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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066734
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】部品実装機及び部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176382
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 利律
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353EE42
5E353EE43
5E353GG01
5E353HH01
5E353HH12
5E353HH13
5E353HH30
5E353JJ21
5E353JJ32
5E353KK01
5E353KK21
5E353LL04
5E353MM02
5E353MM08
5E353NN18
5E353QQ09
(57)【要約】
【課題】必要に応じて適切にノズルを清掃・洗浄するための技術を提供する。
【解決手段】部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を吸着するノズル又は基板に接着剤を塗布する塗布ツールを装着可能なヘッドと、電子部品をノズルに供給する複数の部品フィーダを着脱可能に保持するフィーダ保持部と、フィーダ保持部に着脱可能に保持され、塗布ツール内の接着剤を試し塗布可能なシートを備える第1装置と、ヘッドを移動させる移動装置であって、フィーダ保持部に第1装置が保持されているときであって、ヘッドに塗布ツールが装着されている場合には、シートを用いて塗布ツール内の接着剤を試し塗布する試し塗布動作を実行するようにヘッドを移動させる一方で、ヘッドにノズルが装着されている場合には、シートを用いてノズルに付着する汚れを清掃する清掃動作を実行するようにヘッドを移動させる、移動装置と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記電子部品を吸着するノズル又は前記基板に接着剤を塗布する塗布ツールを装着可能なヘッドと、
前記電子部品を前記ノズルに供給する複数の部品フィーダを着脱可能に保持するフィーダ保持部と、
前記フィーダ保持部に着脱可能に保持され、前記塗布ツール内の前記接着剤を試し塗布可能なシートを備える第1装置と、
前記ヘッドを移動させる移動装置であって、前記フィーダ保持部に前記第1装置が保持されているときであって、前記ヘッドに前記塗布ツールが装着されている場合には、前記シートを用いて前記塗布ツール内の前記接着剤を試し塗布する試し塗布動作を実行するように前記ヘッドを移動させる一方で、前記ヘッドに前記ノズルが装着されている場合には、前記シートを用いて前記ノズルに付着する汚れを清掃する清掃動作を実行するように前記ヘッドを移動させる、移動装置と、
を備える、部品実装機。
【請求項2】
前記清掃動作は、前記シートに前記ノズルの先端を押し付ける動作である、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記第1装置は、当該第1装置を識別する識別情報を記憶しており、
前記フィーダ保持部に保持されている前記第1装置と通信可能であり、当該第1装置から前記識別情報を取得する取得部と、
前記電子部品を前記基板に実装する作業プログラムを記憶する記憶部と、
をさらに備えており、
前記移動装置は、前記取得部が前記識別情報を取得したときであって、前記作業プログラムが前記塗布ツールにより前記基板に前記接着剤を塗布する作業を含んでいる場合には、前記試し塗布動作を実行するように前記ヘッドを移動させる一方で、前記作業プログラムが前記塗布ツールにより前記基板に前記接着剤を塗布する作業を含んでいない場合には、前記清掃動作を実行するように前記ヘッドを移動させる、請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記電子部品を吸着するノズルを装着可能なヘッドと、
前記電子部品を前記ノズルに供給する複数の部品フィーダを着脱可能に保持するフィーダ保持部と、
前記フィーダ保持部に着脱可能に保持され、前記電子部品に付着させる粘性体を貯留可能な貯留部を備える第2装置と、
前記ヘッドを移動させる移動装置であって、前記フィーダ保持部に前記第2装置が保持されているときであって、前記貯留部内に粘性体が貯留されている場合には、前記ヘッドに装着される前記ノズルに吸着される前記電子部品に前記粘性体を付着させる粘性体付着動作を実行するように前記ヘッドを移動させる一方で、前記貯留部内に洗浄液が貯留されている場合には、前記ヘッドに装着される前記ノズルに付着している汚れを洗浄する洗浄動作を実行するように前記ヘッドを移動させる、移動装置と、
を備える、部品実装機。
【請求項5】
電子部品を基板に実装する方法であって、
前記電子部品を前記基板に実装する作業プログラムを取得するプログラム取得工程と、
前記電子部品を供給するフィーダを着脱可能に保持するフィーダ保持部に保持されている、塗布ツール内の接着剤を試し塗布可能なシートを備える第1装置から、当該第1装置を識別する識別情報を取得する識別情報取得工程と、
前記第1装置を用いた動作を実行する動作実行工程であって、前記識別情報取得工程によって前記識別情報を取得したときであって、前記プログラム取得工程で取得した前記作業プログラムに塗布ツールにより前記基板に接着剤を塗布する作業が含まれる場合には、前記シートを用いて前記塗布ツール内の前記接着剤を試し塗布する試し塗布動作を実行する一方で、前記プログラム取得工程で取得した前記作業プログラムに塗布ツールにより前記基板に接着剤を塗布する作業が含まれない場合には、前記シートを用いて前記ノズルに付着する汚れを清掃する清掃動作を実行する、動作実行工程と、
を備える、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子部品を基板に実装する部品実装機及び部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機では、はんだや接着剤を基板上に塗布し、その上に電子部品を実装することがある。このような場合に、基板上に塗布されたはんだや接着剤がノズルに付着してしまうことがある。ノズルにはんだや接着剤が付着すると、ノズルで適切に電子部品を吸着できなくなったり、ノズルで吸着した電子部品がノズルから離れず、電子部品を適切に基板上に実装できなくなったりすることがある。このため、ノズルに付着したはんだや接着剤を取り除く処理を実行するための技術が開発されている。例えば、特許文献1には、ノズルの先端を洗浄するための洗浄装置を備える部品実装機が開示されている。洗浄装置は、部品実装機内の所定の位置に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-311229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の部品実装機は、洗浄装置を備えるため、ノズルの先端に付着したはんだや接着剤を洗浄することができる。しかしながら、洗浄装置が部品実装機内の所定の位置に固定されるため、部品実装機内には、洗浄装置を配置するためのスペースが必要となる。基板に電子部品を実装する作業には種々の種類のものがあり、ノズルの先端にはんだや接着剤が付着する可能性があるものがある一方で、ノズルの先端にはんだや接着剤が付着する可能性が低いものもある。特許文献1の部品実装機には、洗浄装置が固定されるため、ノズルの先端を洗浄する必要がない場合にも洗浄装置が不要に設置されるという問題があった。
【0005】
本明細書は、必要に応じて適切にノズルを清掃・洗浄するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する第1の部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を吸着するノズル又は基板に接着剤を塗布する塗布ツールを装着可能なヘッドと、電子部品をノズルに供給する複数の部品フィーダを着脱可能に保持するフィーダ保持部と、フィーダ保持部に着脱可能に保持され、塗布ツール内の接着剤を試し塗布可能なシートを備える第1装置と、ヘッドを移動させる移動装置であって、フィーダ保持部に第1装置が保持されているときであって、ヘッドに塗布ツールが装着されている場合には、シートを用いて塗布ツール内の接着剤を試し塗布する試し塗布動作を実行するようにヘッドを移動させる一方で、ヘッドにノズルが装着されている場合には、シートを用いてノズルに付着する汚れを清掃する清掃動作を実行するようにヘッドを移動させる、移動装置と、を備える。
【0007】
また、本明細書に開示する第2の部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を吸着するノズルを装着可能なヘッドと、電子部品をノズルに供給する複数の部品フィーダを着脱可能に保持するフィーダ保持部と、フィーダ保持部に着脱可能に保持され、電子部品に付着させる粘性体を貯留可能な貯留部を備える第2装置と、ヘッドを移動させる移動装置であって、フィーダ保持部に第2装置が保持されているときであって、貯留部内に粘性体が貯留されている場合には、ヘッドに装着されるノズルに吸着される電子部品に粘性体を付着させる粘性体付着動作を実行するようにヘッドを移動させる一方で、貯留部内に洗浄液が貯留されている場合には、ヘッドに装着されるノズルに付着している汚れを洗浄する洗浄動作を実行するようにヘッドを移動させる、移動装置と、を備える。
【0008】
上記の第1及び第2の部品実装機では、第1装置及び第2装置は、フィーダ保持部に着脱可能に設置できる。このため、第1装置や第2装置を設置する専用のスペースを設ける必要がない。第1装置及び第2装置は、ノズルの清掃・洗浄に用いることができる。このため、ノズルの清掃・洗浄を行う必要がある場合、第1装置又は第2装置を部品実装機(詳細には、フィーダ保持部)に設置することができる。
【0009】
また、本明細書に開示する部品実装方法においても、上記の第1及び第2の部品実装機と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る部品実装機の概略構成を示す図。
図2図1のII-II線における断面図であり、フィーダ保持部に接着剤供給装置と塗布状態確認装置を設置した状態を示す。
図3】実施例に係る部品実装機の制御系を示すブロック図。
図4】部品フィーダの概略構成を示す図。
図5】接着剤供給装置の概略構成を示す図。
図6】塗布状態確認装置の概略構成を示す図。
図7】塗布状態確認装置を用いた処理の一例を示すフローチャート。
図8】フィーダ保持部に粘性体供給装置を設置した状態を示す上面図。
図9】粘性体供給装置の概略構成を示す図。
図10】粘性体供給装置を用いた処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
本明細書に開示する第1及び第2の部品実装機では、第1装置と第2装置は、フィーダ保持部に着脱可能に設置できる。第1装置は、接着剤の試し塗布装置として使用可能であると共に、ノズルの清掃装置としても使用可能であり、第2装置は、粘性体供給装置として使用可能であると共に、ノズルの洗浄装置としても使用可能である。このため、必要に応じて適切な装置を設置できると共に、不要な装置を固定的に設置することを回避することができる。また、第1装置や第2装置をノズルの清掃・洗浄のための専用装置ではなく、他の用途に使用する装置と兼用することにより、ノズルの清掃・洗浄のための専用装置を別途設ける必要がなく、ノズルの清掃・洗浄を低コストで実行することが可能となる。
【0013】
本明細書に開示する部品実装機では、清掃動作は、シートにノズルの先端を押し付ける動作であってもよい。このような構成によると、清掃動作を好適に実行することができる。
【0014】
本明細書に開示する部品実装機では、第1装置は、当該第1装置を識別する識別情報を記憶していてもよい。部品実装機は、フィーダ保持部に保持されている第1装置と通信可能であり、当該第1装置から識別情報を取得する取得部と、電子部品を基板に実装する作業プログラムを記憶する記憶部と、をさらに備えていてもよい。移動装置は、取得部が識別情報を取得したときであって、作業プログラムが塗布ツールにより基板に接着剤を塗布する作業を含んでいる場合には、試し塗布動作を実行するようにヘッドを移動させる一方で、作業プログラムが塗布ツールにより基板に接着剤を塗布する作業を含んでいない場合には、清掃動作を実行するようにヘッドを移動させてもよい。このような構成によると、第1装置をフィーダ保持部に設置することにより、設置された第1装置を識別することができる。また、第1装置から取得した識別情報と、作業プログラムに基づいて、第1装置を試し塗布動作と清掃動作のどちらを実行する装置として用いるのかを適切に判断することができる。
【0015】
また、本明細書に開示する部品実装方法は、電子部品を基板に実装する方法である。部品実装方法は、電子部品を基板に実装する作業プログラムを取得するプログラム取得工程と、電子部品を供給するフィーダを着脱可能に保持するフィーダ保持部に保持されている、塗布ツール内の接着剤を試し塗布可能なシートを備える第1装置から、当該第1装置を識別する識別情報を取得する識別情報取得工程と、第1装置を用いた動作を実行する動作実行工程であって、識別情報取得工程によって識別情報を取得したときであって、プログラム取得工程で取得した作業プログラムに塗布ツールにより基板に接着剤を塗布する作業が含まれる場合には、シートを用いて塗布ツール内の接着剤を試し塗布する試し塗布動作を実行する一方で、プログラム取得工程で取得した作業プログラムに塗布ツールにより基板に接着剤を塗布する作業が含まれない場合には、シートを用いてノズルに付着する汚れを清掃する清掃動作を実行する、動作実行工程と、を備える。
【実施例0016】
(実施例1)
図面を参照して、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0017】
図1図3に示すように、部品実装機10は、フィーダ保持部14と、ヘッド16と、撮像装置20と、ヘッド16と撮像装置20を移動させる移動装置18と、基板コンベア22と、操作パネル24と、通信部28と、制御装置26を備えている。
【0018】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには、部品フィーダ30(後述)を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。図2に示すように、フィーダ保持部14は、コネクタ15を備えている。なお、図2では、最も+X方向側のスロットには、部品フィーダ30(及び、後述の接着剤供給装置60、塗布状態確認装置80、粘性体供給装置50)が設置されていない状態を示している。コネクタ15は、フィーダ保持部14に部品フィーダ30を設置したときに、部品フィーダ30のコネクタ40(後述)と接続する位置に設けられている。また、フィーダ保持部14には、接着剤供給装置60、塗布状態確認装置80及び粘性体供給装置50を着脱可能に設置することもできる。なお、部品フィーダ30、接着剤供給装置60、塗布状態確認装置80及び粘性体供給装置50については、後に詳述する。
【0019】
ヘッド16は、移動装置18の移動ベース18a(後述)に着脱可能に取り付けられる。ヘッド16は、電子部品4を吸着する1又は複数のノズル6を有する。ノズル6は、ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。ヘッド16は、ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、フィーダ保持部14に設置された部品フィーダ30や回路基板2に対して、ノズル6を接近及び離間させる。ヘッド16は、部品フィーダ30から供給される電子部品4をノズル6によって吸着すると共に、ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に装着することができる。移動ベース18aには、電子部品4の種類に応じて異なる種類のヘッド16を取り付けることができる。また、移動ベース18aには、接着剤ツール66(後述)を装着可能なヘッド16も取り付けることができる。
【0020】
撮像装置20は、移動ベース18a(後述)に固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。撮像装置20は、カメラと光源を備えている。カメラは、その撮像方向が下方に向かうように配置されており、回路基板2の上面や塗布状態確認装置80が備えるシート84(後述)の上面を撮像する。カメラには、例えばCCDカメラが用いられる。光源は、LEDにより構成されており、回路基板2の上面やシート84の上面を照明する。撮像装置20によって撮像された画像の画像データは、制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶される。
【0021】
移動装置18は、部品フィーダ30と回路基板2との間でヘッド16及び撮像装置20を移動させる。本実施例の移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットである。移動装置18は、移動ベース18aを案内するガイドレールや、移動ベース18aをガイドレールに沿って移動させる移動機構、また当該移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。移動装置18は、部品フィーダ30及び回路基板2の上方に配置されている。移動ベース18aに対してヘッド16及び撮像装置20が取り付けられている。ヘッド16及び撮像装置20は、移動装置18によってフィーダ保持部14に設置された部品フィーダ30、接着剤供給装置60、塗布状態確認装置80又は粘性体供給装置50の上方や回路基板2の上方を移動する。
【0022】
基板コンベア22は、回路基板2をX方向へ搬送する。本実施例の基板コンベア22は、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取り付けられるとともに回路基板2を下方から支持する支持装置と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成されている。基板コンベア22は、一方側に隣接する基板作業機から回路基板2を受け取って部品実装機10内へ搬入し、回路基板2を部品実装位置へ位置決めする。基板コンベア22は、回路基板2に対する電子部品4の実装が完了すると、回路基板2を部品実装機10から搬出し、他方側に隣接する基板作業機へ受け渡す。
【0023】
制御装置26は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。図3に示すように、制御装置26は、ヘッド16、移動装置18、撮像装置20、基板コンベア22、操作パネル24及び通信部28と接続しており、ヘッド16、移動装置18、撮像装置20、基板コンベア22、操作パネル24及び通信部28の各部を制御している。また、制御装置26は、コネクタ15を介して、フィーダ保持部14に設置された部品フィーダ30、接着剤供給装置60、塗布状態確認装置80及び粘性体供給装置50等の装置から、その装置を識別する識別情報(後述)を取得する。
【0024】
操作パネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。通信部28は、管理装置8との間で情報を送受信する。具体的には、通信部28は、管理装置8から生産プログラムに関する情報を受信する。
【0025】
部品フィーダ30は、フィーダ保持部14に着脱可能に設置され、部品実装機10(具体的には、ノズル6)に電子部品4を供給する。図4に示すように、部品フィーダ30は、本体32と、本体32に着脱可能に取り付けられたリール34と、テープ送出機構38と、コネクタ40と、制御装置42を備えている。
【0026】
リール34には、複数の電子部品4を一定の間隔で収容する長尺のテープ36が巻かれている。テープ送出機構38は、電子部品4を収容するテープ36を、リール34から一定量ずつ送り出す。テープ送出機構38によるテープ36の送り出し量は、テープ36に収容された電子部品4の間隔に応じて設定される。送り出されたテープ36上の電子部品4は、部品取出位置44において、ヘッド16により取り上げられる。リール34は、部品フィーダ30の本体32に対して交換可能となっている。
【0027】
コネクタ40は、部品フィーダ30の+Y方向側の側面(すなわち、部品フィーダ30がフィーダ保持部14に設置されたときに基板コンベア22側に位置する側面)に配置されている。コネクタ40は、部品フィーダ30がフィーダ保持部14に設置されると、フィーダ保持部14のコネクタ15と接続される。制御装置42は、部品フィーダ30の各部を制御している。また、制御装置42のメモリ(図示省略)は、部品フィーダ30を識別する識別情報を記憶している。
【0028】
なお、本実施例では、部品フィーダ30は、テープ式の部品フィーダであるが、このような構成に限定されない。例えば、部品フィーダは、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式の部品フィーダや、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式の部品フィーダであってもよい。
【0029】
接着剤供給装置60は、フィーダ保持部14に着脱可能に設置され、部品実装機10に接着剤を供給する。図5に示すように、接着剤供給装置60は、本体62と、本体62に設けられるポケット64と、接着剤ツール66と、ヒータ68と、コネクタ70と、制御装置72を備えている。
【0030】
本体62は、フィーダ保持部14に設置可能な形状を有している。すなわち、本体62は、フィーダ保持部14のスロットに倣う形状を有している。本体62のX方向の寸法は、部品フィーダ30のX方向の寸法より大きい。このため、接着剤供給装置60は、フィーダ保持部14の複数スロット(本実施例では、2つのスロット)に跨って設置される。
【0031】
ポケット64は、本体62の+Y方向側の上面に設けられている。ポケット64は、接着剤ツール66を収容可能な形状を有している。接着剤ツール66は、ポケット64に収容されている。接着剤ツール66には、接着剤(例えば、グルー等)が収容されている。接着剤ツール66は、接着剤ツール66を装着可能な種類のヘッド16に装着され、ヘッド16に装着された状態で接着剤供給装置60と回路基板2との間を移動装置18によって移動する。接着剤ツール66は、回路基板2に接着剤を塗布するために用いられる。接着剤ツール66がヘッド16に装着されると、図示しない圧力印加装置によって接着剤ツール66内の接着剤に圧力が印加され、接着剤ツール66内の接着剤が先端から吐出されるようになっている。
【0032】
ヒータ68は、ポケット64の周囲に配置されている。ヒータ68は、ポケット64に収容されている接着剤ツール66の温度を調整する。接着剤を安定した状態で回路基板2に塗布するためには、接着剤を室温より高い所定の温度に調節する必要がある。ポケット64の近傍にヒータ68が配置されることによって、接着剤ツール66をポケット64に収容している間に、接着剤ツール66に収容される接着剤の温度を好適に調節することができる。
【0033】
コネクタ70は、接着剤供給装置60の+Y方向側の側面(すなわち、接着剤供給装置60がフィーダ保持部14に設置されたときに基板コンベア22側に位置する側面)に配置されている。コネクタ70は、接着剤供給装置60がフィーダ保持部14に設置されると、フィーダ保持部14のコネクタ15と接続される。制御装置72は、接着剤供給装置60の各部を制御している。また、制御装置72のメモリ(図示省略)は、接着剤供給装置60を識別する識別情報を記憶している。
【0034】
塗布状態確認装置80は、接着剤供給装置60に収容される接着剤ツール66から、接着剤が適切に塗布されるか否か(すなわち、接着剤の塗布状態)を確認するために用いられる。また、本実施例では、塗布状態確認装置80は、ノズル6に付着した汚れを清掃するためにも用いられる。塗布状態確認装置80は、フィーダ保持部14に着脱可能に設置される。図6に示すように、塗布状態確認装置80は、本体82と、シート84と、シート84を供給する供給部86と、シート84を巻き取る巻取部88と、モータ89と、コネクタ90と、制御装置92を備えている。
【0035】
本体82は、接着剤供給装置60の本体62と同様に、フィーダ保持部14に設置可能な形状を有している。本体82のX方向の寸法は、部品フィーダ30のX方向の寸法より大きい。このため、塗布状態確認装置80は、フィーダ保持部14の複数スロット(本実施例では、2つのスロット)に跨って設置される。
【0036】
シート84は、接着剤供給装置60に収容される接着剤ツール66を用いて接着剤を試験的に塗布する(すなわち、接着剤を試し塗布する)ために用いられる。また、本実施例では、シート84は、ノズル6に付着した汚れを除去するためにも用いられる。シート84は、供給部86から供給され、試し塗布位置85で本体82から外部に露出し、巻取部88に巻き取られる。供給部86と巻取部88は、回転可能に本体82に支持されている。巻取部88には、モータ89が接続されており、モータ89により巻取部88がシート84を巻き取る方向(図7では、時計回り)に回転する。巻取部88が回転してシート84を巻き取ることにより、シート84が引っ張られて供給部86も回転する。
【0037】
コネクタ90は、塗布状態確認装置80の+Y方向側の側面(すなわち、塗布状態確認装置80がフィーダ保持部14に設置されたときに基板コンベア22側に位置する側面)に配置されている。コネクタ90は、塗布状態確認装置80がフィーダ保持部14に設置されると、フィーダ保持部14のコネクタ15と接続される。制御装置92は、塗布状態確認装置80の各部を制御している。また、制御装置92のメモリ(図示省略)は、塗布状態確認装置80を識別する識別情報を記憶している。
【0038】
次に、部品実装機10に設置された塗布状態確認装置80を用いた動作について説明する。本実施例では、塗布状態確認装置80が部品実装機10に設置されると、塗布状態確認装置80を用いた2種類の動作が実行可能となる。1つは、接着剤供給装置60に収容される接着剤ツール66を用いてシート84に試し塗布する動作(以下、試し塗布動作ともいう)であり、もう1つは、ノズル6に付着した汚れをシート84に転写してノズル6を清掃する動作(以下、清掃動作ともいう)である。以下では、塗布状態確認装置80を用いて試し塗布動作と清掃動作のいずれか一方が実行される例について説明する。
【0039】
図7に示すように、まず、制御装置26は、管理装置8から送信された作業プログラムを、通信部28を介して取得したか否かを判断する(S12)。部品実装機10は、管理装置8から送信された作業プログラムに基づいて、回路基板2に電子部品4を実装する処理(以下、実装処理ともいう)を実行する。作業プログラムを取得していない場合(ステップS12でNO)、管理装置8から送信される作業プログラムを取得するまで待機する。
【0040】
作業プログラムを取得すると(ステップS12でYES)、制御装置26は、フィーダ保持部14の各スロットに部品フィーダ30等の装置が設置されたか否かを判断する(S14)。各スロットに部品フィーダ30等の装置を設置する作業は、作業者が行ってもよいし、部品フィーダ30等の装置を所定の保管庫からフィーダ保持部14に移動させる移動装置(図示省略)が、管理装置8から送信される指示に従い自動で行ってもよい。本実施例では、フィーダ保持部14には、部品フィーダ30と塗布状態確認装置80が設置される。また、必要に応じて、フィーダ保持部14には、接着剤供給装置60も設置される。例えば、フィーダ保持部14のスロットに部品フィーダ30が設置されると、スロットに設けられたコネクタ15と、部品フィーダ30のコネクタ40とが接続し、コネクタ40、15を介して部品フィーダ30の識別情報が制御装置26に出力される。また、本実施例では、スロットには部品フィーダ30以外に、接着剤供給装置60又は塗布状態確認装置80も設置可能であり、接着剤供給装置60のコネクタ70や塗布状態確認装置80のコネクタ90からスロットに設けられたコネクタ15を介して、当該スロットに設置された接着剤供給装置60又は塗布状態確認装置80の識別情報が出力される。フィーダ保持部14の全てのスロットに装置が設置されないこともあり、複数のスロットのうちどのスロットに装置が設置されるのかについては、ステップS12で取得した作業プログラムから特定できる。各スロットからコネクタ15(詳細には、コネクタ15と、各装置のコネクタ40、70、90のいずれか)を介して識別情報が出力されることにより、各スロットに装置が設置されたか否かを判別できると共に、各スロットにどの種類の装置が設置されたのかを識別できる。装置が設置されていないスロットがある場合(ステップS14でNO)、各スロットに装置が設置されるまで待機する。
【0041】
各スロットに装置が設置されると(ステップS14でYES)、制御装置26は、フィーダ保持部14に設置された装置の中に塗布状態確認装置80が含まれるか否かを判断する(S16)。本実施例では、塗布状態確認装置80は、試し塗布動作と清掃動作のいずれか一方に用いられる。塗布状態確認装置80がフィーダ保持部14に設置されていない場合(ステップS16でNO)、制御装置26は、実装処理において試し塗布動作と清掃動作のどちらも実行されないと判断し、本実施例の処理を終了する。
【0042】
一方で、塗布状態確認装置80がフィーダ保持部14に設置されている場合(ステップS16でYES)、制御装置26は、実装処理に接着剤を供給する処理が含まれるか否かを判断する(S18)。例えば、制御装置26は、ステップS12で取得した作業プログラムに基づいて、実装処理に接着剤を供給する処理が含まれるか否かを判断することができる。また、接着剤を供給する処理を実行する場合、接着剤供給装置60がフィーダ保持部14に設置されている必要がある。このため、制御装置26は、ステップS14でフィーダ保持部14に接着剤供給装置60が設置されたか否かに基づいて、実装処理に接着剤を供給する処理が含まれるか否かを判断してもよい。また、接着剤を供給する処理を実行する場合、移動ベース18aに接着剤ツール66(後述)を装着可能なヘッド16が取り付けられる。このため、制御装置26は、移動ベース18aに取り付けられたヘッド16の種類から、実装処理に接着剤を供給する処理が含まれるか否かを判断してもよい。
【0043】
接着剤を供給する処理が含まれる場合(ステップS18でYES)、制御装置26は、塗布状態確認装置80のシート84に対して試し塗布動作を実行する(S20)。すなわち、制御装置26は、試し塗布動作と清掃動作のうち試し塗布動作を実行するために、フィーダ保持部14に塗布状態確認装置80が設置されたと判断し、試し塗布動作を実行する。
【0044】
例えば、試し塗布動作は、以下のように実行される。試し塗布動作は、フィーダ保持部14に接着剤供給装置60と塗布状態確認装置80が設置されている状態で実行される。また、接着剤の塗布状態を確認する動作は、接着剤が回路基板2に塗布される前に実行される。
【0045】
まず、制御装置26は、接着剤供給装置60に収容されている接着剤ツール66をヘッド16に装着させる。次いで、制御装置26は、接着剤ツール66を試し塗布位置85の上方に移動させて、試し塗布位置85に露出しているシート84上に接着剤ツール66内の接着剤を塗布する。次いで、制御装置26は、撮像装置20を試し塗布位置85の上方に移動させ、試し塗布位置85を上方から撮像する。次いで、制御装置26は、撮像画像から、塗布された接着剤の大きさや形状が所定の範囲内であるか否かを判断する。次いで、制御装置26は、コネクタ15、90を介して、塗布状態確認装置80に試し塗布が終了した旨の情報を送信する。
【0046】
塗布状態確認装置80の制御装置92は、制御装置26から試し塗布が終了した旨の情報を取得すると、モータ89を所定量だけ駆動し、巻取部88でシート84を巻き取る。すると、試し塗布により接着剤が塗布されたシート84が試し塗布位置85から巻取部88側に移動し、試し塗布位置85には、接着剤が塗布されていないシート84が露出する。
【0047】
一方で、接着剤を供給する処理が含まれない場合(ステップS18でNO)、制御装置26は、塗布状態確認装置80のシート84に対して清掃作を実行する(S22)。すなわち、制御装置26は、試し塗布動作と清掃動作のうち清掃動作を実行するためにフィーダ保持部14に塗布状態確認装置80が設置されたと判断する。
【0048】
例えば、清掃動作は、以下のように実行される。清掃動作は、ヘッド16にノズル6が装着された状態で実行される。制御装置26は、ノズル6を試し塗布位置85の上方に移動させて、試し塗布位置85に露出しているシート84上にノズル6を押し付ける。ノズル6には、回路基板2上に塗布されたはんだや接着剤が付着してしまうことがある。ノズル6をシート84に押し付けることにより、ノズル6に付着している汚れ(はんだや接着剤等)がシート84に転写され、ノズル6に付着した汚れを除去することができる。清掃動作は、ステップS12で取得した作業プログラムに従って実行される。例えば、清掃動作は、回路基板2上に電子部品4を実装する動作を複数回行う毎に実行することができる。また、清掃動作は、作業者の指示により実行してもよい。例えば、作業者がノズル6に汚れが付着していることを発見したときに、作業者が操作パネル24から清掃動作を行うように指示してもよい。
【0049】
本実施例では、塗布状態確認装置80を、部品フィーダ30を設置するフィーダ保持部14に設置することができる。これにより、必要に応じて塗布状態確認装置80を設置することができ、部品実装機10内に不要な装置を常設することを回避することができる。また、塗布状態確認装置80を試し塗布動作を実行するための装置として用いると共に、清掃動作を実行するための装置としても用いる。このように、試し塗布動作を実行するための装置を用いて清掃動作を実行可能とすることによって、ノズル6の汚れを除去するための専用装置を別途設ける必要がなく、ノズル6の清掃を低コストで実行することができる。
【0050】
なお、本実施例では、塗布状態確認装置80を用いて、試し塗布動作と清掃動作のいずれか一方のみを実行したが、このような構成に限定されない。フィーダ保持部14に複数の塗布状態確認装置80を設置し、特定の塗布状態確認装置80で試し塗布動作を実行すると共に、他の塗布状態確認装置80で清掃動作を実行してもよい。この場合、ステップS12で取得する作業プログラムは、塗布状態確認装置80が設置されるスロットの位置と、その位置に設置される塗布状態確認装置80が試し塗布動作と清掃動作のどちらの用途で使用されるのかに関する情報を含んでいる。制御装置26は、作業プラグラムに従い、回路基板2に接着剤を塗布する作業を実行するときには、試し塗布動作を実行するための塗布状態確認装置80を用いて試し塗布動作を実行し、回路基板2に電子部品4を実装する作業を実行するときには、清掃動作を実行するための塗布状態確認装置80を用いて清掃動作を実行する。
【0051】
(実施例2)
上記の実施例では、塗布状態確認装置80を用いてノズル6に付着した汚れを除去したが、このような構成に限定されない。例えば、電子部品4の下面に付着させる粘性体を供給する粘性体供給装置50を、ノズル6に付着した汚れを除去するための装置として転用してもよい。
【0052】
図8に示すように、粘性体供給装置50は、フィーダ保持部14に着脱可能に設置される。図9に示すように、粘性体供給装置50は、本体52と、貯留部54と、コネクタ56と、制御装置58を備えている。本体52は、接着剤供給装置60の本体62や塗布状態確認装置80の本体82と同様に、フィーダ保持部14に設置可能な形状を有している。本体52のX方向の寸法は、部品フィーダ30のX方向の寸法より大きい。このため、粘性体供給装置50は、フィーダ保持部14の複数スロット(本実施例では、2つのスロット)に跨って設置される。
【0053】
貯留部54は、平面視したときに矩形の箱状であり、内部に粘性体が貯留されている。粘性体は、電子部品4を回路基板2に実装する際に、電子部品4(例えば、電子部品4の電極等)に付着させて用いられる。本実施例の粘性体は、フラックスである。また、粘性体供給装置50をノズル6に付着した汚れを除去するための装置として転用する場合には、貯留部54には、ノズル6を洗浄するための洗浄液が貯留される。
【0054】
コネクタ56は、粘性体供給装置50の+Y方向側の側面(すなわち、粘性体供給装置50がフィーダ保持部14に設置されたときに基板コンベア22側に位置する側面)に配置されている。コネクタ56は、粘性体供給装置50がフィーダ保持部14に設置されると、フィーダ保持部14のコネクタ15と接続される。制御装置58は、粘性体供給装置50の各部を制御している。また、制御装置58のメモリ(図示省略)は、粘性体供給装置50を識別する識別情報を記憶している。
【0055】
次に、部品実装機10に設置された粘性体供給装置50を用いた動作について説明する。本実施例においても、粘性体供給装置50が部品実装機10に設置されると、粘性体供給装置50を用いた2種類の動作が実行可能となる。1つは、粘性体供給装置50に設けられた貯留部54の内部に収容された粘性体を電子部品4の下面に付着させる動作(以下、粘性体付着動作ともいう)であり、もう1つは、貯留部54の内部に収容された洗浄液でノズル6の先端を洗浄する動作(以下、洗浄動作ともいう)である。以下では、粘性体供給装置50を用いて粘性体付着動作と洗浄動作のいずれか一方が実行される例について説明する。
【0056】
図10に示すように、まず、制御装置26は、管理装置8から送信された作業プログラムを、通信部28を介して取得したか否かを判断する(S32)。作業プログラムを取得していない場合(ステップS32でNO)、管理装置8から送信される作業プログラムを取得するまで待機する。作業プログラムを取得すると(ステップS32でYES)、制御装置26は、フィーダ保持部14の各スロットに部品フィーダ30等の装置が設置されたか否かを判断する(S34)。装置が設置されていないスロットがある場合(ステップS34でNO)、各スロットに装置が設置されるまで待機する。なお、ステップS32及びステップS34の処理は、上記の実施例1のステップS12及びステップS14の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0057】
本実施例では、フィーダ保持部14には、部品フィーダ30と粘性体供給装置50が設置される。具体的には、粘性体供給装置50を用いて粘性体付着動作を実行する場合には、貯留部54に粘性体を収容した状態の粘性体供給装置50が設置され、粘性体供給装置50を用いて洗浄動作を実行する場合には、貯留部54に洗浄液を収容した状態の粘性体供給装置50が設置される。各スロットに部品フィーダ30や粘性体供給装置50が設置されると、スロットに設けられたコネクタ15と、部品フィーダ30のコネクタ40又は粘性体供給装置50のコネクタ56が接続され、部品フィーダ30や粘性体供給装置50の識別情報が制御装置26に出力される。
【0058】
各スロットに装置が設置されると(ステップS34でYES)、制御装置26は、フィーダ保持部14に設置された装置に粘性体供給装置50が含まれるか否かを判断する(S36)。本実施例では、粘性体供給装置50は、粘性体付着動作と洗浄動作のいずれか一方に用いられる。粘性体供給装置50がフィーダ保持部14に設置されていない場合(ステップS36でNO)、制御装置26は、実装処理において粘性体付着動作と洗浄動作のどちらも実行されないと判断し、本実施例の処理を終了する。
【0059】
一方で、粘性体供給装置50がフィーダ保持部14に設置されている場合(ステップS36でYES)、制御装置26は、ステップS32で取得した作業プログラムに電子部品4の下面に粘性体を付着させる作業が含まれるか否かを判断する(S38)。電子部品4の下面に粘性体を付着させる作業が含まれる場合(ステップS38でYES)、制御装置26は、粘性体供給装置50に対して粘性体付着動作を実行する(S40)。すなわち、制御装置26は、粘性体付着動作と洗浄動作のうち粘性体付着動作を実行するためにフィーダ保持部14に粘性体供給装置50が設置されたと判断する。この場合、ステップS34において、貯留部54に粘性体を貯留した状態の粘性体供給装置50がフィーダ保持部14に設置されている。粘性体付着動作は、ノズル6が電子部品4を吸着した状態で実行される。制御装置26は、電子部品4を吸着したノズル6を貯留部54の上方に移動させ、次いで、ノズル6を降下させる。すると、電子部品4の下面が貯留部54内の粘性体に接触し、電子部品4の下面に粘性体が付着する。粘性体付着動作を実行すると、制御装置26は、粘性体が付着した電子部品4を回路基板2に実装する。
【0060】
一方で、電子部品4の下面に粘性体を付着させる作業が含まれていない場合(ステップS38でYES)、制御装置26は、粘性体供給装置50に対して洗浄動作を実行する(S42)。すなわち、制御装置26は、粘性体付着動作と洗浄動作のうち洗浄動作を実行するためにフィーダ保持部14に粘性体供給装置50が設置されたと判断する。この場合、ステップS34において、貯留部54に洗浄液を貯留した状態の粘性体供給装置50がフィーダ保持部14に設置されている。洗浄動作は、ノズル6の先端を洗浄する作業であるため、ノズル6に電子部品4が吸着されていない状態で実行される。制御装置26は、電子部品4を吸着していない状態のノズル6を貯留部54の上方に移動させ、次いで、ノズル6を降下させる。すると、ノズル6の先端が貯留部54内の洗浄液に浸漬する。これにより、ノズル6の先端が洗浄される。洗浄動作は、ステップS22で取得した作業プログラムに従って実行される。例えば、洗浄動作は、回路基板2上に電子部品4を実装する動作を複数回行う毎に実行することができる。また、洗浄動作は、作業者の指示により実行してもよい。例えば、作業者がノズル6に汚れが付着していることを発見したときに、作業者が操作パネル24から洗浄動作を行うように指示してもよい。
【0061】
本実施例においても、フィーダ保持部14に設置可能な粘性体供給装置50を、粘性体付着動作を実行するための装置として用いると共に、洗浄動作を実行するための装置としても用いる。このため、必要に応じてノズル6の先端を洗浄するための装置を設置することができると共に、ノズル6の先端を洗浄するための専用装置を別途設けることを回避することができる。
【0062】
なお、本実施例においても、フィーダ保持部14に複数の粘性体供給装置50を設置し、特定の粘性体供給装置50で粘性体付着動作を実行すると共に、他の粘性体供給装置50で清掃動作を実行してもよい。この場合、ステップS32で取得する作業プログラムは、粘性体供給装置50が設置されるスロットの位置と、そのスロットに設置される粘性体供給装置50の貯留部54に粘性体と洗浄液のどちらが貯留されているのかに関する情報を含んでいる。制御装置26は、作業プラグラムに従い、ノズル6に電子部品4が吸着されているときには、粘性体が貯留されている粘性体供給装置50を用いて粘性体付着動作を実行し、ノズル6に電子部品4が吸着されていないときには、洗浄液が貯留されている粘性体供給装置50を用いて洗浄動作を実行する。
【0063】
また、上記の実施例1及び2では、フィーダ保持部14には、塗布状態確認装置80と粘性体供給装置50のいずれか一方のみが設置されたが、フィーダ保持部14には、塗布状態確認装置80と粘性体供給装置50の両方が設置されてもよい。この場合にも、塗布状態確認装置80は、試し塗布動作と清掃動作のいずれか一方を実行するために用いられてもよいし、フィーダ保持部14に塗布状態確認装置80を複数設置して、試し塗布動作と清掃動作の両方を実行してもよい。同様に、粘性体供給装置50も、粘性体付着動作と洗浄動作のいずれか一方を実行するために用いられてもよいし、フィーダ保持部14に粘性体供給装置50を複数設置して、粘性体付着動作と洗浄動作の両方を実行してもよい。また、フィーダ保持部14に塗布状態確認装置80と粘性体供給装置50の両方を設置した場合には、塗布状態確認装置80を用いた清掃動作と、粘性体供給装置50を用いた洗浄動作の両方を実行してもよい。これにより、ノズル6の先端の汚れをより確実に除去することができる。
【0064】
実施例で説明した基板作業機に関する留意点を述べる。実施例の部品実装機10は、「基板作業機」の一例であり、電子部品4は、「部品」の一例であり、コネクタ15は、「取得部」の一例であり、ヘッド16は、「ヘッド」の一例であり、制御装置26は、「記憶部」の一例であり、粘性体供給装置50は、「第2装置」の一例であり、接着剤ツール66は、「塗布ツール」の一例であり、塗布状態確認装置80は、「第1装置」の一例である。
【0065】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0066】
2:回路基板
4:電子部品
6:ノズル
10:部品実装機
14:フィーダ保持部
16:ヘッド
18:移動装置
18a:移動ベース
20:基板コンベア
24:操作パネル
26:部品実装機の制御装置
28:通信部
30:部品フィーダ
34:リール
40:部品フィーダのコネクタ
42:部品フィーダの制御装置
50:粘性体供給装置
54:貯留部
56:粘性体供給装置のコネクタ
58:粘性体供給装置の制御装置
60:接着剤供給装置
66:接着剤ツール
70:接着剤供給装置のコネクタ
72:接着剤供給装置の制御装置
80:塗布状態確認装置
84:シート
90:塗布状態確認装置のコネクタ
92:塗布状態確認装置の制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10