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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066690
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ヒュームフード
(51)【国際特許分類】
   B01L 1/00 20060101AFI20240509BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B01L1/00 A
F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176266
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】森 大地
(72)【発明者】
【氏名】深井 正人
【テーマコード(参考)】
3L058
4G057
【Fターム(参考)】
3L058BF03
3L058BF09
4G057AA02
(57)【要約】
【課題】複数の操作部と複数のノズルとの各々の対応関係を容易に把握可能にして、操作部を操作して流体を扱う際の操作性を高めることができるヒュームフードを提供する。
【解決手段】ヒュームフード1は、開口部11を通じて前方に連通する作業空間Sを形成するフード本体10と、第1側壁部21の内壁部33に設けられて受け部43を有するシンク13と、受け部43の上方において受け部43側から上方に向けて順に設けられた第1ノズル61、第2ノズル62、及び第3ノズル63と、第1側壁部21のうち第1支柱31の前面部31aにおいて上方に向けて順に設けられた第1操作部71、第2操作部72、及び第2操作部72と、を備えている。
【選択図】図3



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に交差する第1方向の両側に位置する第1側壁部及び第2側壁部の間に上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に開口する開口部を有し、前記開口部を通じて外部に連通する作業空間を形成するフード本体と、
前記第1側壁部のうち前記作業空間内に位置する部分に設けられ、受け部を有するシンクと、
前記第1側壁部のうち前記作業空間内に位置する部分であって、前記受け部の上方に設けられ、第1流体を吐出可能な第1ノズルと、
前記第1側壁部のうち前記作業空間内に位置する部分であって、前記第1ノズルの上方に設けられ、第2流体を吐出可能な第2ノズルと、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部のうち、一方の側壁部における前記作業空間の外部に位置する部分に設けられ、前記第1ノズルを通じた前記第1流体の吐出及び遮断を切り替える第1操作部と、
前記一方の側壁部における前記作業空間の外部に位置する部分のうち、前記第1操作部よりも上方に位置する部分に設けられ、前記第2ノズルを通じた前記第2流体の吐出及び遮断を切り替える第2操作部と、を備えているヒュームフード。
【請求項2】
前記シンクは前記第1側壁部の内面に対して窪んでいる請求項1に記載のヒュームフード。
【請求項3】
前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、前記シンクの内面のうち前記第2方向で開口部側を向く面に設けられている請求項2に記載のヒュームフード。
【請求項4】
前記第1ノズル及び前記第1操作部は第1マークを有し、
前記第2ノズル及び前記第2操作部は第2マークを有する請求項1から請求項3の何れか1項に記載のヒュームフード。
【請求項5】
前記第1操作部及び前記第2操作部は前記第1側壁部に設けられている請求項1から請求項3の何れか1項に記載のヒュームフード。
【請求項6】
前記第1ノズルは、液体を吐出するノズルであるとともに、下方に向けて屈曲している請求項1から請求項3の何れか1項に記載のヒュームフード。
【請求項7】
前記第2ノズルは、気体を吐出するノズルであるとともに、前記第1ノズルよりも屈曲角度が大きい請求項6に記載のヒュームフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒュームフードに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、実験で化学薬品やガス等を使用する際に、ガス等に作業者が触れないようにヒュームフードを使用する。このヒュームフードのなかには、作業空間を形成する内壁部に複数のノズルが前後方向に並んで設けられるとともに、複数のノズルに対応する操作部が上下方向に並んで支柱に設けられたものが知られている。
複数の操作部は、例えば水道やガスボンベを複数のノズルに接続する流路の途中に接続されている。よって、複数の操作部を操作することにより各々のノズルを通じて水やガス等の流体を吐出できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-196137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたヒュームフードは、複数のノズルが前後方向に並んでいる一方、複数の操作部は上下方向に並んで配置されている。よって、例えば操作部を操作して各々のノズルから流体を吐出させる際に、作業者が複数の操作部と複数のノズルとの各々の対応関係を把握することが難しい。このため、複数の操作部を操作して流体を扱う際の操作性の観点において改良の余地が残っていた。
【0005】
本発明は、複数の操作部と複数のノズルとの各々の対応関係を容易に把握可能にして、操作部を操作して流体を扱う際の操作性を高めることができるヒュームフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本発明に係る一態様に係るヒュームフードは、上下方向に交差する第1方向の両側に位置する第1側壁部及び第2側壁部の間に上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に開口する開口部を有し、前記開口部を通じて外部に連通する作業空間を形成するフード本体と、前記第1側壁部のうち前記作業空間内に位置する部分に設けられ、受け部を有するシンクと、前記第1側壁部のうち前記作業空間内に位置する部分であって、前記受け部の上方に設けられ、第1流体を吐出可能な第1ノズルと、前記第1側壁部のうち前記作業空間内に位置する部分であって、前記第1ノズルの上方に設けられ、第2流体を吐出可能な第2ノズルと、前記第1側壁部及び前記第2側壁部のうち、一方の側壁部における前記作業空間の外部に位置する部分に設けられ、前記第1ノズルを通じた前記第1流体の吐出及び遮断を切り替える第1操作部と、前記一方の側壁部における前記作業空間の外部に位置する部分のうち、前記第1操作部よりも上方に位置する部分に設けられ、前記第2ノズルを通じた前記第2流体の吐出及び遮断を切り替える第2操作部と、を備えている。
【0007】
本態様によれば、作業空間内において受け部の上方に第1ノズルを設け、第1ノズルの上方に第2ノズルを設けた。また、作業空間の外部に第1操作部を設け、第1操作部の上方に第2操作部を設けた。よって、第1ノズル及び第2ノズルと、第1操作部及び第2操作部とを同じ上下方向(縦方向)に配列できる。加えて、第1ノズル及び第2ノズルに対応させて第1操作部及び第2操作部の配列順序を決めることができる。
【0008】
このため、第1ノズルと第1操作部との関係、及び第2ノズルと第2操作部との関係を作業者が把握しやすい。すなわち、第1ノズル及び第2ノズルの一方から流体を吐出する際、あるいは一方から吐出している流体を遮断する際に、一方のノズルに対応する操作部を第1操作部及び第2操作部から容易に把握(選択)できる。
これにより、複数の操作部と複数のノズルとの各々の対応関係を容易に把握可能にして、操作部を操作して流体を扱う際の操作性を高めることができる。
【0009】
(2)上記(1)の態様に係るヒュームフードにおいて、前記シンクは前記第1側壁部の内面に対して窪んでいてもよい。
【0010】
この構成によれば、シンクを第1側壁部の内面に対して窪ませることにより、作業空間を大きく確保できる。これにより、シンクが作業空間を妨げることなく、作業空間における作業性を高めることができる。加えて、シンクや作業空間の見た目を良好に確保できる。
【0011】
(3)上記(2)の態様に係るヒュームフードにおいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、前記シンクの内面のうち前記第2方向で開口部側を向く面に設けられていてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1ノズル及び第2ノズルを開口部側を向く面に設けることにより、第1ノズル及び第2ノズルを作業者が認識しやすい。これにより、第1ノズルと第1操作部との関係、及び第2ノズルと第2操作部との関係を一層良好に作業者が把握しやすくできる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)の何れかの態様に係るヒュームフードにおいて、前記第1ノズル及び前記第1操作部は第1マークを有し、前記第2ノズル及び前記第2操作部は第2マークを有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1ノズル及び第1操作部に同じ第1マークを有し、第2ノズル及び第2操作部に同じ第2マークを有することにより、これにより、第1ノズルと第1操作部との関係、及び第2ノズルと第2操作部との関係を作業者が一層良好に把握しやすくできる。
特に、第1ノズル及び前記第2ノズルをシンクの開口部側を向く面に設けることにより、第1ノズル及び前記第2ノズルが作業者から離れた位置に配置されることが考えられる。この場合においても、第1ノズル及び第2ノズルのマークを作業者が視認しやすくでき、第1ノズルと第1操作部との関係、及び第2ノズルと第2操作部との関係を把握しやすくできる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)の何れかの態様に係るヒュームフードにおいて、前記第1操作部及び前記第2操作部は前記第1側壁部に設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1操作部及び第2操作部が、第1ノズル及び第2ノズル62と第1方向で同じ側に配置される。これにより、第1ノズルと第1操作部との関係、及び第2ノズルと第2操作部との関係を作業者が把握しやすくできる。
【0017】
(6)上記(1)から(5)の何れかの態様に係るヒュームフードにおいて、前記第1ノズルは、液体を吐出するノズルであるとともに、下方に向けて屈曲していてもよい。
【0018】
この構成によれば、第1ノズルの吐出部から吐出した液体が第2ノズルにかかることなく受け部に直接流すことができる。このため、例えば、第1ノズルから吐出された液体による作業空間への飛散を抑えることができる。
【0019】
(7)上記(6)の一態様に係るヒュームフードにおいて、前記第2ノズルは、気体を吐出するノズルであるとともに、前記第1ノズルよりも屈曲角度が大きく形成されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、第2ノズルを第1ノズルの上方に並べて配置しやすくできる。また、例えば、第2ノズルに接続したホースが第1ノズルに干渉することを抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、複数の操作部と複数のノズルとの各々の対応関係を容易に把握可能にして、操作部を操作して流体を扱う際の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ヒュームフードを示す正面図。
図2】ヒュームフードを示す斜視図。
図3】ヒュームフードの要部を示す斜視図。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図。
図5】ヒュームフードのシンクを開口側から見た斜視図。
図6】ヒュームフードのシンクを裏側から見た斜視図。
図7図3のVII-VII線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、ヒュームフード1が設置された床面(不図示)の法線方向を上下方向(矢印UPが上方)とする。また、上下方向に直交(交差)する方向を第1方向とし、上下方向から見て第1方向に直交(交差)する方向を第2方向とする。なお、第1方向を左右方向(矢印LHが左側)、第2方向を前後方向(矢印FRが前方)ということがある。
【0024】
[ヒュームフード1]
図1は、ヒュームフード1を示す正面図である。図2は、ヒュームフード1を示す斜視図である。
図1図2に示すヒュームフード1は、実験施設等の室内に設置される。ヒュームフード1は、理化学実験において、作業空間S内の気体を室内に流出させないためのものである。具体的に、ヒュームフード1は、作業台2と、作業台2の天板3に設けられたフード5と、を備えている。ヒュームフード1は、フード5が作業台2の天板3上に組み付けられることにより、フード5及び天板3により作業空間Sを画成する。
【0025】
<フード5>
図3は、ヒュームフード1の要部を示す斜視図である。
図2図3に示すように、フード5は、下方に向けて開口する箱型に形成されている。フード5は、前方に開口する開口部11を有するフード本体10と、開口部11を開閉する昇降扉12と、作業空間Sに向けて開口するシンク13と、シンク13に設けられたノズルユニット14と、ノズルユニット14からの流体の吐出及び遮断を切り替える操作部ユニット15と、を備えている。
【0026】
<フード本体10>
図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図2図4に示すように、フード本体10のうち、第1側壁部21、第2側壁部22、上壁部(図示せず)、及び後壁部23は、例えば枠材にパネルが組み付けられて構成されている。本実施形態において、第1側壁部21、第2側壁部22、上壁部、及び後壁部23の枠材には、金属材料(例えば、ステンレス)等が用いられている。不図示の上壁部には、作業空間S内の気体を排出する排気口及び排気ファン(図示せず)が設けられている。作業空間S内の気体は、不図示の排気ファンを駆動することにより、排気口を通じて実験施設の室外に排出される。
第1側壁部21及び第2側壁部22は、左右方向の両側位置に間隔をあけて作業台2の天板3に設けられている。フード本体10は、第1側壁部21及び第2側壁部22の間に前方に開口する開口部11を有する。フード本体10は、天板3上に組み付けられることにより、開口部11を通じて連通する作業空間Sを天板3とともに形成している。
【0027】
第1側壁部21は、天板3の右側部から上方に立設されている。第1側壁部21は、前端部に枠材として備えられた第1支柱31と、後端部に枠材として備えられた第2支柱32と、第1支柱31及び第2支柱32にパネルとして組み付けられた内壁部33及び外壁部34と、を備えている。内壁部33及び外壁部34は、左右方向に間隔をあけて配置されている。内壁部33は、第1側壁部21のうち作業空間S内に位置する部分である。
第2側壁部22は、天板3の左側部から上方に立設されている。第2側壁部22は、第1側壁部21と概ね左右対称に構成されているので、各構成部材に第1側壁部21と同じ符号を付して詳しい説を省略する。
【0028】
<昇降扉12>
昇降扉12は、第1側壁部21及び第2側壁部22の間に配置され、第1側壁部21の第1支柱31及び第2側壁部22の第1支柱31に上下方向に移動可能に支持されている。昇降扉12は、上下方向に移動されることにより開口部11を開閉する。なお、第1側壁部21内には、昇降扉12の吊り合いを取るバランス錘36が第2支柱32に沿って上下方向に移動可能に支持されている。
【0029】
<シンク13>
図3図4に示すように、シンク13は、第1側壁部21の内壁部33に設けられている。シンク13は、第1側壁部21の内壁部33及び外壁部34の間に配置された凹部41と、凹部41の開口に設けられた張出部42と、を有する。
【0030】
図5は、ヒュームフード1のシンク13を開口側から見た斜視図である。図6は、ヒュームフード1のシンク13を裏側から見た斜視図である。
図5図6に示すように、凹部41は、前面部45、後面部46、上面部47、及び下面部48により矩形枠に形成されている。後面部46は、シンク13の内面のうち前方(開口部11側)を向く面である(図3参照)。また、凹部41は、作業空間Sの反対側(右側)が側壁部49により閉塞されている。すなわち、凹部41は、第1側壁部21の内壁部33(図3参照)に対して左方向の外側(右側)に窪むとともに、内壁部33の表面と同一平面上で開口している。
【0031】
張出部42は、凹部41の開口縁に設けられている。張出部42は、凹部41の開口縁から内壁部33に対して面一に張り出されたフランジ52と、凹部41の下部において開口を覆うカバー部53と、を有する。フランジ52は、凹部41の開口縁から外側に張り出されることにより矩形枠状に形成されている。カバー部53は、凹部41の下部においてフランジ52に一体に形成されている。カバー部53は、凹部41の下部において開口を覆うことにより、凹部41の下部とともに受け部43を形成している。すなわち、シンク13は、凹部41の下部に受け部43を有している。
【0032】
図3図6に示すように、受け部43は、シンク13の下部に位置し、凹部41内において上方に向けて開口している。受け部43のうち、後面部46の下端部に位置する部分には、排水口54が設けられている。受け部43内に溜まった廃液等は、排水口54を通って外部の排水管(図示せず)に排出される。なお、排水口54は、下面部48で開口していてもよい。
【0033】
また、後面部46において、受け部43よりも上方に位置する部分には、複数(実施形態では3つ)の貫通孔56,57,58が下方から上方に間隔をあけて順に形成されている。3つの貫通孔56,57,58は、ノズルユニット14が設けられる取付孔である。以下、3つの貫通孔56,57,58のうち、下方から上方に向けて第1貫通孔56、第2貫通孔57、第3貫通孔58として説明することがある。なお、実施形態では、複数の貫通孔として3つの貫通孔56,57,58を例に説明するが、貫通孔の個数はノズルユニット14のノズル数に対応させて任意に選択可能である。
【0034】
<ノズルユニット14>
ノズルユニット14は、凹部41の後面部46において第1貫通孔56に取り付けられた第1ノズル61と、後面部46において第2貫通孔57に取り付けられた第2ノズル62と、後面部46において第3貫通孔58に取り付けられた第3ノズル63と、を備えている。
ここで、凹部41の後面部46は、第1側壁部21のうち作業空間S内に位置する部分である。すなわち、第1ノズル61、第2ノズル62、及び第3ノズル63は、第1側壁部21のうち作業空間S内に位置する部分に設けられている。また、凹部41の後面部46は、シンク13の内面のうち前方を向く面である。すなわち、第1ノズル61、第2ノズル62、及び第3ノズル63は、後面部46に設けられることにより前方(開口部11側)を向いて配置されている。なお、本実施形態において、各ノズル61~63は、等間隔に配置されている。但し、上下方向で隣り合うノズル61~63の間隔は、互いに異ならせてもよい。
【0035】
図7は、図3のVII-VII線に沿う断面図である。
図3図7に示すように、第1ノズル61は、第1貫通孔56(図6参照)に取り付けられることにより受け部43の上方(真上)に設けられている。第1ノズル61は、例えば第1流体として水等の液体を吐出可能な吐出部61aを有する。第1ノズル61は、側面視でL字状に屈曲されている。具体的に、第1ノズル61は、後面部46から前方に延びた後、下方に向けて90°屈曲されている。したがって、吐出部61aは、受け部43に上下方向で向かい合っている。また、第1ノズル61は、第1ノズル61として識別可能な第1マーク65を有している。第1マーク65は、例えば、環状で、かつ着色(例えば、青色)が施されたものである、第1マーク65は、第1ノズル61の基端部に位置するフランジ部61bと後面部46との間に挟み込まれた状態で、第1ノズル61の基端部を取り囲んでいる。
【0036】
第2ノズル62は、第2貫通孔57(図6参照)に取り付けられることにより第1ノズル61の直上に設けられている。第2ノズル62は、例えば第2流体として窒素ガス等の気体を吐出可能な吐出部62aを有する。第2ノズル62は、後面部46から前方に延びた後、下方に向けて屈曲されている。第2ノズル62の屈曲角度は、第1ノズル61の屈曲角度よりも大きい。そのため、第2ノズル62の吐出部62aは、第1ノズル61の吐出部61aよりも前方を向いている。
また、第2ノズル62は、第2ノズル62として識別可能な第2マーク66を有している。第2マーク66は、例えば、環状で、かつ着色(例えば、赤色)が施されたものである。第2マーク66は、第2ノズル62の基端部に位置するフランジ部62bと後面部46との間に挟み込まれた状態で、第2ノズル62の基端部を取り囲んでいる。
【0037】
第3ノズル63は、第3貫通孔58(図6参照)に取り付けられることにより第2ノズル62の直上に設けられている。第3ノズル63は、例えば第3流体として第2流体以外の気体を吐出可能な吐出部63aを有する。第3ノズル63は、第2ノズル62と同様に、第1ノズル61よりも屈曲角度が大きくなるように吐出部63aが曲げられている。但し、第3ノズル63の屈曲角度は、第1ノズル61及び第2ノズル62と異ならせても(例えば、大きくても)よい。
また、第3ノズル63は、第3ノズル63として識別可能な第3マーク67を有している。第3マーク67は、例えば、環状で、かつ着色(例えば、黄色)が施されたものである。第3マーク67は、第3ノズル63の基端部に位置するフランジ部63bと後面部46との間に挟み込まれた状態で、第3ノズル63の基端部を取り囲んでいる。
【0038】
<操作部ユニット15>
図3図4に示すように、操作部ユニット15は、第1側壁部21の第1支柱31において前面部31aに設けられた第1操作部71、第2操作部72、及び第3操作部73を備えている。前面部31aは、作業空間Sの外部に位置する部分である。すなわち、第1操作部71、第2操作部72、及び第3操作部73は、第1支柱31の前面部31aに取り付けられることにより、作業空間Sの外部に位置する部分に設けられている。平面視において、前面部31aは、左右方向の内側に向かうに従い後方に延びている。但し、前面部31aは、左右方向に直線状に延びていてもよい。
【0039】
第1操作部71は、吐出部61aからの第1流体の吐出及び遮断や吐出量を、回転操作等によって切り替えるバルブである。第1操作部71は、平面視において、前面部31aと直交する向きに突出している。すなわち、第1操作部71は、前面部31aから左斜め前方に向けて突出している。第1操作部71は、第1ノズル61に接続配管68等を介して接続されている。また、第1操作部71は、第1流体を供給する供給源(図示せず)に供給配管69等を介して接続されている。
【0040】
また、第1操作部71は、第1操作部71として識別可能な第1マーク75を有している。第1マーク75は、第1操作部71の把持部71aにおいて頂部に固定されている。第1マーク75は、第1ノズル61の第1マーク65と対応して設けられている。本実施形態において、第1マーク65,75同士に同色(例えば青色)を施すことにより、第1ノズル61と第1操作部71とを対応付けている。
【0041】
第2操作部72は、吐出部62aからの第2流体の吐出及び遮断や吐出量を、回転操作等によって切り替えるバルブである。第2操作部72は、前面部31aのうち第1操作部71の直上に位置する部分に、第1操作部71と同じ向きに設けられている。第2操作部72は、第2ノズル62に不図示の配管等を介して接続されている。また、第2操作部72は、第2流体を供給する供給源(図示せず)に接続されている。
また、第2操作部72は、第2操作部72として識別可能な第2マーク76を有している。第2マーク76は、第2操作部72の把持部72aにおいて頂部に固定されている。第2マーク76は、第2ノズル62の第2マーク66と対応して設けられている。本実施形態において、第2マーク66,76同士に同色(例えば赤色)を施すことにより、第2ノズル62と第2操作部72とを対応付けている。
【0042】
第3操作部73は、吐出部63aからの第3流体の吐出及び遮断や吐出量を、回転操作等によって切り替えるバルブである。第3操作部73は、前面部31aのうち第2操作部72の直上に位置する部分に、第2操作部72と同じ向きに設けられている。第3ノズル63に不図示の配管等を介して接続されている。また、第3操作部73は、第3流体を供給する供給源(図示せず)に接続されている。
また、第3操作部73は、第3操作部73として識別可能な第3マーク77を有している。第3マーク77は、第3操作部73の把持部73aにおいて頂部に固定されている。第3マーク77は、第3ノズル63の第3マーク67と対応して設けられている。本実施形態において、第3マーク67,77同士に同色(例えば黄色)を施すことにより、第3ノズル63と第3操作部73とを対応付けている。
【0043】
なお、実施形態では、ノズルユニット14として第1ノズル61~第3ノズル63の3つのノズルを備え、操作部ユニット15として第1操作部71~第3操作部73の3つの操作部を備える構成について説明するが、この構成のみに限られない。例えば、ノズルユニット14として2つのノズルを備え、操作部ユニット15として2つの操作部を備えることが可能である。あるいは、ノズルユニット14として4つ以上のノズルを備え、操作部ユニット15として4つの以上の操作部を備えることが可能である。また、各操作部71~73は、スライド操作や押圧操作等によって流体の吐出及び遮断を切り替えてもよい。
【0044】
次に、ヒュームフード1を使用して実験を行う場合を図2図4に基づいて説明する。
まず、図2図4に示すように、昇降扉12を所定量上昇させ、開口部11の一部を開放させる。昇降扉12を上昇させると、バランス錘36が第2支柱32に沿って下方に移動する。バランス錘36は、昇降扉12に対して釣り合いが図られている。よって、昇降扉12をスムーズかつ正確な昇降操作することが可能になる。
昇降扉12を上昇させて開口部11の一部を開放させた後、不図示の排気ファンを駆動する。これにより、作業空間S内の気体等が実験施設の室外に排気口を通じて排出されるとともに、開口部11から作業空間S内に空気が導入される。
【0045】
この状態において、第1操作部71~第3操作部73から選択した操作部を操作することにより、選択した操作部に対応するノズルから液体や気体等の流体がシンク13内に向けて吐出される。これにより、作業空間S内において、各種流体を用いた実験が可能になる。この際、第1吐出部61aから吐出された液体のうち、実験器具で受けきれなかった液体は受け部43内に収容された後、排水口54を通じて外部に排出される。一方、第2吐出部62a又は第3吐出部63から吐出された気体のうち実験器具で受けきれなかった気体は、作業空間S内の空気とともに実験施設の室外に排気口(図示せず)を通じて排出される。
【0046】
ここで、本実施形態では、作業空間S内において受け部43の上方に第1ノズル61を設け、第1ノズル61の上方に第2ノズル62を設け、第2ノズル62の上方に第3ノズル63を設ける構成とした。また、作業空間Sの外部に第1操作部71を設け、第1操作部71の上方に第2操作部72を設け、第2操作部72の上方に第3操作部73を設ける構成とした。
この構成によれば、第1ノズル61~第3ノズル63を上下方向(縦方向)に配列でき、第1操作部71~第3操作部73を各ノズル61~63と同じ上下方向に配列できる。加えて、第1ノズル61、第2ノズル、及び第3ノズル63に対応させて第1操作部71、第2操作部72、及び第3操作部73の配列順序を決めることができる。よって、第1ノズル61と第1操作部71との関係、第2ノズル62と第2操作部72との関係、及び第3ノズル63と第3操作部73との関係を作業者が把握しやすい。すなわち、第1ノズル61~第3ノズル63のいずれか一方から流体を吐出する際、あるいはいずれか一方から吐出している流体を遮断する際に、作業者は一方のノズルに対応する操作部を第1操作部71~第3操作部73から容易に把握(選択)できる。
これにより、複数の操作部71~73と複数のノズル61~63との各々の対応関係を容易に把握可能にして、各々の操作部71~73を操作して流体を扱う際に各々の操作部71~73の操作性を高めることができる。
【0047】
本実施形態では、凹部41を第1側壁部21の内壁部33に対して左右方向の外側(すなわち、作業空間Sの外側)に窪ませる構成とした。
この構成によれば、シンク13が作業空間Sを妨げることなく、作業空間Sを大きく確保できる。これにより、作業空間S内における作業性を高めることができる。加えて、シンク13や作業空間Sの見た目を良好に確保できる。
【0048】
本実施形態では、第1ノズル61、第2ノズル62、及び第3ノズル63を、シンク13の内面のうち前方を向く後面部46に設ける構成とした。
この構成によれば、第1ノズル61~第3ノズル63を作業者から認識しやすい。これにより、第1ノズル61と第1操作部71との関係、第2ノズル62と第2操作部72との関係、及び第3ノズル63と第3操作部73との関係を作業者が良好に把握しやすくできる。
【0049】
本実施形態では、第1操作部71及び第1ノズル61同士を対応付ける第1マーク75,65、第2操作部72及び第2ノズル62同士を対応付ける第2マーク76,66、並びに第3操作部73及び第3ノズル63同士を対応付ける第3マーク77,67を設ける構成とした。
この構成によれば、第1ノズル61と第1操作部71との関係、第2ノズル62と第2操作部72との関係、及び第3ノズル63と第3操作部73との関係を作業者が一層良好に把握しやすくできる。
特に、第1ノズル61~第3ノズル63をシンク13の後面部46に設けることにより、第1ノズル61~第3ノズル63が作業者から離れた位置に配置されることが考えられる。この場合においても、第1ノズル61~第3ノズル63の各々のマーク65~67を視認しやすくできる。これにより、第1ノズル61と第1操作部71との関係、第2ノズル62と第2操作部72との関係、及び第3ノズル63と第3操作部73との関係を作業者が一層良好に把握しやすくできる。
【0050】
また、第1ノズル61と第1操作部71との関係、第2ノズル62と第2操作部72との関係、及び第3ノズル63と第3操作部73との関係を把握するために、第1マーク65,75、第2マーク66,76、第3マーク67,77として色の目印を採用した。これにより、第1マーク65,75、第2マーク66,76、第3マーク67,77を簡単な構成とすることができる。
なお、実施形態で説明した第1マーク65,75、第2マーク66,76、第3マーク67,77に代えて、各々のノズル61~63及び各々の操作部71~73にマークとして色を直接塗布してもよい、また、対応するノズル及び操作部を識別可能なマークとして、色以外に例えば、形状や模様等を付してもよい。
【0051】
本実施形態では、第1操作部71、第2操作部72、及び第3操作部73を第1側壁部21の第1支柱31に設ける構成とした。
この構成によれば、第1操作部71、第2操作部72、及び第3操作部73が、第1ノズル61、第2ノズル62、及び第3ノズル63と左右方向で同じ側に配置される。これにより、第1ノズル61と第1操作部71との関係、第2ノズル62と第2操作部72との関係、及び第3ノズル63と第3操作部73との関係を作業者が一層良好に把握しやすくできる。
【0052】
本実施形態では、第1ノズル61を、例えば第1流体として水等の液体が吐出する構成とした。また、第1ノズル61は下方に向けて屈曲されている構成とした。
ここで、第1ノズル61は、受け部43の上方かつ第2ノズル62や第3ノズル63より下方に設けられている。よって、この構成によれば、第1ノズル61の吐出部61aを第2ノズル62や第3ノズル63に妨げられることなく受け部43の真上に配置できる。これにより、第1ノズル61の吐出部61aから吐出した液体が第2ノズル62や第3ノズル63にかかることなく受け部43に直接流すことができる。このため、例えば、第1ノズル61から吐出された液体による作業空間Sへの飛散を抑えることができる。
【0053】
本実施形態では、第2ノズル62を、例えば第2流体として窒素ガス等の気体が吐出する構成とした。また、第2ノズル62の屈曲角度が第1ノズル61よりも大きい構成とした。
この構成によれば、第2ノズル62を第1ノズル61の上方に並べて配置しやすくできる。また、例えば、第2ノズル62の吐出部62aに接続したホース(図示せず)が第1ノズル61に干渉することを抑えることができる。
【0054】
また、第3ノズル63を、例えば第3流体として第2流体以外の気体が吐出する構成とした。また、第3ノズル63の屈曲角度が第1ノズル61よりも大きくなるように形成する構成とした。
この構成によれば、第3ノズル63を第2ノズル62の上方に並べて配置しやすくできる。また、例えば、第3ノズル63の吐出部63aに接続したホース(図示せず)が第1ノズル61や第2ノズル62に干渉することを抑えることができる。
【0055】
以上、本発明によるヒュームフード1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、フード5の前方に開口部11を形成する構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、フード5の前方に加えて後方に開口部を形成して前後の両面を開口とすることが可能である。
【0056】
上述した実施形態では、シンク13を第1側壁部21の内壁部33に対して左右方向の外側(すなわち、作業空間Sの外側)に窪ませる構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、シンク13を第1側壁部21の内壁部33から作業空間S側に突出させることも可能である。
【0057】
上述した実施形態では、第1ノズル61、第2ノズル62、及び第3ノズル63を第1側壁部21に設けるとともに、第1操作部71、第2操作部72、及び第3操作部73を第1側壁部21に設ける構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、第1ノズル61~第3ノズル63を第1側壁部21に設けるとともに、第1操作部71~第3操作部73を第2側壁部22に設けることも可能である。
上述した実施形態では、第1ノズル61~第3ノズル63を第1側壁部21に設けるとともに、第1操作部71~第3操作部73を第1側壁部21に設ける構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、第1側壁部21に加えて第2側壁部22にもノズルを別途設けるとともに、操作部を別途設けることが可能である。
【0058】
上述した実施形態では、第1ノズル61~第3ノズル63をシンク13の内面のうち前方を向く後面部46に設ける構成について説明したが、この構成のみに限られない。第1ノズル61~第3ノズル63を、シンク13の内面のうち例えば第2側壁部22を向く面(例えば、シンク13の側壁部49)に設けることが可能である。
【0059】
上述した実施形態では、第1ノズル61から第1流体として液体を吐出し、第2ノズル62から第2流体として気体を吐出し、第3ノズル63から第3流体として気体を吐出する構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、第1ノズル61~第3ノズル63から吐出する流体は液体、気体に限らないことが可能である。
【0060】
上述した実施形態では、第1操作部71~第3操作部73を第1側壁部21の第1支柱31において前面部31aに設ける構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、第1操作部71~第3操作部73を第1支柱31の前面部31a以外に設けることが可能である。
上述した実施形態では、第1ノズル61~第3ノズル63同士、及び第1操作部71~第3操作部73同士がそれぞれ上下方向に直線状に並んだ構成について説明したが、この構成に限られない。第1ノズル61~第3ノズル63同士、及び第1操作部71~第3操作部73同士は、上下方向に並んでいれば、前後方向又は左右方向にずれて配置されていてもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…ヒュームフード
10…フード本体
11…開口部
13…シンク
21…第1側壁部
22…第2側壁部
31…第1支柱
31a…第1支柱の前面部(作業空間の外部に位置する部分)
33…内壁部(第1側壁部のうち作業空間内に位置する部分)
43…受け部
46…後面部(第1側壁部のうち作業空間内に位置する部分、開口部側を向く面)
61…第1ノズル
62…第2ノズル
63…第3ノズル
65…第1ノズルの第1マーク
66…第2ノズルの第2マーク
67…第3ノズルの第3マーク
71…第1操作部
72…第2操作部
73…第3操作部
75…第1操作部の第1マーク
76…第2操作部の第2マーク
77…第3操作部の第3マーク
S…作業空間
図1
図2
図3
図4
図5
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図7