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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066768
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】バッテリ冷却用熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6569 20140101AFI20240509BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240509BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240509BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240509BHJP
【FI】
H01M10/6569
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176436
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】高野 明彦
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】生産設備の初期投資の高額化を抑制し、生産も容易な熱交換器を提供すること。
【解決手段】バッテリ冷却用熱交換器(HE)は、第1熱交換部(10)と、第2熱交換部(20)と、複数の連結部(30)とを有する。連結部(30)の連結部下プレート(36)の下面は、連通孔(36a、36b)の周囲のうちフランジ面(32)と積層する部分および第1下プレート(16)の基準面(162)と積層する部分が、第1熱交換部(10)の第1上プレート(11)の上面と接合している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバッテリ(BA)に熱的に結合され、このバッテリ(BA)を冷却するバッテリ冷却用熱交換器(HE)であって、
熱媒体(HM)が流入する熱媒体流入部(10E)と熱媒体(HM)が流出する熱媒体流出部(10G)とを有する第1熱交換部(10)と、第2熱交換部(20)と、前記第1熱交換部(10)と前記第2熱交換部(20)とを連結し内部に熱媒体の連絡流路(37)を有する複数の連結部(30)と、を有し、
前記第1熱交換部(10)は、前記熱媒体流入部(10E)が接続される熱媒体流入孔(12)、この熱媒体流入孔(12)から流入した熱媒体の一部を流出し前記第2熱交換部(20)へと供給する供給用連絡孔(13)、前記第2熱交換部(20)から流出した熱媒体を回収する回収用連絡孔(14)、前記熱媒体流出部(10G)が接続される熱媒体流出孔(15)を有する第1上プレート(11)と、前記第1上プレート(11)と貼り合わせられた第1下プレート(16)と、を有し、
前記熱媒体流入孔(12)と前記供給用連絡孔(13)とは熱媒体が通流可能な分配ヘッダ用連絡路(10CA)と第1分配用ヘッダ(10A)とにより連通され、前記回収用連絡孔(14)と前記熱媒体流出孔(15)とは熱媒体が通流可能な第1回収用ヘッダ(10B)と回収ヘッダ用連絡路(10CB)とにより連通され、前記第1分配用ヘッダ(10A)と前記第1回収用ヘッダ(10B)とは複数の第1熱交換枝流路(10P)により連通され、
前記第2熱交換部(20)は、前記供給用連絡孔(13)から供給された熱媒体が流入する流入用連絡孔(23)、前記供給用連絡孔(13)から供給された熱媒体が流出する流出用連絡孔(24)を有する第2上プレート(21)と、前記第2上プレート(21)と貼り合わせられた第2下プレート(26)と、を有し、
前記流入用連絡孔(23)は熱媒体が通流可能な第2分配用ヘッダ(20A)が接続され、前記流出用連絡孔(24)は熱媒体が通流可能な第2回収用ヘッダ(20B)が接続され、前記第2分配用ヘッダ(20A)と前記第2回収用ヘッダ(20B)とは複数の第2熱交換枝流路(20P)により連通され、
前記複数の連結部(30)はそれぞれ、フランジ面(32)から突出する凸部(31a)が形成された連結部上プレート(31)と、前記フランジ面(32)の裏側と貼り合わせられた連結部下プレート(36)とを有し、内部に前記連絡流路(37)が形成され、前記連結部下プレート(36)は一方の端部側と他方の端部側とに連通孔(36a、36b)が形成され、前記連結部上プレート(31)は、前記凸部(31a)の周囲を前記フランジ面(32)により囲まれ、
前記複数の連結部(30)のうち第1連結部(301)の前記連結部下プレート(36)の下面は、前記連通孔(36a、36b)の周囲のうち前記フランジ面(32)と積層する部分および前記第1下プレート(16)の基準面(162)と積層する部分が、前記第1上プレート(11)の上面のうち前記供給用連絡孔(13)の周囲、および前記第2上プレート(21)の上面のうち前記流入用連絡孔(23)の周囲と接合され、
前記複数の連結部(30)のうち第2連結部(302)の前記連結部下プレート(36)の下面は、前記連通孔(36a、36b)の周囲のうち前記フランジ面(32)と積層する部分および前記第2下プレート(26)の基準面(262)と積層する部分が、前記第1上プレート(11)の上面のうち前記回収用連絡孔(14)の周囲、および前記第2上プレート(21)の上面のうち前記流出用連絡孔(24)の周囲と接合していることを特徴とするバッテリ冷却用熱交換器(HE)。
【請求項2】
前記第1熱交換部(10)の前記第1分配用ヘッダ(10A)に沿って延びる方向を第1方向(D1)とし、前記第1分配用ヘッダ(10A)と直交する方向を第2方向(D2)とするとき、前記第1熱交換枝流路(10P)と前記第2熱交換枝流路(20P)は前記第2方向(D2)に沿って延び、
前記第1熱交換部(10)と前記第2熱交換部(20)とは、前記第1方向(D1)に沿った長さと前記第2方向(D2)に沿った長さが同じである、請求項1に記載のバッテリ冷却用熱交換器(HE)。
【請求項3】
前記第1熱交換部(10)の前記第1分配用ヘッダ(10A)に沿って延びる方向を第1方向(D1)とし、前記第1分配用ヘッダ(10A)と直交する方向を第2方向(D2)とするとき、前記第1熱交換枝流路(10P)と前記第2熱交換枝流路(20P)は前記第2方向(D2)に沿って延び、
前記複数の連結部(30)は、前記第2方向において、前記第1熱交換枝流路(10P)および前記第2熱交換枝流路(20P)の外側に位置している、請求項1に記載のバッテリ冷却用熱交換器(HE)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるバッテリを冷却するための冷却用熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行用の電力を蓄積するバッテリは充電時等に発熱し、劣化が懸念されるため、内部を冷却用の熱媒体が通流する熱交換器が熱的に結合されて冷却される。このようなバッテリ冷却用熱交換器に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に開示されたバッテリ冷却用熱交換器は、張り合わされた2枚の平面上のプレートと、このプレートの内部に形成された熱媒体流路に熱媒体を導入する熱媒体導入部と、熱媒体流路から熱媒体を導出する熱媒体導出部と、を有している。
【0004】
こうしたバッテリ冷却用熱交換器は、多数のバッテリセルを冷却する目的で設計される。多数のバッテリセルの配置場所は車両の床下である場合が多く、車両のデザインや空力特性を阻害しないために、バッテリ冷却用熱交換器は扁平形状とされる。また、多数のバッテリセルを冷却するため、概して広い面積を有するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-031798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内部に熱媒体が通流し、扁平状で面積の広い熱交換器を製造する場合、大型のプレス成型機やろう付け炉が必要となるため、生産設備について初期投資の負担が大きくなる。また、大型のプレートを漏れの無いようにろう付けする必要があるが、薄く広いプレートは生産工程で変形しやすく、高い精度で貼り合わせることが難しい。
【0007】
本発明は、最終的には広い面積の熱交換器を提供するうえで、生産設備の初期投資の高額化を抑制し、生産も容易な熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明は図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本開示によれば、車両のバッテリ(BA)に熱的に結合され、このバッテリ(BA)を冷却するバッテリ冷却用熱交換器(HE)であって、
熱媒体(HM)が流入する熱媒体流入部(10E)と熱媒体(HM)が流出する熱媒体流出部(10G)とを有する第1熱交換部(10)と、第2熱交換部(20)と、前記第1熱交換部(10)と前記第2熱交換部(20)とを連結し内部に熱媒体の連絡流路(37)を有する複数の連結部(30)と、を有し、
前記第1熱交換部(10)は、前記熱媒体流入部(10E)が接続される熱媒体流入孔(12)、この熱媒体流入孔(12)から流入した熱媒体の一部を流出し前記第2熱交換部(20)へと供給する供給用連絡孔(13)、前記第2熱交換部(20)から流出した熱媒体を回収する回収用連絡孔(14)、前記熱媒体流出部(10G)が接続される熱媒体流出孔(15)を有する第1上プレート(11)と、前記第1上プレート(11)と貼り合わせられた第1下プレート(16)と、を有し、
前記熱媒体流入孔(12)と前記供給用連絡孔(13)とは熱媒体が通流可能な分配ヘッダ用連絡路(10CA)と第1分配用ヘッダ(10A)とにより連通され、前記回収用連絡孔(14)と前記熱媒体流出孔(15)とは熱媒体が通流可能な第1回収用ヘッダ(10B)と回収ヘッダ用連絡路(10CB)とにより連通され、前記第1分配用ヘッダ(10A)と前記第1回収用ヘッダ(10B)とは複数の第1熱交換枝流路(10P)により連通され、
前記第2熱交換部(20)は、前記供給用連絡孔(13)から供給された熱媒体が流入する流入用連絡孔(23)、前記供給用連絡孔(13)から供給された熱媒体が流出する流出用連絡孔(24)を有する第2上プレート(21)と、前記第2上プレート(21)と貼り合わせられた第2下プレート(26)と、を有し、
前記流入用連絡孔(23)は熱媒体が通流可能な第2分配用ヘッダ(20A)が接続され、前記流出用連絡孔(24)は熱媒体が通流可能な第2回収用ヘッダ(20B)が接続され、前記第2分配用ヘッダ(20A)と前記第2回収用ヘッダ(20B)とは複数の第2熱交換枝流路(20P)により連通され、
前記複数の連結部(30)はそれぞれ、フランジ面(32)から突出する凸部(31a)が形成された連結部上プレート(31)と、前記フランジ面(32)の裏側と貼り合わせられた連結部下プレート(36)とを有し、内部に前記連絡流路(37)が形成され、前記連結部下プレート(36)は一方の端部側と他方の端部側とに連通孔(36a、36b)が形成され、前記連結部上プレート(31)は、前記凸部(31a)の周囲を前記フランジ面(32)により囲まれ、
前記複数の連結部(30)のうち第1連結部(301)の前記連結部下プレート(36)の下面は、前記連通孔(36a、36b)の周囲のうち前記フランジ面(32)と積層する部分および前記第1下プレート(16)の基準面(162)と積層する部分が、前記第1上プレート(11)の上面のうち前記供給用連絡孔(13)の周囲、および前記第2上プレート(21)の上面のうち前記流入用連絡孔(23)の周囲と接合され、
前記複数の連結部(30)のうち第2連結部(302)の前記連結部下プレート(36)の下面は、前記連通孔(36a、36b)の周囲のうち前記フランジ面(32)と積層する部分および前記第2下プレート(26)の基準面(262)と積層する部分が、前記第1上プレート(11)の上面のうち前記回収用連絡孔(14)の周囲、および前記第2上プレート(21)の上面のうち前記流出用連絡孔(24)の周囲と接合していることを特徴とするバッテリ冷却用熱交換器(HE)が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生産設備の初期投資の高額化を抑制し、生産も容易な熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のバッテリ冷却用熱交換器が利用された車両熱管理システムの概略図である。
図2】本発明のバッテリ冷却用熱交換器の概略斜視図である。
図3図2に示されたバッテリ冷却用熱交換器の分解斜視図である。
図4図3の一部分を拡大した分解斜視図である。
図5図5(a)は図4を上方から見下ろした概要図、図5(b)は図4を下方から見上げた概要図である。
図6図5(a)の6-6線断面図である。
図7図5(b)の7-7線断面図である。
図8】本発明のバッテリ冷却用熱交換器の生産フローを示す概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。説明中、Upは車両の乗員を基準として上、Dnは下を示している。
【0013】
<実施例1>
図1を参照する。図1には、車両に搭載されて、車室内やバッテリBAの温度を管理する車両用熱管理システム100の概略が示されている。車両用熱管理システム100は、車室内を冷房するための冷媒サイクル110と、バッテリBAを冷却するための熱媒体サイクル120とを有する。冷媒サイクル110と熱媒体サイクル120はいずれもチラー117に接続され、熱の移動が可能とされている。
【0014】
冷媒サイクル110は、内部を冷媒REが循環し、冷媒REを圧縮して吐出する圧縮機111、吐出された冷媒REを放熱可能な放熱器112、放熱器112で放熱された冷媒REを断熱膨張する車室内空調用膨張弁114およびチラー用膨張弁116、車室内空調用膨張弁114で膨張された冷媒REの気化熱によりそこを通過する空気を冷却する車室内空調用蒸発器115、チラー用膨張弁116で膨張された冷媒REの気化熱により熱媒体サイクル120を循環する熱媒体HMを冷却するチラー117、を有し、それぞれ冷媒配管118にて接続されている。図1に示されるように、車室内空調用膨張弁114および車室内空調用蒸発器115と、チラー用膨張弁116およびチラー117とは、並列に配置されている。冷媒REの種類は、特に限定しないが、例えばフロン系冷媒や二酸化炭素が用いられる。図1に示される白抜き矢印は、冷媒REの流れ方向を示す。
【0015】
圧縮機111は、駆動することで冷媒REを吸入し、圧縮したのち吐出する。圧縮機111の駆動源は特に限定しないが、エンジンや電動モータが用いられる。
【0016】
放熱器112は、冷媒REの熱を外気に放熱する。放熱器112の放熱性能を調整するため、図1に示されるように冷却ファン113が設けられる。冷却ファン113を駆動することで放熱器112を通流する外気の量を増やし、放熱量を増やすことができる。
【0017】
車室内空調用膨張弁114は、放熱器112を流出した冷媒REを断熱膨張し、気液混合状態として車室内空調用蒸発器115に供給する。車室内空調用膨張弁114は、絞り機能に加えて閉塞機能を有する電子式膨張弁が用いられることが好ましい。バッテリBAの冷却が要求され、車室内の温度調整が不要であるとき、車室内空調用蒸発器115の冷媒REの通過を禁止して、冷媒REを効率的にチラー117に導くことができる。あるいは、車室内空調用膨張弁114には、従来周知のもので車室内空調用蒸発器115を流出する冷媒REの過熱度を検知して自律的に弁の開閉度を制御する機械式膨張弁を用いることもできる。車室内空調用膨張弁114を安価に設定できる。
【0018】
チラー用膨張弁116は、放熱器112を流出した冷媒REを断熱膨張し、気液混合状態としてチラー117(後述するチラー内蒸発部117a)に供給する。チラー用膨張弁116は、絞り機能に加えて閉塞機能を有する電子式膨張弁が用いられることが好ましい。車室内の温度調整が要求され、バッテリBAの冷却が不要であるとき、チラー117の冷媒REの通過を禁止して、冷媒REを効率的に車室内空調用蒸発器115に導くことができる。あるいは、チラー用膨張弁116には、従来周知のものでチラー117(後述するチラー内蒸発部117a)を流出する冷媒REの過熱度を検知して自律的に弁の開閉度を制御する機械式膨張弁を用いることもできる。チラー用膨張弁116を安価に設定できる。
【0019】
チラー117は、内部を冷媒REが流れるチラー内蒸発部117aと、内部を熱媒体サイクル120の熱媒体HMが流れるチラー内放熱部117bとを有する。チラー内蒸発部117aとチラー内放熱部117bとは区画されており、冷媒REと熱媒体HMとが混合することなく、相互に熱交換可能に構成されている。
【0020】
熱媒体サイクル120は、内部を熱媒体HMが循環し、熱媒体HMを送り出すポンプ121、ポンプ121から送られた熱媒体HMが流入しバッテリBAを冷却するバッテリ冷却用熱交換器HE、を有し、それぞれ熱媒体配管128にて接続されている。また、ポンプ121から送られた熱媒体HMは、バッテリ冷却用熱交換器HEの上流側にて冷媒サイクル110のチラー117に流入し、冷媒REによって冷却される。熱媒体HMは熱媒体サイクル120の作動時に少なくとも液体である物質で、種類は特に限定しないが、例えば水、オイル、クーラントなどが用いられる。図1に示される黒矢印は、熱媒体HMの流れ方向を示す。
【0021】
ポンプ121は、駆動することで熱媒体HMを吸入し、吐出する。ポンプ121の駆動源は、電動モータが用いられる。
【0022】
バッテリBAは、電力を蓄積し、車両走行用のモータに電力を供給する。多数のバッテリセルを集合したもので、車両において比較的広い部分への配置が求められる。このため、車両の床上や床下、トランクルームなどに配置されることが多い。車両の走行により消費された電力は外部より充電されることで、蓄積量(蓄電量)を回復することができる、充電される際に発熱し、劣化するため、冷却可能に構成される。
【0023】
バッテリ冷却用熱交換器HEは、バッテリBAと熱的に結合されており、内部を熱媒体HMが通流することでバッテリBAを冷却する。熱的に結合とは、バッテリ冷却用熱交換器HEとバッテリBAとが直接的に接触している形態のほか、バッテリ冷却用熱交換器HEとバッテリBAとの間に伝熱性部材を介在させる形態がある。伝熱性部材は、例えばシリコン系ゴムなどの弾性部材、ウレタン樹脂、液状のギャップ充填剤などが用いられる。
【0024】
チラー117(チラー内放熱部117b)によって冷却された熱媒体HMは、バッテリ冷却用熱交換器HEの熱媒体流入部10Eに到達し、バッテリBAを冷却しつつバッテリ冷却用熱交換器HEの内部を通流して、熱媒体流出部10Gから流出する。熱媒体流出部10Gから流出した熱媒体HMは熱媒体配管128を流れ、ポンプ121に吸入される。
【0025】
図2を参照する。バッテリ冷却用熱交換器HEは、バッテリBAの下に配置される。詳しくは、各バッテリセルの下面それぞれと熱的に結合するように、配置される。バッテリBAが、バッテリ冷却用熱交換器HEの上面に載置されている、と言うこともできる。
【0026】
バッテリ冷却用熱交換器HEは、熱媒体HMが流入する熱媒体流入部10Eと熱媒体HMが流出する熱媒体流出部10Gとを有する第1熱交換部10と、第2熱交換部20と、第1熱交換部10と第2熱交換部20とを連結する複数の連結部30と、を有して構成される。
【0027】
第1熱交換部10は、熱媒体流入部10Eから流入した熱媒体HMが流れる分配ヘッダ用連絡路10CAと、この分配ヘッダ用連絡路10CAの下流側に直交して設けられた第1分配用ヘッダ10Aと、第1分配用ヘッダ10Aと並行に設けられて熱媒体流出部10Gに熱媒体HMを流す第1回収用ヘッダ10Bと、第1回収用ヘッダ10Bの下流側に直交して設けられた回収ヘッダ用連絡路10CBと、第1分配用ヘッダ10Aと直交するとともに第1分配用ヘッダ10Aと第1回収用ヘッダ10Bとを連通する複数の第1熱交換枝流路10Pとを有する。第1分配用ヘッダ10Aに沿って延びる方向を第1方向D1とするとき、第1回収用ヘッダ10Bは第1方向D1に沿って延びる。第1分配用ヘッダ10Aと直交する方向を第2方向D2とするとき、第1熱交換枝流路10Pは第2方向D2に沿って延びる。また、分配ヘッダ用連絡路10CAと回収用ヘッダ連絡路10CBは、第2方向D2に沿って延びる。
【0028】
連結部30は、第1分配用ヘッダ10Aと連結する第1連結部301と、第1回収用ヘッダ10Bと連結する第2連結部302とがある。
【0029】
第1連結部301と第2連結部302とはいずれも内部に連絡流路37を有し、長手方向の両方に連通孔36a、36bが形成されている。詳細は後述する。
【0030】
第1連結部301と第2連結部302とはいずれも、第1方向D1に沿って延びるように配置される。
【0031】
第2熱交換部20は、第1分配用ヘッダ10Aから第1連結部301を経由して流入した熱媒体HMが流れる第2分配用ヘッダ20Aと、第2分配用ヘッダ20Aと並行に設けられて第2連結部302に熱媒体HMを流す第2回収用ヘッダ20Bと、第2分配用ヘッダ20Aと直交するとともに第2分配用ヘッダ20Aと第2回収用ヘッダ20Bとを連通する複数の第2熱交換枝流路20Pとを有する。第2分配用ヘッダ20Aと第2回収用ヘッダ20Bは、第1方向D1に沿って延びる。第2熱交換枝流路20Pは第2方向D2に沿って延びる。
【0032】
図3を参照する。第1熱交換部10は、第1上プレート11と、この第1上プレート11と貼り合わせられた第1下プレート16とを有する。そして、第1上プレート11は、熱媒体流入部10Eが接続される熱媒体流入孔12と、この熱媒体流入孔12から流入した熱媒体HMの一部を流出し第2熱交換部20へと供給する供給用連絡孔13と、第2熱交換部20から流出した熱媒体HMを回収する回収用連絡孔14と、熱媒体流出部10Gが接続される熱媒体流出孔15と、が形成されている。
【0033】
熱媒体流入孔12には、熱媒体流入接続管12aが接続される。熱媒体流入接続管12aの上側端は、熱媒体流入部10Eとなる。
【0034】
熱媒体流出孔15には、熱媒体流出接続管15aが接続される。熱媒体流出接続管15aの上側端は、熱媒体流出部10Gとなる。
【0035】
第1上プレート11、第1下プレート16、熱媒体流入接続管12a、および熱媒体流出接続管15aは、ろう付け可能な材料により構成される。例えば、アルミニウム合金が用いられる。
【0036】
第2熱交換部20は、第2上プレート21と、この第2上プレート21と貼り合わせられた第2下プレート26とを有する。そして、第2上プレート21は、供給用連絡孔13から供給された熱媒体HMが流入する流入用連絡孔23と、供給用連絡孔13から供給された熱媒体HMが流出する流出用連絡孔24と、が形成されている。
【0037】
第2上プレート21、第2下プレート26は、ろう付け可能な材料により構成される。例えば、アルミニウム合金が用いられる。
【0038】
第1連結部301は、第1上プレート11のうち供給用連絡孔13の周囲と、第2上プレート21のうち流入用連絡孔23の周囲に対し、上方から接続される。
【0039】
第2連結部302は、第1上プレート11のうち回収用連絡孔14の周囲と、第2上プレート21のうち流出用連絡孔24の周囲に対し、上方から接続される。
【0040】
第1連結部301はと第2連結部302、ろう付け可能な材料により構成される。例えば、アルミニウム合金が用いられる。
【0041】
図4を参照する。図4は、図3の点線Eで囲まれた第2連結部302およびその近傍を示した分解斜視図である。
【0042】
第1下プレート16は、基準面162から下方に窪み、第1方向D1に沿って延びる凹部161が形成されている。第1上プレート11の下面と第1下プレート16の基準面162が貼り合わせられることで、凹部161が第1回収用ヘッダ10B(図2参照)となる。
【0043】
第1上プレート11は、凹部161の上方に回収用連絡孔14が形成されている。
【0044】
第2下プレート26は、基準面262から下方に窪み、第1方向D1に沿って延びる凹部261が形成されている。第2上プレート21の下面と第2下プレート26の基準面262が貼り合わせられることで、凹部261が第2回収用ヘッダ20B(図2参照)となる。
【0045】
第2上プレート21は、凹部261の上方に流出用連絡孔24が形成されている。
【0046】
連結部上プレート31は、フランジ面32から上方に突出した凸部31aが形成されている。連結部上プレート31のフランジ面32の下面と連結部下プレート36の上面が貼り合わせられることで、凸部31aの内部空間が連絡流路37となる。
【0047】
連結部下プレート36は、凸部31aの下方、かつ長手方向の両側に、2つの連通孔36a、36bが形成されている。
【0048】
第2連結部302の連通孔36aと、第1熱交換部10の回収用連絡孔14とは、位置が対応している。また、第2連結部302の連通孔36bと、第2熱交換部20の流出用連絡孔24とは、位置が対応している。
【0049】
第1回収用ヘッダ10Bは、第1上プレート11の回収用連絡孔14と連結部下プレート36の連通孔36aを介して、連絡流路37と連通する。第2回収用ヘッダ20Bは、第2上プレート21の流出用連絡孔24と連結部下プレート36の連通孔36bを介して、連絡流路37と連通する。すなわち、第1回収用ヘッダ10Bと第2回収用ヘッダ20Bとは、第2連結部302の連絡流路37を介して連通する。
【0050】
詳細構造は図示しないが、同様に、第1分配用ヘッダ10Aと第2分配用ヘッダ20Aとは、第1連結部301の連絡流路37を介して連通する。
【0051】
図2図3を併せて参照する。第1熱交換部10の第1上プレート11は、第2方向D2に沿って複数の孔11hが形成されている。第1下プレート16も、第1上プレート11の孔11hに対応する位置に、複数の孔12hが形成されている。これにより、第1熱交換部10を軽量化することができる。
【0052】
第1下プレート16は、複数の孔12hの間に、第2方向D2に沿って延設されて下方に窪み、第2方向D2に沿って延びる図示しない第1枝流路用凹部が形成されている。この第1枝流路用凹部は第1分配用ヘッダ10Aと第1回収用ヘッダ10Bとに連通する。そして、第1上プレート11と第1下プレート16とが貼り合わせられることで、第1熱交換枝流路10Pが形成される。
【0053】
第2熱交換部20の第2上プレート21は、第2方向D2に沿って複数の孔21hが形成されている。第2下プレート26も、第2上プレート21の孔21hに対応する位置に、複数の孔22hが形成されている。これにより、第2熱交換部20を軽量化することができる。
【0054】
第2下プレート26は、複数の孔22hの間に、第2方向D2に沿って延設されて下方に窪み、第2方向D2に沿って延びる図示しない第2枝流路用凹部が形成されている。この第2枝流路用凹部は第2分配用ヘッダ20Aと第2回収用ヘッダ20Bとに連通する。そして、第2上プレート21と第2下プレート26とが貼り合わせられることで、第2熱交換枝流路20Pが形成される。
【0055】
図2図3を参照し、バッテリ冷却用熱交換器HEの熱媒体HMの流れを説明する。
【0056】
熱媒体サイクル120の熱媒体配管128に接続されたバッテリ冷却用熱交換器HEは、熱媒体流入部10Eから熱媒体HMが流入する。熱媒体流入接続管12aを流れた熱媒体HMは、熱媒体流入孔12を経由し、分配ヘッダ用連絡路10CAを経て第1分配用ヘッダ10Aへと流れる。第1分配用ヘッダ10Aに流入した熱媒体HMの一部は、第1熱交換枝流路10Pを経由して、第1回収用ヘッダ10Bへ流れる。熱媒体HMの残りは、第1連結部301の連絡流路37(図4参照)を経由して、第2分配用ヘッダ20Aへと流れる。第2分配用ヘッダ20Aに流入した熱媒体HMのすべては、第2熱交換枝流路20Pを経由して、第2回収用ヘッダ20Bへ流れる。そして、第2連結部302の連絡流路37(図4参照)を経由して、第1回収用ヘッダ10Bへ流れる。次いで、回収ヘッダ用連絡路10CBと熱媒体流出接続管15aを流れたのち、熱媒体流出部10Gからポンプ121に向けて流出する。
【0057】
熱媒体HMは、第1熱交換枝流路10Pを流れる際、および第2熱交換枝流路20Pを流れる際、バッテリBAから熱を回収する。
【0058】
図4図5(a)、および図5(b)を併せて参照する。図5(a)は、図4で示す第2連結部302を上方から見下ろした概要図である。図5(b)は、図4で示す第2連結部302を下方から見上げた概要図である。
【0059】
第2連結部302の連結部下プレート36は、連通孔36aの周囲が第1上プレート11の回収用連絡孔14の周囲と当接され、連通孔36bの周囲が第2上プレート21の流出用連絡孔24の周囲と当接されている(図4)。連結部下プレート36は、特に、フランジ面32の下部において、第1上プレート11および第2上プレート21と当接される。このため、図5(a)で示されるように、フランジ面32のうち連通孔36aや回収用連絡孔14を3辺で取り囲んだ部分について、少なくとも連結部上プレート31のフランジ面32、連結部下プレート36、および第1上プレート11の3つの部材が、隙間空間なく積層している。そこでレーザー溶接工法を適用し、フランジ面32の上方からレーザーを照射して、連結部下プレート36の下面と第1上プレート11の上面とを溶接できる。この結果、第2連結部302と第1熱交換部10とを接続することが可能となる。レーザー溶接跡は、第1上側溶接跡BZ11として示される。
【0060】
同様に、フランジ面32のうち連通孔36bや流出用連絡孔24を3辺で取り囲んだ部分について、連結部上プレート31のフランジ面32、連結部下プレート36、および第2上プレート21の3つの部材が、隙間空間なく積層している。そこでレーザー溶接工法を適用し、フランジ面32の上方からレーザーを照射して、連結部下プレート36の下面と第2上プレート21の上面とを溶接できる。この結果、第2連結部302と第2熱交換部20とを接続することが可能となる。レーザー溶接跡は、第2上側溶接跡BZ21として示される。
【0061】
一方、上側から行うレーザー溶接工法は、第2連結部302の凸部31aには適用することができない。凸部31aの内部は連絡流路37が形成されており、レーザー溶接の作用が第1熱交換部10まで及ばないためである。そこで、連通孔36aや回収用連絡孔14を取り囲んだ部分のうち残る1辺に対し、下方からレーザー溶接工法を適用して、第2連結部302と第1熱交換部10とを接続する。より詳しくは、隙間空間なく積層している3つの部材、すなわち第1下プレート16の基準面162と、第1上プレート11のうち回収用連絡孔14よりも第2上プレート21に近接する部分と、第2連結部302の連結部下プレート36とを、レーザー溶接工法により溶接する。連結部下プレート36の下面と第1上プレート11の上面とを溶接できる。レーザー溶接跡は、第1下側溶接跡BZ12として示される。
【0062】
同様に、連通孔36bの周囲に対しても、連通孔36bや流出用連絡孔24を取り囲んだ部分のうち残る1辺に対し、下方からレーザー溶接工法を適用して、第2連結部302と第2熱交換部20とを接続する。より詳しくは、隙間空間なく積層している3つの部材、すなわち第2下プレート26の基準面262と、第2上プレート21のうち流出用連絡孔24よりも第1上プレート11に近接する部分と、第2連結部302の連結部下プレート36とをレーザー溶接工法により溶接する。連結部下プレート36の下面と第2上プレート21の上面とを溶接できる。レーザー溶接跡は、第2下側溶接跡BZ22として示される。
【0063】
このようにして、連通孔36aと回収用連絡孔14の周囲すべてにおいて、連結部下プレート36と第1上プレート11とを溶接する。また、連通孔36bと流出用連絡孔24の周囲すべてにおいて、連結部下プレート36と第2上プレート21とを溶接する。熱媒体HMが漏洩することが防止される。
【0064】
図6は、図5(a)の6-6線断面図である。炉中ろう付け工程によってろう付けされた箇所には、フィレットFが形成される。フランジ面32の上方から行ったレーザー溶接跡が、第1上側溶接跡BZ11として示される。レーザー溶接により、第2連結部302の連結部下プレート36と第1熱交換部10の第1上プレート11とが溶接される。
【0065】
図7は、図5(a)の7-7線断面図である。炉中ろう付け工程によってろう付けされた箇所には、フィレットFが形成される。フランジ面32の上方から行ったレーザー溶接跡が、第1上側溶接跡BZ11として示される。第1下プレート16の下方から行ったレーザー溶接跡が、第1下側溶接跡BZ12として示される。2回のレーザー溶接により、第2連結部302の連結部下プレート36と第1熱交換部10の第1上プレート11とが溶接される。
【0066】
第1上側溶接跡BZ11と第1下側溶接跡BZ12とは、重複している。このように重複して溶接することで、熱媒体HMの漏洩を防止できる。
【0067】
第2連結部302、第1熱交換部10、および第2熱交換部20をレーザー溶接工法により接続できることを説明したが、第1連結部301、第1熱交換部10、および第2熱交換部20も同様にして接続することができる。
【0068】
次に、バッテリ冷却用熱交換器HEの生産フローを、図8を用いて説明する。
【0069】
図8は、実施例1のバッテリ冷却用熱交換器HEの生産フローを示した概略工程図である。第1熱交換部10を生産する工程S10、S11、S12、第2熱交換部20を生産する工程S20、S21、S22、連結部30を生産する工程S30、S31、S32、第1熱交換部10と第2熱交換部20とを2つの連結部30により連結する工程S40、S41、S42が示されている。
【0070】
第1熱交換部10の第1上プレート11は、アルミ素材を適宜、切断やプレス加工されて準備される(ステップS10)。第1熱交換部10の第1下プレート16も、アルミ素材を適宜、切断やプレス加工されて準備される(ステップS11)。第1上プレート11と第1下プレート16は、脱脂、フラックス塗布、貼り合わせ、炉中ろう付けの工程を経て接合される(ステップS12)。このとき、熱媒体流入接続管12aや熱媒体流出接続管15a(図3参照)などの付属品も、炉中ろう付けにより接合してもよい。
【0071】
第2熱交換部20も、第1熱交換部10と同様な工程により、生産される。すなわち、第2上プレート21を、アルミ素材を適宜、切断やプレス加工し準備する工程(ステップS20)、第2下プレート26を、アルミ素材を適宜、切断やプレス加工し準備する工程(ステップS21)、第2上プレート21と第2下プレート26を、脱脂、フラックス塗布、貼り合わせ、炉中ろう付けにより接合する工程(ステップS12)を行う。
【0072】
第1熱交換部10の生産工程と第2熱交換部20の生産工程とは、同時並行に実施することができる。生産時間を短縮でき、生産効率を向上できる。
【0073】
第1熱交換部10の生産工程と第2熱交換部20の生産工程とは、異なる生産ライン、異なる工場、異なる製作者によって実施することができる。生産場所や生産者の自由度を向上でき、生産効率を向上できる。
【0074】
連結部30の連結部上プレート31は、アルミ素材を適宜、切断やプレス加工されて準備される(ステップS30)。連結部30の連結部下プレート36も、アルミ素材を適宜、切断やプレス加工されて準備される(ステップS31)。連結部上プレート31と連結部下プレート36は、脱脂、フラックス塗布、貼り合わせ、炉中ろう付けの工程を経て接合される(ステップS32)。
【0075】
連結部30の生産工程は、第1熱交換部10や第2熱交換部20の生産工程と、同時並行に実施することができる。生産時間を短縮でき、生産効率を向上できる。また、第1熱交換部10や第2熱交換部20の生産工程と異なる生産ライン、異なる工場、異なる製作者によって実施することができる。生産場所や生産者の自由度を向上でき、生産効率を向上できる。
【0076】
次に、第1熱交換部10と第2熱交換部20を所定の位置に配置し、その上に第1連結部301を載置する(ステップS40)。次いで、第1連結部301のフランジ面32に、上方からレーザーを照射することで、第1連結部301の一方側を第1熱交換部10に溶接する。このとき、照射する場所は、フランジ面32のうち一方側の連通孔36aの周囲3辺とする(図5(a)参照)。
【0077】
次いで、第1連結部301の他方側も同様に溶接を行う。すなわち、第1連結部301の他方側のフランジ面32に、上方からレーザーを照射し、第1連結部301の他方側を第2熱交換部20に溶接する(ステップS41)。このとき、照射する場所は、フランジ面32のうち他方側の連通孔36bの周囲3辺とする(図5(a)参照)。
【0078】
第2連結部302も、第1連結部301と同様に接合する。
【0079】
相対的に面積の大きい第1熱交換部10や第2熱交換部20に対して、相対的に面積の小さな連結部30をレーザー溶接工法によって接合するので、連結部30の位置の調整を容易に行うことができ、生産効率を向上することができる。
【0080】
第1連結部301が接合された第1熱交換部10と第2熱交換部20について、連通孔36a、36bの周囲のうち、溶接されていない1辺を溶接する。第1熱交換部10と第2熱交換部20の対応する部分に、下方からレーザーを照射し(図7参照)、溶接する(ステップS42)。
【0081】
以上説明したように、第1熱交換部10と第2熱交換部20とを、複数の連結部30によって接続したので、広い面積のバッテリ冷却用熱交換器HEを得ることができる。このため、バッテリ冷却用熱交換器HEよりも面積の小さなプレス金型であっても対応することができ、生産設備の初期投資の高額化を抑制することができる。
【0082】
また、第1熱交換部10、第2熱交換部20、連結部30をそれぞれ、同時並行して生産することができるから、生産時間を短縮して生産効率を向上できる。
【0083】
また、第1熱交換部10、第2熱交換部20、連結部30をそれぞれ、異なる生産ライン、異なる工場、異なる製作者によって生産できるから、生産場所や生産者の自由度を向上して生産効率を向上できる。例えば、第1熱交換部10、第2熱交換部20、連結部30を第1国で生産したのち第2国へ輸出し、輸出された第2国で接合してバッテリ冷却用熱交換器HEを得ることができる。
【0084】
図2を参照する。本実施例のバッテリ冷却用熱交換器HEに用いられる第1熱交換部10と第2熱交換部20とは、形状や大きさが略同じであることが好ましい。具体的には、第1熱交換部10の第1分配用ヘッダ10A沿って延びる方向を第1方向D1とし、第1分配用ヘッダ10Aと直交する方向を第2方向D2とするとき、第1熱交換枝流路10Pと第2熱交換枝流路20Pは第2方向(D2)に沿って延び、第1熱交換部10と第2熱交換部20とは、第1方向D1に沿った長さと第2方向D2に沿った長さが同じとされることが好ましい。
【0085】
生産工程において取り扱う複数の熱交換部の形状と大きさを同じとすることで、使用するプレス成型機を共通化し、生産設備の初期投資の高額化を抑制することができる。
【0086】
本実施例のバッテリ冷却用熱交換器HEは、図2に示されるようにバッテリBAの下面に配置される。連結部30の位置をバッテリBAと干渉せず、かつバッテリBAを載置するときに目安となる位置とすることで、生産効率を向上することができる。
【0087】
具体的には、第1熱交換部10の第1分配用ヘッダ10Aに沿って延びる方向を第1方向D1とし、第1分配用ヘッダ10Aと直交する方向を第2方向(D2)とするとき、第1熱交換枝流路10Pと前記第2熱交換枝流路20Pは第2方向(D2)に沿って延び、複数の連結部30は、第2方向D2において、第1熱交換枝流路10Pおよび第2熱交換枝流路20Pの外側に位置していることが好ましい。
【0088】
複数の連結部30を、第2方向D2において、第1熱交換枝流路10Pおよび第2熱交換枝流路20Pの外側に位置させることで、第1連結部301と第2連結部302との間にバッテリBAを載置することができる。そして、載置する工程で、第1連結部301と第2連結部302を目安となるため、載置目標が明確となり、生産効率を向上できる。
【0089】
<その他の実施例>
これまで、バッテリ冷却用熱交換器HEは2つの熱交換部を接続してなるものとして説明してきたが、本発明のバッテリ冷却用熱交換器HEはこれに限らない。例えば、3つの熱交換部を連結部30で接続する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の熱交換器は、車両用に搭載するバッテリ冷却用熱交換器として好適である。
【符号の説明】
【0091】
10…第1熱交換部
10A…第1分配用ヘッダ
10B…第1回収用ヘッダ
10E…熱媒体流入部
10G…熱媒体流出部
10P…第1熱交換枝流路
11…第1上プレート
12…熱媒体流入孔
13…供給用連絡孔
14…回収用連絡孔
15…熱媒体流出孔
16…第1下プレート
162…第1下プレートの基準面
20…第2熱交換部
20A…第2分配用ヘッダ
20B…第2回収用ヘッダ
20P…第2熱交換枝流路
21…第2上プレート
23…流入用連絡孔
24…流出用連絡孔
26…第2下プレート
262…第2下プレートの基準面
30…連結部
301…第1連結部
302…第2連結部
31…連結部上プレート
31a…凸部
32…フランジ面
36…連結部下プレート
36a、36b…連通孔
37…連絡流路
D1…第1方向
D2…第2方向
BA…バッテリ
HE…バッテリ冷却用熱交換器
HM…熱媒体
RE…冷媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8