(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066805
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】開閉体の構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240509BHJP
E06B 9/84 20060101ALN20240509BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/84 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176517
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】井部 弘美
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】津田 真伸
(72)【発明者】
【氏名】田村 淑佳
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
(57)【要約】
【課題】簡素な構造および簡易な施工で、シャッターカーテン閉鎖時の床面と座板との隙間を塞ぎ、しかも、閉鎖時においての防火設備への対応を可能にできる開閉体の構造を提供する。
【解決手段】横長板状のスラット11を高さ方向に連結したシャッターカーテン17の最下端に取り付けられる連結板13と、連結板13に固定される座板15と、を備える開閉体の構造であって、連結板13は、耐火材からなり、最下端のスラット11の下部係合部22を収容する断面コ字状の凹状溝部43と、凹状溝部43に連続して開閉体の少なくとも一方の面側に表れる座板15の面を覆う座板被覆部45を有し、座板15は、座板下面61にスラット11の長手方向に延在する取付溝63が形成され、座板15の着地時に床面との間に挟まれて圧縮方向に弾性変形する緩衝材65が取付溝63に装着される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長板状のスラットを高さ方向に連結した開閉体の最下端に取り付けられる連結板と、前記連結板に固定される座板と、を備える開閉体の構造であって、
前記連結板は、耐火材からなり、最下端の前記スラットの下部係合部を収容する断面コ字状の凹状溝部と、前記凹状溝部に連続して前記開閉体の少なくとも一方の面側に表れる前記座板の面を覆う座板被覆部を有し、
前記座板は、座板下面に前記スラットの長手方向に延在する取付溝が形成され、前記座板の着地時に床面との間に挟まれて圧縮方向に弾性変形する緩衝材が前記取付溝に装着されたことを特徴とする開閉体の構造。
【請求項2】
前記座板が、前記長手方向に延在して前記取付溝と平行な収容溝を有し、前記収容溝には加熱により膨張して前記座板と前記床面との隙間を埋める加熱膨張剤が装着されたことを特徴とする請求項1に記載の開閉体の構造。
【請求項3】
前記緩衝材が、中空部を有して形成され、前記中空部の内面には前記長手方向に延在して前記緩衝材の変形を促進する複数の平行な小溝が形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の開閉体の構造。
【請求項4】
前記緩衝材が、中空部を有するとともに、側方が開口する断面C字型に形成され、前記中空部の内面には前記長手方向に延在して前記緩衝材の変形を促進する複数の平行な小溝が形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の開閉体の構造。
【請求項5】
前記緩衝材が、前記取付溝に挿入される一部分に、緩衝材本体と素材を変えて硬度の高い装着部を一体的に有してなることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉体の構造。
【請求項6】
前記緩衝材が、前記取付溝に挿入される一部分に、緩衝材本体と素材を変えて硬度の高い装着部を一体的に有してなることを特徴とする請求項3に記載の開閉体の構造。
【請求項7】
前記緩衝材が、前記取付溝に挿入される一部分に、緩衝材本体と素材を変えて硬度の高い装着部を一体的に有してなることを特徴とする請求項4に記載の開閉体の構造。
【請求項8】
前記連結板が、前記座板下面まで回り込んで前記座板下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部を有したことを特徴とする請求項1または2に記載の開閉体の構造。
【請求項9】
前記連結板が、前記座板下面まで回り込んで前記座板下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部を有したことを特徴とする請求項3に記載の開閉体の構造。
【請求項10】
前記連結板が、前記座板下面まで回り込んで前記座板下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部を有したことを特徴とする請求項4に記載の開閉体の構造。
【請求項11】
前記連結板が、前記座板下面まで回り込んで前記座板下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部を有したことを特徴とする請求項5に記載の開閉体の構造。
【請求項12】
前記連結板が、前記座板下面まで回り込んで前記座板下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部を有したことを特徴とする請求項6に記載の開閉体の構造。
【請求項13】
前記連結板が、前記座板下面まで回り込んで前記座板下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部を有したことを特徴とする請求項7に記載の開閉体の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッター装置等において、開閉体であるシャッターカーテン降下時に障害物があった場合、この障害物を検知することができるシャッターの障害物感知装置が知られている(特許文献1参照)。シャッター装置の障害物感知装置は、シャッターカーテンの下縁に位置する座板本体の下面に該座板本体に対して上下動自在として障害物感知体を設け、この障害物感知体が障害物を感知して座板本体に対して上動した時に接触形センサのスイッチ素子を作動させることにより障害物感知信号を出力してシャッターカーテンの降下を停止させるようにしている。また、このようなシャッターの障害物感知装置において、上記障害物感知体と上記接触形センサのスイッチ素子との間に上下方向に弾性変形する緩衝部材を介設し、上記座板本体に対する上記障害物感知体の上動過程において、上記緩衝部材の上下方向の弾性変形により、上記スイッチ素子の作動後に上記障害物感知体の上記座板本体に対する上動を許容するように構成したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシャッターの障害物感知装置は、障害物感知体が、座板本体に対して上下動可能に構成される。すなわち、可動式座板を備える。このため、床面が水平でなく、平滑でない場合であっても、障害物感知体が上下動することにより、床面の勾配により生じた隙間を吸収する(塞ぐ)ことが可能となる。
しかしながら、可動式座板は、可動部を備えることから、構造が複雑となる。このため、可動部を高精度に加工しなければならず、アルミ押出成形で造られることから、防火設備に対応できなくなる問題があった。
これに対し、障害物感知を行わない座板には、耐火材、例えばスチールで造られ、かつ簡素な構造にできる固定式座板がある。
ところが、固定式座板は、床面が水平、平滑でない場合には、全閉時に床面との間に隙間が生じることがある。また、固定式座板は、開口高さに全閉位置を高精度に合わせなければならない煩雑な下限位置設定作業が求められた。さらに、固定式座板は、全閉位置で遊びが少ない分、全閉時にシャッターカーテンを押し込んでしまう、つまりシャッターカーテンが床面に着地しているにも関わらず駆動装置が作動を止めない状態が発生すると、動力伝達経路のギヤが噛み込み、手動切換え装置の切り替えが行いにくくなる問題が生じる。これによっても、固定式座板は、全閉位置を高精度に合わせなければならない煩雑な下限位置設定作業が必要となった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、簡素な構造および簡易な施工で、シャッターカーテン閉鎖時の床面と座板との隙間を塞ぎ、しかも、閉鎖時においての防火設備への対応を可能にできる開閉体の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉体の構造は、横長板状のスラット11を高さ方向に連結した開閉体17の最下端に取り付けられる連結板13と、前記連結板13に固定される座板15と、を備える開閉体の構造であって、
前記連結板13は、耐火材からなり、最下端の前記スラット11の下部係合部22を収容する断面コ字状の凹状溝部43と、前記凹状溝部43に連続して前記開閉体の少なくとも一方の面側に表れる前記座板15の面を覆う座板被覆部45を有し、
前記座板15は、座板下面61に前記スラット11の長手方向に延在する取付溝63が形成され、前記座板15の着地時に床面39との間に挟まれて圧縮方向に弾性変形する緩衝材65が前記取付溝63に装着されたことを特徴とする。
【0007】
この開閉体の構造では、座板15が、連結板13を介して最下端のスラット11に固定されるので、従来のような複雑な構造となる可動部を設ける必要がない。すなわち、簡素な構造の固定式座板とすることができる。
開閉体17は、同一断面形状のスラット11を上下に係合して構成される。このため、スラット11は、上縁に上部係合部19、下縁に下部係合部21を有する。スラット11は、上段のスラット11における下部係合部21に、下段のスラット11における上部係合部19を係合することにより連結される。このため、開閉体17の最下端となるスラット11は、下部係合部22(21)が係合されないまま露出することとなる。開閉体の構造では、この最下端のスラット11に連結板13が固定されることにより、連結板13に設けられた凹状溝部43によって、露出する下部係合部22が収容されることになる。つまり、下段のスラット11が不在となることにより露出してしまう下部係合部22を、簡易な取付作業により、見栄えよく仕舞うことができる。
最下端のスラット11に連結板13を介して取り付けられる座板15は、アルミ製とすることができる。これにより、緩衝材65を装着するための複雑な断面形状を押出成形により容易に付与することができる。座板下面61には、スラット11の長手方向に延在する取付溝63が形成される。取付溝63には、座板15の着地時に、床面39との間に挟まれて圧縮方向に弾性変形する緩衝材65が装着される。
開閉体の構造は、座板下面61に緩衝材65を有するので、床面39が水平でなく、平滑でない場合であっても、緩衝材65が弾性変形することにより、床面39の勾配により生じた隙間を塞ぐことが可能となる。
また、開閉体の構造は、座板下面61に弾性変形する緩衝材65を備えることにより、全閉位置で緩衝材65が弾性変形する範囲の遊びが確保される。そのため、全閉時の押し込みで動力伝達経路のギヤに生じる噛み込みを抑制できる。これにより、下限位置の設定精度を緩和でき、下限位置設定作業を簡易に行うことができるようになる。
これに加え、開閉体の構造は、連結板13が、耐火材であるスチールで造られる。連結板13は、上述の下部係合部22を収容する断面コ字状の凹状溝部43に連続して、座板被覆部45が形成される。座板被覆部45は、開閉体17の少なくとも一方の面側に表れる座板15の面を覆う。ここで、開閉体17の一方の面とは、例えば屋外側の面である。開閉体の構造では、開閉体最下端のスラット11に取り付けられたスチール製の連結板13に、座板15が固定される。座板15は、連結板13の屋内側の面に取り付けられる。つまり、座板15の固定部分は、連結板13によって屋外側が覆われることになる。
連結板13に固定された座板15は、床面39に平行となる水平部59を有する。座板15は、スラット11の長手方向に直交する断面形状が略逆T字形状となる。この水平部59は、スラット11の厚み方向で、スラット11よりも屋内外へ突出する。連結板13は、この屋外側へ突出する水平部59を、凹状溝部43から屋外側に折り曲げて形成した座板被覆部45により覆う。つまり、アルミ製の座板15は、外側に露出する面がスチール製の連結板13によって覆われることになる。これにより、アルミ製の座板15は、屋外からの火災による炎がスチール製の連結板13により遮られ、直接火炎に曝されなくなる。
【0008】
本発明の請求項2記載の開閉体の構造は、請求項1に記載の開閉体の構造であって、
前記座板15が、前記長手方向に延在して前記取付溝63と平行な収容溝83を有し、前記収容溝83には加熱により膨張して前記座板15と前記床面39との隙間を埋める加熱膨張剤85が装着されたことを特徴とする。
【0009】
この開閉体の構造では、座板下面61に、スラット11の長手方向に通しで収容溝83が形成される。この収容溝83には、加熱膨張剤85が装着される。加熱膨張剤85は、収容溝内に収容されていても、一部分が座板下面61から突出していてもよい。加熱膨張剤85は、火災時の火炎等により所定温度(例えば300~400℃)に達すると、体積が5~40倍に膨張する。
開閉体の構造では、座板下面61に、スラット11の長手方向に通しで一対の平行な取付溝63が形成される。この取付溝63には、上述の緩衝材65が装着される。緩衝材65は、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材やゴム材よりなる。
加熱膨張剤85を装着する収容溝83は、一対の取付溝63の間に、取付溝63と平行に形成される。つまり、加熱膨張剤85は、一対の緩衝材65の間に位置している。
開閉体の構造では、開閉体17の全閉時、屋外側からの火炎により、屋外側の緩衝材65が変形、減少若しくは消失すると、加熱膨張剤85が速やかに膨張し、床面39と座板下面61との間の隙間を塞ぐ。これにより、屋内側の緩衝材65は、膨張した加熱膨張剤85により屋外側からの火炎に直接曝されにくくなる。
【0010】
本発明の請求項3記載の開閉体の構造は、請求項1または2に記載の開閉体の構造であって
前記緩衝材65が、中空部75を有して形成され、前記中空部75の内面には前記長手方向に延在して前記緩衝材65の変形を促進する複数の平行な小溝81が形成されたことを特徴とする。
【0011】
この開閉体の構造では、緩衝材65が、中空部75を有して形成される。緩衝材65は、スラット11の長手方向に通しで取付溝63に取り付けられる。緩衝材65は、取付溝63に装着される装着部71と、装着部71から床面39に向かって垂下する緩衝材本体73とからなる。この緩衝材本体73は、変形部となる。緩衝材本体73は、座板15の長手方向に沿う同一長さのチューブ状に形成される。このため、緩衝材本体73は、内部が上述の中空部75となる。
緩衝材本体73は、長手方向に直交する断面形状が、縦長の略長円形状となる。緩衝材本体73の肉厚はほぼ均一であるので、中空部75も縦長の略長円形状となる。中空部75の内面には、緩衝材65の変形を促進する複数の平行な小溝81が形成されている。小溝81は、緩衝材本体73の長手方向に延在して通しで形成される。小溝81は、縦長の長円形となった中空部75における上下の半円部の直径両端のそれぞれに合計4箇所で設けることができる。
緩衝材本体73は、座板15が下降して床面39との間で押し潰されると、内面の4箇所に設けられた谷状となった小溝81のそれぞれが、谷折りされる方向に変形する。これにより、緩衝材本体73は、屋外側と屋内側の双方に膨出して偏平に潰れる方向に変形する。すなわち、緩衝材65は、床面39の傾斜等により生じている隙間を緩衝材本体73が塞ぐように、小溝81によって変形制御されるようになっている。
【0012】
本発明の請求項4記載の開閉体の構造は、請求項1または2に記載の開閉体の構造であって、
前記緩衝材103が、中空部113を有するとともに、側方が開口する断面C字型に形成され、前記中空部113の内面には前記長手方向に延在して前記緩衝材103の変形を促進する複数の平行な小溝81が形成されたことを特徴とする。
【0013】
この開閉体の構造では、緩衝材103が、中空部113を有するとともに、側方が開口する断面C字型に形成される。緩衝材103は、スラット11の長手方向に通しで取付溝107に取り付けられる。緩衝材103は、取付溝107に装着される装着部109と、装着部109から床面39に向かって垂下する緩衝材本体111とからなる。この緩衝材本体111は、変形部となる。緩衝材本体111は、座板105の長手方向に沿う同一長さに形成される。
緩衝材本体111は、長手方向に直交する断面形状が、側方が開口する断面C字型とされる。緩衝材本体111は下半部が半円形とされ、一側に傾斜した平板状部分を介して装着部109と接合され、内側を中空部113とされる。中空部113の内面には、緩衝材103の変形を促進する複数の平行な小溝81が形成されている。小溝81は、緩衝材本体111の長手方向に延在して通しで形成される。小溝81は、中空部75における半円形下半部と傾斜した平板状部分との境、及び平板状部分と装着部109との境に合計2箇所で設けることができる。
緩衝材本体111は、座板105が下降して床面39との間で押し潰されると、内面の小溝81のそれぞれが、谷折りされる方向に変形する。これにより、緩衝材本体111は、下半部が装着部109に近づく方向へ潰れるように変形する。すなわち、緩衝材103は、床面39の傾斜等により生じている隙間を緩衝材本体111が塞ぐように、小溝81と側方の開放部分とによって変形制御されるようになっている。
【0014】
本発明の請求項5記載の開閉体の構造は、請求項1または2に記載の開閉体の構造であって、
前記緩衝材87が、前記取付溝89に挿入される一部分に、緩衝材本体73と素材を変えて硬度の高い装着部91を一体的に有してなることを特徴とする。
【0015】
この開閉体の構造では、緩衝材87が、取付溝89に挿入される一部分に、緩衝材本体73と素材を変えて硬度の高い装着部71を一体的に有する。より具体的には、緩衝材87は、装着部91の硬度を90°、緩衝材本体73の硬度を60~70°とすることができる。ここで、緩衝材本体73は、変形部である。緩衝材87は、装着部91及び緩衝材本体73が、通しで形成される。
緩衝材87は、装着部91のみが、座板下面61に形成された取付溝89の端からスライド挿入される構造とすることができる。この構造の場合では、緩衝材87の装着部91が、緩衝材本体73よりも高硬度で形成されることにより、取付溝89へスライド挿入する際の良好な真直性が確保される。このため、長尺の座板15における取付溝89の端から緩衝材87の装着部91をスライド挿入するに際し、軟弱な装着部が取付溝89の途中でへたって装着しにくくなることを抑制できる。
【0016】
本発明の請求項6記載の開閉体の構造は、請求項3に記載の開閉体の構造であって、
前記緩衝材87が、前記取付溝89に挿入される一部分に、緩衝材本体73と素材を変えて硬度の高い装着部91を一体的に有してなることを特徴とする。
【0017】
この開閉体の構造では、作用が請求項5と同じである。
【0018】
本発明の請求項7記載の開閉体の構造は、請求項4に記載の開閉体の構造であって、
前記緩衝材103が、前記取付溝107に挿入される一部分に、緩衝材本体111と素材を変えて硬度の高い装着部109を一体的に有してなることを特徴とする。
【0019】
この開閉体の構造では、作用が請求項5と同じである。
【0020】
本発明の請求項8記載の開閉体の構造は、請求項1または2に記載の開閉体の構造であって、
前記連結板97が、前記座板下面61まで回り込んで前記座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有したことを特徴とする。
【0021】
この開閉体の構造では、連結板97が、座板下面61まで回り込んで座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有する。上述のように、座板15は、床面39に平行となる水平部59を有する。すなわち、座板15は、スラット11の長手方向に直交する断面形状が略逆さT字形状となる。
水平部59は、スラット11の厚み方向で、スラット11よりも屋内外へ突出する。連結板97は、例えば屋外側へ突出する水平部59を覆う座板被覆部45を有している。そして、座板15は、更にこの座板被覆部45から延出して断面コ字状に折り曲げられて、座板下面61を覆う床面対向板部99を有する。
開閉体の構造では、連結板97がこの床面対向板部99を備えることにより、屋内側からの火炎に対して座板15をよりしっかりと遮蔽することが可能になる。
また、開閉体の構造は、床面対向板部99が床面39に設置することになるので、連結板97を介して開閉体の荷重を床面39に支持できるようになり、アルミ製の座板15を介して床面39に荷重を支持する場合に比べて座板15へ加わる荷重の負担を軽減することが可能になる。これにより、開閉体の構造は、開閉体の最下端が火炎に曝されて座板15が軟化した際の座板強度の低下を抑制することができる。つまり、座板15の耐火強度を向上させることができる。
【0022】
本発明の請求項9記載の開閉体の構造は、請求項3に記載の開閉体の構造であって、
前記連結板97が、前記座板下面61まで回り込んで前記座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有したことを特徴とする。
【0023】
この開閉体の構造では、作用が請求項8と同じである。
【0024】
本発明の請求項10記載の開閉体の構造は、請求項4に記載の開閉体の構造であって、
前記連結板97が、前記座板下面61まで回り込んで前記座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有したことを特徴とする。
【0025】
この開閉体の構造では、作用が請求項8と同じである。
【0026】
本発明の請求項11記載の開閉体の構造は、請求項5に記載の開閉体の構造であって、
前記連結板97が、前記座板下面61まで回り込んで前記座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有したことを特徴とする。
【0027】
この開閉体の構造では、作用が請求項8と同じである。
【0028】
本発明の請求項12記載の開閉体の構造は、請求項6に記載の開閉体の構造であって、
前記連結板97が、前記座板下面61まで回り込んで前記座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有したことを特徴とする。
【0029】
この開閉体の構造では、作用が請求項8と同じである。
【0030】
本発明の請求項13記載の開閉体の構造は、請求項7に記載の開閉体の構造であって、
前記連結板97が、前記座板下面61まで回り込んで前記座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有したことを特徴とする。
【0031】
この開閉体の構造では、作用が請求項8と同じである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る請求項1記載の開閉体の構造によれば、簡素な構造および簡易な施工で、シャッターカーテン閉鎖時の床面と座板との隙間を塞ぎ、しかも、閉鎖時においての防火設備への対応を可能にできる。
【0033】
本発明に係る請求項2記載の開閉体の構造によれば、火災が起き、緩衝材が変形や焼失した場合であっても、加熱膨張剤が膨らむことにより座板と床面との隙間を発生させず、塞ぐことができる。
【0034】
本発明に係る請求項3記載の開閉体の構造によれば、開閉体閉鎖時に、緩衝材が屋内外方向へ膨出するように変形方向の制御が可能となり、床面に対し、この床面が傾斜していても、床面への緩衝材の密着性を高めることができる。
【0035】
本発明に係る請求項4記載の開閉体の構造によれば、開閉体閉鎖時に、緩衝材が折れ曲がるような変形方向の制御が可能となり、床面に対する緩衝材の密着性を高めることができる。
【0036】
本発明に係る請求項5記載の開閉体の構造によれば、座板の取付溝にスライド挿入する緩衝材の一部分を、高硬度とすることにより長手方向端部からのスライド挿入時に真直性を保ち、緩衝材を取付溝に装着しやすくできる。
【0037】
本発明に係る請求項6記載の開閉体の構造によれば、請求項5と同じ効果を得ることができる。
【0038】
本発明に係る請求項7記載の開閉体の構造によれば、請求項5と同じ効果を得ることができる。
【0039】
本発明に係る請求項8記載の開閉体の構造によれば、座板の下面まで回り込んで下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部を連結板に設けたので、耐火材からなる連結板にアルミ製の座板を載せた状態にでき、耐火材を介して開閉体の荷重を床面に支持することができる。
【0040】
本発明に係る請求項9記載の開閉体の構造によれば、請求項8と同じ効果を得ることができる。
【0041】
本発明に係る請求項10記載の開閉体の構造によれば、請求項8と同じ効果を得ることができる。
【0042】
本発明に係る請求項11記載の開閉体の構造によれば、請求項8と同じ効果を得ることができる。
【0043】
本発明に係る請求項12記載の開閉体の構造によれば、請求項8と同じ効果を得ることができる。
【0044】
本発明に係る請求項13記載の開閉体の構造によれば、請求項8と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本実施形態に係る開閉体の構造におけるスラットの長手方向に直交する方向の分解断面図である。
【
図2】開閉体の構造を有するシャッターカーテンを開閉するシャッター装置の概略を側面視した構成図である。
【
図4】本実施形態に係る開閉体の構造におけるスラットの長手方向に直交する方向の断面図である。
【
図5】緩衝材の変形状態を表した開閉体の構造におけるスラットの長手方向に直交する方向の断面図である。
【
図6】変形例1に係る開閉体の構造を表すスラットの長手方向に直交する方向の断面図である。
【
図8】(a)は変形例2に係る開閉体の構造を表すスラットの長手方向に直交する方向の断面図、(b)は(a)に示した緩衝材の拡大図である。
【
図9】変形例2に一対の緩衝材を追加した開閉体の構造を表すスラットの長手方向に直交する方向の断面図である。
【
図10】(a)は変形例3に係る開閉体の構造を表すスラットの長手方向に直交する方向の断面図、(b)は(a)に示した緩衝材の拡大図である。
【
図11】変形例4に係る開閉体の構造を表すスラットの長手方向に直交する方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る開閉体の構造におけるスラット11の長手方向に直交する方向の分解断面図である。
本実施形態に係る開閉体の構造は、横長板状のスラット11を高さ方向に連結した開閉体の最下端に取り付けられる連結板13と、連結板13に固定される座板15と、を備える。開閉体は、スチール製のスラット11を複数連結した一般的なシャッターカーテン17の他、パネル材やパイプを連結したカーテンとすることもできる。以下、開閉体は、スチール製のスラット11を複数連結した一般的なシャッターカーテン17を例として説明する。
【0047】
シャッターカーテン17は、同一断面形状のスラット11を上下に係合して構成される。スラット11は、上縁に上部係合部19、下縁に下部係合部21を有する。スラット11は、上段のスラット11における下部係合部21に、下段のスラット11における上部係合部19を係合することにより連結される。
【0048】
図2は、開閉体の構造を有するシャッターカーテン17を開閉するシャッター装置23の概略を側面視した構成図である。
本実施形態に係る開閉体の構造は、シャッター装置23に好適に用いられる。シャッター装置23は、開口部25を有する構造物の屋内または屋外の一方の壁面27に固定される。本実施形態において、シャッター装置23は、屋内の壁面27に取り付けられる。シャッター装置23は、壁面27に固定される左右一対のブラケット29に、シャッター収納部31が掛け渡されるように組み付けられる。シャッター収納部31には、ブラケット29に支持される一方の軸に対して回転自在となってシャッターカーテン17を巻装する巻取シャフト33と、巻取シャフト33の他方の軸首を回転して巻取シャフト33を正逆回転する開閉機35とが収容される。
【0049】
多数のスラット11を上下方向に連結したシャッターカーテン17は、スラット11の長手方向に沿う巻き取り軸を中心に回転する巻取シャフト33の外周に、簾状に巻き取られ、また、繰り出されて構造物の開口部25を閉鎖する。シャッターカーテン17は、開口部25の左右に縦方向に延在して構造物に固定された一対のガイドレール37によって左右両縁が挿入されて昇降がガイドされる。開閉機35が駆動され、閉方向に回転された巻取シャフト33から繰り出されたシャッターカーテン17は、左右両縁がガイドレール37に案内されて、床面39に到達することで、開口部25を閉鎖する。すなわち、シャッター装置23は、開口部25の開口高さHでシャッターカーテン17を昇降動作させる。
【0050】
開閉機35は、ギヤ機構により電動モータ(図示略)の回転数、トルクを調整して、巻取シャフト33を駆動する。電動モータの回転は、チェーンおよびスプロケットを介して巻取シャフト33に伝達される。開閉機35には、操作部が引張操作されることにより電動モータと巻取シャフト33との間の動力伝達経路を切断してシャッターカーテン17を手動で開閉可能とする手動切換え装置(図示略)が、ワイヤによって接続される。動力伝達経路の切断機構は、クラッチ機構等により構成される。
【0051】
図1に示すように、連結板13は、スラット固定部41と、凹状溝部43と、座板被覆部45と、が板金加工により複数回直角曲げされることにより形成される。連結板13は、耐火材であるスチール、例えばステンレス鋼などを素材とする。連結板13は、スラット11の長手方向に沿って、ほぼスラット11と同一長の長尺で形成される。
【0052】
連結板13は、スラット11の長手方向に直交する断面形状において、スラット固定部41がスラット11と平行な横長板状となる。スラット固定部41は、最下端のスラット11における屋内側の面に、固定手段により固定される。固定手段は、シャッターカーテン17の屋外から貫通するビス47と、ビス47の貫通先端に螺合される袋ナット49と、からなる。連結板13は、スラット固定部41が長手方向の複数箇所でスラット11に固定される。スラット固定部41は、下端が屋内方向に直角曲げされて断面コ字状の凹状溝部43に接続する。
【0053】
凹状溝部43は、シャッターカーテン17の屋外から屋内に向かって窪んだ溝となってスラット11の長手方向に沿って通しで形成される。凹状溝部43は、最下端のスラット11における下部係合部22を内方に収容する。凹状溝部43の下端は、座板被覆部45に接続する。
【0054】
座板被覆部45は、凹状溝部43に連続してシャッターカーテン17の少なくとも一方の面(本実施形態では屋外側の面)に表れる座板15の面を覆う。座板被覆部45は、凹状溝部43における下部の水平板部51から下向きに直角曲げされて形成される。すなわち、座板被覆部45は、凹状溝部43の下部からL字状となって垂下する。座板15の屋外側に表れる面を覆う座板被覆部45は、固定手段であるリベット53が座板被覆部45と座板15とを貫通することにより座板15の上面に固定される(
図1、4参照)。
【0055】
一方、座板15は、スラット11の長手方向に直交する断面形状が略逆さT字形状となる。座板15は、アルミ押出成形で造られる。アルミ製の座板15は、複雑な断面形状を高精度に成形した任意長さの軽量高強度な長尺形材として得ることができる。座板15は、連結板13の凹状溝部43における屋内側の凹状溝部背面55に固定される固定片部57を上端に有する。固定片部57の下端は、床面39に平行となる水平部59と接続する。水平部59は、固定片部57の屋外側が屋外側水平部、固定片部57の屋内側が屋内側水平部となる。座板15は、この固定片部57と、水平部59とによって断面形状が略逆さT字形状となる。
【0056】
水平部59は、上下方向に所定の厚み(高さ)を有して形成される。この厚みは、閉鎖され若しくは開放された複数の中空通し部が成形されることによりできる。座板15は、複数の中空通し部が隔壁によって画成されることで軽量高強度な構造を得ている。座板15は、座板下面61に、スラット11の長手方向に延在する一対の取付溝63が形成される。一対の取付溝63は、開放された中空通し部である。それぞれの取付溝63には、座板15の着地時に床面39との間に挟まれて圧縮方向に弾性変形する緩衝材65が装着される。取付溝63は、溝を挟む両側の溝開口部に、抜け止め突起67が形成される。抜け止め突起67は、緩衝材65を抜け止めする掛かり代であり、例えば1.5mmの突出長さに設定される。取付溝63に装着された緩衝材65は、取付溝63からの離脱が抜け止め突起67により規制される。
【0057】
座板15は、屋外側の抜け止め突起67の反対側(屋外側)に、連結板13に形成された座板被覆部45の垂下端面を覆う化粧突起69が形成される。化粧突起69は、板金加工された座板被覆部45の端を覆うことで、見栄えをよくするとともに、バリを覆うことによる安全性の向上、板金端部の面取り作業の省力化を可能としている。
【0058】
図3は、緩衝材65の側面図である。
取付溝63に取り付けられる緩衝材65は、装着部71及び緩衝材本体73が、通しで成形される。本実施形態において、緩衝材65は、装着部71と緩衝材本体73とが、弾性変形可能に形成される。緩衝材65は、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材やゴム材よりなり、防火性能のないスポンジゴム等は使用されない。緩衝材本体73は、長手方向に直交する断面形状が、縦長の略長円形状となる。緩衝材65は、座板15の長手方向に沿う同一長さのチューブ状に形成される。このため、緩衝材本体73は、中空部75を有している。
【0059】
装着部71は、緩衝材本体73の屋内外方向の中央から起立する装着基部77を有する。装着基部77は、屋外側の面と、屋内側の面のそれぞれに、下向きに傾斜した複数段の抜け止めリップ79が一体に形成される。緩衝材65は、この装着部71が取付溝63に下方から圧入されることにより、抜け止めリップ79が弾性変形して取付溝63に嵌着し、かつ抜け止め突起67により取付溝63からの離脱が規制される。また、緩衝材65は、リップ79を逆方向に弾性変形させ引っ張りだすことにより、座板15を外すことなく交換が可能となる。
【0060】
緩衝材65は、緩衝材本体73の肉厚がほぼ均一であるので、中空部75も縦長の略長円形状となる。中空部75の内面には、緩衝材65の変形を促進する複数の平行な小溝81が形成されている。小溝81は、緩衝材本体73の長手方向に延在して通しで形成される。小溝81は、縦長の長円形となった中空部75における例えば上下の半円部の直径両端のそれぞれに合計4箇所で設けられる。
【0061】
図4は、本実施形態に係る開閉体の構造におけるスラット11の長手方向に直交する方向の断面図である。
座板15の取付溝63に装着された緩衝材65は、緩衝材本体73が座板下面61から垂下する。座板15は、この座板下面61に、スラット11の長手方向に延在して取付溝63と平行な収容溝83を有する。収容溝83には、加熱により膨張して座板15と床面39との隙間を埋める加熱膨張剤85が装着される。加熱膨張剤85は、火災時の火炎等により所定温度、例えば300~400℃に達すると、体積が5~40倍に膨張する。
【0062】
図5は、緩衝材65の変形状態を表した開閉体の構造におけるスラット11の長手方向に直交する方向の断面図である。
緩衝材本体73は、座板15が下降して床面39との間で押し潰されると、内面の4箇所に設けられた谷状となった小溝81のそれぞれが、谷折りされる方向に変形する。これにより、緩衝材本体73は、屋外側と屋内側の双方に膨出するように、つまり縦長長円形が横長長円形へと偏平に潰れる方向に変形する。
【0063】
次に、上述した開閉体の構造における変形例を説明する。
【0064】
図6は、変形例1に係る開閉体の構造を表すスラット11の長手方向に直交する方向の断面図、
図7は、
図6に示した緩衝材87の拡大図である。
変形例1に係る開閉体の構造は、緩衝材87と取付溝89の構造が上述した開閉体の構造と異なる。他の構成は上述した開閉体の構造と同じである。
【0065】
緩衝材87は、取付溝89に挿入される一部分に、緩衝材本体73と素材を変えて硬度の高い装着部91を一体的に有してなる。緩衝材87は、2色成形により、緩衝材本体73と装着部91を一体的に成形できる。
図7に示すように、緩衝材87は、装着部91の断面がT字状となる。緩衝材87の装着部91が挿入される取付溝89は、両側に掛かり代、例えば突出長さを2.5mmに設定して形成した断面T字状の挿入空間を有する。緩衝材87は、緩衝材本体73の硬度に比べ、装着部91の硬度を高く設定され、例えば、緩衝材本体73の硬度を60~70°とし、装着部91の硬度は緩衝材本体73の硬度よりも高い90°とすることができる。緩衝材87は、装着部91及び緩衝材本体73が、通しで形成される。このように硬度を変えて成形されることから、取付溝89への装着時には、装着部91が真直度を維持しながら長手方向から挿入するように装着でき、緩衝材本体73は床面39にて押し潰されやすくなる。
【0066】
図8(a)は、変形例2に係る開閉体の構造を表すスラット11の長手方向に直交する方向の断面図、(b)は(a)に示した緩衝材93の拡大図である。
変形例2に係る開閉体の構造は、一対の緩衝材65と、加熱膨張剤85と、を設けずに、上述の緩衝材65とは異なる形状の緩衝材93を取り付けた点が、上述した開閉体の構造と異なる。他の構成は上述した開閉体の構造と同じである。緩衝材93は、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材やゴム材よりなる。
【0067】
緩衝材本体73は、長手方向に直交する断面形状が、下面を半円形状に膨出させた略四角形状となる。緩衝材93は、座板15の長手方向に沿う同一長さのチューブ状に形成される。このため、緩衝材本体73は、中空部75を有している。装着部71は、緩衝材本体73の屋内外方向の中央から起立する装着基部77を有する。装着基部77は、起立先端に抜け止め返し95が一体に形成される。緩衝材93は、この装着部71が収容溝83に下方から圧入されることにより、抜け止め返し95が弾性変形して収容溝83に嵌着し、かつ抜け止め突起67により収容溝83からの離脱が規制される。緩衝材93は、抜け止め返し95を弾性変形させることにより、座板15を外すことなく交換が可能となる。
【0068】
緩衝材93においても、中空部75の内面には、緩衝材65の変形を促進する複数の平行な小溝81が形成されている。小溝81は、略四角形となった中空部75における例えば上下左右のそれぞれに合計4箇所で設けられる。
【0069】
図9は、変形例2に一対の緩衝材65を追加した開閉体の構造を表すスラット11の長手方向に直交する方向の断面図である。
開閉体の構造は、
図8に示した変形例2に係る緩衝材93に加えて、さらに上述した一対の緩衝材65が取付溝63に装着されてもよい。この場合、加熱膨張剤85は不在となるが、屋内外方向に一対の緩衝材65と、緩衝材93とが三重に設けられるので、床面39と座板15との間における隙間閉鎖機能をより高めることができる。
【0070】
図10(a)は、変形例3に係る開閉体の構造を表すスラット11の長手方向に直交する方向の断面図、(b)は(a)に示した緩衝材103の拡大図である。
変形例3に係る開閉体の構造は、緩衝材103の形状と座板105の取付溝107の数が上述した開閉体の構造と異なる。他の構成は上述した開閉体の構造と略同じであるが、この変形例3においては、座板105の形状に合わせて座板被覆部45に傾斜部分を有する形状とされる。
【0071】
座板105は、座板下面61に前記スラット11の長手方向に延在する取付溝107がそれぞれに平行となって3箇所、つまり上述した変形例1の一対の取付溝89と収容溝83の位置と同等の箇所にこの取付溝89と同等の断面T字状の挿入空間となって形成される。
緩衝材103は、装着部109がT字状に形成され、取付溝107に挿入される。緩衝材本体111は、中空部113を有するとともに、側方が開口する断面C字型に形成され、具体的には、下半部が下方に湾曲した半円形であり、側部に傾斜した平板状部分が形成される。中空部113の内面には、下半部と平板部分との境、及び平板部分と装着部109との境に位置して、 長手方向に延在して緩衝材103の変形を促進する平行な小溝81がそれぞれ形成される。つまり、上述した縦長の略長円形状の中空部75を有した緩衝材65、87と異なり、側方が開口形成されて開放した形状となっている。この緩衝材103も上述同様に、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材やゴム材よりなり、装着部109の硬度を90°、緩衝材本体111の硬度を60~70°とする構成が好ましい。なお、
図10(a)に示すように、緩衝材103は、側部が開放するような形状であることから、座板105に対する装着方向を、座板下面61への取付位置に応じて向きを変えて、開口が表出しないことが好ましい。
【0072】
この緩衝材103では、各小溝81の位置で折れ曲がるような変形を起こし、且つ、開口部分を備えることで、
図10(b)に二点鎖線で示すような変形となって容易に押し潰される。この変形例3における緩衝材103では、上述した緩衝材65、87の中空形状に比べて側部が開放していることで変形しやすく、床面39に追従しやすい。また、薄く成形させることで重量が軽くなる。
【0073】
なお、この緩衝材103は、上記した断面形状を成形型とする押出成形等とすることもできるが、上述した実施形態の緩衝材65のような中空部75を有する緩衝材本体73の形状(
図1,3,4参照)や、変形例1の緩衝材87のような中空部75を有する緩衝材本体73の形状(
図6,7参照)と同様にチューブ状に予め製作し、且つ小溝81を上記緩衝材本体73と同様に4箇所設けた形状として得た後、一方の側部の上下小溝81の位置で、これら小溝81に沿って切断し、側板部分を除去することで開口形成させて断面C字型に形成することで得られるものとしてもよい。このような方法で緩衝材103を得ることとすれば、押出成形等ではその形状を得にくい断面C字型でも、作業性や製作時間の短縮化などを図れ、容易に緩衝材103を得ることが可能となる。
【0074】
図11は、変形例4に係る開閉体の構造を表すスラット11の長手方向に直交する方向の断面図である。
変形例4に係る開閉体の構造は、連結板97が、座板下面61まで回り込んで座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有する。この変形例4では、連結板97は、床面対向板部99を有する屋内側床面対向板101をさらに別体で有する。座板15は、床面対向板部99を有する連結板97と、屋内側床面対向板101とにより屋内外から挟まれて覆われる。座板15は、固定片部57が、連結板97の凹状溝部背面55と、屋内側床面対向板101とに挟まれてリベット53により共締めされる。連結板97と屋内側床面対向板101とは、座板下面61において、折り曲げ先端同士が収容溝83を空けて離間する。離間距離は、3mm程度になる。この離間距離を設けることにより、連結板97と屋内側床面対向板101とにより覆われた座板下面61には、緩衝材93が収容溝83に装着可能となっている。
【0075】
変形例4に係る開閉体の構造では、連結板97が床面対向板部99と、屋内側床面対向板101とを備えることにより、屋内側からの火災による火炎に対して座板15をよりしっかりと遮蔽することが可能になる。
【0076】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0077】
本実施形態に係る開閉体の構造では、座板15が、連結板13を介して最下端のスラット11に固定されるので、従来のような複雑な構造となる可動部を設ける必要がない。すなわち、簡素な構造の固定式座板とすることができる。
【0078】
シャッターカーテン17は、同一断面形状のスラット11を上下に係合して構成される。このため、スラット11は、上縁に上部係合部19、下縁に下部係合部21を有する。スラット11は、上段のスラット11における下部係合部21に、下段のスラット11における上部係合部19を係合することにより連結される。このため、シャッターカーテン17の最下端となるスラット11は、下部係合部21が係合されないまま露出することとなる。開閉体の構造では、この最下端のスラット11に連結板13が固定されることにより、連結板13に設けられた凹状溝部43によって、露出する下部係合部22が収容されることになる。つまり、下段のスラット11が不在となることにより露出してしまう下部係合部22を、簡易な取付作業により、見栄えよく仕舞うことができる。
【0079】
最下端のスラット11に連結板13を介して取り付けられる座板15は、アルミ製とすることができる。これにより、緩衝材65を装着するための複雑な断面形状を押出成形により容易に付与することができる。座板下面61には、スラット11の長手方向に延在する取付溝63が形成される。取付溝63には、座板15の着地時に、床面39との間に挟まれて圧縮方向に弾性変形する緩衝材65が装着される。
【0080】
開閉体の構造は、座板下面61に緩衝材65を有するので、床面39が水平でなく、平滑でない場合であっても、緩衝材65が弾性変形することにより、床面39の勾配により生じた隙間を塞ぐことが可能となる。
【0081】
また、開閉体の構造は、座板下面61に弾性変形する緩衝材65を備えることにより、全閉位置で緩衝材65が弾性変形する範囲の遊びが確保される。そのため、全閉時の押し込みで動力伝達経路のギヤに生じる噛み込みを抑制できる。これにより、下限位置の設定精度を緩和でき、下限位置設定作業を簡易に行うことができるようになる。
【0082】
これに加え、開閉体の構造は、連結板13が、耐火材であるスチールで造られる。連結板13は、上述の下部係合部22を収容する断面コ字状の凹状溝部43に連続して、座板被覆部45が形成される。座板被覆部45は、シャッターカーテン17の少なくとも一方の面側に表れる座板15の面を覆う。ここで、シャッターカーテン17の一方の面とは、例えば屋外側の面である。開閉体の構造では、シャッターカーテン最下端のスラット11に取り付けられたスチール製の連結板13に、座板15が固定される。座板15は、連結板13の屋内側の面に取り付けられる。つまり、座板15の固定部分は、連結板13によって屋外側が覆われることになる。
【0083】
連結板13に固定された座板15は、床面39に平行となる水平部59を有する。座板15は、スラット11の長手方向に直交する断面形状が略逆T字形状となる。この水平部59は、スラット11の厚み方向で、スラット11よりも屋内及び屋外へ突出する。連結板13は、この屋外側へ突出する水平部59を、凹状溝部43から屋外側に折り曲げて形成した座板被覆部45により覆う。つまり、アルミ製の座板15は、外側に露出する面がスチール製の連結板13によって覆われることになる。これにより、アルミ製の座板15は、屋外からの火災による火炎がスチール製の連結板13により遮られ、直接火炎に曝されなくなる。
【0084】
この開閉体の構造では、座板下面61に、スラット11の長手方向に通しで収容溝83が形成される。この収容溝83には、加熱膨張剤85が装着される。加熱膨張剤85は、収容溝内に収容されていても、一部分が座板下面61から突出していてもよい。加熱膨張剤85は、火災時の火炎等により所定温度、例えば300~400℃に達すると、体積が5~40倍に膨張する。
【0085】
開閉体の構造では、座板下面61に、スラット11の長手方向に通しで一対の平行な取付溝63が形成される。この取付溝63には、上述の緩衝材65が装着される。緩衝材65は、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材やゴム材よりなる。
【0086】
加熱膨張剤85を装着する収容溝83は、一対の取付溝63の間に、取付溝63と平行に形成される。つまり、加熱膨張剤85は、一対の緩衝材65の間に位置している。
【0087】
開閉体の構造では、シャッターカーテン17の全閉時、屋外側からの火災による火炎によって、屋外側の緩衝材65が変形、減少若しくは消失すると、加熱膨張剤85が熱を受けることで膨張し、床面39と座板下面61との間の隙間を塞ぐ。これにより、屋内側の緩衝材65は、膨張した加熱膨張剤85により屋外側からの火炎に直接曝されにくくなる。その結果、火災が起き、緩衝材65が焼失した場合であっても、加熱膨張剤85が膨らむことにより座板15と床面39との隙間を塞ぐことができる。なお、この加熱膨張剤85による隙間を塞ぐ作用は、屋内側からの火炎、すなわち屋内側の火災による火炎を遮蔽することが可能となる。
【0088】
この開閉体の構造では、緩衝材65が、中空部75を有して形成される。緩衝材65は、スラット11の長手方向に通しで取付溝63に取り付けられる。緩衝材65は、取付溝63に装着される装着部71と、装着部71から床面39に向かって垂下する緩衝材本体73とからなる。この緩衝材本体73は、変形部となる。緩衝材本体73は、座板15の長手方向に沿う同一長さのチューブ状に形成される。このため、緩衝材本体73は、内部が上述の中空部75となる。
【0089】
緩衝材本体73は、長手方向に直交する断面形状が、縦長の略長円形状となる。緩衝材本体73の肉厚はほぼ均一であるので、中空部75も縦長の略長円形状となる。中空部75の内面には、緩衝材65の変形を促進する複数の平行な小溝81が形成されている。小溝81は、緩衝材本体73の長手方向に延在して通しで形成される。小溝81は、縦長の長円形となった中空部75における上下の半円部の直径両端のそれぞれに合計4箇所で設けることができる。
【0090】
緩衝材本体73は、座板15が下降して床面39との間で押し潰されると、内面の4箇所に設けられた谷状となった小溝81のそれぞれが、谷折りされる方向に変形する。これにより、緩衝材本体73は、屋外側と屋内側の双方に膨出して偏平に潰れる方向に変形する。すなわち、緩衝材65は、床面39の傾斜等により生じている隙間を緩衝材本体73が塞ぐように、小溝81によって変形制御されるようになっている。その結果、シャッターカーテン閉鎖時に、緩衝材65が屋内外方向へ膨出するように変形方向の制御が可能となり、床面39に対する緩衝材65の密着性を高めることができる。
【0091】
この開閉体の構造では、緩衝材87が、取付溝89に挿入される一部分に、緩衝材本体73と素材を変えて硬度の高い装着部91を一体的に有する。より具体的には、緩衝材87は、装着部91の硬度を90°、緩衝材本体73の硬度を60~70°とすることができる。ここで、緩衝材本体73は、変形部である。緩衝材87は、装着部91及び緩衝材本体73が、通しで形成される。
【0092】
緩衝材87は、装着部91のみが、座板下面61に形成された取付溝89の端からスライド挿入される構造とすることができる。なお、緩衝材87の挿入構造は、これに限定されない。この構造の場合では、緩衝材87の装着部91が、緩衝材本体73よりも高硬度で形成されることにより、取付溝89へスライド挿入する際の良好な真直性が確保される。このため、長尺の座板15における取付溝89の端から緩衝材87の装着部91をスライド挿入するに際し、軟弱な装着部が取付溝89の途中でへたって装着しにくくなることを抑制できる。その結果、座板15の取付溝89にスライド挿入する緩衝材87の一部分を、高硬度とすることにより長手方向端部からのスライド挿入時に真直性を保ち、緩衝材87を取付溝89に装着しやすくできる。
【0093】
この開閉体の構造では、連結板97が、座板下面61まで回り込んで座板下面61の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を有する。上述のように、座板15は、床面39に平行となる水平部59を有する。すなわち、座板15は、スラット11の長手方向に直交する断面形状が略逆T字形状となる。水平部59は、スラット11の厚み方向で、スラット11よりも屋内外へ突出する。連結板97は、例えば屋外側へ突出する水平部59を覆う座板被覆部45を有している。そして、座板15は、更にこの座板被覆部45から延出して断面コ字状に折り曲げられて、座板下面61を覆う床面対向板部99を有する。
【0094】
開閉体の構造では、連結板97が床面対向板部99と、屋内側床面対向板101とを備えることにより、屋内側からの火災による火炎に対して座板15をよりしっかりと遮蔽することが可能になる。
【0095】
また、開閉体の構造は、床面対向板部99が床面39に設置することになるので、連結板97を介してシャッターカーテン17の荷重を床面39に支持できるようになり、アルミ製の座板15を介して床面39に荷重を支持する場合に比べて座板15へ加わる荷重の負担を軽減することが可能になる。これにより、開閉体の構造は、シャッターカーテン17の最下端が火炎に曝されて座板15が軟化した際の座板強度の低下を抑制することができる。つまり、座板15の耐火強度を向上させることができる。その結果、座板15の下面まで回り込んで下面の少なくとも一部分を覆う床面対向板部99を連結板97に設けたので、耐火材からなる連結板97にアルミ製の座板15を載せた状態にでき、シャッターカーテン17の荷重を耐火材を介して床面39に支持することができる。
【0096】
従って、本実施形態に係る開閉体の構造によれば、簡素な構造および簡易な施工で、床面39と座板15との隙間を吸収でき、しかも、防火設備への対応を可能にできる。
【符号の説明】
【0097】
11…スラット
13…連結板
15…座板
17…開閉体(シャッターカーテン)
21…下部係合部
22…最下端の下部係合部
39…床面
43…凹状溝部
45…座板被覆部
61…座板下面
63…取付溝
65…緩衝材
71…装着部
73…緩衝材本体
75…中空部
81…小溝
83…収容溝
85…加熱膨張剤
87…緩衝材
89…取付溝
91…装着部
93…緩衝材
97…連結板
99…床面対向板部
103…緩衝材
107…取付溝
109…装着部
111…緩衝材本体
113…中空部