(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066711
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/00 20060101AFI20240509BHJP
B23Q 7/02 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B23Q7/00 E
B23Q7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176323
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 匡教
(72)【発明者】
【氏名】栗原 亮
【テーマコード(参考)】
3C033
【Fターム(参考)】
3C033AA01
3C033AA09
3C033AA16
3C033AA17
3C033FF02
3C033FF03
3C033FF04
(57)【要約】
【課題】ワークの搬送及び位置決めを短時間で可能にする搬送装置を提供する。
【解決手段】ワークWを工作装置2の作業位置に搬送する搬送装置1であって、ワークWを搭載支持するテーブルユニット10と、テーブルユニット10を案内するカムレール40と、を備え、カムレール40は固定カムレール41と移動カムレール42とに分割して構成されており、固定カムレール41に対して移動カムレール42を移動させて、移動カムレール42に位置するテーブルユニット10を工作装置2に向かって移動し、当該テーブルユニット10上に支持されたワークWを工作装置2の作業位置に移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを工作機器の作業位置に搬送する搬送装置であって、
前記ワークを支持する支持部と、
前記支持部を案内するカムレールと、を備え、
前記カムレールは固定カムレールと移動カムレールとに分割して構成され、
前記固定カムレールに対して前記移動カムレールとともに当該移動カムレールに位置する前記支持部を移動させて、当該支持部に支持された前記ワークを前記作業位置に移動させる、搬送装置。
【請求項2】
前記カムレールに沿って前記支持部を移動させる第1駆動手段と、
前記固定カムレールに対して前記移動カムレールを移動させる第2駆動手段と、を備えた、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記カムレールに複数配置されており、
複数の前記支持部のうち、前記移動カムレールに位置する1個の前記支持部が前記移動カムレールとともに移動する、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記カムレールは円形であって、
前記移動カムレールは、前記カムレールの一部の円弧状の部位であり、
前記移動カムレールは、前記固定カムレールに対して径方向外方に移動可能に構成されている、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2駆動手段により前記支持部を前記作業位置に移動させた状態で、前記支持部を上下方向に移動させる第3駆動手段を更に備えた、
請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機器の作業位置(工作位置)にワークを搬送して位置決めする搬送装置が開発されている。例えば、特許文献1のように、ワークを支持する治具を設置した回転テーブルを有し、回転テーブルの1箇所の回転位置でワークが工作装置の作業位置に一致させるように、搬送装置が配置されている。
【0003】
また、多数のワークを工作するために、回転テーブルに治具が複数備えられており、ワークを順次搬送して連続的に工作装置にて工作することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、工作装置及び搬送装置による工作システムにおいて、形状の異なるワークを短時間で連続的に工作することが要求される場合がある。この場合には、ワークを工作装置の作業位置に短時間で搬送することが要求される。
【0006】
また、複数種類のワークを搬送して工作する場合には、ワークの種類に応じて位置決めを短時間で可能にすることが要求される。
【0007】
本開示の目的は、上記問題点に鑑み、ワークの搬送及び位置決めを短時間で可能にする搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の搬送装置は、
ワークを工作機器の作業位置に搬送する搬送装置であって、
前記ワークを支持する支持部と、
前記支持部を案内するカムレールと、を備え、
前記カムレールは固定カムレールと移動カムレールとに分割して構成され、
前記固定カムレールに対して前記移動カムレールとともに当該移動カムレールに位置する前記支持部を移動させて、当該支持部に支持された前記ワークを前記作業位置に移動させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の搬送装置によれば、移動カムレールを移動させることでワークの作業位置への位置決めが可能になる。また、カムレールの一部の移動カムレールを移動させる構造により、移動部品の重量が抑えられる。これにより、移動カムレールとともに支持部を迅速に移動させることが可能になり、支持部に支持されたワークを工作機器の作業位置に短時間で移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る搬送装置の設置例を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る搬送装置を示す斜視図である。
【
図5】一実施形態に係る搬送装置の横断面図である。
【
図6】一実施形態に係る搬送装置の縦断面図である。
【
図7】テーブルユニットの前後移動についての説明図である。
【
図8】テーブルユニットの上下移動についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る搬送装置を、添付図面を参照しながら以下に説明する。なお、添付図面は、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略等を行っており、各構成部分の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係る搬送装置1の設置例を示す斜視図である。
図2は、一実施形態に係る搬送装置を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本開示に係る搬送装置1は、例えば超音波溶着機のような工作装置2(工作機器)にワークW(被加工品)を搬送し、工作装置2の作業位置にワークWを位置決めする装置である。
【0014】
搬送装置1は、回転する円板状のインデックステーブル3を備えており、インデックステーブル3の周方向一部分の径方向外側に工作装置2が隣接するように配置されている。インデックステーブル3には、ワークWを載置するためのテーブルユニット10(支持部)が3個備えられている。ワークWは、テーブルユニット10に載置されるワーク支持用治具11に支持される。工作装置2は、正対するテーブルユニット10に載置されたワークWを例えば上方側から加工する。
【0015】
図1、2に示すように、インデックステーブル3は、基台4の上部に配置されている。インデックステーブル3は、その上面3aが略水平になるように設置されており、中心位置Pcを通り上下方向に延びる線を回転軸線として回転可能に構成されている。インデックステーブル3は、基台4に備えられた第1モータ5(第1駆動手段)によって回転駆動される。第1モータ5は、ステッピングモータやサーボモータ等の角度を検出できるモータであり、出力軸の回転位置(回転角度)を制御可能である。
【0016】
テーブルユニット10は、インデックステーブル3の外周部に周方向に同一間隔をおいて3個配置されている。
【0017】
テーブルユニット10は、矩形状の上面10aを有し、当該上面10aにワークWを支持するワーク支持用治具11が載置可能になっている。テーブルユニット10の上面10aには、上方に突出したピン12及び上下作動が可能なピン13が1個ずつ、及びエアー駆動で内径を把持することができるピン14が2個備えられている。テーブルユニット10の上面10aにワーク支持用治具11を載置した際に、テーブルユニット10の上面10aのピン12及び穴部13と、ワーク支持用治具11の下面に1個ずつ備えられた図示しない穴部に挿入されることで、テーブルユニット10に対してワーク支持用治具11が水平方向に位置決めされる。更に、挿入するピン12、13、14を変えることにより、左右方向の位置決め位置を変更することが可能である。
【0018】
テーブルユニット10は、インデックステーブル3に対して直動機構15を介して径方向に移動可能に支持されている。
【0019】
以下、インデックステーブル3の中心軸(回転軸)の軸線方向を上下方向とし、インデックステーブル3の軸線に対して垂直な水平面上において、インデックステーブル3の中心位置Pcと工作装置2の作業位置Pw(工作時のワークWの中心位置:
図3参照)とを結ぶ線の延長方向を前後方向とする。インデックステーブル3の中心位置Pcから作業位置Pwへ向かう方向を前方、作業位置Pwからインデックステーブル3の中心位置Pcへ向かう方向を後方とする。また、作業位置Pwからインデックステーブル3の中心位置Pcを見て、右手側を右方向、左手側を左方向とする。
【0020】
搬送装置1には、テーブルユニット10を前後方向に移動させるテーブル引き込み装置20(第2駆動手段)が備えられている。テーブル引き込み装置20は、インデックステーブル3の前部下方に設置されており、テーブルユニット10を径方向外方である前方に移動させる機能を有している。
【0021】
また、
図1に示すように、工作装置2と搬送装置1との間には、テーブル引き込み装置20によって前方に移動されたテーブルユニット10を上下方向に移動させるリフト装置21(第3駆動手段)が備えられている。
【0022】
次に、
図3から
図8を用いて、搬送装置1の詳細な構造について説明する。
図3は、搬送装置1の上面図である。
図4は、搬送装置1の前方から見た側面図である。
図5は、搬送装置1の横断面図である。
図6は、搬送装置1の縦断面である。
図7は、テーブルユニット10の前後移動についての説明図である。
図8は、テーブルユニット10の上下移動についての説明図である。なお、
図3では、インデックステーブル3及びテーブルユニット10のみ記載している。
図5は、
図4中に記載したA-A部の断面図である。
図6は、
図3中に記載したB-B部の断面図である。
図7は、
図4中に記載したC-C部の断面図である。
図8は、搬送装置1の前方から見た側面図である。
図4、8では、3個のテーブルユニット10のうち、工作装置2に正対した前部に位置するテーブルユニット10のみ記載している。
【0023】
図3に示すように、インデックステーブル3には、外周側が開口した矩形状の凹部31が設けられている。
【0024】
凹部31は、インデックステーブル3の周方向で等間隔に3個形成されており、夫々にテーブルユニット10が配置される。
【0025】
図3、4に示すように、テーブルユニット10はインデックステーブル3に支持される第1部材32と、第1部材32に対して上下方向に移動可能に支持された第2部材33とを備えている。
【0026】
第1部材32は、凹部31よりも周方向両側に大きい矩形板状であって、インデックステーブル3の上面3aに凹部31の周方向両端側の縁部に跨るように載置されている。第1部材32の周方向端部の下面とインデックステーブル3の凹部31の周方向側の縁部の上面との間に、夫々直動機構15が備えられている。
【0027】
直動機構15のレール15aは、凹部31の周方向側の縁部に沿って、前後方向に延びている。第1部材32は、直動機構15により、インデックステーブル3に対して径方向に移動可能であり、第1部材32がインデックステーブル3の凹部31に収納された収納位置(
図3参照)と、第1部材32の一部が凹部31より径方向外方に突出する突出位置までの間で移動可能である。
【0028】
第2部材33は、ワーク支持用治具11を載置する矩形板状の上板部33aと、上板部33aの下方に配置された下板部33bを有している、上板部33aと下板部33bは、第1部材32を挟んで上下方向に離間して配置されている。上板部33aと下板部33bとは上下方向に延びる複数の柱部材33cによって連結されている。
【0029】
柱部材33cと第1部材32との間には直動機構が複数備えられており、第1部材32に対して第2部材33が上下方向にのみ移動可能になっている。したがってインデックステーブル3が第1モータ5によって回転した場合に、第1部材32と第2部材33はインデックステーブル3と共に回転移動する。また、テーブルユニット10毎に、第1部材32と第2部材33とが共にインデックステーブル3に対して径方向外方に移動可能になっている。
【0030】
第2部材33の下板部33bの下部には、筒状のローラ35が備えられている。ローラ35は、下板部33bに固定された軸36に回転可能に支持されている。軸36は、第2部材33の下方に配置され、水平かつインデックステーブル3の径方向に対して垂直に延びるように配置されている。
【0031】
インデックステーブル3の下部には、テーブルユニット10毎に、第2部材33に備えられたローラ35を支持するローラ支持板37が備えられている。ローラ支持板37の上面は水平になっている。
【0032】
テーブルユニット10が径方向内側位置である収納位置では、第2部材33のローラ35はインデックステーブル3のローラ支持板37に載るように構成されている。したがって、テーブルユニット10の収納位置では、テーブルユニット10の第2部材33の下方への移動が規制される。
【0033】
一方、テーブルユニット10が径方向外側に突出した突出位置では、第2部材33のローラ35はインデックステーブル3のローラ支持板37から径方向外方に外れた位置になる。したがって、テーブルユニット10の突出位置では、テーブルユニット10の第2部材33の下方への移動が可能になる。
【0034】
なお、
図1に示すように、テーブルユニット10が工作装置2に正対した位置において、径方向外方に突出した突出位置では、第2部材33のローラ35がリフト装置21に載るように配置されている。したがって、この突出位置でテーブルユニット10はリフト装置21によって上下方向に移動可能に構成されている。
【0035】
図5、6に示すように、基台4のインデックステーブル3の下方には、円形状に構成されたカムレール40が備えられている。カムレール40は、上方が開口した縦断面がコの字型のレールである。
【0036】
カムレール40は、基台4に固定された固定カムレール41と、前後方向に移動可能な移動カムレール42とに分割された構造になっている。
【0037】
移動カムレール42は、カムレール40の前部、すなわち工作装置2に正対した位置付近の部位である。移動カムレール42は、テーブル引き込み装置20によって移動される。テーブル引き込み装置20の基台部43には、回転駆動する出力軸が上方を向いた第2モータ44が備えられている。第2モータ44はサーボモータであり、出力軸の回転位置(回転角度)を制御可能である。第2モータ44の出力軸には回転板45が固定されている。回転板45には、出力軸から回転板45の径方向にオフセットして配置され上方に突出したカムローラ46を有する。
【0038】
移動カムレール42と一体的に、テーブル引き込み装置20の可動部47が構成されている。可動部47は、直動機構48を介して基台部43の上部に前後方向に移動可能に支持されている。可動部47には、左右方向が長径の長穴49が開いており、カムローラ46が挿入されている。
【0039】
テーブル引き込み装置20における第2モータ44を駆動して回転板45を回転させてカムローラ46の位置を変化させることで、可動部47とともに移動カムレール42が前後方向に移動する。
図5に示すように、移動カムレール42を最も後方に移動させたときに、固定カムレール41と移動カムレール42とが同心円状に位置して円状に連結する。
【0040】
テーブルユニット10の第1部材32には、カムレール40内を移動するカムローラ50が備えられている。これにより、移動カムレール42を最も後方に移動させてカムレール40を円状にした状態で、インデックステーブル3を回転させることでテーブルユニット10も回転移動するが、カムレール40に沿ってカムローラ50が移動する際に径方向の移動が規制されるので、テーブルユニット10の径方向位置が一定に規定される。なお、本開示では、
図5中の矢印に示すように、インデックステーブル3を右回転させる仕様になっている。
【0041】
図7に示すように、1つのテーブルユニット10を工作装置2に正対する位置に回転移動させると、当該テーブルユニット10のカムローラ50が移動カムレール42上の回転方向先方側端部付近に位置する。したがって、テーブルユニット10が工作装置2に正対する回転位置に位置した状態において、テーブル引き込み装置20を作動させて移動カムレール42を前方に移動させることで、移動カムレール42内に位置するカムレール40が前方に移動する。これにより、工作装置2に正対する回転位置のテーブルユニット10が、工作装置2に向かって前方に移動する。
【0042】
工作装置2に正対した回転位置のテーブルユニット10が前方に移動すると、ローラ35がローラ支持板37から前方に移動して、リフト装置21に載る。そして、リフト装置21によりテーブルユニット10を上下方向に移動して、上下方向の位置決めがされる。なお、
図8は、ローラ35がローラ支持板37から前方に移動して外れた状態であり、
図4に示すようにローラ35がローラ支持板37に載った状態に対して、テーブルユニット10の第2部材33が下方に移動した状態である。
【0043】
したがって、第1モータ5の作動によりテーブルユニット10の周方向の位置決めが行われ、第2モータ44の作動により工作装置2に正対したテーブルユニット10の前後方向の位置決めが行われる。更に、リフト装置21の作動により、テーブルユニット10の上下方向の位置決めが行われる。
【0044】
本開示の搬送装置1を用いて工作装置2によりワークWを加工する場合には、まず搬送装置1の3個のテーブルユニット10のうち、工作装置2の右方に位置するテーブルユニット10に、ワークWを支持したワーク支持用治具11を、ロボット等によって載せる。例えば工作装置2に正対した位置から120度左方向に回転した位置に位置するテーブルユニット10に、ワーク支持用治具11を載せるようにすればよい。
【0045】
そして、インデックステーブル3を120度右回転してテーブルユニット10を工作装置2に正対させ、テーブル引き込み装置20によりテーブルユニット10を工作装置2に向かって前方に移動させるとともに、リフト装置21を適宜作動させて位置決めし、工作装置2によりワークWを加工する。
【0046】
ワークWの加工後には、リフト装置21を再作動させテーブルユニット10を引き込み時の高さに戻し、テーブル引き込み装置20によりテーブルユニット10をインデックステーブル3の中心位置Pcに向かって移動させ、インデックステーブル3を120度右回転してテーブルユニット10からロボット等によって加工後のワークWを支持したワーク支持用治具11を取り出す。
【0047】
これらの動作を各テーブルユニット10に対して順次行うことで、インデックステーブル3を120度右回転する毎に、工作装置2によりワークを1個ずつ加工することができる。
【0048】
以上のように、本開示の搬送装置1は、ワークWを支持したワーク支持用治具11を載置するテーブルユニット10と、テーブルユニット10を案内する円形のカムレール40と、テーブルユニット10を移動させる円板状のインデックステーブル3と、を備えている。カムレール40は基台に固定され、インデックステーブルは基台4に対して回転可能に支持されている。テーブルユニット10は、インデックステーブル3に径方向外方に移動可能に支持されており、インデックステーブル3を回転することで、テーブルユニット10がカムレール40に案内されながらインデックステーブル3とともに回転する構造になっている。
【0049】
本開示の搬送装置1では、カムレール40は、基台4に固定された固定カムレール41と固定カムレール41に対して移動可能な移動カムレール42とに分割した構造になっている。
【0050】
固定カムレール41に対して、移動カムレール42とともに当該移動カムレール42に位置するテーブルユニット10を移動させて、当該テーブルユニット10上に支持されたワークWを工作装置2の工作位置に移動させる。
【0051】
本開示の搬送装置1では、カムレール40の一部の移動カムレール42を移動させる構造になっているので、カムレール40全体を移動させるよりも移動部品の重量を抑えることができる。これにより、移動カムレール42とともにテーブルユニット10を迅速に径方向外方に移動させて、ワークWを工作装置2の作業位置に短時間で移動させることができ、工作装置2及び搬送装置によるワークの生産性を向上させることができる。
【0052】
インデックステーブル3は、第1モータ5によって駆動され、各テーブルユニット10をカムレール40に沿って移動させる。また、移動カムレール42は、第2モータ44によって駆動され、固定カムレール41に対して前方に移動する。これにより、テーブルユニット10は、インデックステーブル3から径方向外方(前方)に移動して、工作装置2の工作位置の水平位置に移動する。
【0053】
このように、テーブルユニット10の回転方向の移動及び前後方向の移動を、2つのアクチュエータ(第1モータ5、第2モータ44)によって別々に行うので、各移動位置の精度を高めることができる。また、移動カムレール42にカムローラ50が載ってから第1モータ5と第2モータ44とを同時に協調作動させることで、テーブルユニット10の回転移動と前後方向の位置決めを同時に行うことができる。したがって、テーブルユニット10上のワークWの作業位置への搬送時間を短縮することができる。
【0054】
更には、第2モータ44を適宜作動制御することで、テーブルユニット10の前後位置を容易に変更することができる。これにより、異なる形状のワークWを連続的に工作する場合でも容易に対応することができる。例えばワークWの形状に対応してワークWの工作位置の前後位置をあらかじめ記憶させておくことで、異なる形状のワークWを連続的に加工することも可能になる。
【0055】
カムレール40上を移動するテーブルユニット10は、インデックステーブル3上に3個配置されている。このように3個のテーブルユニット10を備えることで、インデックステーブル3の1回転毎に3個のワークWが加工可能になり、ワークWの搬送及び加工を順次行って、加工における生産性を向上させることができる。
【0056】
なお、本開示では、カムレール40は円形であって、移動カムレール42は、カムレール40の一部の円弧状の部位であり、移動カムレール42は残りの部位である固定カムレール41に対して径方向外方に移動可能に構成されている。
【0057】
これにより、カムレール40及びテーブルユニット10を移動させるインデックステーブル3及び第1モータ5等を含む搬送装置1を、簡単かつコンパクトな構成にすることができる。
【0058】
更に、本開示では、テーブルユニット10が相対的に上下移動する第1部材32と第2部材33とを有している。ワークW及びワーク支持用治具11を載置する上面3aを形成する第2部材33は、工作装置2の作業位置に前方に移動させた状態で、移動カムレール42に支持される第1部材32に対してリフト装置21によって上下方向に移動可能になっている。
【0059】
したがって、リフト装置21の作動制御により、ワークWの作業位置における上下位置を任意に位置決めすることが可能になる。
【0060】
以上のように、第1モータ5、第2モータ44、リフト装置21の作動制御によって、ワークWを搬送装置1に搬送し、前後左右上下位置を任意に位置決めすることが可能になる。
【0061】
なお、本開示では、カムレール40が円形であるが、楕円形状など円形以外の形状であってもよい。例えばカムレール40を前後方向に長い楕円形状にすることで、ワークの前後方向の移動距離を大きく確保できる搬送装置にすることができる。
【0062】
また、本開示では、テーブルユニット10は3個であるが、3個以上であってもよい。例えば、4個あるいは5個等にすることで1つのインデックステーブル3で行える作業を増やすことができる。もしくは、本開示の様に120度毎の配置で、各ポストのテーブルユニット10を2個以上の横並び配置にすることによって、複数個取りの機構にする、即ち工作装置2に向かって複数個のテーブルユニット10を移動させる機構にすることも可能である。
【0063】
また、搬送装置のその他の詳細な構造についても適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
W ワーク
1 搬送装置
2 工作装置(工作機器)
10 テーブルユニット(支持部)
40 カムレール
41 固定カムレール
42 移動カムレール
5 第1モータ(第1駆動手段)
20 テーブル引き込み装置(第2駆動手段)
21 リフト装置(第3駆動手段)