(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006673
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】給水栓及び給水栓の殺菌方法、並びにウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107792
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】竹田 はつ美
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛士
(72)【発明者】
【氏名】河合 由修
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA07
2D060BA10
2D060BC30
2D060CD03
(57)【要約】
【課題】電池や紫外線ランプ等の交換頻度を抑制できるとともに、紫外線ランプの放熱対策が不要であり、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することが可能で、安全で衛生的な供給水が得られる給水栓及び給水栓の殺菌方法、並びにウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】吐水口32の内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、吐水口32の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射する紫外線照射部4を備え、紫外線照射部4は、吐水口32における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射を実施する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を吐出する吐水口を有する給水栓であって、
前記吐水口の内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、前記吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射する紫外線照射部を備え、
前記紫外線照射部は、前記吐水口における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射を実施することを特徴とする給水栓。
【請求項2】
前記吐水パラメータが、吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量のうちの何れか1以上であることを特徴とする請求項1に記載の給水栓。
【請求項3】
さらに、前記紫外線照射部に対して電流を供給する蓄電部を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の給水栓。
【請求項4】
さらに、前記蓄電部に対して電流を供給して蓄電する発電部を有することを特徴とする、請求項3に記載の給水栓。
【請求項5】
前記発電部は、前記給水栓の内部に供給される水の水流によって発電するものであることを特徴とする請求項4に記載の給水栓。
【請求項6】
前記発電部は、光発電によって発電するものであることを特徴とする請求項4に記載の給水栓。
【請求項7】
さらに、内部に浄水部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給水栓。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の給水栓を備えることを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項9】
水を吐出する吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかを殺菌処理する給水栓の殺菌方法であって、
前記吐水口における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、前記吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射することにより、照射箇所の殺菌処理を実施することを特徴とする給水栓の殺菌方法。
【請求項10】
前記吐水パラメータが、吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量のうちの何れか1以上であることを特徴とする請求項9に記載の給水栓の殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水栓及び給水栓の殺菌方法、並びにウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給水栓は、一般家庭内におけるキッチンや洗面台、浴室等に設置されて各種給水に用いられる他、オフィスや商業施設等に設置されるウォーターサーバーにおいて、水の供給手段として用いられている。
【0003】
給水栓の先端に配置される吐水口は、吐水した水の撥ね返り等により、細菌が増殖し易い環境となっており、吐水される供給水が汚染される原因となる場合がある。特に、吐水口の内部には、給水栓の汚れを拭き取る清掃作業の際に汚れが侵入し易いため、内部で細菌が増殖して供給水が汚染される原因となっている。
【0004】
ここで、下記特許文献1には、蛇口の内部に取り付けた紫外線ランプにより、蛇口の内部及び外面を殺菌処理する紫外線殺菌蛇口の構成が記載されている。特許文献1に記載の紫外線殺菌蛇口においては、超純水あるいは無菌水等、特に純度の高い水を殺菌対象としていることから、紫外線ランプを常時点灯させて蛇口の内部及び外面に紫外線を照射し、殺菌処理する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の紫外線殺菌蛇口における殺菌手段を、例えば、飲料水を吐水する一般的な給水栓に適用し、紫外線ランプを常時点灯させて殺菌処理を行った場合、電力消費量が増大することから、電池の頻繁な交換が必要となる。また、紫外線ランプの使用寿命に到達するまでの期間も短くなり、頻繁なランプ交換が必要なることから、上述した電池の頻繁な交換と併せてランニングコストが増大するという問題がある。
さらに、紫外線ランプを常時点灯させた場合には、放熱対策も必要となることから、ヒートシンクや送風モータ等のような冷却手段の追加に伴い、給水栓の大型化やコストアップを招くという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、電池や紫外線ランプ等の交換頻度を抑制できるとともに、放熱対策が不要であり、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することが可能で、安全で衛生的な供給水が得られる給水栓及び給水栓の殺菌方法、並びにウォーターサーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。この結果、供給水を吐出する吐水口の先端付近に紫外線照射部を配置し、且つ、紫外線照射による殺菌処理を、吐水パラメータが規定数値に到達したタイミングで実施することで、紫外線ランプの点灯時間や回数を抑制して電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができ、さらに、発熱量も低減できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
【0009】
[1] 水を吐出する吐水口を有する給水栓であって、前記吐水口の内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、前記吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射する紫外線照射部を備え、前記紫外線照射部は、前記吐水口における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射を実施することを特徴とする給水栓。
[2] 前記吐水パラメータが、吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量のうちの何れか1以上であることを特徴とする上記[1]に記載の給水栓。
[3] さらに、前記紫外線照射部に対して電流を供給する蓄電部を有することを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の給水栓。
[4] さらに、前記蓄電部に対して電流を供給して蓄電する発電部を有することを特徴とする、上記[3]に記載の給水栓。
[5] 前記発電部は、前記給水栓の内部に供給される水の水流によって発電するものであることを特徴とする上記[4]に記載の給水栓。
[6] 前記発電部は、光発電によって発電するものであることを特徴とする上記[4]に記載の給水栓。
[7] さらに、内部に浄水部が設けられていることを特徴とする上記[1]~[6]の何れかに記載の給水栓。
[8] 上記[1]~[7]の何れかに記載の給水栓を備えることを特徴とするウォーターサーバー。
[9] 水を吐出する吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかを殺菌処理する給水栓の殺菌方法であって、前記吐水口における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、前記吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射することにより、照射箇所の殺菌処理を実施することを特徴とする給水栓の殺菌方法。
[10] 前記吐水パラメータが、吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量のうちの何れか1以上であることを特徴とする上記[9]に記載の給水栓の殺菌方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る給水栓によれば、上記のように、吐水口の内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、これらの位置に紫外線を照射することにより、照射箇所を殺菌処理する紫外線照射部を備え、この紫外線照射部が、吐水口における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する構成を採用している。これにより、紫外線照射部を構成する紫外線ランプの点灯時間や回数が抑制されるので、電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができることから、電池や紫外線ランプの交換頻度が抑制される。また、紫外線ランプや電池から発生する発熱量も低減できるので、例えば、ヒートシンクや送風モータ等の冷却手段による発熱対策が不要となり、給水栓の大型化やコストアップを抑制できる。
従って、ランニングコストや装置コストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができ、安全で衛生的な供給水を得ることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る給水栓の殺菌方法によれば、上記のように、吐水口における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射することにより、照射箇所の殺菌処理を実施する方法を採用している。これにより、上記同様、紫外線ランプの点灯時間や回数が抑制され、電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができるので、電池や紫外線ランプの交換頻度が抑制される。
従って、ランニングコストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができ、安全で衛生的な供給水を得ることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るウォーターサーバーによれば、上記の本発明に係る給水栓を備えたものなので、上記同様、給水栓に係るランニングコストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができる。従って、ウォーターサーバーによる供給水が安全で衛生的なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る給水栓及び給水栓の殺菌方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、給水栓の全体構成を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明に係る給水栓及び給水栓の殺菌方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、
図1に示した給水栓における要部の断面図である。
【
図3】本発明に係る給水栓及び給水栓の殺菌方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、吐水パラメータである吐水間隔が規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する場合の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る給水栓及び給水栓の殺菌方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、吐水パラメータである吐水回数が規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する場合の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明に係る給水栓及び給水栓の殺菌方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、吐水パラメータである吐水量が規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する場合の動作を示すフローチャートである。
【
図6A】本発明に係る給水栓を備えた一実施形態であるウォーターサーバーについて模式的に説明する図であり、ウォーターサーバー全体の概略構成を側面側から示す破断図である。
【
図6B】本発明に係る給水栓を備えた一実施形態であるウォーターサーバーについて模式的に説明する図であり、ウォーターサーバー全体の概略構成を正面側から示す平面図である。
【
図6C】本発明に係る給水栓を備えた一実施形態であるウォーターサーバーについて模式的に説明する図であり、
図6A中に示した要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る給水栓及び給水栓の殺菌方法、並びにウォーターサーバーの実施の形態を挙げ、図面を適宜参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。
また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0015】
本発明の給水栓は、例えば、一般家庭内におけるキッチンや洗面台、浴室等に設置されて各種給水に用いられる他、オフィスや商業施設等に設置されるウォーターサーバー等に備えられるものであり、吐水口の内部や外部を紫外線殺菌することが可能なものである。本実施形態においては、本発明に係る給水栓の一例として、システムキッチンに備えられる給水栓の構造を例に挙げて説明するが、本発明の給水栓はこれに限定されるものではなく、上述したような、様々な給水栓に適用することが可能なものである。
【0016】
<給水栓>
本発明の給水栓の一実施形態として、例えば、鉛直上方を向くように開口したシンク等を有した、一般的なシステムキッチンに備えられる給水栓を挙げ、
図1~
図5を参照しながら以下に詳述する。
図1は、本実施形態の給水栓1の全体構成を示す概略斜視図であり、
図2は、
図1に示した給水栓1における要部について説明する断面図である。
図3は、本実施形態の給水栓1を使用し、吐水パラメータである吐水間隔が規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する場合の動作を示すフローチャートであり、
図4は、吐水回数が規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する場合の動作を示すフローチャート、
図5は、吐水量が規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する場合の動作を示すフローチャートである。
【0017】
本実施形態の給水栓1は、水を吐出する吐水口32を有する給水栓1であり、吐水口32の内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、吐水口32の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射する紫外線照射部4を備え、概略構成される。
そして、本実施形態の給水栓1は、紫外線照射部4が、吐水口32における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射を実施するように構成されている。
【0018】
より具体的に説明すると、本実施形態の給水栓1は、
図2の断面図に示す例では、紫外線照射部4が、スパウト3における供給水(水・水道水)の吐水口32の内部に配置された、供給水の流通路30内に設けられている。より詳細には、紫外線照射部4は、吐水面31に配置された浄水吐水口32aと連通し、詳細を後述する浄水部5で浄水された供給水が流通する浄水流通路30aの内壁に取り付けられている。
以下、本実施形態の給水栓1の構成について詳述する。
【0019】
本実施形態の給水栓1は、当該給水栓1全体を支持する本体11を有する。本体11は、概略縦長の筒状部材から構成され、図示例においては、上端部11a、回動部11c及び下端部11bをこの順で有する。また、本体11は、図示略のシステムキッチンの上面側に下端部11bが固定される。
【0020】
本体11は、詳細な図示は省略するが、システムキッチンに取り付けられる下端部11b、及び、上端部11aが、システムキッチンに対して固定状態とされる一方、回動部11cが、本体11の軸方向で回動可能に構成されている。
【0021】
また、本体11の上端部11aには、給水栓1による水道水の給水及び停止操作を行うとともに、給水量の調整を行う給水レバー12が、回動部11cと同様、本体11の軸方向で回動可能に設けられている。
【0022】
また、本体11の回動部11cには、概略筒状のスパウト取付部13が設けられている。スパウト取付部13は、スパウト3が固定されるか、あるいは、脱着可能に取り付けられるものであり、
図1及び
図2中に示すように、回動部11cから斜め上方に向けて延出するように設けられている。また、スパウト取付部13は、
図1中に示すように、スパウト取付部13にスパウト3が取り付けられたときに、これらスパウト取付部13とスパウト3とが同軸で一体的に配置されるように構成されている。
【0023】
また、図示略のシステムキッチンに取り付けられた下端部11bには、スパウト3の吐水口32に向けて水道水を供給するための図示略の給水管や、必要に応じて、スパウト3(紫外線照射部4)に向けて電流を供給するための図示略の電源ラインが接続される。
【0024】
上記のような本体11(スパウト取付部13を含む)や給水レバー12の材質としても、特に限定されないが、一般的に、防錆性や防汚性、外観特性に優れたステンレス材料等を採用できる。
【0025】
なお、本体11に対してスパウト3が脱着可能に取り付けられる場合には、例えば、先端にスパウト3が接続された図示略のホースが、スパウト取付部13から延出するように設けられる。このようなホースは、本体11からスパウト3に向けて水道水を供給するために設けられ、例えば、他端側が本体11のスパウト取付部13に取り付けられるとともに、先端側がスパウト3に取り付けられた構成とされる。また、ホースは、他端側が、上述した図示略の給水管と本体11内で接続されることにより、給水管から導入される水道水をスパウト3に供給することが可能に構成される。
【0026】
上記のようなホースを備える場合、その構造や材質等は特に限定されず、例えば、ステンレス材料や樹脂材料等を基材とする、可撓性を有したフレキシブルホースを何ら制限無く採用することが可能である。ホースに可撓性を有したものを用いることで、その先端側に接続されたスパウト3を可動に構成でき、自在に操作することが可能になるので、操作性に非常に優れたものとなる。
【0027】
スパウト3は、その先端部3a近傍に配置された吐水面31に設けられる吐水口32から供給水を吐水するものであり、上述したように、本体11のスパウト取付部13に対して固定されるか、あるいは、脱着自在に取り付けられている。また、
図1及び
図2中に示すように、スパウト3は、スパウト取付部13に取り付けられたときに鉛直下方側を向く突出部3Aを有してなり、この突出部3Aの端面が供給水の吐水面31とされている。そして、この吐水面31に、吐水口32が配置されており、図示例においては、吐水口32として浄水吐水口32a及び原水吐水口32bが配置されている。
【0028】
より詳細には、
図2においては給水栓1の断面を示しており、吐水面31を平面視した図は省略しているが、吐水面31における平面視で概略中央に、詳細を後述する浄水部5で浄水された浄水を吐出する浄水吐水口32aが配置されている。また、この浄水吐水口32aの周囲には、平面視で浄水吐水口32aを取り囲むように複数配置され、水道水の原水をシャワー状に吐出する原水吐水口32bが設けられている。このような配置とした場合、複数の原水吐水口32bは、例えば、浄水吐水口32aを取り囲む同心の円を描くように複数列で配列された構成とすることも可能である。
【0029】
また、浄水吐水口32aは、浄水流通路30aに連通するように開口しており、また、原水吐水口32bは、原水流通路30bに連通するように開口している。浄水吐水口32aからは、詳細を後述する浄水部5で処理された浄水が、浄水流通路30aを介して供給水として吐水され、原水吐水口32bからは、無処理の水道水(原水)が、原水流通路30bを介して吐水される。
【0030】
なお、
図2に示す例の給水栓1においては、浄水吐水口32aに、供給水中に含まれる比較的大きな異物を捕捉・除去するためのストレーナー33が配置されている。
ストレーナー33としては、特に限定されず、従来から当該分野で用いられている網目部材等を何ら制限無く採用することが可能である。
【0031】
紫外線照射部4は、上述したように、吐水口32の内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、吐水口32の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射することにより、照射箇所を殺菌処理するものである。
図2に示す例では、紫外線照射部4が、浄水吐水口32aの内部、即ち、浄水が流通する浄水流通路30aの内壁における浄水吐水口32aの近傍に1箇所で設けられている。
【0032】
本実施形態では、吐水口32の内部又は外部の少なくとも何れかに紫外線照射部4が配置されていることで、紫外線の照射箇所となる吐水口32の内部又はその近傍(外部)を効果的に紫外線殺菌できる。これにより、吐水口32の内部やその近傍において細菌や病原菌が繁殖したりするのを防止できるので、供給水を安全で衛生的なものに維持することが可能となる。特に、吐水口32の内部は洗浄作業が難しいところ、この箇所を紫外線殺菌することにより、供給水を安全で衛生的なものに確実に維持することが可能となる。
【0033】
紫外線照射部4としては、特に限定されず、殺菌処理を行う分野で一般的に用いられているUV波長のLEDランプ(紫外線ランプ)等を何ら制限無く採用することが可能である。
また、紫外線照射部4による紫外線波長としても、特に限定されないが、細菌や病原菌に対する高い殺菌効果や不活性効果が得られるとされる、200~280nmの範囲の波長であることが好ましい。
【0034】
また、紫外線照射部4としては、上述したUV波長のLEDランプをそのまま用いてもよいが、例えば、焦点や照射強度を調整可能なレンズ等を介して紫外線を照射できる構成を採用してもよい。
【0035】
なお、
図2に示す例の紫外線照射部4は、浄水流通路30aの内壁における浄水吐水口32aの近傍に1箇所で設けられているがこれには限定されない。例えば、浄水流通路30aの内壁において、複数の紫外線照射部4を環状に配置した構成を採用することも可能である。このように、複数の紫外線照射部4を環状に配置することで、浄水流通路30aの内部を満遍なく殺菌処理することができるので、より安全で衛生的な供給水を吐水することが可能となる。
【0036】
本実施形態の給水栓1においては、紫外線照射部4が、吐水口32における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施するように構成されている。
上記のような吐水パラメータとしては、例えば、吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量のうちの何れか1以上を採用することができる。
【0037】
本実施形態の給水栓1において、吐水パラメータとして吐水間隔を用いた制御・動作を実施する場合について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
図3に示すように、吐水パラメータとして吐水間隔を用いる場合には、まず、処理開始(ステップS1)の後、ステップS2において、図示略の制御部によるタイマーのリセットが実施される。
次いで、ステップS3においては、制御部のタイマーにより、吐水口32からの吐水が最後に行われてから経過した時間を積算する。
【0038】
次いで、ステップS4では、ステップS3で開始した積算時間、即ち、最後の吐水からの経過時間が、例えば24hr以上となったことが確認されたときに、ステップS5において、図示略の制御部が、UVランプ等からなる紫外線照射部4を点灯させ、吐水口32の内部及び外部の少なくとも何れかに紫外線を照射し、殺菌処理を行う。
図2に示す例では、浄水吐水口32aの内部、即ち、浄水流通路30aの内壁に設置された紫外線照射部4が点灯することにより、浄水流通路30a内や浄水吐水口32a近傍に対して紫外線照射による殺菌処理を実施する。
上記のような殺菌処理を一定時間、例えば、0.5~30sec程度で実施した後、図示略の制御部は、紫外線照射部4の点灯を終了させ、ステップS2のタイマーリセットに戻る。
【0039】
一方、ステップS4において、ステップS3で開始した積算時間が24hr未満である場合には、紫外線照射部4を点灯させることなく待機した状態を継続する。このとき、給水レバー12の操作によって吐水口32からの吐水が実施された場合には、ステップS6における止水操作の後、ステップS2のタイマーリセットに戻り、次いで、ステップS3における、吐水が最後に行われてからの経過時間の積算を再開する。
【0040】
本実施形態の給水栓1において、吐水パラメータとして吐水間隔を用いた制御・動作を実施する場合には、上記のステップS1~S6を繰り返す。
【0041】
次に、本実施形態において、吐水パラメータとして吐水回数を用いた制御・動作を実施する場合について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
図4に示すように、吐水パラメータとして吐水回数を用いる場合には、まず、処理開始(ステップSA1)の後、ステップSA2において、図示略の制御部によるカウンターのリセットが実施される。このカウンターは、給水レバー12の操作による吐水口32からの吐水の回数を積算するものである。
【0042】
次いで、ステップSA3においては、制御部のカウンターにより、吐水口32からの吐水回数の積算を開始するとともに、ステップSA4において、吐水操作後の止水(水を止める)回数の積算を開始する。
【0043】
次いで、ステップSA5では、ステップSA3で開始した吐水の積算回数、及び、ステップSA4で開始した止水の積算回数に、さらに、止水1回分の回数を積算する。
次いで、ステップSA6において、吐水及び止水の積算回数が、例えば30回に達したことが確認されたときに、ステップSA7において、図示略の制御部が、UVランプ等からなる紫外線照射部4を点灯させ、吐水口32の内部及び外部の少なくとも何れかに紫外線を照射し、殺菌処理を行う。この際、紫外線を照射して殺菌処理を実施する箇所は、上述した、吐水パラメータとして吐水間隔を用いた場合と同様である。
そして、このような殺菌処理を一定時間、例えば、上記同様に0.5~30sec程度で実施した後、図示略の制御部は、紫外線照射部4の点灯を終了させ、ステップS2のカウンターリセットに戻る。
【0044】
一方、ステップSA6において、ステップSA3で開始した吐水の積算回数、及び、ステップSA4で開始した止水の積算回数に1回分の回数を加えた積算回数(ステップSA5)が30回未満である場合には、紫外線照射部4を点灯させることなく、ステップSA3の吐水回数の積算、及び、ステップSA4の止水回数の積算に戻り、各回数の積算を再開する。
【0045】
本実施形態の給水栓1において、吐水パラメータとして吐水回数を用いた制御・動作を実施する場合には、上記のステップSA1~SA7を繰り返す。
【0046】
次に、本実施形態において、吐水パラメータとして吐水量を用いた制御・動作を実施する場合について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
図5に示すように、吐水パラメータとして吐水量を用いる場合には、まず、処理開始(ステップSB1)の後、ステップSB2において、図示略の制御部による積算流量計のリセットが実施される。この積算流量計は、給水レバー12の操作による吐水口32からの吐水量を積算するものである。
【0047】
次いで、ステップSB3において、給水レバー12の操作による吐水口32からの吐水が実施されたとき、ステップSB4において、制御部の積算流量計により、吐水量の積算を開始する。
次いで、ステップSB5において、給水レバー12の操作による止水が実施されたとき、ステップSB6において、制御部の積算流量計による吐水量の積算を終了する。
【0048】
次いで、ステップSB7において、上記の吐水量の積算量が、例えば50Lに達したことが確認されたときに、ステップSB8において、図示略の制御部が、UVランプ等からなる紫外線照射部4を点灯させ、吐水口32の内部及び外部の少なくとも何れかに紫外線を照射し、殺菌処理を行う。この際に、紫外線を照射して殺菌処理を実施する箇所も、上述した、吐水パラメータとして吐水間隔又は吐水回数を用いた場合と同様である。
そして、このような殺菌処理を一定時間、例えば、上記同様に0.5~30sec程度で実施した後、図示略の制御部は、紫外線照射部4の点灯を終了させ、ステップS2の積算流量計のリセットに戻る。
【0049】
一方、ステップSB7において、ステップSB4で開始した吐水量の積算量が50L未満である場合には、紫外線照射部4を点灯させることなく、ステップSB3の吐水量の積算に戻り、積算を再開する。
【0050】
本実施形態の給水栓1において、吐水パラメータとして吐水回数を用いた制御・動作を実施する場合には、上記のステップSB1~SB8を繰り返す。
【0051】
なお、本実施形態においては、上述した吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量のうちの何れか1つを吐水パラメータとして用いればよいが、これらを2つ又は3つで組み合わせて用いた制御手段を採用してもよい。
【0052】
また、上記のような吐水パラメータを取得するための、供給水の状態を検出するセンサとしては、例えば、一般的な流水センサ等を何ら制限無く採用することが可能である。本実施形態においては、上記のような図示略の流水センサをスパウト3内に収容して備え、図示略の制御部に電気的に接続して用いることが可能である。
【0053】
また、上記のような、
図5に示したフローチャートを参照した説明では、制御部の積算流量計を用いた例について説明しているが、これに限定されるものではない。本実施形態においては、積算流量計に代えて、例えば、定流量弁を用いてタイマーによる流量計測を行う構成を採用することも可能である。
【0054】
本実施形態においては、さらに、スパウト3の内部に、紫外線照射部4に対して電力を供給する図示略の蓄電部が設けられていてもよい。このような蓄電部を設ける場合には、例えば、スパウト3の先端部3a側等に蓄電部を配置して収容することが可能である。
上記のような蓄電部を有することで、紫外線照射部4を駆動するための電力を、例えば、図示略の電源ラインを通じた給電により、蓄電部に充電することで確保できる。
また、蓄電部としては、例えば、一般的な充電式のバッテリやボタン電池等を採用することができる。
【0055】
一方、本実施形態においては、さらに、スパウト3の内部に、上述した蓄電部に対して電力を供給して充電させるための、図示略の発電部が設けられていてもよい。
上記のような発電部としては、特に限定されないが、例えば、給水栓1(スパウト3)の内部に供給される水道水の水流により、羽根車を回転させ、この回転力で発電機を回転させることで発電する構造のものであってもよい。
あるいは、発電部は、例えば、光発電によって発電するものであってもよい。このような場合、例えば、スパウト3の外表面の一部に図示略の太陽電池を設置し、その出力を蓄電部に接続した構成を採用できる。
【0056】
上記のような発電部を備えることにより、図示略の蓄電部に対し、電源ラインを介した商用電源による充電を都度行う必要がなくなるので、使い勝手やメンテナンス性に優れたものとなる。また、紫外線照射部4の点灯時に、蓄電部に充電された電力と、発電部における起電力とを併用することで、蓄電池の電力消費を低減することが可能となる。
【0057】
なお、
図1及び
図2等においては図示を省略しているが、本実施形態の給水栓1は、例えば、スパウト3における何れかの位置に、紫外線照射部4への電力供給を手動操作でオン-オフするための電源スイッチが設けられていてもよい。
【0058】
さらに、本実施形態においては、スパウト3の内部に、ホースを通じて供給される水道水(原水)から塩素成分等の不純物を除去するための浄水部5が設けられていてもよい。このような浄水部5としては、従来から給水栓に用いられている浄水カートリッジ等を、何ら制限無く採用することが可能である。
【0059】
より詳細に説明すると、浄水部5としては、例えば、中空糸膜51を含むものを用いることが、原水(水道水)中に含まれる各種の雑菌等を除去できる観点から好ましい。このような中空糸膜51としては、例えば、多孔質体であって、且つ、管状とされた中空糸膜51を採用できる。
【0060】
浄水部5に用いられる中空糸膜51の材料としても、特に限定されず、例えば、セルロース系、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)系、ポリビニルアルコール系、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ四弗化エチレン(テフロン:登録商標)系、ポリカーボネイト系、ポリエステル系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系等の各種材料からなるものを採用できる。これらの中でも、なかでも、中空糸膜の取扱い性や加工特性等、更には廃棄時に焼却可能であることなどを考慮すると、ポリエチレン等のポリオレフィン系の中空糸膜が好ましい。浄水部5を構成する中空糸膜がポリエチレンからなることにより、例えば、柔軟な素材からなる特性を生かし、傷による分画低下を回避しながら効果的な浄水処理を行うことが可能になる。
【0061】
また、中空糸膜51の外径等の寸法としても、特に限定されないが、例えば、外径が20~2000μm、孔径が0.01~1μm 、空孔率が20~90%であり、中空糸膜の径方向の膜厚が5~300μmであることが好ましい。
また、中空糸膜は、表面に親水基を有する、所謂恒久親水化中空糸膜であることがより好ましい。中空糸膜の表面が疎水性であると、原水(水道水)がろ過通水する際の抵抗が増大するケースもある。
【0062】
また、浄水部5に中空糸膜を用いた場合、原水に含まれる気泡が中空糸膜の表面に停滞し、ろ過通水を阻害させるとともに、ろ過流量を減少させるケースも考えられる。このようなケースも考慮し、例えば、浄水部5を構成する中空糸膜を、親水性中空糸膜と疎水性中空糸膜とを混在させた構成とすることで、原水中の気泡を取り除きやすい中空糸膜としてもよい。
【0063】
また、浄水部5における中空糸膜の充填密度としても、特に限定されないが、例えば、25~58%の範囲することが、浄水部として使用可能な程度で原水の通水速度を確保することができ、比較的多量の原水を短時間で浄水処理できる観点から好ましい。また、上記の観点からは、浄水部5における中空糸膜の充填密度は、30~55%の範囲とすることがより好ましく、35~52%の範囲とすることが、通水速度を可能な限り向上させることができる観点から最も好ましい。
【0064】
また、浄水部5を構成する中空糸膜51の充填形態としても、特に限定されないが、例えば、浄水部5の内部において、中空糸膜51の編織物が、すし巻き状又は折り畳み状等の形状で装填された構成を採用できる。中空糸膜51の編織物の充填形態を上記とすることで、中空糸膜51の編地間隔を等距離で管理しやすく、中空糸膜51を容易且つ均等に分散させることができるので、充填密度を管理しやすくなる。
【0065】
浄水部5が、上記のような中空糸膜51から構成されることにより、原水中に含まれる、例えば、微生物及び細菌を含む0.1μm以上の粒状体を効果的にろ過・除去することで、飲料水等に最適な浄水を生成させることができる。また、浄水部5が中空糸膜51から構成されることで、例えば、活性炭やイオン交換体等のような吸着剤では除去できない細菌や微生物をも除去することも可能となる。
【0066】
また、本実施形態の給水栓1に備えられる浄水部5は、さらに、水の流れ方向における中空糸膜51の上流側に、この中空糸膜51と接続されるように配置され、活性炭又はイオン交換体からなる吸着体52を備えた構成とすることが可能である。
【0067】
吸着体52を構成する吸着剤は、例えば、原水と接触することで、原水中に含まれる残留塩素、カルキ臭、カビ臭やトリハロメタン等の有機物、重金属やアルミニウム等の不純物等を吸着除去するものである。
吸着体52を構成する吸着剤は、上記のように、活性炭又はイオン交換体からなり、例えば、粉末状吸着剤、この粉末状吸着剤を造粒した粒状吸着剤、繊維状吸着剤等が列挙される。
【0068】
上記のような吸着剤としては、例えば、天然物系吸着剤(天然ゼオライト、銀ゼオライト、酸性白土等)、合成物系吸着剤(合成ゼオライト、細菌吸着ポリマー、リン鉱石、モレキュラーシーブ、シリカゲル、シリカアルミナゲル系吸着剤、多孔質ガラス等)等の無機質吸着剤、粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、押出成形活性炭、成形活性炭、分子吸着樹脂、合成物系粒状活性炭、合成物系繊維状活性炭、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、高吸収性樹脂、高吸水性樹脂、吸油性樹脂、吸油剤等の有機系吸着剤、等のような公知のものが挙げられる。
上記の中でも、原水中の残留塩素やカビ臭、トリハロメタン等の有機化合物の吸着力に優れた活性炭が好適に用いられる。活性炭の中でも、被濾過液である原水との接触面積が大きく、吸着性、通水性が高いという観点から、繊維状活性炭を好適に用いることができる。
【0069】
活性炭としては、例えば、植物質(木材、セルロース、のこくず、木炭、椰子殼炭、素灰等)、石炭質(泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、タール等)、石油質(石油残渣、硫酸スラッジ、オイルカーボン等)、パルプ廃液、合成樹脂等を炭化し、必要に応じてガス賦活(水蒸気、二酸化炭素、空気など)、薬品賦活(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、リン酸、硫酸、カセイソーダ、KOH など)したもの等が挙げられる。繊維状活性炭としては、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロース、フェノール、石油系ピッチを原料にしたプレカーサを炭化し、賦活したもの等が挙げられる。
【0070】
活性炭としては、粉末状活性炭、この粉末状活性炭を造粒した粒状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、粉末及び/ 又は粒状活性炭をバインダーにて固めた成形活性炭などが使用できる。これらの中でも、取扱い性、コスト面等の観点から粒状活性炭が好適に用いられる。また、活性炭としては、充填密度0.1~0.5g/ml、ヨウ素吸着量800~4000mg/g、粒度0.075~6.3mmの性状を有するものが好ましい。さらには、活性炭に銀が付着、及び/ 又は、混合されていると、細菌や微生物の繁殖を抑制することができるという観点から、より好ましい。
【0071】
本実施形態では、浄水部5において、中空糸膜51に加え、さらに、上記のような吸着体52を備えた構成を採用した場合には、吸着剤により、原水から、残留塩素、カルキ臭、カビ臭やトリハロメタン等の有機物、重金属やアルミニウム等の不純物等や硬度成分等が吸着除去される効果が得られる。
【0072】
なお、本実施形態の給水栓1においては、水の流れ方向における吸着体52と中空糸膜51との配置関係は、特に限定されず、図示例のように、吸着体52が原水の入口側であってもよいし、中空糸膜51が入口側であってもよい。中空糸膜51と吸着体52とを何れの配置関係とした場合であっても、浄水部5による十分な浄水効果が得られる。
【0073】
本実施形態の給水栓1によれば、上記構成を備えることにより、紫外線照射部4を構成する紫外線ランプの点灯時間や回数が抑制されるので、電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができることから、電池(充電部)の交換頻度又は充電頻度、及び、紫外線ランプの交換頻度が抑制される。また、紫外線ランプや充電部から発生する発熱量も低減できるので、例えば、ヒートシンクや送風モータ等の冷却手段による発熱対策が不要となり、給水栓1の大型化やコストアップを抑制できる。従って、ランニングコストや装置コストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができ、安全で衛生的な供給水を得ることが可能となる。
【0074】
<給水栓の殺菌方法>
以下に、本発明に係る給水栓の殺菌方法(以下、単に「殺菌方法」と略称する場合がある。)について説明する。
本実施形態においては、
図1及び
図2に示すような本実施形態の給水栓1を殺菌処理する例を挙げて説明する。
また、以下の説明においては、上述した本実施形態の給水栓1については、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0075】
本実施形態の殺菌方法は、水を吐出する吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかを殺菌処理する方法である。本実施形態で説明する例では、給水栓1において、水を吐出する吐水口32の内部又は外部の一方あるいは両方に配置された紫外線照射部4により、吐水口32の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射することで、照射箇所を殺菌処理する。図示例においては、浄水吐水口32aの内部、即ち、浄水流通路30aに紫外線照射部4が配置されている。
【0076】
そして、本実施形態の殺菌方法では、上記同様、吐水口32における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、浄水流通路30a内や浄水吐水口32a近傍に対して紫外線照射による殺菌処理を実施する。
【0077】
本実施形態の殺菌方法で用いられる吐水パラメータは、本実施形態の給水栓1の説明における吐水パラメータと同様、吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量のうちの何れか1以上であり、これらの何れかを単独で用いるか、あるいは、2つ又は3つで組み合わせて用いることが可能である。
これら、吐水間隔、吐水回数、及び、吐水量を吐水パラメータとして用いて殺菌処理を行う場合における制御・動作パターンは、上述した本実施形態の給水栓1の構成で説明したパターンと同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0078】
本実施形態の殺菌方法によれば、吐水口32における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、吐水口の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射することにより、照射箇所の殺菌処理を実施する方法を採用している。これにより、紫外線ランプの点灯時間や回数が抑制され、電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができるので、電池(充電部)の交換頻度又は充電頻度、及び、紫外線ランプの交換頻度が抑制される。従って、上記同様、ランニングコストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができ、安全で衛生的な供給水を得ることが可能となる。
【0079】
<ウォーターサーバー>
以下に、本実施形態のウォーターサーバーについて、
図6A~
図6Cを参照しながら説明する。
図6Aは、本実施形態のウォーターサーバー6の全体の概略構成を側面側から示す破断図であり、
図6Bは、ウォーターサーバー6を正面側から示す平面図で、
図6Cは、
図6A中に示した給水栓10の突出部3Bを拡大して示す断面図である。
【0080】
なお、本実施形態のウォーターサーバー6に備えられる給水栓10は、
図1及び
図2に示す給水栓1のような本体11を備えていない点を除き、給水栓1に備えられるスパウト3とほぼ同様の構成を有するものである。このため、以下の説明においては、給水栓10の構成について、その細部の説明を省略する場合がある。また、
図6Bにおいては、図示の都合上、
図6A中に示したボトル62の図示を省略している。
【0081】
本実施形態のウォーターサーバー6は、
図1及び
図2に示した給水栓1と同様、吐水口32Aに紫外線照射部4Aが設けられた給水栓10を備えてなるものである。
本実施形態のウォーターサーバーは、例えば、オフィスや商業施設、医療機関の待合室、あるいは一般家庭等に設置され、利用者が持参したマイボトル等にミネラルウォーター(水)等の各種飲料を供給する用途で用いられるものである。
【0082】
図6A及び
図6Bに示す例のウォーターサーバー6は、ケーシング61と、このケーシング61の上部に着脱可能に取り付けられ、内部にミネラルウォーターや各種飲料を収容可能なボトル62と、外部に向けて開口した収容部67に配置され、ボトル62から内部の給水管64を経由してミネラルウォーターが導入される給水栓10を備えて概略構成される。
【0083】
また、
図6Bの平面図に示す例では、2箇所の収容部67が並べられて配置され、収容部67のそれぞれの内部に給水栓10が配置されている。
【0084】
図示例のウォーターサーバー6は、ボトル62に収容されたミネラルウォーターが吐出口62aから吐出され、貯水桶63から給水管64又は給水管69を介して給水栓10に導入されるように構成されている。図示例においては、給水管64を流通するミネラルウォーターが、まず、冷却装置66を通過することで冷却処理され、さらに、ろ過フィルタ65を通過することで浄水処理が施された後、冷水として一方の給水栓10に導入される。一方、給水管69を流通するミネラルウォーターは、
図6Aにおいては図示を一部省略しているが、まず、加熱装置68を通過することで加熱処理された後、温水として他方の給水栓10に導入される。
【0085】
紫外線照射部4Aは、上述した紫外線照射部4と同様、吐水口32Aの内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、吐水口32Aの内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射するものである。
図6Cに示す例では、紫外線照射部4Aが、吐水口32Aに連通した流通路30Aの内壁に取り付けられている。
【0086】
ウォーターサーバー6により、利用者がミネラルウォーター(又は各種飲料等)の供給をうける際は、利用者が持参した図示略のマイボトルや備え付けの紙コップをレバー14に押し当てながら、これらマイボトルや紙コップの開口部を吐水口32Aの下方に配置する。上記のようなレバー14の操作により、給水栓10の吐水口32Aからミネラルウォーターが吐水され、図示略のマイボトルや紙コップに注水される。
【0087】
本実施形態のウォーターサーバー6に備えられる給水栓10は、上述した本実施形態の給水栓1と同様、紫外線照射部4Aが、吐水口32Aにおける吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射を実施することで、吐水口32Aの内部及びその近傍を殺菌処理するように構成されている。これにより、上記同様、紫外線照射部を構成する紫外線ランプの点灯時間や回数が抑制され、また、紫外線ランプや電池から発生する発熱量も低減できる。
【0088】
なお、本実施形態のウォーターサーバー6においても、紫外線照射を実施・制御するための吐水パラメータとして、上記同様、
図3~
図5のフローチャートを参照して説明したような、吐水間隔、吐水回数、及び吐水量の何れか、又は、これらの組み合わせを採用することができる。
【0089】
また、本実施形態のウォーターサーバー6においても、給水栓10に備えられる紫外線照射部4Aの取り付け位置は、特に限定されず、吐水口32Aの外部に配置されていてもよいし、あるいは、内部及び外部の両方に配置されていてもよい。
【0090】
また、
図6Bに示す例のように、収容部67を2箇所に設けた場合には、上述したように、一方に配置される給水栓を冷水供給用とし、他方の給水栓を温水供給用とすることができる。このような場合、本実施形態の給水栓10は、冷水供給側の給水栓として設置されることが好ましい。一般に、温水供給側に設置される給水栓は、熱水で殺菌されることから、吐水口からの逆汚染が生じる可能性が低いため、特に、本実施形態のような紫外線照射部を備える必要性は高くはない。一方、冷水供給側のみならず、温水供給側にも、紫外線照射部4Aを備える本実施形態の給水栓10を設置しても構わない。
【0091】
また、本実施形態では、着脱可能に取り付けられたボトル62からミネラルウォーター等を供給する例を挙げて説明したが、例えば、公共水道等から原水を取り込んで貯留する図示略の貯水部を設けた、水道直結タイプの構成を採用することも可能である。このような構成を採用した場合には、ミネラルウォーター等を補充するためのボトル62の交換作業を省略できるというメリットがある。
【0092】
本実施形態のウォーターサーバー6によれば、上記のような給水栓10を備えることで、上記同様、電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができる。これにより、電池(充電部)の交換頻度又は充電頻度、及び、紫外線ランプの交換頻度が抑制されるので、給水栓に係るランニングコストが抑制される。また、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができるので、ウォーターサーバーによる供給水が安全で衛生的なものとなる。
【0093】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の給水栓1によれば、上記のように、吐水口32の内部又は外部の一方あるいは両方に配置され、これらの位置に紫外線を照射することにより、照射箇所を殺菌処理する紫外線照射部4を備え、この紫外線照射部4が、吐水口32における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、紫外線照射による殺菌処理を実施する構成を採用している。これにより、紫外線照射部4を構成する紫外線ランプの点灯時間や回数が抑制されるので、電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができることから、電池(充電部)の交換頻度又は充電頻度、及び、紫外線ランプの交換頻度が抑制される。また、紫外線ランプや充電部から発生する発熱量も低減できるので、例えば、ヒートシンクや送風モータ等の冷却手段による発熱対策が不要となり、給水栓1の大型化やコストアップを抑制できる。従って、ランニングコストや装置コストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができ、安全で衛生的な供給水を得ることが可能となる。
【0094】
また、本実施形態の給水栓1の殺菌方法によれば、上記のように、吐水口32における吐水パラメータが規定数値に到達したときに、吐水口32の内部又は外部の少なくとも何れかに対して紫外線を照射することにより、照射箇所の殺菌処理を実施する方法を採用している。これにより、上記同様、紫外線ランプの点灯時間や回数が抑制され、電力消費量を低減できるとともに、紫外線ランプを長期間にわたって使用することができるので、電池(充電部)の交換頻度又は充電頻度、及び、紫外線ランプの交換頻度が抑制される。従って、上記同様、ランニングコストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができ、安全で衛生的な供給水を得ることが可能となる。
【0095】
また、本実施形態のウォーターサーバー6によれば、上述した給水栓10を備えてなるものなので、上記同様、給水栓10に係るランニングコストが抑制されるとともに、特に洗浄作業が難しい吐水口32Aの内部及び/又は外部を効果的に殺菌することができる。従って、ウォーターサーバー6による供給水が安全で衛生的なものとなる。
【0096】
<その他の形態>
以上、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述したが、本実施形態で説明する各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0097】
例えば、上記の実施形態においては、本発明の一例として、給水栓をシステムキッチンに適用した場合について説明しているが、これには限定されない。例えば、本発明に係る給水栓を、洗面台や浴室におけるシャワーヘッドに適用することで、上記同様、生活用水として、安全で衛生的な供給水を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の給水栓及び給水栓の殺菌方法は、電池や紫外線ランプ等の交換頻度を抑制できるとともに、紫外線ランプの放熱対策が不要であり、特に洗浄作業が難しい吐水口の内部及び/又は外部を効果的に殺菌することが可能で、安全で衛生的な供給水が得られるものである。従って、本発明は、例えば、システムキッチン、洗面台及び浴室等の他、オフィスや商業施設等に設置されるウォーターサーバーに備えられる給水栓の用途において、非常に好適である。
【符号の説明】
【0099】
1,10…給水栓
11…本体
11a…上端部
11b…下端部
11c…回動部
12…給水レバー
13…スパウト取付部
14…レバー
3…スパウト
3a…先端部
3A,3B…突出部
30,30A…流通路
30a…浄水流通路
30b…原水流通路
31…吐水面
32,32A…吐水口
32a…浄水吐水口
32b…原水吐水口
33…ストレーナー
4,4A…紫外線照射部
5…浄水部
51…中空糸膜
52…吸着体
6…ウォーターサーバー
61…ケーシング
62…ボトル
62a…吐出口
63…貯水桶
64…給水管
65…ろ過フィルタ
66…冷却装置
67…収容部
68…加熱装置
69…給水管