(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066732
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】エレベータの巻上装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 11/08 20060101AFI20240509BHJP
F16D 65/12 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B66B11/08 G
F16D65/12 X
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176380
(22)【出願日】2022-11-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 和樹
【テーマコード(参考)】
3F306
3J058
【Fターム(参考)】
3F306AA07
3F306BA09
3J058AA43
3J058BA16
3J058CB14
3J058CB17
3J058CD37
3J058FA37
(57)【要約】
【課題】 綱車と一体で回転するブレーキ作用部の傾きを小さくすることができるエレベータの巻上装置及びエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータの巻上装置は、本体と、本体に回転自在に支持される回転部材と、回転部材と一体として回転する綱車と、を備え、回転部材は、綱車が嵌入される綱車嵌入部と、綱車嵌入部から本体側へ延びる円筒状のロータ部と、ロータ部の外周側に配置されるブレーキ作用部と、を備え、本体は、設置面に固定されるベース部と、ベース部から上方又は下方へ延びるフレーム部と、フレーム部から水平方向に突出し、綱車嵌入部を回転自在に支持する筒状部と、筒状部内で上下方向に延び、ベース部に近付くにつれて互いに離れるように配置された一対のリブと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に回転自在に支持される回転部材と、
前記回転部材と一体として回転する綱車と、を備え、
前記回転部材は、前記綱車が嵌入される綱車嵌入部と、前記綱車嵌入部から前記本体側へ延びる円筒状のロータ部と、前記ロータ部の外周側に配置されるブレーキ作用部と、を備え、
前記本体は、設置面に固定されるベース部と、前記ベース部から上方又は下方へ延びるフレーム部と、前記フレーム部から水平方向に突出し、前記綱車嵌入部を回転自在に支持する筒状部と、前記筒状部内で上下方向に延び、前記ベース部に近付くにつれて互いに離れるように配置された一対のリブと、を備える、エレベータの巻上装置。
【請求項2】
前記一対のリブは、前記ベース部から遠い端同士が連結されている、請求項1に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項3】
前記本体は、前記ベース部から前記筒状部へ向かって延びる一対の脚部を備え、
前記一対のリブが前記ベース部へ向かって延びる方向の延長線は、前記一対の脚部をそれぞれ通過する、請求項1に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項4】
前記一対のリブは、前記筒状部から外側へ向かって突出する突出部を備える、請求項1に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記ベース部まで延びている、請求項4に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のエレベータの巻上装置を備えるエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータの巻上装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、巻上装置の薄型化のために、綱車を回転させるための軸部が本体と一体に成形されたエレベータが開示されている。
【0003】
綱車は、軸部によって片持ちで支持される。そのため、綱車にかかる荷重が大きくなると、軸部の変位量が大きくなり、綱車と一体で回転するブレーキディスクの傾きも大きくなる。ブレーキディスクは、ブレーキのパッドとの隙間がわずかとなるように調整されているため、傾きが大きいとブレーキディスクとパッドが擦れてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、綱車と一体で回転するブレーキ作用部の傾きを小さくすることができるエレベータの巻上装置及びエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータの巻上装置は、本体と、
前記本体に回転自在に支持される回転部材と、
前記回転部材と一体として回転する綱車と、を備え、
前記回転部材は、前記綱車が嵌入される綱車嵌入部と、前記綱車嵌入部から前記本体側へ延びる円筒状のロータ部と、前記ロータ部の外周側に配置されるブレーキ作用部と、を備え、
前記本体は、設置面に固定されるベース部と、前記ベース部から上方又は下方へ延びるフレーム部と、前記フレーム部から水平方向に突出し、前記綱車嵌入部を回転自在に支持する筒状部と、前記筒状部内で上下方向に延び、前記ベース部に近付くにつれて互いに離れるように配置された一対のリブと、を備える。
【0007】
また、エレベータは、前記のエレベータの巻上装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、エレベータの巻上装置及びエレベータにおける一実施形態について、
図1~
図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、人が乗るためのかご2と、かご2に接続されるかごロープ3と、かごロープ3に接続される釣合錘4と、かごロープ3を駆動してかご2及び釣合錘4を上下方向D3に走行させる巻上装置5とを備えていてもよい。また、エレベータ1は、例えば、かご2を案内するかごレール6と、釣合錘4を案内する錘レール7と、かご2の走行速度を検出する調速機8と、エレベータ1の各部を制御する処理部9とを備えていてもよい。
【0011】
また、本実施形態においては、かごロープ3の一端がかご2に固定され、かごロープ3の他端が釣合錘4に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ3の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ3がかご2のシーブ及び釣合錘4のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ3がかご2及び釣合錘4にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0012】
また、本実施形態に係るエレベータ1においては、巻上装置5は、昇降路X1の上部に設けられる機械室X2の内部に配置されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、巻上装置5は、昇降路X1の内部に配置されている、という構成でもよい。
【0013】
調速機8は、例えば、かご2に接続される無端環状のガバナロープ8aと、かご2の速度を検出するために、ガバナロープ8aが巻き掛けられるガバナ車8bと、ガバナロープ8aに張力を付与するために、ガバナロープ8aに吊り下げられる張り車8cと、ガバナロープ8aを把持する把持部8dとを備えていてもよい。これにより、調速機8は、ガバナ車8bの回転速度に基づいて、かご2の走行速度を検出する。
【0014】
かご2は、例えば、かごレール6を挟むことによってかご2を停止させる停止部2aと、調速機8の動作を停止部2aへ伝達する伝達部2bとを備えていてもよい。そして、例えば、かご2の速度が設定速度を超えた場合に、把持部8dがガバナロープ8aを把持し、ガバナロープ8aの走行が停止されることによって、かご2の停止部2aは、作動する、という構成でもよい。
【0015】
図2及び
図3に示すように、巻上装置5は、例えば、かごロープ3が巻き掛けられる綱車10と、綱車10と一体的に回転するディスク11と、綱車10を制動するために、ディスク11の回転軸方向である第1横方向D1でディスク11を挟む制動部12とを備えていてもよい。なお、第1横方向D1のうち、第1側D11は、軸方向第1側D11ともいい、第2側D12は、軸方向第2側D12ともいう。
【0016】
綱車10の回転中心は、例えば、第1横方向D1視において、ディスク11の回転中心と同じになっていてもよい。また、ディスク11の外径は、例えば、綱車10の外径よりも大きくなっており、円環状で且つ板状に形成されていてもよい。
【0017】
また、
図4に示すように、巻上装置5は、例えば、機械室X2に固定される本体13と、本体13から第1横方向D1に突出する軸部14と、軸部14を中心に回転する回転部材15とを備えていてもよい。
【0018】
回転部材15は、綱車10が嵌入された綱車嵌入部15aと、ディスク11を構成するディスク部15bと、モータを構成する円筒状のロータ部15cと、ロータ部15cの外周面に設けられた永久磁石15dとを備えていてもよい。回転部材15は、綱車嵌入部15aの内周側に配置された軸受16を介して軸部14に回転自在に軸支されている。また、綱車10は、綱車嵌入部15aの外周面に固定されており、回転部材15と一体として回転する。すなわち、綱車10は、軸部14に軸受16及び回転部材15を介して回転自在に軸支されている。
【0019】
ロータ部15cは、綱車嵌入部15aから本体13側へ延びている。ディスク部15bは、ロータ部15cの外周側の根元部に配置されている。また、ディスク部15bは、綱車嵌入部15aの外周側に円環状に形成されている。制動部12は、ディスク部15bを第1横方向D1の両側から挟むことにより、綱車10にブレーキを付与することができる。すなわち、ディスク部15bは、制動部12によって押圧されてブレーキを作用させるブレーキ作用部の一例である。
【0020】
巻上装置5は、ロータ部15cの外周側に、永久磁石15dと径方向に隙間をあけて、ステータ17を備えていてもよい。ステータ17は、本体13に固定されている。ステータ17は、周方向に間隔をあけて設けられた複数のコイルを備えている。
【0021】
図5及び
図6に示すように、本体13は、例えば、機械室X2の設置面に固定されるベース部18と、ベース部18から上方へ延びるフレーム部19とを備えていてもよい。なお、ベース部18と機械室X2の設置面との固定方法は、特に限定されない。なお、後述するように、巻上装置5は上下を反対として使用可能であり、その場合、以下の巻上装置5に関する上下の表現は適宜反対となる。
【0022】
ベース部18は、第2横方向D2に間隔をあけて配置された2枚の板状部材で構成されている。フレーム部19は、ベース部18の第1横方向D1の第1側D11における端縁から上方へ延びている。すなわち、フレーム部19とベース部18は、第2横方向D2視において略L字状を呈している。
【0023】
制動部12は、例えば、フレーム部19に取り付けられている、という構成でもよい。なお、制動部12の個数は、特に限定されないが、例えば、本実施形態においては、四つとしている。制動部12は、綱車10を挟んでベース部18の反対側に配置されている。また、制動部12は、
図2に示すように、かごロープ3が綱車10に巻き掛けられる側、言い換えると、かごロープ3が綱車10から導出される側とは反対側に配置されている。
【0024】
また、本体13は、フレーム部19の中央に有底円筒状のハウジング部20を備えていてもよい。ハウジング部20は、円筒部と、円筒部の内周面から突出する円環状の底部とで構成されている。ステータ17は、ハウジング部20の円筒部の内周面に固定されている。ハウジング部20の円筒部の外周面は、モータから生じる熱を効果的に放熱するため複数の突条を備えていてもよい。ハウジング部20の下部は、脚部20aを介してベース部18と接続されている。脚部20aは、ベース部18から後述する筒状部21へ向かって延びて、ハウジング部20に接続されている。また、脚部20aは、ベース部18に近付くにつれて互いに離れるように配置されている。
【0025】
また、本体13は、ハウジング部20の底部から第1横方向D1に突出する筒状部21を備えていてもよい。筒状部21は、底部の内周縁から第1横方向D1の第1側D11に向かって突出している。筒状部21の先端には、軸部14が接続される。筒状部21は、軸部14と同軸上に配置されていてもよい。筒状部21は、本体13の軽量化のために中空に形成されている。筒状部21は、ハウジング部20の底部に向かって裾拡がりの形状となっていてもよい。これにより、筒状部21とハウジング部20の接続部での応力集中を抑制できる。
【0026】
軸部14は、
図4に示すように、筒状部21から第1横方向D1の第1側D11に向かって延びている。軸部14の周囲には軸受16が配置されている。軸部14と本体13は、例えば、鋳造などによって一体成形されてもよい。なお、軸部14は、中心に貫通孔が形成されており、不図示のエンコーダが配置されてもよい。
【0027】
回転部材15は、軸受16を介して軸部14に回転自在に軸支されている。また、綱車10は、綱車嵌入部15aに固定されており、回転部材15と一体として回転する。すなわち、綱車10は、軸部14に軸受16及び回転部材15を介して回転自在に軸支されている。
【0028】
軸部14は、その基端部が筒状部21によって片持ちで支持された片持ちの軸部である。筒状部21は、筒状部21に接続された軸部14を介して、回転部材15を回転自在に支持しているとも言える。これにより、綱車10及び回転部材15の重量、かごロープ3からの荷重等によって、軸部14がベース部18に対して大きく変位し、また、軸部14の上部の根元部14aに応力集中が発生するおそれがある。軸部14に接続される筒状部21内に後述のリブ22を設けることで、軸部14の変位量を小さくし、かつ軸部14の根元部14aの応力集中を緩和することができる。
【0029】
リブ22は、筒状部21内で上下方向D3に延びている。リブ22の上下端は、それぞれ筒状部21の内周面に接続されている。なお、リブ22は、上下方向D3に直線状に延びているが、曲線状に延びていてもよい。筒状部21内にリブ22を設けることで、筒状部21が補強されるため、軸部14の根元部14aに集中していた応力が筒状部21に分散され、根元部14aの応力集中が緩和される。
【0030】
一対のリブ22は、第2横方向D2に対向して配置されている。また、一対のリブ22は、ベース部18に近付くにつれて互いに離れるように配置されている。すなわち、一対のリブ22は、第1横方向D1視で逆V字となっている。ここで、逆V字とは、傾斜する2本の線の上端同士が接続されている形態のみならず、傾斜する2本の線の上端同士が離れている形態も含む概念である。好ましくは、リブ22の上端は、筒状部21の軸よりも上方に位置し、リブ22の下端は筒状部21の軸よりも下方に位置する。一対のリブ22を逆V字状に配置することで、軸部14の根元部14aから離れた部位、具体的には本体13の下部を効果的に補強できるため、根元部14aの応力を本体13の下部に逃がすことができる。その結果、根元部14aの応力集中が緩和される。また、一対のリブ22によって本体13の下部を補強することで、ベース部18に対する筒状部21の変位量が小さくなるため、軸部14の変位量を小さくすることができる。
【0031】
一対のリブ22は、ベース部18から遠い端(ここでは上端)同士が連結されていることが好ましい。これにより、リブ22を軸部14の根元部14aに近付けることができるため、根元部14aの応力をリブ22を介して逃がしやすくなる。
【0032】
一対のリブ22は、互いの間隔が根元部14aの付近では狭まり、ベース部18に近付くにつれて広がるように、ベース部18へ向かって延びているが、そのリブ22が延びる方向は、
図6に示すように、脚部20aがハウジング部20と接続している位置に向かっていることが好ましい。すなわち、一対のリブ22がベース部18へ向かって延びる方向の延長線は、一対の脚部20aをそれぞれ通過することが好ましい。これにより、根元部14aの応力をリブ22及び脚部20aを介してベース部18に逃がすことができる。
【0033】
リブ22は、筒状部21から外側(第1横方向D1の第2側D12)へ向かって突出する突出部22aを備えていてもよい。これにより、リブ22による補強効果を高めることができ、軸部14の変位量をさらに小さくし、かつ根元部14aの応力集中をさらに緩和することができる。さらに、突出部22aは、ベース部18まで延びていてもよい。これにより、根元部14aの応力をリブ22を介してベース部18まで含めた本体13の全体に逃がすことができるため、根元部14aの応力集中をさらに緩和できる。
【0034】
図6に示すように、突出部22aの下端同士の距離22wは、筒状部21の内径21wよりも小さいことが好ましい。これにより、リブ22及び突出部22aによる十分な補強効果を得ることができる。なお、突出部22aの下端同士の距離22wは、突出部22aの下端同士の最短距離で定義される。また、筒状部21の内径21wは、本実施形態のように裾拡がりの筒状部21の場合、筒状部21の最大内径で定義される。
【0035】
[1]
以上より、エレベータ1の巻上装置5は、本体13と、本体13に回転自在に支持される回転部材15と、回転部材15と一体として回転する綱車10と、を備え、回転部材15は、綱車10が嵌入される綱車嵌入部15aと、綱車嵌入部15aから本体13側へ延びる円筒状のロータ部15cと、ロータ部15cの外周側に配置されるブレーキ作用部(本実施形態ではディスク部)15bと、を備え、本体13は、設置面に固定されるベース部18と、ベース部18から上方又は下方(本実施形態では上方)へ延びるフレーム部19と、フレーム部19から水平方向(本実施形態では第1横方向D1)に突出し、綱車嵌入部15aを回転自在に支持する筒状部21と、筒状部21内で上下方向D3に延び、ベース部18に近付くにつれて互いに離れるように配置された一対のリブ22と、を備える、という構成が好ましい。
【0036】
斯かる構成によれば、一対のリブ22によって本体13の下部を効果的に補強できるため、ベース部18に対する筒状部21の変位量が小さくなり、軸部14の変位量を小さくすることができる。その結果、綱車10と一体で回転するブレーキ作用部の傾きを小さくすることができる。また、一対のリブ22によって本体13の下部を補強することで、軸部14の根元部14aの応力を本体13の下部に逃がすことができるため、軸部14の根元部14aの応力集中を緩和できる。
【0037】
[2]
また、上記[1]のエレベータ1の巻上装置5においては、一対のリブ22は、ベース部18から遠い端同士が連結されている、という構成が好ましい。
【0038】
斯かる構成によれば、リブ22を軸部14の根元部14aに近付けることができるため、根元部14aの応力をリブ22を介して逃がしやすくなる。これにより、根元部14aの応力集中をさらに緩和できる。
【0039】
[3]また、上記[1]又は[2]のエレベータ1の巻上装置5においては、本体13は、ベース部18から筒状部21へ向かって延びる一対の脚部20aを備え、一対のリブ22がベース部18へ向かって延びる方向の延長線は、一対の脚部20aをそれぞれ通過する、という構成が好ましい。
【0040】
斯かる構成によれば、軸部14の根元部14aの応力をリブ22及び脚部20aを介してベース部18に逃がすことができる。
【0041】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか1つのエレベータ1の巻上装置5においては、一対のリブ22は、筒状部21から外側へ向かって突出する突出部22aを備える、という構成が好ましい。
【0042】
斯かる構成によれば、リブ22による補強効果を高めることができ、軸部14の変位量をさらに小さくし、かつ根元部14aの応力集中をさらに緩和することができる。
【0043】
[5]
また、上記[4]のエレベータ1の巻上装置5においては、突出部22aは、ベース部18まで延びている、という構成が好ましい。
【0044】
斯かる構成によれば、根元部14aの応力をリブ22を介してベース部18まで含めた本体13の全体に逃がすことができるため、根元部14aの応力集中をさらに緩和できる。
【0045】
[6]
また、エレベータ1は、上記[1]~[5]の何れか1つの巻上装置5を備える、という構成が好ましい。
【0046】
斯かる構成によれば、ベース部18に対する筒状部21の変位量が小さくなり、軸部14の変位量を小さくすることができるため、綱車10と一体で回転するブレーキ作用部の傾きを小さくすることができる。
【0047】
なお、エレベータ1及び巻上装置5は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及び巻上装置5は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0048】
(A)上記実施形態に係るエレベータ1の巻上装置5においては、一対のリブ22は、ベース部18から遠い端同士が連結されている、という構成である。しかしながら、エレベータ1の巻上装置5は、斯かる構成に限られない。例えば、一対のリブ22は、ベース部18から遠い端同士が離れている、という構成でもよい。
【0049】
(B)上記実施形態に係るエレベータ1の巻上装置5においては、本体13は、ベース部18から筒状部21へ向かって延びる一対の脚部20aを備え、一対のリブ22がベース部18へ向かって延びる方向の延長線は、一対の脚部20aをそれぞれ通過する、という構成である。しかしながら、エレベータ1の巻上装置5は、斯かる構成に限られない。例えば、リブ22がベース部18へ向かって延びる方向の延長線が脚部20aを通過しなくとも、リブ22による補強効果を得ることは可能である。
【0050】
(C)上記実施形態に係るエレベータ1の巻上装置5においては、一対のリブ22は、筒状部21から外側へ向かって突出する突出部22aを備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1の巻上装置5は、斯かる構成に限られない。例えば、一対のリブ22は、筒状部21の内側のみに形成されている、という構成でもよい。
【0051】
(D)上記実施形態に係るエレベータ1の巻上装置5においては、突出部22aは、ベース部18まで延びている、という構成である。しかしながら、エレベータ1の巻上装置5は、斯かる構成に限られない。例えば、突出部22aは、第1横方向D1視において、筒状部21の内側のみに配置されている、という構成でもよく、ハウジング部20まで延びている、という構成でもよい。
【0052】
(E)上記実施形態に係るエレベータ1の巻上装置5においては、筒状部21は、筒状部21に接続された軸部14を介して、回転部材15を回転自在に支持している、という構成である。しかしながら、エレベータ1の巻上装置5は、斯かる構成に限られない。例えば、
図7に示すように、筒状部121は、回転部材15に接続された軸部114を介して、回転部材15を回転自在に支持している、という構成でもよい。
図7において、
図1~
図6の符号と同一の符号を付した部分は、上記実施形態と略同様の構成又は略同様の機能(作用)を有する要素を表し、その説明は、繰り返さない。
回転部材15は、綱車嵌入部15aの内周側に固定された軸部114を備えている。すなわち、軸部114は、回転部材15と一体として回転する。軸部114は、綱車嵌入部15aから本体13側(軸方向第2側D12)に延びている。
本体13は、ハウジング部20の底部から第1横方向D1に突出する筒状部121を備えている。筒状部121は、上記実施形態の筒状部21よりも長くなっている。筒状部121の先端の内周面には、軸受116が配置されている。回転部材15は、軸部114の外周側に配置された軸受116を介して筒状部121に回転自在に支持されている。
【0053】
(F)上記実施形態に係るエレベータ1の巻上装置5においては、綱車10を制動するために、制動部12は第1横方向D1でディスク11を挟む、という、いわゆるディスク式のブレーキであるが、これに限定されない。例えば、制動部12は、第2横方向D2でドラムを挟む、という、いわゆるドラム式のブレーキでもよい。すなわち、ブレーキ作用部としては、ブレーキシューが押し当てられるドラムであってもよい。
【0054】
(G)上記実施形態に係るエレベータ1の巻上装置5においては、ロータ部15cの外周側にステータ17を配置したインナーロータ型のモータ構造であるが、これに限定されない。例えば、ロータ部15cの内周側にステータ17を配置したアウターロータ型のモータ構造であってもよい。このとき、ステータ17は、筒状部21の外周面に設けられ、永久磁石15dは、ロータ部15cの内周面に設けられる。
【0055】
(H)上記実施形態に係るエレベータ1においては、巻上装置5は、昇降路X1の上部に設けられる機械室X2の内部に配置されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、巻上装置5は、昇降路X1の内部に配置されている、という構成でもよい。このとき、巻上装置5は、
図4及び
図7の上下を反対として使用されてもよい。巻上装置5が上下を反対として使用される場合、例えば、本体13のベース部18が、昇降路X1内の梁に下側から固定される。
【符号の説明】
【0056】
1…エレベータ、2…かご、2a…停止部、2b…伝達部、3…かごロープ、4…釣合錘、5…巻上装置、6…かごレール、7…錘レール、8…調速機、8a…ガバナロープ、8b…ガバナ車、8c…張り車、8d…把持部、9…処理部、10…綱車、11…ディスク、12…制動部、13…本体、14…軸部、14a…根元部、15…回転部材、15a…綱車嵌入部、15b…ディスク部、15c…ロータ部、15d…永久磁石、16…軸受、17…ステータ、18…ベース部、19…フレーム部、20…ハウジング部、20a…脚部、21…筒状部、21w…筒状部の内径、22…リブ、22a…突出部、22w…突出部の下端同士の距離、114…軸部、116…軸受、121…筒状部、D1…第1横方向、D11…軸方向第1側、D12…軸方向第2側、D2…第2横方向、D3…上下方向、X1…昇降路、X2…機械室
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に回転自在に支持される回転部材と、
前記回転部材と一体として回転する綱車と、を備え、
前記回転部材は、前記綱車が嵌入される綱車嵌入部と、前記綱車嵌入部から前記本体側へ延びる円筒状のロータ部と、前記ロータ部の外周側に配置されるブレーキ作用部と、を備え、
前記本体は、設置面に固定されるベース部と、前記ベース部から上方又は下方へ延びるフレーム部と、前記フレーム部から水平方向に突出し、前記綱車嵌入部を回転自在に支持する筒状部と、前記筒状部内で上下方向に延び、前記ベース部に近付くにつれて互いに離れるように配置された一対のリブと、を備え、
前記リブの上端は、前記筒状部の軸よりも上方に位置し、前記リブの下端は、前記筒状部の軸よりも下方に位置する、エレベータの巻上装置。
【請求項2】
前記一対のリブは、前記ベース部から遠い端同士が連結されている、請求項1に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項3】
前記本体は、前記ベース部から前記筒状部へ向かって延びる一対の脚部を備え、
前記一対のリブが前記ベース部へ向かって延びる方向の延長線は、前記一対の脚部をそれぞれ通過する、請求項1に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項4】
前記一対のリブは、前記筒状部から外側へ向かって突出する突出部を備える、請求項1に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記ベース部まで延びている、請求項4に記載のエレベータの巻上装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のエレベータの巻上装置を備えるエレベータ。