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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066686
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】エクササイズ用シューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 3/12 20060101AFI20240509BHJP
   A43B 5/00 20220101ALI20240509BHJP
【FI】
A43B3/12 C
A43B3/12 F
A43B5/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176257
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】519018004
【氏名又は名称】株式会社LAVA International
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】知念 由純
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA11
4F050BA05
4F050BD02
4F050BD07
(57)【要約】
【課題】ボクシングのトレーニングを模したエクササイズに用いて好適なエクササイズ用シューズを提供すること。
【解決手段】足の裏部分を覆うソールシート(10)と、足の甲側部分を覆うアッパーシート(30)とを縫合してなるエクササイズ用シューズ(1)であって、ソールシート(10)における足裏部分にシリコン製の滑り止め部(27)が設けられており、当該滑り止め部(27)は、いずれも円形に形成された複数の大パターン(27A)と複数の小パターン(27B)とを備えて構成されており、大パターン(27A)は、親指の中心部に対応する位置と母指球及び小指球に対応する位置とに少なくとも配置されており、小パターン(27B)は、大パターン(27A)の周囲に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の裏部分を覆うソールシートと、足の甲側部分を覆うアッパーシートとを縫合してなるエクササイズ用シューズであって、
前記ソールシートにおける足裏部分にシリコン製の滑り止め部が設けられており、当該滑り止め部は、いずれも円形に形成された複数の大パターンと複数の小パターンとを備えて構成されており、
前記滑り止め部の前記大パターンは、親指の中心部に対応する位置と母指球及び小指球に対応する位置とに少なくとも配置されており、前記小パターンは、前記大パターンの周囲に配置されている
ことを特徴とするエクササイズ用シューズ。
【請求項2】
前記ソールシートの下面における踵部分と母指球及び小指球の部分とにクッション材が設けられており、
前記クッション材は、前記ソールシートとその下面側に縫合した底面布との間に挟まれて配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエクササイズ用シューズ。
【請求項3】
前記滑り止め部は、前記底面布の下面側に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエクササイズ用シューズ。
【請求項4】
前記アッパーシートと前記ソールシートの間には、親指を収容する親指収容部と、前記アッパーシートと前記ソールシートの間から親指以外の他の指を露出させる前方開口部とが設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエクササイズ用シューズ。
【請求項5】
足の後部における足首の周囲を止める左右一対の後部止めバンドが設けられており、
一方の後部止めバンドの裏面における先端側の一部には、一対の面ファスナーの一方を構成するオス布が設けられており、他方の後部止めバンドの表面の全体には、一対の面ファスナーの他方を構成するメス布が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエクササイズ用シューズ。
【請求項6】
足の前部を止める左右一対の前部止めバンドが設けられており、
一方の前部止めバンドの裏面における先端側の一部には、一対の面ファスナーの一方を構成するオス布が設けられており、他方の前部止めバンドの表面の全体には、一対の面ファスナーの他方を構成するメス布が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエクササイズ用シューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エクササイズ用シューズに関する。
【背景技術】
【0002】
健康(フィットネス)や筋力・メンタル・心肺の増強等が達成されるエクササイズ(運動)が行えるスポーツジム等の施設が普及している。このようなスポーツジム等の施設では、運動者(参加者)がスタジオなどで音楽やリズムに合わせて体を動かすレッスン(スタジオレッスン)が行われている。
【0003】
そして、このようなスタジオレッスンでは、ボクシングのトレーニングを模した内容のエクササイズを取り入れたプログラムが行われている。この種のプログラムでは、ボクシング用のグローブを手に装着し、音楽やリズムに合わせて一定の時間サンドバッグを手で打ったり足でキックするエクササイズが行われる。この種のエクササイズは、スポーツジムのエクササイズルーム(スタジオ)内で行われるが、サンドバッグを手で打撃する際に踏み込む前足やサンドバックをキックする際の軸足を床面に対して確実にグリップできるようにすることが必要である。そのため、市販のトレーニング用のシューズではなく、この種のエクササイズに適した専用のシューズを用いることが望ましい。このような専用のシューズは、エクササイズの際に軽快な動作を可能とするため、軽くて履き心地が良いものであることが必要である。その一方で、サンドバッグを打撃する際に踏み込む前足やキックする際の軸足がスタジオの床面に対して滑り難く、かつ確実なグリップが得られるものであることも必要である。また、エクササイズを行う度に繰り返し使用するものであるため、縫合部などが容易に解けたり生地に破れや擦れによる摩耗が容易に生じないよう丈夫なものであることも必要である。
【0004】
しかしながら、従来、上記のようなボクシングのトレーニングを模したエクササイズにおける種々の要求を満たすことができる専用のシューズは無かった。なお、従来技術として、例えば特許文献1に示すようなボクシングシューズがあるが、本願発明は、競技としてのボクシングに用いるシューズではなく、ボクシングのトレーニングを模したエクササイズ(フィットネス)に用いるためのシューズの発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3217712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、特にボクシングのトレーニングを模したエクササイズに用いて好適なエクササイズ用シューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかるエクササイズ用シューズは、足の裏部分を覆うソールシート(10)と、足の甲側部分を覆うアッパーシート(30)とを縫合してなるエクササイズ用シューズ(1)であって、前記ソールシート(10)における足裏部分にシリコン製の滑り止め部(27)が設けられており、当該滑り止め部(27)は、いずれも円形に形成された複数の大パターン(27A)と複数の小パターン(27B)とを備えて構成されており、前記滑り止め部(27)の前記大パターン(27A)は、親指の中心部に対応する位置と母指球及び小指球に対応する位置とに少なくとも配置されており、前記小パターン(27B)は、前記大パターン(27A)の周囲に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるエクササイズ用シューズによれば、ソールシートにおける足裏部分にシリコン製の滑り止め部が設けられており、当該滑り止め部は、いずれも円形に形成された複数の大パターンと複数の小パターンとを備えて構成されており、滑り止め部の大パターンは、親指の中心部に対応する位置と母指球及び小指球に対応する位置とに少なくとも配置されており、小パターンは、大パターンの周囲に配置されているので、これら滑り止め部の大パターンと小パターンとによって、エクササイズルーム(スタジオ)の床面に対する足裏の高い滑り止め効果が得られる。特に滑り止め部の大パターンを親指の中心部に対応する位置と母指球及び小指球に対応する位置とに配置したことによって、サンドバッグの打撃に伴う踏み込みの際の前足やキックの際の軸足の確実なグリップが可能となる。
【0009】
また、このエクササイズ用シューズでは、前記ソールシート(10)の下面における踵部分と母指球及び小指球の部分とにクッション材(22)が設けられており、前記クッション材(22)は、前記ソールシート(10)とその下面側に縫合した底面布(23)との間に挟まれて配置されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、ソールシートの下面における踵部分と母指球及び小指球の部分とにクッション材が設けられていることで、エクササイズルームの床面に対する高いクッション性能を発揮することができる。したがって、運動を行う者の激しい動きに対して、足や身体を効果的に保護する効果を得ることができる。
【0011】
また、このエクササイズ用シューズでは、前記滑り止め部(27)は、前記底面布(23)の下面側に設けられていてもよい。
【0012】
この構成によれば、滑り止め部は、前記底面布の下面側に設けられていることで、足裏の確実な滑り止め効果を奏することができる。
【0013】
また、このエクササイズ用シューズでは、前記アッパーシート(30)と前記ソールシート(10)の間には、親指を収容する親指収容部(85)と、前記アッパーシート(30)と前記ソールシート(10)の間から親指以外の他の指を露出させる前方開口部(86)とが設けられていてもよい。
【0014】
この構成によれば、アッパーシートとソールシートの間には、親指を収容する親指収容部と、アッパーシートとソールシートの間から親指以外の他の指を露出させる前方開口部とが設けられていることで、足の親指は、親指収容部に収容されて、親指の中心(指の腹)の下部にある滑り止め部で親指のグリップが確保される。一方、親指以外の他の指は前方開口部から露出しており、他の指の中心(指の腹)はスタジオの床面に直接接触するので、他の指でも床面を直接グリップすることができる。
【0015】
また、このエクササイズ用シューズでは、足の後部における足首の周囲を止める左右一対の後部止めバンド(51,55)が設けられており、一方の後部止めバンド(55)の裏面における先端側の一部には、一対の面ファスナーの一方を構成するオス布(59)が設けられており、他方の後部止めバンド(51)の表面の全体には、一対の面ファスナーの他方を構成するメス布(54)が設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、一方の後部止めバンドの面ファスナーのオス布を他方の後部止めバンドの面ファスナーのメス布の任意の箇所に圧着させてこれら一方の後部止めバンドと他方の後部止めバンドを止めることができる。したがって、一対の後部止めバンドで足首の周囲にシューズを簡単かつ確実に固定することができる。
【0017】
また、このエクササイズ用シューズでは、足の前部を止める左右一対の前部止めバンド(71,75)が設けられており、一方の前部止めバンド(75)の裏面における先端側の一部には、一対の面ファスナーの一方を構成するオス布(79)が設けられており、他方の前部止めバンド(71)の表面の全体には、一対の面ファスナーの他方を構成するメス布(74)が設けられていてもよい。
【0018】
この構成によれば、一方の前部止めバンドの面ファスナーのオス布を他方の前部止めバンドの面ファスナーのメス布の任意の個所に圧着させてこれら一方の前部止めバンドと他方の前部止めバンドを止めることができる。したがって、一対の前部止めバンドで足の前側の部分にシューズを簡単かつ確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態にかかるエクササイズ用シューズの全体構成を示す斜視図である。
図2】エクササイズ用シューズの底面図である。
図3】(a)は図2のA-A矢視断面を示す図、(b)~(e)はそれぞれ図1のB-B、C-C、D-D、E-E矢視断面を示す図である。
図4】エクササイズ用シューズを足に履いた状態を前方から見た図である。
図5】エクササイズ用シューズを足に履いた状態を左側方から見た図である。
図6】エクササイズ用シューズを足に履いた状態を右側方から見た図である。
図7】エクササイズ用シューズを足に履いた状態を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態にかかるエクササイズ用シューズの全体構成を示す斜視図である。また、図2は、エクササイズ用シューズの底面図、図3(a)は図2のA-A矢視断面を示す図、図3(b)~(e)はそれぞれ図1のB-B、C-C、D-D、E-E矢視断面を示す図である。また、図4図7はエクササイズ用シューズを足に履いた状態を示す図で、図4は前方から見た図、図5は、左側方から見た図、図6は右側方から見た図、図7は後方から見た図である。これらの図に示すエクササイズ用シューズ(以下、単に「シューズ」という。)1は、複数のシートを縫合して足首よりも下側の部分を覆う履物として構成したものである。複数のシートは、足裏部分を覆うソールシート10と、足の甲側を覆うアッパーシート30と、足の後側の部分を止める左右一対の後部止めバンド50(51,55)と、足の前側(つま先側)の部分を止める左右一対の前側止めバンド70(71,75)とを備えている。
【0022】
各シートは、複数枚の布地を重ね合わせた積層構造になっている。まず、ソールシート10における前クッション部21と後クッション部25を除く部分は、図3に示すように、上側表面の薄い布地である表面布11と、中間に挟まれたクッション性を有する第一クッション材12と、下側表面の薄い布地である裏面布13の三層構造である。第一クッション材12は所定の厚みを有するクッション性を有するシート材である。第一クッション材12の表面と裏面にそれぞれ表面布11と裏面布13が接着で一体に接合されて一枚のシート(ソールシート10)を構成している。さらにソールシート10はその外周の縫合線16(図1参照)に沿って縫合されており、表面布11と裏面布13が容易に剥がれないようになっている。
【0023】
また、ソールシート10における前クッション部21と後クッション部25は、六層構造である。前クッション部21と後クッション部25とには、第一クッション材12よりも厚みのある第二クッション材22が設けられている。詳細には、第一クッション材12の下面側に第二クッション材22が配置されて、その下側には前クッション部21と後クッション部25の底面を構成する底面布23が配置されている。底面布23の周囲がソールシート10に対して縫合されていることで、第一クッション材12と底面布23との間に第二クッション材22が介在した状態となっている。
【0024】
さらに、前クッション部21と後クッション部25の下面、すなわち底面布23の下面には、シリコン製の滑り止め部27が設けられている。図2及び図3に示すように、滑り止め部27は、底面布23の下面から若干盛り上がるように塗布形成されたシリコン製の部分である。また、図2に示すように、滑り止め部27は、複数の大寸法の円形の部分である大径部(大パターン)27Aと、複数の小寸法の円形の部分である小径部(小パターン)27Bとを有している。大径部27Aは、後クッション部25における踵の中心部と、前クッション部21における親指の中心部と、母指球及び小指球の中心部とに対応する位置にそれぞれ設けられている。また、小径部27Bは、大径部27Aの周囲に一定間隔で多数個が配列されている。これら滑り止め部27によって、エクササイズルーム(スタジオ)の床面に対する足裏の滑り止め効果が得られる。したがって、サンドバッグの打撃に伴う踏み込みの際の前足やキックの際の軸足の確実なグリップが可能となる。
【0025】
次に、アッパーシート30は、図3(a)に示すように、ソールシート10と同様、上側表面の薄い布地である表面布31と、中間に挟まれたクッション性を有する第三クッション材32と、下側表面の薄い布地である裏面布33の三層構造である。第三クッション材32は、第一クッション材12と同じ材質の所定の厚みを有するシート材であるが、その厚み寸法が第一クッション材12よりも若干薄く構成されている。この第三クッション材32の表面と裏面にそれぞれ表面布31と裏面布33が接着で一体に接合されて一枚のシート(アッパーシート30)を構成しているが、既述のように第三クッション材32が第一クッション材12よりも薄いため、アッパーシート30は、その分、ソールシート10よりも厚さが薄くなっている。さらにアッパーシート30もその外周の縫合線36(図1参照)に沿って縫合されており、表面布31と裏面布33が容易に剥がれないようになっている。
【0026】
左右一対の後部止めバンド50は、左後部止めバンド51と右後部止めバンド55とを備える。左後部止めバンド51と右後部止めバンド55は、いずれも帯状の部材で、それらの根元側の一部がアッパーシート30の踵部分及び足首部分の周囲に縫合されている。図7に示すように、左後部止めバンド51と右後部止めバンド55は、後方から見て互いが踵の左右間の中央で縦方向に縫い合わせられている。そして、右後部止めバンド55は、図3(c)に示すように、アッパーシート30と同様に表面布56、第三クッション材57、裏面布58の三層構造である。そして、右後部止めバンド55の内面(裏面)の先端側の部分には、面ファスナーを構成する一対の部材のうちの一方の部材であるオス布59が縫合されている。一方、左後部止めバンド51は、図3(b)に示すように、上側表面に配置した面ファスナーの他方の部材であるメス布54と、中間の第三クッション材52と、下側表面の裏面布53の三層構造である。すなわち、左後部止めバンド51は、その上側表面の全体が面ファスナーのオス布59を圧着させることが可能なメス布54となっている。これにより、右後部止めバンド55のオス布59を左後部止めバンド51のメス布54の任意の個所に圧着させてこれら右後部止めバンド55と左後部止めバンド51を止めることができる。したがって、右後部止めバンド55と左後部止めバンド51とで足首の周囲にシューズ1を固定することができる。
【0027】
また、左前部止めバンド71と右前部止めバンド75は、帯状の部材で、それぞれの根元側の一部がアッパーシート30の親指の付け根部分と小指と踵の間の部分とに縫合されている。そして、右前部止めバンド75は、図3(e)に示すように、アッパーシート30と同様に表面布76、第三クッション材77、裏面布78の三層構造である。そして、右前部止めバンド75の内面の先端側の部分には、面ファスナーを構成する一対の部材(シート)のうちの一方の部材であるオス布79が縫合されている。一方、左前部止めバンド71は、図3(d)に示すように、上側表面に配置した面ファスナーの他方の部材であるメス布74と、中間の第三クッション材72と、下側表面の裏面布73の三層構造である。すなわち、左前部止めバンド71は、その上側表面の全体が面ファスナーのオス布79を圧着させることが可能なメス布74となっている。これにより、右前部止めバンド75のオス布79を左前部止めバンド71のメス布74の任意の個所に圧着させてこれら右前部止めバンド75と左前部止めバンド71を止めることができる。したがって、右前部止めバンド75と左前部止めバンド71とで足の指の付け根部分の周囲にシューズ1を固定することができる。
【0028】
アッパーシート30は、足の指部を除く足首から下の部分の略全体(甲側の略全体)を覆う本体部34と、足指における親指部分のみを覆う親指部35とを一体に備えた形状に形成されている。本体部34には、足首及び足の甲側の一部を露出させるための開口部34aが設けられている。アッパーシート30の親指部35は、平らな一枚のシートの先端側の一部に直線状の切り込みを形成し、その部分を縫い合わせた縫合部35aとすることで親指を収容するための立体的な形状を形成している。これにより、ソールシート10とアッパーシート30の隙間に形成された親指収容部85に親指を収容可能なスペースを形成し、親指を圧迫感なく収容できるようにしている。
【0029】
また、ソールシート10も同様に、足の指部を除く足裏の略全体を覆う本体部14と、足指における親指部分の下側を覆う親指部15とを一体に備えた形状に形成されている。そして、これらアッパーシート30とソールシート10は、それらの外周部分の縫合部81を互いに縫合することで、足を収容する袋状の本体収容部84を形成している。
【0030】
アッパーシート30とソールシート10の縫合部81は、特殊な縫製方法が用いられている(ビニール縫製)。これにより、アッパーシート30とソールシート10の縫合部81が解れることを防止できる。したがって、エクササイズにおける激しい動作によってシューズ1に傷みが生じることを軽減できる。
【0031】
図4及び図5に示すように、足の親指は、親指収容部85に収容される。したがって、親指の中心(指の腹)の下部にある滑り止め部27(大径部27A)で親指のグリップが確保される。一方、親指以外の他の指は前方開口部86から露出しており、他の指の中心(指の腹)はスタジオの床面に直接接触するので、他の指でも床面を直接グリップすることができる。
【0032】
前クッション部21と後クッション部25には第一クッション材12よりも厚みのある第二クッション材22が設けられているので、高いクッション性を発揮することができる。これにより、エクササイズ時に床面から踵や足裏にかかる衝撃を効果的に緩和することができる。
【0033】
上記構成のシューズ1を履くには、アッパーシート30の開口部34aからアッパーシート30とソールシート10の間の本体収容部84に足の全体を挿入し、さらに親指を親指収容部85に入れ、親指を除く他の指を前方開口部86から露出させる。その状態で、左後部止めバンド51と右後部止めバンド55とを止めることで足首部分を止め、左前部止めバンド71と右前部止めバンド75とを止めることで足の甲部分を止める。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のシューズ1は、足の裏部分を覆うソールシート10と、足の甲側部分を覆うアッパーシート30とを縫合してなるエクササイズ用シューズであって、ソールシート10における足裏部分にシリコン製の滑り止め部27が設けられており、当該滑り止め部27は、いずれも円形に形成された複数の大径部(大パターン)27Aと複数の小径部(小パターン)27Bとを備えて構成されており、滑り止め部27の大径部27Aは、親指の中心部に対応する位置と母指球及び小指球に対応する位置とに少なくとも配置されており、小径部27Bは、大径部27Aの周囲に配置されている。
【0035】
本実施形態のシューズ1によれば、これら滑り止め部27の大径部27Aと小径部27Bとによって、エクササイズルーム(スタジオ)の床面に対する足裏の高い滑り止め効果が得られる。特に滑り止め部27の大径部27Aを親指の中心部に対応する位置と母指球及び小指球に対応する位置とに配置したことによって、サンドバッグの打撃に伴う踏み込みの際の前足やキックの際の軸足の確実なグリップが可能となる。
【0036】
また、本実施形態のシューズ1では、ソールシート10の下面における踵部分と母指球及び小指球の部分とに第二クッション材22が設けられており、第二クッション材22は、ソールシート10とその下面側に縫合した底面布23との間に挟まれて配置されている。
【0037】
この構成によって、エクササイズルームの床面に対する高いクッション性能を発揮することができる。したがって、運動を行う者の激しい動きに対して、足や身体を効果的に保護する効果を得ることができる。
【0038】
また、本実施形態のシューズ1では、滑り止め部27は、底面布23の下面側に設けられている。この構成によって、足裏の確実な滑り止め効果を奏することができる。
【0039】
また、本実施形態のシューズ1では、アッパーシート30とソールシート10の間には、親指を収容する親指収容部85と、アッパーシート30とソールシート10の間から親指以外の他の指を露出させる前方開口部86とが設けられている。
【0040】
この構成によれば、足の親指は、親指収容部に収容されて、親指の中心(指の腹)の下部にある滑り止め部で親指のグリップが確保される。一方、親指以外の他の指は前方開口部86から露出しており、他の指の中心(指の腹)はスタジオの床面に直接接触するので、他の指でも床面を直接グリップすることができる。
【0041】
また、本実施形態のシューズ1では、足の後部における足首の周囲を止める左右一対の後部止めバンド50(51,55)が設けられており、一方の後部止めバンド55の裏面における先端側の一部には、一対の面ファスナーの一方を構成するオス布59が設けられており、他方の後部止めバンド51の表面の全体には、一対の面ファスナーの他方を構成するメス布54が設けられている。
【0042】
この構成によれば、一方の後部止めバンド55のオス布59を他方の後部止めバンド51の面ファスナーのメス布54の任意の個所に圧着させてこれら一対の後部止めバンド51,55を止めることができる。したがって、一対の後部止めバンド51,55で足首の周囲にシューズ1を簡単かつ確実に固定することができる。
【0043】
また、本実施形態のシューズ1では、足の前部を止める左右一対の前部止めバンド70(71,75)が設けられており、一方の前部止めバンド75の裏面における先端側の一部には、一対の面ファスナーの一方を構成するオス布79が設けられており、他方の前部止めバンド71の表面の全体には、一対の面ファスナーの他方を構成するメス布74が設けられている。
【0044】
この構成によれば、一方の前部止めバンド75のオス布79を他方の前部止めバンド71のメス布74の任意の個所に圧着させてこれら一対の前部止めバンド71,75を止めることができる。したがって、一対の前部止めバンド71,75で足の前側の部分にシューズ1を簡単かつ確実に固定することができる。
【0045】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 シューズ(エクササイズ用シューズ)
10 ソールシート
11 表面布
12 第一クッション材
13 裏面布
14 本体部
15 親指部
16 縫合線
21 前クッション部
22 第二クッション材
23 底面布
25 後クッション部
27 滑り止め部
27A 大径部(大パターン)
27B 小径部(小パターン)
30 アッパーシート
31 表面布
32 第三クッション材
33 裏面布
34 本体部
34a 開口部
35 親指部
35a 縫合部
50 後部止めバンド
51 左後部止めバンド
52 第三クッション材
53 裏面布
54 メス布
55 右後部止めバンド
56 表面布
57 第三クッション材
58 裏面布
59 オス布
70 前部止めバンド
71 左前部止めバンド
72 第三クッション材
73 裏面布
74 メス布
75 右前部止めバンド
76 表面布
77 第三クッション材
78 裏面布
79 オス布
81 縫合部
84 本体収容部
85 親指収容部
86 前方開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7