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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066704
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 26/08 20060101AFI20240509BHJP
   B65H 43/02 20060101ALI20240509BHJP
   B65H 43/08 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B65H26/08
B65H43/02
B65H43/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176302
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 聡
【テーマコード(参考)】
3F048
3F105
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC04
3F048BA03
3F048CB08
3F048CB09
3F048DA01
3F048DC14
3F105AA19
3F105AB09
3F105BA22
3F105DA43
3F105DA49
3F105DB11
3F105DC13
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造でロール紙の残量検出を可能とするプリンタを提供することである。
【解決手段】実施形態のプリンタは、所定間隔でラベルが貼付されたロール紙を回動可能に支持するホルダと、前記ホルダから繰り出されたロール紙のラベルに印刷を行う印刷部と、前記ホルダに回動可能に支持されたロール紙の径方向外周面が所定位置になると検出信号を出力するセンサと前記センサの出力に基づいて、一ラベルの発行動作中のニアエンド状態を検出するニアエンド状態検出部と、前記ニアエンド状態検出部が所定枚数以上のラベルについて連続してニアエンド状態を検出した場合、前記ロール紙の残量が所定量以下になったと判定する残量判定部と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔でラベルが貼付されたロール紙を回動可能に支持するホルダと、
前記ホルダから繰り出されたロール紙のラベルに印刷を行う印刷部と、
前記ホルダに回動可能に支持されたロール紙の径方向外周面が所定位置になると検出信号を出力するセンサと
前記センサの出力に基づいて、一ラベルの発行動作中のニアエンド状態を検出するニアエンド状態検出部と、
前記ニアエンド状態検出部が所定枚数以上のラベルについて連続してニアエンド状態を検出した場合、前記ロール紙の残量が所定量以下になったと判定する残量判定部と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記ニアエンド状態検出部は、前記ロール紙を搬送させる搬送モータの駆動信号に基づいて、一ラベルの発行動作中であることを判断する、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ラベルの搬送方向一端と次のラベルの搬送方向一端との間隔を検出するラベルピッチ検出部をさらに備え、
前記残量判定部は、前記ラベルピッチ検出部が検出した間隔に応じて、前記所定枚数を設定する、
請求項1または請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
ロール状に巻回されたロール紙を回動可能に支持するホルダと、
前記ホルダから繰り出されたロール紙に印刷を行う印刷部と、
前記ホルダに回動可能に支持されたロール紙の径方向外周面が所定位置になると検出信号を出力するセンサと
正転することによって前記ロール紙を搬送方向に搬送するとともに、逆転することによって前記ロール紙を当該搬送方向とは反対方向に搬送する搬送モータと、
前記センサの出力に基づいて、ニアエンド状態を検出するニアエンド状態検出部と、
前記搬送モータが正転していない状態で前記ニアエンド状態検出部がニアエンド状態を検出した場合、前記ロール紙の残量が所定量以下になったと判定する残量判定部と、
を備えるプリンタ。
【請求項5】
前記残量判定部の判定結果に基づいて、前記ロール紙の残量が所定量以下になったことを報知する報知部をさらに備える、
請求項1または請求項4に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状に巻回されたロール紙に印刷を行うプリンタが知られている。例えば、所定間隔でラベルが添付されたロール紙の当該ラベルに印刷を行うプリンタが知られている。この種のプリンタでは、ロール紙の残量が少なくなったことを検出(以下、「残量検出」ともいう)して、ユーザに報知することが行われている。
【0003】
ロール紙の残量検出は、当該ロール紙の側面に対向して配置されたセンサを用いて行われている。具体的には、センサは、ロール紙の径方向外周面の位置が所定位置になったことを検出する。これにより、プリンタは、ロール紙の巻回量が少なくなったこと、すなわちロール紙の残量が少なくなったことを検出する。
【0004】
プリンタの印刷動作中にロール紙が径方向に移動しないように押さえることにより、当該ロール紙の残量検出が正しく行われるようにしたプリンタが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このプリンタは、回動するロール紙を押さえる構造が必要となるため、プリンタの構造が複雑化するものであった。このため、簡単な構造でロール紙の残量検出を可能とすることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造でロール紙の残量検出を可能とするプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のプリンタは、所定間隔でラベルが貼付されたロール紙を回動可能に支持するホルダと、前記ホルダから繰り出されたロール紙のラベルに印刷を行う印刷部と、前記ホルダに回動可能に支持されたロール紙の径方向外周面が所定位置になると検出信号を出力するセンサと前記センサの出力に基づいて、一ラベルの発行動作中のニアエンド状態を検出するニアエンド状態検出部と、前記ニアエンド状態検出部が所定枚数以上のラベルについて連続してニアエンド状態を検出した場合、前記ロール紙の残量が所定量以下になったと判定する残量判定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るラベルプリンタの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係るロール紙の一部を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るラベルプリンタにおいて、ラベル発行動作中のロール紙の移動を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係るラベルプリンタにおけるニアエンドセンサの出力の一例を示すタイミングチャートである。
図5図5は、実施形態に係るラベルプリンタのハードウエア構成を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係るラベルプリンタの記憶部に記憶される所定回数管理テーブルのデータ構成を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るラベルプリンタの記憶部に記憶されるステップ数管理テーブルのデータ構成を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るラベルプリンタの制御部の機能構成を示すブロック図である。
図9図9は、実施形態に係るラベルプリンタの制御部による残量検出処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係るラベルプリンタの制御部による変形例の残量検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態のプリンタについて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、いずれの動作モードにおいてもラベルに印刷するラベルプリンタをプリンタとした例について説明するが、これに限らない。プリンタは、後述する変形例のようにロール紙を搬送する搬送モータが反転動作を行うものにおいては、ラベルが添付されないロール紙に印刷を行うプリンタであってもよい。
【0009】
まず、ラベルプリンタの概略構成について説明する。図1は、実施形態に係るラベルプリンタの概略構成を示す模式図である。
【0010】
ラベルプリンタ1は、筐体2の内部に、ラベル用紙LPをロール状に巻回したロール紙RPを収容する。ロール紙RPは、後述するホルダ30(図3参照)に回転可能に支持される。ロール紙RPは、ロール支持体RSと当該ロール支持体RSに巻回されたラベル用紙LPとを有する。ラベルプリンタ1は、ロール支持体RSからラベル用紙LPを引き出しながらラベルに印刷を行う。
【0011】
ロール支持体RSから引き出されたラベル用紙LPは、ダンパーローラ50を介して図3に示す矢印の方向に順次搬送される。ダンパーローラ50は、ホルダ30の支持軸31(図3参照)と同様に軸方向の一端が筐体2に取り付けられた片持ち支持構造によって筐体2に取り付けられる。ダンパーローラ50は、ロール紙RPから引き出されたラベル用紙LPを掛けることによって、印刷動作中においてラベル用紙LPに弛みがなくなった瞬間にロール紙RPに加わる衝撃を和らげる。具体的には、ダンパーローラ50は、ラベル用紙LPに弛みがある状態で搬送モータ40が駆動されてラベル用紙LPが正方向に搬送される際、当該ラベル用紙LPの弛みがなくなった瞬間にロール紙RPに加わる衝撃を和らげる。
【0012】
図2に示すように、ラベル用紙LPは、台紙Mと当該台紙Mに所定間隔で貼付される複数のラベルLとを有する。複数のラベルLは、所定のラベルピッチPで等間隔に貼付されている。ここでラベルピッチPは、ラベルLの搬送方向先端と、当該ラベルLに隣り合うラベルLの搬送方向先端との距離である。なお、図中の矢印はラベル用紙LPの搬送方向を示しており、後述する搬送モータ40(図5参照)の正転時に搬送される方向である。
【0013】
ラベルプリンタ1は、筐体2の内部に、搬送ローラ11と、プラテンローラ12と、サーマルヘッド13と、ラベルセンサ14と、剥離ガイド15と、巻取ローラ16と、剥離センサ17と、ダンパーローラ50を備える。また、ラベルプリンタ1は、筐体2の内部に、リボン保持軸21と、リボン巻取軸22と、ガイド軸23とを備える。
【0014】
搬送ローラ11は、キャプスタンローラ111と、二つの補助ローラ112とを有する。ロール支持体RSから引き出されたラベル用紙LPは、キャプスタンローラ111と、補助ローラ112との間に挿通される。プラテンローラ12は、サーマルヘッド13に対向する位置に配置される。ラベル用紙LPは、プラテンローラ12と、サーマルヘッド13との間に挿通される。
【0015】
キャプスタンローラ111およびプラテンローラ12は、搬送モータ40によって回転駆動される。搬送モータ40は、例えば、正逆回転可能なステッピングモータで構成される。搬送モータ40は、正転時にキャプスタンローラ111およびプラテンローラ12を図中反時計回りに回転させ、ラベル用紙LPを排出口3に向けて搬送する。また、搬送モータ40は、逆転時にキャプスタンローラ111およびプラテンローラ12を図中時計回りに回転させ、ラベル用紙LPを反対方向に搬送する。以下の説明において、ラベル用紙LPを排出口3に向けて搬送することを「正方向に搬送」、反対方向に搬送することを「逆方向に搬送」という場合がある。
【0016】
ラベルプリンタ1は、連続発行モード、カット発行モード、および剥離発行モードを有する。連続発行モードは、設定された枚数のラベルLを連続的に印刷し、排出口3からラベル用紙LPを排出させる動作モードである。排出口3から排出されるラベル用紙LPは、印刷された複数のラベルLが台紙Mに貼付されたままである。連続発行モードでは、搬送モータ40は正転してラベル用紙LPを正方向のみに搬送する。
【0017】
カット発行モードは、印刷されたラベルLを1枚ごとにカットする動作モードである。具体的には、カット発行モードは、印刷されたラベルLが貼付されたラベル用紙LPを排出口3から排出した状態で、図示しないカッターによりラベルL間に位置する台紙Mをカットするモードである。その結果、印刷されたラベルLは、台紙Mに貼付された状態で1枚ごとに排出される。搬送モータ40は、カッターが台紙Mをカットした後、逆方向に回転してラベル用紙LPを逆方向に搬送し、次に印刷されるラベルLを印刷開始位置まで搬送する。
【0018】
剥離発行モードは、印刷されたラベルLを台紙Mから剥離する動作モードである。具体的には、剥離発行モードは、印刷されたラベルLの大部分を台紙Mから剥離して排出口3から排出するモードである。一部が台紙Mに貼付された状態のラベルLがユーザによって取り出されると、ラベルプリンタ1は、次のラベルLの印刷を行う。搬送モータ40は、剥離されたラベルLがユーザによって取り出されると、逆方向に回転してラベル用紙LPを逆方向に搬送し、次に印刷されるラベルLを印刷開始位置まで搬送する。カット発行モードおよび剥離発行モードはラベル用紙LPを逆方向に搬送するので、両者を総称して「逆転搬送モード」という場合がある。
【0019】
サーマルヘッド13は、ホルダ30から繰り出されたロール紙RPのラベルLに印刷を行う印刷部の一例である。すなわち、サーマルヘッド13は、ロール支持体RSから引き出されたラベル用紙LPのラベルLに印刷を行う。サーマルヘッド13は、ラベルLが添付されていないロール紙RPに印刷することも可能である。サーマルヘッド13は、複数個の発熱体を整列させた構造を有する。サーマルヘッド13は、印刷パターンに対応する発熱体を発熱させることによって、プラテンローラ12とサーマルヘッド13との間に挟持されたロール紙RPのラベルLに印刷を行う。
【0020】
具体的には、プラテンローラ12とサーマルヘッド13との間には、インクリボンIRが挿通される。インクリボンIRに塗布されたインクは、熱したサーマルヘッド13によってロール紙RPのラベルLに転写される。
【0021】
インクリボンIRは、リボン保持軸21とリボン巻取軸22との間に懸架される。リボン保持軸21は、未使用のインクリボンIRをロール状に巻装している。リボン巻取軸22は、インクリボンIRを巻き取る軸である。また、ガイド軸23は、リボン保持軸21とリボン巻取軸22との間に懸架されるインクリボンIRを所定の位置へと導くためのガイド部材である。リボン巻取軸22は、ラベル用紙LPを印刷する際に図示しない第1駆動モータによって図中時計回りに回転駆動され、インクリボンIRを巻き取る。
【0022】
なお、サーマルヘッド13は、ソレノイド等の図示しない移動機構により上下に移動する。これによって、ラベルプリンタ1では、サーマルヘッド13がインクリボンIRおよびロール紙RPを介してプラテンローラ12に圧接した状態と、サーマルヘッド13がプラテンローラ12から離れた非圧接の状態とを切り替えることが可能となっている。サーマルヘッド13は、ロール紙RPの印刷を行う際にインクリボンIRを介してプラテンローラ12に圧接される。また、リボン巻取軸22は、印刷が行われる間、ラベル用紙LPの搬送速度に応じた速度でインクリボンIRを巻き取り、サーマルヘッド13が上記非圧接の状態になると、巻き取りを停止する。
【0023】
ラベルセンサ14は、搬送ローラ11とプラテンローラ12との間のラベル用紙LPの搬送経路に設けられる。ラベルセンサ14は、ラベル用紙LPからラベルLの搬送方向先端部(以下、単に「ラベルLの先端部」ともいう)を検出する。これにより、ラベルセンサ14は、ラベルピッチP(図2参照)を検出することができる。例えば、ラベルセンサ14は、発光素子と受光素子とで構成される透過型のセンサによって実現することができる。ラベルセンサ14は、ラベル用紙LPの搬送時に受光素子の受光レベルに基づいてラベルLの先端部を検出する。
【0024】
ラベルプリンタ1は、ラベルセンサ14が検出したラベルLの先端部の位置から、当該ラベルLの位置を割り出し、各動作モードにおいて、サーマルヘッド13の印刷開始位置にラベルLを搬送する。
【0025】
剥離ガイド15は、剥離発行モードにおいて印刷されたラベルLを台紙Mから剥離する。剥離ガイド15は、互いに鋭角で交差する2面を有するV字形状に形成される。剥離ガイド15は、排出口3に向けて搬送されたラベル用紙LPを屈曲させて、台紙MとラベルLとを剥離する。ラベルLが剥離された台紙Mは、巻取ローラ16に巻き取られる一方、台紙Mから剥離されたラベルLは、筐体2に設けられた排出口3から排出(発行)される。
【0026】
巻取ローラ16は、剥離発行モードにおいて、ロール紙RPの一端が保持されラベルLが剥離された台紙Mを巻き取る。巻取ローラ16は、図示しない第2駆動モータによって回転駆動される。例えば、第2駆動モータは、ラベル用紙LPの印刷を行う際に、巻取ローラ16を図中反時計回りに回転させ、ラベルが剥離された台紙Mを巻取ローラ16に巻き取らせる。巻取ローラ16は、連続発行モードおよびカット発行モードでは、ロール紙RPを保持せず活用されない。
【0027】
剥離センサ17は、排出口3の近傍に設置され、剥離発行モードにおいて台紙Mから大部分が剥離されたラベルLの有無を検出する。剥離センサ17は、例えば、発光素子と受光素子とで構成される透過型のセンサで実現することができる。
【0028】
剥離センサ17がラベルLを検出すると、ラベルプリンタ1は、ラベル用紙LPの搬送と印刷とを一時停止する。そして、ユーザが排出口3からラベルLを取り出すと、剥離センサ17は、ラベルLが存在しないことを検出する。ラベルプリンタ1は、剥離センサ17でラベルが存在しないことが検出された場合、ラベル用紙LPの搬送と印刷を再開する。
【0029】
具体的には、ラベルプリンタ1は、印刷を再開する場合、剥離が行われたラベルの次のラベルをサーマルヘッド13の印刷開始位置まで戻すため、ラベル用紙LPを逆方向に所定量搬送させる。そして、ラベルプリンタ1は、逆方向への搬送が完了すると、次のラベルの印刷を行い、印刷が完了したラベルを排出口3から発行する。
【0030】
次に、ロール紙RPの残量検出について説明する。図3は、ラベル発行動作中のロール紙の移動を説明するための図である。図3において、ロール紙RPを回動可能に支持するホルダ30は、支持軸31を有する。支持軸31は、軸方向の一端が筐体2に取り付けられた片持ち支持構造によって筐体2に取り付けられる。支持軸31は、ロール紙RPのロール支持体RSに挿通されて当該ロール紙RPを回動可能に支持する。なお、図示していないが、支持軸31の他端にはロール紙RPの軸方向への移動を規制するガイドが設けられている。
【0031】
ラベルプリンタ1には、ニアエンドセンサ41が設けられている。ニアエンドセンサ41は、ロール紙RPの側面に対向する位置に設けられ、ロール紙RPの径方向外周面が所定位置になったニアエンド状態を検出する。言い換えると、ニアエンドセンサ41は、ラベル用紙LPが引き出されることによりロール紙RPの径が所定量以下となったと考えられるニアエンド状態を検出する。ニアエンドセンサ41は、例えば、発光素子と受光素子とで構成される反射型のセンサで実現することができる。
【0032】
上記ロール紙RPの支持構造において、ラベル用紙LPは、ロール支持体RSから引き出されてダンパーローラ50を経由する際、仮想線LPLに対してずれた軌道となる。具体的には、ラベル用紙LPは、巻き癖がついており、ラベルLが張り付けられた部分とラベルが張り付けられていないラベルL間の部分との巻き癖の強さの差異から図中破線で示すような軌道となる。より詳細には、ラベルLの両端部分が内側に凹んだ状態となる。
【0033】
このため、図中Aで示すポイントにおいて、支持軸31に支持されたロール紙RPがロール支持体RSから引き出されたラベル用紙LP(ラベルLの端部に位置する部分)に押圧される。ロール紙RPがロール支持体RSから引き出されたラベル用紙LPに押圧される事象は、ラベル1枚の発行動作ごとに生じる。ロール紙RPは、ロール支持体RSから引き出されたラベル用紙LPに押圧されることで、正常位置から移動(以下、「転動」ともいう)する場合が生じる。この場合、ニアエンドセンサ41は、ロール紙RPの巻回量が所定量以下でない状態であってもニアエンド状態を検出してしまう。
【0034】
ロール支持体RSから引き出されたラベル用紙LPによるロール紙RPに対する押圧力は、ラベルLの巻き癖の度合い等により一定ではない。このため、ロール紙RPは、残量が所定量以上で質量が大きい状態では、引き出されたラベル用紙LPに押圧されても転動しない場合もある。
【0035】
図4は、連続発行モードにおけるニアエンドセンサ41の出力の一例を示すタイミングチャートである。図4に示す例では、ロール紙RPの残量が所定量以上場合、1枚目のラベル発行動作中にロール紙RPに加わる押圧力が小さく、当該ロール紙RPは転動しない。このため、ニアエンドセンサ41は、ニアエンド状態を検出せず検出信号(ハイレベルの信号)を出力しない。
【0036】
なお、図4において、1枚のラベルLの発行動作(一ラベルの発行動作)は、例えば、あるラベルLが印刷開始位置に至った時点から次のラベルLが印刷開始位置に搬送されるまでのラベルプリンタ1の動作である。言い換えれば、1枚のラベルLの発行動作とは、連続発行モードにおいて、ラベル用紙LPがラベルピッチP分搬送される間のサーマルヘッド13や搬送モータ40等の動作である。以下の説明において、1枚のラベルLの発行動作中の期間を「一ラベル発行期間」ともいう。
【0037】
図4に示す例では、ロール紙RPの残量が所定量以上場合、2枚目の一ラベル発行期間にロール紙RPに加わる押圧力は大きく、当該ロール紙RPは転動する。このため、ニアエンドセンサ41は、ロール紙RPがラベル用紙LPに押圧されて転動したときにニアエンド状態を検出して検出信号を出力している。なお、2枚目の一ラベル発行期間において、ロール紙RPがポイントAにおいてラベル用紙LPに押圧された後は、ロール紙RPは正常位置に戻るため、ニアエンドセンサ41は検出信号を出力しない状態に戻っている。
【0038】
この例では、N枚のラベルLを連続発行するうち2枚目の一ラベル発行期間のみ、ニアエンドセンサ41はニアエンド状態を検出する。言い換えると、ニアエンドセンサ41は、ロール紙RPが所定量以上であるにも拘らず、2枚目の一ラベル発行期間にニアエンド状態を検出してしまう。
【0039】
ロール紙RPの残量が所定量以下の場合、ロール紙RPが正常位置のときにニアエンドセンサ41はニアエンド状態を検出して検出信号を出力し続ける。連続発行モード中にロール紙RPがラベル用紙LPに押圧されて転動してもニアエンドセンサ41はニアエンド状態を検出するので検出信号を出力する。そこで、本実施形態のラベルプリンタ1は、連続発行モードにおいて、ニアエンドセンサ41が所定枚数以上のラベルLについて連続してニアエンド状態を検出した場合にロール紙の残量が少なくなったと判断するようにしたものである。なお、他の動作モードでも同様に、ロール紙RPがラベル用紙LPに押圧されることに起因するロール紙RPの残量検出の誤検出を防止することができる。
【0040】
図5は、ラベルプリンタ1の主たるハードウエア構成を示すブロック図である。ラベルプリンタ1は、制御部100と、記憶部200と、サーマルヘッド13と、ラベルセンサ14と、剥離センサ17と、搬送モータ40と、ニアエンドセンサ41と、カッタモータ42と、表示部43と、操作部44と、通信部45とを備える。制御部100、記憶部200、サーマルヘッド13、ラベルセンサ14、剥離センサ17、搬送モータ40、ニアエンドセンサ41、カッタモータ42、表示部43、操作部44、および通信部45は、バス46等を介して互いに接続されている。
【0041】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103を備える。CPU101、ROM102、RAM103は、バス46を介して互いに接続されている。
【0042】
CPU101は、ラベルプリンタ1の全体の動作を制御する。CPU101は、プロセッサの一例である。ROM102は、CPU101の駆動に用いられるプログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用され、ROM102や記憶部200に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。CPU101は、ROM102や記憶部200に記憶されRAM103に展開された制御プログラムにしたがって動作することによって、ラベルプリンタ1の各種制御処理を実行する。
【0043】
また、RAM103は、印刷データ部1031を備える。印刷データ部1031は、PC60(図8参照)等の外部装置から受信した印刷データや印刷指示枚数などを記憶する。印刷データは、ラベルLに印刷される文字データや画像データなどである。印刷指示枚数は、印刷データを印刷するラベルLの枚数である。
【0044】
記憶部200は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部200は、制御プログラム201、ラベルピッチ部202、所定回数管理テーブル203、およびステップ数管理テーブル204を記憶する。
【0045】
制御プログラム201は、PC60などの外部装置から印刷データを取得する機能、サーマルヘッド13や搬送モータ40を駆動して上記印刷データを媒体(ラベルL、ロール紙RPなど)に印刷する機能、ラベルセンサ14の出力に基づいてラベルピッチPを検出する機能、ニアエンドセンサ41の出力に基づいて残量検出する機能、などを実現するためのプログラムである。制御プログラム201は、ラベルプリンタ1を動作させるその他の各種制御プログラムを含む。
【0046】
ラベルピッチ部202は、使用されるロール紙RPのラベルピッチを記憶する。ラベルピッチ部202は、ラベルセンサ14が検出したラベルピッチを記憶する。例えば、ラベルプリンタ1は、ロール紙RPが新たにホルダ30に支持された際にラベル用紙LPを所定量搬送させて、ラベルセンサ14によって当該ロール紙RPのラベルピッチを検出し、ラベルピッチ部202に記憶する。ラベルピッチ部202は、ユーザが操作部44を操作して入力したラベルピッチを記憶してもよい。
【0047】
所定回数管理テーブル203は、残量検出の判断に用いるニアエンド状態の連続回数(所定回数)を、ラベルピッチに応じて記憶するテーブルである。所定回数管理テーブル203は、ユーザによって任意に設定することができる。図6は、所定回数管理テーブル203のデータ構成を示す図である。所定回数管理テーブル203は、ラベルピッチ範囲と所定回数とを対応づけて記憶する。
【0048】
ラベルピッチ範囲は、使用されるロール紙RPのラベルピッチの範囲である。本実施形態においては、ラベルピッチ範囲は、50mm以下、50mmより大きく100mm以下、100mmより大きい、の3つの範囲が設定されている。
【0049】
所定回数は、残量検出の判断に用いるニアエンド状態の連続回数である。言い換えると、ラベルプリンタ1は、所定回数連続して、一ラベル発行期間にニアエンド状態が検出された場合、残量検出がなされた、すなわちロール紙RPが所定量以下の残量であることが検出されたと判断する。ラベルピッチの範囲に応じて所定回数を変化させることで、ラベルピッチPが長いロール紙RPを使用する場合に残量検出の判断に必要以上に時間を要することを防ぐことができる。
【0050】
ステップ数管理テーブル204は、一ラベル発行期間に要する搬送モータ40のステップ数をラベルピッチごとに設定したテーブルである。図7は、ステップ数管理テーブル204のデータ構成を示す図である。ステップ数管理テーブル204は、ラベルピッチと1枚分のステップ数とを対応づけて記憶する。
【0051】
ラベルピッチは、使用されるロール紙RPのラベルピッチである。ステップ数管理テーブル204に登録されるラベルピッチは、ラベルプリンタ1の出荷時に予め登録されていてもよいし、ラベルピッチ部202に記憶されたデータを登録してもよい。あるいは、ステップ数管理テーブル204に登録されるラベルピッチは、ユーザがロール紙RPを使用する際に操作部44から入力されてもよい。
【0052】
1枚分ステップ数は、一ラベル発行期間に搬送モータ40を駆動するステップ数である。ステップ数管理テーブル204に登録される1枚分ステップ数は、ラベルプリンタ1の出荷時に予め登録されていてもよいし、ラベルピッチが登録された際に制御部100で算出されてもよい。この場合、搬送モータ40の1ステップ分の搬送距離は定まっているので、制御部100はラベルピッチに対応した1枚分のステップ数を算出することができる。
【0053】
図5に戻って、ラベルプリンタ1のハードウエア構成について説明する。サーマルヘッド13、ラベルセンサ14、剥離センサ17、搬送モータ40、ニアエンドセンサ41については前述したとおりである。
【0054】
カッタモータ42は、排出口3から排出されたラベル用紙LPを切断するカッタ(図示せず)を駆動する。具体的には、カッタモータ42は、カット発行モードにおいて、印刷されたラベルLが貼付されたラベル用紙LPを排出口3から排出した状態で、上記カッターを駆動する。これにより、印刷されたラベルLは、台紙Mに貼付された状態で1枚ごとに排出される。
【0055】
表示部43は、例えば液晶パネルで構成され、筐体2の外面に設けられる。表示部43は、各種情報を表示する。例えば、表示部43は、各動作モードにおいて、印刷データ部1031に記憶されたラベルLの印刷指示枚数および印刷済枚数を表示する。また、表示部43は、各動作モードにおいて、残量検出がなされると、ロール紙RPの残量が所定量以下になったことを示す情報を表示する。表示部43は、ロール紙RPの残量が所定量以下になったことを報知する報知部の一例である。なお、報知部は、音声出力するスピーカなどで構成されてもよい。
【0056】
操作部44は、例えば表示部43の表面に設けられたタッチパネルで構成される。操作部44は、ラベルプリンタ1のユーザにより操作され、制御部100に各種情報を入力する。例えば、操作部44は、印刷の開始を指示する情報や動作モードを設定する情報等を制御部100に入力する。
【0057】
通信部45は、PC60などの外部装置通信するためのインターフェイスである。制御部100は、通信部45を介して外部装置と接続されることで、当該外部装置と情報(データ)の送受信が可能となる。
【0058】
次に、ラベルプリンタ1の機能構成について説明する。図8は、ラベルプリンタ1の主たる機能構成を示すブロック図である。制御部100は、CPU101がROM102や記憶部200に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、取得部1001、入力部1002、モード設定部1003、印刷制御部1004、ラベルピッチ検出部1005、ニアエンド状態検出部1006、残量判定部1007、および表示制御部1008として機能する。なお、これら各機能を専用回路等のハードウエアで構成してもよい。
【0059】
取得部1001は、印刷データを取得する。具体的には、取得部1001は、ラベルLに印刷する文字データや画像データ等の印刷データをPC60から受信する。また、取得部1001は、印刷データに対応付けられた印刷指示枚数をPC60から受信する。取得部1001は、取得した印刷データおよび印刷指示枚数を印刷データ部1031に記憶する。
【0060】
入力部1002には、ラベルセンサ14、剥離センサ17、ニアエンドセンサ41、および操作部44から各種情報が入力される。例えば、入力部1002には、各動作モードにおいて、ラベルセンサ14から搬送されるラベルLの位置情報が入力される。ラベルLの位置情報は、当該ラベルLの搬送方向先端部および後端部の位置を示す情報を含む。制御部100は、入力部1002に入力されたラベルLの位置情報に基づいて、各動作モードにおける印刷制御を行う。また、制御部100は、新たなロール紙RPがホルダ30に装着された際などに、入力部1002に入力されたラベルLの位置情報に基づいて、当該ロール紙RPのラベルピッチの検出を行う。
【0061】
入力部1002には、剥離発行モードにおいて、剥離センサ17から印刷されたラベルLが排出口3に位置するか否かを示す剥離情報が入力される。制御部1002は、入力部1002に入力された剥離情報に基づいてサーマルヘッド13や搬送モータ40を制御して、剥離発行モードにおける印刷制御を行う。
【0062】
入力部1002には、各動作モードにおいて、ニアエンドセンサ41からロール紙RPを検出したか否かを示す検出情報が入力される。また、入力部1002には、操作部44から各種情報が入力される。例えば、入力部1002には、操作部44から動作モードを設定する設定情報が入力される。
【0063】
モード設定部1003は、ラベルプリンタ1の動作モードを設定する。具体的には、モード設定部1003は、入力部1002に入力された設定情報に基づいて、連続発行モード、カット発行モード、剥離発行モード等の動作モードのいずれかをラベルプリンタ1の動作モードとして設定する。
【0064】
印刷制御部1004は、モード設定部1003で設定された動作モードにしたがってサーマルヘッド13、搬送モータ40、カッタモータ42等を制御し、ロール紙RPへの印刷を行う。
【0065】
具体的には、印刷制御部1004は、連続発行モードにおいてサーマルヘッド13および搬送モータ40等を制御し、ラベルLを連続的に印刷して排出口3からラベル用紙LPを排出させる。また、印刷制御部1004は、カット発行モードにおいてサーマルヘッド13、搬送モータ40、およびカッタモータ42等を制御し、印刷されたラベルLを1枚ごとにカットして発行させる。さらに、印刷制御部1004は、剥離発行モードにおいてサーマルヘッド13および搬送モータ40等を制御して、印刷されたラベルLを台紙Mから剥離して発行させる。
【0066】
ラベルピッチ検出部1005は、ロール紙RPのラベルピッチPを検出する。具体的には、ラベルピッチ検出部1005は、入力部1002に入力されたラベルLの位置情報に基づいて、台紙Mに貼付されたラベルLの搬送方向一端と次のラベルの搬送方向一端との間隔を検出する。ラベルピッチ検出部1005は、検出したラベルピッチをラベルピッチ部202に記憶する。
【0067】
ニアエンド状態検出部1006は、ニアエンドセンサ41の出力に基づいてニアエンド状態を検出する。具体的には、ニアエンド状態検出部1006は、入力部1002にニアエンドセンサ41がロール紙RPを検出しない旨の検出情報、言い換えるとハイレベルの検出信号が入力されると、ロール紙RPがニアエンド状態であることを検出する。
【0068】
残量判定部1007は、ニアエンド状態検出部1006がいずれかの動作モード中に所定枚数以上のラベルLについて連続してニアエンド状態を検出した場合、ロール紙RPの残量が所定量以下になったと判定する。各動作モードにおいて、一ラベル発行期間にニアエンド状態が検出されることが所定回数継続した場合、残量判定部1007は、ロール紙RPの残量が所定量以下になったと判定する。例えば、ロール紙RPのラベルピッチPが50mm以下の場合、図4に示すニアエンドセンサ41の出力が1枚目発行~6枚目発行まで連続してハイレベルとなると、残量判定部1007は、ロール紙RPの残量が所定量以下になったと判定する。
【0069】
表示制御部1008は、表示部43に各種情報を表示させる。例えば、表示制御部1008は、残量判定部1007によってロール紙RPの残量が所定量以下になったと判定された場合、その旨の情報を表示部43に表示させる。
【0070】
次に、ラベルプリンタ1の制御部100が実行する残量検出処理について説明する。図9は、ラベルプリンタ1の制御部100による残量検出処理の流れを示すフローチャートである。なお、残量検出処理が実行される前にラベルピッチ部202にロール紙RPのラベルピッチPが記憶されているものとする。また、残量検出処理は、いずれかの動作モードでの発行動作中に実行されるものとする。
【0071】
制御部100は、ラベルピッチ部202からロール紙RPのラベルピッチを読み出す(ステップS1)。次いで、制御部100は、所定回数管理テーブル203を参照して、読み出したラベルピッチに対応する所定回数を累計カウンタ値Nに設定する(ステップS2)。例えば、ラベルピッチ部202から読み出したラベルピッチが50mm以下であれば、累計カウンタ値Nは6に設定される。同様に、読み出したラベルピッチが50mmより大きく100mm以下であれば累計カウンタ値Nは4、100mmより大きければ累計カウンタ値は2に設定される。
【0072】
続いて、印刷制御部1004は、一ラベル発行期間における搬送モータ40の駆動信号の先頭ステップを認識する(ステップS3)。残量判定部1007は、ニアエンド状態検出部1006がニアエンド状態を検出したか否か判断する(ステップS4)。言い換えると、残量判定部1007は、入力部1002にニアエンドセンサ41からロール紙RPを検出しない旨の検出情報が入力された否か判断する。
【0073】
ニアエンド状態検出部1006がニアエンド状態を検出した場合(ステップS4のY)、制御部100は検出カウンタを「1」に設定する(ステップS5)。ニアエンド状態検出部1006がニアエンド状態を検出しない場合(ステップS4のN)、制御部100は検出カウンタを「0」に設定する(ステップS6)。例えば、制御部100は、RAM103に設定された検出カウンタ値を記憶する。
【0074】
続いて、制御部100は、一ラベル発行期間の最終ステップの駆動信号が出力されたか否か判断する(ステップS7)。一ラベル発行期間の最終ステップの駆動信号が出力されていない場合(ステップS7のN)、制御部100は、ステップS4の処理に戻る。これにより、ニアエンド状態検出部1006は、一ラベル発行期間のいずれかのタイミングでニアエンド状態になったことを検出できる。
【0075】
一ラベル発行期間の最終ステップの駆動信号が出力された場合(ステップS7のY)、制御部100は、検出カウンタ値が「1」であるか否か判断する(ステップS8)。言い換えると、制御部100は、一ラベル発行期間においてニアエンド状態が検出されたか否か判断する。検出カウンタ値が「1」であると、制御部100は累計カウンタの値に「1」を加算する(ステップS9)。累計カウンタの値は、例えばRAM103に記憶される。
【0076】
次いで、残量判定部1007は、累計カウンタの値が設定された値「N」になったか否か判断する(ステップS10)。累計カウンタの値が「N」になった場合(ステップS10のY)、残量判定部1007はロール紙RPの残量が所定量以下になったと判定する。そして、表示制御部1008は、表示部43にロール紙RPの残量が所定量以下の少ない状態になったことを示す情報を表示させる(ステップS11)。表示部43は、例えば、ロール紙RPを新たなものに交換することを促す表示を行う。
【0077】
次いで、制御部100は、取得部1001が取得した印刷データに含まれる印刷指示枚数のラベルLの発行が完了したか否か判断する(ステップS12)。言い換えると、制御部100は、一ラベル発行動作が印刷指示枚数分実行されたか否か判断する。印刷指示枚数のラベルLの発行が完了すると(ステップS12のY)、制御部100は残量検出処理を終了する。印刷指示枚数のラベルLの発行が完了していない場合(ステップS12のN)、制御部100はステップS3の処理に戻って、印刷指示枚数分のラベルLの発行が完了するまで残量検出処理を続ける。
【0078】
なお、ステップS8の処理において、検出カウンタの値が「1」でない場合(ステップS8のN)、制御部100は、累計カウンタの値を「0」に設定し(ステップS13)、ステップS12の処理に移行する。また、ステップS10の処理において、累計カウンタの値が「N」でない場合(ステップS10のN)、制御部100は、ステップS11の処理をスキップしてステップS12の処理に移行する。
【0079】
上記残量検出処理により、ラベルプリンタ1は、ロール紙RPを押さえる構造等を設けることなく、ロール紙RPがラベル用紙LPに押圧されることに起因するロール紙RPの残量検出の誤検出を防止することができる。
【0080】
次に、残量検出処理の変形例について説明する。変形例は、ラベル発行動作中にラベル用紙LPに加わるテンションに起因するロール紙RPの残量検出の誤検出を防止するものである。例えば、ラベル用紙LPを搬送する際あるいはラベル用紙LPをカッターで切断する際にラベル用紙LPにはテンションが加わっており、これによりロール紙RPが転動する場合がある。変形例では、ラベル用紙LPにテンションが極力加わっていない状態で残量検出を行うようにして、残量検出の誤検出を抑制するものである。
【0081】
図10は、ラベルプリンタ1の制御部100による残量検出処理の変形例の流れを示すフローチャートである。変形例の残量検出処理は、カット発行モードや剥離発行モードなどの逆転搬送モードにおいて実行される。
【0082】
制御部100は、搬送モータ40が正回転しているか否か判断する(ステップS21)。制御部100は、印刷制御部1004が搬送モータ40を正転させているか否かによってステップS21の判断を行う。搬送モータ40が正転していない場合(ステップS21のN)、制御部100はステップS21の処理に戻る。
【0083】
搬送モータ40が正転している場合(ステップS21のY)、制御部100は、搬送モータ40が反転したか否か判断する(ステップS22)。言い換えれば、制御部100は、搬送モータ40が逆回転したか否か判断する。制御部100は、印刷制御部1004が搬送モータ40を逆転させたか否かによってステップS22の判断を行う。
【0084】
搬送モータ40が反転していない場合(ステップS22のN)、制御部100はステップS22の処理に戻る。搬送モータ40が反転した場合(ステップS22のY)、残量判定部1007は、ニアエンド状態検出部1006がニアエンド状態を検出したか否か判断する(ステップS23)。言い換えると、残量判定部1007は、入力部1002にニアエンドセンサ41からロール紙RPを検出しない旨の検出情報が入力された否か判断する。残量判定部1007は、搬送モータ40が逆方向に回転してラベル用紙LPが弛んだ状態、言い換えるとラベル用紙LPがホルダ30に支持されたロール紙RPを引っ張っていない状態で、ニアエンド状態になっているか否かを判断する。
【0085】
ニアエンド状態検出部1006がニアエンド状態を検出すると(ステップS23のY)、表示制御部1008は、表示部43にロール紙RPの残量が所定量以下の少ない状態になったことを示す情報を表示させる(ステップS24)。
【0086】
次いで、制御部100は、取得部1001が取得した印刷データに含まれる印刷指示枚数のラベルLの発行が完了したか否か判断する(ステップS25)。印刷指示枚数のラベルLの発行が完了すると(ステップS25のY)、制御部100は残量検出処理を終了する。印刷指示枚数のラベルLの発行が完了していない場合(ステップS25のN)、制御部100はステップS21の処理に戻って、印刷指示枚数分のラベルLの発行が完了するまで残量検出処理を続ける。
【0087】
なお、ステップS23の処理において、ニアエンド状態検出部1006がニアエンド状態を検出しない場合(ステップS23のN)、制御部100は、ステップS24の処理をスキップしてステップS25の処理に移行する。
【0088】
上記残量検出処理により、ラベルプリンタ1は、ロール紙RPを押さえる構造等を設けることなく、逆転搬送モードにおいて、ラベル用紙LPに加わるテンションに起因するロール紙RPの残量検出の誤検出を防止するものである。
【0089】
以上説明したとおり、本実施形態のラベルプリンタ1は、所定間隔でラベルLが貼付された台紙Mが巻回されて構成されるロール紙RPを回動可能に支持するホルダ30と、ホルダ30から繰り出されたロール紙RPのラベルLに印刷を行うサーマルヘッド13と、ホルダ30に回動可能に支持されたロール紙RPの径方向外周面が所定位置になると検出信号を出力するニアエンドセンサ41と、ニアエンドセンサ41の出力に基づいて、一ラベルの発行動作中に前記ニアエンド状態を検出するニアエンド状態検出部1006と、ニアエンド状態検出部1006が所定枚数以上のラベルについて連続してニアエンド状態を検出した場合、ロール紙RPの残量が所定量以下になったと判定する残量判定部1007と、を備える。
【0090】
これにより、ラベルプリンタ1は、ロール紙RPを押さえる構造等を特段設けることなく、ロール紙RPがラベル用紙LPに押圧されることに起因するロール紙RPの残量検出の誤検出を防止することができる。
【0091】
また、本実施形態のラベルプリンタ1において、ニアエンド状態検出部1006は、ロール紙を搬送させる搬送モータ40の駆動信号に基づいて、一ラベルの発行動作中であることを判断する。
【0092】
これにより、ラベルプリンタ1は、簡単な構成で一ラベルの発行動作中であることを判断することができる。したがって、ロール紙RPの残量検出の誤検出を防止するための構成を簡易なものとすることができる。
【0093】
さらに、本実施形態のラベルプリンタ1は、台紙Mに貼付されたラベルLの搬送方向一端と次のラベルの搬送方向一端との間隔を検出するラベルピッチ検出部1005をさらに備え、残量判定部1007は、ラベルピッチ検出部1005が検出した間隔に応じて、前記所定回数を設定する。
【0094】
これにより、ラベルプリンタ1は、ラベルピッチPが長いロール紙RPを使用する場合に残量検出の判断に必要以上に時間を要することを防ぐことができる。
【0095】
加えて、本実施形態のラベルプリンタ1は、ロール状に巻回されたロール紙RPを回動可能に支持するホルダ30と、ホルダ30から繰り出されたロール紙RPに印刷を行うサーマルヘッド13と、ホルダ30に回動可能に支持されたロール紙RPの径方向外周面が所定位置になると検出信号を出力するニアエンドセンサ41と正転することによってロール紙RPを搬送方向に搬送するとともに、逆転することによってロール紙RPを当該搬送方向とは反対方向に搬送する搬送モータ40と、ニアエンドセンサ41の出力に基づいて、前記ニアエンド状態を検出するニアエンド状態検出部1006と、搬送モータ40が正転していない状態でニアエンド状態検出部1006がニアエンド状態を検出した場合、ロール紙RPの残量が所定量以下になったと判定する残量判定部1007と、を備える。
【0096】
これにより、ラベルプリンタ1は、ロール紙RPを押さえる構造等を特段設けることなく、逆転搬送モードにおいて、ラベル用紙LPに加わるテンションに起因するロール紙RPの残量検出の誤検出を防止することができる。
【0097】
また、本実施形態のラベルプリンタ1は、残量判定部1007の判定結果に基づいて、ロール紙RPの残量が所定量以下になったことを報知する表示部43をさらに備える。
【0098】
これにより、ラベルプリンタ1は、ロール紙RPの残量が所定量以下になったことをユーザに知らしめることができる。
【0099】
なお、上記実施形態において、ラベルプリンタ1で実行される制御プログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上記実施形態のラベルプリンタ1で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、さらには、インターネット等のネットワーク経由で提供するように構成しても良い。
【0100】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0101】
1 ラベルプリンタ(プリンタ)
13 サーマルヘッド(印刷部)
30 ホルダ
40 搬送モータ
41 ニアエンドセンサ(センサ)
43 表示部(報知部)
1005 ラベルピッチ検出部
1006 ニアエンド状態検出部
1007 残量判定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2018-8823号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10