(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066722
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】積層フィルムおよびそれを用いた包装材
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20240509BHJP
B65D 65/02 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B32B27/36
B65D65/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176349
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古屋 武史
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB68
3E086BB90
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA28
3E086CA35
3E086DA08
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK51
4F100AK71C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB02
4F100EH20
4F100GB23
4F100JA06C
4F100JB16B
4F100JB16C
4F100JK06C
4F100JL11
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】ポリエステル樹脂を含む積層フィルムにおいて、ネックインを抑制し安定した品質の積層フィルムを提供する。
【解決手段】Tダイ法により作製される積層フィルムにおいて、フィルム形状を有する基材層と、前記基材層上に設けられる熱可塑性樹脂層と、を備え、熱可塑性樹脂層は、ポリエステルを含む第1樹脂層、並びに、前記第1樹脂層と前記基材層との間に位置すると共にポリエステルを含まない第2樹脂層を有し、前記第2樹脂層は、前記基材層と前記第1樹脂層とに接合し、260℃における伸長粘度が50Pa・s以上120Pa・s以下であり、前記第2樹脂層は、前記第1樹脂層に対する膜厚比率が0.25以上4.00以下であり、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層を合わせた総厚が25μm以上250μm以下である積層フィルム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tダイ法により作製される積層フィルムにおいて、フィルム形状を有する基材層と、前記基材層上に設けられる熱可塑性樹脂層と、を備え、前記熱可塑性樹脂層は、ポリエステルを含む第1樹脂層、並びに、前記第1樹脂層と前記基材層との間に位置すると共にポリエステルを含まない第2樹脂層を有し、前記第2樹脂層は、前記基材層と前記第1樹脂層とに接合し、260℃における伸長粘度が50Pa・s以上120Pa・s以下であり、前記第2樹脂層は、前記第1樹脂層に対する膜厚比率が0.25以上4.00以下であり、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層を合わせた総厚が25μm以上250μm以下である積層フィルム。
【請求項2】
前記第1樹脂層と前記第2樹脂層の界面剥離強度と前記第2樹脂層と前記基材層の界面剥離強度が1N/幅15mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の積層フィルムを使用した事を特徴とする包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂を含む積層フィルムおよびそれを用いた包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラスチックフィルムは、軽量である、化学的に安定である、加工がしやすい、柔軟で強度がある、大量生産が可能、などの性質がある。このため、プラスチックフィルムは、様々なものに利用されている。プラスチックフィルムの用途としては、例えば、食料品や医薬品等を包装する包装材や、点滴パック、買い物袋、ポスター、テープ、液晶テレビ等に利用される光学フィルム、保護フィルム、窓に貼合するウィンドウフィルム、ビニールハウス、建装材等々、多岐にわたる。このような用途に対し、用途に応じて適正なプラスチック材料が選択される。更にプラスチックフィルムを複数種類重ね、積層体とすることもなされている。
【0003】
プラスチックフィルムの中でもポリエステル樹脂を用いたフィルムは強度や透明性があるため、食品、飲料、薬品、化粧品、医療器具などの包装材においても広く使用されており、特許文献1では、シーラントフィルムとして活用できることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにポリエステル樹脂を用いたフィルムは多くの用途での使用が期待されているが、一般に広く使用されているポリエチレン系樹脂などの汎用樹脂と比較すると、溶融樹脂挙動が不安定であり、特にTダイ法の押出製膜時、ダイスから押し出される樹脂が冷却ロールによって延伸され両端が狭くなる、所謂ネックインが大きいという問題があり、安定した品質のフィルムを得ることが困難であった。
図2にネックインによって、溶融状態樹脂の両端が狭くなる現象を示す。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、ポリエステル樹脂を用いたフィルムにおいて、ネックインを抑制し安定した品質のフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、代表的な本発明のフィルムの一つは、
Tダイ法により作製される積層フィルムにおいて、フィルム形状を有する基材層と、基材層上に設けられる熱可塑性樹脂層と、を備え、前記熱可塑性樹脂層は、ポリエステルを含む第1樹脂層、並びに、前記第1樹脂層と前記基材層との間に位置すると共にポリエステルを含まない第2樹脂層を有し、前記第2樹脂層は、前記基材層と前記第1樹脂層とに接合し、260℃における伸長粘度が50Pa・s以上120Pa・s以下であり、前記第2樹脂層は、前記第1樹脂層に対する膜厚比率が0.25以上4.00以下であり、前記第1樹脂層と第2樹脂層を合わせた総厚が25μm以上250μm以下である積層フィルムであることにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポリエステル樹脂を用いたフィルムにおいて、ネックインを抑制し有効幅の広い安定した品質のフィルムを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の積層フィルムにおける一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、伸長粘度算出のために溶融状態樹脂の流速を計測するときの図である。
【
図3】
図3は、第1樹脂層と第2樹脂層界面の剥離強度を測定するときの積層フィル ムの断面を示す図である。
【
図4】
図4は、第2樹脂層と基材層界面の剥離強度を測定するときの積層フィルムの 断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、各図は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするために適宜誇張して示している。また、説明を簡単にするため、各図の対応する部位には同じ符号を付している。
【0011】
図1を参照しながら、本実施形態に係る積層フィルム1について説明する。
図1は、積層フィルム1の要部拡大断面図である。
図1に示される積層フィルム1は、例えば飲食物、医薬品、化粧品、化学品、電子機器、工具、文房具等の被包装物を包装するための部材であり、可撓性を有する。積層フィルム1は、複数の層状部材及び/又は膜状部材の積層体である。積層フィルム1は、固体、液体等を包装するための包装体として用いられてもよい。積層フィルム1が包装体として用いられる場合、当該包装体は、積層フィルム1のみによって構成されてもよいし、積層フィルム1及び接着剤等によって構成されてもよい。積層フィルム1は、積層シートとも呼称できる。
【0012】
積層フィルム1は、フィルム形状を有する基材層4と、基材層4上に設けられる第1樹脂層2と第2樹脂層3を備える。第1樹脂層2はポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂を用いることで、高強度や高透明性が期待される。ポリエステル樹脂は、例えば、ジオール類とジカルボン酸とを縮重合させることによって生成できる。ポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が用いられ得る。ジオール類は、例えば脂肪族ジオール等である。脂肪族ジオールの具体例として、エチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール等の化合物が挙げられる。ポリエステル樹脂を生成するとき、ジオール類は、上述した化合物を単独で用いてもよいし、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。ジカルボン酸は、例えば、芳香族ジカルボン酸等である。芳香族ジカルボン酸の具体例として、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物又は低級アルキルエステル等の化合物が挙げられる。ポリエステル樹脂を生成するとき、ジカルボン酸は、上述した化合物を単独で用いてもよいし、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
第1樹脂層2には、ポリエステル樹脂に加えて、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加材が添加されてもよい。
【0014】
第2樹脂層3は、基材層4と第1樹脂層2とに接合する層であり、基材層4及び第1樹脂層2によって覆われる。第2樹脂層3はTダイ共押出成形法によって第1樹脂層2と同時に形成される。第2樹脂層3は、第1樹脂層2のネックインを抑制し、製膜の安定性向上のために用いられ、第2樹脂層3の260℃溶融時の伸張粘度が、50Pa・s以上120Pa・s以下のものを選択することでネックインを抑制し、良好な品質のフィルムを得ることができる。伸長粘度は溶融状態の樹脂の垂れ流し流速を計測することで算出できる。
【0015】
図2は、伸長粘度算出のために溶融状態樹脂の流速を計測するときの図である。図のように、押出機から第2樹脂層3を溶融状態で吐出させ、垂れ流しの状態としたところで押出機回転数を止め、吐出速度の影響を抑え、直後の0.2秒間での変位を計測することで、流速を算出し、そこから以下の式1で粘伸長粘度を求めることができる。
η(x)=(ρ×g)/(2×Δv)×(Δx)
2 ・・・式1
伸長粘度:η[Pa・s] 密度:ρ[kg/m
3] 重力加速度:g[m/s
2] 流速:v[m/s] 変位:x[m]
【0016】
伸長粘度が50Pa・s未満では、ネックイン抑制効果が見られないため良くない。一方、伸長粘度が120Pa・s超えると、延展性に欠け耳切れが生じるため良くない。
耳切れとは加工時、溶融樹脂膜の端部の位置が不規則に変化する現象であり、安定したフィルム幅を確保できなくなる問題が生じる。
【0017】
第2樹脂層3は、第1樹脂層2と異なりポリエステルを含まない層である。すなわち、第2樹脂層3は、第1樹脂層2とは異なる樹脂を含む層(異樹脂層)とも言える。第2樹脂層3は伸長粘度が良好な範囲にあれば、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、及び、これらの誘導体等から選択できる。ただし、これらの材料は特に限定されるものではなく、さらにこれらの材料は単独で用いられても良いし、これらのうちの複数の材料が組み合わされて用いられても良い。
【0018】
第2樹脂層3には、上述した高分子化合物に加えて、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加材が添加されてもよい。
【0019】
第1樹脂層2に対する第2樹脂層3の膜厚の比率は0.25以上4.00以下とすることで、外観不良やネックインが抑制されたフィルムを得ることができる。0.25未満だと第1樹脂層2と第2樹脂層3が押出機内で合流する時の流速差が大きくなり、フローマークと一般に呼ばれる外観不良が生じやすく、また第2樹脂層3の比率が小さくなるためにネックイン抑制効果も期待できなくなる。4.00を超えると、0.25未満の時と同様に、第1樹脂層2と第2樹脂層3が押出機内で合流する時の流速差が大きくなり、フローマークと一般に呼ばれる外観不良が生じやすくなる。フローマークとは多層成形時に発生する積層境界面での波打ち模様であり、フローマーク部分は膜厚分布も大きく乱れており、外観上の問題だけでなく、品質上の問題にもつながる。
【0020】
第1樹脂層2と第2樹脂層3を合わせた膜厚は25μm以上250μ以下とすることで、安定した品質でコストも抑えられて包材としての活用が見込める積層フィルム1を得ることができる。25μm未満の場合、異物を起点としたピンホールが生じやすく、250μmを超えると、コストが高くなる。
【0021】
基材層4としては、通常の包装材料を構成するプラスチックフィルムを適宜使用することができるが、機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。プラスチックフィルムの構成材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、6-ナイロンなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミドなどが挙げら
れる。プラスチックフィルムは、延伸、未延伸のどちらでも良いが、好ましくは二軸延伸されたフィルムである。なお、本実施形態において、基材層4は、PETフィルムである。
【0022】
第1樹脂層2と第2樹脂層3の界面剥離強度、第2樹脂層3と基材層4の界面剥離強度を1N/幅15mm以上とすることで包装材としての信頼性が向上する。第1樹脂層2と第2樹脂層3の界面剥離強度と第2樹脂層3と基材の界面剥離強度は一般的な引張試験機を利用することで計測することが出来る。
【0023】
図3は、第1樹脂層と第2樹脂層界面の剥離強度を測定するときの積層フィルムの断面、
図4は、第2樹脂層と基材層界面の剥離強度を測定するときの積層フィルムの断面を示す。第1樹脂層2と第2樹脂層3と基材層4を幅15mm、長さ150mmで切り出した後に、第1樹脂層2と第2樹脂層3の界面もしくは、第2樹脂層3と基材層4の界面を50mm剥離する。剥離した端部をそれぞれ引張試験機のチャック7で把持し、チャック7間距離50mm、引張速度200mm/minで第1樹脂層2と第2樹脂層3が離間する方向に引っ張って引張試験を実施する。界面剥離強度は、この試験で得られる荷重の最大値を示すものとする。
【0024】
界面剥離強度を考慮すると、第2樹脂層3としてはエチレン-カルボン酸エステル、または、エチレン-カルボン酸-カルボン酸エステルの二元ないし三元共重合体を含む接着性樹脂組成物の使用が可能である。
【0025】
基材層4としては、表面改質処理が施されたものの使用が可能である。積層使用時のラミネート適性向上のために他基材と接触する面に対して表面改質処理を行うことが可能である。表面改質処理はコロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させることにより官能基を発現させる手法や、易接着層のコーティング等のウェットプロセスによる改質(アンカーコート処理)を好適に用いることが可能である。
【0026】
本実施形態によって得られる積層フィルム1は、単体フィルム、または他基材と積層して包装材とすることができる。単体フィルムまたは積層体として用いる場合、スタンディングパウチの他に、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いることが可能である。また、包装袋の製袋様式は特に制限されるものではない。
【0027】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではないことはいうまでもない。また、以上の実施の形態を組み合わせて用いることは、任意である。
【実施例0028】
以下、本発明者らが作成した実施例を、比較例と比較して詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
第1樹脂層2の材料として、株式会社ベルポリエステルプロダクツ製のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂「ベルペットEFG70」を用いた。第2樹脂層3の材料として住友化学株式会社製のエチレン-メチルメタクリレート共重合樹脂(EMMA)樹脂「WH303―F」伸長粘度50Pa・sを用いた。基材層4として延伸基材PETフィルム(厚さ12μm)を用いた。押出成形装置を用い260℃にて第1層樹脂2と第2樹脂層3とを共押出成形により二層を積層し、溶融多層押出ラミネート製膜を製膜速度25m/minにて行った。第1樹脂層2の膜厚は20μm、第2樹脂層3の膜厚は5μmと
し、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を25μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚は0.25とした。基材層4にはあらかじめ二液硬化型ポリウレタン系接着剤(アンカーコート剤)の処置を施しておいた。
【0030】
(実施例2)
実施例2は、第2樹脂層3の膜厚を80μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を100μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚を4.00とし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0031】
(実施例3)
実施例3は、第1樹脂層2の膜厚を50μmとし、第2樹脂層3の膜厚を12.5μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を62.5μmとし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0032】
(実施例4)
実施例4は、第1樹脂層2の膜厚を50μmとし、第2樹脂層3の膜厚を200μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を250μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚を4.00とし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0033】
(実施例5)
実施例5は第2樹脂層3の材料として三菱ケミカル株式会社製の接着性樹脂「M545」伸長粘度120Pa・sを用いた以外は実施例1と同様にした。
【0034】
(実施例6)
実施例6は第2樹脂層3の材料として三菱ケミカル株式会社製の接着性樹脂「M545」伸長粘度120Pa・sを用い、第2樹脂層3の膜厚を80μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を100μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚を4.00とし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0035】
(実施例7)
実施例7は第2樹脂層3の材料として三菱ケミカル株式会社製の接着性樹脂「M545」伸長粘度120Pa・sを用い、第1樹脂層2の膜厚を50μmとし、第2樹脂層3の膜厚を12.5μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を62.5μmとし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0036】
(実施例8)
実施例8は第2樹脂層3の材料として三菱ケミカル株式会社製の接着性樹脂「M545」伸長粘度120Pa・sを用い、第1樹脂層2の膜厚を50μmとし、第2樹脂層3の膜厚を200μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を250μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚を4.00とし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0037】
(比較例1)
比較例1は第2樹脂層3の材料として三菱ケミカル株式会社製のポリエチレン樹脂「NH745N」伸長粘度30Pa・sを用いた以外は実施例1と同様にした。
【0038】
(比較例2)
比較例2は第2樹脂層3の材料として三菱ケミカル株式会社製のポリエチレン樹脂「WD203-1」伸長粘度200Pa・sを用いた以外は実施例1と同様にした。
【0039】
(比較例3)
比較例3は第1樹脂層2の膜厚を25μmとし、第2樹脂層3の膜厚を3μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を28μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚を0.12とし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0040】
(比較例4)
比較例4は第2樹脂層3の膜厚を90μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を110μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚を4.50とし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0041】
(比較例5)
比較例5は第1樹脂層2の膜厚を15μmとし、第2樹脂層3の膜厚を3.8μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を18.8μmとし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0042】
(比較例6)
比較例6は第1樹脂層2の膜厚を55μmとし、第2樹脂層3の膜厚を220μmとし、第1樹脂層2と第2樹脂層3の総厚を275μmとし、第1樹脂層に膜厚に対する第2樹脂層膜厚を4.00とし、それ以外は実施例1と同様にした。
【0043】
(ネックイン抑制の評価)
第1樹脂層2のみで製膜したときのフィルム幅から第1樹脂層2と第2樹脂層3を合わせた熱可塑性樹脂層のフィルム幅が10%以上の広幅化ができたものを「〇」とし、10%未満の変化であったものを「×」とした。
【0044】
(ピンホール発生の評価)
製膜したフィルムを100m目視評価を行い、第1樹脂層2と第2樹脂層3を合わせた熱可塑性樹脂層に異物などを起点としたピンホールが生じていないものを「〇」とし、1か所以上確認されるものを「×」とした。
【0045】
(耳切れの評価)
製膜したフィルムを100m目視評価を行い、第1樹脂層2と第2樹脂層3端部の耳切れが生じていないものを「〇」とし、1か所以上確認されるものを「×」とした。
【0046】
(フローマークの評価)
製膜したフィルムを100m目視評価を行い、第1樹脂層2と第2樹脂層3に一般にフローマークと呼ばれる波打った形状の変形が生じていないものを「〇」とし、1か所以上確認されるものを「×」とした。
【0047】
(包装材としての使用)
製膜した第1樹脂層2と第2樹脂層3を足した膜厚が250μm以下のものを「〇」とし、250μmを超えるものを「×」とした。
【0048】
(総合評価)
上記、ネックイン抑制、ピンホール、耳切れ、フローマーク、包装材としての使用判定にて、全て「〇」のものを、総合評価として「〇」とした。1つでも「×」となったものを、総合評価として「×」とした。
【0049】
各実施例、比較例における条件、及び評価結果の一覧表を表1に示す。
【0050】
【0051】
(評価結果)
実施例1~8は第2樹脂層3の260℃における伸長粘度が50Pa・s以上120Pa・s以下であり、第1樹脂層2に対する膜厚比率が0.25以上4.00以下であり、第1樹脂層2と第2樹脂層3を合わせた総厚が25μm以上250μm以下にあり、これによって、ネックイン抑制効果が見られ、ピンホール、耳切れ、フローマークの不具合が生じず、製膜性も良好であり、包装材としての使用見込みが得られたことから、総合評価として「〇」となった。
一方、比較例1~6は上記の項目で満たさない項目があるため、いずれかの評価として「×」となったため、総合評価として「×」となった。