IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特開-検出装置、及び灯具 図1
  • 特開-検出装置、及び灯具 図2
  • 特開-検出装置、及び灯具 図3
  • 特開-検出装置、及び灯具 図4
  • 特開-検出装置、及び灯具 図5
  • 特開-検出装置、及び灯具 図6
  • 特開-検出装置、及び灯具 図7
  • 特開-検出装置、及び灯具 図8
  • 特開-検出装置、及び灯具 図9
  • 特開-検出装置、及び灯具 図10
  • 特開-検出装置、及び灯具 図11
  • 特開-検出装置、及び灯具 図12
  • 特開-検出装置、及び灯具 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066798
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】検出装置、及び灯具
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20240509BHJP
   B60Q 3/76 20170101ALI20240509BHJP
   B60Q 3/82 20170101ALI20240509BHJP
【FI】
H01H36/00 V
H01H36/00 J
B60Q3/76
B60Q3/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176509
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正紀
【テーマコード(参考)】
3K040
5G046
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040DA03
3K040DA05
3K040FB02
3K040GA04
3K040GB01
3K040GC01
5G046AA02
5G046AB02
5G046AC24
5G046AD02
5G046AE05
(57)【要約】
【課題】タッチ感度のムラを低減できる検出装置、及び灯具を提供する。
【解決手段】ユーザによるパネル10へのタッチ操作を検出する検出装置9は、周状に配置された複数の電極11を備える。検出装置9は、タッチ操作によって変化した各電極11の静電容量の比率に基づき、パネル10のタッチ位置を特定する。検出装置9は、特定されたタッチ位置に基づき、タッチ操作の判定方式を設定するとともに、その判定方式を用いてタッチ判定を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによるパネルへのタッチ操作を検出する検出装置であって、
周状に配置された複数の電極と、
タッチ操作によって変化した各電極の静電容量の比率に基づき、前記パネルのタッチ位置を特定する特定部と、
前記特定部によるタッチ位置の特定結果に基づき、タッチ操作の判定方式を設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記判定方式によって、タッチ判定を実行する判定部と、を備えた検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記判定方式によって、前記パネルに対するタッチ操作の有無を判定する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記特定部は、タッチ操作時に最も静電容量の変化が大きくなった変化最大電極と、前記変化最大電極と対向する対向電極と、の組を用いて、前記比率を算出する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記判定方式は、
前記複数の電極の静電容量の総和を求め、その静電容量総和を第1閾値と比較することにより、タッチ判定を行う第1判定方式と、
タッチ操作時に最も静電容量の変化が大きくなった変化最大電極の静電容量を第2閾値と比較することにより、タッチ判定を行う第2判定方式と、を含む、請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2閾値は、タッチ操作の操作位置に応じた値に設定される、請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記複数の電極は、周状配置の中心回りの点対称で見て同一形状となるように形成されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
前記複数の電極は、先端が鋭角の斜面部を長手方向の両端に有し、
前記斜面部の各々は、隣に位置する前記斜面部と斜辺同士が平行となる形状に形成されている、請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記複数の電極によって囲まれた空間から構成されるとともに、前記パネル及び前記電極の層群の背面に配置された光源の光を引き出す電極省略部を備える、請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
光透過性のパネルに対するユーザのタッチ操作を検出装置によって検出することにより、光源の光を前記パネルに照射して周囲を照明する灯具であって、
前記検出装置は、
周状に配置された複数の電極と、
タッチ操作によって変化した各電極の静電容量の比率に基づき、前記パネルのタッチ位置を特定する特定部と、
前記特定部によるタッチ位置の特定結果に基づき、タッチ操作の判定方式を設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記判定方式によって、タッチ判定を実行する判定部と、を備えた灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の静電容量変化からパネルのタッチ操作を検出する検出装置、及び灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、人体の接触に応じて点灯する自動車用照明装置が周知である。この自動車用照明装置は、車室を全体的に照らすルームランプと、ルームランプの光を透過させる照明レンズと、照明レンズの裏面に設けられた透明電極と、を有する。ルームランプの点灯状態を切り替えるときは、照明レンズの表面をタッチ操作する。照明レンズの表面に人体が触れると、透明電極の静電容量が変化するため、この静電容量の変化に基づき、ルームランプの点灯状態が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-237385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の照明装置の場合、装置コストの削減のため、透明電極ではなく、金属製の電極を使用したいニーズがある。金属製の電極を使用する場合、背面に位置する光源の光を引き出すために、電極に孔を設ける必要がある。この場合、タッチ面において、電極が有る部位と無い部位とが発生する。よって、電極が有る部位ではタッチ感度がよく、電極が無い部位ではタッチ感度が悪くなるため、タッチ感度にムラができてしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する検出装置は、ユーザによるパネルへのタッチ操作を検出する装置であって、周状に配置された複数の電極と、タッチ操作によって変化した各電極の静電容量の比率に基づき、前記パネルのタッチ位置を特定する特定部と、前記特定部によるタッチ位置の特定結果に基づき、タッチ操作の判定方式を設定する設定部と、前記設定部により設定された前記判定方式によって、タッチ判定を実行する判定部と、を備えた。
【0006】
前記課題を解決する灯具は、光透過性のパネルに対するユーザのタッチ操作を検出装置によって検出することにより、光源の光を前記パネルに照射して周囲を照明する構成であって、前記検出装置は、周状に配置された複数の電極と、タッチ操作によって変化した各電極の静電容量の比率に基づき、前記パネルのタッチ位置を特定する特定部と、前記特定部によるタッチ位置の特定結果に基づき、タッチ操作の判定方式を設定する設定部と、前記設定部により設定された前記判定方式によって、タッチ判定を実行する判定部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、タッチ感度のムラを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の灯具の斜視図である。
図2】検出装置の斜視図である。
図3】電極の平面図である。
図4】パネル上の各位置における静電容量総和の分布図である。
図5】電極間の静電容量の比率の分布図である。
図6】検出装置の電気構成図である。
図7】電極間の静電容量の比率の分布図である。
図8】静電容量総和の分布図である。
図9】電極間の静電容量の比率の分布図である。
図10】静電容量総和の分布図である。
図11】別例の電極の平面図である。
図12】他の別例の電極の平面図である。
図13】他の別例の電極の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
(車両の灯具1)
図1に示すように、車両には、室内を照明するための灯具1が設けられている。灯具1は、例えば、室内前部の天井2に取付けられている。具体的には、灯具1は、天井2においてフロントガラス3寄りの位置に配置されている。灯具1は、灯具1のフレームとなるオーバーヘッドモジュール4と、光を照らす照明部5と、を有する。灯具1は、例えば、照明部5が運転席側及び助手席側の各々に設けられたマップランプ6であることが好ましい。
【0010】
(検出装置9)
図2に示すように、灯具1は、照明部5を動作させるときの操作を検出するための検出装置9を備える。検出装置9は、例えば、照明部5のオンオフ操作を検出する。検出装置9は、例えば、複数の照明部5の各々に設けられている。検出装置9は、例えば静電容量方式の場合、ユーザによるパネル10へのタッチ操作を電極11の出力変化によって検出する。パネル10は、例えば、光透過性を有する。パネル10は、例えば、透明樹脂により形成されるとともに、平板状をなしている。パネル10は、例えば、レンズでもよい。
【0011】
(電極11)
図2及び図3に示すように、電極11は、パネル10の裏面に配置されている。電極11は、例えば、非透明の金属(金属板)から構成されている。電極11は、複数設けられるとともに、これらが周状に配置されている。具体的には、複数の電極11で囲まれた領域の真ん中を中心Gとした場合、複数の電極11は、中心G回りに周状に配置されている。複数の電極11は、周状配置の中心G回りの点対称で見て同一形状となるように形成されている。複数の電極11は、先端が鋭角の斜面部12を長手方向の両端に有する。斜面部12の各々は、隣に位置する斜面部12と斜辺13同士が平行となる形状に形成されている。
【0012】
本例の場合、電極11は、四角の各辺を構成するように計4つ設けられている。本例の電極11は、第1電極11aと、この第1電極11aと対向する第2電極11bと、第1電極11aに対して中心G回りに90度回した位置に配置された第3電極11cと、この第3電極11cと対向する第4電極11dと、を有する。電極11は、第1電極11a及び第2電極11bが組をなすとともに、第3電極11c及び第4電極11dが組をなしている。
【0013】
(光源15の光照射)
図2に示す通り、灯具1は、灯具1において光を照らす光源15を備える。光源15は、例えば、LEDである。光源15は、パネル10及び電極11の層群の背面に配置されている。検出装置9は、複数の電極11によって囲まれた空間から構成された電極省略部16を備える。電極省略部16は、中心Gの軸方向から見て四角状に形成されている。光源15の光は、電極省略部16を介して、パネル10の外側に引き出される。
【0014】
(タッチ判定の考え方)
図4に、電極11の左右方向(図中のX軸方向)に位置(本例は、「a」~「q」)を割り振ったときの、各位置における電極11(第1電極11a~第4電極11d)の静電容量の総和(静電容量総和Ct)を図示する。「a位置」がタッチ操作されたとき、指が第1電極11aに広く触れ、かつ、隣の電極11(例えば、第3電極11cや第4電極11d)などにも指がかかる。このため、静電容量総和Ctは、高い値をとる。また、電極群の左右方向中央の「i位置」がタッチ操作されたとき、指が大きくかかる電極11が存在しないため、静電容量総和Ctは、低い値をとる。以上のように、静電容量総和Ctは、タッチ操作位置に応じた値をとる。
【0015】
このように、パネル10において電極11の真上付近がタッチ操作されると、そのタッチ位置に対応した電極11の静電容量が静電容量総和Ctに大きく寄与することが分かる。すなわち、静電容量総和Ctは、電極11に近い箇所がタッチ操作されたときに大きな値をとり、一方で、電極11から離れたパネル中央寄りの位置がタッチ操作されたときに小さな値をとる。
【0016】
このため、パネル10の中央付近でも十分なタッチ感度を得ようとすると、タッチ有無の判定閾値を低く設定する必要が生じる。しかし、タッチ有無の判定閾値が低すぎると、逆に、電極11の真上付近のタッチ感度がよくなり過ぎてしまい、指を近づけただけで、タッチ操作有りと判定されてしまうことになる。よって、タッチ判定の判定精度にムラが生じてしまう。
【0017】
図5に示すように、検出装置9は、各電極11に発生する静電容量の比率Pを用いてタッチ位置を特定するとともに、タッチ操作の判定方式Rをタッチ位置に応じたものに設定する。比率Pを算出するのに用いる電極11は、例えば、タッチ操作時に最も静電容量の変化が大きくなった変化最大電極18、及び、この変化最大電極18と対向する対向電極19である。比率Pは、変化最大電極18の静電容量と対向電極19の静電容量との合算値に対する変化最大電極18の静電容量の割合である。
【0018】
図5に示す通り、第1電極11a付近がタッチ操作された場合は、変化最大電極18が第1電極11aとなり、対向電極19が第2電極11bとなり、これら第1電極11a及び第2電極11bの静電容量の比率Pが算出される。そして、第1電極11a付近がタッチ操作された場合、「a位置」の比率Pは、100%となる。一方、「i位置」付近がタッチ操作されたときの比率Pは、タッチ位置から遠い位置であるため、約50%の値をとる。このように、比率Pは、タッチ位置に対応した値をとる。よって、比率Pを見れば、タッチ操作の操作位置を判定できることが分かる。
【0019】
(検出装置9の電気構成)
図6に示すように、検出装置9は、検出装置9の動作を制御する制御部21を備える。制御部21は、例えば、MPU(Micro Processor Unit)、CPU(Central Processing Unit)などが挙げられる。制御部21は、電極11(第1電極11a~第4電極11d)の静電容量を検出する静電検出モジュール22を有する。静電検出モジュール22は、電極11の静電容量を電気信号(例えば、電圧信号)に変換して出力する。制御部21は、静電検出モジュール22によって変換出力された電気信号に基づき、光源15を制御する。
【0020】
検出装置9は、各電極11の静電容量の比率Pに基づきパネル10のタッチ位置を特定する特定部23を備える。特定部23は、例えば、制御部21に設けられる。特定部23は、変化最大電極18と対向電極19との組を用いて、比率Pを算出する。本例の場合、電極11の組は、例えば、第1電極11a及び第2電極11bの組と、第3電極11c及び第4電極11dの組と、がある。
【0021】
検出装置9は、特定部23の特定結果に基づきタッチ操作の判定方式Rを設定する設定部24を備える。設定部24は、例えば、制御部21に設けられる。本例の場合、判定方式Rは、例えば、第1判定方式R1と第2判定方式R2とがある。第1判定方式R1は、例えば、複数の電極11の静電容量の総和を求め、その静電容量総和Ctを第1閾値Ckと比較することにより、タッチ判定を行う方式である。第2判定方式R2は、例えば、タッチ操作時に最も静電容量の変化が大きくなった変化最大電極18の静電容量を第2閾値Crと比較することにより、タッチ判定を行う方式である。第2閾値Crは、タッチ操作の操作位置に応じた値に適宜設定される。
【0022】
検出装置9は、設定部24により設定された判定方式Rによってタッチ判定を実行する判定部25を備える。判定部25は、例えば、制御部21に設けられる。判定部25は、例えば、第1判定方式R1又は第2判定方式R2を使用してタッチ判定を実行する。判定部25は、判定方式Rによって、パネル10に対するタッチ操作の有無、すなわち、タッチ操作が有ったか、或いは無かったのかを判定する。以上のようにして、制御部21は、第1電極11a~第4電極11dの静電容量の比率Pからタッチ位置を割り出すとともに、そのタッチ位置に応じた判定方式Rを使用することにより、パネル10へのタッチ操作を検出する。
【0023】
次に、本実施形態の検出装置9(灯具1)の作用について説明する。
(パネル10の中央寄りの位置がタッチ操作された場合)
図7に示すように、電極11(第1電極11a~第4電極11dのいずれか)の静電容量の変化からタッチ操作が検出されたとき、特定部23は、静電容量の比率Pを算出する。比率Pの算出にあたり、まずは、電極組を割り出す。具体的には、タッチ操作が検出されたとき、第1電極11a~第4電極11dのうち、検出された静電容量が最も大きい電極11を変化最大電極18とし、それに対向する電極11を対向電極19とする。
【0024】
特定部23は、この電極組について、比率Pを求める。具体的には、特定部23は、変化最大電極18及び対向電極19の静電容量和に対する変化最大電極18の割合を、比率Pとして求める。比率Pは、パネル10のタッチ位置に応じた値をとる。例えば、電極11の近い位置をタッチ操作した場合には、高い比率Pが求まり、逆に、電極11から遠い位置(電極省略部16付近)をタッチ操作した場合には、低い比率Pが求まる。
【0025】
比率Pの算出後、特定部23は、算出した比率Pと閾値(比率用閾値)Pαとを比較することにより、パネル10のタッチ操作の操作位置を特定する。閾値Pαは、例えば、静電容量総和Ctに個々の電極11の静電容量が大きく寄与しない値に設定されている。電極11から遠い位置、具体的には、電極省略部16付近がタッチ操作されたときには、相対的に低い比率Pとなるため、比率Pが閾値Pα未満(図7に示す操作位置範囲E1内の指標)となる。このため、比率Pが閾値Pα未満となったときは、電極11から遠い位置がタッチ操作されたと判断できる。操作位置範囲E1は、図7の場合、「d位置」~「i位置」の範囲である。
【0026】
図8に示すように、比率Pが閾値Pα未満であると特定部23によって特定された場合、設定部24は、タッチ操作の判定方式Rを第1判定方式R1に設定する。すなわち、第1電極11a~第4電極11dの個々の静電容量が大きく寄与しない操作位置範囲E1がタッチ操作されたため、第1電極11a~第4電極11dの静電容量総和Ctを用いてタッチ判定する第1判定方式R1が使用される。
【0027】
続いて、判定部25は、設定部24によって設定された第1判定方式R1によって、タッチ操作の有無を判定する。具体的には、判定部25は、静電容量総和Ctと、第1判定方式R1用の第1閾値(第1タッチ閾値)Ckと、を比較することにより、タッチ操作の有無を判定する。第1閾値Ckは、生じ得る静電容量総和Ctの最大値に対して低めの値に設定されている。そして、判定部25は、静電容量総和Ctが第1閾値Ck以上となった場合、タッチ操作ありと判定する。一方、判定部25は、静電容量総和Ctが第1閾値Ck未満となった場合、タッチ操作なしと判定する。
【0028】
制御部21は、消灯下において、判定部25によってパネル10にタッチ操作ありと判定された場合、光源15を点灯させる。これにより、車内前部を照明部5によって照明できる。また、制御部21は、点灯下において、判定部25によってパネル10にタッチ操作ありと判定された場合、光源15を消灯する。このように、パネル10をタッチ操作する度に、照明部5のオンオフが切り替えられる。
【0029】
(パネル10の端付近がタッチ操作された場合)
図9に示すように、パネル10の端付近がタッチ操作された場合、電極11の近くがタッチ操作されるため、高い値の比率Pが算出される。このため、特定部23が比率Pと閾値Pαとを比較したときは、比率Pが閾値Pα以上(図9に示す操作位置範囲E2内の指標)となる。操作位置範囲E2は、図9の場合、「a位置」~「c位置」の範囲である。
【0030】
図10に示すように、比率Pが閾値Pα以上であると特定部23によって特定された場合、設定部24は、タッチ操作の判定方式Rを第2判定方式R2に設定する。すなわち、第1電極11a~第4電極11dの個々の静電容量が大きく寄与する操作位置範囲E2がタッチ操作されたため、第1電極11a~第4電極11dのうち、最も静電容量が大きい電極11(変化最大電極18)を用いてタッチ判定する第2判定方式R2が使用される。第2判定方式R2の場合、変化最大電極18の静電容量と、第2判定方式R2用の第2閾値(第2タッチ閾値)Crと、が比較される。第2閾値Crは、例えば、第1閾値Ckよりも高い値に設定されている(Cr>Ckの関係)。
【0031】
第2閾値Crは、比率P(タッチ位置)に応じた値が設定される。具体的には、第2閾値Crは、比率Pが100%~P1%のとき、「Cr1」が設定され、比率PがP1%~P2%のとき、「Cr2」が設定され、比率PがP2%~Pα%のとき、「Cr3」が設定される。なお、P1~Pαには、100>P1>P2>Pαの関係がある。これら閾値Cr1~Cr3は、例えば、指をパネル10に十分近づけないとタッチ検出されないような厳しめの値に設定されている。そして、判定部25は、比率Pに応じて設定された閾値Cr1~Cr3を用いて、タッチ操作の有無を判定する。
【0032】
判定部25は、変化最大電極18の静電容量が第2閾値Cr以上となった場合、タッチ操作ありと判定する。一方、判定部25は、変化最大電極18の静電容量が第2閾値Cr未満となった場合、タッチ操作なしと判定する。そして、制御部21は、判定部25の判定結果に基づき、光源15のオンオフを切り替える。
【0033】
本例の場合、電極11の中央に光源15の光を引き出す孔(電極省略部16)が存在するが、タッチ操作有無の判定に使用する判定閾値(第1閾値Ck、第2閾値Cr)を、タッチ位置に応じた最適な値に設定する。このため、電極11の中央に光源15の光を引き出す孔が形成されていても、照明部5をオンオフするときのパネル10に対するタッチ操作の検出感度を、パネル10のどの位置においても一律とすることが可能となる。よって、照明部5のオンオフ操作時の違和感を生じ難くすることが可能となる。
【0034】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ユーザによるパネル10へのタッチ操作を検出する検出装置9は、複数の電極11、特定部23、設定部24、及び判定部25を備える。複数の電極11は、周状に配置されている。特定部23は、タッチ操作によって変化した各電極11の静電容量の比率Pに基づき、パネル10のタッチ位置を特定する。設定部24は、特定部23によるタッチ位置の特定結果に基づき、タッチ操作の判定方式Rを設定する。判定部25は、設定部24により設定された判定方式Rによって、タッチ判定を実行する。
【0035】
本構成によれば、複数の電極11間の静電容量の比率Pからタッチ位置に見当を付け、そして、そのタッチ位置からタッチ操作の判定方式Rを設定する。このため、タッチ位置に応じた適切な判定方式Rによってタッチ判定を実行することが可能となる。これにより、パネル10へのタッチ位置によらず、タッチ感度をほぼ一律とすることが可能となる。よって、タッチ感度のムラを低減できる。
【0036】
(2)判定部25は、判定方式Rによって、パネル10に対するタッチ操作の有無を判定する。この構成によれば、パネル10に対するタッチ操作の有無を、タッチ位置に応じた最適な判定方式Rを用いて精度よく判定できる。
【0037】
(3)特定部23は、タッチ操作時に最も静電容量の変化が大きくなった変化最大電極18と、変化最大電極18と対向する対向電極19と、の組を用いて、比率Pを算出する。この構成によれば、変化最大電極18及び対向電極19を用いて求めた比率Pから、タッチ位置を精度よく特定することが可能となる。よって、タッチ感度のムラ低減に一層寄与する。
【0038】
(4)判定方式Rは、第1判定方式R1及び第2判定方式R2を有する。第1判定方式R1は、複数の電極11の静電容量の総和を求め、その静電容量総和Ctを第1閾値Ckと比較することにより、タッチ判定を行う。第2判定方式R2は、タッチ操作時に最も静電容量の変化が大きくなった変化最大電極18の静電容量を第2閾値Crと比較することにより、タッチ判定を行う。この構成によれば、例えば、パネル10において電極11の省略箇所をタッチ操作した場合、そのタッチ位置に適した第1判定方式R1によってタッチ判定を精度よく行うことができる。また、パネル10において電極11の対向箇所をタッチ操作した場合、そのタッチ位置に適した第2判定方式R2によってタッチ判定を精度よく行うことができる。
【0039】
(5)第2閾値Crは、タッチ操作の操作位置に応じた値に設定される。この構成によれば、第2判定方式R2においてタッチ位置に応じた最適な第2閾値Crが設定されるので、タッチ判定を精度よく行うのに一層寄与する。
【0040】
(6)複数の電極11は、周状配置の中心G回りの点対称で見て同一形状となるように形成されている。この構成によれば、パネル10のタッチ位置によらず、比率Pが不規則な関係をとらない。よって、タッチ判定の処理が複雑化しない。
【0041】
(7)複数の電極11は、先端が鋭角の斜面部12を長手方向の両端に有する。斜面部12の各々は、隣に位置する斜面部12と斜辺13同士が平行となる形状に形成されている。この構成によれば、タッチ位置に関わらず、好適な比率Pを得ることが可能となる。よって、タッチ感度のムラを低減するのに一層寄与する。
【0042】
(8)検出装置9は、複数の電極11によって囲まれた空間から構成された電極省略部16を有する。電極省略部16は、パネル10及び電極11の層群の背面に配置された光源15の光を引き出す。この構成によれば、電極11の背面に光源15が配置されていても、光源15の光を電極省略部16から引き出して周囲を照明することができる。
【0043】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
図11に示すように、各電極11は、例えば、長方形に形成されてもよい。このとき、電極組ごとに電極11の長さLが異なっていてもよい。
図12に示すように、各電極11は、長方形の形状とした場合、長手方向端部を省略することにより、全て同じ長さLとなるようにしてもよい。
【0045】
図13に示すように、各電極11は、例えば英大文字略L字形状などのように、四角の2辺に至る形状としてもよい。
・各電極11の形状は、必要とする形状に適宜変更できる。
【0046】
・比率Pは、対向する組のみを用いて算出することに限らず、例えば、全ての電極11を使用して算出してもよい。
・電極11は、4つに限らず、例えば、4つ以外の数に変更してもよい。
【0047】
・タッチ判定は、タッチ操作の有無の判定に限らず、例えば、タッチ位置の判定でもよい。
・判定方式Rは、2つのどちらが選択されるのかということに限定されず、3つ以上の中から選択されるようにしてもよい。
【0048】
・電極11は、金属製電極に限らず、例えば、シート電極でもよい。
・電極11は、非透明電極に限らず、例えば透明電極でもよい。
・灯具1は、マップランプ6に限定されず、室内を点灯する器具であればよい。
【0049】
・灯具1は、車載用に限定されず、車両以外の機器や装置に使用してもよい。
・特定部23、設定部24、及び判定部25は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0050】
・特定部23、設定部24、及び判定部25は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、特定部23、設定部24、及び判定部25は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0051】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0052】
1…灯具、9…検出装置、10…パネル、11…電極、12…斜面部、13…斜辺、15…光源、16…電極省略部、18…変化最大電極、19…対向電極、23…特定部、24…設定部、25…判定部、P…比率、R…判定方式、R1…第1判定方式、R2…第2判定方式、Ct…静電容量総和、Ck…第1閾値、Cr…第2閾値、G…中心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13