク35内部に配置されたヒーター36と、を有している。
【0019】
冷却用タンク31は、流水経路12の途上に配置された一時保管用のタンクであって、下方の周囲には、内部に冷媒を通すことで冷却用タンク31及び飲料水を冷却するための循環経路32が張り巡らされている。
循環経路32には冷却用コンプレッサー33によって圧縮された冷媒が流れており、かかる冷媒と飲料水との熱交換によって、飲料水は冷却される。なお、ここで熱交換によって冷却された飲料水が比重の違いから下方へと移動することから、図3においては下方側に、取水口40へとつながる流水経路12を接続しているが、かかる構成に限定されるものではない。
また、これらの冷却に関する構成は、冷却用コンプレッサー33以外の構成については適宜省略するが、一般的な冷媒を用いた冷却装置であって良く、またここで述べた構成以外にも、液体を冷却する方法として種々の構成を用いても良い。
【0020】
ヒーター36は、少なくとも一部が加熱用タンク35の内部に配置された電熱式のシーズヒーターである。
ヒーター36は、制御部50において設定された温度に従って、加熱用タンク35内の飲料水を当該温度になるまで加熱する。
なお、ここでは加熱された飲料水が比重の違いから上方へと移動することから、図3においては上方側に、取水口40へとつながる流水経路12を接続しているが、かかる構成に限定されるものではない。
また、これらの加熱に関する構成は、一例であってシーズヒーター以外にも種々の加熱手段を用いて良い。
【0021】
温度調整部30は、上述の構成によって、原水タンク11から冷却用タンク31あるいは加熱用タンク35に供給された飲料水を、所定の温度に加熱もしくは冷却する。
【0022】
取水口40の近傍には、取水口40から飲料水を供給するために利用者Pによって押下されるボタンである取水ボタン41と、取水口40から飲料水が供給されたことを検知するための取水センサ42と、が設けられている。
【0023】
取水ボタン41は、利用者Pによって押下されることで、後述するスマートフォン2で設定された温度、あるいは予め出荷時に設定された温度の温水または冷水の飲料水が取水口40から供給される。
取水ボタン41が押下されると、取水センサ42には飲料水が流れ出たことが検知されるので、取水センサ42は、取水口40から飲料水が流れ出たことを検知する取水検知手段として機能する。なお、敢えて取水センサ42を用いずとも、例えば取水ボタン41自体が押下されたことを条件として、飲料水が流れていることとして制御部50に伝達しても良い。
いずれの方法にせよ、取水ボタン41あるいは取水センサ42が機能することで、取水口40から飲料水が流れ出たことを検知することが可能である。
【0024】
また、望ましくは、取水ボタン41が押下されて取水口40から飲料水が出るときには、流水経路12の圧力が一定になるようにポンプ13が動作することが好ましい。
このようにすることで、取水口40から飲料水が排出される流量が一定となりやすく、制御部50が取水検知手段である取水センサ42あるいは取水ボタン41が動作した時間を計測することで容易に飲料水の流出量をも検知できるためである。
【0025】
制御部50は、複数配置されている上流側流速センサ24aと下流側流速センサ24bとから得られた流速を基に、第1フィルター21、第2フィルター22、第3フィルター23のそれぞれの消耗度を算出するための消耗度算出部51と、ウォーターサーバー10内部の各種センサに取り付けられてウォーターサーバー10の故障を検知するための故障検知部52と、を有している。
消耗度算出部51は本実施形態では上流側流速センサ24aと下流側流速センサ24bと接続されており、かかる流速センサによって得られた流速差から、フィルターの消耗度を推定することができる。
【0026】
さて、これらのウォーターサーバー10の各構成を、スマートフォン2を用いて操作するためのアプリケーションソフトウェアの画面構成例を図4に示す。
図4は、スマートフォン2を用いて外部サーバー3に接続し、既に登録されているウォーターサーバー10の状態を確認する際に表示される画面の例を示している。
なお、以降の説明においては、制御部50がウォーターサーバー10における各種データを外部サーバー3に送信し、外部サーバー3上のデータをスマートフォン2が参照する形式で説明するが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばスマートフォン2に直接かかるデータを送信したとしても同様のことを行うことができる。
また、例えばネットワーク9に接続されたスマートフォン2以外の端末を用いて外部サーバー3に接続した場合であっても、Web上から操作可能なWebアプリあるいはブラウザのGUIを操作することで同様のデータを確認することが可能である。このように、図4以降で示すような画面構成及び操作方法は、スマートフォン2にインストールされたアプリケーションソフトウェアでの動作に限定されるものではない。
【0027】
スマートフォン2でウォーターサーバー10のデータの確認を行う際は、まずユーザーIDやパスワード等によってログインを行う。
スマートフォン2で外部サーバー3に接続を行うと、図4に示すように、スマートフォン2によってアカウントに登録されているウォーターサーバー10の登録名や利用者Pの名前が表示されるとともに、お知らせや見守り通知機能等の各種通知事項を表示するための通知表示部71と、ウォーターサーバー10の当月分の消費量を横軸日付、縦軸取水量で示した利用データ等が表示されるデータ表示部72と、各種データの確認画面に移動するための操作ボタン73と、が表示される。
なお、データ表示部72には、月の消費量を例として示しているが、かかるデータに限定されるものではなく、任意のデータの表示として良い。
【0028】
通知表示部71には、後述するように第1フィルター21、第2フィルター22、第3フィルター23の何れかが交換時期となったときに、利用者Pに報知するための通知を表示する部分である。また、かかる通知以外にも、例えばウォーターサーバー10の他の部分の故障等が制御部50から伝えられた場合には、これを表示するとしても良い。
【0029】
操作ボタン73は、スマートフォン2の画面表示を切り替えるためのユーザーインターフェースである。例えば、『状態』と記載された操作ボタン73aを押下すると、図5に示すように、対応するウォーターサーバー10の状態が、本体の写真とともに表示される。
具体的には、ウォーターサーバー10の動作が正常に行われている場合には図5(a)のように正常である旨の表示がなされ、異常が発生している場合には、図5(b)のように異常が生じている旨とともに、制御部50によってどの部分のセンサが反応したことで異常を検知したかが異常検知マーク74とともに表示される。
こうした「状態」確認画面で挙げられる異常とは具体的には、流水センサ15が水の流れを検知できないときには、ウォーターサーバー10の画像上において原水タンク11の付近に「タンクの設置不良」と表示されたり、あるいはリークバルブ16が水漏れを検知した場合には当該リークバルブ16の位置の付近に「水漏れ発生」と表示されたり、浄水部20のフィルターの装着がなされていないときに「フィルターセット不良」と表示されたり等を示している。
利用者Pは、携帯端末の画面上でこれらの制御部50が検知した故障状態を確認することが可能であり、制御部50は、各種センサを用いてウォーターサーバー10における故障の有無を検知する故障検知手段としての機能を有している。
【0030】
また、異常検知マーク74に触れることで、図5(b)において吹き出しとして表示したように、検知された障害の内容を確認することもできる。実際の画面においては、これらの吹き出しはスマートフォン2の画面内に位置するように適宜位置が整えられて表示される。
このように、異常検知マーク74あるいは通知表示部71は、ウォーターサーバー10と通信を介して接続された端末に対して故障を通知する通知手段として機能している。
【0031】
また、図4の画面において『フィルタ』と記載された操作ボタン73bを押下すると、図6に示すように、対応するウォーターサーバー10に装着された第1フィルター21、第2フィルター22、第3フィルター23が、それぞれのフィルターの写真75と、消耗度表示部76とともに表示される。
このように、図6において、第1フィルター21、第2フィルター22、第3フィルター23のそれぞれについて消耗度が表示されるので、利用者Pは、交換が必要なフィルターを一目で確認できる。
なお、かかる消耗度が所定の値(例えば80%)以上になった場合には、通知表示部71にフィルターを交換するべき旨の表示がなされる。
このように、消耗度表示部76及び通知表示部71は、ウォーターサーバー10と通信を介して接続された端末に対してフィルターの交換を通知する通知手段として機能する。
【0032】
かかる画面に表示される消耗度について説明する。
消耗度は、制御部50によって算出された、各フィルターの目詰まりの程度を表す指標である。消耗度表示部76は、図6においては円環グラフによって1周を交換目安となる消耗度としたときに現在のフィルターの消耗状態がどれだけであるかを視覚的にわかりやすく表示するとともに、円環グラフの中心部には数字で消耗度が表示される。
これらの消耗度は、各フィルターに取り付けられている上流側流速センサ24aと、下流側流速センサ24bとの間で生じる流速差を測定することで得られる。
【0033】
例えば、第1フィルター21において、製品出荷時における上流側流速センサ24aと、下流側流速センサ24bとの間の流速差を出荷時流速差として制御部50に記憶する。
出荷時流速差は、第1フィルター21の目詰まりが生じていないときのデータであるから、消耗度は0である。
また、交換目安として、濾過した水量が第1フィルター21の品質を保てる限界となるまで使用したときの流速差を、予め制御部50に登録しておく。
このとき、第1フィルター21のフィルター部分には、濾過によって濾しとられた不要物が残ることで目詰まりを生じているため、上流側から流す流速が一定であっても、フィルター下流側に配置された下流側流速センサ24bでは、流速が落ちてしまう。
このように目詰まりがひどくなればなるほど流速差は開くので、上記のように最大限まで使用した後の第1フィルター21においても流速差は大きくなる。
制御部50は、交換限界における流速差を100として、出荷時流速差を0としたときに、現在のウォーターサーバー10における上流側流速センサ24aと下流側流速センサ24bとで測定されている流速差がどの水準にあるのかを、百分率で算出する。
このように、制御部50はフィルターの消耗度を検知するためのフィルター消費検知手段として機能する。
【0034】
このように消耗度を流速から測定する利点について説明する。
一般的なフィルターは、所定の圧力で原水を濾過したときに、所定の流量が取れなくなるまで、あるいは所定の圧力損失が生じるまでの時間を使用限界として品質が定められている。
従来のウォーターサーバーであれば、通過する原水の品質は提供者が予め把握できているので、取水量から消耗度の推定が容易であった。
【0035】
しかしながら、本発明では原水の調達は利用者Pによってなされるので、原水は硬水・軟水を問わない市販のミネラルウォーターであったり、水道水であったりする。
特に水道水の品質は、各水道局の水源の他、水道管の品質なども影響するため各家庭でまちまちであり、取水量からの推定では誤差が大きくなる懸念があった。
さらに、本実施形態のように3つのフィルターを併用している場合には、これらの水質によってどのフィルターの消耗が早いかが変わってくることも知られていた。
【0036】
そこで本発明では、制御部50は、上流側流速センサ24aと下流側流速センサ24bとを用いて、フィルターの目詰まりの度合いを流速として検知することで、フィルターの消耗度を検知する。
また、制御部50は、このような消耗度を外部サーバー3に記憶する。スマートフォン2の画面では、かかる外部サーバー3に記憶された消耗度を消耗度表示部76に表示する。
かかる構成によれば、利用者Pの所持する端末からフィルターの消耗度合いを容易に確認できる。さらに、複数のフィルターを使用していても必要な時に必要な部位のフィルターを交換できるため、低コスト化にも寄与する。
【0037】
利用者Pは、かかる消耗度表示部76を見て、例えば第1フィルター21の消耗度が高い場合には、第1フィルター21の写真75を選択することでECサイトから第1フィルター21を購入可能なように設計しても良い。
また、任意のフィルター例えば第1フィルター21の消耗度が予め定められた所定値(80%)を超えたときに、ウォーターサーバー10の顧客情報を記載したメールをウォーターサーバー10のメーカーや販売店等に自動送信して、フィルターの交換を促進する仕組みを設けても良い。
本実施形態では、第1フィルター21についてのみ述べているが、かかるフィルターはウォーターサーバー10のどのフィルターであっても同様である。
【0038】
利用者Pが第1フィルター21を交換すると、制御部50は再度、上流側流速センサ24aと下流側流速センサ24bとの流速差を測定するとともに、第1フィルター21の消耗度を算出する。
第1フィルター21を交換したときには、目詰まりが一気に解消されるために、消耗度が瞬間的に大きく下がることとなる。
制御部50は、こうした消耗度の低下や不図示のメンテナンス用のドアの開閉によって第1フィルター21を含むフィルターの交換を検知したときには、外部サーバー3に当該フィルターが交換された旨を通知する。外部サーバー3は、かかる通知を受けると、交換されたと思われる時間を同データベース上に記録する。
かかる交換までの使用時間数のデータは、ウォーターサーバー10を構成する第1フィルター21~第3フィルター23の全フィルターについても同様に蓄積される。
【0039】
本実施形態では、フィルター消費検知手段は、上流側流速センサ24aと下流側流速センサ24bとの間の流速差を基にフィルターの消耗度を算出したが、かかる構成に限定されるものではない。例えば流速以外を用いる方法として、フィルターの重量の変化や、上流と下流との圧力差、あるいは光の透過具合など、様々な方法でフィルターの消耗度を算出しても構わない。
【0040】
しかしながら、既に述べたように、本発明は、フィルター自身の消耗の速度が、ウォーターサーバー10の設置環境によって大きく異なるために生じたものであるので、かかるフィルター消費検知手段は、通過した水量等のデータではなく、フィルターの目詰まりの多寡によって直接的に影響される方法で測定することが好ましい。
【0041】
本発明の他の実施例について説明する。
外部サーバー3には、既に述べたように、消耗度表示部76において表示されていたような消耗度の変化が記録されている。
また外部サーバー3は、あるフィルターが交換されてから、フィルター消費検知手段が再度交換を通知するまでの間隔を記録している。
【0042】
この消耗度の変化及びフィルターの交換間隔からは、原水中に含まれる微粒子の粒度や濃度を推定するためのデータとして用いることも可能である。具体的には、粒径0.5μmのフィルターの消耗度の増加が有意に早く進行する場合には、0.5μm以上のサイズの微粒子が多く存在すると推定される。
このように本実施形態では、外部サーバー3が、あるフィルターが交換されてから、フィルター消費検知手段が再度交換を通知するまでの間隔を記録し、かかる間隔の記録を用いることで、原水タンク11から供給された水の水質を推定する。
かかる構成によれば、管理システム1は、外部サーバー3のデータを用いて、原水の水質を推定することができるから、利用者Pのウォーターサーバー10の使用状況に合わせて、適切なフィルター構成の提案や、交換タイミングの事前通知などを行っても良い。
このように、本実施形態における管理システム1は、フィルターの交換間隔から水質を推定する水質推定手段を有している。
【0043】
ところで、外部サーバー3は、利用者P以外の複数の利用者が利用するウォーターサーバー10についても同様に管理している。
またさらに、利用者Pを含めて、ウォーターサーバー10の設置場所の住所情報も登録されている。
従って、原水タンク11に供給される原水が水道水であったとすれば、外部サーバー3は、これらの設置位置情報と、水質推定手段によって推定された水質情報と、を用いることによって、地図上における水道水の水質マップを形成できることとなる。
水質マップは、例えば公共の水道局等に提供することによって、水道管の老朽化の検知や、水質悪化の防止に寄与することが可能となる。
【0044】
このように、管理システム1は、ウォーターサーバー10から取得される水質のデータを、ネットワーク9を介して複数の利用者からのデータを統合することで、情報連携することもできる。
このような構成とすれば、利用者にとってフィルターの消費量等の低減を見込める他、公共機関によるインフラ整備にも寄与できる。
【0045】
<1>
本発明は、外部取水口14から原水タンク11に水を取り込んで濾過手段20によって濾過することで、取水口41から飲料水として供給可能にするウォーターサーバー10の管理システム1であって、ウォーターサーバー10は、原水タンク11から供給された水を所定の温度に加熱もしくは冷却する温度調整部30と、原水タンク11と温度調整部30との経路上にあって水の不純物を濾しとる1つ以上のフィルターを含む濾過手段20と、フィルターの消耗度を算出するためのフィルター消費検知手段と、を備えている。
管理システム1は、フィルターの消耗度が所定値以上に増大したと判断したときに、ウォーターサーバー10と通信を介して接続された端末に対してフィルターの交換を通知する通知手段を有している。
かかる構成によれば、フィルターの最適な交換時期を利用者に対して知らせることが可能である。
【0046】
<2>
本発明では、<1>で述べたウォーターサーバー10の管理システム1の構成に加えて、フィルター消費検知手段は、流水経路12におけるフィルターの上流側と、下流側と、の双方に配置された2つの流速センサを備えている。
かかる構成によれば、フィルターの上流側と下流側とで生じる流速差から、フィルターの目詰まりの程度を推定できるので、通過した水量から推定するよりも精度よくフィルターの消耗度を算出できる。
【0047】
<3>
本発明では、<1>または<2>で述べたウォーターサーバー10の管理システム1の構成に加えて、フィルター消費検知手段は、2つの前記流速センサ間で測定された流速差を基に前記フィルターの消耗度を算出する。
かかる構成によれば、フィルターの上流側と下流側とで生じる流速差から、フィルターの目詰まりの程度を推定できるので、通過した水量から推定するよりも精度よくフィルターの消耗度を算出できる。
【0048】
<4>
本発明では、<1>乃至<3>の何れか1つで述べたウォーターサーバー10の管理システム1の構成に加えて、フィルターが交換されてから、フィルター消費検知手段が再度交換を通知するまでの間隔を記録することで原水タンク11から供給された水の水質を推定することを特徴とする。
かかる構成によれば、浄水型のウォーターサーバーにおいて課題となっていた、原水の水質が不明な場合においても、フィルターの消耗度を算出することによって水質を推定して、適切なタイミングでのフィルター交換を促進することができる。
【0049】
<5>
本発明では、<1>乃至<4>の何れか1つで述べたウォーターサーバー10の管理システム1の構成に加えて、ウォーターサーバー10から取得される水質のデータを、ネットワークを介して情報連携することを特徴とする。
かかる構成によれば、利用者にとってフィルターの消費量等の低減を見込める他、公共機関によるインフラ整備にも寄与できる。
【0050】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態では、管理システム1の各種計算機能は、外部サーバー3上で動作する構成を主として示したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば管理システム1を構成する任意の端末がこれらの機能を有するとしても良い。
【0052】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 管理システム
2 スマートフォン(携帯端末)
3 外部サーバー
10 ウォーターサーバー
11 原水タンク(タンク)
12 流水経路
14 外部取水口
20 浄水部(濾過手段)
21 第1フィルター(濾過手段)
22 第2フィルター(濾過手段)
23 第3フィルター(濾過手段)
30 温度調整部
40 取水口
41 取水ボタン(取水検知手段)
42 取水センサ(取水検知手段)
50 制御部
71 通知表示部
72 データ表示部
73 操作ボタン
74 異常検知マーク
75 写真
76 消耗度表示部
P 利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6