(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066689
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】昇降扉、およびヒュームフード
(51)【国際特許分類】
B01L 1/00 20060101AFI20240509BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B01L1/00 A
F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176265
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】森 大地
(72)【発明者】
【氏名】深井 正人
【テーマコード(参考)】
3L058
4G057
【Fターム(参考)】
3L058BF03
4G057AA02
(57)【要約】
【課題】使用者が垂直板の上側への移動が規制される垂直板の位置を容易に認識できる昇降扉、およびヒュームフードを提供する。
【解決手段】上下方向に延びるガイドレールと、ガイドレールの内部を上下方向にスライド移動可能であり、板面が上下方向と直交する第1方向を向く垂直板と、当接部を有し、垂直板の下端部を保持する接続部と、垂直板よりも第1方向の一方側の位置において、接続部を介して垂直板を吊り支持する吊架部材と、ガイドレールに支持されるストッパ部材と、を備える。上下方向および第1方向と直交する第2方向に見て、当接部は、垂直板の下端部と重なる。ストッパ部材は、当接部に対して上方から当接可能な位置、および当接部と当接しない位置との間で移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるガイドレールと、
前記ガイドレールの内部を上下方向にスライド移動可能であり、板面が上下方向と直交する第1方向を向く垂直板と、
当接部を有し、前記垂直板の下端部を保持する接続部と、
前記垂直板よりも前記第1方向の一方側の位置において、前記接続部を介して前記垂直板を吊り支持する吊架部材と、
前記ガイドレールに支持されるストッパ部材と、
を備え、
上下方向および前記第1方向と直交する第2方向に見て、前記当接部は、前記垂直板の下端部と重なり、
前記ストッパ部材は、前記当接部に対して上方から当接可能な位置、および前記当接部と当接しない位置との間で移動可能である、昇降扉。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、前記当接部と当接する被当接部を有し、且つ、前記被当接部よりも上側の位置で前記ガイドレールに回動可能に支持され、
前記ストッパ部材が回動することによって、前記ストッパ部材は、前記被当接部が前記当接部に対して上方から当接可能な位置、および前記被当接部が前記当接部と当接しない位置との間で移動可能である、請求項1に記載の昇降扉。
【請求項3】
前記垂直板の下端部には、前記垂直板よりも前記第1方向の他方側に突出する把持部材が設けられ、
前記第2方向に見て、前記把持部材は、前記当接部と重なる、請求項1または2に記載の昇降扉。
【請求項4】
前記垂直板の回動を抑制し、かつ、前記ガイドレールに沿って上下方向に移動可能なガイド部材を備える、請求項1または2に記載の昇降扉。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記接続部に回動可能に支持され、上下方向に並んで配置される複数のローラを含む、請求項4に記載の昇降扉。
【請求項6】
処理室の開口を開閉する請求項1に記載の昇降扉を有する、ヒュームフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降扉、およびヒュームフードに関する。
【背景技術】
【0002】
実験施設での理化学実験等で用いられるヒュームフードでは、筐体内の処理室内の空気を排気しつつ、前面に設けられた昇降扉(前面扉)の開口から処理室内に空気を給気し、この昇降扉の開口から使用者が処理室内に手を差し入れて実験を行う。係るヒュームフードでは、実験を行わない際に、処理室内の清掃および処理室内への実験機材等の搬入出等の作業性を良くするため、昇降扉の開口量を大きくすることが可能である。係るヒュームフードでは、昇降扉の開口が所定の開口量以上に開かれると、昇降扉の開口から処理室内に流れ込む給気量が排気装置の排気量を上回るため、処理室内の空気が使用者側に向かって流れ出す虞がある。これを防止するため、例えば特許文献1に記載のヒュームフードでは、昇降扉に設けられる当接部が、ストッパ部材に設けられた被当接部と当接することによって、昇降扉の開口が所定の開口量以上に開くことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたヒュームフードでは、昇降扉に設けられる当接部が垂直板(昇降ガラス板)の下端部よりも上側に配置されるため、垂直板を上側へ移動する際に、垂直板の下端部をストッパ部材が配置される高さまで移動させていないにも関わらず、垂直板の上側への移動が規制されていた。そのため、使用者は、垂直板の上側への移動が規制される際の垂直板の位置を認識しづらく、垂直板を上側に移動させる作業の簡易化を図ることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、使用者が垂直板の上側への移動が規制される際の垂直板の位置を容易に認識できる昇降扉、およびヒュームフードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係る昇降扉は、上下方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールの内部を上下方向にスライド移動可能であり、板面が上下方向と直交する第1方向を向く垂直板と、当接部を有し、前記垂直板の下端部を保持する接続部と、前記垂直板よりも前記第1方向の一方側の位置において、前記接続部を介して前記垂直板を吊り支持する吊架部材と、前記ガイドレールに支持されるストッパ部材と、を備え、上下方向および前記第1方向と直交する第2方向に見て、前記当接部は、前記垂直板の下端部と重なり、前記ストッパ部材は、前記当接部に対して上方から当接可能な位置、および前記当接部と当接しない位置との間で移動可能である。
【0007】
本態様によれば、使用者が垂直板を上側に移動させる場合において、ストッパ部材が当接部に対して上方から当接して、垂直板の上側への移動が規制される際の上下方向における垂直板の下端部の位置をストッパ部材の位置に近づけることができる。したがって、使用者が垂直板の上側への移動が規制される際の垂直板の位置を容易に認識できるため、垂直板を上側に移動させる作業の簡易化を図ることができる。
【0008】
(2)上記(1)の態様に係る昇降扉において、前記ストッパ部材は、前記当接部と当接する被当接部を有し、且つ、前記被当接部よりも上側の位置で前記ガイドレールに回動可能に支持され、前記ストッパ部材が回動することによって、前記ストッパ部材は、前記被当接部が前記当接部に対して上方から当接可能な位置、および前記被当接部が前記当接部と当接しない位置との間で移動可能であることが好ましい。
本態様によれば、ストッパ部材を回動させる簡易な操作によって、ストッパ部材による垂直板の上側への移動の規制および係る規制の解除を行うことができる。したがって、使用者が垂直板を上側に移動させる作業の簡易化を図ることができる。
【0009】
(3)上記(1)または(2)の態様に係る昇降扉において、前記垂直板の下端部には、前記垂直板よりも前記第1方向の他方側に突出する把持部材が設けられ、前記第2方向に見て、前記把持部材は、前記当接部と重なることが好ましい。
本態様によれば、使用者は、把持部材を把持して垂直板を上側に移動できるため、垂直板を上側に移動させる作業の簡易化を図ることができるとともに、垂直板の上側への移動が規制される際の上下方向における把持部材の位置をストッパ部材の位置に近づけることができる。したがって、使用者が垂直板の上側への移動が規制される際の垂直板の位置をより容易に認識できる。
【0010】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの態様に係る昇降扉において、前記垂直板の回動を抑制し、かつ、前記ガイドレールに沿って上下方向に移動可能なガイド部材を備えることが好ましい。
本態様によれば、ガイド部材によって垂直板の回動を抑制できるため、垂直板の揺動および振動を好適に抑制できる。
【0011】
(5)上記(4)の態様に係る昇降扉において、前記ガイド部材は、前記接続部に回動可能に支持され、上下方向に並んで配置される複数のローラを含むことが好ましい。
本態様によれば、垂直板が回動しようとすると、各ローラがローラ収容部の内面と接触するため、接続部が回動することを抑制できる。これにより、垂直板の回動を好適に抑制できる。
【0012】
(6)本開示の一態様に係るヒュームフードは、処理室の開口を開閉する上記(1)から(5)のいずれかの態様に係る昇降扉を有する。
本態様によれば、垂直板を上側に移動させる場合において、ストッパ部材が当接部に対して上方から当接して、垂直板の上側への移動が規制される際の上下方向における垂直板の下端部の位置をストッパ部材の位置に近づけることができる。したがって、使用者が垂直板の上側への移動が規制される際の垂直板の位置を容易に認識できる。
【発明の効果】
【0013】
本態様によれば、使用者が垂直板の上側への移動が規制される垂直板の位置を容易に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係るヒュームフードを示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るヒュームフードを示す正面図である。
【
図3】一実施形態に係るヒュームフードの一部を示す左側面図である。
【
図4】一実施形態に係るヒュームフードを示す
図2のA-A断面図である。
【
図5】一実施形態に係るヒュームフードの一部を示す
図2のB-B断面図である。
【
図6】一実施形態に係るヒュームフードの一部を示す
図2のC-C断面図である。
【
図7】一実施形態に係るヒュームフードの一部を示す正面図である。
【
図8】一実施形態に係る接続部を示す斜視図である。
【
図9】一実施形態に係る接続部を示す分解斜視図である。
【
図10】一実施形態に係るヒュームフードの非作動時における落下防止装置を示す断面図である。
【
図11】一実施形態に係るヒュームフードの作動時における落下防止装置を示す断面図である。
【
図12】一実施形態に係るストッパ部材を示す右側面図である。
【
図13】一実施形態に係る当接部と被当接部とが当接した状態のヒュームフードの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るヒュームフード10を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るヒュームフード10を示す正面図である。
図3は、本実施形態に係るヒュームフード10の一部を示す左側面図である。
図4は、本実施形態に係るヒュームフードを示す
図2のA-A断面図である。なお、
図3では、側方カバー17aおよび給廃液配管の図示を省略している。
【0016】
以下の説明において、各図には適宜、Z軸を示す。本実施形態において、Z軸は、ヒュームフード10の上下方向である。以下の説明では、Z軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼ぶ。Z軸の矢印が向く側と反対側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。
【0017】
以下の説明において、各図には適宜、第1方向D1を示す。本実施形態において、第1方向D1は、垂直板21の板厚方向であり、Z軸と直交する方向である。第1方向D1は、ヒュームフード10の前後方向である。以下の説明では、第1方向D1の矢印が向く側(+D1側)を「第1方向D1の一方側」または「後側」と呼ぶ。第1方向D1の矢印が向く側と反対側(-D1側)を「第1方向D1の他方側」または「前側」と呼ぶ。
【0018】
以下の説明において、各図には適宜、第2方向D2を示す。第2方向D2は、以下に説明する実施形態の垂直板21の長手方向であり、上下方向(Z軸方向)および第1方向D1と直交する方向である。第2方向D2は、ヒュームフード10の左右方向である。以下の説明では、第2方向D2の矢印が向く側(+D2側)を「第2方向D2の一方側」または「左側」と呼ぶ。第2方向D2の矢印が向く側と反対側(-D2側)を「第2方向D2の他方側」または「右側」と呼ぶ。
【0019】
なお、上側、下側、前側、後側、左側、右側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0020】
本実施形態のヒュームフード10は、実験施設の室内に設置される。ヒュームフード10は、略直方体の箱型である。ヒュームフード10には処理室S1が画成され、使用者は処理室S1の内部で作業を行う。ヒュームフード10は、理化学実験において、処理室S1の内部の気体が室内に流出することを抑制する。本実施形態において、ヒュームフード10は、作業台2が備える天板3上に組み付けられることで、天板3とともに処理室S1を画成する。ヒュームフード10は、作業台2に対して着脱可能に組み付けられる構成であってもよいし、作業台2と一体に形成された構成であってもよい。ヒュームフード10は、筐体12と、カバー部17と、排気装置14と、昇降扉20と、固定ガラス15と、を備える。
【0021】
(筐体12)
筐体12は、一対の側部筐体12aと、接続筐体12bと、を有する。
図2に示すように、1対の側部筐体12aは、第2方向D2に間隔をあけて配置される。
図3に示すように、側部筐体12aは、上下方向(Z軸方向)に延びる板状である。側部筐体12aの板面は、第2方向D2を向く。第2方向D2に見て、側部筐体12aは略長方形状である。
【0022】
図2に示すように、接続筐体12bは、第2方向D2に延びる略直方体状である。接続筐体12bの左側(+D2側)の端部は、一方の側部筐体12aに固定され、各接続筐体12bの右側(-D2側)の端部は、他方の側部筐体12aに固定される。
【0023】
(カバー部17)
カバー部17は、筐体12を外側から覆う。
図1に示すように、カバー部17は、側方カバー17aと、天井板17bと、と、化粧パネル16と、前面カバー19と、を有する。
図4に示すように、カバー部17は、背面板17cを有する。
【0024】
図1に示すように、側方カバー17aは、上下方向(Z軸方向)に延びる板状である。側方カバー17aの板面は、第2方向D2を向く。第2方向D2に見て、側方カバー17aは、略長方形状である。側方カバー17aは、2個設けられる。各側方カバー17aのそれぞれは、一対の側部筐体12aそれぞれの外側面に固定される。
【0025】
天井板17bは、第2方向D2に延びる板状である。天井板17bの板面は、上下方向(Z軸方向)を向く。上下方向に見て、天井板17bは、略長方形状である。第2方向D2において、天井板17bは、1対の側部筐体12aの間に配置される。天井板17bは、1対の側部筐体12aの上側の部分に固定される。天井板17bは、処理室S1の上側の部分を構成する。
背面板17cは、第2方向D2に延びる板状である。
図4に示すように、背面板17cの板面は、第1方向D1を向く。図示は省略するが、第1方向D1に見て、背面板17cは、略長方形状である。背面板17cは、1対の側部筐体12aの後側(+D1側)に固定される。背面板17cは、処理室S1の後側(+D1側)の部分を構成する。
【0026】
図1に示すように、化粧パネル16は、第2方向D2に延びる板状である。化粧パネル16の板面は、第1方向D1を向く。第1方向D1に見て、化粧パネル16は略長方形状である。図示は省略するが、化粧パネル16は、1対の側部筐体12aの前側(-D1側)、且つ、上側の部分同士を接続する接続筐体12bに固定される。化粧パネル16は、筐体12の前側の上部を前側から覆う。
【0027】
前面カバー19は、上下方向(Z軸方向)延びる。前面カバー19は、後述するガイドレール24を前側から覆う。
図2に示すように、前面カバー19は、2個設けられる。各前面カバー19のそれぞれは、一対の側部筐体12aそれぞれの前側に配置される。
【0028】
(排気装置14)
排気装置14は、処理室S1の内部の空気を排気する。
図1に示すように、排気装置14は、筐体12および天井板17bに固定される。
図4に示すように、背面板17cの前側(-D1側)には、処理室S1の内部の空気を排気装置14まで導く排気通路S2を形成する上側バッフル板17fおよび下側バッフル板17gが配置される。下側に配置される下側バッフル板17gは、2つのスペーサ部材18aを介して、背面板17cに取り付けられる。また、上側に配置される上側バッフル板17fは、上端が天井板17bに取り付けられるとともに、下端が下側バッフル板17gの上部に設けられる固定具18bに保持される。処理室S1の内部の空気は、下側バッフル板17gと天板3との間を介して、排気通路S2の内部に流れ込み、排気通路S2を上側に向けて流れた後、排気装置14を介して図示しないダクトに送られて排気される。
【0029】
(固定ガラス15)
図1に示すように、固定ガラス15は、ヒュームフード10の前面領域の上側の部分を塞ぐ。なお、本実施形態において、ヒュームフード10の前面領域は、1対の側部筐体12a、化粧パネル16、および天板3によって構成される。前面領域は、前側(-D1側)に開口する。本実施形態において、固定ガラス15は、強化ガラスで構成される。固定ガラス15は、後述する垂直板ガイドレール28に固定される。固定ガラス15が、垂直板ガイドレール28に固定される構成等については、後段で詳細に説明する。
【0030】
(昇降扉20)
図5は、本実施形態に係るヒュームフード10の一部を示す
図2のB-B断面図である。
図6は、本実施形態に係るヒュームフード10の一部を示す
図2のC-C断面図である。
図7は、本実施形態に係るヒュームフード10の一部を示す正面図である。
図8は、本実施形態に係る接続部30を示す斜視図である。
図9は、本実施形態に係る接続部30を示す分解斜視図である。
図10は、本実施形態に係る非作動時における落下防止装置40を示す断面図である。
図11は、本実施形態の作動時における落下防止装置40を示す断面図である。
図12は、本実施形態のストッパ部材60を示す右側面図である。
図13は、本実施形態に係る当接部37と被当接部61bとが当接した状態のヒュームフード10の一部を示す斜視図である。なお、
図7では、前面カバー19およびガイドレール24の図示を省略している。
【0031】
昇降扉20は、処理室S1の開口10aを上下方向(Z軸方向)に開閉する機構である。昇降扉20により、開口10aの
図2に示す開口量Lmを調整可能である。
図5に示すように、昇降扉20は、ガイドレール24と、垂直板21と、把持部材22と、接続部30と、ガイド部材43と、吊架部材80と、ストッパ部材60と、を備える。なお、本実施形態において、ガイド部材43は、垂直板21の回動を抑制し、かつ、ガイドレール24の内部を上下方向(Z軸方向)に移動可能な部材である。本実施形態において、ガイド部材43は、後述する複数のローラ44を含む。また、本実施形態において、開口10aは、1対の側部筐体12a、天板3、および垂直板21の下端部によって構成され、ヒュームフード10の外部空間と処理室S1の内部空間とを互いに連通する。開口10aを介して、ヒュームフード10の外部空間から処理室S1の内部空間に空気が流れる。
【0032】
ガイドレール24は、垂直板21、接続部30、およびガイド部材43の上下方向(Z軸方向)への移動を案内する。
図1に示すように、本実施形態において、ガイドレール24は、2個設けられる。2個のガイドレール24は、第2方向D2間隔をあけて配置される。一方のガイドレール24は、垂直板21の左側(+D2側)に配置される。他方のガイドレール24は、垂直板21の右側(-D2側)に配置される。各ガイドレール24のそれぞれは、各前面カバー19それぞれの内部に配置される。本実施形態において、2個のガイドレール24の形状は、第2方向D2と直交する面を対称面として略対称な形状である。以下の説明では、垂直板21よりも左側のガイドレール24についてのみ説明を行う場合がある。
【0033】
図3に示すように、ガイドレール24は、前面カバー19の後側(+D1側)、かつ、側部筐体12aの前側(-D1側)に配置される。ガイドレール24は、上下方向(Z軸方向)に延びる。
図5に示すように、ガイドレール24は、右側(-D2側)に開口するガイドレール開口24aを有する中空状である。上下方向(Z軸方向)に見て、ガイドレール24は、略長方形状である。ガイドレール24には、ローラ収容部25と、ガイド凹部26と、ストッパ部材収容部27と、が設けられる。
【0034】
ローラ収容部25は、ガイドレール24の内側面のうち、右側(-D2側)を向く面から右側に突出する突出部25aと、突出部25aの前側(-D1側)に位置し第2方向D2に延びる第1壁部24fとによって形成される。突出部25aの前側を向く面は、突出部25aの第2方向D2の両端から第2方向D2の中央に向かうにしたがって後側(+D1側)に位置する屈曲面である。また、第1壁部24fの後側を向く面は、第1壁部24fの第2方向D2の両端から第2方向D2の中央に向かうにしたがって前側に位置する屈曲面である。
【0035】
ガイド凹部26は、ガイドレール24の右側(-D2側)を向く外側面が左側(+D2側)に窪み、ガイドレール24の左側を向く内側面がこれに倣って左側に突出する部分である。ガイド凹部26は、右側に開口する。ガイド凹部26は、ガイドレール開口24aよりも後側(+D1側)に位置する。
【0036】
ストッパ部材収容部27は、ガイドレール24の前側(-D1側)を向く外側面が前側に突出し、ガイドレール24の後側(+D1側)を向く内側面がこれに倣って前側に窪む部分である。ストッパ部材収容部27は、後側に開口する。ストッパ部材収容部27は、ガイドレール開口24aよりも前側に位置する。ストッパ部材収容部27には、孔部27aおよび第1配置孔27bが設けられる。孔部27aは、ストッパ部材収容部27を第2方向D2に貫通する孔である。
図5に示すように、第1配置孔27bは、ストッパ部材収容部27を第1方向D1に貫通する孔である。
図12に示すように、第1配置孔27bは、孔部27aよりも、下側に位置する。
【0037】
図6に示すように、ガイドレール24の上側の部分には、垂直板ガイドレール28および固定ガラス保持部材29が固定される。
図4に示すように、垂直板ガイドレール28は、上下方向(Z軸方向)に延びる。垂直板ガイドレール28は、垂直板21が上下方向にスライド移動する際に垂直板21を案内する。
図6に示すように、垂直板ガイドレール28は、収容部28aと、第1突出部28bと、第2突出部28cと、を有する。収容部28aは、上下方向に延び、右側(-D2側)に開口する四角筒状である。第2方向D2に見て、収容部28aの開口は、ガイドレール開口24aと重なる。第1突出部28bは、収容部28aから後側(+D1側)に突出し、ガイドレール24に固定される。これにより、垂直板ガイドレール28は、ガイドレール24に固定される。第2突出部28cは、収容部28aから前側(-D1側)に突出する。第2突出部28cは、ストッパ部材収容部27の内部に配置され、ガイドレール24に対する垂直板ガイドレール28の第2方向D2の位置を決める。
【0038】
固定ガラス保持部材29は、ガイド凹部26の内部に配置され、ガイド凹部26に固定される。固定ガラス保持部材29は、上下方向に延び、右側(-D2側)に開口する四角筒状である。
【0039】
垂直板21は、ヒュームフード10の開口10aのうち、固定ガラス15よりも下側の部分を上下方向(Z軸方向)に開閉する。本実施形態において、垂直板21は、強化ガラスで構成される。
図1に示すように、垂直板21は、長辺が第2方向D2に延びる略長方形状の板状である。垂直板21の板面は、第1方向D1を向く。
図5に示すように、垂直板21の下側の部分の左側(+D2側)の端部は、ガイドレール開口24aを介してガイドレール24の内部に挿入される。垂直板21は、ガイドレール24の内部を上下方向(Z軸方向)にスライド可能である。
図6に示すように、垂直板21の上側の部分の左側の端部は、垂直板ガイドレール28の収容部28aの内部に挿入される。収容部28aの互いに第1方向D1に対向する内側面同士の間の寸法は、垂直板21の板厚よりも僅かに大きい程度である。そのため、垂直板21が上下方向へスライド移動する際に、垂直板ガイドレール28によって、垂直板21を上下方向に案内できる。また、垂直板21が第2方向D2と平行な回動軸を中心として回動する場合、垂直板21の第1方向D1を向く面が、収容部28aの第1方向D1を向く内側面と当接するため、垂直板21の係る回動は抑制される。つまり、垂直板21の係る回動は、垂直板21自身によって抑制される。また、上述のように、垂直板21は、ガイドレール24の内部を上下方向に移動可能である。これらにより、本実施形態において、ガイド部材43は、垂直板21を含む。
【0040】
図2に示すように、把持部材22は、垂直板21の下端部に固定される。
図5および
図7に示すように、把持部材22には、把持部材22の上側を向く面から下側に窪む凹部22bが設けられる。
図7に示すように、垂直板21の下端部は、凹部22bの内部に収容されるとともに、凹部22bの内側面に固定される。把持部材22の上側の部分には、前側(-D1側)に突出する把持部22aが設けられる。把持部22aは、垂直板21よりも前側、すなわち第1方向D1の他方側に突出する。これにより、使用者は、ヒュームフード10の開口10aを上下方向(Z軸方向)に開閉する際に、把持部22aを掴んで垂直板21を上下方向にスライド移動させることができる。なお、本明細書において、「垂直板21の下端部」とは、垂直板21のうち、把持部材22の内部に収容される部分である。垂直板21の下端部は、垂直板の下端を含む。
【0041】
吊架部材80は、垂直板21を吊り支持する。
図1に示すように、本実施形態において、吊架部材80は、2個設けられる。一方の吊架部材80は、垂直板21の左側(+D2側)の端部を吊り支持する。他方の吊架部材80は、垂直板21の右側(-D2側)の端部を吊り支持する。
図8に示すように、本実施形態において、吊架部材80は、ベルトである。吊架部材80は、ワイヤであってもよい。吊架部材80の後側(+D1側)を向く面には、後側に突出する複数の突起部80aが設けられる。複数の突起部80aは、上下方向(Z軸方向)に沿って間隔をあけて設けられる。本実施形態において、各吊架部材80の形状および、接続部30および後述する錘82と接続される構成等は、第2方向D2と直交する面を対称面として略対称である。以下の説明では、左側に配置される吊架部材80についてのみ説明を行う場合がある。
【0042】
図3に示すように、吊架部材80の一端は、ガイドレール24の内部に位置する。
図7に示すように、吊架部材80の一端は、垂直板21を保持する接続部30に固定される。
図5に示すように、ガイドレール24の内部において、吊架部材80は、垂直板21よりも後側(+D1側)に位置する。吊架部材80は、垂直板21よりも後側、すなわち第1方向D1の一方側において、接続部30を介して垂直板21を吊り支持する。
図3に示すように、吊架部材80は、2つの滑車81に巻き掛けられる。吊架部材80の他端は、錘82に接続される。本実施形態において、錘82は金属製の板状である。2つの錘82の重量を足し合わせた重量は、垂直板21、把持部材22、および接続部30それぞれの重量を足し合わせた重量と略同じ重量である。これにより、使用者は、垂直板21を軽い力で昇降させることができる。なお、本実施形態において、錘82は、側部筐体12aの左側(+D2側)を向く面に固定され、錘82の上下方向の移動を案内する錘ガイド82aの内部に収容される。
【0043】
図7に示すように、接続部30は、吊架部材80と接続されるとともに、垂直板21を保持する。また、接続部30は、使用者が垂直板21を上側に移動させる際に、開口10aの開口量Lmが大きくなりすぎることを抑制する役割をストッパ部材60と共に担う。
図2に示すように、本実施形態において、接続部30は、2個設けられる。一方の接続部30は、垂直板21の左側(+D2側)の下端部を保持する。他方の接続部30は、垂直板21の右側(-D2側)の下端部を保持する。本実施形態において、2個の接続部30の構成等は、第2方向D2と直交する面を対称面として略対称である。以下の説明では、左側に配置される接続部30についてのみ説明を行う場合がある。
【0044】
図5に示すように、接続部30は、ガイドレール24の内部に配置される。接続部30は、ガイドレール24の内部を上下方向(Z軸方向)に移動可能である。
図7に示すように、接続部30の上側の部分には、吊架部材80の一端が固定される。接続部30の下側の部分は、垂直板21を保持する。
図8に示すように、接続部30は、本体部31と、蓋部34と、本体カバー35と、エンド部材36と、当接部37と、を有する。
図9に示すように、接続部30は、弾性部材41と、爪部材42と、を有する。
【0045】
本体部31は、本体側壁部32と、本体上方部33と、を有する。
本体側壁部32は、長辺が上下方向(+Z軸方向)に延びる略長方形状の板状である。本体側壁部32の板面は、第2方向D2を向く。本体側壁部32には、長孔32aと、側壁孔32cと、円環部32dと、底壁部32gと、回動抑制部32jとが設けられる。長孔32aは、本体側壁部32を第2方向D2に貫通する孔である。第2方向D2に見て、長孔32aは、上下方向(Z軸方向)延びる長孔である。
【0046】
側壁孔32cは、本体側壁部32を第2方向D2に貫通する孔である。図示は省略するが、第2方向D2に見て、側壁孔32cは、略円形状である。本実施形態において、側壁孔32cは、2個設けられる。一方の側壁孔32cは、長孔32aの上側に設けられ、他方の側壁孔32cは、長孔32aの下側に設けられる。円環部32dは、2つの側壁孔32cのうち、上側の側壁孔32cの外縁から右側(-D2側)に突出する円環状である。
【0047】
底壁部32gは、本体側壁部32の下側の部分から、右側(-D2側)に突出する。底壁部32gは、支持面32hを有する。支持面32hは、底壁部32gの外側面のうち、上側を向く面である。回動抑制部32jは、本体側壁部32の奥側(+D1側)の端部のうち上縁部から右側(-D2側)に突出する板状である。回動抑制部32jの板面は、第1方向D1を向く。
【0048】
本体上方部33は、本体側壁部32の上端から上側に延びる。第1方向D1に見て、本体上方部33は、略長方形状である。本体上方部33の前側(-D1側)を向く面には、後側(+D1側)に窪む本体穴部33aが設けられる。本実施形態において、本体穴部33aは、4個設けられる。各本体穴部33aは、上下方向(Z軸方向)に沿って間隔をあけて設けられる。図示は省略するが、各本体穴部33aには、
図8に示す、吊架部材80の突起部80aが挿入される。
【0049】
蓋部34は、本体上方部33に固定される。蓋部34は、第1蓋部34aと、第2蓋部34bと、を有する。蓋部34には、孔34dが設けられる。第1蓋部34aは、板面が第1方向D1を向く板状である。第1蓋部34aは、本体上方部33の前側(-D1側)に配置される。第2蓋部34bは、板面が上下方向(Z軸方向)を向く板状である。第2蓋部34bの前側の端部は、第1蓋部の上側の端部と繋がる。第2蓋部34bは、本体上方部33の上側に配置される。孔34dは、第2蓋部34bを上下方向に貫通する孔である。
図8に示すように、孔34dには、吊架部材80が上下方向に通される。上述のように、吊架部材80の複数の突起部80aは、本体上方部33の本体穴部33aに挿入される。第1蓋部34aがねじによって本体上方部33の前側を向く面に固定されると、第1蓋部34aによって、吊架部材80が本体上方部33に押し付けられるため、複数の突起部80aが本体穴部33aから外れることを抑止できる。これにより、吊架部材80が接続部30に固定される。
【0050】
本体カバー35は、本体側壁部32の右側(-D2側)に配置され、本体側壁部32に固定される。
図9に示すように、本体カバー35は、長辺が上下方向(+Z軸方向)に延びる略長方形状の板状である。本体カバー35には、カバー突出部35aが設けられる。
図8に示すように、本体カバー35には、カバー凹部35bが設けられる。
【0051】
図9に示すように、カバー突出部35aは、左側(+D2側)に突出する略円筒状である。本実施形態において、カバー突出部35aは、2個設けられる。第2方向D2に見て、各カバー突出部35aは、本体部31の側壁孔32cと重なる。
図8に示すように、カバー凹部35bは、本体カバー35の左側を向く面から右側に窪む穴である。図示は省略するが、カバー凹部35bは、上下方向に延びる長穴である。
【0052】
図7に示すように、エンド部材36は、把持部材22に固定され、把持部材22を介して、垂直板21を保持する。
図9に示すように、エンド部材36は、固定部36aと、第1部分36cと、第2部分36dと、を有する。
【0053】
固定部36aは、長辺が第2方向D2に延びる略長方形状の板状である。固定部36aの板面は、第1方向D1を向く。
図7に示すように、固定部36aの右側(-D2側)の部分は、把持部材22の凹部22bの内部に挿入され、凹部22bの内側面に固定される。これにより、接続部30は、把持部材22を介して、垂直板21を保持する。なお、本実施形態において、垂直板21の下端部の左側の端部側の部分は、上側に窪み、固定部36aの上側に位置する。固定部36aの左側の端部の上側を向く面には、当接部37が固定される。
【0054】
本実施形態において、当接部37は、上下方向(Z軸方向)に突出する円柱状である。当接部37は、上下方向に突出する角柱状および円環状等の他の形状であってもよい。第2方向D2に見て、当接部37は、垂直板21のうち、把持部材22の内部に収容される部分、すなわち垂直板21の下端部と重なる。また、第2方向D2に見て、当接部37は、把持部22aと重なる。
図5に示すように、当接部37は、垂直板21の左側(+D2側)に配置される。当接部37は、ガイドレール24の内部に収容される。
【0055】
図9に示すように、第1部分36cは、固定部36aの左側(+D2側)の端部から上側に延びる板状である。第1部分36cの板面は、第2方向D2を向く。
第2部分36dは、第1部分36cの上側の部分から後側(+D1側)に延びる板状である。第2部分36dの板面は、第2方向D2を向く。第2部分36dには、第1凸部36eと、第2凸部36fと、突起36gと、が設けられる。
【0056】
第1凸部36eは、第2部分36dの左側(+D2側)を向く面から左側に突出する。
図8に示すように、第1凸部36eは、本体部31の長孔32aの内部に位置する。
図9に示すように、第2凸部36fは、第2部分36dの右側(-D2側)を向く面から右側に突出する。図示は省略するが、第2凸部36fは、
図8に示す本体カバー35のカバー凹部35bの内部に位置する。
図9に示すように、突起36gは、第2部分36dの下側を向く面から下側に突出する略円柱状である。
【0057】
図8に示すように、複数のローラ44は、本体部31の左側(+D2側)に配置される。本実施形態において、ローラ44は、2個設けられる。各ローラ44は、上下方向(Z軸方向)に間隔をあけて並んで配置される。
図9に示すように、各ローラ44は、第2方向D2に延びる軸部44aと、軸部44aを中心とする円環状の円環部44bと、を有する。円環部44bは、軸部44aの左側の端部と繋がる。各ローラ44それぞれの軸部44aは、本体部31の側壁孔32cを第2方向D2に通され、本体カバー35のカバー突出部35aの内部に挿入され、カバー突出部35aに回動可能に支持される。これにより、複数のローラ44は、接続部30に回動可能に支持される。
【0058】
図5に示すように、各ローラ44は、ガイドレール24のローラ収容部25の内部に配置される。ローラ収容部25の前側(-D1側)を向く内面および後側(+D1側)を向く内面はそれぞれ、各ローラ44の円環部44bの外周面と接触する。これにより、ローラ収容部25は、各ローラ44が上下方向に移動する際に、各ローラを上下方向に案内できる。また、本実施形態では、複数のローラ44が上下方向に並んで配置されるため、垂直板21が第2方向D2と平行な回動軸を中心として回動しようとすると、各ローラ44がローラ収容部25の前側を向く内面および後側を向く内面と接触するため、接続部30が回動することを抑制できる。これにより、垂直板21の係る回動を抑制できる。つまり、本実施形態において、ガイド部材43は、複数のローラ44を含む。なお、昇降扉20が有するローラ44の個数は、2個に限定されず、3個以上のローラ44を有してもよい。
【0059】
図10に示すように、弾性部材41は、本体部31の底壁部32gに載置される。弾性部材41は、支持面32hによって上下方向(Z軸方向)に伸縮可能に支持される。本実施形態において、弾性部材41は、コイルばねである。弾性部材41の内部には、突起36gが上下方向に通される。弾性部材41の上端は、エンド部材36の第2部分36dと接触する。これらにより、垂直板21を保持するエンド部材36は、弾性部材41を介して、底壁部32gに載置される。垂直板21および把持部材22の荷重は、エンド部材36および弾性部材41を介して、本体部31に加わる。
【0060】
図9に示すように、爪部材42は、第1方向D1に延びる板状である。爪部材42の板面は、第2方向D2を向く。爪部材42には、爪部孔42aと、爪部42bと、が設けられる。爪部孔42aは、爪部材42を第1方向D1に貫通する孔である。爪部孔42aは、爪部材42の上側の部分に設けられる。
図10に示すように、爪部孔42aの内部には、本体カバー35のカバー突出部35aが第1方向D1に通される。爪部材42は、カバー突出部35aを中心に回動可能に本体カバー35に支持される。爪部材42の後側(+D1側)の部分は、本体部31と本体カバー35との間の隙間を介して、本体部31および本体カバー35よりも後側に突出する。爪部材42の下側を向く面は、エンド部材36の第2部分36dの上端と略上下方向(Z軸方向)に接触する。
【0061】
爪部42bは、爪部材42の後側(+D1)の端部に設けられる。爪部42bは、爪部材42の外側面に沿って設けられる複数の爪42cを有する。複数の爪42cのそれぞれは、略後側に向けて突出する。
【0062】
本実施形態において、接続部30は、落下防止装置40を有する。落下防止装置40は、吊架部材80が切断した場合、および吊架部材80が錘82から外れた場合などの非常時に作動し、垂直板21が落下することを防止する。本実施形態において、落下防止装置40は、本体部31、本体カバー35、エンド部材36、弾性部材41、および爪部材42によって構成される。
【0063】
以下、落下防止装置40の動作について説明する。なお、以下の説明において、通常状態は、接続部30が吊架部材80を介して錘82と正常に接続されている状態である。非常状態は、吊架部材80が切断した場合、および吊架部材80が錘82から外れた場合など、接続部30が吊架部材80を介して錘82と接続されていない状態である。また、以下の説明では、「垂直板21および把持部材22」を、「垂直板21等」と呼ぶ場合がある。
【0064】
図10に示すように、通常状態では、垂直板21等の荷重がエンド部材36を介して弾性部材41に加わり、弾性部材41は圧縮される。このとき、爪部材42は、後側(+D1側)と下側との間を向く方向を向き、ガイドレール24と第1方向D1隙間をあけて配置される。そのため、爪部材42が、ガイドレール24に設けられる係止孔24gに引っ掛かることを抑制できるため、使用者は垂直板21等を昇降できる。なお、通常状態において、使用者が垂直板21等を昇降する場合、弾性部材41は上下方向に延びないため、本体部31とエンド部材36との相対位置は変化しない。係止孔24gは、ガイドレール24の後側の部分に設けられ、ガイドレール24の後側の部分を第1方向D1に貫通する孔である。係止孔24gは、上下方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。
【0065】
非常状態では、垂直板21等および接続部30が共に落下するが、弾性部材41の付勢力により本体部31が下側に付勢されているため、垂直板21等およびエンド部材36の落下速度よりも若干早く本体部31が下側に落下する。そのため、
図11に示すように、エンド部材36が本体部31に対して相対的に上側に移動する。このとき、エンド部材36の第1凸部36eは、長孔32aの内部を上側に移動する。図示は省略するが、エンド部材36の第2凸部36f(
図9参照)は、本体カバー35のカバー凹部35b(
図8参照)の内部を上側に移動する。本体部31に対して相対的に上側に移動するエンド部材36が爪部材42を下側から押圧すると、爪部材42はカバー突出部35aを中心に左側(+D2側)から見て時計回りに回動する。これにより、爪部材42の後側(+D1側)の部分が後側に突出するように回動するため、爪部材42の後側の部分は、ガイドレール24の係止孔24gに係止される。また、爪部材42は、本体部31の回動抑制部32jに下側から当接するため、左側から見て時計回りへの回動が規制される。これにより、爪部材42が係止孔24gから外れることを防止できる。これらにより、垂直板21等および接続部30の落下が阻止される。つまり、吊架状態が解除された非常状態において、弾性部材41の付勢力により垂直板21と本体部31とが相対移動することで、爪部材42がガイドレール24に係止され、垂直板21等および接続部30の落下が阻止される。
なお、爪部材42の爪部42bが、ガイドレール24の内側面に接触することで生じる摩擦力により、垂直板21等および接続部30の落下を阻止することもできる。
【0066】
本実施形態によれば、接続部30は、垂直板21が落下することを防止する落下防止装置40を有する。よって、吊架部材80が切断した場合、および吊架部材80が錘82から外れた場合などの非常状態においても、垂直板21が落下することを阻止できる。したがって、非常状態においても、垂直板21等が天板3等に衝突することによって損傷することを抑制できるとともに、垂直板21の下側に置かれる物品等が損傷することを抑制できる。
【0067】
次に、開口10aの開口量Lmが大きくなりすぎることを制限するストッパ部材60について説明する。
図12に示すように、ストッパ部材60は、第2方向D2に見て略L字形状である。
図5に示すように、ストッパ部材60は、垂下部61と、第1中間部62と、第2中間部63と、操作部64と、を有する。
【0068】
図12に示すように、垂下部61は、略上下方向(Z軸方向)に延びる板状である。垂下部61の板面は、第2方向D2を向く。
図5に示すように、垂下部61は、ガイドレール24のストッパ部材収容部27に収容される。上下方向(Z軸方向)に見て、垂下部61は、接続部30の当接部37と重なる。
図12に示すように、垂下部61は、貫通孔61aと、被当接部61bと、を有する。
【0069】
貫通孔61aは、垂下部61を第2方向D2に貫通する孔である。貫通孔61aは、垂下部61の上側の部分に設けられる。
図5に示すように、第2方向D2に見て、貫通孔61aは、ガイドレール24の孔部27aと重なる。貫通孔61aおよび孔部27aには、第2方向D2に延び、ガイドレール24に固定される軸部材68が通される。これにより、ストッパ部材60は、軸部材68を中心に回動可能である。ストッパ部材60は、軸部材68を介して、ガイドレール24に回動可能に支持される。
【0070】
図12に示すように、被当接部61bは、垂下部61の下側を向く面である。被当接部61bは、接続部30の当接部37と、上下方向(+Z軸方向)に当接可能である。被当接部61bは、軸部材68よりも下側に位置する。つまり、ストッパ部材60は、被当接部61bよりも上側の位置でガイドレール24に回動可能に支持される。
【0071】
第1中間部62は、垂下部61の下側の部分から前側(-D1側)に突出する。
図5に示すように、第1中間部62は、ガイドレール24の第1配置孔27bを第1方向D1に通される。第1中間部62の前側の端部は、ガイドレール24と前面カバー19の間に位置する。第2中間部63は、第1中間部62の前側の端部から右側(-D2側)に延びる。第2中間部63は、前面カバー19に設けられる第2配置孔19aを第2方向D2に通される。第2中間部63の右側の端部は、前面カバー19の外部に位置する。
【0072】
操作部64は、第2中間部63の右側(-D2側)の端部から前側(-D1側)に突出する板状である。操作部64の板面は、第2方向D2を向く。
図13に示すように、操作部64は、垂直板21および把持部材22よりも前側に位置する。
図12に示すように、上下方向(Z軸方向)において、操作部64の位置は、被当接部61bの位置と同じ位置である。操作部64の前側の部分には、使用者等が操作部64を摘まみ易いように湾曲状に窪む摘み部64aが設けられる。
【0073】
第1方向D1において、ストッパ部材60の垂下部61とガイドレール24のストッパ部材収容部27の内側面との間には、ストッパ部材60を後側(+D1側)に付勢する板ばね部材69が設けられる。板ばね部材69の下端は、垂下部61の下側の部分に固定される。板ばね部材69の上端は、ストッパ部材収容部27の内側面と接触する。ストッパ部材60は、板ばね部材69の付勢力により軸部材68を中心として回動付勢される。これにより、被当接部61bは、接続部30が上下方向に移動する際の当接部37の通過領域に位置する。当接部37がストッパ部材60の下側に位置するとき、被当接部61bは、当接部37に対して上方から当接可能な位置に位置する。つまり、ストッパ部材60は、当接部37に対して上方から当接可能な位置に位置する。
【0074】
使用者が、
図13に示す把持部材22の把持部22aを掴んで垂直板21を上側にスライド移動させる際に、開口10aが所定の開口量に開放されると、
図12に示すように、当接部37は被当接部61bと当接する。これにより、垂直板21の上側への移動が規制され、開口10aの開口量が大きくなりすぎることを制限できる。したがって、開口10aから処理室S1の内部に流れ込む給気量が排気装置14の排気量を上回ることを抑制でき、処理室S1の内部の空気が使用者に向かって流れ出すことを抑制できる。
【0075】
また、上述のように、ストッパ部材60は、第2方向D2に延びる軸部材68を中心に回動可能である。そのため、使用者が操作部64を摘み、操作部64を前側(-D1側)または上側に移動させると、板ばね部材69の付勢力に抗して、ストッパ部材60は右側(-D2側)から見て軸部材68を中心として時計回りに回動する。これにより、被当接部61bは、接続部30が上下方向に移動する際の当接部37の通過領域よりも前側に移動する。つまり、ストッパ部材60が回動することによって、ストッパ部材60は、被当接部61bが当接部37に対して上方から当接可能な位置、および被当接部61bが当接部37と当接しない位置との間で移動可能である。すなわち、ストッパ部材60は、当接部37に対して上方から当接可能な位置、および当接部37と当接しない位置との間で移動可能である。
【0076】
使用者は、被当接部61bを当接部37と当接しない位置に移動させると、垂直板21の下端部をストッパ部材60よりも上側に移動させることができる。これにより、使用者は、操作部64を前側(-D1側)または上側に移動させる簡単な操作により、ストッパ部材60のストッパ機能を容易に解除でき、開口10aを所定の開口量を超えて開放できる。
【0077】
また、
図13に示すように、ストッパ部材60の操作部64は、垂直板21の前側(-D1側)に配置されるため、使用者は、把持部材22の把持部22aを掴んで垂直板21を上側に移動させつつ、操作部64を移動させてストッパ機能の解除を容易に行うことができる。
【0078】
なお、本実施形態では、
図10に示すように、本体部31の底壁部32gとエンド部材36との間に弾性部材41が配置される。そのため、エンド部材36に設けられる当接部37とストッパ部材60の被当接部61bとが当接する際に、当接部37、エンド部材36、およびストッパ部材60のそれぞれに加わる衝撃を弾性部材41によって緩衝できる。これにより、当接部37と被当接部61bとが当接する際の衝突音を抑制できる。
【0079】
本実施形態によれば、昇降扉20、およびヒュームフード10は、当接部37を有し、垂直板21の下端部を保持する接続部30と、垂直板21よりも後側、すなわち第1方向D1の一方側(+D1側)の位置において、接続部30を介して垂直板21を吊り支持する吊架部材80と、ガイドレール24に支持されるストッパ部材60と、を備え、第2方向D2に見て、当接部37は、垂直板21の下端部と重なり、ストッパ部材60は、当接部37に対して上方から当接可能な位置、および当接部37と当接しない位置との間で移動可能である。よって、
図5に示すように、接続部30を構成する本体部31および本体カバー35等の部材を、垂直板21よりも後側にずれた位置に配置できるため、
図5および
図7に示すように、当接部37を垂直板21の下端部の左側(+D2側)に配置し易い。そのため、
図7に示すように、第2方向D2に見て、当接部37を垂直板21の下端部に重ねて配置できる。つまり、上下方向(+Z軸方向)における当接部37の位置を垂直板21の下端部の位置と同じ位置にできる。そのため、使用者が、垂直板21を上側に移動させる場合において、ストッパ部材60が当接部37に対して上方から当接して、垂直板21の上側への移動が規制される際の上下方向における垂直板21の下端部の位置をストッパ部材60の位置に近づけることができる。したがって、使用者が垂直板21の上側への移動が規制される際の垂直板21の位置を容易に認識できるため、垂直板21を上側に移動させる作業の簡易化を図ることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上述のように、ストッパ部材60は、当接部37に対して上方から当接可能な位置、および当接部37と当接しない位置との間で移動可能である。よって、ストッパ部材60によって、垂直板21の上側への移動を規制できるとともに、ストッパ部材60を移動させることによって、ストッパ部材60のストッパ機能を解除でき、垂直板21の下端部をストッパ部材60よりも上側に移動させることができる。これにより、使用者が、処理室S1の内部の清掃やメンテナンスを行う際には、開口10aを大きく開放できる。
【0081】
また、本実施形態では、上述のように、接続部30を構成する本体部31および本体カバー35等の部材を、垂直板21よりも後側(+D1側)にずらして配置できる。そのため、本体部31および本体カバー35等の部材を、当接部37を挟んで、垂直板21の左側(+D2側)に配置する場合と比較して、昇降扉20およびヒュームフード10が第2方向D2に大型化することを抑制できる。なお、本実施形態では、
図5に示すように、第1方向D1に見て、接続部30を側部筐体12aと重ねて配置できる。そのため、接続部30を設けることによって、昇降扉20およびヒュームフード10が第2方向D2に大型化することをより好適に抑制できる。
【0082】
本実施形態によれば、ストッパ部材60は、当接部37と当接する被当接部61bを有し、且つ、被当接部61bよりも上側の位置でガイドレール24に回動可能に支持され、ストッパ部材60が回動することによって、ストッパ部材60は、被当接部61bが当接部37に対して上方から当接可能な位置、および被当接部61bが当接部37と当接しない位置との間で移動可能である。よって、ストッパ部材60を回動させる簡易な操作によって、ストッパ部材60による垂直板21の上側への移動の規制および係る規制の解除を行うことができる。したがって、使用者が垂直板21を上側に移動させる作業の簡易化を図ることができる。
【0083】
また、本実施形態では、ストッパ部材60および当接部37によって、垂直板21の上側への移動の規制および係る規制を解除できるため、垂直板21の上側への移動の規制および係る規制の解除を行う構成の簡略化を図ることができる。したがって、昇降扉20およびヒュームフード10の部品点数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0084】
本実施形態によれば、垂直板21の下端部には、垂直板21よりも前側、すなわち第1方向D1の他方側(-D1側)に突出する把持部材22が設けられ、第2方向D2に見て、把持部材22は、当接部37と重なる。よって、使用者は、把持部材22を把持して垂直板21を上側に移動できるため、垂直板21を上側に移動させる作業の簡易化を図ることができるとともに、垂直板21の上側への移動が規制される際の上下方向における把持部材22の位置をストッパ部材60の位置に近づけることができる。したがって、使用者が垂直板21の上側への移動が規制される際の垂直板21の位置をより容易に認識できるため、垂直板21を上側に移動させる作業をより簡易にできる。
【0085】
本実施形態によれば、昇降扉20、およびヒュームフード10は、垂直板21の回動を防止し、かつ、ガイドレール24に沿って上下方向に移動可能なガイド部材43を備える。上述のように、本実施形態では、吊架部材80は、垂直板21よりも後側(+D1側)において、接続部30を介して垂直板21を吊り支持するため、垂直板21は第2方向D2と平行な回動軸を中心に回動し易くなるものの、ガイド部材43によって垂直板21の係る回動を抑制できる。したがって、垂直板21の揺動および振動を好適に抑制できる。
【0086】
本実施形態によれば、ガイド部材43は、接続部30に回動可能に支持され、上下方向に並んで配置される複数のローラ44を含む。よって、垂直板21が第2方向D2と平行な回動軸を中心として回動しようとすると、各ローラ44がローラ収容部25の内面と接触するため、接続部30が回動することを抑制できる。これにより、垂直板21の係る回動を好適に抑制できる。
【0087】
なお、上述のように、本実施形態において、ガイド部材43は、垂直板21を含み、垂直板21のうち上側の部分が、ガイドレール24に固定される垂直板ガイドレール28によってガイドされ、垂直板21が第2方向D2と平行な回動軸を中心として回動しようとすると、垂直板21の第1方向D1を向く面が、収容部28aの内側面と当接する。これにより、垂直板21が第2方向D2と平行な回動軸を中心として回動することをより好適に抑制できる。したがって、垂直板21の揺動および振動をより好適に抑制できる。
【0088】
以上、本発明による昇降扉、およびヒュームフードの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0089】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0090】
10 ヒュームフード
20 昇降扉
21 垂直板
22 把持部材
24 ガイドレール
30 接続部
37 当接部
40 落下防止装置
43 ガイド部材
44 ローラ
60 ストッパ部材
61b 被当接部
80 吊架部材
D1 第1方向
D2 第2方向