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特開2024-66788情報処理システム、コンピュータプログラム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066788
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、コンピュータプログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176484
(22)【出願日】2022-11-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】394025924
【氏名又は名称】株式会社博報堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼久 真也
(72)【発明者】
【氏名】松居 達也
(72)【発明者】
【氏名】奥井 環
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】販売成果に関係する複数因子の寄与度を出力可能な技術を提供する。
【解決手段】店舗における商品の販売活動計画に関する少なくとも一つの指標の値が、第一指標の計画値として取得される(S120)。店舗における商品の販売活動成績に関する少なくとも一つの指標の値が、第二指標の成績値として取得される(S140)。販売成果に対する第一指標及び第二指標の寄与度が、計画値及び成績値に基づき算出される(S170)。算出された第一指標及び第二指標の寄与度が出力される(S180)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗における商品の販売活動計画に関する少なくとも一つの指標の値を、第一指標の計画値として取得するように構成される第一取得部と、
前記店舗における前記商品の販売活動成績に関する少なくとも一つの指標の値を、第二指標の成績値として取得するように構成される第二取得部と、
前記商品の販売成果に対する前記第一指標及び前記第二指標の寄与度を、前記計画値及び前記成績値に基づき算出するように構成される算出部と、
算出された前記第一指標及び前記第二指標の前記寄与度を出力するように構成される出力部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記販売活動計画には、前記商品の陳列に関する計画が含まれ、
前記第一取得部は、前記販売活動計画における前記商品の陳列に関する指標を含む少なくとも一つの指標の値を、前記第一指標の計画値として取得し、
前記第二取得部は、前記商品の陳列成績に関する少なくとも一つの指標の値を、前記第二指標の成績値として取得する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記算出部は、前記第一指標及び前記第二指標を説明変数として有し、前記販売成果を目的変数として有する回帰モデルの構築を通じて、前記寄与度を算出する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記回帰モデルを用いて、前記第一指標及び前記第二指標のシャープレイ値を算出することにより、前記寄与度を算出する請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記商品の販売環境に関する少なくとも一つの指標の値を、第三指標の環境値として取得するように構成される第三取得部
を更に備え、
前記算出部は、前記販売成果に対する前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標のそれぞれの寄与度を、前記計画値、前記成績値、及び前記環境値に基づき算出し、
前記出力部は、算出された前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標の前記寄与度を出力する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第三指標には、前記店舗の周辺における気象に関する指標、前記店舗の周辺における交通量に関する指標、及び前記店舗内の空間的特徴に関する指標の少なくとも一つが含まれる請求項5記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記算出部は、前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標を説明変数として有し、前記販売成果を目的変数として有する回帰モデルの構築を通じて、前記寄与度を算出する請求項5記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記算出部は、前記回帰モデルを用いて、前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標のシャープレイ値を算出することにより、前記寄与度を算出する請求項7記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第一指標には、前記商品の商品棚における配置計画に関する指標が含まれ、
前記第二指標には、前記商品の前記商品棚における配置成績に関する指標が含まれる請求項1記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記出力部は、ディスプレイを通じた表示により前記寄与度を出力し、前記ディスプレイには、前記第一指標及び前記第二指標のそれぞれの寄与度が並べて表示される請求項1記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記出力部は、前記寄与度に基づき前記商品の販売をシミュレートするシミュレータに対して前記寄与度を出力する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項記載の情報処理システムにおける前記第一取得部、前記第二取得部、前記算出部、及び前記出力部としての機能を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
店舗における商品の販売活動計画に関する少なくとも一つの指標の値を、第一指標の計画値として取得することと、
前記店舗における前記商品の販売活動成績に関する少なくとも一つの指標の値を、第二指標の成績値として取得することと、
販売成果に対する前記第一指標及び前記第二指標の寄与度を、前記計画値及び前記成績値に基づき算出することと、
算出した前記第一指標及び前記第二指標の前記寄与度を出力することと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、コンピュータプログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店における商品の販売増加に寄与する方法を見出すためのシステムが知られている(特許文献1参照)。従来システムでは、複数の項目である、商品の棚の位置、フェース数、POP状況などの実測値と、売上金額とに基づいて、各項目の売上に対する影響度、具体的には標準化偏回帰係数が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-337885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店舗における商品の陳列状態は、その商品の販売活動計画の影響を受ける。従って、単に実測される陳列状態と売上との関係に基づいて、売上に対する複数因子の影響度を評価する従来手法には、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示の一側面によれば、販売活動の改善に役立つ情報として、販売成果に関係する複数因子の販売成果に対する寄与度を出力可能な新規技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面によれば、情報処理システムが提供される。情報処理システムは、第一取得部と、第二取得部と、算出部と、出力部とを備える。第一取得部は、店舗における商品の販売活動計画に関する少なくとも一つの指標の値を、第一指標の計画値として取得するように構成される。
【0007】
第二取得部は、店舗における商品の販売活動成績に関する少なくとも一つの指標の値を、第二指標の成績値として取得するように構成される。算出部は、商品の販売成果に対する第一指標及び第二指標の寄与度を、計画値及び成績値に基づき算出するように構成される。出力部は、算出された第一指標及び第二指標の寄与度を出力するように構成される。
【0008】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、商品の販売活動に関する計画及び成績に対応する複数の指標の、販売成果への寄与度を出力することができる。この寄与度の情報に基づいて、ユーザは、計画それ自体の改善を含めた店舗運営の改善を検討することができる。
【0009】
従って、本開示の一側面によれば、販売活動の改善に役立つ情報として、販売成果に関係する複数因子の寄与度を出力可能な情報処理システムを提供することができる。
【0010】
本開示の一側面によれば、販売活動計画には、商品の陳列に関する計画が含まれ得る。第一取得部は、販売活動計画における商品の陳列に関する指標を含む少なくとも一つの指標の値を、第一指標の計画値として取得し得る。第二取得部は、商品の陳列成績に関する少なくとも一つの指標の値を、第二指標の成績値として取得し得る。
【0011】
本開示の一側面によれば、算出部は、第一指標及び第二指標を説明変数として有し、販売成果を目的変数として有する回帰モデルの構築を通じて、寄与度を算出し得る。本開示の一側面によれば、算出部は、回帰モデルを用いて、第一指標及び第二指標のシャープレイ値を算出し得る。
【0012】
販売活動の計画に関する第一指標、及び、成績に関する第二指標を、販売成果を説明する変数として扱い、回帰モデルを構築することによれば、これらの指標の販売成果に対する寄与度を適切に算出することができる。
【0013】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、第三取得部を更に備えてもよい。第三取得部は、商品の販売環境に関する少なくとも一つの指標の値を、第三指標の環境値として取得するように構成され得る。
【0014】
算出部は、販売成果に対する第一指標、第二指標、及び第三指標のそれぞれの寄与度を、計画値、成績値、及び環境値に基づき、算出し得る。出力部は、算出した第一指標、第二指標、及び第三指標の寄与度を出力し得る。
【0015】
販売環境も、販売成果に影響し得る。従って、販売環境に関する指標を含めて寄与度を出力する情報処理システムは、店舗運営の改善に大いに役立つ。
【0016】
本開示の一側面によれば、第三指標には、店舗の周辺における気象に関する指標、店舗の周辺における交通量に関する指標、及び、店舗内の空間的特徴に関する指標の少なくとも一つが含まれ得る。
【0017】
本開示の一側面によれば、算出部は、第一指標、第二指標、及び第三指標を説明変数として有し、販売成果を目的変数として有する回帰モデルの構築を通じて、寄与度を算出し得る。本開示の一側面によれば、算出部は、回帰モデルを用いて、第一指標、第二指標、及び第三指標のシャープレイ値を算出することにより、寄与度を算出し得る。
【0018】
本開示の一側面によれば、第一指標には、商品の商品棚における配置計画に関する指標が含まれ得る。第二指標には、商品の商品棚における配置成績に関する指標が含まれ得る。こうした指標を採用することによれば、ユーザは、出力される寄与度に基づき、商品配置の計画及び実現度のいずれを優先的に改善すべきか検討することができる。
【0019】
本開示の一側面によれば、出力部は、ディスプレイを通じた表示により寄与度を出力してもよい。ディスプレイには、第一指標及び第二指標のそれぞれの寄与度が並べて表示され得る。第一及び第二指標の並列表示によれば、ユーザに対して視覚的に分かりやすく店舗改善に役立つ情報を表示することができる。
【0020】
本開示の一側面によれば、出力部は、寄与度に基づき商品の販売をシミュレートするシミュレータに対して寄与度を出力し得る。ユーザは、シミュレータを用いて、販売活動の計画及び成績が、販売成果にどのように影響を与えるのかを詳細に知ることができる。
【0021】
本開示の一側面によれば、コンピュータプログラムが提供されてもよい。コンピュータプログラムは、上述した情報処理システムにおける第一取得部、第二取得部、算出部、及び出力部の少なくとも一部としての機能を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムであり得る。
【0022】
本開示の一側面によれば、コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムに対応する情報処理方法が提供されてもよい。
【0023】
本開示の一側面によれば、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供されてもよい。情報処理方法は、店舗における商品の販売活動計画に関する少なくとも一つの指標の値を、第一指標の計画値として取得することを含み得る。
【0024】
情報処理方法は更に、店舗における商品の販売活動成績に関する少なくとも一つの指標の値を、第二指標の成績値として取得することを含み得る。情報処理方法は更に、販売成果に対する第一指標及び第二指標の寄与度を、計画値及び成績値に基づき算出することを含み得る。
【0025】
情報処理方法は更に、算出した第一指標及び第二指標の寄与度を出力することを含み得る。この情報処理方法によれば、上述した情報処理システムと同様の効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】情報処理システムの構成を表すブロック図である。
図2】プロセッサが実行する分析処理を表すフローチャートである。
図3】寄与度説明画面の例を示す図である。
図4図4Aは、第一指標のテーブルの例を示す図であり、図4Bは、第二指標のテーブルの例を示す図である。
図5】シミュレータに関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の情報処理システム1は、汎用のコンピュータシステムに、本実施形態に特有のコンピュータプログラムがインストールされることにより構成される。図1に示す情報処理システム1は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、ディスプレイ15と、入力デバイス17と、メディアリーダ/ライタ18と、通信デバイス19とを備える。
【0028】
プロセッサ11は、ストレージ13が記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行するように構成される。メモリ12は、RAMを含む。メモリ12は、プロセッサ11がコンピュータプログラムに従う処理を実行する際に、作業領域として使用される。メモリ12は、ストレージ13から読み出されたコンピュータプログラム及びデータを一時記憶する。
【0029】
ストレージ13は、コンピュータプログラム及び各種データを格納する。ストレージ13に格納されるコンピュータプログラムの一つには、店舗における商品の販売活動に関する計画と、店舗における商品の販売活動に関する成績、特には計画の実現度と、販売成果とに基づいて、販売成果に対する販売活動の計画及び成績の寄与度を算出するためのコンピュータプログラムが含まれる。ストレージ13の例には、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブが含まれる。
【0030】
ディスプレイ15は、ユーザに向けて各種情報を表示するように構成される。ディスプレイ15は、例えば液晶ディスプレイである。入力デバイス17は、ユーザからの操作信号をプロセッサ11に入力するように構成される。入力デバイス17は、ユーザが操作可能なキーボード及びポインティングデバイスを備える。
【0031】
メディアリーダ/ライタ18は、メモリカードなどの記録メディアに記録された情報を読取可能、及び、記録メディアに新規情報を書込可能に構成される。通信デバイス19は、プロセッサ11により制御されて、ローカルエリアネットワーク内の、及び/又は、広域ネットワーク内の外部装置と通信するように構成される。
【0032】
プロセッサ11は、入力デバイス17を通じてユーザから分析処理の実行指令が入力されると、コンピュータプログラムに従って図2に示す分析処理を実行する。分析処理は、販売成果に影響する複数因子の販売成果に対する寄与度を算出するための処理である。
【0033】
販売成果の例には、販売量が含まれる。販売量の例には、個数又は金額で計算される販売量、すなわち、販売個数又は売上が含まれる。以下に説明される分析処理では、売上に対する複数因子の寄与度が算出される。
【0034】
分析処理を開始すると、プロセッサ11は、計画データを取得する(S110)。プロセッサ11は、ストレージ13に記録された計画データを読み出すことにより、計画データを取得することができる。
【0035】
本実施形態によれば、複数の店舗(以下、対象店舗という)向けに、商品の販売活動に関する計画である販売活動計画が策定される。以下では、販売活動計画のことを、単に販売計画と表現する。策定された販売計画を説明する計画データがユーザにより生成され、ストレージ13に記録され得る。
【0036】
計画データは、一つ以上の販売計画を説明する。販売計画のそれぞれは、複数の対象店舗のうちの一店舗以上に適用される。対象店舗のそれぞれには、当該一つ以上の販売計画のうちの一つが適用される。販売計画のそれぞれは、販売活動の一つである商品陳列に関する計画を含む。各対象店舗では、適用された販売計画に基づいた、商品の陳列を含む商品の販売活動が行われる。
【0037】
商品陳列に関する計画は、特定カテゴリの商品棚(以下「カテゴリ棚」という。)における、特定商品群の陳列計画を含む。ここでいうカテゴリは、化粧品、洗髪剤、風邪薬等の商品のカテゴリである。
【0038】
特定商品群は、分析結果を所望する企業(以下「対象企業」という。)が販売する特定カテゴリの商品群である。陳列計画は、カテゴリ棚における商品配置、換言すれば商品レイアウトに関する計画を含む。
【0039】
プロセッサ11は、取得した計画データに基づき、一つ以上の販売計画に関して、販売計画毎に、複数の第一指標の値を算出する(S120)。当該算出により、プロセッサ11は、複数の第一指標の値を取得する。複数の第一指標は、販売計画の特徴を表す。以下では、第一指標の値のことを、計画値とも表現する。
【0040】
例えば、プロセッサ11は、分析処理の最終段階で、図3に示す寄与度説明画面をディスプレイ15に表示するために、販売計画毎に、計画値として、対応する販売計画での特定商品群に関するSKUシェア、SKU構成、フェースシェア、陳列位置スコア、及び商品アピール力の値を算出する。
【0041】
SKUシェアは、販売計画において、カテゴリ棚に陳列される対象企業の商品の割合を百分率で表す指標である。すなわち、SKUシェアは、「カテゴリ棚における対象企業の商品数」を「カテゴリ棚における総商品数」で割った値に対応する。ここでいう商品数は、SKU(Stock keeping Unit)で表わされる。すなわち、商品数は、詳細には、商品種数である。
【0042】
SKU構成は、店舗において計画上陳列される商品群のうち、類似店舗グループ内での売上上位商品グループに属する商品の割合を百分率で表す指標である。ここでいう類似店舗グループは、陳列計画及び/又は販売実績が類似する店舗群のことをいう。SKU構成は、「陳列計画に基づくカテゴリ棚陳列商品数」で、「当該陳列計画に含まれる、カテゴリ棚陳列商品の売上上位商品グループの商品数」を割った値に対応する。
【0043】
類似店舗グループは、一つの販売計画が適用される店舗グループ、または、陳列計画上の陳列商品に基づく類似度が一定の閾値を超える店舗群を指す。売上上位商品グループの商品群は、類似店舗グループの売上集計により判別される売上が上位の商品群である。売上上位商品グループの商品群は、売上が最大の商品から、所定順位までの商品の一群に対応する。
【0044】
フェースシェアは、計画されているカテゴリ棚における特定商品群のフェース数の、カテゴリ棚における総フェース数に対する割合、すなわち、「特定商品群のフェース数」を「総フェース数」で割った値を、百分率で表す指標である。
【0045】
陳列位置スコアは、カテゴリ棚を複数の区画に分けて、各区画にスコアを定義したときの、特定商品群が陳列される区画のスコアを合計した値に対応する。スコアは、消費者に商品が注目されやすい区画、または、カテゴリ棚での販売実績によれば相対的に売上に寄与する区画に対して、他の区画よりも相対的に高いスコアを付与するように定義される。
【0046】
商品アピール力は、カテゴリ棚において販売促進活動が行われる商品群のうち、対象企業の商品群の割合を、百分率で表す指標である。商品アピール力の算出のために、対象企業の特定商品のそれぞれの販売促進活動の要否だけではなく、対象企業以外の他社企業の販売促進活動のスケジュールを説明するデータが用意され得る。計画データは、このスケジュールを説明する情報を有していてもよい。
【0047】
以上には、第一指標として、SKUシェア、SKU構成、フェースシェア、陳列位置スコア、及び、商品アピール力を例に挙げたが、その他の販売計画の特徴を表す指標が第一指標として採用されてもよい。
【0048】
続いてプロセッサ11は、複数の対象店舗に関し、対象店舗毎の購買活動に関するトランザクションデータを取得し、更には、複数の調査店舗に関し、調査店舗毎の状態データを取得する(S130)。トランザクションデータは、例えばPOS(Point Of Sales)データであり得る。
【0049】
各対象店舗のトランザクションデータは、例えば販売時点管理システムから取得され、ストレージ13に格納される。各対象店舗のトランザクションデータは、対応する店舗における商品の販売記録を含み、対応する店舗における特定商品群の売上を集計可能なデータである。プロセッサ11は、ストレージ13から対象店舗毎のトランザクションデータを取得することができる。
【0050】
複数の調査店舗は、複数の対象店舗のうち、調査員による訪問調査が行われる店舗である。全店舗調査が行われる場合、複数の対象店舗及び複数の調査店舗は、互いに同じ店舗の集合である。以下では、複数の対象店舗のうち、調査店舗以外の対象店舗のそれぞれを、未調査店舗と表現する。
【0051】
各調査店舗の状態データは、対応する店舗における商品の陳列に関する状態を記述する。例えば、調査店舗毎に、対応する店舗におけるカテゴリ棚の商品陳列状態が、調査員による店舗訪問により目視で判別され、商品陳列状態を説明する調査記録データが調査員による情報端末の操作により作成される。あるいは、調査員が所持するカメラ等の撮影機器により撮影されたカテゴリ棚の画像データに基づき、商品陳列状態を説明する調査記録データが調査員による情報端末の操作により作成される。
【0052】
作成された調査記録データが、調査員の情報端末から、例えば、通信デバイス19を通じて情報処理システム1内に取り込まれ、状態データとしてストレージ13に記録される。プロセッサ11は、ストレージ13から調査店舗毎の状態データを取得することができる。
【0053】
複数の対象店舗に、未調査店舗が含まれる場合、プロセッサ11は、複数の対象店舗のトランザクションデータ及び複数の調査店舗の状態データに基づき、欠損補完技術を用いて、各未調査店舗の状態データを生成する(S135)。
【0054】
例えば、プロセッサ11は、複数の調査店舗のトランザクションデータと状態データとに基づいて、トランザクションデータから商品陳列状態を推定するモデルを生成し、モデルに各未調査店舗のトランザクションデータを入力することにより、各未調査店舗の状態データを生成することができる。
【0055】
モデルは、複数の調査店舗のトランザクションデータと状態データとを教師データとして用いた機械学習により生成され得る。各対象店舗の規模及び立地等の特徴データがトランザクションデータと併せて取得され、モデル生成に用いられてもよい。
【0056】
続くS140において、プロセッサ11は、複数の対象店舗に関して、対象店舗毎に、対応する店舗の状態データと、対応する店舗の計画データとに基づき、複数の第二指標の値を算出する。当該算出により、プロセッサ11は、複数の第二指標の値を取得する。
【0057】
複数の第二指標は、販売活動の成績に関する指標であり、具体的には、対応する店舗に適用された販売計画の実行結果、実行成績に関する指標である。複数の第二の指標は、販売計画に基づく販売活動が行われた期間における販売計画の実現度に関する指標を含む。第二指標は、陳列成績として、商品陳列に関する計画の実現度を表す指標を含む。以下では、第二指標の値のことを、成績値とも表現する。また、販売計画に基づく販売活動が行われた期間のことを、実施期間と表現する。
【0058】
具体的には、プロセッサ11は、分析処理の最終段階で、図3に示す寄与度説明画面をディスプレイ15に表示するために、対象店舗毎に、成績値として、品揃え実現率、フェース実現率、陳列位置実現率、販促実現率、及び欠品率の値を算出する。
【0059】
品揃え実現率は、販売計画で陳列が計画されていた商品群が計画通りにカテゴリ棚に陳列されていた割合を百分率で表す指標である。例えば、品揃え実現率は、特定商品群のうち陳列が計画されていた商品群に関し、実際に陳列された商品群の商品数を、陳列が計画された商品群で割った値に対応する。商品数は上述の通りSKU単位でカウントされる。
【0060】
フェース実現率は、販売計画で計画されていた特定商品群のフェース数の実現率を表す指標である。フェース実現率は、具体的には、カテゴリ棚において実現された特定商品群のフェース数を、計画されていたフェース数で割った値に対応する。
【0061】
陳列位置実現率は、陳列位置スコアの実現率を表す指標である。陳列位置実現率は、具体的には、カテゴリ棚への陳列が計画された商品数のうち、計画された商品配置に対して、実際の商品配置が適正であった、または適正と推定された商品数の割合を指す。
【0062】
販促実現率は、対象企業の特定商品群に関して、販売計画で販売促進活動が計画されていた商品群のうち、店舗内において実際に販売促進活動が実行された商品群の割合を百分率で表す指標である。例えば、カテゴリ棚に設置されることが計画されていたPOP(Point of purchase advertising)広告が実際に取り付けられていた割合が、販促実現率に対応する。
【0063】
欠品率は、対象企業の特定商品群に関して、販売計画で陳列が計画され、且つ、カテゴリ棚に陳列された商品群のうち、欠品が生じた商品群の割合を百分率で表す指標である。
【0064】
続くS150において、プロセッサ11は、販売環境データを取得する。販売環境データは、対象店舗群が存在する地域の気象データ及び交通データを含む。
【0065】
気象データは、販売計画の実施期間において観測された気象情報に加えて、未来の気象情報を含み得る。ここでいう未来は、実施期間に対して時間的に後であることを意味し、分析処理の実行タイミングに対して未来であることを意味しない。但し、未来の気象情報には、分析処理の実行タイミングよりも未来の気象予測情報が含まれていてもよい。気象データは、実施期間より過去の気象情報を含んでいてもよい。
【0066】
交通データは、実施期間において観測された、対象店舗群が存在する地域の交通量を説明する。ここでいう交通量は、広義に解釈されるべきであり、道路を走行する車両の交通量の他、人の通行量及び人流量を例に含む。交通データは、実施期間において観測された交通量だけでなく、実施期間終了後の未来の交通量、実施期間開始前の過去の交通量を説明するデータであり得る。
【0067】
販売環境データは更に、対象店舗毎に、対応する店舗の空間的特徴を説明する空間特徴データを備えていてもよい。空間特徴データは、対応する店舗における特定カテゴリの商品棚を含む複数カテゴリの商品棚の配置を説明する情報、及び/又は、特定カテゴリの商品棚に隣接する商品棚の商品カテゴリを説明する情報を有し得る。
【0068】
販売環境データは、予めストレージ13に記録され得る。プロセッサ11は、ストレージ13に記録された販売環境データを取得することができる。あるいは、プロセッサ11は、販売環境データを、外部装置から通信により取得してもよい。
【0069】
例えば、気象データを提供する外部サーバから、対象店舗群が存在する地域の気象データが取得されてもよい。交通データを提供する外部サーバから、対象店舗群が存在する地域の交通データが取得されてもよい。
【0070】
続くS160において、プロセッサ11は、販売環境データに基づき、複数の対象店舗に関して、対象店舗毎に、複数の第三指標の値を算出する。当該算出により、プロセッサ11は、複数の第三指標の値を取得する。以下では、第三指標の値のことを、環境値とも表現する。複数の第三指標は、対応する店舗の販売環境に関する指標であり、気象に関する指標、交通量に関する指標、及び、店舗の空間的特徴に関する指標を含む。
【0071】
複数の第三指標は、対応する店舗周辺の気象に関する指標として、実施期間及びその前後における単位時間毎の平均気温、最高気温、最低気温、平均湿度、最高湿度、最低湿度、晴天率、雨天率、及び平均日照時間の一つ以上を含み得る。単位時間は、1日、1週間、2週間、1月などの任意の長さの時間であり得る。但し、算出対象の気象に関する指標は、これに限定されない。
【0072】
複数の第三指標は、交通に関する指標として、実施期間及びその前後における単位時間毎の、対応する店舗が存在する地域における、車両及び人の交通量を表す指標を含み得る。複数の第三指標は、店舗の空間的特徴に関する指標として、対応する店舗の複数カテゴリの商品棚の配置に関する特徴を表す指標を含み得る。
【0073】
続くS170において、プロセッサ11は、説明変数として、複数の第一指標X1[1],X1[2],…,X1[M1]、複数の第二指標X2[1],X2[2],…,X2[M2]、複数の第三指標X3[1],X3[2],…,X3[M3]を用い、目的変数として、実施期間の店舗売上Yを用いて、回帰分析により、説明変数X1[1],X1[2],…X1[M1],X2[1],X2[2],…,X2[M2],X3[1],X3[2],…,X3[M3]と、目的変数Yとの関係を説明する回帰モデルを構築する。ここでM1は、第一指標の個数であり、M2は、第二指標の個数であり、M3は、第三指標の個数である。
【0074】
回帰モデルは、例えば線形回帰モデルであり、例えば回帰式Y=K1・X1+K2・X2+K3・X3=K1[1]・X1[1]+K1[2]・X1[2]+…+K1[M1]・X1[M1]+K2[1]・X2[1]+K2[1]・X2[2]+…+K2[M2]・X2[M2]+K3[1]・X3[1]+K3[2]・X3[2]+…+K3[M3]・X3[M3]で表される。
【0075】
ベクトルX1は、第一指標のベクトル表現X1=(X1[1],X1[2],…,X1[M1])である。ベクトルX2は、第二指標のベクトル表現X2=(X2[1],X2[2],…,X2[M2])である。ベクトルX3は、第三指標のベクトル表現X3=(X3[1],X3[2],…,X3[M3])である。
【0076】
ベクトルK1は、ベクトルX1に作用する回帰係数のベクトル表現K1=(K1[1],K1[2],…,K1[M1])である。ベクトルK2は、ベクトルX2に作用する回帰係数のベクトル表現K2=(K2[1],K2[2],…,K2[M2])である。ベクトルK3は、ベクトルX3に作用する回帰係数のベクトル表現K3=(K3[1],K3[2],…,K3[M3])である。
【0077】
プロセッサ11は、回帰モデルの構築のために、対象店舗毎に、説明変数及び目的変数に対応する指標及び売上の値をまとめた教師データを生成する。教師データのそれぞれは、対応する店舗の販売計画に従う第一指標X1[1],X1[2],…,X1[M1]の値、対応する店舗の第二指標X2[1],X2[2],…,X2[M2]の値、対応する店舗の第三指標X3[1],X3[2],…,X3[M3]の値、及び、対応する店舗の売上Yをまとめたデータである。売上Yは、対応する店舗のトランザクションデータから判別される。売上Yは、対応する店舗の販売成果であり、例えば、対応する店舗における販売計画の実施期間の売上であり得る。
【0078】
プロセッサ11は、複数の対象店舗の教師データの集合を用いて、回帰分析を実行する。これにより、上述した回帰モデルにおける回帰係数K=(K1[1],K1[2],…,K1[M1],K2[1],K2[2],…,K2[M2],K3[1],K3[2],…,K3[M3])の最適値を算出する。最適値は、例えば回帰式からの教師データの誤差に関する二乗誤差和を最小する回帰係数を探索する最小二乗法を用いて算出される。
【0079】
回帰分析に際して、説明変数及び目的変数は、標準化され得る。教師データとして用いられる指標及び売上の値は、標準化され得る。これにより、回帰係数Kとして、値0から値1までの範囲の値を採る標準化偏回帰係数が、算出され得る。
【0080】
続くS180において、プロセッサ11は、説明変数X1[1],X1[2],…,X1[M1],X2[1],X2[2],…,X2[M2],X3[1],X3[2],…,X3[M3]のそれぞれに対応する回帰係数K1[1],K1[2],…,K1[M1],K2[1],K2[2],…,K2[M2],K3[1],K3[2],…,K3[M3]のそれぞれを、対応する指標の売上Yに対する寄与度として判別し、売上に対する各指標の寄与度を説明する寄与度説明画面を、ディスプレイ15に表示する。
【0081】
図3に示すように寄与度説明画面は、第一指標であるSKUシェア、SKU構成、フェースシェア、陳列位置スコア、及び、商品アピール力のそれぞれの寄与度を、その数値と、数値に対応する長さの棒グラフとにより表示する。
【0082】
寄与度説明画面は更に、第二指標である品揃え実現率、フェース実現率、陳列位置実現率、販促実現率、及び、欠品率のそれぞれの寄与度を、その数値と、数値に対応する長さの棒グラフとにより表示する。寄与度説明画面は更に、第三指標である気象、交通量、及び、店舗の空間的特徴のそれぞれの寄与度を、その数値と、数値に対応する長さの棒グラフとにより表示する。
【0083】
ここで注目すべきは、寄与度説明画面では、「品揃え」「フェースシェア」「陳列位置」「販売促進活動」に関する販売計画の指標の寄与度と、計画実現度の指標の寄与度とが、並列表示される点である。
【0084】
具体的に、寄与度説明画面では、品揃えに関する指標であるSKUシェアの寄与度と、品揃え実現率の寄与度と、が並列に表示される。同様に、寄与度説明画面では、フェースに関する指標であるフェースシェアの寄与度と、フェース実現率と、が並列表示される。
【0085】
陳列位置に関する指標であるの陳列位置スコアと、陳列位置実現率と、が並列表示される。販売促進活動に関する指標である商品アピール力と、販促実現率と、が並列表示される。
【0086】
この並列表示によれば、計画と実現率との間の寄与度の比較をユーザが容易に行うことができる。従って、ユーザは、寄与度説明画面に表示される寄与度に基づいて、販売計画それ自体を優先的に改善すべきであるのか、計画実現度の改善を優先すべきなのかを、容易に理解することができる。
【0087】
このように、本実施形態によれば、寄与度説明画面には、計画及び実現率に関する指標の寄与度が並列表示される結果として、商品の販売活動をより効率的に改善することが可能である。
【0088】
S180において、プロセッサ11は、図3に示す寄与度説明画面に加えて、その寄与度算出に用いられた計画値及び成績値を説明するテーブルを、ディスプレイ15に表示させてもよい。
【0089】
例えば、図4Aに示すように、販売計画毎に、対応する販売計画における第一指標の計画値を配列したテーブルが、ディスプレイ15に表示されてもよい。図4Bに示すように、対象店舗毎に、対応する店舗に適用された販売計画の実現度に関する第二指標の成績値を配列したテーブルが、ディスプレイ15に表示されてもよい。
【0090】
S180において、プロセッサ11は、回帰係数K1[1],K1[2],…,K1[M1],K2[1],K2[2],…,K2[M2],K3[1],K3[2],…,K3[M3]を記述するデータを、寄与度データとして、ストレージ13に記録してもよい。プロセッサ11は、S180において、このように画面表示及びデータ出力を実行して、分析処理を終了することができる。
【0091】
また、情報処理システム1は、シミュレータとしての機能をプロセッサ11に実行させるためのコンピュータプログラムをストレージ13に有していてもよい。プロセッサ11は、入力デバイス17を通じて入力されるユーザからの入力に基づき、当該コンピュータプログラムを実行することにより、シミュレータとして機能してもよい。
【0092】
シミュレータは、図5に示すように、上記回帰式Y=K1・X1+K2・X2+K3・X3により定義される回帰モデルを使用して、第一指標の入力値X1、第二指標の入力値X2、第三指標の入力値X3に基づき、売上Yを予測するように構成され得る。シミュレータは、回帰モデルに基づいて、特定商品群の販売を、売上予測という形態でシミュレートすることができる。
【0093】
このシミュレータを用いれば、ユーザは、販売計画、目標とする計画の実現度、予想される販売環境に基づいて、店舗の売上予測値を取得することができ、販売活動の改善に役立つ情報をシミュレータから獲得可能である。
【0094】
[その他の実施形態]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施形態では、教師データの集合に基づく線形回帰分析の実行により回帰モデルが構築されたが、その他のアルゴリズムに基づいて回帰モデルが構築されてもよい。
【0095】
例えば、機械学習アルゴリズムを用いた回帰モデルの構築方法として、勾配ブースティングを用いた回帰モデルの構築方法、サポートベクター回帰(Support Vector Regression)を用いた回帰モデルの構築方法が採用されてもよい。
【0096】
この他、上記実施形態では、回帰モデルの回帰係数を、寄与度として採用したが、例えばシャープレイ値が寄与度として採用されてもよい。すなわち、プロセッサ11は、S170において、構築した回帰モデルに基づいて、第一指標、第二指標、及び第三指標のそれぞれのシャープレイ値を算出し、シャープレイ値を、寄与度として採用してもよい。寄与度説明画面において、各指標の寄与度として、対応する指標のシャープレイ値が表示されてもよい。
【0097】
シャープレイ値は、例えば機械学習アルゴリズムにより得られた回帰モデルを説明モデルとして、各説明変数の変化に対して、平均的にどの程度目的変数の値が増えるのかを算出した値に対応する。従って、シャープレイ値は、対応する説明変数の目的変数に対する寄与度を示す。
【0098】
プロセッサ11は、S170において例えば機械学習アルゴリズムにより、説明変数として、複数の第一指標X1[1],X1[2],…,X1[M1]、複数の第二指標X2[1],X2[2],…,X2[M2]、複数の第三指標X3[1],X3[2],…,X3[M3]を有し、目的変数として、実施期間の店舗売上Yを有する回帰モデルを、上述した複数の対象店舗の教師データの集合を用いて学習し、これにより回帰モデルを構築することができる(S171)。
【0099】
その後、プロセッサ11は、構築した回帰モデルを説明モデルとして用いて、教師データの集合を用いて、各指標のシャープレイ値を算出することができる。プロセッサ11は、複数指標全体でのシャープレイ値の合計が100となるように各シャープレイ値の尺度変更を行うことにより、各シャープレイ値を寄与度として算出することができる(S175)。
【0100】
この他、回帰モデルには、その他の説明変数が導入されてもよい。例えば、価格優位性を表す指標が説明変数に採用されてもよい。そして、価格優位性の売上Yに対する寄与度が、寄与度説明画面に表示されてもよい。
【0101】
価格優位性は、競合企業の特定カテゴリの商品群の平均売価を、対象企業の特定商品群の平均売価で割った値で表される。換言すれば、価格優位性は、特定カテゴリの商品群に関する対象企業の平均売価を基準とした競合会社の平均売価の比である。競合会社の平均売価が、対象企業の平均売価より高いほど、価格優位性は、向上する。
【0102】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0103】
[本明細書が開示する技術思想]
本明細書には、次の技術思想が開示されていると理解することができる。
[項目1]
店舗における商品の販売活動計画に関する少なくとも一つの指標の値を、第一指標の計画値として取得するように構成される第一取得部と、
前記店舗における前記商品の販売活動成績に関する少なくとも一つの指標の値を、第二指標の成績値として取得するように構成される第二取得部と、
前記商品の販売成果に対する前記第一指標及び前記第二指標の寄与度を、前記計画値及び前記成績値に基づき算出するように構成される算出部と、
算出された前記第一指標及び前記第二指標の前記寄与度を出力するように構成される出力部と、
を備える情報処理システム。
[項目2]
前記販売活動計画には、前記商品の陳列に関する計画が含まれ、
前記第一取得部は、前記販売活動計画における前記商品の陳列に関する指標を含む少なくとも一つの指標の値を、前記第一指標の計画値として取得し、
前記第二取得部は、前記商品の陳列成績に関する少なくとも一つの指標の値を、前記第二指標の成績値として取得する項目1記載の情報処理システム。
[項目3]
前記算出部は、前記第一指標及び前記第二指標を説明変数として有し、前記販売成果を目的変数として有する回帰モデルの構築を通じて、前記寄与度を算出する項目1又は項目2記載の情報処理システム。
[項目4]
前記算出部は、前記回帰モデルを用いて、前記第一指標及び前記第二指標のシャープレイ値を算出することにより、前記寄与度を算出する項目3記載の情報処理システム。
[項目5]
前記商品の販売環境に関する少なくとも一つの指標の値を、第三指標の環境値として取得するように構成される第三取得部
を更に備え、
前記算出部は、前記販売成果に対する前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標のそれぞれの寄与度を、前記計画値、前記成績値、及び前記環境値に基づき算出し、
前記出力部は、算出された前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標の前記寄与度を出力する項目1又は項目2記載の情報処理システム。
[項目6]
前記第三指標には、前記店舗の周辺における気象に関する指標、前記店舗の周辺における交通量に関する指標、及び前記店舗内の空間的特徴に関する指標の少なくとも一つが含まれる項目5記載の情報処理システム。
[項目7]
前記算出部は、前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標を説明変数として有し、前記販売成果を目的変数として有する回帰モデルの構築を通じて、前記寄与度を算出する項目5又は項目6記載の情報処理システム。
[項目8]
前記算出部は、前記回帰モデルを用いて、前記第一指標、前記第二指標、及び前記第三指標のシャープレイ値を算出することにより、前記寄与度を算出する項目7記載の情報処理システム。
[項目9]
前記第一指標には、前記商品の商品棚における配置計画に関する指標が含まれ、
前記第二指標には、前記商品の前記商品棚における配置成績に関する指標が含まれる項目1~項目8のいずれか一項記載の情報処理システム。
[項目10]
前記出力部は、ディスプレイを通じた表示により前記寄与度を出力し、前記ディスプレイには、前記第一指標及び前記第二指標のそれぞれの寄与度が並べて表示される項目1~項目9のいずれか一項記載の情報処理システム。
[項目11]
前記出力部は、前記寄与度に基づき前記商品の販売をシミュレートするシミュレータに対して前記寄与度を出力する項目1~項目10のいずれか一項記載の情報処理システム。
[項目12]
項目1~項目11のいずれか一項記載の情報処理システムにおける前記第一取得部、前記第二取得部、前記算出部、及び前記出力部としての機能を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
[項目13]
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
店舗における商品の販売活動計画に関する少なくとも一つの指標の値を、第一指標の計画値として取得することと、
前記店舗における前記商品の販売活動成績に関する少なくとも一つの指標の値を、第二指標の成績値として取得することと、
販売成果に対する前記第一指標及び前記第二指標の寄与度を、前記計画値及び前記成績値に基づき算出することと、
算出した前記第一指標及び前記第二指標の前記寄与度を出力することと、
を含む情報処理方法。
【符号の説明】
【0104】
1…情報処理システム、11…プロセッサ、12…メモリ、13…ストレージ、15…ディスプレイ、17…入力デバイス、18…メディアリーダ/ライタ、19…通信デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5